朕所得稅法施行規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月三十一日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
勅令第百三十四號
所得稅法施行規則目次
第一章
總則
第二章
分類所得稅
第三章
綜合所得稅
第四章
申吿、申請、調査及決定
第五章
所得調査委員會
第六章
審査
第七章
徵收
第八章
雜則
所得稅法施行規則
第一章 總則
第一條 左ニ揭グル公共團體ニハ所得稅法第四條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ課セズ
一 府縣組合、市町村組合、町村組合、市町村內ノ區、町村制ヲ施行セザル地ニ於ケル町村ニ準ズベキ團體、市町村學校組合、町村學校組合、學區、水利組合、水利組合聯合、耕地整理組合、耕地整理組合聯合會、北海道土功組合、重要物產同業組合、重要物產同業組合聯合會、森林組合、森林組合聯合會、酒造組合、酒造組合聯合會、酒造組合中央會、水產組合、水產組合聯合會、外國領海水產組合、外國領海水產組合聯合會、畜產組合、畜產組合聯合會、農會、水產會、商工會議所其ノ他此等ノ公共團體ニ準ズベキモノ
二 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ノ公共團體ニシテ各其ノ地ノ法令ニ依リ所得稅ヲ課セザルモノト指定セラレタルモノ
法人タル宗敎團體ニハ宗敎團體法第二十二條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ課セズ
第二條 左ニ揭グル物產ノ製造ヲ業トスル個人ニハ所得稅法第五條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ免除ス
一 金、銀、銅、鉛、亞鉛、錫、ニッケル、クロム、コバルト、鐵、アルミニウム及マグネシウムノ地金竝ニ水銀
二 鐵ノ條、竿、丁形山形類、軌條、板、線及管(鑄鐵管ヲ除ク)
三 銅ノ合金ノ條、竿、板及管
四 アルミニウムノ合金及マグネシウムノ合金
五 球軸受、コロ軸受及同部分品
六 汽罐、原動機(機關車ヲ含ム)及動力ヲ以テ運轉スル鐵製ノ機械
七 アルミナ、クリオリット、チタン白、カーボンブラック、石灰窒素、硫酸カリ、燐酸アンモン、硫酸アンモン、硝酸(アンモニア酸化ニ依ルモノ)、石炭酸、グリコール、グリセリン、メタノール、アセトン、ブタノール、合成イソブチルアルコール、合成ベンゾール、合成トルオール、アセチルセルロース、人造ゴム、人造レジン(フェノールレジンヲ除ク)、人造タンニン、タンニンエキス及タンニン代用エキス(パルプ廢液ヨリ製造スルモノ)
八 纖維素パルプ、蛋白人造纖維、ガラス纖維、岩石纖維及石綿
九 光學用ガラス
十 コンデンスドミルク、カゼイン、大豆カゼイン及落花生カゼイン
十一 感光性乳劑用ゼラチン
十二 鯨革及鮫革
左ニ揭グル物產ノ採掘又ハ採取ヲ業トスル個人ニハ所得稅法第五條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ免除ス
一 金鑛、銀鑛、銅鑛、鉛鑛、錫鑛、亞鉛鑛、鐵鑛、硫化鐵鑛、滿俺鑛、ニッケル鑛、水銀鑛及クロム鐵鑛
二 石油及石炭
三 砂鑛
第三條 前條ノ製造、採掘若ハ採取ノ事業ヲ繼續シ又ハ其ノ繼續ト認ムベキ事實アル者ハ其ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ニ付所得稅ノ免除期間ノ殘存スルトキニ限リ其ノ免除期間ヲ繼承ス
第二章 分類所得稅
第四條 左ニ揭グル營業ノ所得ハ所得稅法第十條ニ規定スル甲種ノ事業所得トス
一 兩替業
二 演劇興行業
三 寄席業
四 遊技場業
五 遊覽所業
六 藝妓置屋業
七 貸座敷業
第五條 所得稅法施行地ニ於テ支拂ヲ受クル俸給、給料及賞與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與ニシテ常時十人以上ノ使用人ヲ使用シ稅務署長ノ指定シタル個人ヨリ受クルモノハ所得稅法第十條ニ規定スル甲種ノ勤勞所得トシ其ノ他ノ個人ヨリ受クルモノハ同條ニ規定スル乙種ノ勤勞所得トス
稅務署長前項ノ指定ヲ爲シタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ指定ヲ受ケタル者ニ通知スベシ其ノ指定ヲ取消シタルトキ亦同ジ
第一項ノ指定及其ノ取消ハ前項ノ通知ヲ爲シタル年ノ翌年一月一日ヨリ其ノ效力ヲ發生ス
第六條 小切手ヲ以テ引出ス當座預金ニシテ元本百圓ニ付日步三厘ヲ超エザルモノノ利子ニハ所得稅法第十一條第一項第四號ノ規定ニ依リ分類所得稅ヲ課セズ
第七條 左ニ揭グル法人ニ對スル預金ニシテ元本三千圓ヲ超エザルモノノ利子ニハ所得稅法第十一條第一項第五號ノ規定ニ依リ分類所得稅ヲ課セズ
一 工業組合、商業組合、貿易組合及漁業協同組合
二 工業組合聯合會、商業組合聯合會、貿易組合聯合會及商工組合中央金庫
三 恩給金庫及庶民金庫
第八條 所得稅法第十一條第一項第五號及前條ノ元本額ハ支拂ヲ受クベキ預金又ハ貯金ノ利子金額ヲ年額ニ換算シタルモノヲ當該預金又ハ貯金ノ年利率又ハ年利率ニ相當スル利率ヲ以テ除シ之ヲ計算ス
同一人ガ同一ノ支拂者ニ對シ二口以上ノ預金又ハ貯金ヲ有スルトキハ所得稅法第十一條第一項第五號及前條ノ元本額ハ此等ノ預金又ハ貯金ヲ合算シタルモノニ依リ之ヲ計算ス
第九條 水產業ノ所得ハ所得稅法第十二條第一項第四號ノ規定ニ依リ前三年間每年ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ノ合計額ヲ前三年間ニ於テ水產業ヲ有シタル年數ニテ除シ之ヲ算出ス
第十條 所得稅法第十二條ノ規定ニ依リ總收入金額ヨリ控除スベキ經費ハ種苗蠶種肥料ノ購買費、家畜其ノ他ノモノノ飼養料、仕入品ノ原價、原料品ノ代價、場所物件ノ修繕費又ハ借入料、場所物件又ハ業務ニ係ル公課、雇人ノ給料、收入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子其ノ他收入ヲ得ルニ必要ナルモノニ限ル但シ家事上ノ費用及之ニ關聯スルモノハ之ヲ控除セズ
第十一條 所得稅ヲ課スベキ甲種ノ事業所得ト其ノ他ノ甲種ノ事業所得トヲ有スル者ノ甲種ノ事業所得ヨリ控除スベキ臨時利得稅額ハ甲種ノ事業所得ノ總額ニ對スル所得稅ヲ課スベキ甲種ノ事業所得ノ割合ヲ營業利得ニ對スル臨時利得稅額ニ乘ジ之ヲ計算ス
第十二條 所得稅法第十二條第一項第四號ノ規定ニ依リ事業所得ノ金額ヲ計算スル場合ニ於テ甲種ノ事業所得ノ計算上損失アルトキハ之ヲ乙種ノ事業所得ヨリ差引キ乙種ノ事業所得ノ計算上損失アルトキハ之ヲ甲種ノ事業所得ヨリ差引キテ計算ス
第十三條 甲種ノ勤勞所得ニ屬スル賞與(賞與ノ性質ヲ有スル給與ヲ含ム以下同ジ)以外ノ給與ニ付テハ所得稅法第十六條第一項ノ規定ニ依リ左ノ金額ヲ其ノ給與ヨリ控除ス
一 支拂ヲ受クベキ給與ガ一月分ナルトキハ六十圓
二 同半月分ナルトキハ三十圓
三 同一旬分ナルトキハ二十圓
四 同一週分ナルトキハ十四圓
五 前各號ニ該當セザル給與ナルトキハ年七百二十圓ノ割合ニ依リ給與ノ支給期間ニ應ジテ算出シタル金額
第十四條 同一ノ支拂者ヨリ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル賞與ト賞與以外ノ給與トヲ併セ受クル者ノ該賞與ニ付テハ所得稅法第十六條第二項ノ規定ニ依リ其ノ年中ニ於テ受クル賞與以外ノ給與ニシテ前條ノ規定ニ依ル控除額ニ達セザルモノアルトキニ限リ其ノ不足額ヲ賞與ヨリ控除ス
前項ノ不足額ハ豫算ニ依リ算出シ之ヲ賞與ヨリ控除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ豫算ニ依リ算出シタル不足額ガ實際ノ不足額ト異ルトキハ其ノ差額ニ對スル分類所得稅ニ付テハ左ノ各號ニ定ムル所ニ依ル
一 實際ノ不足額ガ豫算ニ依リ算出シタル不足額ヲ超過スルトキハ本人ノ申請ニ依リ更ニ其ノ差額ヲ賞與ヨリ控除シ過納ト爲リタル分類所得稅ニ相當スル金額ヲ其ノ年經過後本人ニ還付ス
二 實際ノ不足額ガ豫算ニ依リ算出シタル不足額ニ滿タザルトキハ其ノ差額ニ對スル分類所得稅ヲ其ノ年ニ於ケル最終ノ給與支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收スベシ
前項第一號ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ其ノ申請書ヲ支拂者ヲ經由シテ所轄稅務署ニ提出スベシ
第十五條 同一ノ支拂者ヨリ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル給與ノ中賞與ノミノ支拂ヲ受クル者ノ該賞與ニ付テハ支拂ノ際ニ於テハ所得稅法第十六條第一項ノ規定ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ但シ左ノ各號ニ該當スル場合ニ於テハ各其ノ定ムル所ニ依ル
一 其ノ年中ニ他ニ甲種ノ勤勞所得ヲ有セザル場合ニ於テハ本人ノ申請ニ依リ七百二十圓ヲ賞與ヨリ控除シ過納ト爲リタル分類所得稅ニ相當スル金額ヲ還付ス
二 其ノ年中ニ他ニ甲種ノ勤勞所得ヲ有スル場合ニ於テ其ノ金額ガ七百二十圓ニ滿タザルトキハ本人ノ申請ニ依リ七百二十圓ト該勤勞所得トノ差額ヲ賞與ヨリ控除シ過納ト爲リタル分類所得稅ニ相當スル金額ヲ還付ス
前項但書ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ其ノ申請書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第十六條 左ニ揭グル甲種ノ勤勞所得ニ屬スル給與ノ中二種以上ヲ併セ受クル者ニ在リテハ第十三條ノ規定ニ依ル控除ハ左ノ各號ノ順序ニ從ヒ先ヅ前ノ給與ニ付之ヲ爲シ不足アルトキハ順次後ノ給與ニ及ブ
一 國ヨリ受クル恩給
二 國ヨリ受クル年金
三 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ヨリ受クル恩給及年金
四 歲費
五 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ヨリ受クル費用辨償
六 前各號ニ揭グル給與以外ノ給與
第十七條 二以上ノ支拂者ヨリ前條第一號乃至第五號ニ規定スル給與以外ノ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル給與ヲ受クル者ノ該給與ニ付テハ第十三條又ハ第十四條ノ規定ニ依ル控除ハ主タル給與ノ支拂者ヨリ受クル給與ニ付之ヲ爲シ從タル給與ノ支拂者ヨリ受クル給與ニ付テハ支拂ノ際ニ於テハ之ヲ爲サズ
前項ノ場合ニ於テ其ノ年中ニ主タル給與ノ支拂者ヨリ受ケタル給與ノ總額ガ第十三條又ハ第十四條ノ規定ニ依ル控除額ニ達セザリシトキハ本人ノ申請ニ依リ其ノ不足額ヲ從タル給與ノ支拂者ヨリ受ケタル給與ヨリ控除シ過納ト爲リタル分類所得稅ニ相當スル金額ヲ還付ス
前項ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ申請書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第十八條 所得稅法第十八條第三號ノ場合ニ於テハ七百二十圓ト同法第十六條第一項ノ規定ニ依リ控除シタル金額トノ差額ヲ乙種ノ勤勞所得ヨリ控除ス此ノ場合ニ於テ其ノ差額ガ乙種ノ勤勞所得ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ノ七・二分ノ五ニ相當スル金額ヲ更ニ事業所得ヨリ控除ス
第十九條 甲種ノ事業所得ト乙種ノ事業所得トヲ併セ有スル者ノ事業所得ニ付テハ所得稅法第十七條第一項第一號、同條第二項但書及第十八條第一號竝ニ前條ノ規定ニ依ル控除ハ先ヅ甲種ノ事業所得ニ付之ヲ爲シ不足アルトキハ乙種ノ事業所得ニ及ブ
第二十條 所得稅法第十九條第二項ノ場合ニ於テ同法第十七條及第十八條ノ規定ニ依リ所得ヨリ控除スベキ金額ハ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ各其ノ控除額ヲ定ム但シ其ノ申請額ノ合計ガ控除スベキ金額ヲ超過スルトキ若ハ之ニ達セザルトキ又ハ其ノ申請額不明ナルトキ若ハ申請ナキトキハ稅務署長ニ於テ各其ノ控除額ヲ定ム
前項ノ規定ニ依ル申請書ハ所得稅法第三十四條第一項ノ規定ニ依ル所得ノ申吿ト同時ニ之ヲ提出スベシ
前項ノ申請書ハ所得ヲ有スル者ノ一人ヨリ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第二十一條 左ニ揭グル法人ニ對スル預金ノ利子ニ付テハ所得稅法第二十一條第一項中配當利子所得甲種第三號ニ規定スル稅率百分ノ十ハ之ヲ百分ノ五トス
一 工業組合、商業組合、貿易組合及漁業協同組合
二 工業組合聯合會、商業組合聯合會、貿易組合聯合會及商工組合中央金庫
三 恩給金庫及庶民金庫
第二十二條 左ニ揭グル法人ヨリ受クル剩餘金ノ分配ニ付テハ所得稅法第二十一條第一項中配當利子所得甲種第三號ニ規定スル稅率百分ノ十ハ之ヲ百分ノ五トス
一 產業組合、工業組合、商業組合、貿易組合、漁業協同組合及蠶絲共同施設組合
