全國選挙管理委員会法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月七日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百五十四号
全國選挙管理委員会法
第一條 この法律に定めるところにより選挙、投票、國民審査その他の事務を管理させるため、全國選挙管理委員会を置く。
全國選挙管理委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。
第二條 全國選挙管理委員会の委員は、独立してその職権を行う。
第三條 全國選挙管理委員会は、左に掲げる事務を掌る。
一 國会議員の選挙及び地方自治法に基く選挙その他の投票に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度に関する事項
二 最高裁判所裁判官國民審査法による國民審査及び日本國憲法改正の國民の承認に関する投票に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度に関する事項
三 前二号の選挙、投票及び國民審査に関し必要な予算の要求、用紙のあつせんその他これらの施行準備に関する事項
四 政党及び政治結社に関する事項
五 その他法律に基きその権限に属する事項
第四條 全國選挙管理委員会は國会議員の選挙又は地方公共團体の議会の議員若しくは長の選挙その他の投票に関する事務については、それぞれ、参議院全國選出議員選挙管理委員会、都道府縣又は市町村(これに準ずるものを含む。)の選挙管理委員会を指揮監督する。
第五條 全國選挙管理委員会は、委員九人を以て、これを組織する。
委員は法令によつて公務に從事する職員とする。
第六條 全國選挙管理委員会の委員は、國会の議決による指名に基いて、内閣総理大臣が、これを任命する。
委員は、國会における同一党派の各所属國会議員数の比率による政治的実勢に基き、各党派の推薦した者につき、これを指名しなければならない。
小党派は、必要ある場合には、前項の規定により推薦をする目的を以て、連合することができる。
國会は、委員の指名を行うに当つては、前二項の規定に基き、小党派が共同して推薦した者も指名されるように措置しなければならない。
第七條 國会は、前條第二項の規定による委員の指名を行う場合においては、同時に委員と同数の予備委員を指名しておかなければならない。
予備委員は、委員が欠けた場合に、その委員の職務を行う。
予備委員については、前條及び第八條乃至第十二條の規定を準用する。
第八條 全國選挙管理委員会の委員の任期は、三年とする。但し、委員の任期中その委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、再任されることができる。但し、引き続き九年を超えて在任することができない。
前二項の規定にかかわらず、委員は、國会の閉会又は衆議院の解散の場合に任期が満了したときは、その後最初に召集された國会において、あらたに委員が指名され内閣総理大臣がこれを任命するまでの間、なお在任するものとする。
第九條 全國選挙管理委員会の委員は、國会議員又は地方公共團体の議会の議員若しくは長と兼ねることができない。
第十條 左の各号の一に該当する者は、全國選挙管理委員会の委員となることができない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 衆議院議員選挙法若しくは参議院議員選挙法による選挙、地方自治法に基く選挙若しくは投票又は最高裁判所裁判官國民審査法による審査に関する罪を犯し刑に処せられた者
三 前号に規定するものの外、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 全國選挙管理委員会の委員としての在職中の非行により罷免された者
第十一條 内閣総理大臣は、全國選挙管理委員会の委員が、左の各号の一に該当する場合においては、これを罷免するものとする。但し、第一号及び第二号の場合においては、國会の同意を得なければならない。
一 心身の故障のため、職務の執行ができない場合
二 職務上の義務に違反し、その他委員たるに適しない非行があつた場合
三 委員の罷免につき、國会の議決に基く勧告があつた場合
國会の閉会又は衆議院の解散のため、前項但書の規定による國会の同意を得ることができないときは、事後にその承認を求めなければならない。
第十二條 全國選挙管理委員会の委員は、左の各号の一に該当する場合においては、当然退職するものとする。
