健康保険法施行令
法令番号: 勅令第二百四十三號
公布年月日: 大正15年6月30日
法令の形式: 勅令
  • 改正: 昭和2年3月12日 勅令第30号
  • 改正: 昭和2年7月1日 勅令第220号
  • 改正: 昭和4年5月29日 勅令第143号
  • 改正: 昭和4年7月31日 勅令第250号
  • 改正: 昭和9年12月28日 勅令第400号
  • 改正: 昭和13年1月11日 勅令第20号
  • 改正: 昭和15年6月1日 勅令第373号
  • 改正: 昭和16年6月21日 勅令第715号
  • 改正: 昭和16年10月11日 勅令第906号
  • 改正: 昭和17年1月24日 勅令第35号
  • 改正: 昭和17年3月30日 勅令第291号
  • 改正: 昭和17年11月1日 勅令第761号
  • 改正: 昭和17年12月10日 勅令第826号
  • 改正: 昭和19年5月24日 勅令第364号
  • 改正: 昭和20年5月12日 勅令第275号
  • 改正: 昭和20年7月16日 勅令第416号
  • 改正: 昭和20年12月22日 勅令第711号
  • 改正: 昭和21年3月14日 勅令第137号
  • 改正: 昭和21年4月1日 勅令第185号
  • 改正: 昭和22年6月17日 政令第90号
  • 改正: 昭和22年12月30日 政令第329号
  • 改正: 昭和23年12月21日 政令第375号
  • 改正: 昭和28年8月31日 政令第238号
  • 改正: 昭和32年4月30日 政令第86号
  • 改正: 昭和37年6月28日 政令第265号
  • 改正: 昭和37年9月29日 政令第391号
  • 改正: 昭和41年6月9日 政令第178号
  • 改正: 昭和47年1月20日 政令第2号
  • 改正: 昭和48年10月1日 政令第288号
  • 改正: 昭和51年7月27日 政令第201号
  • 改正: 昭和56年2月21日 政令第14号
  • 改正: 昭和57年8月24日 政令第232号
  • 改正: 昭和58年1月21日 政令第6号
  • 改正: 昭和59年9月7日 政令第268号
  • 改正: 昭和60年3月15日 政令第28号
  • 改正: 昭和61年4月30日 政令第135号
  • 改正: 平成1年5月31日 政令第161号
  • 改正: 平成3年4月26日 政令第148号
  • 改正: 平成4年3月31日 政令第78号
  • 改正: 平成4年3月31日 政令第80号
  • 改正: 平成4年6月17日 政令第200号
  • 改正: 平成5年4月7日 政令第143号
  • 改正: 平成6年9月2日 政令第282号
  • 改正: 平成6年12月14日 政令第389号
  • 改正: 平成7年2月17日 政令第26号
  • 改正: 平成8年5月17日 政令第148号
  • 改正: 平成9年8月1日 政令第256号
  • 改正: 平成9年8月29日 政令第267号
  • 改正: 平成10年7月10日 政令第248号
  • 改正: 平成11年9月3日 政令第262号
  • 改正: 平成11年12月8日 政令第393号
  • 改正: 平成12年6月7日 政令第309号
  • 改正: 平成12年12月13日 政令第508号
  • 改正: 平成14年3月13日 政令第43号
  • 改正: 平成14年8月30日 政令第282号
  • 改正: 平成14年11月13日 政令第333号
  • 改正: 平成14年11月27日 政令第348号
  • 改正: 平成15年10月22日 政令第461号
  • 改正: 平成16年10月20日 政令第318号
  • 改正: 平成16年11月8日 政令第347号
  • 改正: 平成16年12月15日 政令第394号
  • 改正: 平成17年5月2日 政令第173号
  • 改正: 平成17年6月1日 政令第197号
  • 改正: 平成17年12月7日 政令第359号
  • 改正: 平成18年3月31日 政令第121号
  • 改正: 平成18年3月31日 政令第134号
  • 改正: 平成18年7月21日 政令第241号
  • 改正: 平成18年8月30日 政令第286号
  • 改正: 平成18年9月26日 政令第321号
  • 改正: 平成18年12月20日 政令第390号
  • 改正: 平成19年3月2日 政令第39号
  • 改正: 平成20年3月31日 政令第116号
  • 改正: 平成20年7月25日 政令第239号
  • 改正: 平成20年9月12日 政令第283号
  • 改正: 平成20年9月24日 政令第307号
  • 改正: 平成20年11月21日 政令第357号
  • 改正: 平成20年12月5日 政令第371号
  • 改正: 平成21年3月23日 政令第52号
  • 改正: 平成21年3月27日 政令第63号
  • 改正: 平成21年4月30日 政令第135号
  • 改正: 平成21年5月22日 政令第139号
  • 改正: 平成21年11月27日 政令第270号
  • 改正: 平成21年12月24日 政令第296号
  • 改正: 平成21年12月28日 政令第310号
  • 改正: 平成22年3月31日 政令第57号
  • 改正: 平成22年3月31日 政令第65号
  • 改正: 平成22年3月31日 政令第75号
  • 改正附則への改正: 平成22年5月19日 政令第140号
  • 改正: 平成23年3月30日 政令第55号
  • 改正附則への改正: 平成23年3月30日 政令第56号
  • 改正: 平成23年3月31日 政令第92号
  • 改正: 平成23年9月30日 政令第308号
  • 改正: 平成23年10月21日 政令第327号
  • 改正: 平成24年3月28日 政令第74号
  • 改正: 平成24年3月31日 政令第113号
  • 改正: 平成24年7月19日 政令第197号
  • 改正: 平成25年3月13日 政令第57号
  • 改正: 平成25年3月21日 政令第70号
  • 改正附則への改正: 平成25年5月31日 政令第164号
  • 改正附則への改正: 平成26年3月28日 政令第96号
  • 改正: 平成26年3月31日 政令第129号
  • 改正: 平成26年7月30日 政令第269号
  • 改正: 平成26年8月8日 政令第278号
  • 改正: 平成26年11月19日 政令第365号
  • 改正: 平成27年1月30日 政令第30号
  • 改正: 平成27年3月31日 政令第138号
  • 改正: 平成27年3月31日 政令第166号
  • 改正附則への改正: 平成27年5月29日 政令第244号
  • 改正: 平成27年9月30日 政令第342号
  • 改正: 平成28年3月31日 政令第180号
  • 改正: 平成28年5月25日 政令第226号
  • 改正: 平成28年12月26日 政令第400号
  • 改正: 平成29年3月31日 政令第98号
  • 改正: 平成29年6月30日 政令第177号
  • 改正: 平成29年7月28日 政令第213号
  • 改正: 平成30年2月28日 政令第41号
  • 改正: 平成30年3月22日 政令第55号
  • 改正: 平成30年3月22日 政令第59号
  • 改正附則への改正: 平成30年3月26日 政令第63号
  • 改正: 平成30年7月13日 政令第210号
  • 改正: 平成31年4月5日 政令第146号
  • 改正附則への改正: 令和2年3月31日 政令第138号
  • 改正: 令和2年9月4日 政令第270号
  • 改正: 令和2年9月30日 政令第299号
  • 改正: 令和2年12月24日 政令第381号
  • 改正: 令和3年8月4日 政令第222号
  • 改正: 令和3年8月6日 政令第229号
  • 改正附則への改正: 令和3年12月22日 政令第339号
朕健康保險法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年六月三十日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
內務大臣 濱口雄幸
勅令第二百四十三號
健康保險法施行令
第一章 總則
第一條 健康保險法第二條第一項ノ賃金、給料又ハ俸給ニ準スヘキモノノ範圍ハ常時又ハ定期ニ受クル給與其ノ他ノ利益トス但シ左ニ揭クルモノヲ除ク
一 三月ヲ超ユル期間每ニ支給スル賞與又ハ手當
二 通勤手當
三 住居ニ關スル利益又ハ住宅料ニシテ賃金、給料又ハ俸給ノ額ノ決定ニ影響ナキモノ
四 其ノ他內務大臣ノ指定スルモノ
第二條 賃金、給料又ハ俸給ニ準スヘキモノノ全部又ハ一部カ金錢以外ノ給與其ノ他ノ利益ナル場合ニ於テハ其ノ價額ハ保險官署ノ定ムル標準價格ニ依リ之ヲ算定ス
前項ノ標準價格ハ其ノ地方ノ時價ニ依リ之ヲ定ム
健康保險組合ハ第一項ノ規定ニ拘ラス規約ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第三條 健康保險法第三條第一項ノ標準報酬ハ被保險者ノ報酬日額ニ基キ左ノ區別ニ依リ之ヲ定ム
【表】
第四條 標準報酬ハ每年六月一日ノ現在ニ依リ之ヲ定メ七月一日ヨリ翌年六月三十日迄其ノ效力ヲ有ス但シ被保險者ノ資格ヲ取得シタル際ニ於ケル標準報酬ハ其ノ資格ヲ取得シタル日ノ現在ニ依リ之ヲ定メ其ノ日ヨリ六月三十日迄其ノ效力ヲ有ス
被保險者ノ報酬ニ著シキ增減アリタルトキハ保險者ハ前項ノ規定ニ拘ラス標準報酬ノ變更ヲ爲スヘシ
健康保險法第二十條ノ規定ニ依ル被保險者ニ付テハ第一項ノ規定ニ拘ラス引續キ從前ノ標準報酬ニ依ル
健康保險組合ハ第一項ノ規定ニ拘ラス標準報酬ノ決定ニ關シ規約ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第五條 第三條ニ規定スル被保險者ノ報酬日額ハ左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ算定ス
一 年ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日ノ現在ニ於ケル年額ノ三百六十分ノ一
二 月ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日ノ現在ニ於ケル月額ノ三十分ノ一