二 工業組合聯合會
第二十三條 所得稅法第二十三條第一項ノ規定ニ依リ合同運用信託ノ利益ニ對スル分類所得稅額ヨリ控除スベキ甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅額ハ信託會社ニ於テ合同運用信託ノ利益ニ對スル分類所得稅徵收ノ際之ヲ控除スベシ
第二十四條 甲種ノ勤勞所得ニ屬スル賞與以外ノ給與ニ付テハ所得稅法第二十四條第一項ノ規定ニ依リ給與ヲ受クル者ノ申請ニ依リ其ノ年一月一日現在ノ扶養家族一人ニ付左ノ金額ヲ分類所得稅額ヨリ控除ス
一 支拂ヲ受クベキ給與ガ一月分ナルトキハ一圓
二 同半月分ナルトキハ五十錢
三 同一旬分ナルトキハ三十四錢
四 同一週分ナルトキハ二十四錢
五 前各號ニ該當セザル給與ナルトキハ年十二圓ノ割合ニ依リ給與ノ支給期間ニ應ジテ算出シタル金額
第二十五條 同一ノ支拂者ヨリ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル賞與ト賞與以外ノ給與トヲ併セ受クル者ノ該賞與ニ對スル分類所得稅ニ付テハ其ノ年中ニ於テ受クル賞與以外ノ給與ニ對スル分類所得稅ニシテ前條ニ規定スル控除金額ニ達セザルモノアルトキニ限リ其ノ不足額ヲ賞與ニ對スル分類所得稅額ヨリ控除ス
第十四條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十六條 同一ノ支拂者ヨリ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル給與ノ中賞與ノミノ支拂ヲ受クル者ノ該賞與ニ對スル分類所得稅ニ付テハ支拂ノ際ニ於テハ所得稅法第二十四條第一項ノ規定ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ
前項ノ場合ニ於テ其ノ年中ニ他ノ所得ニ付所得稅法第二十四條第一項又ハ第二十五條第一項ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケザル扶養家族アルトキハ給與ヲ受クル者ノ申請ニ依リ其ノ扶養家族一人ニ付十二圓ヲ該賞與ニ對スル分類所得稅額ヨリ控除シ過納ト爲リタル分類所得稅ニ相當スル金額ヲ還付ス
前項ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ其ノ申請書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第二十七條 同居ノ戶主又ハ家族中二人以上ノ者ガ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル給與ヲ受クル場合ニ於テ其ノ中一人ノ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅額ヨリ所得稅法第二十四條第一項ノ規定ニ依ル控除ヲ爲シタル扶養家族ニ付テハ其ノ他ノ者ノ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅額ヨリハ同項ノ規定ニ依ル控除ヲ爲サズ
第二十八條 不動產所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得又ハ山林ノ所得ニ對スル分類所得稅ニ付テハ所得稅法第二十五條第一項ノ規定ニ依リ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ其ノ年一月一日現在ノ扶養家族一人ニ付十二圓ヲ分類所得稅額ヨリ控除ス
第二十九條 所得稅法第二十五條第五項ノ場合ニ於テ同條第一項ノ規定ニ依リ分類所得稅額ヨリ控除スベキ金額ハ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ各其ノ控除額ヲ定ム但シ其ノ申請額ノ合計ガ控除スベキ金額ヲ超過スルトキ若ハ之ニ達セザルトキ又ハ其ノ申請額不明ナルトキ若ハ各納稅者每ニ區分シタル申請ナキトキハ稅務署長ニ於テ各其ノ控除額ヲ定ム
第三十條 所得稅法第二十六條ニ規定スル不具癈疾者ハ心神喪失ノ常況ニ在ル者、聾者、啞者、盲者其ノ他重大ナル傷痍ヲ受ケ又ハ不治ノ疾患ニ罹リ常ニ介護ヲ要スル者ヲ謂フ
第三十一條 自己若ハ家族又ハ其ノ相續人ヲ保險金受取人トスル生命保險契約ノ爲ニ保險料ヲ拂込ミタル者ノ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅ニ付テハ所得稅法第二十六條ノ二ノ規定ニ依リ本人ノ申請ニ依リ給與ノ支給期間及前年中ニ拂込ミタル保險料ノ總額ニ應ジ左表ノ金額ヲ分類所得稅額ヨリ控除ス
【表】
前項ノ場合ニ於テ甲種ノ勤勞所得ガ前表ニ揭グル給與以外ノモノナルトキハ支拂ヲ受クベキ給與ガ一月分ナルトキニ付前表ニ定ムル金額ヲ給與ノ支給期間ニ應ジテ換算シタル金額ヲ分類所得稅額ヨリ控除ス
同一ノ支拂者ヨリ賞與ト賞與以外ノ給與トヲ併セ受クル者ニ在リテハ前二項ノ控除ハ先ヅ賞與以外ノ給與ニ對スル分類所得稅ニ付之ヲ爲シ不足アルトキハ賞與ニ對スル分類所得稅ニ及ブ
第二十五條及第二十六條ノ規定ハ前三項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十二條 自己若ハ家族又ハ其ノ相續人ヲ保險金受取人トスル生命保險契約ノ爲ニ保險料ヲ拂込ミタル者ノ不動產所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得又ハ山林ノ所得ニ對スル分類所得稅ニ付テハ所得稅法第二十六條ノ二ノ規定ニ依リ本人ノ申請ニ依リ前年中ニ拂込ミタル保險料ノ總額ニ應ジ左ノ金額ヲ分類所得稅額ヨリ控除ス
一 前年中ニ拂込ミタル保險料ノ總額ガ十圓以下ナルトキハ四十八錢
二 同十圓ヲ超エ二十圓以下ナルトキハ九十六錢
三 同二十圓ヲ超エ六十圓以下ナルトキハ二圓四十錢
四 同六十圓ヲ超エ百圓以下ナルトキハ四圓八十錢
五 同百圓ヲ超エ百四十圓以下ナルトキハ七圓二十錢
六 同百四十圓ヲ超エ百八十圓以下ナルトキハ九圓六十錢
七 同百八十圓ヲ超ユルトキハ十二圓
生命保險料ニ付前條ノ規定ニ依ル控除ヲ爲ストキハ前項ノ規定ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ
第三章 綜合所得稅
第三十三條 信託財產ノ運用方法ヲ預入、貸付又ハ公債若ハ社債ノ買入ノミニ限定シタル合同運用信託ノ利益ハ所得稅法第三十條第一項第二號ノ規定ニ依リ前年中ノ收入金額ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタル金額ニ依リ個人ノ總所得ヲ算出ス
第三十四條 第九條及第十條ノ規定ハ總所得ノ計算ニ付之ヲ準用ス
所得稅法第三十條第一項ノ規定ニ依リ總所得ノ金額ヲ計算スル場合ニ於テ同項第一號又ハ第九號ノ所得ノ計算上損失アルトキハ之ヲ同項各號ノ所得(第五號ノ所得中所得稅法第八條ニ規定スル利益ノ配當及第六號ノ所得ヲ除ク)ヨリ差引キテ計算ス
第三十五條 左ニ揭グル法人ヨリ受クル剩餘金ノ分配ニ付テハ所得稅法第三十三條第三項ニ規定スル割合百分ノ一ハ之ヲ百分ノ〇・五トス
一 產業組合、工業組合、商業組合、貿易組合、漁業協同組合及蠶絲共同施設組合
二 工業組合聯合會
第四章 申吿、申請、調査及決定
第三十六條 不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ付分類所得稅ヲ納ムル義務アル者又ハ個人ノ總所得ニ付綜合所得稅ヲ納ムル義務アル者ハ所得ノ種類及金額、所得ノ基本タル資產又ハ事業ノ所在地、所得ノ發生スル場所竝ニ所得算出ノ基礎ヲ詳記シ所轄稅務署ニ申吿スベシ
前項ニ規定スル者ニ前年中ニ甲種ノ勤勞所得ヲ有シタル場合ニ於テハ前項ニ規定スル事項ノ外尙該甲種ノ勤勞所得ノ金額及其ノ所得ノ發生スル場所ヲ記載シ前項ノ申吿ト同時ニ所轄稅務署ニ申吿スベシ
同居ノ戶主及家族ガ第一項ニ規定スル所得ヲ有スル場合ニ於テハ各其ノ所得ヲ區別シ連署ヲ以テ申吿スベシ但シ所得アル同居者ノ氏名ヲ附記シ各別ニ申吿スルコトヲ妨ゲズ
第三十七條 所得稅法第二十五條ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ扶養家族ノ氏名、生年月日、職業、申請者トノ續柄、不具癈疾ノ事實及控除ヲ受クベキ金額ヲ記載シ之ヲ前條ノ申吿ト同時ニ所轄稅務署ニ提出スベシ
前項ノ申請書ニハ前項ニ規定スル事項ノ外尙左ノ事項ヲ併セ記載スベシ
一 扶養家族ガ前年中ニ甲種ノ勤勞所得ヲ有シ又ハ其ノ年分ノ事業所得、乙種ノ勤勞所得若ハ山林ノ所得ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ所得ノ金額及發生スル場所
二 其ノ年自己又ハ同居ノ戶主及家族ノ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅ニ付所得稅法第二十四條ノ規定ニ依リ控除ヲ受クル他ノ扶養家族アル場合ニ於テハ其ノ氏名
三 同居ノ戶主及家族ガ其ノ年分ノ不動產所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得又ハ山林ノ所得ヲ有スル場合ニ於テハ所得稅法第二十五條第五項ノ規定ニ依リ各所得者ノ分類所得稅額ヨリ控除スベキ金額
所得稅法第二十五條第四項ノ場合ニ於テハ第一項ノ申請書ハ所得ヲ有スル者ノ一人ヨリ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第三十八條 二以上ノ支拂者ヨリ賞與以外ノ甲種ノ勤勞所得ニ屬スル給與ヲ受クル者ハ所得ノ發生スル場所及所得稅法第十六條ノ規定ニ依リ控除ヲ受クル主タル給與ノ支拂者ヲ記載シ之ヲ各支拂者ヲ經由シ所轄稅務署ニ申吿スベシ
第三十九條 所得稅法第二十四條ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ扶養家族ノ氏名、生年月日、職業、申請者トノ續柄及不具癈疾ノ事實ヲ記載シ之ヲ支拂者ヲ經由シ所轄稅務署ニ提出スベシ
前項ノ申請書ニハ前項ニ規定スル事項ノ外尙左ノ事項ヲ併セ記載スベシ
一 扶養家族ガ前年中ニ甲種ノ勤勞所得ヲ有シ又ハ其ノ年分ノ事業所得、乙種ノ勤勞所得若ハ山林ノ所得ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ所得ノ金額及發生スル場所
二 其ノ年自己又ハ同居ノ戶主及家族ノ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅ニ付所得稅法第二十四條ノ規定ニ依ル控除ヲ受クル他ノ扶養家族アル場合ニ於テハ其ノ氏名
三 同居ノ戶主及家族ガ其ノ年分ノ不動產所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得又ハ山林ノ所得ニ對スル分類所得稅ニ付所得稅法第二十五條ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル他ノ扶養家族アル場合ニ於テハ其ノ氏名
第四十條 第三十一條ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ左ノ事項ヲ記載シ之ヲ支拂者ヲ經由シ所轄稅務署ニ提出スベシ
一 保險者ノ住所及名稱
二 保險ノ種類
三 保險金額
四 保險金受取人ノ住所、氏名及保險契約者トノ續柄
五 前年中ニ拂込ミタル保險料金額
第四十一條 第三十二條ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ前條各號ニ揭グル事項ヲ記載シ第三十六條ノ申吿ト同時ニ之ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第四十二條 第三十八條ニ規定スル申吿書竝ニ第三十九條及第四十條ニ規定スル申請書ハ支拂者ヲ異ニスル每ニ每年最初ノ給與ノ支拂ヲ受クル日ノ前日迄ニ之ヲ其ノ給與ノ支拂者ヲ經由シ所轄稅務署ニ提出スベシ
第四十三條 所得稅法第五條ノ規定ニ依リ所得稅ノ免除ヲ受ケントスル者ハ第三十六條ノ申吿ト同時ニ其ノ旨ヲ所轄稅務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ第二條ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ第二條ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ區別シタル計算書ヲ添附スベシ
第四十四條 稅務署長所得稅法第三十六條乃至第三十八條及第八十八條第二項ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第四十五條 所得稅法第三十九條第二項ノ公吿ハ納稅義務者ノ氏名及所得金額ヲ官報ニ揭載シテ之ヲ爲スベシ
第四十六條 所得金額ノ決定後同居者ニ異動アルモ所得稅法第十四條第二項、第十五條第二項、第十九條、第二十條第二項、第二十一條第四項、第二十五條第四項、第三十一條第二項、第三十二條第三項及第三十三條第二項ノ規定ノ適用ニ依リテ生ジタル效果ハ之ヲ變更セズ
第五章 所得調査委員會
第四十七條 所得稅法第四十條第一項但書ノ規定ニ依リ所得調査委員會ヲ置クベキ市ハ大藏大臣之ヲ指定ス
