國立國会図書館法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年二月九日
内閣総理大臣 片山哲
法律第五号
國立國会図書館法
國立國会図書館は、眞理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄與することを使命として、ここに設立される。
第一章 設立及び目的
第一條 この法律により國立國会図書館を設立し、この法律を國立國会図書館法と称する。
第二條 國立國会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、國会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本國民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。
第三條 國立國会図書館は、中央の図書館並びにこの法律に規定されている支部図書館及び今後設立される支部図書館で構成する。
第二章 館長
第四條 國立國会図書館の館長は、一人とする。館長は、両議院の議長が、両議院の図書館運営委員会と協議の後、國会の承認を得て、これを任命する。
館長は、職務の執行上過失がない限り在職する。館長は、政治活動を愼み、政治的理由により罷免されることはない。館長は、両議院の議長の共同提議によつては罷免されることがある。館長の待遇は、國務大臣と同等とする。
第五條 館長は、図書館事務を統理し、所属職員及び雇傭人の職務執行を監督する。
館長は、事前に、時宜によつては事後に、両議院の図書館運営委員会の承認を経て図書館管理上必要な諸規程を定める。
前項の規程は公示によつて施行される。
第六條 館長は、毎会計年度の始めに両議院の議長に対し、前会計年度の図書館の経営及び財政状態につき報告する。
第七條 館長は、一年を越えない定期間毎に、前期間中に、日本國内で刊行された出版物の目録又は索引の出版を行うものとする。
第八條 館長は、出版に適する樣式で日本の法律の索引を作るものとする。
第三章 副館長並びにその他の職員及び雇傭人
第九條 國立國会図書館の副館長は、一人とする。副館長は、館長が両議院の議長の承認を得て、これを任免する。副館長は、図書館事務につき館長を補佐する。館長に事故があるとき、又は館長が欠けたときは、副館長が館長の職務を行う。副館長の待遇は、各省次官と同等とする。
第十條 國立國会図書館のその他の職員及び雇傭人は、職務を行うに適当な者につき、國会職員法の規定により館長が、これを任命する。その職員及び雇傭人の職責は館長が、これを定める。
図書館の職員は、國会議員と兼ねることができない。又、行政若しくは司法の各部門の地位を兼ねることができない。但し、行政又は司法の各部門の支部図書館の館員となることは、これを妨げない。
第四章 図書館運営委員会及び國立國会図書館連絡調整委員会
第十一條 両議院の図書館運営委員会は、少くとも六箇月に一回以上これを開会し、図書館の経過に関する館長の報告、図書館の管理上館長の定める諸規程、図書館の予算及びその他の事務につき審査する。
各議院の図書館運営委員長は前項の審査の結果をその院に報告する。
第十二條 國立國会図書館に連絡調整委員会を設ける。この委員会は、四人の委員でこれを組織し、各議院の図書館運営委員長、最高裁判所長官の任命する最高裁判所裁判官一人及び内閣総理大臣が任命する國務大臣一人をこれに充てる。委員長は委員の互選とする。
委員長及び委員は、その職務につき報酬を受けない。
館長は、委員会に出席できるが、表決に加わることができない。
第十三條 連絡調整委員会は、両議院の図書館運営委員会に対し、國会並びに行政及び司法の各部門に対する國立國会図書館の奉仕の改善につき勧告する。
第五章 図書館の部局
第十四條 館長は、管理事務を効率化するに必要とする部局及びその他の單位を図書館に設ける。
第六章 調査及び立法考査局
第十五條 館長は、國立國会図書館内に調査及び立法考査局と名附ける一局を置く。この局の職務は、左の通りである。
一 要求に應じ、両議院の委員会に懸案中の法案又は内閣から國会に送付せられた案件を、分析又は評價して、両議院の委員会に進言し補佐するとともに、妥当な決定のための根拠を提供して援助すること。
二 要求に應じ、又は要求を予測して自発的に、立法資料又はその関連資料の蒐集、分類、分析、飜訳、索引、摘録、編集、報告及びその他の準備をし、その資料の選択又は提出には党派的、官僚的偏見に捉われることなく、両議院、委員会及び議員に役立ち得る資料を提供すること。
