第一條 この法律に定めるところにより選挙、投票、國民審査その他の事務を管理させるため、全國選挙管理委員会を置く。
全國選挙管理委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。
第二條 全國選挙管理委員会の委員は、独立してその職権を行う。
第三條 全國選挙管理委員会は、左に掲げる事務を掌る。
一 國会議員の選挙及び地方自治法に基く選挙その他の投票に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度に関する事項
二 最高裁判所裁判官國民審査法による國民審査及び日本國憲法改正の國民の承認に関する投票に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度に関する事項
三 前二号の選挙、投票及び國民審査に関し必要な予算の要求、用紙のあつせんその他これらの施行準備に関する事項
第四條 全國選挙管理委員会は國会議員の選挙又は地方公共團体の議会の議員若しくは長の選挙その他の投票に関する事務については、それぞれ、参議院全國選出議員選挙管理委員会、都道府縣又は市町村(これに準ずるものを含む。)の選挙管理委員会を指揮監督する。
第五條 全國選挙管理委員会は、委員九人を以て、これを組織する。
第六條 全國選挙管理委員会の委員は、國会の議決による指名に基いて、内閣総理大臣が、これを任命する。
委員は、國会における同一党派の各所属國会議員数の比率による政治的実勢に基き、各党派の推薦した者につき、これを指名しなければならない。
小党派は、必要ある場合には、前項の規定により推薦をする目的を以て、連合することができる。
國会は、委員の指名を行うに当つては、前二項の規定に基き、小党派が共同して推薦した者も指名されるように措置しなければならない。
第七條 國会は、前條第二項の規定による委員の指名を行う場合においては、同時に委員と同数の予備委員を指名しておかなければならない。
予備委員は、委員が欠けた場合に、その委員の職務を行う。
予備委員については、前條及び第八條乃至第十二條の規定を準用する。
第八條 全國選挙管理委員会の委員の任期は、三年とする。但し、委員の任期中その委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、再任されることができる。但し、引き続き九年を超えて在任することができない。
前二項の規定にかかわらず、委員は、國会の閉会又は衆議院の解散の場合に任期が満了したときは、その後最初に召集された國会において、あらたに委員が指名され内閣総理大臣がこれを任命するまでの間、なお在任するものとする。
第九條 全國選挙管理委員会の委員は、國会議員又は地方公共團体の議会の議員若しくは長と兼ねることができない。
第十條 左の各号の一に該当する者は、全國選挙管理委員会の委員となることができない。
二 衆議院議員選挙法若しくは参議院議員選挙法による選挙、地方自治法に基く選挙若しくは投票又は最高裁判所裁判官國民審査法による審査に関する罪を犯し刑に処せられた者
三 前号に規定するものの外、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 全國選挙管理委員会の委員としての在職中の非行により罷免された者
第十一條 内閣総理大臣は、全國選挙管理委員会の委員が、左の各号の一に該当する場合においては、これを罷免するものとする。但し、第一号及び第二号の場合においては、國会の同意を得なければならない。
二 職務上の義務に違反し、その他委員たるに適しない非行があつた場合
三 委員の罷免につき、國会の議決に基く勧告があつた場合
國会の閉会又は衆議院の解散のため、前項但書の規定による國会の同意を得ることができないときは、事後にその承認を求めなければならない。
第十二條 全國選挙管理委員会の委員は、左の各号の一に該当する場合においては、当然退職するものとする。
二 法律の定める公の彈劾の手続により罷免すべきものと決定された場合
三 全國選挙管理委員会の委員として引き続き九年在任するに至つた場合
四 委員から退職の申出があり、委員会においてこれに同意し、内閣総理大臣がこれを承認した場合
第十三條 全國選挙管理委員会の委員長は、委員の互選に基き、内閣総理大臣が、これを任命する。
委員長は、全國選挙管理委員会の会務を総理し、委員会を代表し、所部の職員を指揮監督する。
委員会は、あらかじめ委員の中から、委員長が故障のある場合に、委員長を代理する者を定めておかなければならない。
委員会は、委員長がこれを招集する。三人以上の委員から委員会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
第十四條 全國選挙管理委員会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
第十五條 全國選挙管理委員会の委員長は、國務大臣の俸給に準ずる報酬を、委員長以外の委員は、一般官吏の最高の俸給よりも少くない程度の報酬を受ける。
第十六條 全國選挙管理委員会に、委員会に関する事務を処理させるため、事務局を附置する。
事務局には、局長の外政令の定めるところにより所要の職員を置く。
局長及び二級官吏の進退は、委員会の申出により、内閣総理大臣がこれを行い、三級官吏以下の進退は、委員長がこれを專行する。
第十七條 全國選挙管理委員会は、その職務を行うため必要があるときは、関係官公署に対し、必要な報告又は資料若しくは記録の提出を求めることができる。
第十八條 全國選挙管理委員会は、この法律に規定するものの外、その事務の処理に関し、必要な規則その他の事項を定めることができる。
前項の規則中公表を要するものは、官報を以て、これを告示する。