第四十八條 所得調査委員ノ定數ハ七人トス但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ大藏大臣ハ之ヲ增減スルコトヲ得
第四十九條 所得稅法第四十五條第二項ノ規定ニ依ル公示ニハ投票及開票ノ日時及場所ヲ記載スベシ
第五十條 稅務署長ハ選擧期日前三十日ヲ期トシ其ノ日ノ現在ニ依リ選擧人名簿正副二通ヲ調製シ副本ヲ市區町村長ニ送付スベシ
市區町村長ハ選擧期日前二十日ヲ期トシ其ノ日ヨリ五日間市區役所又ハ町村役場ニ於テ選擧人名簿ノ副本ヲ關係者ノ縱覽ニ供スベシ
關係者選擧人名簿ノ副本ニ付異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ稅務署長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ稅務署長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ五日以內ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ場合ニ於テ其ノ決定ニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ稅務署長正本ヲ修正シ名簿確定期日前市區町村長ヲシテ其ノ副本ヲ修正セシムベシ
選擧人名簿ハ選擧期日ノ前日ヲ以テ確定ス
島嶼其ノ他交通不便ノ地ニ於ケル選擧人名簿ニ付テハ大藏大臣ハ第一項乃至第四項ノ規定ニ拘ラズ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第五十一條 市區町村長ハ投票區內ニ於テ選擧資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ投票及開票ニ立會ハシムベシ
第五十二條 投票ノ效力ハ開票立會人ノ意見ヲ聽キ市區町村長之ヲ決定スベシ
第五十三條 市區町村長ハ投票ノ有效無效ヲ區別シ所得調査委員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第五十四條 投票ノ調査終リタルトキハ市區町村長ハ直ニ左ノ事項ヲ稅務署長ニ報吿スベシ
一 投票及開票ノ日時及場所
二 投票及開票ノ立會人ノ住所及氏名
三 投票人及投票ノ總數竝ニ有效投票及無效投票ノ數
四 投票ヲ無效ト決定シタル事由
五 被選擧人ノ氏名及其ノ得票數
第五十五條 選擧會ハ豫メ稅務署長ノ公示シタル場所及日時ニ於テ之ヲ開ク
第五十六條 稅務署長ハ選擧區內ニ於テ選擧資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ選擧會ニ立會ハシムベシ
第五十七條 所得調査委員會ノ開會日數ハ各所得調査委員會ノ區域內ニ於ケル前年所得稅法第三十六條第一項ノ所得ニ付所得稅ヲ納メタル者及同項ノ所得ニ付所得稅ヲ納メズシテ個人ノ營業ニ付營業稅ヲ納メタル者ノ合計數ニ從ヒ左ノ如ク之ヲ定ム
五千人以上ナルトキ 三十日以內
三千人以上ナルトキ 二十五日以內
千人以上ナルトキ 二十日以內
五百人以上ナルトキ 十五日以內
五百人未滿ナルトキ 十日以內
第五十八條 所得調査委員會ノ會長事故アルトキハ出席シタル所得調査委員中ノ年齡多キ者會長ノ職務ヲ代理ス
第五十九條 所得調査委員會ノ決議ハ會長之ヲ稅務署長ニ通知スベシ
第六章 審査
第六十條 所得稅法第六十七條第一項ノ審査ノ請求ヲ爲サントスル者ハ事由ヲ具シ證憑書類ヲ添ヘ所得金額ノ決定ヲ爲シタル稅務署長ヲ經由シ稅務監督局長ニ申出ヅベシ
第六十一條 所得審査委員及其ノ補缺員ノ選擧事務ハ稅務監督局長之ヲ執行ス
第六十二條 所得審査委員ヲ選擧スルトキハ同時ニ之ト同數ノ補缺員ヲ選擧スベシ
補缺員ハ稅務監督局所轄內各府縣又ハ北海道ニ於テ所得調査委員之ヲ互選ス
第六十三條 稅務監督局長ハ所得審査委員及補缺員ノ選擧期日、投票時間及投票場所ヲ定メ之ヲ所得調査委員ニ通知シ同時ニ投票用紙ヲ送付スベシ
前項ノ規定ニ依ル通知ニハ之ヲ受クベキ所得審査委員ノ屬スル府縣又ハ北海道ニ於ケル所得調査委員ノ氏名表ヲ添附スベシ
第六十四條 所得審査委員及補缺員ノ選擧ハ記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ所得審査委員及補缺員ノ各選擧ニ付一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ投票所ニ到リ被選擧人各一人ノ氏名ヲ各別ノ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ但シ相當ノ事由ニ因リ自ラ投票所ニ到ルコト能ハザルトキハ郵便ニ依リ投票スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ投票時間後到著シタル投票ハ無效トス
第六十五條 稅務監督局長ハ所得調査委員中ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ投票及開票ニ立會ハシムベシ
第六十六條 投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス投票ノ數同ジキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第六十七條 所得審査委員ニ當選シタル者同時ニ補缺員ニ當選スルモ補缺員タルコトヲ得ズ
第六十八條 所得審査委員及補缺員ノ選擧終了シタルトキハ稅務監督局長ハ當選人ニ當選ノ通知ヲ爲シ且其ノ氏名ヲ公示スベシ
第六十九條 所得審査委員又ハ補缺員ニ當選シタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ズ
第七十條 所得審査委員及補缺員ハ稅務監督局所轄內ニ於ケル所得調査委員全部ノ改選アリタルトキ之ヲ改選ス
第七十一條 所得調査委員ヨリ選擧セラレタル所得審査委員ニ缺員ヲ生ジタルトキハ補缺員ヲ以テ之ヲ補充ス但シ北海道ニ在リテハ補缺員中投票ノ最多數ヲ得タル者ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ數同ジキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ缺員ヲ補充スベキ補缺員ナキトキハ所得審査委員ノ補缺選擧ヲ行フ
第七十二條 所得審査委員又ハ補缺員ニシテ所得調査委員タルノ資格ナキニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第七十三條 所得審査委員會ハ稅務監督局長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク
第七十四條 所得審査委員會ハ開會ノ始ニ於テ所得審査委員中ヨリ會長ヲ選擧スベシ
第七十五條 所得審査委員會ハ定員ノ過半數ニ當ル委員出席スルニ非ザレバ決議スルコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依ル
第七十六條 所得審査委員會ノ會長事故アルトキハ出席シタル所得審査委員中年齡多キ者會長ノ職務ヲ代理ス
第七十七條 所得審査委員ハ自己及自己ト同一戶籍內ニ在ル者ノ所得ニ關スル議事ニ與ルコトヲ得ズ
第七十八條 稅務監督局長又ハ其ノ代理官ハ所得審査委員會ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第七十九條 所得審査委員會ノ決議ハ會長之ヲ稅務監督局長ニ通知スベシ
第八十條 稅務監督局長所得稅法第六十八條ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第七章 徵收
第八十一條 甲種ノ配當利子所得、甲種ノ勤勞所得又ハ甲種ノ退職所得ニ付其ノ金額ノ支拂者所得稅ヲ徵收シタルトキハ翌月十日迄ニ拂込書及計算書ヲ添ヘ之ヲ最寄ノ日本銀行ノ本店、支店又ハ代理店ニ拂込ムベシ所得稅法第一條ノ規定ニ該當セザル者ノ受クル甲種ノ配當利子所得、甲種ノ勤勞所得又ハ甲種ノ退職所得ニ付テハ尙其ノ支拂ヲ受ケタル者ノ各人別明細書ヲ添附スベシ
第八章 雜則
第八十二條 納稅義務者災害、失業其ノ他ノ事由ニ因リ著シク資力ヲ喪失シ納稅困難ト認ムルトキハ納稅義務者ノ申請ニ依リ其ノ不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ對スル分類所得稅又ハ總所得ニ對スル綜合所得稅ニ付之ヲ輕減又ハ免除ス
第八十三條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ所得稅ノ輕減又ハ免除ヲ受ケントスルトキハ事由ヲ具シ所轄稅務署ニ申請スベシ
第八十四條 所得稅法第七十五條ノ規定ニ依ル所得稅ノ輕減又ハ免除ニ關スル申請アリタル場合ニ於テ稅務署長納稅困難ト認ムル能ハザルトキハ之ヲ却下スベシ
第八十五條 稅務署長所得稅法第七十五條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ輕減又ハ免除シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第八十六條 稅務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第二十三條ノ規定ニ依ル控除ヲ爲シタル信託會社ニ對シ其ノ計算ヲ證明スベキ書類又ハ帳簿ノ呈示又ハ提出ヲ命ズルコトヲ得
第八十七條 稅務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第三十七條及第三十九條ノ規定ニ依ル申請ヲ爲シタル者ニ對シ戶籍ノ謄本若ハ抄本又ハ醫師ノ診斷書其ノ他必要ナル書類ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第八十八條 稅務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第四十條及第四十一條ノ規定ニ依ル控除ノ申請ヲ爲シタル者ニ對シ保險料領收證其ノ他必要ナル書類ノ呈示又ハ提出ヲ命ズルコトヲ得
第八十九條 所得稅法施行地ニ於テ利子ノ支拂ヲ爲スベキ公債又ハ社債ヲ募集シタル者(委託募集ノ場合ニ於テハ委託ヲ受ケ募集シタル者)ハ所得稅法第七十七條ノ規定ニ依リ其ノ公債又ハ社債ニ付左ノ事項ヲ記載シタル調書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
一 公債又ハ社債ノ名稱及其ノ總額
二 利子支拂期限及利率
三 償還ノ方法及期限
四 數囘ニ分チテ拂込ヲ爲サシムルトキハ其ノ拂込ノ金額及時期
五 發行ノ價額又ハ其ノ最低價額
六 記名式又ハ無記名式ニ限リタルトキハ其ノ旨
七 募入條件
第九十條 所得稅法施行地ニ於テ無記名ノ公債、社債又ハ株式ニ付利子又ハ配當ノ支拂ヲ受クル者ハ所得稅法第七十八條ノ規定ニ依リ左ニ揭グル事項ヲ利子又ハ配當ノ支拂ノ取扱者ニ吿知スベシ但シ無記名ノ公債又ハ社債ニシテ一囘ノ利子受領金額十五圓未滿ナルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 支拂ヲ受クル者ノ住所又ハ居所及氏名又ハ名稱
二 公債、社債又ハ株式ノ種類
三 支拂ヲ受クル利子又ハ配當ノ金額
四 公債又ハ社債ニ付元本ノ所有者ニ非ザル者ガ利子ノ支拂ヲ受クルトキハ其ノ元本ノ所有者ノ住所又ハ居所及氏名又ハ名稱
五 配當利子特別稅ヲ課セラレタル利子又ハ配當ナルトキハ其ノ稅額
第九十一條 俸給、給料若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支拂ヲ爲ス個人ニシテ常時十人以上ノ使用人ヲ使用スルモノハ所得稅法第七十九條ノ規定ニ依リ每年十二月一日現在ニ於ケル使用人ノ職名別人員ヲ記載シタル申吿書ヲ其ノ年十二月十日迄ニ所轄稅務署ニ提出スベシ
第九十二條 所得稅法第八十條第一項ノ規定ニ依リ支拂調書ヲ提出スル義務アル者ハ左ノ期限ニ從ヒ之ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ但シ登錄國債、郵便官署ノ保管ニ係ル公債社債若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ同一人ニ對スル支拂金額年百圓未滿ナルモノ竝ニ第九十條但書ニ規定スル公債又ハ社債ノ利子ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 俸給、給料、歲費、費用辨償、年金、恩給若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ每年一月末日限
二 法人ノ利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ付テハ配當金額又ハ分配金額ノ確定シタル日ヨリ三十日以內但シ無記名ノ株式ヲ有スル者ニ支拂ヒタル法人ノ利益又ハ利息ノ配當ニ付テハ每年三月十五日限
三 公債、社債若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニ付テハ每年一月末日限
