朕所得稅法施行規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年七月三十一日
內閣總理大臣 原敬
大藏大臣 男爵 高橋是淸
勅令第二百二十六號
所得稅法施行規則
第一條 法人ノ超過所得ノ算出ニ付其ノ資本金額ニ對スル年百分ノ十ノ割合ノ金額ハ當該事業年度ノ月數ヲ資本金額ニ乘シ之ヲ十二分シタル金額ニ百分ノ十ヲ乘シテ之ヲ計算ス
前項ノ月數ハ曆ニ從ヒ之ヲ計算シ一月ニ滿タサル端數ヲ生シタルトキハ之ヲ一月トス
前二項ノ規定ハ所得稅法第二十一條ノ規定ニ依ル超過所得ノ各級金額ノ算出ニ付之ヲ準用ス
第二條 所得稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサル法人ノ超過所得算出ノ基礎タル資本金額ハ總資產價額ニ對スル所得稅法施行地ニ於ケル資產價額ノ割合ヲ總資本金額ニ乘シ之ヲ計算ス
前項ノ場合ニ於テ資產價額ノ割合ニ依ルヲ不適當トスルトキハ收入金又ハ所得ノ割合其ノ他適當ナル方法ニ依リ之ヲ計算ス
第三條 所得稅ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ超過所得算出ノ基礎タル資本金額ハ總資產價額ニ對スル所得稅ヲ課スヘキ所得ノ基本タル資產價額ノ割合ヲ總資本金額ニ乘シ之ヲ計算ス此ノ場合ニ於テハ前條第二項ノ規定ヲ準用ス
第四條 所得稅ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ所得稅ヲ課スヘキ留保所得ハ總所得ニ對スル所得稅ヲ課スヘキ所得ノ割合ヲ總留保所得金額ニ乘シ之ヲ計算ス
第五條 所得稅法第二十一條第二項但書ノ規定ハ當該事業年度ニ於ケル留保所得中最高キ稅率ヲ適用スヘキ金額ヨリ順次低キ稅率ヲ適用スヘキ金額ニ付之ヲ適用ス
第六條 所得稅ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ所得稅ヲ課スヘキ所得稅法第十條第一項ノ規定ニ依ル配當所得ノ計算ニ付テハ第四條ノ規定ヲ準用ス
第七條 所得稅法第十四條ノ規定ニ依リ總收入金額ヨリ控除スヘキ經費ハ種苗蠶種肥料ノ購買費、家畜其ノ他ノモノノ飼養料、仕入品ノ原價、原料品ノ代價、場所物件ノ修繕費又ハ借入料、場所物件又ハ業務ニ係ル公課、雇人ノ給料其ノ他收入ヲ得ルニ必要ナルモノニ限ル但シ家事上ノ費用及之ニ關聯スルモノハ之ヲ控除セス
第八條 第三種ノ所得ノ申告、調查又ハ決定ハ各其ノ當時ノ現況ニ依リテ所得額ヲ算出シ之ヲ爲スヘシ
所得稅法第十四條第一項第二號又ハ第六號ノ規定ニ依ル所得計算ニ付損失アルトキハ同條第一項第一號、第二號及第六號ノ規定ニ依ル所得ノ合算額ヨリ之ヲ差引キ計算ス
第九條 所得稅法第十六條ノ不具癈疾者トハ心神喪失ノ常況ニ在ル者、聾者、啞者、盲者其ノ他重大ナル傷痍ヲ受ケ又ハ不治ノ疾患ニ罹リ常ニ介護ヲ要スル者ヲ謂フ
第十條 所得稅法第二十五條第二項ノ申請書ニハ年齡十八歲未滿若ハ六十歲以上ノ者又ハ不具癈疾者ノ氏名、生年月日、職業、申請者トノ續柄及不具癈疾ノ事實ヲ記載シ之ヲ所轄稅務署ニ提出スヘシ
其ノ年五月一日以後ニ於テ第三種ノ所得ニ付納稅義務アルニ至リタル者所得稅法第十六條ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケムトスルトキハ所得金額ノ決定前其ノ所得ノ申告ト同時ニ前項ノ申請書ヲ提出スヘシ
所得稅法第十六條第二項ノ場合ニ於テハ前二項ノ申請書ハ所得ヲ有スル者ノ一人ヨリ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第十一條 稅務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ前條ノ規定ニ依ル申請ヲ爲シタル者ニ對シ戶籍ノ謄本若ハ抄本又ハ醫師ノ診斷書其ノ他必要ナル書類ノ提出ヲ命スルコトヲ得
第十二條 左ニ揭クル公共團體ニハ所得稅法第十七條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ課セス
一 府縣組合、郡組合、市町村組合、町村組合、市町村內ノ區、沖繩縣ノ區及區內ノ部、北海道地方費、北海道ノ區及區町村內ノ部、市町村學校組合、町村學校組合、學區、水利組合、水利組合聯合、耕地整理組合、耕地整理組合聯合會、北海道土功組合、重要物產同業組合、重要物產同業組合聯合會、森林組合、酒造組合、酒造組合聯合會、水產組合、水產組合聯合會、外國領海水產組合、外國領海水產組合聯合會、畜產組合、畜產組合聯合會、農會、商業會議所其ノ他此等ノ公共團體ニ準スヘキモノ
二 朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ノ公共團體ニシテ各其ノ地ノ法令ニ依リ所得稅ヲ課セサルモノト指定セラレタルモノ
第十三條 左ニ揭クル物產ノ製造業ヲ營ム者ニハ所得稅法第十九條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ免除ス
一 金、銀、鉛、亞鉛、鐵又ハアルミニウムノ地金
二 鐵ノ條、竿、テー形アングル形類、軌條、板、線及管(鑄製管ヲ除ク)
三 銅ノ合金ノ條、竿、板及管
四 汽鑵、原動機(機關車ヲ含ム)及動力ヲ以テ運轉スル鐵製ノ機械
五 燐、曹達灰、苛性曹達、硫酸アムモニウム、石炭酸、クロール酸加里及グリセリン