三 前二號ノ外一定ノ期間ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日ノ現在ニ於ケル其ノ報酬ノ額ヲ其ノ期間ノ日數ヲ以テ除シテ得タル額
四 日、時間、稼高又ハ請負ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日前三月間ニ受ケタル額ノ九十分ノ一但シ現ニ使用セラルル事業ニ於テ報酬ヲ受ケタル期間三月ニ滿チサルトキハ其ノ地方ニ於テ同樣ノ作業ニ從事シ同樣ノ報酬ヲ受クル被保險者ノ報酬ニ付本號ノ規定ニ依リテ算定シタル額
五 前四號ノ規定ニ依リ算定シ難キモノニ付テハ標準報酬決定ノ日前一年間ニ於テ受ケタル額ノ三百六十分ノ一但シ現ニ使用セラルル事業ニ於テ報酬ヲ受ケタル期間三百六十日ニ滿チサルトキハ其ノ受ケタル報酬ノ額ヲ其ノ期間ノ日數ヲ以テ除シテ得タル額
六 前各號ノ二以上ニ該當スル報酬ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ各ニ付前各號ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
七 同時ニ二以上ノ業務ニ於テ報酬ヲ受クル場合ニ於テハ各業務ニ付前各號ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
被保險者ノ報酬日額カ前項ノ規定ニ依リ算定シ難キトキ又ハ前項ノ規定ニ依リテ算定シタル額カ著シク不當ナルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス保險者ニ於テ適當ノ方法ニ依リ之ヲ算定スヘシ
保險者カ健康保險組合ナル場合ニ於テハ前項ノ算定方法ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第六條 健康保險法又ハ本令ノ規定ニ依リ事業主カ內務大臣ノ認可ヲ受クヘキ場合ニ於テ政府カ事業主ナルトキハ內務大臣ノ承認ヲ受クヘシ
第七條 政府ノ事業ニ使用セラルル被保險者カ健康保險法ノ規定ニ依リ保險給付ヲ受クヘキ場合ニ於テ內務大臣ノ指定シタル共濟組合ヨリ其ノ保險給付ニ相當スル給付ヲ受クルトキハ其ノ重複スル部分ニ付テハ保險給付ヲ爲サス
前項ノ規定ニ依リ內務大臣ノ指定スル共濟組合ハ左ノ要件ヲ具フルモノニ限ル
一 健康保險法ノ規定ニ依ル保險給付ト同種ノ給付ヲ爲スコト
二 給付ニ要スル費用ニ付政府カ健康保險法ノ規定ニ依ル國庫及事業主ノ負擔ト同一ノ割合ヲ下ラサル負擔ヲ爲スコト
第八條 前條ノ規定ニ依リ保險給付ノ全部又ハ一部ヲ受ケサル者ニ付テハ保險料ハ其ノ程度ニ應シ之ヲ減額シ又ハ之ヲ徵收セス
第二章 被保險者
第九條 臨時ニ使用セラルル者ノ中左ニ揭クル者ハ健康保險法第十三條但書又ハ第十五條第二項ノ規定ニ依リ被保險者タラサルモノトス但シ第一號ニ該當スル者所定ノ期間ヲ超エテ引續キ使用セラルルニ至リタルトキ又ハ第二號若ハ第三號ニ該當スル者三十日ヲ超エテ引續キ使用セラルルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラス
一 六十日以內ノ期間ヲ定メテ使用セラルル者
二 使用期間ノ定ナク勞務供給契約ニ基キ又ハ試ニ使用セラルル者
三 日日雇入レラルル者
四 前各號ニ揭クルモノノ外內務大臣ノ定ムル者
第十條 健康保險法第二十條ノ規定ニ依ル被保險者タラムトスル申請ハ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル日(繼續シテ保險給付ヲ受クル者ニ在リテハ其ノ給付ヲ受ケサルニ至リタル日)ヨリ十日以內ニ之ヲ爲スヘシ但シ保險者ニ於テ正當ノ事由アリト認ムルトキハ期限經過後ノ申請ト雖之ヲ受理スルコトヲ得
第三章 健康保險組合
第一節 組合ノ設立
第十一條 事業主健康保險組合ヲ設立スル爲健康保險法第二十九條ノ同意ヲ求ムル場合ニ於テハ左ノ事項ヲ記載シタル書面ヲ同條ノ被保險者(健康保險法第三十條ノ場合ニ在リテハ被保險者ト爲ルヘキ者)全部ニ送付スヘシ
一 組合員タルヘキ者ノ範圍
二 組合ノ組織ノ槪要
三 保險料ノ槪要
四 保險給付ノ槪要
五 其ノ他事業計畫ノ槪要
第十二條 規約ニハ左ノ事項ヲ規定スヘシ
一 組合ノ名稱
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ設立アル事業ノ名稱及所在地
四 公示ノ方法
五 其ノ他組合ニ關シ重要ナル事項
第十三條 組合ハ其ノ名稱中ニ健康保險組合ナル文字ヲ用フヘシ
健康保險組合ニ非サルモノハ其ノ名稱中ニ健康保險組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ス
第十四條 組合設立ノ際ニ於テ定ムヘキ保險料率及初年度ノ收入支出ノ豫算ハ事業主之ヲ定メ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十五條 組合設立ノ認可ヲ爲シタルトキハ內務大臣ハ左ノ事項ヲ告示スヘシ
一 組合ノ名稱
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ設立アル事業ノ名稱及所在地
四 認可ノ年月日
前項各號ノ事項ニ關スル規約ノ變更ヲ認可シタルトキハ內務大臣ハ其ノ事項ヲ告示スヘシ
第十六條 組合設立ノ認可アリタルトキハ事業主ハ遲滯ナク規約ヲ公示スヘシ規約ノ變更アリタルトキ亦同シ
第十七條 組合設立ノ認可アリタルトキハ事業主ハ遲滯ナク組合會ヲ招集シ組合設立ノ經過、保險料率及初年度ノ收入支出ノ豫算其ノ他重要ナル事項ヲ報告スヘシ
第十八條 組合設立後理事就職ニ至ル迄ハ事業主理事ノ職務ヲ行フ
第二節 組合ノ會議
第十九條 組合ニ組合會ヲ置ク
組合會ハ組合會議員ヲ以テ之ヲ組織ス
第二十條 議員ノ定數ハ十二人以上ノ偶數トシ其ノ半數ハ事業主ニ於テ事業主(若ハ其ノ代理人)及其ノ事業ニ使用セラルル者ノ中ニ就キ之ヲ選定シ他ノ半數ハ被保險者タル組合員ニ於テ之ヲ互選ス
第二十一條 議員就職シタルトキハ遲滯ナク其ノ旨ヲ公示スヘシ議員退職又ハ死亡シタルトキ亦同シ
第二十二條 議員ノ選擧ハ無記名投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十三條 選擧人タル組合員議員ノ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ第二十一條ノ公示ノ日ヨリ七日以內ニ之ヲ理事ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ申立アリタルトキハ理事ハ二十日以內ニ之ヲ組合會ノ決定ニ付シ其ノ決定アリタルトキハ遲滯ナク之ヲ公示スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ決定アリタル日ヨリ三十日以內ニ監督官廳ニ訴願スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ健康保險組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政廳ト看做ス
議員ハ第二項ノ決定又ハ前項ノ訴願ノ裁決アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハス
第二十四條 本令ニ規定スルモノノ外議員ノ定數、資格、任期、選定及選擧ニ關スル事項ハ規約ノ定ムル所ニ依ル
第二十五條 組合會ノ議決スヘキ事項左ノ如シ
一 收入支出ノ豫算
二 事業報告及決算
三 收入支出豫算ヲ以テ定ムルモノノ外新ナル義務ノ負擔又ハ權利ノ抛棄
四 準備金ノ管理方法
五 準備金其ノ他重要ナル財產ノ處分
六 組合債
七 規約ノ變更
八 保險料率
九 訴願訴訟ノ提起及和解
十 其ノ他重要ナル事項
第二十六條 組合會ハ組合ノ事務ニ關スル書類ヲ檢閱シ、理事ノ報告ヲ請求シ又ハ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢查スルコトヲ得
組合會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ前項ノ組合會ノ權限ニ屬スル事項ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十七條 組合會ハ理事之ヲ招集ス
議員定數ノ三分ノ一以上ヨリ會議ノ目的タル事項ヲ示シテ組合會招集ノ請求ヲ爲シタルトキハ理事ハ七日以內ニ之ヲ招集スヘシ
組合會ノ招集ハ會議ノ目的タル事項ヲ示シ急施ヲ要スル場合ヲ除クノ外開會ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ爲スヘシ
前二項ノ期間ニ付テハ規約ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
組合會開會中急施ヲ要スル事項アルトキハ理事ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スルコトヲ得
組合會ハ理事之ヲ開閉ス
第二十八條 組合會ノ議長ハ理事長ヲ以テ之ニ充ツ
理事長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ行フ
決算ノ認定ニ關スル會議ノ議長ハ前二項ノ規定ニ拘ラス理事以外ノ出席議員中ヨリ互選セラレタル者ヲ以テ之ニ充ツ
議長ハ會議ヲ總理シ議場ノ秩序ヲ保持ス
第二十九條 組合會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得ス但シ第三十二條ノ除斥ノ爲半數ニ滿チサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十條 組合會ノ議事ハ出席議員ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第三十一條 規約變更ノ議事ハ議員定數ノ四分ノ三以上ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス
第三十二條 議長及議員ハ其ノ一身上ニ關スル事項ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ス但シ組合會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
第三十三條 議員ハ自ラ會議ニ出席シ表決ヲ爲スヘシ但シ會議ニ出席スルコト能ハサル議員ハ規約ノ定ムル所ニ依リ豫メ書面ヲ以テ出席議員ニ委任シテ表決ヲ爲スコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ之ヲ會議ニ出席シタルモノト看做ス
第三十四條 組合員ハ規約ニ定ムル特別ノ場合ヲ除クノ外組合會ノ會議ヲ傍聽スルコトヲ得