三 立法の準備に際し、両議院、委員会及び議員を補佐して、議案起草の奉仕を提供すること。但し、この補佐は委員会又は議員の要求ある場合に限つて提供され、調査及び立法考査局職員はいかなる場合にも立法の発議又は督促をしてはならない。
四 両議院、委員会及び議員の必要が妨げられない範囲において行政及び司法の各部門又は一般公衆に蒐集資料を提供して利用させること。
第十六條 この局に必要な局長、次長及びその他の職員は、政党に加入していても加入していなくても、その職務を行うに適当な者につき、國会職員法の規定により館長がこれを任命する。
館長は、更にこの局の職員に、両議院の常任委員会の必要とする廣汎な関連分野に專門調査員を任命することができる。この專門調査員の待遇は、行政及び司法の各部門の一級官吏と同等とする。
第七章 行政及び司法の各部門への奉仕
第十七條 館長は、行政及び司法の各部門に図書館奉仕の連繋をしなければならない。この目的のために館長は左の権能を有する。
一 行政及び司法の各部門の図書館長を、これらの部門を各代表する連絡調整委員会の委員の推薦によつて任命する。但し、國家公務員法の適用を受ける者については、同法の規定に從い、且つ、当該部門の長官の同意を得なければならない。
二 行政及び司法の各部門の図書館で使用に供するため、目録法、図書館相互間の貸出及び資料の交換、綜合目録及び綜合一覽表の作成等を含む図書館運営の方法及び制度を定めることができる。これによつて國の図書館資料を行政及び司法の各部門のいかなる職員にも利用できるようにする。
三 行政及び司法の各部門の図書館長に年報又は特報の提出を要求することができる。
第十八條 行政及び司法の各部門に在る図書館の予算は当該各部門の予算の中に「図書館」の費用の下に、明白に区分して計上する。この費目の経費は、行政及び司法の各部門を各々代表する連絡調整委員会の委員及び館長の承認を得なければ他の費目に流用し又は減額することができない。
第十九條 行政及び司法の各部門の図書館長は、当該各部門に充分な図書館奉仕を提供しなければならない。当該各図書館長は、その職員を、國会職員法又は國家公務員法若しくは裁判所法の規定により任免することができる。当該各図書館長は、國立國会図書館長の定める規程に從い、図書及びその他の図書館資料を購入その他の方法による受入方を当該各部門の長官若しくは館長に勧告し、又は直接に購入若しくは受入をすることができる。
第二十條 館長が最初に任命された後六箇月以内に行政及び司法の各部門に現存するすべての図書館は、本章の規定による國立國会図書館の支部図書館となる。なお、現に図書館を有しない各廳においては一箇年以内に支部図書館を設置するものとする。
第八章 その他の図書館及び一般公衆に対する奉仕
第二十一條 國立國会図書館の奉仕及び蒐集資料は、直接に又は公立その他の図書館を経由して、両議院、委員会及び議員並びに行政及び司法の各部門からの要求を妨げない限り、日本國民にこれを最大限に利用させる。この目的のために、館長は左の権能を有する。
一 館長の定める諸規程に從い、図書館の蒐集資料を國立國会図書館建物内で若しくは図書館相互間の貸出で、又は複写若しくは陳列によつて、一般公衆の使用並びに研究の用に供する。且つ、時宜に應じて図書館奉仕の改善上必要と認めるその他の奉仕を提供する。
二 あらゆる適切な方法により、図書館の組織及び図書館奉仕の改善につき、都道府縣の議会その他の地方議会、公務員又は図書館人を援助する。
三 國立國会図書館で印刷した目録票又はその他の出版物を他の図書館及び個人が購入しようとする際には、館長の定める價格でこれを賣り渡す。
四 日本の図書館資料資源に関する綜合目録、並びに全國の図書館資料資源の連繋ある使用を実現するために必要な他の目録及び一覽表の作成のために、あらゆる方策を講ずる。
第二十二條 上野公園の國立図書館は、昭和二十四年四月一日までに、國立國会図書館の支部図書館となり、特に東京都民の用に供するよう有効に運用される。この図書館はできる限り速かに、東京都に移管し、移管前に制定される法律及び諸規程に從つて運用される。
第九章 蒐集資料