六 製紙用パルプ
七 板硝子
八 コンデンスドミルク
九 絹、亞麻又ハ毛ノ織物
前項第九號ノ物產ノ製造業ニ付テハ動力ヲ以テ運轉スル機械ヲ使用シ幅鯨尺一尺八寸以上及長鯨尺三十尺以上ノ織物ノミヲ製造スル者ニ限ル
第十四條 前條ノ製造業ヲ繼續シ又ハ其ノ繼續ト認ムヘキ事實アル者ハ其ノ製造業ニ付所得稅ノ免除期間ノ殘存スルトキニ限リ其ノ免除期間ヲ繼承ス
第十五條 所得稅法第十九條ノ規定ニ依リ所得稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ同法第二十四條又ハ第二十五條ノ申告ト同時ニ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スヘシ但シ其ノ年五月一日以後ニ於テ第三種ノ所得ニ付納稅義務アルニ至リタルトキハ所得金額ノ決定前其ノ所得ノ申告ト同時ニ之ヲ申請スヘシ
前項ノ場合ニ於テ第十三條ノ製造業ヨリ生スル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ第十三條ノ製造業ヨリ生スル所得ト其ノ他ノ所得トヲ區別シタル計算書ヲ添附スヘシ
第十六條 法人ノ各事業年度ノ所得ハ每事業年度決算確定ノ日若ハ合併ノ日ヨリ十四日內又ハ淸算著手ノ日ヨリ二十日內ニ之ヲ所轄稅務署ニ申告スヘシ
第十七條 解散シタル法人ノ淸算所得ハ殘餘財產確定シタルトキ其ノ分配前ニ淸算期間中ノ收支計算書ヲ添附シ之ヲ所轄稅務署ニ申告スヘシ殘餘財產ヲ數囘ニ分チテ分配スル場合ニ於テハ其ノ分配スヘキ殘餘財產確定ノ都度之ヲ申告スヘシ
第十八條 合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ淸算所得ハ合併ノ日ヨリ十四日內ニ合併ニ關スル書類及合併ニ因リテ繼承シタル資產ノ明細書ヲ添附シ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人之ヲ所轄稅務署ニ申告スヘシ
第十九條 第三種ノ所得ニ付納稅義務アル者ハ所得ノ種類金額、所得ノ基本タル資產營業ノ所在地、所得ノ發生スル場所及所得算出ノ基礎ヲ詳記シ所轄稅務署ニ申告スヘシ
所得稅法第二十三條第二項ノ規定ニ依リ同居者ノ所得金額ヲ合算スヘキ場合ニ於テハ各其ノ所得ヲ區別シ連署ヲ以テ申告スヘシ但シ所得アル同居者ノ氏名ヲ附記シ各別ニ申告スルコトヲ妨ケス
第二十條 所得稅法第五十六條第一項ノ規定ニ依リ支拂調書ヲ提出スル義務アル者ハ左ノ期限ニ從ヒ之ヲ所轄稅務署ニ提出スヘシ
一 俸給、給料、歲費、年金、恩給、退隱料又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ每年四月末日限
二 賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ其ノ支拂金額ノ確定シタル日ヨリ三十日限
三 法人ノ利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ付テハ配當金額又ハ分配金額ノ確定シタル日ヨリ三十日限
無記名式ノ株式ヲ有スル者ニ支拂ヒタル法人ノ利益又ハ利息ノ配當ニ付テハ每年四月末日限
第二十一條 前條ノ支拂調書ニハ左ノ各號ノ規定ニ依リ支拂ヲ受クル者ノ住所又ハ居所、氏名及各人別支拂金額ヲ記載スヘシ
一 俸給、給料、歲費、年金、恩給、退隱料又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ其ノ年分ノ支拂金額及其ノ金額計算ノ基礎但シ其ノ年一月一日以後調書提出ノ時迄ニ異動アリタルモノニ付テハ其ノ事實
二 賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ其ノ支拂金額及支拂金額ノ確定シタル月日
三 法人ノ利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ付テハ其ノ支拂金額、支拂金額ノ確定シタル月日及其ノ支拂ヲ受クル者ノ拂込金額別株式數、出資金額、基金其ノ他支拂金額計算ノ基礎
無記名式ノ株式ヲ有スル者ニ支拂ヒタル法人ノ利益又ハ利息ノ配當ニ付テハ前年四月一日ヨリ其ノ年三月末日ニ至ル期間ノ支拂金額、支拂月日及其ノ支拂ヲ受ケタル者ノ拂込金額別株式數其ノ他支拂金額計算ノ基礎
第二十二條 第二十條第一號ノ規定ニ依リ支拂調書ヲ提出シタル後六月末日迄ニ其ノ記載事項ニ付異動アリタルトキハ七月十日迄ニ異動調書ヲ提出スヘシ
第二十三條 第二十條及前條ノ規定ニ依ル調書ヲ提出シタルモノニ對シテハ其ノ請求ニ因リ調書ニ記載シタル一件一人每ニ五厘ノ割合ヲ以テ計算シタル金額ヲ交付ス
前項ノ金額ノ交付ヲ受ケムトスル者ハ其ノ計算ノ基礎ヲ記載シタル請求書ヲ七月末日迄ニ所轄稅務署ニ提出スヘシ
第二十四條 所得稅法第二十八條第一項但書ノ規定ニ依リ所得調查委員會ヲ置クヘキ市又ハ北海道、沖繩縣ノ區ハ大藏大臣之ヲ指定ス
第二十五條 調查委員ノ定數ハ五人トス但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ大藏大臣ハ之ヲ增減スルコトヲ得
第二十六條 所得稅法第三十三條第二項ノ規定ニ依ル公示ニハ投票及開票ノ日時及場所ヲ記載スヘシ
第二十七條 稅務署長ハ選擧期日前三十日ヲ期トシ其ノ日ノ現在ニ依リ選擧人名簿正副二通ヲ調製シ副本ヲ市區町村長又ハ戶長ニ送付スヘシ
