朕海軍服裝令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正三年二月二十六日
內閣總理大臣 伯爵 山本權兵衞
海軍大臣 男爵 齋藤實
勅令第二十四號
海軍服裝令
第一章 服裝ノ種類及各種服裝ヲ用ウル場合
第一條 海軍軍人ノ服裝ハ左ノ四種トス但シ候補生及生徒ハ第一號及第二號ヲ缺キ下士卒ハ第一號及第三號ヲ缺ク
一 正裝
二 禮裝
三 通常禮裝
四 軍裝
第二條 正裝ヲ爲スヘキ場合槪左ノ如シ
一 新年拜賀參賀、紀元節參賀參拜若ハ天長節祝日參賀ノトキ又ハ此等ノ日艦船部隊學校等ニ於テ遙拜式ヲ行フトキ
二 特ニ拜謁ノ爲參內スルトキ又ハ賢所參拜ノトキ
三 新年宴會、紀元節宴會若ハ、天長節祝日宴會ニ召サレ參內スルトキ又ハ此等ノ日賜饌ニ列スルトキ
四 勳章奉授拜授ノトキ又ハ其ノ式ニ班列スルトキ
五 臨御ノ觀艦式大演習觀艦式及恆例觀艦式ヲ除クニ參列シ又ハ之ヲ陪觀スルトキ
六 臨御ノ觀兵式ニ出場シ又ハ之ヲ陪觀スルトキ
七 臨御ノ帝國議會開院式ニ參列シ又ハ之ヲ陪觀スルトキ
八 祭日ニ參內參拜スルトキ
九 靖國神社大祭ニ參拜スルトキ
十 賢所御神樂ニ參列スルトキ
十一 海軍葬儀ニ於テ喪主タルトキ
十二 其ノ他一般ニ大禮服ヲ著用スルトキ
前項ノ規定ニ依ル場合ノ外自己ノ婚儀又ハ父母祖父母ノ葬儀ニハ正裝ヲ爲スコトヲ得
第三條 禮裝ヲ爲スヘキ場合槪左ノ如シ
一 宮中晚餐ニ陪スルトキ但シ正袴及正劒帶ヲ用ウ
二 任官補職又ハ敍位ノ辭令書ヲ受クル爲參內スルトキ
三 皇族ノ晩餐又ハ皇族臨席ノ晩餐ニ陪スルトキ但シ正袴及正劒帶ヲ用ウ
四 天長節祝日又ハ之ニ準スヘキ場合ニ於ケル夜會ニ出席スルトキ但シ軍帽正袴及正劒帶ヲ用井短劒ヲ佩フ
五 臨御ノ式場ニ參列スルトキ
六 海軍各廳ニ臨御アリタルトキ其ノ廳及其ノ廳ニ屬スル所在各部ノ勤務者ニ限ル
七 天皇ニ對スル迎送式又ハ伺候式ニ參列スルトキ
八 重立チタル晩餐ニ出席スルトキ但シ軍帽ヲ用井短劒ヲ佩フ
九 儀仗トシテ勤務スルトキ
十 海軍葬儀ニ於テ幹事、陪柩者、勳章捧持者又ハ先導タルトキ
十一 海軍指揮官外國ノ軍艦又ハ外國ノ重立チタル文武官公吏等ヲ訪問シ又ハ囘訪スルトキ
十二 訪問使外國軍艦ヲ訪問スルトキ
十三 其ノ他一般ニ通常禮服ヲ著用スルトキ
准士官以上正裝ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ下士卒ハ禮裝ヲ爲スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル場合ノ外自家又ハ親族ノ賀儀又ハ葬祭ニハ禮裝ヲ爲スコトヲ得
第四條 通常禮裝ヲ爲スヘキ場合槪左ノ如シ
一 艦船部隊學校等ニ於テ一月一日、紀元節又ハ天長節祝日ニ會スルトキ
二 前號以外ノ祭日、祝日、日曜日又ハ之ニ準スヘキ日ニ於テ遙拜式又ハ分隊㸃檢等ヲ行フトキ
三 宮中ノ午餐又ハ觀櫻觀菊ノ御宴ニ陪スルトキ
四 御座所拜謁ノ爲參內スルトキ
五 天機伺又ハ任官敍位敍勳其ノ他ノ御禮ノ爲參內スルトキ
六 歲末其ノ他ノ御祝詞ノ爲參內スルトキ
七 行幸ノ際奉送又ハ奉迎ヲ爲ストキ迎送式及伺候式ノトキヲ除ク
八 臨御ノ場所ニ參會スルトキ