第二十三條 館長は、國立國会図書館の蒐集資料として図書及びその他の図書館資料を購入、納本、寄贈、遺贈若しくは交換によつて、又は行政及び司法の各部門からの移管によつて受入することができる。行政及び司法の各部門の長官は、その部門においては必ずしも必要としないが、館長が國会図書館においての使用には充て得ると認める図書及びその他の図書館資料を國立國会図書館に移管することができる。館長は、國立國会図書館では必ずしも必要としない図書及びその他の図書館資料を、行政若しくは司法の各部門に移管し、又は交換用に利用し、若しくは処分することができる。
第十章 國の出版物の納入
第二十四條 國の諸機関により又は國の諸機関のため、図書、小册子、定期刊行物、地図、映画その他のものを、印刷又は複写により、五百部以上発行する場合には、(機密扱のもの及び書式用紙を除く)公用のため並びに外國政府出版物との國際的交換の用又はその他の國際的交換の用に供するために、直ちに國立國会図書館に五十部を納入させるものとする。五百部未満のものを発行する場合には、館長の定める規程によつて五十部未満の部数を國立國会図書館に納入させるものとする。
第十一章 その他の出版物の納本
第二十五條 前條の規定による以外の出版物については、その発行者から一部を國立國会図書館に納本させて、その代償として定期に作成する全日本出版物の目録で、当該出版物を登載した分を館長は、遅滯なく納本者に送付する。
第十二章 金銭の受入及び支出並びに予算
第二十六條 館長は、國立國会図書館に関し、その奉仕又は蒐集資料に関連し、直ちに支拂に供し得る金銭の寄贈を受けることができる。
この場合には両議院の図書館運営委員会の承認を得なければならない。
第二十七條 國立國会図書館に充当されているあらゆる経費は、館長の監督の下に、その任命した支出官によつて支出される。
第二十八條 國立國会図書館の予算は、館長がこれを調製し、両議院の図書館運営委員会に提出する。委員会はこの予算を審査して勧告を附し、又は勧告を附さないで、両議院の議長に送付する。
附 則
第二十九條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
昭和二十二年法律第八十四号國会図書館法は、これを廃止する。
第三十條 この法律施行の日に、両議院の図書館は各々分離した図書館としての存在を終止し、その蒐集資料は、國立國会図書館に移管される。
第三十一條 國立國会図書館の各種の地位への任命に完全な有資格者が得られない場合には、館長は、二年を越えない期間内で、臨時にその職員を任命することができる。その期間終了の際、その地位に優れた有資格者が得られるならば、その臨時の任命は更新せられないものとする。
内閣総理大臣 片山哲
国立国会図書館法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年二月九日
内閣総理大臣 片山哲
法律第五号
国立国会図書館法
国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。
第一章 設立及び目的
第一条 この法律により国立国会図書館を設立し、この法律を国立国会図書館法と称する。
第二条 国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。
第三条 国立国会図書館は、中央の図書館並びにこの法律に規定されている支部図書館及び今後設立される支部図書館で構成する。
第二章 館長
第四条 国立国会図書館の館長は、一人とする。館長は、両議院の議長が、両議院の図書館運営委員会と協議の後、国会の承認を得て、これを任命する。
館長は、職務の執行上過失がない限り在職する。館長は、政治活動を慎み、政治的理由により罷免されることはない。館長は、両議院の議長の共同提議によつては罷免されることがある。館長の待遇は、国務大臣と同等とする。
第五条 館長は、図書館事務を統理し、所属職員及び雇傭人の職務執行を監督する。
館長は、事前に、時宜によつては事後に、両議院の図書館運営委員会の承認を経て図書館管理上必要な諸規程を定める。
前項の規程は公示によつて施行される。
第六条 館長は、毎会計年度の始めに両議院の議長に対し、前会計年度の図書館の経営及び財政状態につき報告する。
第七条 館長は、一年を越えない定期間毎に、前期間中に、日本国内で刊行された出版物の目録又は索引の出版を行うものとする。
第八条 館長は、出版に適する様式で日本の法律の索引を作るものとする。
第三章 副館長並びにその他の職員及び雇傭人
第九条 国立国会図書館の副館長は、一人とする。副館長は、館長が両議院の議長の承認を得て、これを任免する。副館長は、図書館事務につき館長を補佐する。館長に事故があるとき、又は館長が欠けたときは、副館長が館長の職務を行う。副館長の待遇は、各省次官と同等とする。