第三十五條 議員ハ其ノ職務ノ爲要スル旅費ノ支給ヲ組合ヨリ受クルコトヲ得
被保險者タル議員其ノ職務ヲ行フニ因リ平常ノ業務ニ對スル報酬ヲ受クルコトヲ得サル場合ニ於テハ其ノ補償ヲ組合ヨリ受クルコトヲ得
第一項ノ旅費及前項ノ補償ノ額及支給方法ハ規約ノ定ムル所ニ依ル
第三節 組合ノ役員
第三十六條 組合ニ理事ヲ置ク
理事ノ定數ハ四人以上ノ偶數トシ其ノ半數ハ事業主ノ選定シタル議員ニ於テ、他ノ半數ハ被保險者タル組合員ノ互選シタル議員ニ於テ之ヲ互選ス
理事ノ中一人ヲ理事長トシ事業主ノ選定シタル議員タル理事中ニ就キ理事之ヲ選擧ス
第三十七條 理事長ハ組合ヲ代表ス
理事長故障アルトキハ規約ノ定ムル所ニ依リ他ノ理事其ノ職務ヲ代理ス
第三十八條 組合ノ事務ハ理事ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ理事長ノ決スル所ニ依ル
第三十九條 組合會成立セス又ハ其ノ議決スヘキ事項ヲ議決セサルトキハ理事ハ監督官廳ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スヘキ事項ヲ處置スルコトヲ得
第四十條 組合會ニ於テ議決スヘキ事項ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ組合會成立セサルトキ又ハ之ヲ招集スルノ暇ナキトキハ理事之ヲ專決スルコトヲ得
第四十一條 前二條ノ規定ニ依リ處置ヲ爲シタルトキハ理事ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ組合會ニ報告スヘシ
第四十二條 理事ハ規約、財產目錄、事業報告書、組合原簿及組合會ノ會議錄ヲ事務所ニ備フヘシ
組合員前項ノ書類ノ閱覽ヲ求メタルトキハ理事ハ正當ノ事由アルニ非サレハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第四十三條 第二十一條、第二十四條及第三十五條ノ規定ハ理事及理事長ニ之ヲ準用ス
第四節 組合ノ財務
第四十四條 組合ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
第四十五條 組合ハ每會計年度收入支出ノ豫算ヲ調製シ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ豫算ヲ更正又ハ追加シタルトキ亦同シ
豫算ニ定メタル各款ノ金額ハ彼此流用スルコトヲ得ス
豫算ニ定メタル各項ノ金額ハ組合會ノ議決ヲ經テ之ヲ流用スルコトヲ得
第四十六條 組合ハ組合會ノ議決ヲ經テ繼續費ヲ設クルコトヲ得
第四十七條 組合ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クヘシ
豫備費ハ規約ヲ以テ定メタル費途以外ノ費途ニ之ヲ充ツルコトヲ得ス
第四十八條 組合ニ於テ其ノ收入金ヲ收納スルハ翌年度五月三十一日、其ノ支出金ヲ支拂フハ翌年度四月十五日限リトシ其ノ出納ヲ閉鎖ス
第四十九條 組合ハ保險料率ヲ變更セムトスルトキハ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第五十條 組合ハ少クトモ保險給付ニ要シタル費用ノ前三年度ノ平均年額ニ相當スル額ニ達スル迄每年度ノ剩餘金中ヨリ該平均年額ノ百分ノ五以上ニ相當スル額(剩餘金カ該平均年額ノ百分ノ五ニ達セサルトキハ其ノ全額)ヲ準備金トシテ積立ツヘシ
前項ノ限度內ノ準備金ハ保險給付ニ要スル費用ニ不足ヲ生シタルトキニ非サレハ之ヲ使用スルコトヲ得ス
第五十一條 組合ハ準備金ノ管理方法ヲ定メ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第五十二條 準備金以外ノ財產ノ管理方法ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第五十三條 組合ハ支拂上現金ニ不足ヲ生シタルトキハ準備金ニ屬スル現金ヲ繰替使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ仍現金ニ不足アルトキハ一時借入金ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ繰替使用シタル金額及一時借入金ハ當該會計年度內ニ之ヲ返還スヘシ
第二項ノ一時借入金ヲ爲シ得ヘキ限度ハ每年度監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第五十四條 組合ハ組合債ヲ起シ、起債ノ方法、利息ノ定率若ハ償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ變更セムトスルトキハ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第五十五條 組合ハ重要ナル財產ノ處分ヲ爲サムトスルトキハ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第五節 組合ノ分合解散
第五十六條 組合合併又ハ分割ヲ爲サムトスルトキハ關係アル組合ノ組合會ニ於テ議員定數ノ四分ノ三以上ノ多數ヲ以テ之ヲ議決シ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ場合ニ於テ規約ノ變更ヲ要スルトキハ前項ノ議決ト共ニ之ヲ議決スヘシ
第五十七條 組合ノ分割ハ組合ノ設立アル事業ノ一部ニ付之ヲ爲スコトヲ得ス
一事業ニ於テ作業ノ場所二以上アル場合ニ於テハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ內務大臣ハ其ノ一又ハ二以上ノ場所ニ於ケル作業ヲ一事業ト看做スコトヲ得
第五十八條 分割ヲ爲ス場合ニ於テハ分割後存續スル組合又ハ分割ニ因リテ成立スル組合ノ被保險者タル組合員ノ員數ハ常時三百人以上タルヘキコトヲ要ス
第五十九條 合併ニ因リテ成立スル組合ノ規約、保險料率及初年度ノ收入支出ノ豫算ハ各組合ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ定メ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十條 分割ニ因リテ成立スル組合ノ規約、保險料率及初年度ノ收入支出ノ豫算ハ其ノ組合ノ組合員タルヘキ事業主之ヲ定メ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十一條 合併後存續スル組合又ハ合併ニ因リテ成立シタル組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ權利義務ヲ承繼ス
分割ニ因リテ成立シタル組合ハ分割ニ因リテ消滅シタル組合又ハ分割後存續スル組合ノ權利義務ノ一部ヲ承繼ス
前項ノ規定ニ依リ承繼スル權利義務ノ限度ハ分割ノ議決ト共ニ之ヲ議決シ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十二條 組合ノ合併又ハ分割ノ認可ヲ爲シタルトキハ內務大臣ハ合併又ハ分割ニ因リテ成立又ハ消滅シタル組合及合併又ハ分割後存續スル組合ニ付左ノ事項ヲ告示スヘシ
一 組合ノ名稱
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ設立アル事業ノ名稱及所在地
四 認可ノ年月日
第六十三條 第十六條乃至第十八條ノ規定ハ合併又ハ分割ニ因リテ成立シタル組合ニ付之ヲ準用ス
合併又ハ分割ノ際其ノ合併又ハ分割シタル組合ノ理事タリシ者カ合併又ハ分割ニ因リテ成立シタル組合ノ組合員タル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依リ事業主ノ行フヘキ職務ハ其ノ理事タリシ者之ヲ行フ
第六十四條 組合解散ヲ爲サムトスルトキハ組合會ニ於テ議員定數ノ四分ノ三以上ノ多數ヲ以テ之ヲ議決シ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十五條 組合ハ被保險者タル組合員ナキニ至ルモ其ノ欠缺カ一時的ナル場合ニ於テハ解散スルコトナシ
第六十六條 組合解散シタルトキハ內務大臣ハ第六十二條ノ例ニ依リ之ヲ告示スヘシ
第六十七條 組合ノ設立アル事業ヲ增減セムトスルトキハ編入又ハ削除セラルヘキ事業ノ事業主ノ全部及其ノ事業ニ使用セラルル被保險者ノ二分ノ一以上ノ同意アルコトヲ要ス
編入又ハ削除セラルヘキ事業二以上アル場合ニ於テハ前項ノ被保險者ノ同意ハ各事業ニ付之ヲ得ルコトヲ要ス
前二項ノ規定ニ於テ被保險者トアルハ健康保險法第十四條第一項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ト同時ニ事業編入ニ關スル規約變更ノ認可ノ申請ヲ爲ス場合ニ在リテハ被保險者ト爲ルヘキ者トス
第六十八條 第五十七條ノ規定ハ前條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六十九條 事業ノ削除ヲ爲ス場合ニ於テハ削除後ニ於テモ組合ノ被保險者タル組合員ノ員數ハ常時三百人以上タルヘキコトヲ要ス
第七十條 組合カ第六十七條ノ同意ヲ求メムトスルトキハ事業ノ編入ノ場合ニ在リテハ第十一條各號ニ揭クル事項ヲ記載シタル書面ヲ、事業ノ削除ノ場合ニ在リテハ削除ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ編入又ハ削除ニ因リ組合員タル資格ヲ取得又ハ喪失スヘキ者ノ全部ニ送付スヘシ
第六節 組合ノ監督
第七十一條 內務大臣ハ組合會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
組合會解散ノ場合ニ於テハ一月以內ニ議員ノ選定及選擧ヲ爲スヘシ
第七十二條 健康保險法第三十九條ノ規定ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間組合ノ役員タルコトヲ得ス
第七十三條 第二十三條第三項、第三十九條、第四十五條第一項、第四十九條、第五十一條、第五十三條第四項、第五十四條及第五十五條ニ於テ監督官廳トアルハ社會局長官トス
第四章 保險給付
第七十四條 健康保險法第四十三條第一項ノ療養ノ給付ノ範圍左ノ如シ
一 診察
二 藥劑又ハ治療材料ノ支給
三 處置、手術其ノ他ノ治療
四 看護
五 被保險者ノ移送
前項第三號ノ給付ハ緊急ノ場合其ノ他保險者必要アリト認ムル場合ヲ除クノ外之ニ要スル費用一囘二十圓ヲ以テ限度トス
第一項第四號及第五號ノ給付ハ保險者必要アリト認ムル場合ニ於テ爲スモノニ限ル