九 皇族ノ午餐ニ陪スルトキ
十 進水式、證書褒狀等ノ授與式又ハ卒業式ニ參會スルトキ
十一 宮中大祓ニ參列スルトキ
十二 重立チタル午餐ニ出席スルトキ
十三 迎送式又ハ伺候式ニ參列スルトキ前條第七號ノ場合ヲ除ク
十四 特ニ上官ニ伺候スルトキ
十五 就職又ハ退職ノトキ
十六 就職者退職者又ハ來訪者ニ對シ海軍禮式令ニ依リ迎送ヲ爲ストキ
十七 海軍葬儀ニ會葬スルトキ
十八 政始ニ出廳スルトキ
十九 軍法會議構成員トシテ出廷スルトキ
二十 外國ノ文武官又ハ駐外外交官領事官ニ對シ訪問又ハ囘訪ヲ爲ストキ
二十一 其ノ他一般ニ通常服ヲ著用スルトキ
准士官以上正裝又ハ禮裝ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ候補生又ハ生徒ハ通常禮裝ヲ爲スヘシ
前二項ノ外自家親族又ハ知人ノ賀儀葬祭訪問等ニハ通常禮裝ヲ爲スコトヲ得
第五條 軍裝ハ正裝禮裝又ハ通常禮裝ヲ爲ス場合ヲ除クノ外一般勤務ノトキ之ヲ用ウ
帝國文武官公吏等ニ對シ訪問又ハ囘訪スル場合ニ於テハ軍裝ヲ爲スコトヲ得
准士官以上通常禮裝ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ下士卒ハ軍裝ヲ爲スヘシ
第六條 軍裝ハ分チテ第一種及第二種トス
第一種軍裝ハ夏季以外ニ之ヲ用井第二種軍裝ハ夏季ニ之ヲ用ウ
第七條 戰時事變演習等ノ際ハ正裝禮裝又ハ通常禮裝ヲ爲ササルヲ例トス
第八條 海軍各廳ニ公式ノ行啓又ハ皇族ノ差遣アリタル場合ニ於テハ其ノ廳及其ノ廳ニ屬スル所在各部ノ勤務者竝之ニ參列參會スル者ノ服裝ハ總テ臨御ノトキニ準ス
第九條 同時ニ二樣ノ服裝ヲ著用スヘキ場合ニ於テハ其ノ重キニ從フヘシ
第二章 著裝法
第十條 各種服裝ノ著用品及之ニ關スル特別規定ハ左表ノ如シ
【表】
第十一條 飾緖ハ將官及參謀又ハ副官第十二條ノ者ニ限ルタル佐尉官之ヲ佩用ス但シ參謀官ニ非サル將官ハ正裝ニノミ之ヲ佩用ス
飾緖ハ其ノ上端ヲ右肩ニ鉤シ長條ハ背後ヨリ胸部ニ繞ラシ短條ト共ニ胸部ノ中央ノ稍上部ニ繫ケ其ノ下端ヲ垂ルヘシ
第十二條 副官ニシテ飾緖ヲ佩用スヘキ者左ノ如シ
海軍省副官
海軍軍令部副官
鎭守府副官
艦隊副官
要港部副官
朝鮮總督府專屬副官
臺灣總督府副官及同海軍副官
元帥副官
軍事參議官副官
第十三條 正劒帶ハ上衣ノ外ニ締ムヘシ但シ特別規定ニ依ル場合ハ上衣ノ內ニ締ムヘシ
准士官以上ノ劒帶ハ正裝禮裝又ハ通常禮裝ノ場合ニ在リテハ上衣ノ外ニ締メ其ノ他ノ場合ニ在リテハ上衣ノ內ニ締ムヘシ
候補生生徒軍樂手及軍樂生ノ劒帶ハ上衣ノ內ニ締ムヘシ
第十四條 長劒ヲ佩用スルトキハ正劒帶又ハ劒帶ノ鉤緖ヲ延ハシタル儘左手ニテ劒柄ヲ握リ之ヲ垂下スルヲ例トス但シ拔劒シタルトキ又ハ左手ニテ物品ヲ携帶スル必要アルトキハ其ノ上環ヲ劒帶ニ鉤ス
第十五條 短劒ヲ佩用スルトキハ其ノ環ヲ劒帶ニ鉤シ劒柄ヲ後方ニ向ケシムヘシ
第十六條 外套又ハ二重外套ハ寒氣又ハ雨雪ノトキ室外ニ於テ之ヲ著用ス但シ儀式ノ際ニハ雨雪ノ場合ヲ除クノ外之ヲ著用スルコトヲ得ス
第十七條 二重外套ノ上衣ハ外套ニ代用スルコトヲ得
第十八條 雨衣ハ雨雪ノトキ室外ニ於テ之ヲ著用ス但シ准士官以上ニ在リテハ其ノ上衣ノミヲ著用スルコトヲ得