第十条 国立国会図書館のその他の職員及び雇傭人は、職務を行うに適当な者につき、国会職員法の規定により館長が、これを任命する。その職員及び雇傭人の職責は館長が、これを定める。
図書館の職員は、国会議員と兼ねることができない。又、行政若しくは司法の各部門の地位を兼ねることができない。但し、行政又は司法の各部門の支部図書館の館員となることは、これを妨げない。
第四章 図書館運営委員会及び国立国会図書館連絡調整委員会
第十一条 両議院の図書館運営委員会は、少くとも六箇月に一回以上これを開会し、図書館の経過に関する館長の報告、図書館の管理上館長の定める諸規程、図書館の予算及びその他の事務につき審査する。
各議院の図書館運営委員長は前項の審査の結果をその院に報告する。
第十二条 国立国会図書館に連絡調整委員会を設ける。この委員会は、四人の委員でこれを組織し、各議院の図書館運営委員長、最高裁判所長官の任命する最高裁判所裁判官一人及び内閣総理大臣が任命する国務大臣一人をこれに充てる。委員長は委員の互選とする。
委員長及び委員は、その職務につき報酬を受けない。
館長は、委員会に出席できるが、表決に加わることができない。
第十三条 連絡調整委員会は、両議院の図書館運営委員会に対し、国会並びに行政及び司法の各部門に対する国立国会図書館の奉仕の改善につき勧告する。
第五章 図書館の部局
第十四条 館長は、管理事務を効率化するに必要とする部局及びその他の単位を図書館に設ける。
第六章 調査及び立法考査局
第十五条 館長は、国立国会図書館内に調査及び立法考査局と名附ける一局を置く。この局の職務は、左の通りである。
一 要求に応じ、両議院の委員会に懸案中の法案又は内閣から国会に送付せられた案件を、分析又は評価して、両議院の委員会に進言し補佐するとともに、妥当な決定のための根拠を提供して援助すること。
二 要求に応じ、又は要求を予測して自発的に、立法資料又はその関連資料の蒐集、分類、分析、翻訳、索引、摘録、編集、報告及びその他の準備をし、その資料の選択又は提出には党派的、官僚的偏見に捉われることなく、両議院、委員会及び議員に役立ち得る資料を提供すること。
三 立法の準備に際し、両議院、委員会及び議員を補佐して、議案起草の奉仕を提供すること。但し、この補佐は委員会又は議員の要求ある場合に限つて提供され、調査及び立法考査局職員はいかなる場合にも立法の発議又は督促をしてはならない。
四 両議院、委員会及び議員の必要が妨げられない範囲において行政及び司法の各部門又は一般公衆に蒐集資料を提供して利用させること。
第十六条 この局に必要な局長、次長及びその他の職員は、政党に加入していても加入していなくても、その職務を行うに適当な者につき、国会職員法の規定により館長がこれを任命する。
館長は、更にこの局の職員に、両議院の常任委員会の必要とする広汎な関連分野に専門調査員を任命することができる。この専門調査員の待遇は、行政及び司法の各部門の一級官吏と同等とする。
第七章 行政及び司法の各部門への奉仕
第十七条 館長は、行政及び司法の各部門に図書館奉仕の連繋をしなければならない。この目的のために館長は左の権能を有する。
一 行政及び司法の各部門の図書館長を、これらの部門を各代表する連絡調整委員会の委員の推薦によつて任命する。但し、国家公務員法の適用を受ける者については、同法の規定に従い、且つ、当該部門の長官の同意を得なければならない。
二 行政及び司法の各部門の図書館で使用に供するため、目録法、図書館相互間の貸出及び資料の交換、綜合目録及び綜合一覧表の作成等を含む図書館運営の方法及び制度を定めることができる。これによつて国の図書館資料を行政及び司法の各部門のいかなる職員にも利用できるようにする。
三 行政及び司法の各部門の図書館長に年報又は特報の提出を要求することができる。
第十八条 行政及び司法の各部門に在る図書館の予算は当該各部門の予算の中に「図書館」の費用の下に、明白に区分して計上する。この費目の経費は、行政及び司法の各部門を各々代表する連絡調整委員会の委員及び館長の承認を得なければ他の費目に流用し又は減額することができない。
第十九条 行政及び司法の各部門の図書館長は、当該各部門に充分な図書館奉仕を提供しなければならない。当該各図書館長は、その職員を、国会職員法又は国家公務員法若しくは裁判所法の規定により任免することができる。当該各図書館長は、国立国会図書館長の定める規程に従い、図書及びその他の図書館資料を購入その他の方法による受入方を当該各部門の長官若しくは館長に勧告し、又は直接に購入若しくは受入をすることができる。