第七十五條 前條第一項第一號乃至第三號ノ給付ニ付テハ被保險者ハ保險者ノ指定シタル醫師又ハ齒科醫師中自己ノ選定シタル者ニ就キ之ヲ受クルコトヲ得但シ健康保險法第四十三條第三項ノ規定ニ依リ病院ニ收容セラレタルトキハ此ノ限ニ在ラス
被保險者前項ノ規定ニ依リ醫師又ハ齒科醫師ヲ選定シタルトキハ保險者ノ承認アリタル場合ヲ除クノ外同一ノ疾病又ハ負傷ノ療養ニ付テハ之ヲ變更スルコトヲ得ス
保險者ハ正當ノ事由アルニ非サレハ前項ノ承認ヲ拒ムコトヲ得ス
第七十六條 前條ニ規定スル醫師又ハ齒科醫師處方箋ヲ交付シタルトキハ被保險者ハ保險者ノ指定シタル藥劑師中自己ノ選定シタル者ニ就キ藥劑ヲ受クルコトヲ得
第七十七條 左ノ場合ニ於テハ健康保險法第四十四條ノ規定ニ依リ療養ノ給付ニ代ヘテ療養費ヲ支給スルコトヲ得
一 保險者ニ於テ療養ノ給付ヲ爲スコト困難ナリト認メタルトキ
二 被保險者カ保險者ノ承認ヲ受ケ其ノ指定セサル醫師又ハ齒科醫師ノ診療ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ被保險者ノ申請アリタルトキ
三 被保險者カ緊急ノ場合ニ於テ保險者ノ指定セサル醫師、齒科醫師其ノ他ノ者ノ手當ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ被保險者ノ申請アリタルトキ
健康保險組合ハ前項各號ノ外規約ヲ以テ療養ノ給付ニ代ヘテ療養費ヲ支給スルコトヲ得ル場合ヲ定ムルコトヲ得
第七十八條 前條ノ規定ニ依リ支給スル療養費ノ額ハ療養ノ給付ヲ爲ス場合ニ要スル額ヲ標準トシテ保險者之ヲ定ム
第七十九條 病院ニ收容シタル被保險者ニ對シ支給スヘキ傷病手當金ハ左ノ額トス
一 主トシテ被保險者ニ依リ生計ヲ維持スル者ナキ場合 標準報酬日額ノ百分ノ二十
二 前號ニ揭クル者二人以內ナル場合 標準報酬日額ノ百分ノ四十
三 第二號ニ揭クル者三人以上ナル場合 標準報酬日額ノ百分ノ六十
第八十條 出產手當金ハ被保險者カ分娩ノ日前二十八日、分娩ノ日以後四十二日以內ニ於テ勞務ニ服セサリシ期間之ヲ支給ス
分娩ノ日カ其ノ豫定日ヨリ後レタルトキハ保險者ハ前項ノ分娩ノ日前ノ期間ヲ七日以內延長スルコトヲ得
第八十一條 產院ニ收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲シタル被保險者ニ對シ支給スヘキ分娩費用ノ額ハ十圓トス
產院ニ收容シタル被保險者ニ對シ支給スル出產手當金ニ付テハ第七十九條ノ規定ヲ準用ス
第八十二條 分娩ニ關スル保險給付ハ分娩前一年內ニ於テ百八十日以上被保險者タリシ者ニ非サレハ之ヲ爲サス但シ九十日以上被保險者タリシ者ニ對シテハ分娩費ヲ支給シ又ハ助產ノ手當ヲ爲ス
第八十三條 分娩ノ前後ニ保險者ニ變更アリタル場合ニ於テ各保險者ノ分娩ニ關スル保險給付ニ要スル費用ノ分擔額ハ其ノ給付ヲ受クル者カ分娩ノ豫定日前二百八十日目ヨリ分娩ノ日以後四十二日迄ノ期間ニ於テ被保險者タリシ期間ノ割合ニ應シテ之ヲ算定ス
第八十四條 被保險者タリシ者分娩ニ關スル保險給付ヲ受クルニハ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル日後百八十日以內ニ分娩シタルコトヲ要ス
第八十五條 疾病ニ罹リ、負傷シ又ハ分娩シタル場合ニ於テ繼續シテ報酬ノ全部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ヘキ者ニ對シテハ之ヲ受クルコトヲ得ヘキ期間傷病手當金又ハ出產手當金ヲ支給セス但シ其ノ受クルコトヲ得ヘキ報酬ノ額カ傷病手當金又ハ出產手當金ノ額ヨリ小ナルトキハ其ノ差額ヲ支給ス
第八十六條 前條ニ揭クル者其ノ受クルコトヲ得ヘカリシ報酬ノ全部又ハ一部ニ付其ノ全額ヲ受クルコト能ハサリシトキハ傷病手當金又ハ出產手當金ノ全額、其ノ一部ヲ受クルコト能ハサリシ場合ニ於テ受ケタル額カ傷病手當金又ハ出產手當金ノ額ヨリ小ナルトキハ其ノ額ト傷病手當金又ハ出產手當金トノ差額ヲ支給ス但シ前條但書ノ規定ニ依リ傷病手當金又ハ出產手當金ノ一部ヲ受ケタルトキハ其ノ額ヲ支給額ヨリ控除ス
第八十七條 健康保險法第六十二條第二項ニ揭クル者ニ對シ支給スヘキ傷病手當金ニ付テハ第七十九條ノ規定ヲ準用ス
第八十八條 詐欺其ノ他不正ノ行爲ニ依リ保險給付ヲ受ケ又ハ受ケムトシタル者ニ對シテハ保險者ハ百八十日以內ノ期間ヲ定メ其ノ者ニ支給スヘキ傷病手當金又ハ出產手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セサル旨ノ決定ヲ爲スコトヲ得但シ詐欺其ノ他不正ノ行爲アリタル日ヨリ一年ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ決定ハ保險者ニ於テ其ノ事實ヲ知リタルトキ遲滯ナク之ヲ爲シ本人ニ通知スヘシ
被保險者業務上ノ事由ニ因リ疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場合ニ於テハ第一項ノ規定ニ拘ラス傷病手當金ヲ支給ス
前項ノ給付ヲ爲シタル期間ハ第一項ノ百八十日ノ期間ノ計算ニ付テハ之ヲ算入セス
第八十九條 傷病手當金及出產手當金ハ少クトモ每月二囘一定ノ期日ニ之ヲ支給スヘシ但シ每月一囘報酬ノ支拂ヲ受クル被保險者ニ付テハ每月一囘其ノ報酬支拂ノ日ニ於テ之ヲ支給スルコトヲ得
療養費、埋葬料及分娩費ハ其ノ都度之ヲ支給スヘシ健康保險法第四十九條第二項又ハ第五十六條第二項ノ埋葬費ニ付亦同シ
第五章 費用ノ負擔
第九十條 健康保險組合ニ對シ交付スル國庫負擔金ニ付テハ槪算拂ヲ爲スコトヲ得
前項ノ槪算拂ニ關シ必要ナル事項ハ內務大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ムヘシ
第九十一條 健康保險法第七十條第一項ノ規定ニ依ル國庫負擔金算定ノ基礎タル保險給付ニ要スル費用ノ額ハ療養ノ給付、產院收容及助產ノ手當ニ直接要シタル金額並傷病手當金、出產手當金、分娩費、埋葬料、療養費及健康保險法第四十九條第二項又ハ第五十六條第二項ノ埋葬費ノ支給額ノ合算額トシ每年度之ヲ計算ス但シ同法第四十八條ノ規定ニ依ル療養ノ給付ニ直接要シタル金額及同法第五十九條第一項ノ規定ニ依ル傷病手當金又ハ出產手當金ノ支給額ハ之ヲ算入セス
前項ノ療養ノ給付、產院收容又ハ助產ノ手當ニ要シタル器具、機械、建築物其ノ他ノ施設ニシテ其ノ效用二年以上ニ亘ルモノニ付テハ之ニ要シタル費用ヲ其ノ施設ノ豫定使用年數ニ應シ各年均等ニ分割シテ之ヲ計算ス
第九十二條 健康保險法第七十條第二項ニ規定スル被保險者ノ員數ハ其ノ年度內ノ各月末ニ於ケル被保險者ノ總數ノ平均數トス
第九十三條 健康保險組合ニ對スル國庫負擔金ノ總額カ被保險者一人ニ付一年平均二圓ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ各健康保險組合ニ對スル國庫負擔金ノ額ハ健康保險法第七十條第二項ノ國庫負擔金ノ總額ノ限度ニ於テ各健康保險組合ノ保險給付ニ要スル費用ノ額ニ應シ內務大臣之ヲ定ム
第九十四條 保險料額ハ一日ニ付各被保險者ノ標準報酬日額ニ保險料率ヲ乘シテ得タル額トス
第九十五條 保險料率ハ保險者之ヲ定ム
保險料率ハ各被保險者ニ付同一ナルコトヲ要ス但シ性質上事故多キ業務ニ使用セラルル被保險者ニ付テハ其ノ業務ノ種類ニ從ヒ異ナル保險料率ヲ定ムルコトヲ得
第九十六條 性質上事故多キ業務ニ使用セラルル被保險者ニ關スル保險料ニ付テハ內務大臣ハ事業主ノ負擔スヘキ割合ヲ保險料額ノ三分ノ二迄增加スルコトヲ得
第九十七條 第五條ノ規定ニ依リ算定シタル報酬日額五十五錢未滿ノ報酬ヲ受クル被保險者ニ關スル保險料ニ付テハ事業主ノ負擔額ハ報酬日額五十五錢以上六十五錢未滿ノ報酬ヲ受クル被保險者ニ關スル保險料ニ付事業主ノ負擔スヘキ額ト同額トス但シ其ノ額カ保險料ノ全額ヲ超過スル場合ニ於テハ事業主ノ負擔額ハ保險料ノ全額トス
第九十八條 事業主ハ被保險者ニ對シ金錢ヲ以テ報酬ヲ支拂フ場合ニ於テハ被保險者ノ負擔スヘキ前月分ノ保險料ヲ報酬ヨリ控除スルコトヲ得
事業主ハ被保險者カ其ノ事業ニ使用セラレサルニ至リタルトキニ限リ前項ノ規定ニ拘ラス報酬支拂ノ際ニ於テ被保險者ノ負擔スヘキ前月分及其ノ月分ノ保險料ヲ控除スルコトヲ得
第九十九條 事業主ハ保險料ノ控除ニ關スル計算書ヲ作製シ被保險者ノ請求ニ應シテ閱覽セシムヘシ
第百條 每月ノ保險料ハ翌月末日迄ニ之ヲ納付スヘシ
第百一條 健康保險組合ハ第九十八條又ハ前條ノ規定ニ拘ラス規約ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第六章 審查ノ請求及訴願
第一節 健康保險審查會ノ組織
第百二條 健康保險審查會ハ內務大臣ノ監督ニ屬シ健康保險法第八十條及第八十二條ノ審查ヲ爲ス
第百三條 健康保險審查會ハ第一次健康保險審查會、第二次健康保險審查會及第三次健康保險審查會トス
健康保險審查會ノ名稱、位置及管轄區域ハ內務大臣之ヲ定ム
第百四條 健康保險審查會ハ會長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第百五條 第一次健康保險審查會ノ會長ハ內務大臣ノ奏請ニ依リ第百六條第一項第一號ノ委員中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ス
第二次健康保險審查會ノ會長ハ內務大臣ノ奏請ニ依リ內務部內ノ高等官中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ス
第三次健康保險審查會ノ會長ハ社會局長官ヲ以テ之ニ充ツ
第百六條 第一次健康保險審查會ノ委員ハ左ニ揭クル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 官吏、公吏又ハ學識經驗アル者 二人又ハ三人
二 被保險者ヲ使用スル事業主 二人又ハ三人
三 被保險者 二人又ハ三人
第二次健康保險審查會ノ委員ハ左ニ揭クル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 官吏、公吏又ハ學識經驗アル者 三人
二 被保險者ヲ使用スル事業主 三人
三 被保險者 三人
第三次健康保險審查會ノ委員ハ左ニ揭クル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 官吏、公吏又ハ學識經驗アル者 五人
二 被保險者ヲ使用スル事業主 五人
三 被保險者 五人
第一項ノ委員ニ付テハ同項各號ニ該當スル者各同數タルコトヲ要ス
第百七條 健康保險署ノ職員ハ健康保險審查會ノ委員タルコトヲ得ス
健康保險審查會ノ委員ハ他ノ健康保險審查會ノ委員ヲ兼ヌルコトヲ得ス
第百八條 第一次健康保險審查會ノ委員ハ內務大臣之ヲ命シ第二次健康保險審查會及第三次健康保險審查會ノ委員ハ內務大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ス
