(政府の出資)
第十条 政府は、昭和三十三年度において、一般会計から、次条第一項各号に掲げる基金に充てるものとして、次の各号に掲げる法人(以下「公庫等」という。)に対し、それぞれ当該各号に掲げる金額を出資するものとする。
(基金)
第十一条 公庫等は、前条の規定により出資を受けたときは、その出資を受けた金額を、それぞれ次の各号に掲げる基金に充てなければならない。
一 農林漁業金融公庫にあつては、国の直接又は間接の補助の対象とならない農地の改良又は造成に係る事業に対して同公庫が行う貸付に係る利子の軽減に充てる財源をその運用によつて得るための非補助小団地等土地改良事業助成基金
二 中小企業信用保険公庫にあつては、同公庫の保険事業の損益計算上損失を生じた場合において、その損失をうめるための保険準備基金
三 日本輸出入銀行にあつては、東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構が設置されるまでの間において、将来当該機構の出資に振り替えることができる性質の国際的協力による投資の財源に充てるための東南アジア開発協力基金
四 日本貿易振興会にあつては、同会の事業の運営のために必要な経費の財源をその運用によつて得るための基金
五 日本労働協会にあつては、同協会の事業の運営のために必要な経費の財源をその運用によつて得るための基金
2 農林漁業金融公庫は、非補助小団地等土地改良事業助成基金に係る経理については、政令で定めるところにより、一般の経理と区分して整理しなければならない。
3 日本輸出入銀行は、東南アジア開発協力基金に係る経理については、一般の業務に係る経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
(基金に属する現金の管理等)
第十二条 公庫等は、前条第一項の基金(日本輸出入銀行にあつては、東南アジア開発協力基金の勘定)に属する現金については、それぞれ次の各号に掲げる金額(公庫等が主務大臣の承認を受けて年度内における資金繰りのために当該現金を繰替使用する場合には、その繰替使用中の金額を控除した金額)を下らない金額を、資金運用部に預託して管理しなければならない。
一 農林漁業金融公庫にあつては、第十条第一号の規定による出資の額に相当する金額(次条第一項の規定による組入金の額がある場合には、その金額(同条第二項の規定により使用した金額があるときは、その金額を控除した金額)を加算した金額)
二 中小企業信用保険公庫にあつては、第十条第二号の規定による出資の額に相当する金額(第十五条第一項ただし書の規定により保険準備基金を取りくずした場合において、保険準備基金からその取りくずした金額(同条第二項の規定による組入金があるときは、その金額を控除した金額)を控除した残額が六十五億円を下るときは、その残額)
三 日本輸出入銀行にあつては、第十条第三号の規定による出資の額に相当する金額と第十四条第一項に規定する積立金の額との合計額(第三項の規定による運用をした場合には、その運用した金額を控徐した金額)
四 日本貿易振興会又は日本労働協会にあつては、第十条第四号又は第五号の規定による出資の額に相当する金額
2 主務大臣は、前項の承認をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
3 大蔵大臣は、内閣において決定したところに従い、日本輸出入銀行をして、東南アジア開発協力基金(第十四条第一項に規定する積立金を含む。)に属する現金を前条第一項第三号に規定する出資又は投資に運用させることができる。
4 日本輸出入銀行は、当分の間、日本輸出入銀行法(昭和二十五年法律第二百六十八号)第十八条の規定にかかわらず、第一項及び前項の規定による東南アジア開発協力基金の管理及び運用に関する事務を執行することができる。
5 前項に規定する事務の執行に要する費用は、日本輸出入銀行の一般の業務に係る勘定において支弁するものとし、その支弁に係る金額は、東南アジア開発協力基金の勘定の負担とする。
(基金の剰余金等の処理)
第十三条 農林漁業金融公庫は、政令で定めるところにより、非補助小団地等土地改良事業助成基金に属する現金の前条第一項の規定による預託により生ずる利子の金額から、第十一条第一項第一号に規定する貸付に係る利子の軽減のために使用した金額を差し引いて、なお剰余があるときは、これを当該基金に組み入れなければならない。
2 農林漁業金融公庫は、前項に規定する預託により生ずる利子の金額が、第十一条第一項第一号に規定する貸付に係る利子の軽減のために使用する金額に不足する場合においては、政令で定めるところにより、前項の規定による組入金の額に相当する金額を限度として、非補助小団地等土地改良事業助成基金に属する現金を当該利子の軽減のために使用することができる。
第十四条 日本輸出入銀行は、東南アジア開発協力基金の勘定において、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、日本輸出入銀行法第三十八条第一項及び第三項の規定にかかわらず、これを積立金として積み立てなければならない。
2 日本輸出入銀行は、東南アジア開発協力基金の勘定において、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の積立金の額から当該損失の額に相当する金額を減額してこれを整理するものとする。ただし、当該損失の額のうちその整理をすることができない部分の金額は、損失の繰越として整理するものとする。
3 第一項の積立金は、前項本文の規定により減額して整理する場合のほか、取りくずしてはならない。
(基金の取りくずしの制限等)
第十五条 公庫等の基金は、取りくずしてはならない。ただし、次に掲げる場合には、この限りでない。
一 農林漁業金融公庫が第十三条第二項の規定により非補助小団地等土地改良事業助成基金に属する現金を使用する場合
二 中小企業信用保険公庫が、その保険事業の損益計算上損失を生じた場合において、これをうめるためにするとき。
2 中小企業信用保険公庫は、前項第二号の規定により保険準備基金を取りくずした後において、その保険事業の損益計算上利益を生じたときは、その利益の額に相当する金額を、同号の規定により取りくずした金額に達するまで、同基金に組み入れなければならない。