市區町村長又ハ戶長ハ選擧期日前二十日ヲ期トシ其ノ日ヨリ五日間市區役所、町村役場又ハ戶長役場ニ於テ選擧人名簿ノ副本ヲ關係者ノ縱覽ニ供スヘシ
關係者選擧人名簿ノ副本ニ付異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ稅務署長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ稅務署長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ五日內ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ場合ニ於テ其ノ決定ニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ稅務署長ハ正本ヲ修正シ名簿確定期日前市區町村長又ハ戶長ヲシテ其ノ副本ヲ修正セシムヘシ
選擧人名簿ハ選擧期日ノ前日ヲ以テ確定ス
島嶼其ノ他交通不便ノ地ニ於ケル選擧人名薄ニ付テハ大藏大臣ハ第一項乃至第四項ノ規定ニ拘ラス別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十八條 市區町村長又ハ戶長ハ投票區內ニ於テ選擧資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ投票及開票ニ立會ハシムヘシ
第二十九條 投票ノ效力ハ開票立會人ノ意見ヲ聽キ市區町村長又ハ戶長之ヲ決定スヘシ
第三十條 市區町村長又ハ戶長ハ投票ノ有效無效ヲ區別シ認查委員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第三十一條 投票ノ調查終リタルトキハ市區町村長又ハ戶長ハ直ニ左ノ事項ヲ稅務署長ニ報告スヘシ
一 投票及開票ノ日時及場所
二 投票及開票ノ立會人ノ住所及氏名
三 投票人及投票ノ總數竝有效投票及無效投票ノ數
四 投票ヲ無效ト決定シタル事由
五 被選擧人ノ氏名及其ノ得票數
第三十二條 選擧會ハ豫メ稅務署長ノ公示シタル場所及日時ニ於テ之ヲ開ク
第三十三條 稅務署長ハ選擧區內ニ於テ選擧資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ選擧會ニ立會ハシムヘシ
第三十四條 所得調查委員會ノ開會日數ハ各所得調查委員會ノ區域內ニ於ケル前年第三種ノ所得ニ付所得稅ヲ納メタル者ノ數ニ從ヒ左ノ如ク之ヲ定ム
五千人以上ナルトキ 三十日以內
三千人以上ナルトキ 二十五日以內
千人以上ナルトキ 二十日以內
五百人以上ナルトキ 十五日以內
五百人未滿ナルトキ 十日以內
第三十五條 所得調查委員會ノ會長事故アルトキハ出席シタル調查委員中ノ年齡多キ者會長ノ職務ヲ代理ス
第三十六條 所得調查委員會ノ決議ハ會長之ヲ稅務署長ニ通知スヘシ
第三十七條 稅務署長所得稅法第二十六條、第五十一條第五十二條又ハ第七十四條第二項ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第三十八條 所得稅法第五十九條第二項ノ公告ハ納稅義務者ノ氏名及所得金額ヲ官報ニ揭載シテ之ヲ爲スヘシ
第三十九條 所得稅法第六十條第一項ノ審查ノ請求ヲ爲サムトスル者ハ事由ヲ具シ證憑書類ヲ添ヘ所得金額ノ決定ヲ爲シタル稅務署長ヲ經由シ稅務監督局長ニ申出ツヘシ
第四十條 審查委員及其ノ補闕員ノ選擧事務ハ稅務監督局長之ヲ執行ス
第四十一條 審查委員ヲ選擧スルトキハ同時ニ之ト同數ノ補闕員ヲ選擧スヘシ
補闕員ハ稅務監督局所轄內各府縣又ハ北海道ニ於テ調查委員之ヲ互選ス
第四十二條 稅務監督局長ハ審查委員及補闕員ノ選擧期日、投票時間及投票場所ヲ定メ之ヲ調查委員ニ通知シ同時ニ投票用紙ヲ送付スヘシ
前項ノ規定ニ依ル通知ニハ之ヲ受クヘキ調查委員ノ屬スル府縣又ハ北海道ニ於ケル調查委員ノ氏名表ヲ添附スヘシ
第四十三條 審查委員及補闕員ノ選擧ハ記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ審查委員及補闕員ノ各選擧ニ付一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ投票所ニ至リ被選擧人各一人ノ氏名ヲ各別ノ投票用紙ニ記載シテ投票スヘシ但シ相當ノ事由ニ因リ自ラ投票所ニ至ルコト能ハサルトキハ郵便ニ依リ投票スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ投票時間後到著シタル投票ハ無效トス
第四十四條 稅務監督局長ハ調查委員中ヨリ二人ノ立會人ヲ選任シ投票及開票ニ立會ハシムヘシ
第四十五條 投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス投票ノ數同シキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條 審查委員ニ當選シタル者同時ニ補闕員ニ當選スルモ補闕員タルコトヲ得ス
第四十七條 審查委員及補闕員ノ選擧終了シタルトキハ稅務監督局長ハ當選人ニ當選ノ通知ヲ爲シ且其ノ氏名ヲ公示スヘシ
第四十八條 審查委員又ハ補闕員ニ當選シタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ス