一 第九條に該当するに至つた場合
二 法律の定める公の彈劾の手続により罷免すべきものと決定された場合
三 全國選挙管理委員会の委員として引き続き九年在任するに至つた場合
四 委員から退職の申出があり、委員会においてこれに同意し、内閣総理大臣がこれを承認した場合
第十三條 全國選挙管理委員会の委員長は、委員の互選に基き、内閣総理大臣が、これを任命する。
委員長は、全國選挙管理委員会の会務を総理し、委員会を代表し、所部の職員を指揮監督する。
委員会は、あらかじめ委員の中から、委員長が故障のある場合に、委員長を代理する者を定めておかなければならない。
委員会は、委員長がこれを招集する。三人以上の委員から委員会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
第十四條 全國選挙管理委員会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
第十五條 全國選挙管理委員会の委員長は、國務大臣の俸給に準ずる報酬を、委員長以外の委員は、一般官吏の最高の俸給よりも少くない程度の報酬を受ける。
第十六條 全國選挙管理委員会に、委員会に関する事務を処理させるため、事務局を附置する。
事務局には、局長の外政令の定めるところにより所要の職員を置く。
前項の職員は、これを官吏とする。
局長及び二級官吏の進退は、委員会の申出により、内閣総理大臣がこれを行い、三級官吏以下の進退は、委員長がこれを專行する。
第十七條 全國選挙管理委員会は、その職務を行うため必要があるときは、関係官公署に対し、必要な報告又は資料若しくは記録の提出を求めることができる。
第十八條 全國選挙管理委員会は、この法律に規定するものの外、その事務の処理に関し、必要な規則その他の事項を定めることができる。
前項の規則中公表を要するものは、官報を以て、これを告示する。
附 則
第十九條 この法律は、昭和二十二年十二月十日から、これを施行する。但し、第二十一條の規定により、全國選挙管理委員会が第三條に規定する事務の引継を受け終わるまでの間は、なお、從前の通り内務省において、その事務を行うものとする。
全國選挙管理委員会は、前項但書の規定により内務省において行つた事務について、事後に、これを審査することができる。
第二十條 第六條第二項及び第七條第三項の規定による全國選挙管理委員会の委員及び予備委員の指名に関する手続は、前條の期日よりも前に、これを行うことができる。
前項の場合において、各党派の所属國会議員数は、この法律の公布の日の現在による。
第二十一條 從前内務省に属した第三條に規定する事務につき、全國選挙管理委員会の要求がある場合には、内務省は、直ちに、これに事務の引継を行わなければならない。但し、その事務の引継は、昭和二十二年十二月三十一日より遅く行われてはならない。
第二十二條 衆議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
第七十六條、第七十九條第二項、第八十六條、第百六條第一項、第百七條、第百八條第一項、第百四十三條及び第百四十四條ノ二第三項中「内務大臣」を「全國選挙管理委員会」に改める。
第百條及び第百條ノ二中「内務大臣」を「内閣総理大臣」に改める。
第二十三條 参議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
第十三條第二項中「内務大臣の所轄とし、」を削る。
第十四條第一項中「その議員」を「國会議員以外の者で参議院議員の被選挙権を有するもの」に改める。
第六十三條、第七十一條第二項、第七十五條但書、第八十條第二項、第八十一條及び第八十二條第一項中「内務大臣」を「全國選挙管理委員会」に改める。
第八十三條中「内務大臣」を「内閣総理大臣」に改める。
第二十四條 最高裁判所裁判官國民審査法の一部を次のように改正する。
第三十三條第二項中「内閣総理大臣」の下に「及び全國選挙管理委員会」を加える。
第四十條中「内閣総理大臣」の下に「、全國選挙管理委員会」を加える。
第二十五條 選挙運動の文書図画等の特例に関する法律の一部を次のように改正する。
第一條中「昭和二十二年」の下に「及び昭和二十三年」を加える。
第十三條中「内務省」を「全國選挙管理委員会」に改める。
附則第二項中「昭和二十二年」を「昭和二十三年」に改める。
第二十六條 國会法の一部を次のように改正する。
第百十條中「内務大臣」を「全國選挙管理委員会」に改める。
内務大臣 木村小左衞門
内閣総理大臣 片山哲