第二十条 館長が最初に任命された後六箇月以内に行政及び司法の各部門に現存するすべての図書館は、本章の規定による国立国会図書館の支部図書館となる。なお、現に図書館を有しない各庁においては一箇年以内に支部図書館を設置するものとする。
第八章 その他の図書館及び一般公衆に対する奉仕
第二十一条 国立国会図書館の奉仕及び蒐集資料は、直接に又は公立その他の図書館を経由して、両議院、委員会及び議員並びに行政及び司法の各部門からの要求を妨げない限り、日本国民にこれを最大限に利用させる。この目的のために、館長は左の権能を有する。
一 館長の定める諸規程に従い、図書館の蒐集資料を国立国会図書館建物内で若しくは図書館相互間の貸出で、又は複写若しくは陳列によつて、一般公衆の使用並びに研究の用に供する。且つ、時宜に応じて図書館奉仕の改善上必要と認めるその他の奉仕を提供する。
二 あらゆる適切な方法により、図書館の組織及び図書館奉仕の改善につき、都道府県の議会その他の地方議会、公務員又は図書館人を援助する。
三 国立国会図書館で印刷した目録票又はその他の出版物を他の図書館及び個人が購入しようとする際には、館長の定める価格でこれを売り渡す。
四 日本の図書館資料資源に関する綜合目録、並びに全国の図書館資料資源の連繋ある使用を実現するために必要な他の目録及び一覧表の作成のために、あらゆる方策を講ずる。
第二十二条 上野公園の国立図書館は、昭和二十四年四月一日までに、国立国会図書館の支部図書館となり、特に東京都民の用に供するよう有効に運用される。この図書館はできる限り速かに、東京都に移管し、移管前に制定される法律及び諸規程に従つて運用される。
第九章 蒐集資料
第二十三条 館長は、国立国会図書館の蒐集資料として図書及びその他の図書館資料を購入、納本、寄贈、遺贈若しくは交換によつて、又は行政及び司法の各部門からの移管によつて受入することができる。行政及び司法の各部門の長官は、その部門においては必ずしも必要としないが、館長が国会図書館においての使用には充て得ると認める図書及びその他の図書館資料を国立国会図書館に移管することができる。館長は、国立国会図書館では必ずしも必要としない図書及びその他の図書館資料を、行政若しくは司法の各部門に移管し、又は交換用に利用し、若しくは処分することができる。
第十章 国の出版物の納入
第二十四条 国の諸機関により又は国の諸機関のため、図書、小冊子、定期刊行物、地図、映画その他のものを、印刷又は複写により、五百部以上発行する場合には、(機密扱のもの及び書式用紙を除く)公用のため並びに外国政府出版物との国際的交換の用又はその他の国際的交換の用に供するために、直ちに国立国会図書館に五十部を納入させるものとする。五百部未満のものを発行する場合には、館長の定める規程によつて五十部未満の部数を国立国会図書館に納入させるものとする。
第十一章 その他の出版物の納本
第二十五条 前条の規定による以外の出版物については、その発行者から一部を国立国会図書館に納本させて、その代償として定期に作成する全日本出版物の目録で、当該出版物を登載した分を館長は、遅滞なく納本者に送付する。
第十二章 金銭の受入及び支出並びに予算
第二十六条 館長は、国立国会図書館に関し、その奉仕又は蒐集資料に関連し、直ちに支払に供し得る金銭の寄贈を受けることができる。
この場合には両議院の図書館運営委員会の承認を得なければならない。
第二十七条 国立国会図書館に充当されているあらゆる経費は、館長の監督の下に、その任命した支出官によつて支出される。
第二十八条 国立国会図書館の予算は、館長がこれを調製し、両議院の図書館運営委員会に提出する。委員会はこの予算を審査して勧告を附し、又は勧告を附さないで、両議院の議長に送付する。
附 則
第二十九条 この法律は、公布の日から、これを施行する。
昭和二十二年法律第八十四号国会図書館法は、これを廃止する。
第三十条 この法律施行の日に、両議院の図書館は各々分離した図書館としての存在を終止し、その蒐集資料は、国立国会図書館に移管される。
第三十一条 国立国会図書館の各種の地位への任命に完全な有資格者が得られない場合には、館長は、二年を越えない期間内で、臨時にその職員を任命することができる。その期間終了の際、その地位に優れた有資格者が得られるならば、その臨時の任命は更新せられないものとする。
内閣総理大臣 片山哲