無記名ノ公債、社債又ハ株式ノ利子又ハ配當ニ付テハ第九十條ノ規定ニ依ル吿知書ヲ以テ前項ノ支拂調書ニ代フルコトヲ得
第九十三條 前條ノ支拂調書ニハ左ノ各號ノ規定ニ依リ支拂ヲ受クル者ノ住所又ハ居所、氏名又ハ名稱及各人別支拂金額ヲ記載スベシ
一 俸給、給料、歲費、費用辨償、年金、恩給若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ前年中ノ支拂金額及其ノ金額計算ノ基礎、所得稅法第十六條、第二十四條又ハ第二十六條ノ二ノ規定ニ依リ控除ヲ爲シタル金額竝ニ分類所得稅ヲ徵收シタルモノニ在リテハ該稅額
二 公債、社債若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニ付テハ前年中ノ支拂金額、公債、社債、預金又ハ合同運用信託ノ種類、元本、利率、利子計算期間其ノ他支拂金額計算ノ基礎、支拂金額ノ確定シタル月日、配當利子特別稅ヲ課セラレタルモノニ在リテハ該稅額竝ニ無記名ノ公債又ハ社債ノ利子ノ支拂ヲ受ケタル者ガ元本ノ所有者ト異ルトキハ元本所有者ノ住所又ハ居所及氏名又ハ名稱
三 法人ノ利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ付テハ其ノ支拂金額(無記名ノ株式ニ付テハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日ニ至ル期間ノ支拂金額)、支拂金額ノ確定シタル月日(無記名ノ株式ニ付テハ支拂月日)竝ニ其ノ支拂ヲ受クル者ノ種類別及拂込金額別株式數、出資金額、基金其ノ他支拂金額計算ノ基礎
第九十四條 信託ノ受託者ハ左ノ期限ニ從ヒ各信託(合同運用信託ヲ除ク)ノ計算書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
一 信託會社ニ在リテハ每事業年度終了後二十日限
二 信託會社ニ非ザル受託者ニ在リテハ每年三月十五日限
第九十五條 前條ノ計算書ニハ各信託ニ付左ノ事項ヲ記載スベシ
一 委託者及受益者ノ住所及氏名又ハ名稱
二 信託行爲ノ時及信託ノ期間
三 信託會社ニ在リテハ各事業年度末、信託會社ニ非ザル受託者ニ在リテハ前年十二月末日ニ於ケル信託財產ノ種類及現在額
四 信託會社ニ在リテハ各事業年度中、信託會社ニ非ザル受託者ニ在リテハ前年中ニ於ケル信託財產ノ異動及信託ニ關スル收入支出
五 前各號ニ揭グルモノノ外信託行爲ノ內容ニ關スル事項
第九十六條 所得稅法第七十二條ノ規定ニ依リ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅ヲ徵收シタル者ニ對シテハ其ノ請求ニ依リ每年取扱ヒタル甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅ノ納稅者一人ニ付十錢ヲ交付ス
前項ノ金額ノ交付ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ請求書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第九十七條 第九十二條又ハ第九十四條ノ規定ニ依リ支拂調書又ハ計算書ヲ提出シタル者ニ對シテハ其ノ請求ニ依リ左ノ金額ヲ交付ス但シ所得稅法第九十條ノ規定ニ依リ處罰セラレタル者ノ提出ニ係ル支拂調書又ハ計算書ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 第九十二條ニ規定スル支拂調書ニ付テハ記載事項一件一人每ニ五厘
二 第九十四條ニ規定スル計算書ニ付テハ一信託每ニ三錢
前項ノ金額ノ交付ヲ受ケントスル者ハ支拂調書又ハ計算書提出後三十日以內ニ請求書ヲ所轄稅務署ニ提出スベシ
第九十八條 所得稅ヲ課セザル法人無記名ノ公債又ハ社債ヲ取得シ又ハ喪失シタルトキハ其ノ名稱、額面金額、記號及番號ヲ利子支拂ノ取扱者ニ通知スベシ
第九十九條 不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ對スル分類所得稅又ハ個人ノ總所得ニ對スル綜合所得稅ヲ納ムル義務アル者居所地ニ於テ所得稅ヲ納メントスルトキハ其ノ旨居所地ノ稅務署ニ申吿スベシ
第百條 所得稅法第八十四條第二項ノ規定ニ依リ納稅地ヲ定メタルトキハ納稅地ノ稅務署ニ申吿スベシ申吿ナキトキハ稅務署長其ノ納稅地ヲ指定ス
第百一條 納稅義務者納稅地ノ稅務署所轄外ニ於テ生ズル所得ヲ有スルトキハ其ノ所得ノ生ズル地ノ稅務署ニ納稅地ヲ申吿スベシ
第百二條 納稅義務者納稅地ヲ變更スルトキハ其ノ旨新納稅地ノ稅務署ニ申吿スベシ
第百三條 納稅義務者所得稅法施行地外ニ住所又ハ居所ヲ移サントスルトキハ其ノ旨納稅地ノ稅務署ニ申吿スベシ
第百四條 納稅義務者納稅管理人ヲ定メタルトキハ其ノ氏名及住所又ハ居所ヲ納稅地ノ稅務署ニ申吿スベシ
第百五條 稅務署長又ハ其ノ代理官ハ所得稅法第八十一條ノ規定ニ依リ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルトキハ檢査章ヲ携帶スベシ
附 則
第百六條 本令ハ昭和十五年法律第二十四號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第百七條 不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ付テハ昭和十五年分分類所得稅ヨリ、個人ノ總所得ニ付テハ昭和十五年分綜合所得稅ヨリ本令ヲ適用ス
第百八條 法人ノ本令施行前ニ終了シタル各事業年度分ノ所得及本令施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル淸算所得ニ對スル所得稅竝ニ本令施行前ニ賦課シ若ハ賦課スベカリシ又ハ徵收シ若ハ徵收スベカリシ第二種又ハ第三種ノ所得ニ對スル所得稅ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
第百九條 所得稅法第百一條ノ規定ニ依ル昭和十五年分ノ所得稅ノ輕減若ハ免除又ハ所得金額ノ計算ニ關スル特例ハ左ノ各號ニ定ムル所ニ依ル
一 昭和十四年一月一日以後同年十二月三十一日迄ニ相續ニ因ルニ非ズシテ新ニ不動產、不動產上ノ權利若ハ船舶ノ貸付ニ因ル所得、營業ノ所得又ハ職業ノ所得ヲ有スルニ至リタル者ノ當該所得ニ付テハ昭和十五年分ノ分類所得稅及綜合所得稅ヲ免除ス但シ昭和十四年ノ所得調査委員會閉會後ニ於テ新ニ有スルニ至リタル不動產、不動產上ノ權利若ハ船舶ノ貸付ニ因ル所得、營業ノ所得又ハ職業ノ所得ニシテ改正前ノ所得稅法第二十六條第三項ノ規定ニ依リ第三種ノ所得金額ノ決定ヲ受ケザリシモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 昭和十四年一月一日以後同年十二月三十一日迄ニ新ニ俸給、給料、歲費、費用辨償、年金及恩給竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支給ヲ受クルニ至リタル者ノ當該給與ニ付テハ昭和十五年分ノ乙種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅及綜合所得稅ヲ免除ス前號但書ノ規定ハ此ノ場合ニ付之ヲ準用ス
三 昭和十四年十二月三十一日迄ニ營業又ハ職業ノ全部ヲ廢止シタル個人ノ營業又ハ職業ノ所得ニ付テハ昭和十五年分ノ分類所得稅及綜合所得稅ヲ免除ス
四 昭和十四年中ニ俸給、給料、歲費、費用辨償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支給ヲ受ケタル者昭和十四年十二月三十一日迄ニ當該給與ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキハ當該給與ニ付テハ昭和十五年分ノ乙種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅及綜合所得稅ヲ免除ス但シ昭和十五年分所得金額決定當時ニ於テ現ニ俸給、給料、歲費、費用辨償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支給ヲ受クル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
五 昭和十五年一月一日以後昭和十五年分所得金額決定前ニ營業又ハ職業ノ全部ヲ廢止シタル個人ニ付テハ昭和十五年分ノ事業所得金額及總所得金額ハ昭和十五年一月一日ヨリ營業又ハ職業ヲ廢止スル迄ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依リ之ヲ計算ス
六 昭和十四年中ニ俸給、給料、歲費、費用辨償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支給ヲ受ケタル者昭和十五年一月一日以後昭和十五年分所得金額決定前ニ當該給與ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキハ昭和十五年分ノ乙種ノ勤勞所得金額及總所得金額ハ昭和十五年一月一日ヨリ當該給與ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキ迄ノ收入金額ニ依リ之ヲ計算ス第四號但書ノ規定ハ此ノ場合ニ付之ヲ準用ス
七 昭和十四年分第三種所得金額決定後昭和十五年分所得金額決定前ニ於テ營業ヲ法人ニ繼續セシメタル個人ノ當該營業ノ所得ニ付テハ第三號又ハ第五號ノ規定ニ依ラズ當該營業ノ所得ニ對スル昭和十五年分ノ分類所得稅又ハ綜合所得稅ニ付當該營業ノ所得ニ對スル昭和十四年分ノ第三種所得稅及同附加稅ニ相當スル金額ヲ輕減ス此ノ場合ニ於テハ先ヅ分類所得稅ニ付輕減ヲ爲シ不足アルトキハ綜合所得稅ニ及ブ
第百十條 所得稅法第百一條ノ規定ニ依ル昭和十六年分ノ所得稅ノ免除ハ左ノ各號ニ定ムル所ニ依ル
一 昭和十五年一月一日以後同年十二月三十一日迄ニ營業又ハ職業ノ全部ヲ廢止シタル個人ノ營業又ハ職業ノ所得ニ付テハ昭和十六年分ノ分類所得稅及綜合所得稅ヲ免除ス但シ營業ヲ法人ニ繼續セシメタル個人ノ營業ノ所得ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 昭和十五年中ニ俸給、給料、歲費、費用辨償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支給ヲ受ケタル者昭和十五年十二月三十一日迄ニ當該給與ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキハ當該給與ニ付テハ昭和十六年分ノ乙種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅及綜合所得稅ヲ免除ス但シ昭和十六年分所得金額決定當時ニ於テ現ニ俸給、給料、歲費、費用辨償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支給ヲ受クル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第百十一條 所得稅法第百一條ノ規定ニ依ル昭和十五年分及昭和十六年分ノ水產業ノ所得金額ノ計算ニ關スル特例ハ左ノ各號ニ定ムル所ニ依ル
一 昭和十五年分ノ所得金額ハ昭和十四年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額又ハ第九條ノ規定ニ依リ算出シタル金額ノ何レカ少額ナル一方ノ金額ニ依ル
二 昭和十六年分ノ所得金額ハ昭和十四年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額及昭和十五年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ノ平均ニ依リ算出シタル金額又ハ第九條ノ規定ニ依リ算出シタル金額ノ何レカ少額ナル一方ノ金額ニ依ル
第百十二條 所得稅法第百五條ノ規定ニ依リ百分ノ三ノ稅率ニ依リ分類所得稅ノ賦課ヲ受クベキ國債ノ利子ヲ有スル貯蓄銀行ハ當該國債ノ利子ノ支拂ヲ受クル際貯蓄銀行法第九條第一項ノ規定ニ依ル供託國債ノ利子ナル旨ヲ利子支拂ノ取扱者ニ吿知スベシ
第百十三條 所得稅法第百六條第一項ノ規定ニ依リ支拂ノ際綜合所得稅ヲ賦課スルコトヲ得ベキ合同運用信託ノ利益ハ第三十三條ニ規定スルモノニ限ル
第百十四條 所得稅法第百六條第一項ノ規定ニ依リ利子又ハ利益支拂ノ際綜合所得稅ノ賦課ヲ受ケントスル者ハ利子又ハ利益ノ支拂ヲ受クル際其ノ旨ノ申請書ヲ提出スベシ
所得稅法第百六條第一項ノ規定ニ依リ利子又ハ利益支拂ノ際綜合所得稅ノ賦課ヲ受ケタル者ニ付テハ大藏大臣ノ定ムル調書ヲ以テ第九十二條ノ規定ニ依ル支拂調書ニ代フルコトヲ得
第百十五條 所得稅法第百六條第一項ニ規定スル利子又ハ利益ニ付其ノ支拂者綜合所得稅ヲ徵收シタルトキハ翌月十日迄ニ拂込書及計算書ヲ添ヘ之ヲ最寄ノ日本銀行ノ本店、支店又ハ代理店ニ拂込ムベシ
第百十六條 所得稅法第百七條第一項ノ規定ニ依リ合同運用信託ノ利益ニ對スル分類所得稅額ヨリ控除スベキ第二種ノ所得ニ對スル所得稅額及資本利子稅額ハ信託會社ニ於テ合同運用信託ノ利益ニ對スル分類所得稅徵收ノ際之ヲ控除スベシ