第四十九條 審查委員及補闕員ハ稅務監督局所轄內ニ於ケル調查委員全部ノ改選アリタルトキ又ハ稅務監督局ノ管轄區域ニ異動アリタルトキ之ヲ改選ス
第五十條 調查委員ヨリ選擧セラレタル審查委員ニ闕員ヲ生シタルトキハ補闕員ヲ以テ之ヲ補充ス但シ北海道ニ在リテハ補闕員中投票ノ最多數ヲ得タル者ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ數同シキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ闕員ヲ補充スヘキ補闕員ナキトキハ審查委員ノ補闕選擧ヲ行フ
第五十一條 審查委員又ハ補闕員ニシテ調查委員タルノ資格ナキニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第五十二條 所得審查委員會ハ稅務監督局長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク
第五十三條 所得審查委員會ハ開會ノ始ニ於テ審查委員中ヨリ會長ヲ選擧スヘシ
第五十四條 所得審查委員會ハ定員ノ過半數ニ當ル委員出席スルニ非サレハ決議スルコトヲ得ス
議事ハ出席員ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依ル
第五十五條 所得審查委員會ノ會長事故アルトキハ出席シタル審查委員中年齡多キ者會長ノ職務ヲ代理ス
第五十六條 審查委員ハ自己及自己ト同一戶籍內ニ在ル者ノ所得ニ關スル議事ニ與ルコトヲ得ス
第五十七條 稅務監督局長又ハ其ノ代理官ハ所得審查委員會ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第五十八條 所得審查委員會ノ決議ハ會長之ヲ稅務監督局長ニ通知スヘシ
第五十九條 稅務監督局長所得稅法第六十一條ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第六十條 納稅義務者所得稅法第六十四條ノ規定ニ依リ所得金額ノ更訂ノ請求ヲ爲サムトスルトキハ同時ニ所得稅法第十六條ノ規定ニ依ル控除ヲ申請スルコトヲ得
第十條及第十一條ノ規定ハ前項ノ申請ニ付之ヲ準用ス
第六十一條 所得稅法第六十四條第一項ノ請求アリタル場合ニ於テ其ノ請求カ手續ニ違背シタルモノナルトキ又ハ稅務署長ニ於テ收入豫算年額四分ノ一以上ノ減損ナシト認メタルトキハ之ヲ却下スヘシ
第六十二條 稅務署長所得稅法第六十五條ノ規定ニ依リ所得金額ヲ更訂シタルトキハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第六十三條 所得金額ノ決定後同居者ニ異動アルモ所得稅法第十五條第二項、第十六條第二項、第二十條第二項及第二十三條第二項ノ規定ノ適用ニ依リテ生シタル效果ハ之ヲ變更セス
第六十四條 所得稅ヲ課セサル法人無記名ノ公債又ハ社債ヲ取得シ又ハ喪失シタルトキハ其ノ名稱、額面金額、記號及番號ヲ利子支拂ノ取扱所ニ通知スヘシ
第六十五條 第二種ノ所得ニ付其ノ金額ノ支拂者所得稅ヲ徵收シタルトキハ翌月十日迄ニ拂込書及計算書ヲ添ヘ之ヲ其ノ地ノ金庫ニ拂込ムヘシ第二種乙ノ所得ニ付テハ尙其ノ支拂ヲ受ケタル者ノ各人別明細書ヲ添附スヘシ
第六十六條 所得稅法第七十二條第二項ノ規定ニ依リ納稅地ヲ定メタルトキハ之ヲ納稅地ノ稅務署ニ申告スヘシ申告ナキトキハ稅務署長其ノ納稅地ヲ指定ス
第六十七條 第三種ノ所得ニ付所得稅ヲ納ムル義務アル者居所地ニ於テ所得稅ヲ納メムトスルトキハ其ノ旨居所地ノ稅務署ニ申告スヘシ
第六十八條 納稅義務者納稅地ノ稅務署所轄外ニ於テ生スル所得ヲ有スルトキハ其ノ所得ノ生スル地ノ稅務署ニ納稅地ヲ申告スヘシ
第六十九條 納稅義務者納稅地ヲ變更スルトキハ其ノ旨新納稅地ノ稅務署ニ申告スヘシ
第七十條 納稅義務者所得稅法施行地外ニ住所又ハ居所ヲ移サムトスルトキハ其ノ旨納稅地ノ稅務署ニ申告スヘシ
第七十一條 納稅義務者納稅管理人ヲ定メタルトキハ其ノ氏名及住所又ハ居所ヲ納稅地ノ稅務署ニ申告スヘシ
第七十二條 大正九年法律第十二號第三條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ免除スヘキ期間ハ各當該地ノ法令ニ依リ所得稅ヲ免除スヘキ當該製造業ニ付定メラレタル所得稅ノ免除期間ニ依ル
第十四條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ所得稅ヲ免除スヘキ期間ニ付之ヲ準用ス
第七十三條 大正九年法律第十二號第三條ノ規定ニ依リ所得稅ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ其ノ製造業ノ營業場所在地ヲ管轄スル各當該地ノ稅務官署ニ於テ其ノ地ノ法令ニ依リ所得稅ヲ免除スヘキ製造業ニ相當スト認メタル證明書ヲ添附シ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スヘシ
第十五條ノ規定ハ前項ニ規定スル申請ニ付之ヲ準用ス
附 則
本令ハ大正九年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三種ノ所得ニ付テハ大正九年分所得稅ヨリ本令ヲ適用ス但シ所得稅法第十六條ノ規定ノ施行ニ關スル規定ハ大正九年分所得稅ニ付テハ之ヲ適用セス