第百九條 委員ノ任期ハ官吏又ハ公吏トシテ委員タル者ヲ除クノ外三年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ケス
第百十條 會長ハ會務ヲ總理シ會議ノ議長ト爲ル
會長事故アルトキハ會長ノ指名シタル委員其ノ職務ヲ代理ス
第百十一條 健康保險審查會ニ幹事ヲ置ク
第一次健康保險審查會ノ幹事ハ健康保險署ノ職員中ヨリ內務大臣之ヲ命シ第二次健康保險審查會及第三次健康保險審查會ノ幹事ハ內務大臣ノ奏請ニ依リ內務部內ノ高等官中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ス
幹事ハ會長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第百十二條 健康保險審查會ニ書記ヲ置ク
第一次健康保險審查會ノ書記ハ健康保險署ノ判任官中ヨリ、第二次健康保險審查會及第三次健康保險審查會ノ書記ハ社會局ノ判任官中ヨリ內務大臣之ヲ命ス
書記ハ會長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二節 健康保險審查會ノ審查手續
第百十三條 審查ハ保險給付ニ關スル決定又ハ保險料其ノ他健康保險法ノ規定ニ依ル徵收金ノ賦課若ハ徵收ノ處分ヲ爲シタル健康保險署又ハ健康保險組合ノ事務所ノ所在地ヲ管轄スル健康保險審查會ニ於テ之ヲ爲ス
第百十四條 審查ハ委員定數ノ半數以上出席シ且第百六條第一項乃至第三項各號ノ委員各一人以上出席スルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス但シ同一ノ事件ニ付招集再囘ニ及フ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第百十五條 審查ハ出席委員ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第百十六條 審查ハ文書ニ就キ之ヲ爲ス但シ必要アリト認ムルトキハ口頭審問ヲ爲スコトヲ妨ケス
前項但書ノ規定ニ依リ口頭審問ヲ爲ス爲出頭ヲ命セラレタル場合ニ於テ已ムコトヲ得サル事故ノ爲出頭スルコトヲ得サルトキハ當事者ハ其ノ法定代理人、親族又ハ同居者ヲシテ代リテ出頭セシムルコトヲ得
口頭審問ノ爲出頭シタル當事者及之ニ代リテ出頭シタル者ニ對シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ旅費ヲ給スルコトヲ得
第百十七條 審查ノ請求アリタル場合ニ於テ其ノ事件カ審查ノ請求ヲ爲スヘカラサルモノナルトキ又ハ審查ノ請求カ適法ノ手續ニ違反シタルモノナルトキハ健康保險審查會ハ決定ヲ以テ之ヲ却下スヘシ
審查ノ請求アリタル場合ニ於テ其ノ事件カ管轄違ナルトキハ之ヲ所轄健康保險審查會ニ移送スヘシ
審查ノ請求ニシテ手續ノ方式ニ欠缺アルモノハ健康保險審查會之ヲ補正セシムヘシ
第百十八條 審查ハ之ヲ公開セス但シ口頭審問ハ之ヲ公開ス
口頭審問ヲ爲ス場合ニ於テ議長必要アリト認ムルトキハ前項但書ノ規定ニ拘ラス傍聽ヲ制限又ハ禁止スルコトヲ得
第百十九條 保險官署ノ職員其ノ他關係官吏ハ健康保險審查會ノ請求ニ依リ又ハ其ノ承認ヲ受ケ會議ニ出席シ意見ヲ述フルコトヲ得
第百二十條 事件ノ一部カ審查ノ決定ヲ爲スニ熟スルトキハ其ノ部分ニ付先ツ決定ヲ爲スコトヲ得
第百二十一條 審查ノ決定ハ理由ヲ附シ文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第百二十二條 審查請求人審查ノ決定前ニ死亡シタルトキハ其ノ承繼人ニ於テ審查請求手續ヲ受繼クモノトス
第百二十三條 本節ニ規定スルモノノ外審查ニ關シ必要ナル事項ハ內務大臣之ヲ定ム
第三節 雜則
第百二十四條 健康保險法第八十一條ニ於テ保險官署又ハ健康保險組合ヲ監督スル保險官署トアルハ社會局長官トス
第百二十五條 健康保險法第八十一條ノ規定ニ依ル訴願ニ關シテハ健康保險組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政廳ト看做ス
附 則
本令ハ大正十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定ハ大正十六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際ニ限リ第四條第一項但書中資格ヲ取得シタル日ノ現在トアルハ大正十五年十一月一日ノ現在トス但シ大正十五年十一月二日以後ニ於テ被保險者ノ資格ヲ取得シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
政府ノ事業ニ使用セラルル官吏又ハ待遇官吏ニ付テハ當分ノ內內務大臣ハ之ヲ健康保險ノ被保險者ト爲ササルコトヲ得
朕健康保険法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年六月三十日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
内務大臣 浜口雄幸
勅令第二百四十三号
健康保険法施行令
第一章 総則
第一条 健康保険法第二条第一項ノ賃金、給料又ハ俸給ニ準スヘキモノノ範囲ハ常時又ハ定期ニ受クル給与其ノ他ノ利益トス但シ左ニ掲クルモノヲ除ク
一 三月ヲ超ユル期間毎ニ支給スル賞与又ハ手当
二 通勤手当
三 住居ニ関スル利益又ハ住宅料ニシテ賃金、給料又ハ俸給ノ額ノ決定ニ影響ナキモノ
四 其ノ他内務大臣ノ指定スルモノ
第二条 賃金、給料又ハ俸給ニ準スヘキモノノ全部又ハ一部カ金銭以外ノ給与其ノ他ノ利益ナル場合ニ於テハ其ノ価額ハ保険官署ノ定ムル標準価格ニ依リ之ヲ算定ス
前項ノ標準価格ハ其ノ地方ノ時価ニ依リ之ヲ定ム
健康保険組合ハ第一項ノ規定ニ拘ラス規約ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第三条 健康保険法第三条第一項ノ標準報酬ハ被保険者ノ報酬日額ニ基キ左ノ区別ニ依リ之ヲ定ム
【表】
第四条 標準報酬ハ毎年六月一日ノ現在ニ依リ之ヲ定メ七月一日ヨリ翌年六月三十日迄其ノ効力ヲ有ス但シ被保険者ノ資格ヲ取得シタル際ニ於ケル標準報酬ハ其ノ資格ヲ取得シタル日ノ現在ニ依リ之ヲ定メ其ノ日ヨリ六月三十日迄其ノ効力ヲ有ス
被保険者ノ報酬ニ著シキ増減アリタルトキハ保険者ハ前項ノ規定ニ拘ラス標準報酬ノ変更ヲ為スヘシ
健康保険法第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ニ付テハ第一項ノ規定ニ拘ラス引続キ従前ノ標準報酬ニ依ル
健康保険組合ハ第一項ノ規定ニ拘ラス標準報酬ノ決定ニ関シ規約ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第五条 第三条ニ規定スル被保険者ノ報酬日額ハ左ノ各号ノ規定ニ依リ之ヲ算定ス
一 年ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日ノ現在ニ於ケル年額ノ三百六十分ノ一
二 月ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日ノ現在ニ於ケル月額ノ三十分ノ一
三 前二号ノ外一定ノ期間ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日ノ現在ニ於ケル其ノ報酬ノ額ヲ其ノ期間ノ日数ヲ以テ除シテ得タル額
四 日、時間、稼高又ハ請負ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報酬決定ノ日前三月間ニ受ケタル額ノ九十分ノ一但シ現ニ使用セラルル事業ニ於テ報酬ヲ受ケタル期間三月ニ満チサルトキハ其ノ地方ニ於テ同様ノ作業ニ従事シ同様ノ報酬ヲ受クル被保険者ノ報酬ニ付本号ノ規定ニ依リテ算定シタル額
五 前四号ノ規定ニ依リ算定シ難キモノニ付テハ標準報酬決定ノ日前一年間ニ於テ受ケタル額ノ三百六十分ノ一但シ現ニ使用セラルル事業ニ於テ報酬ヲ受ケタル期間三百六十日ニ満チサルトキハ其ノ受ケタル報酬ノ額ヲ其ノ期間ノ日数ヲ以テ除シテ得タル額
六 前各号ノ二以上ニ該当スル報酬ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ各ニ付前各号ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
七 同時ニ二以上ノ業務ニ於テ報酬ヲ受クル場合ニ於テハ各業務ニ付前各号ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
被保険者ノ報酬日額カ前項ノ規定ニ依リ算定シ難キトキ又ハ前項ノ規定ニ依リテ算定シタル額カ著シク不当ナルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス保険者ニ於テ適当ノ方法ニ依リ之ヲ算定スヘシ
保険者カ健康保険組合ナル場合ニ於テハ前項ノ算定方法ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第六条 健康保険法又ハ本令ノ規定ニ依リ事業主カ内務大臣ノ認可ヲ受クヘキ場合ニ於テ政府カ事業主ナルトキハ内務大臣ノ承認ヲ受クヘシ
第七条 政府ノ事業ニ使用セラルル被保険者カ健康保険法ノ規定ニ依リ保険給付ヲ受クヘキ場合ニ於テ内務大臣ノ指定シタル共済組合ヨリ其ノ保険給付ニ相当スル給付ヲ受クルトキハ其ノ重複スル部分ニ付テハ保険給付ヲ為サス
前項ノ規定ニ依リ内務大臣ノ指定スル共済組合ハ左ノ要件ヲ具フルモノニ限ル
一 健康保険法ノ規定ニ依ル保険給付ト同種ノ給付ヲ為スコト
二 給付ニ要スル費用ニ付政府カ健康保険法ノ規定ニ依ル国庫及事業主ノ負担ト同一ノ割合ヲ下ラサル負担ヲ為スコト
第八条 前条ノ規定ニ依リ保険給付ノ全部又ハ一部ヲ受ケサル者ニ付テハ保険料ハ其ノ程度ニ応シ之ヲ減額シ又ハ之ヲ徴収セス
第二章 被保険者
第九条 臨時ニ使用セラルル者ノ中左ニ掲クル者ハ健康保険法第十三条但書又ハ第十五条第二項ノ規定ニ依リ被保険者タラサルモノトス但シ第一号ニ該当スル者所定ノ期間ヲ超エテ引続キ使用セラルルニ至リタルトキ又ハ第二号若ハ第三号ニ該当スル者三十日ヲ超エテ引続キ使用セラルルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラス
一 六十日以内ノ期間ヲ定メテ使用セラルル者
二 使用期間ノ定ナク労務供給契約ニ基キ又ハ試ニ使用セラルル者
三 日日雇入レラルル者
四 前各号ニ掲クルモノノ外内務大臣ノ定ムル者