第百十七條 俸給、給料若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ノ支拂ヲ爲ス個人ニシテ常時十人以上ノ使用人ヲ使用スルモノハ昭和十五年ニ限リ第九十一條ノ規定ニ依ル申吿書ノ外昭和十五年四月一日現在ニ於ケル使用人ノ職名別人員ヲ記載シタル申吿書ヲ本令施行後直ニ所轄稅務署ニ提出スベシ
第百十八條 稅務署長ハ本令施行後直ニ第五條第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ爲シ其ノ旨ヲ指定ヲ受ケタル者ニ通知スベシ
前項ノ場合ニ於テハ其ノ指定ハ第五條第三項ノ規定ニ拘ラズ前項ノ通知ヲ爲シタル日ノ翌日ヨリ其ノ效力ヲ發生ス
第百十九條 第三十八條ニ規定スル申吿書竝ニ第三十九條及第四十條ニ規定スル申請書ハ昭和十五年ニ限リ支拂者ヲ異ニスル每ニ同年四月一日以後最初ノ給與ノ支拂ヲ受クル日ノ前日迄ニ之ヲ其ノ給與ノ支拂者ヲ經由シ所轄稅務署ニ提出スベシ
第百二十條 昭和十五年ノ所得調査委員會ノ開會日數ハ第五十七條ノ規定ニ拘ラズ從前ノ第三十四條ノ規定ニ依ル
朕所得税法施行規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月三十一日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
勅令第百三十四号
所得税法施行規則目次
第一章
総則
第二章
分類所得税
第三章
綜合所得税
第四章
申告、申請、調査及決定
第五章
所得調査委員会
第六章
審査
第七章
徴収
第八章
雑則
所得税法施行規則
第一章 総則
第一条 左ニ掲グル公共団体ニハ所得税法第四条ノ規定ニ依リ所得税ヲ課セズ
一 府県組合、市町村組合、町村組合、市町村内ノ区、町村制ヲ施行セザル地ニ於ケル町村ニ準ズベキ団体、市町村学校組合、町村学校組合、学区、水利組合、水利組合連合、耕地整理組合、耕地整理組合連合会、北海道土功組合、重要物産同業組合、重要物産同業組合連合会、森林組合、森林組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、水産組合、水産組合連合会、外国領海水産組合、外国領海水産組合連合会、畜産組合、畜産組合連合会、農会、水産会、商工会議所其ノ他此等ノ公共団体ニ準ズベキモノ
二 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ノ公共団体ニシテ各其ノ地ノ法令ニ依リ所得税ヲ課セザルモノト指定セラレタルモノ
法人タル宗教団体ニハ宗教団体法第二十二条ノ規定ニ依リ所得税ヲ課セズ
第二条 左ニ掲グル物産ノ製造ヲ業トスル個人ニハ所得税法第五条ノ規定ニ依リ所得税ヲ免除ス
一 金、銀、銅、鉛、亜鉛、錫、ニッケル、クロム、コバルト、鉄、アルミニウム及マグネシウムノ地金並ニ水銀
二 鉄ノ条、竿、丁形山形類、軌条、板、線及管(鋳鉄管ヲ除ク)
三 銅ノ合金ノ条、竿、板及管
四 アルミニウムノ合金及マグネシウムノ合金
五 球軸受、コロ軸受及同部分品
六 汽缶、原動機(機関車ヲ含ム)及動力ヲ以テ運転スル鉄製ノ機械
七 アルミナ、クリオリット、チタン白、カーボンブラック、石灰窒素、硫酸カリ、燐酸アンモン、硫酸アンモン、硝酸(アンモニア酸化ニ依ルモノ)、石炭酸、グリコール、グリセリン、メタノール、アセトン、ブタノール、合成イソブチルアルコール、合成ベンゾール、合成トルオール、アセチルセルロース、人造ゴム、人造レジン(フェノールレジンヲ除ク)、人造タンニン、タンニンエキス及タンニン代用エキス(パルプ廃液ヨリ製造スルモノ)
八 繊維素パルプ、蛋白人造繊維、ガラス繊維、岩石繊維及石綿
九 光学用ガラス
十 コンデンスドミルク、カゼイン、大豆カゼイン及落花生カゼイン
十一 感光性乳剤用ゼラチン
十二 鯨革及鮫革
左ニ掲グル物産ノ採掘又ハ採取ヲ業トスル個人ニハ所得税法第五条ノ規定ニ依リ所得税ヲ免除ス
一 金鉱、銀鉱、銅鉱、鉛鉱、錫鉱、亜鉛鉱、鉄鉱、硫化鉄鉱、満俺鉱、ニッケル鉱、水銀鉱及クロム鉄鉱
二 石油及石炭
三 砂鉱
第三条 前条ノ製造、採掘若ハ採取ノ事業ヲ継続シ又ハ其ノ継続ト認ムベキ事実アル者ハ其ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ニ付所得税ノ免除期間ノ残存スルトキニ限リ其ノ免除期間ヲ継承ス
第二章 分類所得税
第四条 左ニ掲グル営業ノ所得ハ所得税法第十条ニ規定スル甲種ノ事業所得トス
一 両替業
二 演劇興行業
三 寄席業
四 遊技場業
五 遊覧所業
六 芸妓置屋業
七 貸座敷業
第五条 所得税法施行地ニ於テ支払ヲ受クル俸給、給料及賞与並ニ此等ノ性質ヲ有スル給与ニシテ常時十人以上ノ使用人ヲ使用シ税務署長ノ指定シタル個人ヨリ受クルモノハ所得税法第十条ニ規定スル甲種ノ勤労所得トシ其ノ他ノ個人ヨリ受クルモノハ同条ニ規定スル乙種ノ勤労所得トス
税務署長前項ノ指定ヲ為シタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ指定ヲ受ケタル者ニ通知スベシ其ノ指定ヲ取消シタルトキ亦同ジ
第一項ノ指定及其ノ取消ハ前項ノ通知ヲ為シタル年ノ翌年一月一日ヨリ其ノ効力ヲ発生ス
第六条 小切手ヲ以テ引出ス当座預金ニシテ元本百円ニ付日歩三厘ヲ超エザルモノノ利子ニハ所得税法第十一条第一項第四号ノ規定ニ依リ分類所得税ヲ課セズ
第七条 左ニ掲グル法人ニ対スル預金ニシテ元本三千円ヲ超エザルモノノ利子ニハ所得税法第十一条第一項第五号ノ規定ニ依リ分類所得税ヲ課セズ
一 工業組合、商業組合、貿易組合及漁業協同組合
二 工業組合連合会、商業組合連合会、貿易組合連合会及商工組合中央金庫
三 恩給金庫及庶民金庫
第八条 所得税法第十一条第一項第五号及前条ノ元本額ハ支払ヲ受クベキ預金又ハ貯金ノ利子金額ヲ年額ニ換算シタルモノヲ当該預金又ハ貯金ノ年利率又ハ年利率ニ相当スル利率ヲ以テ除シ之ヲ計算ス
同一人ガ同一ノ支払者ニ対シ二口以上ノ預金又ハ貯金ヲ有スルトキハ所得税法第十一条第一項第五号及前条ノ元本額ハ此等ノ預金又ハ貯金ヲ合算シタルモノニ依リ之ヲ計算ス
第九条 水産業ノ所得ハ所得税法第十二条第一項第四号ノ規定ニ依リ前三年間毎年ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ノ合計額ヲ前三年間ニ於テ水産業ヲ有シタル年数ニテ除シ之ヲ算出ス
第十条 所得税法第十二条ノ規定ニ依リ総収入金額ヨリ控除スベキ経費ハ種苗蚕種肥料ノ購買費、家畜其ノ他ノモノノ飼養料、仕入品ノ原価、原料品ノ代価、場所物件ノ修繕費又ハ借入料、場所物件又ハ業務ニ係ル公課、雇人ノ給料、収入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子其ノ他収入ヲ得ルニ必要ナルモノニ限ル但シ家事上ノ費用及之ニ関連スルモノハ之ヲ控除セズ
第十一条 所得税ヲ課スベキ甲種ノ事業所得ト其ノ他ノ甲種ノ事業所得トヲ有スル者ノ甲種ノ事業所得ヨリ控除スベキ臨時利得税額ハ甲種ノ事業所得ノ総額ニ対スル所得税ヲ課スベキ甲種ノ事業所得ノ割合ヲ営業利得ニ対スル臨時利得税額ニ乗ジ之ヲ計算ス
第十二条 所得税法第十二条第一項第四号ノ規定ニ依リ事業所得ノ金額ヲ計算スル場合ニ於テ甲種ノ事業所得ノ計算上損失アルトキハ之ヲ乙種ノ事業所得ヨリ差引キ乙種ノ事業所得ノ計算上損失アルトキハ之ヲ甲種ノ事業所得ヨリ差引キテ計算ス
第十三条 甲種ノ勤労所得ニ属スル賞与(賞与ノ性質ヲ有スル給与ヲ含ム以下同ジ)以外ノ給与ニ付テハ所得税法第十六条第一項ノ規定ニ依リ左ノ金額ヲ其ノ給与ヨリ控除ス
一 支払ヲ受クベキ給与ガ一月分ナルトキハ六十円
二 同半月分ナルトキハ三十円
三 同一旬分ナルトキハ二十円
四 同一週分ナルトキハ十四円
五 前各号ニ該当セザル給与ナルトキハ年七百二十円ノ割合ニ依リ給与ノ支給期間ニ応ジテ算出シタル金額
第十四条 同一ノ支払者ヨリ甲種ノ勤労所得ニ属スル賞与ト賞与以外ノ給与トヲ併セ受クル者ノ該賞与ニ付テハ所得税法第十六条第二項ノ規定ニ依リ其ノ年中ニ於テ受クル賞与以外ノ給与ニシテ前条ノ規定ニ依ル控除額ニ達セザルモノアルトキニ限リ其ノ不足額ヲ賞与ヨリ控除ス
前項ノ不足額ハ予算ニ依リ算出シ之ヲ賞与ヨリ控除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ予算ニ依リ算出シタル不足額ガ実際ノ不足額ト異ルトキハ其ノ差額ニ対スル分類所得税ニ付テハ左ノ各号ニ定ムル所ニ依ル
一 実際ノ不足額ガ予算ニ依リ算出シタル不足額ヲ超過スルトキハ本人ノ申請ニ依リ更ニ其ノ差額ヲ賞与ヨリ控除シ過納ト為リタル分類所得税ニ相当スル金額ヲ其ノ年経過後本人ニ還付ス
二 実際ノ不足額ガ予算ニ依リ算出シタル不足額ニ満タザルトキハ其ノ差額ニ対スル分類所得税ヲ其ノ年ニ於ケル最終ノ給与支払ノ際支払者ニ於テ徴収スベシ
前項第一号ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ其ノ申請書ヲ支払者ヲ経由シテ所轄税務署ニ提出スベシ
第十五条 同一ノ支払者ヨリ甲種ノ勤労所得ニ属スル給与ノ中賞与ノミノ支払ヲ受クル者ノ該賞与ニ付テハ支払ノ際ニ於テハ所得税法第十六条第一項ノ規定ニ依ル控除ハ之ヲ為サズ但シ左ノ各号ニ該当スル場合ニ於テハ各其ノ定ムル所ニ依ル
一 其ノ年中ニ他ニ甲種ノ勤労所得ヲ有セザル場合ニ於テハ本人ノ申請ニ依リ七百二十円ヲ賞与ヨリ控除シ過納ト為リタル分類所得税ニ相当スル金額ヲ還付ス
二 其ノ年中ニ他ニ甲種ノ勤労所得ヲ有スル場合ニ於テ其ノ金額ガ七百二十円ニ満タザルトキハ本人ノ申請ニ依リ七百二十円ト該勤労所得トノ差額ヲ賞与ヨリ控除シ過納ト為リタル分類所得税ニ相当スル金額ヲ還付ス
前項但書ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ其ノ申請書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第十六条 左ニ掲グル甲種ノ勤労所得ニ属スル給与ノ中二種以上ヲ併セ受クル者ニ在リテハ第十三条ノ規定ニ依ル控除ハ左ノ各号ノ順序ニ従ヒ先ヅ前ノ給与ニ付之ヲ為シ不足アルトキハ順次後ノ給与ニ及ブ
一 国ヨリ受クル恩給
二 国ヨリ受クル年金
三 北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ヨリ受クル恩給及年金
四 歳費
五 北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ヨリ受クル費用弁償
六 前各号ニ掲グル給与以外ノ給与
第十七条 二以上ノ支払者ヨリ前条第一号乃至第五号ニ規定スル給与以外ノ甲種ノ勤労所得ニ属スル給与ヲ受クル者ノ該給与ニ付テハ第十三条又ハ第十四条ノ規定ニ依ル控除ハ主タル給与ノ支払者ヨリ受クル給与ニ付之ヲ為シ従タル給与ノ支払者ヨリ受クル給与ニ付テハ支払ノ際ニ於テハ之ヲ為サズ
前項ノ場合ニ於テ其ノ年中ニ主タル給与ノ支払者ヨリ受ケタル給与ノ総額ガ第十三条又ハ第十四条ノ規定ニ依ル控除額ニ達セザリシトキハ本人ノ申請ニ依リ其ノ不足額ヲ従タル給与ノ支払者ヨリ受ケタル給与ヨリ控除シ過納ト為リタル分類所得税ニ相当スル金額ヲ還付ス
前項ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ申請書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第十八条 所得税法第十八条第三号ノ場合ニ於テハ七百二十円ト同法第十六条第一項ノ規定ニ依リ控除シタル金額トノ差額ヲ乙種ノ勤労所得ヨリ控除ス此ノ場合ニ於テ其ノ差額ガ乙種ノ勤労所得ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ノ七・二分ノ五ニ相当スル金額ヲ更ニ事業所得ヨリ控除ス
第十九条 甲種ノ事業所得ト乙種ノ事業所得トヲ併セ有スル者ノ事業所得ニ付テハ所得税法第十七条第一項第一号、同条第二項但書及第十八条第一号並ニ前条ノ規定ニ依ル控除ハ先ヅ甲種ノ事業所得ニ付之ヲ為シ不足アルトキハ乙種ノ事業所得ニ及ブ
第二十条 所得税法第十九条第二項ノ場合ニ於テ同法第十七条及第十八条ノ規定ニ依リ所得ヨリ控除スベキ金額ハ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ各其ノ控除額ヲ定ム但シ其ノ申請額ノ合計ガ控除スベキ金額ヲ超過スルトキ若ハ之ニ達セザルトキ又ハ其ノ申請額不明ナルトキ若ハ申請ナキトキハ税務署長ニ於テ各其ノ控除額ヲ定ム
前項ノ規定ニ依ル申請書ハ所得税法第三十四条第一項ノ規定ニ依ル所得ノ申告ト同時ニ之ヲ提出スベシ
前項ノ申請書ハ所得ヲ有スル者ノ一人ヨリ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第二十一条 左ニ掲グル法人ニ対スル預金ノ利子ニ付テハ所得税法第二十一条第一項中配当利子所得甲種第三号ニ規定スル税率百分ノ十ハ之ヲ百分ノ五トス
一 工業組合、商業組合、貿易組合及漁業協同組合
二 工業組合連合会、商業組合連合会、貿易組合連合会及商工組合中央金庫
三 恩給金庫及庶民金庫