第十九條 事業服ハ生徒又ハ下士卒艦船部隊學校等ニ在リテ就業ノ際之ヲ著用ス此ノ場合ニ於テハ軍帽ニ日覆ヲ附ス
第二十條 下士卒ノ官職區別章ハ左肘ノ上部ニ、善行章ハ官職區別章ノ上部ニ、特技章ハ右臂ノ上部ニ之ヲ附著スヘシ
第二十一條 當番外套ハ艦船部隊學校等ニ於テ下士卒當直勸務ノトキ之ヲ著用ス
第二十二條 陸上ニ於テ行軍演習等ヲ爲ス場合ニ於テハ脚絆ヲ用ウヘシ
准士官以上候補生及生徒ノ脚絆ハ紺色トシ下士卒ノ脚絆ハ白色トス
第二十三條 准士官以上候補生喪ニ丁リ出勤若ハ服務ノ遠慮中又ハ休務中ハ左腕ニ喪章トシテ幅三寸ノ黑紗ヲ纏フヘシ親族ノ葬儀ニ列スルトキ亦同シ
第二十四條 戰時事變又ハ演習等ノ際ハ軍裝ニ長劒ヲ佩用スヘシ但シ海軍大臣ノ特ニ定メタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二十五條 生徒及下士卒ノ麻襟麻襦袢「カフス」等ハ艦船部隊學校等ニ在リテハ儀式又ハ㸃檢ノ場合ヲ除クノ外之ヲ著用セサルコトヲ得
第二十六條 海軍工作廳ニ勤務スル准士官以上ハ其ノ職務ノ性質ニ依リ操業中ニ限リ作業服ヲ著用スルコトヲ得艦船ニ於テ機關部ノ准士官以上當直スルトキ亦同シ
第二十七條 准士官以上軍裝ノ場合ニ於テハ雨天又ハ惡路ノトキニ限リ黑色長靴ヲ用ウルコトヲ得
第二十八條 勳章及記章ハ左ノ各號ニ依リ之ヲ佩用スヘシ
一 勳章及記章ハ各種ノ服裝ニ之ヲ佩用ス但シ軍裝ニ在リテハ一般勤務ノトキハ之ヲ佩用セサルヲ例トス
二 頸飾又ハ大綬ヲ以テ佩フル勳章ハ正裝又ハ禮裝ニノミ之ヲ佩用シ其ノ他ノ服裝ニハ其ノ副章ノミヲ佩用ス
三 通常禮裝又ハ軍裝ニハ勳等ヲ表スル最上級ノ勳章及金鵄勳章又ハ其ノ一種特ニ勳等ヲ表示スル必要アル場合ニハ勳等ヲ表スル最上級ノ勳章ノミヲ佩用スルコトヲ得准士官以上ノ通常禮裝ニハ場合ニ依リ略綬ノミヲ佩用スルコトヲ得
四 功四級勳四等以下ノ勳章及記章ヲ佩用スルトキハ其ノ綬ノ上端ヲ肩頭下約一寸トシ二箇以上ヲ佩用スル場合ニ於テハ一列ニ之ヲ併佩シ佩用スヘキ勳章及記章ノ數多キトキハ之ヲ重複セシム其ノ列ノ中央ヲ左胸ノ中央ニ在ラシムヘシ
五 勅命ニ依リ制定セラレ特ニ海軍部內ニ於テ佩用スル記章ハ各種ノ服裝ニ之ヲ佩用ス其ノ佩用ノ位置ハ上衣ノ右胸部乳下約二寸トシ二箇以上ヲ佩用スル場合ニ於テハ一列ニ之ヲ併佩ス
第三章 雜則
第二十九條 本令中夏季トハ內地ニ於テハ七月一日ヨリ九月三十日迄ヲ謂フ但シ艦船航海中又ハ土地ノ狀況等ニ依リ所在首席指揮官東京ニ在リテハ海軍大臣其ノ期間ヲ伸縮スルコトヲ得
第三十條 一境域內ニ於ケル海軍軍人ノ服裝ヲ齊一ニスルハ所在首席指揮官ノ任トス但シ東京ニ在リテハ海軍大臣、軍港要港ニ在リテハ當該鎭守府司令長官要港部司令官又ハ防備隊司令官ノ任トス
第三十一條 外國交際上其ノ他已ムコトヲ得サル事情アルトキハ海軍大臣又ハ所在首席指揮官ハ臨時服裝ヲ指定スルコトヲ得本令ニ規定ナキ場合亦同シ
附 則
本令ハ大正三年三月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕海軍服装令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正三年二月二十六日