本令施行前從前ノ規定ニ依リ爲シタル所得稅免除ノ申請及第三種ノ所得ニ關スル申告ハ本令ニ依リ之ヲ爲シタルモノト看做ス
本令施行前ニ終了シタル法人ノ各事業年度分ノ所得ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
所得調查委員及所得審查委員ニ關シテハ大正十年五月一日迄ハ仍從前ノ規定ニ依ル
大正二年勅令第六十九號ハ之ヲ廢止ス
朕所得税法施行規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年七月三十一日
内閣総理大臣 原敬
大蔵大臣 男爵 高橋是清
勅令第二百二十六号
所得税法施行規則
第一条 法人ノ超過所得ノ算出ニ付其ノ資本金額ニ対スル年百分ノ十ノ割合ノ金額ハ当該事業年度ノ月数ヲ資本金額ニ乗シ之ヲ十二分シタル金額ニ百分ノ十ヲ乗シテ之ヲ計算ス
前項ノ月数ハ暦ニ従ヒ之ヲ計算シ一月ニ満タサル端数ヲ生シタルトキハ之ヲ一月トス
前二項ノ規定ハ所得税法第二十一条ノ規定ニ依ル超過所得ノ各級金額ノ算出ニ付之ヲ準用ス
第二条 所得税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セサル法人ノ超過所得算出ノ基礎タル資本金額ハ総資産価額ニ対スル所得税法施行地ニ於ケル資産価額ノ割合ヲ総資本金額ニ乗シ之ヲ計算ス
前項ノ場合ニ於テ資産価額ノ割合ニ依ルヲ不適当トスルトキハ収入金又ハ所得ノ割合其ノ他適当ナル方法ニ依リ之ヲ計算ス
第三条 所得税ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ超過所得算出ノ基礎タル資本金額ハ総資産価額ニ対スル所得税ヲ課スヘキ所得ノ基本タル資産価額ノ割合ヲ総資本金額ニ乗シ之ヲ計算ス此ノ場合ニ於テハ前条第二項ノ規定ヲ準用ス
第四条 所得税ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ所得税ヲ課スヘキ留保所得ハ総所得ニ対スル所得税ヲ課スヘキ所得ノ割合ヲ総留保所得金額ニ乗シ之ヲ計算ス
第五条 所得税法第二十一条第二項但書ノ規定ハ当該事業年度ニ於ケル留保所得中最高キ税率ヲ適用スヘキ金額ヨリ順次低キ税率ヲ適用スヘキ金額ニ付之ヲ適用ス
第六条 所得税ヲ課スヘキ所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スル法人ノ所得税ヲ課スヘキ所得税法第十条第一項ノ規定ニ依ル配当所得ノ計算ニ付テハ第四条ノ規定ヲ準用ス
第七条 所得税法第十四条ノ規定ニ依リ総収入金額ヨリ控除スヘキ経費ハ種苗蚕種肥料ノ購買費、家畜其ノ他ノモノノ飼養料、仕入品ノ原価、原料品ノ代価、場所物件ノ修繕費又ハ借入料、場所物件又ハ業務ニ係ル公課、雇人ノ給料其ノ他収入ヲ得ルニ必要ナルモノニ限ル但シ家事上ノ費用及之ニ関連スルモノハ之ヲ控除セス
第八条 第三種ノ所得ノ申告、調査又ハ決定ハ各其ノ当時ノ現況ニ依リテ所得額ヲ算出シ之ヲ為スヘシ
所得税法第十四条第一項第二号又ハ第六号ノ規定ニ依ル所得計算ニ付損失アルトキハ同条第一項第一号、第二号及第六号ノ規定ニ依ル所得ノ合算額ヨリ之ヲ差引キ計算ス
第九条 所得税法第十六条ノ不具廃疾者トハ心神喪失ノ常況ニ在ル者、聾者、唖者、盲者其ノ他重大ナル傷痍ヲ受ケ又ハ不治ノ疾患ニ罹リ常ニ介護ヲ要スル者ヲ謂フ
第十条 所得税法第二十五条第二項ノ申請書ニハ年齢十八歳未満若ハ六十歳以上ノ者又ハ不具廃疾者ノ氏名、生年月日、職業、申請者トノ続柄及不具廃疾ノ事実ヲ記載シ之ヲ所轄税務署ニ提出スヘシ
其ノ年五月一日以後ニ於テ第三種ノ所得ニ付納税義務アルニ至リタル者所得税法第十六条ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケムトスルトキハ所得金額ノ決定前其ノ所得ノ申告ト同時ニ前項ノ申請書ヲ提出スヘシ
所得税法第十六条第二項ノ場合ニ於テハ前二項ノ申請書ハ所得ヲ有スル者ノ一人ヨリ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第十一条 税務署長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ前条ノ規定ニ依ル申請ヲ為シタル者ニ対シ戸籍ノ謄本若ハ抄本又ハ医師ノ診断書其ノ他必要ナル書類ノ提出ヲ命スルコトヲ得
第十二条 左ニ掲クル公共団体ニハ所得税法第十七条ノ規定ニ依リ所得税ヲ課セス
一 府県組合、郡組合、市町村組合、町村組合、市町村内ノ区、沖縄県ノ区及区内ノ部、北海道地方費、北海道ノ区及区町村内ノ部、市町村学校組合、町村学校組合、学区、水利組合、水利組合連合、耕地整理組合、耕地整理組合連合会、北海道土功組合、重要物産同業組合、重要物産同業組合連合会、森林組合、酒造組合、酒造組合連合会、水産組合、水産組合連合会、外国領海水産組合、外国領海水産組合連合会、畜産組合、畜産組合連合会、農会、商業会議所其ノ他此等ノ公共団体ニ準スヘキモノ
二 朝鮮、台湾、関東州又ハ樺太ノ公共団体ニシテ各其ノ地ノ法令ニ依リ所得税ヲ課セサルモノト指定セラレタルモノ
第十三条 左ニ掲クル物産ノ製造業ヲ営ム者ニハ所得税法第十九条ノ規定ニ依リ所得税ヲ免除ス
一 金、銀、鉛、亜鉛、鉄又ハアルミニウムノ地金