第十条 健康保険法第二十条ノ規定ニ依ル被保険者タラムトスル申請ハ被保険者ノ資格ヲ喪失シタル日(継続シテ保険給付ヲ受クル者ニ在リテハ其ノ給付ヲ受ケサルニ至リタル日)ヨリ十日以内ニ之ヲ為スヘシ但シ保険者ニ於テ正当ノ事由アリト認ムルトキハ期限経過後ノ申請ト雖之ヲ受理スルコトヲ得
第三章 健康保険組合
第一節 組合ノ設立
第十一条 事業主健康保険組合ヲ設立スル為健康保険法第二十九条ノ同意ヲ求ムル場合ニ於テハ左ノ事項ヲ記載シタル書面ヲ同条ノ被保険者(健康保険法第三十条ノ場合ニ在リテハ被保険者ト為ルヘキ者)全部ニ送付スヘシ
一 組合員タルヘキ者ノ範囲
二 組合ノ組織ノ概要
三 保険料ノ概要
四 保険給付ノ概要
五 其ノ他事業計画ノ概要
第十二条 規約ニハ左ノ事項ヲ規定スヘシ
一 組合ノ名称
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ設立アル事業ノ名称及所在地
四 公示ノ方法
五 其ノ他組合ニ関シ重要ナル事項
第十三条 組合ハ其ノ名称中ニ健康保険組合ナル文字ヲ用フヘシ
健康保険組合ニ非サルモノハ其ノ名称中ニ健康保険組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ス
第十四条 組合設立ノ際ニ於テ定ムヘキ保険料率及初年度ノ収入支出ノ予算ハ事業主之ヲ定メ内務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十五条 組合設立ノ認可ヲ為シタルトキハ内務大臣ハ左ノ事項ヲ告示スヘシ
一 組合ノ名称
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ設立アル事業ノ名称及所在地
四 認可ノ年月日
前項各号ノ事項ニ関スル規約ノ変更ヲ認可シタルトキハ内務大臣ハ其ノ事項ヲ告示スヘシ
第十六条 組合設立ノ認可アリタルトキハ事業主ハ遅滞ナク規約ヲ公示スヘシ規約ノ変更アリタルトキ亦同シ
第十七条 組合設立ノ認可アリタルトキハ事業主ハ遅滞ナク組合会ヲ招集シ組合設立ノ経過、保険料率及初年度ノ収入支出ノ予算其ノ他重要ナル事項ヲ報告スヘシ
第十八条 組合設立後理事就職ニ至ル迄ハ事業主理事ノ職務ヲ行フ
第二節 組合ノ会議
第十九条 組合ニ組合会ヲ置ク
組合会ハ組合会議員ヲ以テ之ヲ組織ス
第二十条 議員ノ定数ハ十二人以上ノ偶数トシ其ノ半数ハ事業主ニ於テ事業主(若ハ其ノ代理人)及其ノ事業ニ使用セラルル者ノ中ニ就キ之ヲ選定シ他ノ半数ハ被保険者タル組合員ニ於テ之ヲ互選ス
第二十一条 議員就職シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公示スヘシ議員退職又ハ死亡シタルトキ亦同シ
第二十二条 議員ノ選挙ハ無記名投票ニ依リ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十三条 選挙人タル組合員議員ノ選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ第二十一条ノ公示ノ日ヨリ七日以内ニ之ヲ理事ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ申立アリタルトキハ理事ハ二十日以内ニ之ヲ組合会ノ決定ニ付シ其ノ決定アリタルトキハ遅滞ナク之ヲ公示スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ決定アリタル日ヨリ三十日以内ニ監督官庁ニ訴願スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ健康保険組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政庁ト看做ス
議員ハ第二項ノ決定又ハ前項ノ訴願ノ裁決アル迄ハ会議ニ列席シ議事ニ参与スルノ権ヲ失ハス
第二十四条 本令ニ規定スルモノノ外議員ノ定数、資格、任期、選定及選挙ニ関スル事項ハ規約ノ定ムル所ニ依ル
第二十五条 組合会ノ議決スヘキ事項左ノ如シ
一 収入支出ノ予算
二 事業報告及決算
三 収入支出予算ヲ以テ定ムルモノノ外新ナル義務ノ負担又ハ権利ノ抛棄
四 準備金ノ管理方法
五 準備金其ノ他重要ナル財産ノ処分
六 組合債
七 規約ノ変更
八 保険料率
九 訴願訴訟ノ提起及和解
十 其ノ他重要ナル事項
第二十六条 組合会ハ組合ノ事務ニ関スル書類ヲ検閲シ、理事ノ報告ヲ請求シ又ハ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ検査スルコトヲ得
組合会ハ議員中ヨリ委員ヲ選挙シ前項ノ組合会ノ権限ニ属スル事項ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十七条 組合会ハ理事之ヲ招集ス
議員定数ノ三分ノ一以上ヨリ会議ノ目的タル事項ヲ示シテ組合会招集ノ請求ヲ為シタルトキハ理事ハ七日以内ニ之ヲ招集スヘシ
組合会ノ招集ハ会議ノ目的タル事項ヲ示シ急施ヲ要スル場合ヲ除クノ外開会ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ為スヘシ
前二項ノ期間ニ付テハ規約ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
組合会開会中急施ヲ要スル事項アルトキハ理事ハ直ニ之ヲ其ノ会議ニ付スルコトヲ得
組合会ハ理事之ヲ開閉ス
第二十八条 組合会ノ議長ハ理事長ヲ以テ之ニ充ツ
理事長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ行フ
決算ノ認定ニ関スル会議ノ議長ハ前二項ノ規定ニ拘ラス理事以外ノ出席議員中ヨリ互選セラレタル者ヲ以テ之ニ充ツ
議長ハ会議ヲ総理シ議場ノ秩序ヲ保持ス
第二十九条 組合会ハ議員定数ノ半数以上出席スルニ非サレハ会議ヲ開クコトヲ得ス但シ第三十二条ノ除斥ノ為半数ニ満チサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十条 組合会ノ議事ハ出席議員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第三十一条 規約変更ノ議事ハ議員定数ノ四分ノ三以上ノ多数ヲ以テ之ヲ決ス
第三十二条 議長及議員ハ其ノ一身上ニ関スル事項ニ付テハ其ノ議事ニ参与スルコトヲ得ス但シ組合会ノ同意ヲ得タルトキハ会議ニ出席シ発言スルコトヲ得
第三十三条 議員ハ自ラ会議ニ出席シ表決ヲ為スヘシ但シ会議ニ出席スルコト能ハサル議員ハ規約ノ定ムル所ニ依リ予メ書面ヲ以テ出席議員ニ委任シテ表決ヲ為スコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ之ヲ会議ニ出席シタルモノト看做ス
第三十四条 組合員ハ規約ニ定ムル特別ノ場合ヲ除クノ外組合会ノ会議ヲ傍聴スルコトヲ得
第三十五条 議員ハ其ノ職務ノ為要スル旅費ノ支給ヲ組合ヨリ受クルコトヲ得
被保険者タル議員其ノ職務ヲ行フニ因リ平常ノ業務ニ対スル報酬ヲ受クルコトヲ得サル場合ニ於テハ其ノ補償ヲ組合ヨリ受クルコトヲ得
第一項ノ旅費及前項ノ補償ノ額及支給方法ハ規約ノ定ムル所ニ依ル
第三節 組合ノ役員
第三十六条 組合ニ理事ヲ置ク
理事ノ定数ハ四人以上ノ偶数トシ其ノ半数ハ事業主ノ選定シタル議員ニ於テ、他ノ半数ハ被保険者タル組合員ノ互選シタル議員ニ於テ之ヲ互選ス
理事ノ中一人ヲ理事長トシ事業主ノ選定シタル議員タル理事中ニ就キ理事之ヲ選挙ス
第三十七条 理事長ハ組合ヲ代表ス
理事長故障アルトキハ規約ノ定ムル所ニ依リ他ノ理事其ノ職務ヲ代理ス
第三十八条 組合ノ事務ハ理事ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ理事長ノ決スル所ニ依ル
第三十九条 組合会成立セス又ハ其ノ議決スヘキ事項ヲ議決セサルトキハ理事ハ監督官庁ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スヘキ事項ヲ処置スルコトヲ得
第四十条 組合会ニ於テ議決スヘキ事項ニ関シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ組合会成立セサルトキ又ハ之ヲ招集スルノ暇ナキトキハ理事之ヲ専決スルコトヲ得
第四十一条 前二条ノ規定ニ依リ処置ヲ為シタルトキハ理事ハ次回ノ会議ニ於テ之ヲ組合会ニ報告スヘシ
第四十二条 理事ハ規約、財産目録、事業報告書、組合原簿及組合会ノ会議録ヲ事務所ニ備フヘシ
組合員前項ノ書類ノ閲覧ヲ求メタルトキハ理事ハ正当ノ事由アルニ非サレハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第四十三条 第二十一条、第二十四条及第三十五条ノ規定ハ理事及理事長ニ之ヲ準用ス
第四節 組合ノ財務
第四十四条 組合ノ会計年度ハ政府ノ会計年度ニ依ル
第四十五条 組合ハ毎会計年度収入支出ノ予算ヲ調製シ監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ予算ヲ更正又ハ追加シタルトキ亦同シ
予算ニ定メタル各款ノ金額ハ彼此流用スルコトヲ得ス
予算ニ定メタル各項ノ金額ハ組合会ノ議決ヲ経テ之ヲ流用スルコトヲ得
第四十六条 組合ハ組合会ノ議決ヲ経テ継続費ヲ設クルコトヲ得
第四十七条 組合ハ予算超過ノ支出ニ充ツル為予備費ヲ設クヘシ
予備費ハ規約ヲ以テ定メタル費途以外ノ費途ニ之ヲ充ツルコトヲ得ス
第四十八条 組合ニ於テ其ノ収入金ヲ収納スルハ翌年度五月三十一日、其ノ支出金ヲ支払フハ翌年度四月十五日限リトシ其ノ出納ヲ閉鎖ス
第四十九条 組合ハ保険料率ヲ変更セムトスルトキハ監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第五十条 組合ハ少クトモ保険給付ニ要シタル費用ノ前三年度ノ平均年額ニ相当スル額ニ達スル迄毎年度ノ剰余金中ヨリ該平均年額ノ百分ノ五以上ニ相当スル額(剰余金カ該平均年額ノ百分ノ五ニ達セサルトキハ其ノ全額)ヲ準備金トシテ積立ツヘシ
前項ノ限度内ノ準備金ハ保険給付ニ要スル費用ニ不足ヲ生シタルトキニ非サレハ之ヲ使用スルコトヲ得ス
第五十一条 組合ハ準備金ノ管理方法ヲ定メ監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第五十二条 準備金以外ノ財産ノ管理方法ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第五十三条 組合ハ支払上現金ニ不足ヲ生シタルトキハ準備金ニ属スル現金ヲ繰替使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ仍現金ニ不足アルトキハ一時借入金ヲ為スコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ繰替使用シタル金額及一時借入金ハ当該会計年度内ニ之ヲ返還スヘシ
