環境省設置法
法令番号: 法律第101号
公布年月日: 平成11年7月16日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中央省庁等改革基本法に基づき、府省の再編成の一環として環境省を新設するものである。内閣の統括のもとに行政事務をつかさどる行政機関として、任務を基軸とした10省(総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)に再編成する。これにより、縦割り行政の弊害を排し、政策課題に柔軟かつ整合的に対応できるようにする。また、各省等設置法の権限規定を廃止し、府省間で互いの政策を協議する政策調整の制度を設けることとしている。

参照した発言:
第145回国会 衆議院 本会議 第31号

審議経過

第145回国会

衆議院
(平成11年5月18日)
(平成11年6月10日)
参議院
(平成11年6月11日)
(平成11年7月8日)
環境省設置法をここに公布する。
御名御璽
平成十一年七月十六日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第百一号
環境省設置法
目次
第一章
総則(第一条)
第二章
環境省の設置並びに任務及び所掌事務等
第一節
環境省の設置(第二条)
第二節
環境省の任務及び所掌事務(第三条・第四条)
第三節
環境省の長(第五条)
第三章
環境省に置かれる機関
第一節
審議会等(第六条―第八条)
第二節
特別の機関(第九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、環境省の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
第二章 環境省の設置並びに任務及び所掌事務等
第一節 環境省の設置
(設置)
第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づいて、環境省を設置する。
第二節 環境省の任務及び所掌事務
(任務)
第三条 環境省は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全(良好な環境の創出を含む。以下単に「環境の保全」という。)を図ることを任務とする。
(所掌事務)
第四条 環境省は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一 環境の保全に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二 環境の保全に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
三 地球環境保全、公害の防止並びに自然環境の保護及び整備(以下この号において「地球環境保全等」という。)に関する関係行政機関の経費の見積りの方針の調整並びに地球環境保全等に関する関係行政機関の試験研究機関の経費(大学及び大学共同利用機関の所掌に係るものを除く。)及び関係行政機関の試験研究委託費の配分計画に関すること。
四 公害防止計画(環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十七条第一項に規定する計画をいう。)の策定の指示及び同意に関すること。
五 国土利用計画(国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第四条に規定する計画をいう。)のうち同条に規定する全国計画の作成に関すること(環境の保全に関する基本的な政策に係るものに限る。)。
六 特定有害廃棄物等(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成四年法律第百八号)に規定する特定有害廃棄物等をいう。)の輸出、輸入、運搬及び処分の規制に関すること(貿易管理に関するものを除く。)。
七 南極地域の環境の保護に関すること。
八 環境基準(環境基本法第十六条第一項に規定する基準をいう。)の設定に関すること。
九 公害の防止のための規制に関すること。
十 公害に係る健康被害の補償及び予防に関すること。
十一 公害の防止のための事業に要する費用の事業者負担に関する制度に関すること。
十二 自然環境が優れた状態を維持している地域における当該自然環境の保全に関すること。
十三 自然公園及び温泉の保護及び整備並びにこれらに関する事業の振興に関すること。
十四 景勝地及び休養地並びに公園(都市計画上の公園を除く。)の整備に関すること。
十五 皇居外苑、京都御苑及び新宿御苑並びに千鳥ケ淵戦没者墓苑の維持及び管理に関すること。
十六 野生動植物の種の保存、野生鳥獣の保護及び狩猟の適正化その他生物の多様性の確保に関すること。
十七 人の飼養に係る動物の保護並びに当該動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害の防止に関すること。
十八 自然環境の健全な利用のための活動の増進に関すること。
十九 廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)に規定する廃棄物をいう。)の排出の抑制及び適正な処理(浄化槽によるし尿及び雑排水の処理を含む。)並びに清掃に関すること。
二十 前各号に掲げるもののほか、専ら環境の保全を目的とする事務及び事業に関すること。
二十一 環境の保全の観点からの次に掲げる事務及び事業に関する基準、指針、方針、計画その他これらに類するものの策定並びに当該観点からのこれらの事務及び事業に関する規制その他これに類するもの(ホ、ヌ及びヲにあっては当該規制の実施、へにあっては当該整備に関する援助、チにあっては当該監視及び測定の実施、ルにあっては当該把握された化学物質の量の集計及びその結果の公表、ヨにあっては環境影響評価に関する審査)に関すること。
イ 温室効果ガス(大気を構成する気体であって、地表からの赤外線を吸収し、及びこれを放射する性質を有するものをいう。)の排出の抑制
ロ オゾン層の保護
ハ 海洋汚染の防止
ニ 工場における公害の防止のための組織の整備
ホ 工場立地の規制
ヘ 公害の防止のための施設及び設備の整備
ト 下水道その他の施設による排水の処理
チ 放射性物質に係る環境の状況の把握のための監視及び測定
リ 森林及び緑地の保全
ヌ 化学物質の審査及び製造、輸入、使用その他の取扱いの規制
ル 事業活動に伴い事業所において環境に排出される化学物質の量及び事業活動に係る廃棄物の処理を事業所の外において行うことに伴い当該事業所の外に移動する化学物質の量の把握並びに化学物質の管理の改善の促進
ヲ 農薬の登録及び使用の規制
ワ 資源の再利用の促進
カ 河川及び湖沼の保全
ヨ 環境影響評価
タ イからヨまでに掲げるもののほか、その目的及び機能の一部に環境の保全が含まれる事務及び事業
二十二 所掌事務に係る国際協力に関すること。
二十三 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
二十四 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき環境省に属させられた事務
第三節 環境省の長
(環境大臣)
第五条 環境省の長は、環境大臣とする。
2 環境大臣は、環境の保全に関する基本的な政策の推進のため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、環境の保全に関する基本的な政策に関する重要事項について勧告し、及びその勧告に基づいて執った措置について報告を求めることができる。
第三章 環境省に置かれる機関
第一節 審議会等
(設置)
第六条 別に法律で定めるところにより環境省に置かれる審議会等は、次のとおりとする。
中央環境審議会
公害健康被害補償不服審査会
(中央環境審議会)
第七条 中央環境審議会については、環境基本法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
(公害健康被害補償不服審査会)
第八条 公害健康被害補償不服審査会については、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
第二節 特別の機関
(公害対策会議)
第九条 別に法律で定めるところにより環境省に置かれる特別の機関は、公害対策会議とする。
2 公害対策会議については、環境基本法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
附 則
この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
内閣総理大臣 小渕恵三