二 鉄ノ条、竿、テー形アングル形類、軌条、板、線及管(鋳製管ヲ除ク)
三 銅ノ合金ノ条、竿、板及管
四 汽鑵、原動機(機関車ヲ含ム)及動力ヲ以テ運転スル鉄製ノ機械
五 燐、曹達灰、苛性曹達、硫酸アムモニウム、石炭酸、クロール酸加里及グリセリン
六 製紙用パルプ
七 板硝子
八 コンデンスドミルク
九 絹、亜麻又ハ毛ノ織物
前項第九号ノ物産ノ製造業ニ付テハ動力ヲ以テ運転スル機械ヲ使用シ幅鯨尺一尺八寸以上及長鯨尺三十尺以上ノ織物ノミヲ製造スル者ニ限ル
第十四条 前条ノ製造業ヲ継続シ又ハ其ノ継続ト認ムヘキ事実アル者ハ其ノ製造業ニ付所得税ノ免除期間ノ残存スルトキニ限リ其ノ免除期間ヲ継承ス
第十五条 所得税法第十九条ノ規定ニ依リ所得税ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ同法第二十四条又ハ第二十五条ノ申告ト同時ニ其ノ旨所轄税務署ニ申請スヘシ但シ其ノ年五月一日以後ニ於テ第三種ノ所得ニ付納税義務アルニ至リタルトキハ所得金額ノ決定前其ノ所得ノ申告ト同時ニ之ヲ申請スヘシ
前項ノ場合ニ於テ第十三条ノ製造業ヨリ生スル所得ト其ノ他ノ所得トヲ有スルトキハ第十三条ノ製造業ヨリ生スル所得ト其ノ他ノ所得トヲ区別シタル計算書ヲ添附スヘシ
第十六条 法人ノ各事業年度ノ所得ハ毎事業年度決算確定ノ日若ハ合併ノ日ヨリ十四日内又ハ清算著手ノ日ヨリ二十日内ニ之ヲ所轄税務署ニ申告スヘシ
第十七条 解散シタル法人ノ清算所得ハ残余財産確定シタルトキ其ノ分配前ニ清算期間中ノ収支計算書ヲ添附シ之ヲ所轄税務署ニ申告スヘシ残余財産ヲ数回ニ分チテ分配スル場合ニ於テハ其ノ分配スヘキ残余財産確定ノ都度之ヲ申告スヘシ
第十八条 合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ清算所得ハ合併ノ日ヨリ十四日内ニ合併ニ関スル書類及合併ニ因リテ継承シタル資産ノ明細書ヲ添附シ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人之ヲ所轄税務署ニ申告スヘシ
第十九条 第三種ノ所得ニ付納税義務アル者ハ所得ノ種類金額、所得ノ基本タル資産営業ノ所在地、所得ノ発生スル場所及所得算出ノ基礎ヲ詳記シ所轄税務署ニ申告スヘシ
所得税法第二十三条第二項ノ規定ニ依リ同居者ノ所得金額ヲ合算スヘキ場合ニ於テハ各其ノ所得ヲ区別シ連署ヲ以テ申告スヘシ但シ所得アル同居者ノ氏名ヲ附記シ各別ニ申告スルコトヲ妨ケス
第二十条 所得税法第五十六条第一項ノ規定ニ依リ支払調書ヲ提出スル義務アル者ハ左ノ期限ニ従ヒ之ヲ所轄税務署ニ提出スヘシ
一 俸給、給料、歳費、年金、恩給、退隠料又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ毎年四月末日限
二 賞与又ハ賞与ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ其ノ支払金額ノ確定シタル日ヨリ三十日限
三 法人ノ利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニ付テハ配当金額又ハ分配金額ノ確定シタル日ヨリ三十日限
無記名式ノ株式ヲ有スル者ニ支払ヒタル法人ノ利益又ハ利息ノ配当ニ付テハ毎年四月末日限
第二十一条 前条ノ支払調書ニハ左ノ各号ノ規定ニ依リ支払ヲ受クル者ノ住所又ハ居所、氏名及各人別支払金額ヲ記載スヘシ
一 俸給、給料、歳費、年金、恩給、退隠料又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ其ノ年分ノ支払金額及其ノ金額計算ノ基礎但シ其ノ年一月一日以後調書提出ノ時迄ニ異動アリタルモノニ付テハ其ノ事実
二 賞与又ハ賞与ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ其ノ支払金額及支払金額ノ確定シタル月日
三 法人ノ利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニ付テハ其ノ支払金額、支払金額ノ確定シタル月日及其ノ支払ヲ受クル者ノ払込金額別株式数、出資金額、基金其ノ他支払金額計算ノ基礎
無記名式ノ株式ヲ有スル者ニ支払ヒタル法人ノ利益又ハ利息ノ配当ニ付テハ前年四月一日ヨリ其ノ年三月末日ニ至ル期間ノ支払金額、支払月日及其ノ支払ヲ受ケタル者ノ払込金額別株式数其ノ他支払金額計算ノ基礎
第二十二条 第二十条第一号ノ規定ニ依リ支払調書ヲ提出シタル後六月末日迄ニ其ノ記載事項ニ付異動アリタルトキハ七月十日迄ニ異動調書ヲ提出スヘシ
第二十三条 第二十条及前条ノ規定ニ依ル調書ヲ提出シタルモノニ対シテハ其ノ請求ニ因リ調書ニ記載シタル一件一人毎ニ五厘ノ割合ヲ以テ計算シタル金額ヲ交付ス
前項ノ金額ノ交付ヲ受ケムトスル者ハ其ノ計算ノ基礎ヲ記載シタル請求書ヲ七月末日迄ニ所轄税務署ニ提出スヘシ
第二十四条 所得税法第二十八条第一項但書ノ規定ニ依リ所得調査委員会ヲ置クヘキ市又ハ北海道、沖縄県ノ区ハ大蔵大臣之ヲ指定ス
第二十五条 調査委員ノ定数ハ五人トス但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ大蔵大臣ハ之ヲ増減スルコトヲ得
第二十六条 所得税法第三十三条第二項ノ規定ニ依ル公示ニハ投票及開票ノ日時及場所ヲ記載スヘシ