全国選挙管理委員会法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月七日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百五十四号
全国選挙管理委員会法
第一条 この法律に定めるところにより選挙、投票、国民審査その他の事務を管理させるため、全国選挙管理委員会を置く。
全国選挙管理委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。
第二条 全国選挙管理委員会の委員は、独立してその職権を行う。
第三条 全国選挙管理委員会は、左に掲げる事務を掌る。
一 国会議員の選挙及び地方自治法に基く選挙その他の投票に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度に関する事項
二 最高裁判所裁判官国民審査法による国民審査及び日本国憲法改正の国民の承認に関する投票に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度に関する事項
三 前二号の選挙、投票及び国民審査に関し必要な予算の要求、用紙のあつせんその他これらの施行準備に関する事項
四 政党及び政治結社に関する事項
五 その他法律に基きその権限に属する事項
第四条 全国選挙管理委員会は国会議員の選挙又は地方公共団体の議会の議員若しくは長の選挙その他の投票に関する事務については、それぞれ、参議院全国選出議員選挙管理委員会、都道府県又は市町村(これに準ずるものを含む。)の選挙管理委員会を指揮監督する。
第五条 全国選挙管理委員会は、委員九人を以て、これを組織する。
委員は法令によつて公務に従事する職員とする。
第六条 全国選挙管理委員会の委員は、国会の議決による指名に基いて、内閣総理大臣が、これを任命する。
委員は、国会における同一党派の各所属国会議員数の比率による政治的実勢に基き、各党派の推薦した者につき、これを指名しなければならない。
小党派は、必要ある場合には、前項の規定により推薦をする目的を以て、連合することができる。
国会は、委員の指名を行うに当つては、前二項の規定に基き、小党派が共同して推薦した者も指名されるように措置しなければならない。
第七条 国会は、前条第二項の規定による委員の指名を行う場合においては、同時に委員と同数の予備委員を指名しておかなければならない。
予備委員は、委員が欠けた場合に、その委員の職務を行う。
予備委員については、前条及び第八条乃至第十二条の規定を準用する。
第八条 全国選挙管理委員会の委員の任期は、三年とする。但し、委員の任期中その委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、再任されることができる。但し、引き続き九年を超えて在任することができない。
前二項の規定にかかわらず、委員は、国会の閉会又は衆議院の解散の場合に任期が満了したときは、その後最初に召集された国会において、あらたに委員が指名され内閣総理大臣がこれを任命するまでの間、なお在任するものとする。
第九条 全国選挙管理委員会の委員は、国会議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長と兼ねることができない。
第十条 左の各号の一に該当する者は、全国選挙管理委員会の委員となることができない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 衆議院議員選挙法若しくは参議院議員選挙法による選挙、地方自治法に基く選挙若しくは投票又は最高裁判所裁判官国民審査法による審査に関する罪を犯し刑に処せられた者
三 前号に規定するものの外、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 全国選挙管理委員会の委員としての在職中の非行により罷免された者
第十一条 内閣総理大臣は、全国選挙管理委員会の委員が、左の各号の一に該当する場合においては、これを罷免するものとする。但し、第一号及び第二号の場合においては、国会の同意を得なければならない。
一 心身の故障のため、職務の執行ができない場合
二 職務上の義務に違反し、その他委員たるに適しない非行があつた場合
三 委員の罷免につき、国会の議決に基く勧告があつた場合
国会の閉会又は衆議院の解散のため、前項但書の規定による国会の同意を得ることができないときは、事後にその承認を求めなければならない。