第二十二条 左ニ掲グル法人ヨリ受クル剰余金ノ分配ニ付テハ所得税法第二十一条第一項中配当利子所得甲種第三号ニ規定スル税率百分ノ十ハ之ヲ百分ノ五トス
一 産業組合、工業組合、商業組合、貿易組合、漁業協同組合及蚕糸共同施設組合
二 工業組合連合会
第二十三条 所得税法第二十三条第一項ノ規定ニ依リ合同運用信託ノ利益ニ対スル分類所得税額ヨリ控除スベキ甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税額ハ信託会社ニ於テ合同運用信託ノ利益ニ対スル分類所得税徴収ノ際之ヲ控除スベシ
第二十四条 甲種ノ勤労所得ニ属スル賞与以外ノ給与ニ付テハ所得税法第二十四条第一項ノ規定ニ依リ給与ヲ受クル者ノ申請ニ依リ其ノ年一月一日現在ノ扶養家族一人ニ付左ノ金額ヲ分類所得税額ヨリ控除ス
一 支払ヲ受クベキ給与ガ一月分ナルトキハ一円
二 同半月分ナルトキハ五十銭
三 同一旬分ナルトキハ三十四銭
四 同一週分ナルトキハ二十四銭
五 前各号ニ該当セザル給与ナルトキハ年十二円ノ割合ニ依リ給与ノ支給期間ニ応ジテ算出シタル金額
第二十五条 同一ノ支払者ヨリ甲種ノ勤労所得ニ属スル賞与ト賞与以外ノ給与トヲ併セ受クル者ノ該賞与ニ対スル分類所得税ニ付テハ其ノ年中ニ於テ受クル賞与以外ノ給与ニ対スル分類所得税ニシテ前条ニ規定スル控除金額ニ達セザルモノアルトキニ限リ其ノ不足額ヲ賞与ニ対スル分類所得税額ヨリ控除ス
第十四条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十六条 同一ノ支払者ヨリ甲種ノ勤労所得ニ属スル給与ノ中賞与ノミノ支払ヲ受クル者ノ該賞与ニ対スル分類所得税ニ付テハ支払ノ際ニ於テハ所得税法第二十四条第一項ノ規定ニ依ル控除ハ之ヲ為サズ
前項ノ場合ニ於テ其ノ年中ニ他ノ所得ニ付所得税法第二十四条第一項又ハ第二十五条第一項ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケザル扶養家族アルトキハ給与ヲ受クル者ノ申請ニ依リ其ノ扶養家族一人ニ付十二円ヲ該賞与ニ対スル分類所得税額ヨリ控除シ過納ト為リタル分類所得税ニ相当スル金額ヲ還付ス
前項ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ其ノ申請書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第二十七条 同居ノ戸主又ハ家族中二人以上ノ者ガ甲種ノ勤労所得ニ属スル給与ヲ受クル場合ニ於テ其ノ中一人ノ甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税額ヨリ所得税法第二十四条第一項ノ規定ニ依ル控除ヲ為シタル扶養家族ニ付テハ其ノ他ノ者ノ甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税額ヨリハ同項ノ規定ニ依ル控除ヲ為サズ
第二十八条 不動産所得、事業所得、乙種ノ勤労所得又ハ山林ノ所得ニ対スル分類所得税ニ付テハ所得税法第二十五条第一項ノ規定ニ依リ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ其ノ年一月一日現在ノ扶養家族一人ニ付十二円ヲ分類所得税額ヨリ控除ス
第二十九条 所得税法第二十五条第五項ノ場合ニ於テ同条第一項ノ規定ニ依リ分類所得税額ヨリ控除スベキ金額ハ所得ヲ有スル者ノ申請ニ依リ各其ノ控除額ヲ定ム但シ其ノ申請額ノ合計ガ控除スベキ金額ヲ超過スルトキ若ハ之ニ達セザルトキ又ハ其ノ申請額不明ナルトキ若ハ各納税者毎ニ区分シタル申請ナキトキハ税務署長ニ於テ各其ノ控除額ヲ定ム
第三十条 所得税法第二十六条ニ規定スル不具廃疾者ハ心神喪失ノ常況ニ在ル者、聾者、唖者、盲者其ノ他重大ナル傷痍ヲ受ケ又ハ不治ノ疾患ニ罹リ常ニ介護ヲ要スル者ヲ謂フ
第三十一条 自己若ハ家族又ハ其ノ相続人ヲ保険金受取人トスル生命保険契約ノ為ニ保険料ヲ払込ミタル者ノ甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税ニ付テハ所得税法第二十六条ノ二ノ規定ニ依リ本人ノ申請ニ依リ給与ノ支給期間及前年中ニ払込ミタル保険料ノ総額ニ応ジ左表ノ金額ヲ分類所得税額ヨリ控除ス
【表】
前項ノ場合ニ於テ甲種ノ勤労所得ガ前表ニ掲グル給与以外ノモノナルトキハ支払ヲ受クベキ給与ガ一月分ナルトキニ付前表ニ定ムル金額ヲ給与ノ支給期間ニ応ジテ換算シタル金額ヲ分類所得税額ヨリ控除ス
同一ノ支払者ヨリ賞与ト賞与以外ノ給与トヲ併セ受クル者ニ在リテハ前二項ノ控除ハ先ヅ賞与以外ノ給与ニ対スル分類所得税ニ付之ヲ為シ不足アルトキハ賞与ニ対スル分類所得税ニ及ブ
第二十五条及第二十六条ノ規定ハ前三項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十二条 自己若ハ家族又ハ其ノ相続人ヲ保険金受取人トスル生命保険契約ノ為ニ保険料ヲ払込ミタル者ノ不動産所得、事業所得、乙種ノ勤労所得又ハ山林ノ所得ニ対スル分類所得税ニ付テハ所得税法第二十六条ノ二ノ規定ニ依リ本人ノ申請ニ依リ前年中ニ払込ミタル保険料ノ総額ニ応ジ左ノ金額ヲ分類所得税額ヨリ控除ス
一 前年中ニ払込ミタル保険料ノ総額ガ十円以下ナルトキハ四十八銭
二 同十円ヲ超エ二十円以下ナルトキハ九十六銭
三 同二十円ヲ超エ六十円以下ナルトキハ二円四十銭
四 同六十円ヲ超エ百円以下ナルトキハ四円八十銭
五 同百円ヲ超エ百四十円以下ナルトキハ七円二十銭
六 同百四十円ヲ超エ百八十円以下ナルトキハ九円六十銭
七 同百八十円ヲ超ユルトキハ十二円
生命保険料ニ付前条ノ規定ニ依ル控除ヲ為ストキハ前項ノ規定ニ依ル控除ハ之ヲ為サズ
第三章 綜合所得税
第三十三条 信託財産ノ運用方法ヲ預入、貸付又ハ公債若ハ社債ノ買入ノミニ限定シタル合同運用信託ノ利益ハ所得税法第三十条第一項第二号ノ規定ニ依リ前年中ノ収入金額ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタル金額ニ依リ個人ノ総所得ヲ算出ス
第三十四条 第九条及第十条ノ規定ハ総所得ノ計算ニ付之ヲ準用ス
所得税法第三十条第一項ノ規定ニ依リ総所得ノ金額ヲ計算スル場合ニ於テ同項第一号又ハ第九号ノ所得ノ計算上損失アルトキハ之ヲ同項各号ノ所得(第五号ノ所得中所得税法第八条ニ規定スル利益ノ配当及第六号ノ所得ヲ除ク)ヨリ差引キテ計算ス
第三十五条 左ニ掲グル法人ヨリ受クル剰余金ノ分配ニ付テハ所得税法第三十三条第三項ニ規定スル割合百分ノ一ハ之ヲ百分ノ〇・五トス
一 産業組合、工業組合、商業組合、貿易組合、漁業協同組合及蚕糸共同施設組合
二 工業組合連合会
第四章 申告、申請、調査及決定
第三十六条 不動産所得、乙種ノ配当利子所得、事業所得、乙種ノ勤労所得、山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ付分類所得税ヲ納ムル義務アル者又ハ個人ノ総所得ニ付綜合所得税ヲ納ムル義務アル者ハ所得ノ種類及金額、所得ノ基本タル資産又ハ事業ノ所在地、所得ノ発生スル場所並ニ所得算出ノ基礎ヲ詳記シ所轄税務署ニ申告スベシ
前項ニ規定スル者ニ前年中ニ甲種ノ勤労所得ヲ有シタル場合ニ於テハ前項ニ規定スル事項ノ外尚該甲種ノ勤労所得ノ金額及其ノ所得ノ発生スル場所ヲ記載シ前項ノ申告ト同時ニ所轄税務署ニ申告スベシ
同居ノ戸主及家族ガ第一項ニ規定スル所得ヲ有スル場合ニ於テハ各其ノ所得ヲ区別シ連署ヲ以テ申告スベシ但シ所得アル同居者ノ氏名ヲ附記シ各別ニ申告スルコトヲ妨ゲズ
第三十七条 所得税法第二十五条ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ扶養家族ノ氏名、生年月日、職業、申請者トノ続柄、不具廃疾ノ事実及控除ヲ受クベキ金額ヲ記載シ之ヲ前条ノ申告ト同時ニ所轄税務署ニ提出スベシ
前項ノ申請書ニハ前項ニ規定スル事項ノ外尚左ノ事項ヲ併セ記載スベシ
一 扶養家族ガ前年中ニ甲種ノ勤労所得ヲ有シ又ハ其ノ年分ノ事業所得、乙種ノ勤労所得若ハ山林ノ所得ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ所得ノ金額及発生スル場所
二 其ノ年自己又ハ同居ノ戸主及家族ノ甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税ニ付所得税法第二十四条ノ規定ニ依リ控除ヲ受クル他ノ扶養家族アル場合ニ於テハ其ノ氏名
三 同居ノ戸主及家族ガ其ノ年分ノ不動産所得、事業所得、乙種ノ勤労所得又ハ山林ノ所得ヲ有スル場合ニ於テハ所得税法第二十五条第五項ノ規定ニ依リ各所得者ノ分類所得税額ヨリ控除スベキ金額
所得税法第二十五条第四項ノ場合ニ於テハ第一項ノ申請書ハ所得ヲ有スル者ノ一人ヨリ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第三十八条 二以上ノ支払者ヨリ賞与以外ノ甲種ノ勤労所得ニ属スル給与ヲ受クル者ハ所得ノ発生スル場所及所得税法第十六条ノ規定ニ依リ控除ヲ受クル主タル給与ノ支払者ヲ記載シ之ヲ各支払者ヲ経由シ所轄税務署ニ申告スベシ
第三十九条 所得税法第二十四条ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ扶養家族ノ氏名、生年月日、職業、申請者トノ続柄及不具廃疾ノ事実ヲ記載シ之ヲ支払者ヲ経由シ所轄税務署ニ提出スベシ
前項ノ申請書ニハ前項ニ規定スル事項ノ外尚左ノ事項ヲ併セ記載スベシ
一 扶養家族ガ前年中ニ甲種ノ勤労所得ヲ有シ又ハ其ノ年分ノ事業所得、乙種ノ勤労所得若ハ山林ノ所得ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ所得ノ金額及発生スル場所
二 其ノ年自己又ハ同居ノ戸主及家族ノ甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税ニ付所得税法第二十四条ノ規定ニ依ル控除ヲ受クル他ノ扶養家族アル場合ニ於テハ其ノ氏名
三 同居ノ戸主及家族ガ其ノ年分ノ不動産所得、事業所得、乙種ノ勤労所得又ハ山林ノ所得ニ対スル分類所得税ニ付所得税法第二十五条ノ規定ニ依リ控除ヲ受ケントスル他ノ扶養家族アル場合ニ於テハ其ノ氏名
第四十条 第三十一条ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ左ノ事項ヲ記載シ之ヲ支払者ヲ経由シ所轄税務署ニ提出スベシ
一 保険者ノ住所及名称
二 保険ノ種類
三 保険金額
四 保険金受取人ノ住所、氏名及保険契約者トノ続柄
五 前年中ニ払込ミタル保険料金額
第四十一条 第三十二条ノ規定ニ依ル控除ノ申請書ニハ前条各号ニ掲グル事項ヲ記載シ第三十六条ノ申告ト同時ニ之ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第四十二条 第三十八条ニ規定スル申告書並ニ第三十九条及第四十条ニ規定スル申請書ハ支払者ヲ異ニスル毎ニ毎年最初ノ給与ノ支払ヲ受クル日ノ前日迄ニ之ヲ其ノ給与ノ支払者ヲ経由シ所轄税務署ニ提出スベシ
第四十三条 所得税法第五条ノ規定ニ依リ所得税ノ免除ヲ受ケントスル者ハ第三十六条ノ申告ト同時ニ其ノ旨ヲ所轄税務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ第二条ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ第二条ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ヨリ生ズル所得ト其ノ他ノ所得トヲ区別シタル計算書ヲ添附スベシ
第四十四条 税務署長所得税法第三十六条乃至第三十八条及第八十八条第二項ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第四十五条 所得税法第三十九条第二項ノ公告ハ納税義務者ノ氏名及所得金額ヲ官報ニ掲載シテ之ヲ為スベシ
第四十六条 所得金額ノ決定後同居者ニ異動アルモ所得税法第十四条第二項、第十五条第二項、第十九条、第二十条第二項、第二十一条第四項、第二十五条第四項、第三十一条第二項、第三十二条第三項及第三十三条第二項ノ規定ノ適用ニ依リテ生ジタル効果ハ之ヲ変更セズ
第五章 所得調査委員会
第四十七条 所得税法第四十条第一項但書ノ規定ニ依リ所得調査委員会ヲ置クベキ市ハ大蔵大臣之ヲ指定ス
第四十八条 所得調査委員ノ定数ハ七人トス但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ大蔵大臣ハ之ヲ増減スルコトヲ得
第四十九条 所得税法第四十五条第二項ノ規定ニ依ル公示ニハ投票及開票ノ日時及場所ヲ記載スベシ
第五十条 税務署長ハ選挙期日前三十日ヲ期トシ其ノ日ノ現在ニ依リ選挙人名簿正副二通ヲ調製シ副本ヲ市区町村長ニ送付スベシ
市区町村長ハ選挙期日前二十日ヲ期トシ其ノ日ヨリ五日間市区役所又ハ町村役場ニ於テ選挙人名簿ノ副本ヲ関係者ノ縦覧ニ供スベシ