第二項ノ一時借入金ヲ為シ得ヘキ限度ハ毎年度監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第五十四条 組合ハ組合債ヲ起シ、起債ノ方法、利息ノ定率若ハ償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ変更セムトスルトキハ監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第五十五条 組合ハ重要ナル財産ノ処分ヲ為サムトスルトキハ監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第五節 組合ノ分合解散
第五十六条 組合合併又ハ分割ヲ為サムトスルトキハ関係アル組合ノ組合会ニ於テ議員定数ノ四分ノ三以上ノ多数ヲ以テ之ヲ議決シ内務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ場合ニ於テ規約ノ変更ヲ要スルトキハ前項ノ議決ト共ニ之ヲ議決スヘシ
第五十七条 組合ノ分割ハ組合ノ設立アル事業ノ一部ニ付之ヲ為スコトヲ得ス
一事業ニ於テ作業ノ場所二以上アル場合ニ於テハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ内務大臣ハ其ノ一又ハ二以上ノ場所ニ於ケル作業ヲ一事業ト看做スコトヲ得
第五十八条 分割ヲ為ス場合ニ於テハ分割後存続スル組合又ハ分割ニ因リテ成立スル組合ノ被保険者タル組合員ノ員数ハ常時三百人以上タルヘキコトヲ要ス
第五十九条 合併ニ因リテ成立スル組合ノ規約、保険料率及初年度ノ収入支出ノ予算ハ各組合ニ於テ選任シタル者共同シテ之ヲ定メ内務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十条 分割ニ因リテ成立スル組合ノ規約、保険料率及初年度ノ収入支出ノ予算ハ其ノ組合ノ組合員タルヘキ事業主之ヲ定メ内務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十一条 合併後存続スル組合又ハ合併ニ因リテ成立シタル組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ権利義務ヲ承継ス
分割ニ因リテ成立シタル組合ハ分割ニ因リテ消滅シタル組合又ハ分割後存続スル組合ノ権利義務ノ一部ヲ承継ス
前項ノ規定ニ依リ承継スル権利義務ノ限度ハ分割ノ議決ト共ニ之ヲ議決シ内務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十二条 組合ノ合併又ハ分割ノ認可ヲ為シタルトキハ内務大臣ハ合併又ハ分割ニ因リテ成立又ハ消滅シタル組合及合併又ハ分割後存続スル組合ニ付左ノ事項ヲ告示スヘシ
一 組合ノ名称
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ設立アル事業ノ名称及所在地
四 認可ノ年月日
第六十三条 第十六条乃至第十八条ノ規定ハ合併又ハ分割ニ因リテ成立シタル組合ニ付之ヲ準用ス
合併又ハ分割ノ際其ノ合併又ハ分割シタル組合ノ理事タリシ者カ合併又ハ分割ニ因リテ成立シタル組合ノ組合員タル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依リ事業主ノ行フヘキ職務ハ其ノ理事タリシ者之ヲ行フ
第六十四条 組合解散ヲ為サムトスルトキハ組合会ニ於テ議員定数ノ四分ノ三以上ノ多数ヲ以テ之ヲ議決シ内務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第六十五条 組合ハ被保険者タル組合員ナキニ至ルモ其ノ欠欠カ一時的ナル場合ニ於テハ解散スルコトナシ
第六十六条 組合解散シタルトキハ内務大臣ハ第六十二条ノ例ニ依リ之ヲ告示スヘシ
第六十七条 組合ノ設立アル事業ヲ増減セムトスルトキハ編入又ハ削除セラルヘキ事業ノ事業主ノ全部及其ノ事業ニ使用セラルル被保険者ノ二分ノ一以上ノ同意アルコトヲ要ス
編入又ハ削除セラルヘキ事業二以上アル場合ニ於テハ前項ノ被保険者ノ同意ハ各事業ニ付之ヲ得ルコトヲ要ス
前二項ノ規定ニ於テ被保険者トアルハ健康保険法第十四条第一項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ト同時ニ事業編入ニ関スル規約変更ノ認可ノ申請ヲ為ス場合ニ在リテハ被保険者ト為ルヘキ者トス
第六十八条 第五十七条ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六十九条 事業ノ削除ヲ為ス場合ニ於テハ削除後ニ於テモ組合ノ被保険者タル組合員ノ員数ハ常時三百人以上タルヘキコトヲ要ス
第七十条 組合カ第六十七条ノ同意ヲ求メムトスルトキハ事業ノ編入ノ場合ニ在リテハ第十一条各号ニ掲クル事項ヲ記載シタル書面ヲ、事業ノ削除ノ場合ニ在リテハ削除ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ編入又ハ削除ニ因リ組合員タル資格ヲ取得又ハ喪失スヘキ者ノ全部ニ送付スヘシ
第六節 組合ノ監督
第七十一条 内務大臣ハ組合会ノ解散ヲ命スルコトヲ得
組合会解散ノ場合ニ於テハ一月以内ニ議員ノ選定及選挙ヲ為スヘシ
第七十二条 健康保険法第三十九条ノ規定ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間組合ノ役員タルコトヲ得ス
第七十三条 第二十三条第三項、第三十九条、第四十五条第一項、第四十九条、第五十一条、第五十三条第四項、第五十四条及第五十五条ニ於テ監督官庁トアルハ社会局長官トス
第四章 保険給付
第七十四条 健康保険法第四十三条第一項ノ療養ノ給付ノ範囲左ノ如シ
一 診察
二 薬剤又ハ治療材料ノ支給
三 処置、手術其ノ他ノ治療
四 看護
五 被保険者ノ移送
前項第三号ノ給付ハ緊急ノ場合其ノ他保険者必要アリト認ムル場合ヲ除クノ外之ニ要スル費用一回二十円ヲ以テ限度トス
第一項第四号及第五号ノ給付ハ保険者必要アリト認ムル場合ニ於テ為スモノニ限ル
第七十五条 前条第一項第一号乃至第三号ノ給付ニ付テハ被保険者ハ保険者ノ指定シタル医師又ハ歯科医師中自己ノ選定シタル者ニ就キ之ヲ受クルコトヲ得但シ健康保険法第四十三条第三項ノ規定ニ依リ病院ニ収容セラレタルトキハ此ノ限ニ在ラス
被保険者前項ノ規定ニ依リ医師又ハ歯科医師ヲ選定シタルトキハ保険者ノ承認アリタル場合ヲ除クノ外同一ノ疾病又ハ負傷ノ療養ニ付テハ之ヲ変更スルコトヲ得ス
保険者ハ正当ノ事由アルニ非サレハ前項ノ承認ヲ拒ムコトヲ得ス
第七十六条 前条ニ規定スル医師又ハ歯科医師処方箋ヲ交付シタルトキハ被保険者ハ保険者ノ指定シタル薬剤師中自己ノ選定シタル者ニ就キ薬剤ヲ受クルコトヲ得
第七十七条 左ノ場合ニ於テハ健康保険法第四十四条ノ規定ニ依リ療養ノ給付ニ代ヘテ療養費ヲ支給スルコトヲ得
一 保険者ニ於テ療養ノ給付ヲ為スコト困難ナリト認メタルトキ
二 被保険者カ保険者ノ承認ヲ受ケ其ノ指定セサル医師又ハ歯科医師ノ診療ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ被保険者ノ申請アリタルトキ
三 被保険者カ緊急ノ場合ニ於テ保険者ノ指定セサル医師、歯科医師其ノ他ノ者ノ手当ヲ受ケタル場合ニ於テ其ノ被保険者ノ申請アリタルトキ
健康保険組合ハ前項各号ノ外規約ヲ以テ療養ノ給付ニ代ヘテ療養費ヲ支給スルコトヲ得ル場合ヲ定ムルコトヲ得
第七十八条 前条ノ規定ニ依リ支給スル療養費ノ額ハ療養ノ給付ヲ為ス場合ニ要スル額ヲ標準トシテ保険者之ヲ定ム
第七十九条 病院ニ収容シタル被保険者ニ対シ支給スヘキ傷病手当金ハ左ノ額トス
一 主トシテ被保険者ニ依リ生計ヲ維持スル者ナキ場合 標準報酬日額ノ百分ノ二十
二 前号ニ掲クル者二人以内ナル場合 標準報酬日額ノ百分ノ四十
三 第二号ニ掲クル者三人以上ナル場合 標準報酬日額ノ百分ノ六十
第八十条 出産手当金ハ被保険者カ分娩ノ日前二十八日、分娩ノ日以後四十二日以内ニ於テ労務ニ服セサリシ期間之ヲ支給ス
分娩ノ日カ其ノ予定日ヨリ後レタルトキハ保険者ハ前項ノ分娩ノ日前ノ期間ヲ七日以内延長スルコトヲ得
第八十一条 産院ニ収容シ又ハ助産ノ手当ヲ為シタル被保険者ニ対シ支給スヘキ分娩費用ノ額ハ十円トス
産院ニ収容シタル被保険者ニ対シ支給スル出産手当金ニ付テハ第七十九条ノ規定ヲ準用ス
第八十二条 分娩ニ関スル保険給付ハ分娩前一年内ニ於テ百八十日以上被保険者タリシ者ニ非サレハ之ヲ為サス但シ九十日以上被保険者タリシ者ニ対シテハ分娩費ヲ支給シ又ハ助産ノ手当ヲ為ス
第八十三条 分娩ノ前後ニ保険者ニ変更アリタル場合ニ於テ各保険者ノ分娩ニ関スル保険給付ニ要スル費用ノ分担額ハ其ノ給付ヲ受クル者カ分娩ノ予定日前二百八十日目ヨリ分娩ノ日以後四十二日迄ノ期間ニ於テ被保険者タリシ期間ノ割合ニ応シテ之ヲ算定ス
第八十四条 被保険者タリシ者分娩ニ関スル保険給付ヲ受クルニハ被保険者ノ資格ヲ喪失シタル日後百八十日以内ニ分娩シタルコトヲ要ス
第八十五条 疾病ニ罹リ、負傷シ又ハ分娩シタル場合ニ於テ継続シテ報酬ノ全部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ヘキ者ニ対シテハ之ヲ受クルコトヲ得ヘキ期間傷病手当金又ハ出産手当金ヲ支給セス但シ其ノ受クルコトヲ得ヘキ報酬ノ額カ傷病手当金又ハ出産手当金ノ額ヨリ小ナルトキハ其ノ差額ヲ支給ス
第八十六条 前条ニ掲クル者其ノ受クルコトヲ得ヘカリシ報酬ノ全部又ハ一部ニ付其ノ全額ヲ受クルコト能ハサリシトキハ傷病手当金又ハ出産手当金ノ全額、其ノ一部ヲ受クルコト能ハサリシ場合ニ於テ受ケタル額カ傷病手当金又ハ出産手当金ノ額ヨリ小ナルトキハ其ノ額ト傷病手当金又ハ出産手当金トノ差額ヲ支給ス但シ前条但書ノ規定ニ依リ傷病手当金又ハ出産手当金ノ一部ヲ受ケタルトキハ其ノ額ヲ支給額ヨリ控除ス
第八十七条 健康保険法第六十二条第二項ニ掲クル者ニ対シ支給スヘキ傷病手当金ニ付テハ第七十九条ノ規定ヲ準用ス
第八十八条 詐欺其ノ他不正ノ行為ニ依リ保険給付ヲ受ケ又ハ受ケムトシタル者ニ対シテハ保険者ハ百八十日以内ノ期間ヲ定メ其ノ者ニ支給スヘキ傷病手当金又ハ出産手当金ノ全部又ハ一部ヲ支給セサル旨ノ決定ヲ為スコトヲ得但シ詐欺其ノ他不正ノ行為アリタル日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ決定ハ保険者ニ於テ其ノ事実ヲ知リタルトキ遅滞ナク之ヲ為シ本人ニ通知スヘシ