第十二条 全国選挙管理委員会の委員は、左の各号の一に該当する場合においては、当然退職するものとする。
一 第九条に該当するに至つた場合
二 法律の定める公の弾劾の手続により罷免すべきものと決定された場合
三 全国選挙管理委員会の委員として引き続き九年在任するに至つた場合
四 委員から退職の申出があり、委員会においてこれに同意し、内閣総理大臣がこれを承認した場合
第十三条 全国選挙管理委員会の委員長は、委員の互選に基き、内閣総理大臣が、これを任命する。
委員長は、全国選挙管理委員会の会務を総理し、委員会を代表し、所部の職員を指揮監督する。
委員会は、あらかじめ委員の中から、委員長が故障のある場合に、委員長を代理する者を定めておかなければならない。
委員会は、委員長がこれを招集する。三人以上の委員から委員会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
第十四条 全国選挙管理委員会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
第十五条 全国選挙管理委員会の委員長は、国務大臣の俸給に準ずる報酬を、委員長以外の委員は、一般官吏の最高の俸給よりも少くない程度の報酬を受ける。
第十六条 全国選挙管理委員会に、委員会に関する事務を処理させるため、事務局を附置する。
事務局には、局長の外政令の定めるところにより所要の職員を置く。
前項の職員は、これを官吏とする。
局長及び二級官吏の進退は、委員会の申出により、内閣総理大臣がこれを行い、三級官吏以下の進退は、委員長がこれを専行する。
第十七条 全国選挙管理委員会は、その職務を行うため必要があるときは、関係官公署に対し、必要な報告又は資料若しくは記録の提出を求めることができる。
第十八条 全国選挙管理委員会は、この法律に規定するものの外、その事務の処理に関し、必要な規則その他の事項を定めることができる。
前項の規則中公表を要するものは、官報を以て、これを告示する。
附 則
第十九条 この法律は、昭和二十二年十二月十日から、これを施行する。但し、第二十一条の規定により、全国選挙管理委員会が第三条に規定する事務の引継を受け終わるまでの間は、なお、従前の通り内務省において、その事務を行うものとする。
全国選挙管理委員会は、前項但書の規定により内務省において行つた事務について、事後に、これを審査することができる。
第二十条 第六条第二項及び第七条第三項の規定による全国選挙管理委員会の委員及び予備委員の指名に関する手続は、前条の期日よりも前に、これを行うことができる。
前項の場合において、各党派の所属国会議員数は、この法律の公布の日の現在による。
第二十一条 従前内務省に属した第三条に規定する事務につき、全国選挙管理委員会の要求がある場合には、内務省は、直ちに、これに事務の引継を行わなければならない。但し、その事務の引継は、昭和二十二年十二月三十一日より遅く行われてはならない。
第二十二条 衆議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
第七十六条、第七十九条第二項、第八十六条、第百六条第一項、第百七条、第百八条第一項、第百四十三条及び第百四十四条ノ二第三項中「内務大臣」を「全国選挙管理委員会」に改める。
第百条及び第百条ノ二中「内務大臣」を「内閣総理大臣」に改める。
第二十三条 参議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「内務大臣の所轄とし、」を削る。
第十四条第一項中「その議員」を「国会議員以外の者で参議院議員の被選挙権を有するもの」に改める。
第六十三条、第七十一条第二項、第七十五条但書、第八十条第二項、第八十一条及び第八十二条第一項中「内務大臣」を「全国選挙管理委員会」に改める。
第八十三条中「内務大臣」を「内閣総理大臣」に改める。
第二十四条 最高裁判所裁判官国民審査法の一部を次のように改正する。
第三十三条第二項中「内閣総理大臣」の下に「及び全国選挙管理委員会」を加える。
第四十条中「内閣総理大臣」の下に「、全国選挙管理委員会」を加える。
第二十五条 選挙運動の文書図画等の特例に関する法律の一部を次のように改正する。
第一条中「昭和二十二年」の下に「及び昭和二十三年」を加える。
第十三条中「内務省」を「全国選挙管理委員会」に改める。
附則第二項中「昭和二十二年」を「昭和二十三年」に改める。
第二十六条 国会法の一部を次のように改正する。
第百十条中「内務大臣」を「全国選挙管理委員会」に改める。
内務大臣 木村小左衛門
内閣総理大臣 片山哲