第二十七条 税務署長ハ選挙期日前三十日ヲ期トシ其ノ日ノ現在ニ依リ選挙人名簿正副二通ヲ調製シ副本ヲ市区町村長又ハ戸長ニ送付スヘシ
市区町村長又ハ戸長ハ選挙期日前二十日ヲ期トシ其ノ日ヨリ五日間市区役所、町村役場又ハ戸長役場ニ於テ選挙人名簿ノ副本ヲ関係者ノ縦覧ニ供スヘシ
関係者選挙人名簿ノ副本ニ付異議アルトキハ縦覧期間内ニ之ヲ税務署長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ税務署長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ五日内ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ場合ニ於テ其ノ決定ニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ税務署長ハ正本ヲ修正シ名簿確定期日前市区町村長又ハ戸長ヲシテ其ノ副本ヲ修正セシムヘシ
選挙人名簿ハ選挙期日ノ前日ヲ以テ確定ス
島嶼其ノ他交通不便ノ地ニ於ケル選挙人名薄ニ付テハ大蔵大臣ハ第一項乃至第四項ノ規定ニ拘ラス別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第二十八条 市区町村長又ハ戸長ハ投票区内ニ於テ選挙資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ投票及開票ニ立会ハシムヘシ
第二十九条 投票ノ効力ハ開票立会人ノ意見ヲ聴キ市区町村長又ハ戸長之ヲ決定スヘシ
第三十条 市区町村長又ハ戸長ハ投票ノ有効無効ヲ区別シ認査委員ノ任期間之ヲ保存スヘシ
第三十一条 投票ノ調査終リタルトキハ市区町村長又ハ戸長ハ直ニ左ノ事項ヲ税務署長ニ報告スヘシ
一 投票及開票ノ日時及場所
二 投票及開票ノ立会人ノ住所及氏名
三 投票人及投票ノ総数並有効投票及無効投票ノ数
四 投票ヲ無効ト決定シタル事由
五 被選挙人ノ氏名及其ノ得票数
第三十二条 選挙会ハ予メ税務署長ノ公示シタル場所及日時ニ於テ之ヲ開ク
第三十三条 税務署長ハ選挙区内ニ於テ選挙資格ヲ有スル者ノ中ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ選挙会ニ立会ハシムヘシ
第三十四条 所得調査委員会ノ開会日数ハ各所得調査委員会ノ区域内ニ於ケル前年第三種ノ所得ニ付所得税ヲ納メタル者ノ数ニ従ヒ左ノ如ク之ヲ定ム
五千人以上ナルトキ 三十日以内
三千人以上ナルトキ 二十五日以内
千人以上ナルトキ 二十日以内
五百人以上ナルトキ 十五日以内
五百人未満ナルトキ 十日以内
第三十五条 所得調査委員会ノ会長事故アルトキハ出席シタル調査委員中ノ年齢多キ者会長ノ職務ヲ代理ス
第三十六条 所得調査委員会ノ決議ハ会長之ヲ税務署長ニ通知スヘシ
第三十七条 税務署長所得税法第二十六条、第五十一条第五十二条又ハ第七十四条第二項ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スヘシ
第三十八条 所得税法第五十九条第二項ノ公告ハ納税義務者ノ氏名及所得金額ヲ官報ニ掲載シテ之ヲ為スヘシ
第三十九条 所得税法第六十条第一項ノ審査ノ請求ヲ為サムトスル者ハ事由ヲ具シ証憑書類ヲ添ヘ所得金額ノ決定ヲ為シタル税務署長ヲ経由シ税務監督局長ニ申出ツヘシ
第四十条 審査委員及其ノ補闕員ノ選挙事務ハ税務監督局長之ヲ執行ス
第四十一条 審査委員ヲ選挙スルトキハ同時ニ之ト同数ノ補闕員ヲ選挙スヘシ
補闕員ハ税務監督局所轄内各府県又ハ北海道ニ於テ調査委員之ヲ互選ス
第四十二条 税務監督局長ハ審査委員及補闕員ノ選挙期日、投票時間及投票場所ヲ定メ之ヲ調査委員ニ通知シ同時ニ投票用紙ヲ送付スヘシ
前項ノ規定ニ依ル通知ニハ之ヲ受クヘキ調査委員ノ属スル府県又ハ北海道ニ於ケル調査委員ノ氏名表ヲ添附スヘシ
第四十三条 審査委員及補闕員ノ選挙ハ記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ審査委員及補闕員ノ各選挙ニ付一人一票ニ限ル
選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ投票所ニ至リ被選挙人各一人ノ氏名ヲ各別ノ投票用紙ニ記載シテ投票スヘシ但シ相当ノ事由ニ因リ自ラ投票所ニ至ルコト能ハサルトキハ郵便ニ依リ投票スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ投票時間後到著シタル投票ハ無効トス
第四十四条 税務監督局長ハ調査委員中ヨリ二人ノ立会人ヲ選任シ投票及開票ニ立会ハシムヘシ
第四十五条 投票ノ多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス投票ノ数同シキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六条 審査委員ニ当選シタル者同時ニ補闕員ニ当選スルモ補闕員タルコトヲ得ス
第四十七条 審査委員及補闕員ノ選挙終了シタルトキハ税務監督局長ハ当選人ニ当選ノ通知ヲ為シ且其ノ氏名ヲ公示スヘシ
第四十八条 審査委員又ハ補闕員ニ当選シタル者ハ正当ノ事由ナクシテ之ヲ辞スルコトヲ得ス