関係者選挙人名簿ノ副本ニ付異議アルトキハ縦覧期間内ニ之ヲ税務署長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ税務署長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ五日以内ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ場合ニ於テ其ノ決定ニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ税務署長正本ヲ修正シ名簿確定期日前市区町村長ヲシテ其ノ副本ヲ修正セシムベシ
選挙人名簿ハ選挙期日ノ前日ヲ以テ確定ス
島嶼其ノ他交通不便ノ地ニ於ケル選挙人名簿ニ付テハ大蔵大臣ハ第一項乃至第四項ノ規定ニ拘ラズ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第五十一条 市区町村長ハ投票区内ニ於テ選挙資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ投票及開票ニ立会ハシムベシ
第五十二条 投票ノ効力ハ開票立会人ノ意見ヲ聴キ市区町村長之ヲ決定スベシ
第五十三条 市区町村長ハ投票ノ有効無効ヲ区別シ所得調査委員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第五十四条 投票ノ調査終リタルトキハ市区町村長ハ直ニ左ノ事項ヲ税務署長ニ報告スベシ
一 投票及開票ノ日時及場所
二 投票及開票ノ立会人ノ住所及氏名
三 投票人及投票ノ総数並ニ有効投票及無効投票ノ数
四 投票ヲ無効ト決定シタル事由
五 被選挙人ノ氏名及其ノ得票数
第五十五条 選挙会ハ予メ税務署長ノ公示シタル場所及日時ニ於テ之ヲ開ク
第五十六条 税務署長ハ選挙区内ニ於テ選挙資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ選挙会ニ立会ハシムベシ
第五十七条 所得調査委員会ノ開会日数ハ各所得調査委員会ノ区域内ニ於ケル前年所得税法第三十六条第一項ノ所得ニ付所得税ヲ納メタル者及同項ノ所得ニ付所得税ヲ納メズシテ個人ノ営業ニ付営業税ヲ納メタル者ノ合計数ニ従ヒ左ノ如ク之ヲ定ム
五千人以上ナルトキ 三十日以内
三千人以上ナルトキ 二十五日以内
千人以上ナルトキ 二十日以内
五百人以上ナルトキ 十五日以内
五百人未満ナルトキ 十日以内
第五十八条 所得調査委員会ノ会長事故アルトキハ出席シタル所得調査委員中ノ年齢多キ者会長ノ職務ヲ代理ス
第五十九条 所得調査委員会ノ決議ハ会長之ヲ税務署長ニ通知スベシ
第六章 審査
第六十条 所得税法第六十七条第一項ノ審査ノ請求ヲ為サントスル者ハ事由ヲ具シ証憑書類ヲ添ヘ所得金額ノ決定ヲ為シタル税務署長ヲ経由シ税務監督局長ニ申出ヅベシ
第六十一条 所得審査委員及其ノ補欠員ノ選挙事務ハ税務監督局長之ヲ執行ス
第六十二条 所得審査委員ヲ選挙スルトキハ同時ニ之ト同数ノ補欠員ヲ選挙スベシ
補欠員ハ税務監督局所轄内各府県又ハ北海道ニ於テ所得調査委員之ヲ互選ス
第六十三条 税務監督局長ハ所得審査委員及補欠員ノ選挙期日、投票時間及投票場所ヲ定メ之ヲ所得調査委員ニ通知シ同時ニ投票用紙ヲ送付スベシ
前項ノ規定ニ依ル通知ニハ之ヲ受クベキ所得審査委員ノ属スル府県又ハ北海道ニ於ケル所得調査委員ノ氏名表ヲ添附スベシ
第六十四条 所得審査委員及補欠員ノ選挙ハ記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ所得審査委員及補欠員ノ各選挙ニ付一人一票ニ限ル
選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ投票所ニ到リ被選挙人各一人ノ氏名ヲ各別ノ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ但シ相当ノ事由ニ因リ自ラ投票所ニ到ルコト能ハザルトキハ郵便ニ依リ投票スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ投票時間後到著シタル投票ハ無効トス
第六十五条 税務監督局長ハ所得調査委員中ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ投票及開票ニ立会ハシムベシ
第六十六条 投票ノ多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス投票ノ数同ジキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第六十七条 所得審査委員ニ当選シタル者同時ニ補欠員ニ当選スルモ補欠員タルコトヲ得ズ
第六十八条 所得審査委員及補欠員ノ選挙終了シタルトキハ税務監督局長ハ当選人ニ当選ノ通知ヲ為シ且其ノ氏名ヲ公示スベシ
第六十九条 所得審査委員又ハ補欠員ニ当選シタル者ハ正当ノ事由ナクシテ之ヲ辞スルコトヲ得ズ
第七十条 所得審査委員及補欠員ハ税務監督局所轄内ニ於ケル所得調査委員全部ノ改選アリタルトキ之ヲ改選ス
第七十一条 所得調査委員ヨリ選挙セラレタル所得審査委員ニ欠員ヲ生ジタルトキハ補欠員ヲ以テ之ヲ補充ス但シ北海道ニ在リテハ補欠員中投票ノ最多数ヲ得タル者ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ数同ジキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ欠員ヲ補充スベキ補欠員ナキトキハ所得審査委員ノ補欠選挙ヲ行フ
第七十二条 所得審査委員又ハ補欠員ニシテ所得調査委員タルノ資格ナキニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第七十三条 所得審査委員会ハ税務監督局長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク
第七十四条 所得審査委員会ハ開会ノ始ニ於テ所得審査委員中ヨリ会長ヲ選挙スベシ
第七十五条 所得審査委員会ハ定員ノ過半数ニ当ル委員出席スルニ非ザレバ決議スルコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ会長ノ決スル所ニ依ル
第七十六条 所得審査委員会ノ会長事故アルトキハ出席シタル所得審査委員中年齢多キ者会長ノ職務ヲ代理ス
第七十七条 所得審査委員ハ自己及自己ト同一戸籍内ニ在ル者ノ所得ニ関スル議事ニ与ルコトヲ得ズ
第七十八条 税務監督局長又ハ其ノ代理官ハ所得審査委員会ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第七十九条 所得審査委員会ノ決議ハ会長之ヲ税務監督局長ニ通知スベシ
第八十条 税務監督局長所得税法第六十八条ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第七章 徴収
第八十一条 甲種ノ配当利子所得、甲種ノ勤労所得又ハ甲種ノ退職所得ニ付其ノ金額ノ支払者所得税ヲ徴収シタルトキハ翌月十日迄ニ払込書及計算書ヲ添ヘ之ヲ最寄ノ日本銀行ノ本店、支店又ハ代理店ニ払込ムベシ所得税法第一条ノ規定ニ該当セザル者ノ受クル甲種ノ配当利子所得、甲種ノ勤労所得又ハ甲種ノ退職所得ニ付テハ尚其ノ支払ヲ受ケタル者ノ各人別明細書ヲ添附スベシ
第八章 雑則
第八十二条 納税義務者災害、失業其ノ他ノ事由ニ因リ著シク資力ヲ喪失シ納税困難ト認ムルトキハ納税義務者ノ申請ニ依リ其ノ不動産所得、乙種ノ配当利子所得、事業所得、乙種ノ勤労所得、山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ対スル分類所得税又ハ総所得ニ対スル綜合所得税ニ付之ヲ軽減又ハ免除ス
第八十三条 納税義務者前条ノ規定ニ依リ所得税ノ軽減又ハ免除ヲ受ケントスルトキハ事由ヲ具シ所轄税務署ニ申請スベシ
第八十四条 所得税法第七十五条ノ規定ニ依ル所得税ノ軽減又ハ免除ニ関スル申請アリタル場合ニ於テ税務署長納税困難ト認ムル能ハザルトキハ之ヲ却下スベシ
第八十五条 税務署長所得税法第七十五条ノ規定ニ依リ所得税ヲ軽減又ハ免除シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第八十六条 税務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第二十三条ノ規定ニ依ル控除ヲ為シタル信託会社ニ対シ其ノ計算ヲ証明スベキ書類又ハ帳簿ノ呈示又ハ提出ヲ命ズルコトヲ得
第八十七条 税務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第三十七条及第三十九条ノ規定ニ依ル申請ヲ為シタル者ニ対シ戸籍ノ謄本若ハ抄本又ハ医師ノ診断書其ノ他必要ナル書類ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第八十八条 税務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第四十条及第四十一条ノ規定ニ依ル控除ノ申請ヲ為シタル者ニ対シ保険料領収証其ノ他必要ナル書類ノ呈示又ハ提出ヲ命ズルコトヲ得
第八十九条 所得税法施行地ニ於テ利子ノ支払ヲ為スベキ公債又ハ社債ヲ募集シタル者(委託募集ノ場合ニ於テハ委託ヲ受ケ募集シタル者)ハ所得税法第七十七条ノ規定ニ依リ其ノ公債又ハ社債ニ付左ノ事項ヲ記載シタル調書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
一 公債又ハ社債ノ名称及其ノ総額
二 利子支払期限及利率
三 償還ノ方法及期限
四 数回ニ分チテ払込ヲ為サシムルトキハ其ノ払込ノ金額及時期
五 発行ノ価額又ハ其ノ最低価額
六 記名式又ハ無記名式ニ限リタルトキハ其ノ旨
七 募入条件
第九十条 所得税法施行地ニ於テ無記名ノ公債、社債又ハ株式ニ付利子又ハ配当ノ支払ヲ受クル者ハ所得税法第七十八条ノ規定ニ依リ左ニ掲グル事項ヲ利子又ハ配当ノ支払ノ取扱者ニ告知スベシ但シ無記名ノ公債又ハ社債ニシテ一回ノ利子受領金額十五円未満ナルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 支払ヲ受クル者ノ住所又ハ居所及氏名又ハ名称
二 公債、社債又ハ株式ノ種類
三 支払ヲ受クル利子又ハ配当ノ金額
四 公債又ハ社債ニ付元本ノ所有者ニ非ザル者ガ利子ノ支払ヲ受クルトキハ其ノ元本ノ所有者ノ住所又ハ居所及氏名又ハ名称
五 配当利子特別税ヲ課セラレタル利子又ハ配当ナルトキハ其ノ税額
第九十一条 俸給、給料若ハ賞与又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支払ヲ為ス個人ニシテ常時十人以上ノ使用人ヲ使用スルモノハ所得税法第七十九条ノ規定ニ依リ毎年十二月一日現在ニ於ケル使用人ノ職名別人員ヲ記載シタル申告書ヲ其ノ年十二月十日迄ニ所轄税務署ニ提出スベシ
第九十二条 所得税法第八十条第一項ノ規定ニ依リ支払調書ヲ提出スル義務アル者ハ左ノ期限ニ従ヒ之ヲ所轄税務署ニ提出スベシ但シ登録国債、郵便官署ノ保管ニ係ル公債社債若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ同一人ニ対スル支払金額年百円未満ナルモノ並ニ第九十条但書ニ規定スル公債又ハ社債ノ利子ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 俸給、給料、歳費、費用弁償、年金、恩給若ハ賞与又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ毎年一月末日限
二 法人ノ利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニ付テハ配当金額又ハ分配金額ノ確定シタル日ヨリ三十日以内但シ無記名ノ株式ヲ有スル者ニ支払ヒタル法人ノ利益又ハ利息ノ配当ニ付テハ毎年三月十五日限
三 公債、社債若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニ付テハ毎年一月末日限
無記名ノ公債、社債又ハ株式ノ利子又ハ配当ニ付テハ第九十条ノ規定ニ依ル告知書ヲ以テ前項ノ支払調書ニ代フルコトヲ得
第九十三条 前条ノ支払調書ニハ左ノ各号ノ規定ニ依リ支払ヲ受クル者ノ住所又ハ居所、氏名又ハ名称及各人別支払金額ヲ記載スベシ
一 俸給、給料、歳費、費用弁償、年金、恩給若ハ賞与又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ前年中ノ支払金額及其ノ金額計算ノ基礎、所得税法第十六条、第二十四条又ハ第二十六条ノ二ノ規定ニ依リ控除ヲ為シタル金額並ニ分類所得税ヲ徴収シタルモノニ在リテハ該税額
二 公債、社債若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニ付テハ前年中ノ支払金額、公債、社債、預金又ハ合同運用信託ノ種類、元本、利率、利子計算期間其ノ他支払金額計算ノ基礎、支払金額ノ確定シタル月日、配当利子特別税ヲ課セラレタルモノニ在リテハ該税額並ニ無記名ノ公債又ハ社債ノ利子ノ支払ヲ受ケタル者ガ元本ノ所有者ト異ルトキハ元本所有者ノ住所又ハ居所及氏名又ハ名称