被保険者業務上ノ事由ニ因リ疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場合ニ於テハ第一項ノ規定ニ拘ラス傷病手当金ヲ支給ス
前項ノ給付ヲ為シタル期間ハ第一項ノ百八十日ノ期間ノ計算ニ付テハ之ヲ算入セス
第八十九条 傷病手当金及出産手当金ハ少クトモ毎月二回一定ノ期日ニ之ヲ支給スヘシ但シ毎月一回報酬ノ支払ヲ受クル被保険者ニ付テハ毎月一回其ノ報酬支払ノ日ニ於テ之ヲ支給スルコトヲ得
療養費、埋葬料及分娩費ハ其ノ都度之ヲ支給スヘシ健康保険法第四十九条第二項又ハ第五十六条第二項ノ埋葬費ニ付亦同シ
第五章 費用ノ負担
第九十条 健康保険組合ニ対シ交付スル国庫負担金ニ付テハ概算払ヲ為スコトヲ得
前項ノ概算払ニ関シ必要ナル事項ハ内務大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ムヘシ
第九十一条 健康保険法第七十条第一項ノ規定ニ依ル国庫負担金算定ノ基礎タル保険給付ニ要スル費用ノ額ハ療養ノ給付、産院収容及助産ノ手当ニ直接要シタル金額並傷病手当金、出産手当金、分娩費、埋葬料、療養費及健康保険法第四十九条第二項又ハ第五十六条第二項ノ埋葬費ノ支給額ノ合算額トシ毎年度之ヲ計算ス但シ同法第四十八条ノ規定ニ依ル療養ノ給付ニ直接要シタル金額及同法第五十九条第一項ノ規定ニ依ル傷病手当金又ハ出産手当金ノ支給額ハ之ヲ算入セス
前項ノ療養ノ給付、産院収容又ハ助産ノ手当ニ要シタル器具、機械、建築物其ノ他ノ施設ニシテ其ノ効用二年以上ニ亘ルモノニ付テハ之ニ要シタル費用ヲ其ノ施設ノ予定使用年数ニ応シ各年均等ニ分割シテ之ヲ計算ス
第九十二条 健康保険法第七十条第二項ニ規定スル被保険者ノ員数ハ其ノ年度内ノ各月末ニ於ケル被保険者ノ総数ノ平均数トス
第九十三条 健康保険組合ニ対スル国庫負担金ノ総額カ被保険者一人ニ付一年平均二円ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ各健康保険組合ニ対スル国庫負担金ノ額ハ健康保険法第七十条第二項ノ国庫負担金ノ総額ノ限度ニ於テ各健康保険組合ノ保険給付ニ要スル費用ノ額ニ応シ内務大臣之ヲ定ム
第九十四条 保険料額ハ一日ニ付各被保険者ノ標準報酬日額ニ保険料率ヲ乗シテ得タル額トス
第九十五条 保険料率ハ保険者之ヲ定ム
保険料率ハ各被保険者ニ付同一ナルコトヲ要ス但シ性質上事故多キ業務ニ使用セラルル被保険者ニ付テハ其ノ業務ノ種類ニ従ヒ異ナル保険料率ヲ定ムルコトヲ得
第九十六条 性質上事故多キ業務ニ使用セラルル被保険者ニ関スル保険料ニ付テハ内務大臣ハ事業主ノ負担スヘキ割合ヲ保険料額ノ三分ノ二迄増加スルコトヲ得
第九十七条 第五条ノ規定ニ依リ算定シタル報酬日額五十五銭未満ノ報酬ヲ受クル被保険者ニ関スル保険料ニ付テハ事業主ノ負担額ハ報酬日額五十五銭以上六十五銭未満ノ報酬ヲ受クル被保険者ニ関スル保険料ニ付事業主ノ負担スヘキ額ト同額トス但シ其ノ額カ保険料ノ全額ヲ超過スル場合ニ於テハ事業主ノ負担額ハ保険料ノ全額トス
第九十八条 事業主ハ被保険者ニ対シ金銭ヲ以テ報酬ヲ支払フ場合ニ於テハ被保険者ノ負担スヘキ前月分ノ保険料ヲ報酬ヨリ控除スルコトヲ得
事業主ハ被保険者カ其ノ事業ニ使用セラレサルニ至リタルトキニ限リ前項ノ規定ニ拘ラス報酬支払ノ際ニ於テ被保険者ノ負担スヘキ前月分及其ノ月分ノ保険料ヲ控除スルコトヲ得
第九十九条 事業主ハ保険料ノ控除ニ関スル計算書ヲ作製シ被保険者ノ請求ニ応シテ閲覧セシムヘシ
第百条 毎月ノ保険料ハ翌月末日迄ニ之ヲ納付スヘシ
第百一条 健康保険組合ハ第九十八条又ハ前条ノ規定ニ拘ラス規約ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第六章 審査ノ請求及訴願
第一節 健康保険審査会ノ組織
第百二条 健康保険審査会ハ内務大臣ノ監督ニ属シ健康保険法第八十条及第八十二条ノ審査ヲ為ス
第百三条 健康保険審査会ハ第一次健康保険審査会、第二次健康保険審査会及第三次健康保険審査会トス
健康保険審査会ノ名称、位置及管轄区域ハ内務大臣之ヲ定ム
第百四条 健康保険審査会ハ会長及委員ヲ以テ之ヲ組織ス
第百五条 第一次健康保険審査会ノ会長ハ内務大臣ノ奏請ニ依リ第百六条第一項第一号ノ委員中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ス
第二次健康保険審査会ノ会長ハ内務大臣ノ奏請ニ依リ内務部内ノ高等官中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ス
第三次健康保険審査会ノ会長ハ社会局長官ヲ以テ之ニ充ツ
第百六条 第一次健康保険審査会ノ委員ハ左ニ掲クル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 官吏、公吏又ハ学識経験アル者 二人又ハ三人
二 被保険者ヲ使用スル事業主 二人又ハ三人
三 被保険者 二人又ハ三人
第二次健康保険審査会ノ委員ハ左ニ掲クル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 官吏、公吏又ハ学識経験アル者 三人
二 被保険者ヲ使用スル事業主 三人
三 被保険者 三人
第三次健康保険審査会ノ委員ハ左ニ掲クル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 官吏、公吏又ハ学識経験アル者 五人
二 被保険者ヲ使用スル事業主 五人
三 被保険者 五人
第一項ノ委員ニ付テハ同項各号ニ該当スル者各同数タルコトヲ要ス
第百七条 健康保険署ノ職員ハ健康保険審査会ノ委員タルコトヲ得ス
健康保険審査会ノ委員ハ他ノ健康保険審査会ノ委員ヲ兼ヌルコトヲ得ス
第百八条 第一次健康保険審査会ノ委員ハ内務大臣之ヲ命シ第二次健康保険審査会及第三次健康保険審査会ノ委員ハ内務大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ス
第百九条 委員ノ任期ハ官吏又ハ公吏トシテ委員タル者ヲ除クノ外三年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ケス
第百十条 会長ハ会務ヲ総理シ会議ノ議長ト為ル
会長事故アルトキハ会長ノ指名シタル委員其ノ職務ヲ代理ス
第百十一条 健康保険審査会ニ幹事ヲ置ク
第一次健康保険審査会ノ幹事ハ健康保険署ノ職員中ヨリ内務大臣之ヲ命シ第二次健康保険審査会及第三次健康保険審査会ノ幹事ハ内務大臣ノ奏請ニ依リ内務部内ノ高等官中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ス
幹事ハ会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第百十二条 健康保険審査会ニ書記ヲ置ク
第一次健康保険審査会ノ書記ハ健康保険署ノ判任官中ヨリ、第二次健康保険審査会及第三次健康保険審査会ノ書記ハ社会局ノ判任官中ヨリ内務大臣之ヲ命ス
書記ハ会長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第二節 健康保険審査会ノ審査手続
第百十三条 審査ハ保険給付ニ関スル決定又ハ保険料其ノ他健康保険法ノ規定ニ依ル徴収金ノ賦課若ハ徴収ノ処分ヲ為シタル健康保険署又ハ健康保険組合ノ事務所ノ所在地ヲ管轄スル健康保険審査会ニ於テ之ヲ為ス
第百十四条 審査ハ委員定数ノ半数以上出席シ且第百六条第一項乃至第三項各号ノ委員各一人以上出席スルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス但シ同一ノ事件ニ付招集再回ニ及フ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第百十五条 審査ハ出席委員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第百十六条 審査ハ文書ニ就キ之ヲ為ス但シ必要アリト認ムルトキハ口頭審問ヲ為スコトヲ妨ケス
前項但書ノ規定ニ依リ口頭審問ヲ為ス為出頭ヲ命セラレタル場合ニ於テ已ムコトヲ得サル事故ノ為出頭スルコトヲ得サルトキハ当事者ハ其ノ法定代理人、親族又ハ同居者ヲシテ代リテ出頭セシムルコトヲ得
口頭審問ノ為出頭シタル当事者及之ニ代リテ出頭シタル者ニ対シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ旅費ヲ給スルコトヲ得
第百十七条 審査ノ請求アリタル場合ニ於テ其ノ事件カ審査ノ請求ヲ為スヘカラサルモノナルトキ又ハ審査ノ請求カ適法ノ手続ニ違反シタルモノナルトキハ健康保険審査会ハ決定ヲ以テ之ヲ却下スヘシ
審査ノ請求アリタル場合ニ於テ其ノ事件カ管轄違ナルトキハ之ヲ所轄健康保険審査会ニ移送スヘシ
審査ノ請求ニシテ手続ノ方式ニ欠欠アルモノハ健康保険審査会之ヲ補正セシムヘシ
第百十八条 審査ハ之ヲ公開セス但シ口頭審問ハ之ヲ公開ス
口頭審問ヲ為ス場合ニ於テ議長必要アリト認ムルトキハ前項但書ノ規定ニ拘ラス傍聴ヲ制限又ハ禁止スルコトヲ得
第百十九条 保険官署ノ職員其ノ他関係官吏ハ健康保険審査会ノ請求ニ依リ又ハ其ノ承認ヲ受ケ会議ニ出席シ意見ヲ述フルコトヲ得
第百二十条 事件ノ一部カ審査ノ決定ヲ為スニ熟スルトキハ其ノ部分ニ付先ツ決定ヲ為スコトヲ得
第百二十一条 審査ノ決定ハ理由ヲ附シ文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第百二十二条 審査請求人審査ノ決定前ニ死亡シタルトキハ其ノ承継人ニ於テ審査請求手続ヲ受継クモノトス
第百二十三条 本節ニ規定スルモノノ外審査ニ関シ必要ナル事項ハ内務大臣之ヲ定ム
第三節 雑則
第百二十四条 健康保険法第八十一条ニ於テ保険官署又ハ健康保険組合ヲ監督スル保険官署トアルハ社会局長官トス
第百二十五条 健康保険法第八十一条ノ規定ニ依ル訴願ニ関シテハ健康保険組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政庁ト看做ス
附 則
本令ハ大正十五年七月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定ハ大正十六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際ニ限リ第四条第一項但書中資格ヲ取得シタル日ノ現在トアルハ大正十五年十一月一日ノ現在トス但シ大正十五年十一月二日以後ニ於テ被保険者ノ資格ヲ取得シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
政府ノ事業ニ使用セラルル官吏又ハ待遇官吏ニ付テハ当分ノ内内務大臣ハ之ヲ健康保険ノ被保険者ト為ササルコトヲ得