第四十九条 審査委員及補闕員ハ税務監督局所轄内ニ於ケル調査委員全部ノ改選アリタルトキ又ハ税務監督局ノ管轄区域ニ異動アリタルトキ之ヲ改選ス
第五十条 調査委員ヨリ選挙セラレタル審査委員ニ闕員ヲ生シタルトキハ補闕員ヲ以テ之ヲ補充ス但シ北海道ニ在リテハ補闕員中投票ノ最多数ヲ得タル者ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ数同シキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ闕員ヲ補充スヘキ補闕員ナキトキハ審査委員ノ補闕選挙ヲ行フ
第五十一条 審査委員又ハ補闕員ニシテ調査委員タルノ資格ナキニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第五十二条 所得審査委員会ハ税務監督局長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク
第五十三条 所得審査委員会ハ開会ノ始ニ於テ審査委員中ヨリ会長ヲ選挙スヘシ
第五十四条 所得審査委員会ハ定員ノ過半数ニ当ル委員出席スルニ非サレハ決議スルコトヲ得ス
議事ハ出席員ノ多数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ会長ノ決スル所ニ依ル
第五十五条 所得審査委員会ノ会長事故アルトキハ出席シタル審査委員中年齢多キ者会長ノ職務ヲ代理ス
第五十六条 審査委員ハ自己及自己ト同一戸籍内ニ在ル者ノ所得ニ関スル議事ニ与ルコトヲ得ス
第五十七条 税務監督局長又ハ其ノ代理官ハ所得審査委員会ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第五十八条 所得審査委員会ノ決議ハ会長之ヲ税務監督局長ニ通知スヘシ
第五十九条 税務監督局長所得税法第六十一条ノ規定ニ依リ所得金額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スヘシ
第六十条 納税義務者所得税法第六十四条ノ規定ニ依リ所得金額ノ更訂ノ請求ヲ為サムトスルトキハ同時ニ所得税法第十六条ノ規定ニ依ル控除ヲ申請スルコトヲ得
第十条及第十一条ノ規定ハ前項ノ申請ニ付之ヲ準用ス
第六十一条 所得税法第六十四条第一項ノ請求アリタル場合ニ於テ其ノ請求カ手続ニ違背シタルモノナルトキ又ハ税務署長ニ於テ収入予算年額四分ノ一以上ノ減損ナシト認メタルトキハ之ヲ却下スヘシ
第六十二条 税務署長所得税法第六十五条ノ規定ニ依リ所得金額ヲ更訂シタルトキハ之ヲ納税義務者ニ通知スヘシ
第六十三条 所得金額ノ決定後同居者ニ異動アルモ所得税法第十五条第二項、第十六条第二項、第二十条第二項及第二十三条第二項ノ規定ノ適用ニ依リテ生シタル効果ハ之ヲ変更セス
第六十四条 所得税ヲ課セサル法人無記名ノ公債又ハ社債ヲ取得シ又ハ喪失シタルトキハ其ノ名称、額面金額、記号及番号ヲ利子支払ノ取扱所ニ通知スヘシ
第六十五条 第二種ノ所得ニ付其ノ金額ノ支払者所得税ヲ徴収シタルトキハ翌月十日迄ニ払込書及計算書ヲ添ヘ之ヲ其ノ地ノ金庫ニ払込ムヘシ第二種乙ノ所得ニ付テハ尚其ノ支払ヲ受ケタル者ノ各人別明細書ヲ添附スヘシ
第六十六条 所得税法第七十二条第二項ノ規定ニ依リ納税地ヲ定メタルトキハ之ヲ納税地ノ税務署ニ申告スヘシ申告ナキトキハ税務署長其ノ納税地ヲ指定ス
第六十七条 第三種ノ所得ニ付所得税ヲ納ムル義務アル者居所地ニ於テ所得税ヲ納メムトスルトキハ其ノ旨居所地ノ税務署ニ申告スヘシ
第六十八条 納税義務者納税地ノ税務署所轄外ニ於テ生スル所得ヲ有スルトキハ其ノ所得ノ生スル地ノ税務署ニ納税地ヲ申告スヘシ
第六十九条 納税義務者納税地ヲ変更スルトキハ其ノ旨新納税地ノ税務署ニ申告スヘシ
第七十条 納税義務者所得税法施行地外ニ住所又ハ居所ヲ移サムトスルトキハ其ノ旨納税地ノ税務署ニ申告スヘシ
第七十一条 納税義務者納税管理人ヲ定メタルトキハ其ノ氏名及住所又ハ居所ヲ納税地ノ税務署ニ申告スヘシ
第七十二条 大正九年法律第十二号第三条ノ規定ニ依リ所得税ヲ免除スヘキ期間ハ各当該地ノ法令ニ依リ所得税ヲ免除スヘキ当該製造業ニ付定メラレタル所得税ノ免除期間ニ依ル
第十四条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ所得税ヲ免除スヘキ期間ニ付之ヲ準用ス
第七十三条 大正九年法律第十二号第三条ノ規定ニ依リ所得税ノ免除ヲ受ケムトスル者ハ其ノ製造業ノ営業場所在地ヲ管轄スル各当該地ノ税務官署ニ於テ其ノ地ノ法令ニ依リ所得税ヲ免除スヘキ製造業ニ相当スト認メタル証明書ヲ添附シ其ノ旨所轄税務署ニ申請スヘシ
第十五条ノ規定ハ前項ニ規定スル申請ニ付之ヲ準用ス
附 則
本令ハ大正九年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三種ノ所得ニ付テハ大正九年分所得税ヨリ本令ヲ適用ス但シ所得税法第十六条ノ規定ノ施行ニ関スル規定ハ大正九年分所得税ニ付テハ之ヲ適用セス
本令施行前従前ノ規定ニ依リ為シタル所得税免除ノ申請及第三種ノ所得ニ関スル申告ハ本令ニ依リ之ヲ為シタルモノト看做ス
本令施行前ニ終了シタル法人ノ各事業年度分ノ所得ニ付テハ仍従前ノ規定ニ依ル
所得調査委員及所得審査委員ニ関シテハ大正十年五月一日迄ハ仍従前ノ規定ニ依ル
大正二年勅令第六十九号ハ之ヲ廃止ス