三 法人ノ利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニ付テハ其ノ支払金額(無記名ノ株式ニ付テハ前年三月一日ヨリ其ノ年二月末日ニ至ル期間ノ支払金額)、支払金額ノ確定シタル月日(無記名ノ株式ニ付テハ支払月日)並ニ其ノ支払ヲ受クル者ノ種類別及払込金額別株式数、出資金額、基金其ノ他支払金額計算ノ基礎
第九十四条 信託ノ受託者ハ左ノ期限ニ従ヒ各信託(合同運用信託ヲ除ク)ノ計算書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
一 信託会社ニ在リテハ毎事業年度終了後二十日限
二 信託会社ニ非ザル受託者ニ在リテハ毎年三月十五日限
第九十五条 前条ノ計算書ニハ各信託ニ付左ノ事項ヲ記載スベシ
一 委託者及受益者ノ住所及氏名又ハ名称
二 信託行為ノ時及信託ノ期間
三 信託会社ニ在リテハ各事業年度末、信託会社ニ非ザル受託者ニ在リテハ前年十二月末日ニ於ケル信託財産ノ種類及現在額
四 信託会社ニ在リテハ各事業年度中、信託会社ニ非ザル受託者ニ在リテハ前年中ニ於ケル信託財産ノ異動及信託ニ関スル収入支出
五 前各号ニ掲グルモノノ外信託行為ノ内容ニ関スル事項
第九十六条 所得税法第七十二条ノ規定ニ依リ甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税ヲ徴収シタル者ニ対シテハ其ノ請求ニ依リ毎年取扱ヒタル甲種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税ノ納税者一人ニ付十銭ヲ交付ス
前項ノ金額ノ交付ヲ受ケントスル者ハ翌年一月三十一日迄ニ請求書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第九十七条 第九十二条又ハ第九十四条ノ規定ニ依リ支払調書又ハ計算書ヲ提出シタル者ニ対シテハ其ノ請求ニ依リ左ノ金額ヲ交付ス但シ所得税法第九十条ノ規定ニ依リ処罰セラレタル者ノ提出ニ係ル支払調書又ハ計算書ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 第九十二条ニ規定スル支払調書ニ付テハ記載事項一件一人毎ニ五厘
二 第九十四条ニ規定スル計算書ニ付テハ一信託毎ニ三銭
前項ノ金額ノ交付ヲ受ケントスル者ハ支払調書又ハ計算書提出後三十日以内ニ請求書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
第九十八条 所得税ヲ課セザル法人無記名ノ公債又ハ社債ヲ取得シ又ハ喪失シタルトキハ其ノ名称、額面金額、記号及番号ヲ利子支払ノ取扱者ニ通知スベシ
第九十九条 不動産所得、乙種ノ配当利子所得、事業所得、乙種ノ勤労所得、山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ対スル分類所得税又ハ個人ノ総所得ニ対スル綜合所得税ヲ納ムル義務アル者居所地ニ於テ所得税ヲ納メントスルトキハ其ノ旨居所地ノ税務署ニ申告スベシ
第百条 所得税法第八十四条第二項ノ規定ニ依リ納税地ヲ定メタルトキハ納税地ノ税務署ニ申告スベシ申告ナキトキハ税務署長其ノ納税地ヲ指定ス
第百一条 納税義務者納税地ノ税務署所轄外ニ於テ生ズル所得ヲ有スルトキハ其ノ所得ノ生ズル地ノ税務署ニ納税地ヲ申告スベシ
第百二条 納税義務者納税地ヲ変更スルトキハ其ノ旨新納税地ノ税務署ニ申告スベシ
第百三条 納税義務者所得税法施行地外ニ住所又ハ居所ヲ移サントスルトキハ其ノ旨納税地ノ税務署ニ申告スベシ
第百四条 納税義務者納税管理人ヲ定メタルトキハ其ノ氏名及住所又ハ居所ヲ納税地ノ税務署ニ申告スベシ
第百五条 税務署長又ハ其ノ代理官ハ所得税法第八十一条ノ規定ニ依リ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査スルトキハ検査章ヲ携帯スベシ
附 則
第百六条 本令ハ昭和十五年法律第二十四号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第百七条 不動産所得、乙種ノ配当利子所得、事業所得、乙種ノ勤労所得、山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ付テハ昭和十五年分分類所得税ヨリ、個人ノ総所得ニ付テハ昭和十五年分綜合所得税ヨリ本令ヲ適用ス
第百八条 法人ノ本令施行前ニ終了シタル各事業年度分ノ所得及本令施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル清算所得ニ対スル所得税並ニ本令施行前ニ賦課シ若ハ賦課スベカリシ又ハ徴収シ若ハ徴収スベカリシ第二種又ハ第三種ノ所得ニ対スル所得税ニ関シテハ仍従前ノ例ニ依ル
第百九条 所得税法第百一条ノ規定ニ依ル昭和十五年分ノ所得税ノ軽減若ハ免除又ハ所得金額ノ計算ニ関スル特例ハ左ノ各号ニ定ムル所ニ依ル
一 昭和十四年一月一日以後同年十二月三十一日迄ニ相続ニ因ルニ非ズシテ新ニ不動産、不動産上ノ権利若ハ船舶ノ貸付ニ因ル所得、営業ノ所得又ハ職業ノ所得ヲ有スルニ至リタル者ノ当該所得ニ付テハ昭和十五年分ノ分類所得税及綜合所得税ヲ免除ス但シ昭和十四年ノ所得調査委員会閉会後ニ於テ新ニ有スルニ至リタル不動産、不動産上ノ権利若ハ船舶ノ貸付ニ因ル所得、営業ノ所得又ハ職業ノ所得ニシテ改正前ノ所得税法第二十六条第三項ノ規定ニ依リ第三種ノ所得金額ノ決定ヲ受ケザリシモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 昭和十四年一月一日以後同年十二月三十一日迄ニ新ニ俸給、給料、歳費、費用弁償、年金及恩給並ニ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支給ヲ受クルニ至リタル者ノ当該給与ニ付テハ昭和十五年分ノ乙種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税及綜合所得税ヲ免除ス前号但書ノ規定ハ此ノ場合ニ付之ヲ準用ス
三 昭和十四年十二月三十一日迄ニ営業又ハ職業ノ全部ヲ廃止シタル個人ノ営業又ハ職業ノ所得ニ付テハ昭和十五年分ノ分類所得税及綜合所得税ヲ免除ス
四 昭和十四年中ニ俸給、給料、歳費、費用弁償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支給ヲ受ケタル者昭和十四年十二月三十一日迄ニ当該給与ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキハ当該給与ニ付テハ昭和十五年分ノ乙種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税及綜合所得税ヲ免除ス但シ昭和十五年分所得金額決定当時ニ於テ現ニ俸給、給料、歳費、費用弁償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支給ヲ受クル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
五 昭和十五年一月一日以後昭和十五年分所得金額決定前ニ営業又ハ職業ノ全部ヲ廃止シタル個人ニ付テハ昭和十五年分ノ事業所得金額及総所得金額ハ昭和十五年一月一日ヨリ営業又ハ職業ヲ廃止スル迄ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ニ依リ之ヲ計算ス
六 昭和十四年中ニ俸給、給料、歳費、費用弁償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支給ヲ受ケタル者昭和十五年一月一日以後昭和十五年分所得金額決定前ニ当該給与ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキハ昭和十五年分ノ乙種ノ勤労所得金額及総所得金額ハ昭和十五年一月一日ヨリ当該給与ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキ迄ノ収入金額ニ依リ之ヲ計算ス第四号但書ノ規定ハ此ノ場合ニ付之ヲ準用ス
七 昭和十四年分第三種所得金額決定後昭和十五年分所得金額決定前ニ於テ営業ヲ法人ニ継続セシメタル個人ノ当該営業ノ所得ニ付テハ第三号又ハ第五号ノ規定ニ依ラズ当該営業ノ所得ニ対スル昭和十五年分ノ分類所得税又ハ綜合所得税ニ付当該営業ノ所得ニ対スル昭和十四年分ノ第三種所得税及同附加税ニ相当スル金額ヲ軽減ス此ノ場合ニ於テハ先ヅ分類所得税ニ付軽減ヲ為シ不足アルトキハ綜合所得税ニ及ブ
第百十条 所得税法第百一条ノ規定ニ依ル昭和十六年分ノ所得税ノ免除ハ左ノ各号ニ定ムル所ニ依ル
一 昭和十五年一月一日以後同年十二月三十一日迄ニ営業又ハ職業ノ全部ヲ廃止シタル個人ノ営業又ハ職業ノ所得ニ付テハ昭和十六年分ノ分類所得税及綜合所得税ヲ免除ス但シ営業ヲ法人ニ継続セシメタル個人ノ営業ノ所得ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 昭和十五年中ニ俸給、給料、歳費、費用弁償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支給ヲ受ケタル者昭和十五年十二月三十一日迄ニ当該給与ノ支給ヲ受ケザルニ至リタルトキハ当該給与ニ付テハ昭和十六年分ノ乙種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税及綜合所得税ヲ免除ス但シ昭和十六年分所得金額決定当時ニ於テ現ニ俸給、給料、歳費、費用弁償、年金若ハ恩給又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支給ヲ受クル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第百十一条 所得税法第百一条ノ規定ニ依ル昭和十五年分及昭和十六年分ノ水産業ノ所得金額ノ計算ニ関スル特例ハ左ノ各号ニ定ムル所ニ依ル
一 昭和十五年分ノ所得金額ハ昭和十四年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額又ハ第九条ノ規定ニ依リ算出シタル金額ノ何レカ少額ナル一方ノ金額ニ依ル
二 昭和十六年分ノ所得金額ハ昭和十四年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額及昭和十五年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ノ平均ニ依リ算出シタル金額又ハ第九条ノ規定ニ依リ算出シタル金額ノ何レカ少額ナル一方ノ金額ニ依ル
第百十二条 所得税法第百五条ノ規定ニ依リ百分ノ三ノ税率ニ依リ分類所得税ノ賦課ヲ受クベキ国債ノ利子ヲ有スル貯蓄銀行ハ当該国債ノ利子ノ支払ヲ受クル際貯蓄銀行法第九条第一項ノ規定ニ依ル供託国債ノ利子ナル旨ヲ利子支払ノ取扱者ニ告知スベシ
第百十三条 所得税法第百六条第一項ノ規定ニ依リ支払ノ際綜合所得税ヲ賦課スルコトヲ得ベキ合同運用信託ノ利益ハ第三十三条ニ規定スルモノニ限ル
第百十四条 所得税法第百六条第一項ノ規定ニ依リ利子又ハ利益支払ノ際綜合所得税ノ賦課ヲ受ケントスル者ハ利子又ハ利益ノ支払ヲ受クル際其ノ旨ノ申請書ヲ提出スベシ
所得税法第百六条第一項ノ規定ニ依リ利子又ハ利益支払ノ際綜合所得税ノ賦課ヲ受ケタル者ニ付テハ大蔵大臣ノ定ムル調書ヲ以テ第九十二条ノ規定ニ依ル支払調書ニ代フルコトヲ得
第百十五条 所得税法第百六条第一項ニ規定スル利子又ハ利益ニ付其ノ支払者綜合所得税ヲ徴収シタルトキハ翌月十日迄ニ払込書及計算書ヲ添ヘ之ヲ最寄ノ日本銀行ノ本店、支店又ハ代理店ニ払込ムベシ
第百十六条 所得税法第百七条第一項ノ規定ニ依リ合同運用信託ノ利益ニ対スル分類所得税額ヨリ控除スベキ第二種ノ所得ニ対スル所得税額及資本利子税額ハ信託会社ニ於テ合同運用信託ノ利益ニ対スル分類所得税徴収ノ際之ヲ控除スベシ
第百十七条 俸給、給料若ハ賞与又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ノ支払ヲ為ス個人ニシテ常時十人以上ノ使用人ヲ使用スルモノハ昭和十五年ニ限リ第九十一条ノ規定ニ依ル申告書ノ外昭和十五年四月一日現在ニ於ケル使用人ノ職名別人員ヲ記載シタル申告書ヲ本令施行後直ニ所轄税務署ニ提出スベシ
第百十八条 税務署長ハ本令施行後直ニ第五条第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ為シ其ノ旨ヲ指定ヲ受ケタル者ニ通知スベシ
前項ノ場合ニ於テハ其ノ指定ハ第五条第三項ノ規定ニ拘ラズ前項ノ通知ヲ為シタル日ノ翌日ヨリ其ノ効力ヲ発生ス
第百十九条 第三十八条ニ規定スル申告書並ニ第三十九条及第四十条ニ規定スル申請書ハ昭和十五年ニ限リ支払者ヲ異ニスル毎ニ同年四月一日以後最初ノ給与ノ支払ヲ受クル日ノ前日迄ニ之ヲ其ノ給与ノ支払者ヲ経由シ所轄税務署ニ提出スベシ
第百二十条 昭和十五年ノ所得調査委員会ノ開会日数ハ第五十七条ノ規定ニ拘ラズ従前ノ第三十四条ノ規定ニ依ル