内閣総理大臣 伯爵 山本権兵衛
海軍大臣 男爵 斎藤実
勅令第二十四号
海軍服装令
第一章 服装ノ種類及各種服装ヲ用ウル場合
第一条 海軍軍人ノ服装ハ左ノ四種トス但シ候補生及生徒ハ第一号及第二号ヲ欠キ下士卒ハ第一号及第三号ヲ欠ク
一 正装
二 礼装
三 通常礼装
四 軍装
第二条 正装ヲ為スヘキ場合概左ノ如シ
一 新年拝賀参賀、紀元節参賀参拝若ハ天長節祝日参賀ノトキ又ハ此等ノ日艦船部隊学校等ニ於テ遥拝式ヲ行フトキ
二 特ニ拝謁ノ為参内スルトキ又ハ賢所参拝ノトキ
三 新年宴会、紀元節宴会若ハ、天長節祝日宴会ニ召サレ参内スルトキ又ハ此等ノ日賜饌ニ列スルトキ
四 勲章奉授拝授ノトキ又ハ其ノ式ニ班列スルトキ
五 臨御ノ観艦式大演習観艦式及恒例観艦式ヲ除クニ参列シ又ハ之ヲ陪観スルトキ
六 臨御ノ観兵式ニ出場シ又ハ之ヲ陪観スルトキ
七 臨御ノ帝国議会開院式ニ参列シ又ハ之ヲ陪観スルトキ
八 祭日ニ参内参拝スルトキ
九 靖国神社大祭ニ参拝スルトキ
十 賢所御神楽ニ参列スルトキ
十一 海軍葬儀ニ於テ喪主タルトキ
十二 其ノ他一般ニ大礼服ヲ著用スルトキ
前項ノ規定ニ依ル場合ノ外自己ノ婚儀又ハ父母祖父母ノ葬儀ニハ正装ヲ為スコトヲ得
第三条 礼装ヲ為スヘキ場合概左ノ如シ
一 宮中晩餐ニ陪スルトキ但シ正袴及正剣帯ヲ用ウ
二 任官補職又ハ叙位ノ辞令書ヲ受クル為参内スルトキ
三 皇族ノ晩餐又ハ皇族臨席ノ晩餐ニ陪スルトキ但シ正袴及正剣帯ヲ用ウ
四 天長節祝日又ハ之ニ準スヘキ場合ニ於ケル夜会ニ出席スルトキ但シ軍帽正袴及正剣帯ヲ用井短剣ヲ佩フ
五 臨御ノ式場ニ参列スルトキ
六 海軍各庁ニ臨御アリタルトキ其ノ庁及其ノ庁ニ属スル所在各部ノ勤務者ニ限ル
七 天皇ニ対スル迎送式又ハ伺候式ニ参列スルトキ
八 重立チタル晩餐ニ出席スルトキ但シ軍帽ヲ用井短剣ヲ佩フ
九 儀仗トシテ勤務スルトキ
十 海軍葬儀ニ於テ幹事、陪柩者、勲章捧持者又ハ先導タルトキ
十一 海軍指揮官外国ノ軍艦又ハ外国ノ重立チタル文武官公吏等ヲ訪問シ又ハ回訪スルトキ
十二 訪問使外国軍艦ヲ訪問スルトキ
十三 其ノ他一般ニ通常礼服ヲ著用スルトキ
准士官以上正装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ下士卒ハ礼装ヲ為スヘシ
前二項ノ規定ニ依ル場合ノ外自家又ハ親族ノ賀儀又ハ葬祭ニハ礼装ヲ為スコトヲ得
第四条 通常礼装ヲ為スヘキ場合概左ノ如シ
一 艦船部隊学校等ニ於テ一月一日、紀元節又ハ天長節祝日ニ会スルトキ
二 前号以外ノ祭日、祝日、日曜日又ハ之ニ準スヘキ日ニ於テ遥拝式又ハ分隊点検等ヲ行フトキ
三 宮中ノ午餐又ハ観桜観菊ノ御宴ニ陪スルトキ
四 御座所拝謁ノ為参内スルトキ
五 天機伺又ハ任官叙位叙勲其ノ他ノ御礼ノ為参内スルトキ
六 歳末其ノ他ノ御祝詞ノ為参内スルトキ
七 行幸ノ際奉送又ハ奉迎ヲ為ストキ迎送式及伺候式ノトキヲ除ク
八 臨御ノ場所ニ参会スルトキ
九 皇族ノ午餐ニ陪スルトキ
十 進水式、証書褒状等ノ授与式又ハ卒業式ニ参会スルトキ
十一 宮中大祓ニ参列スルトキ
十二 重立チタル午餐ニ出席スルトキ
十三 迎送式又ハ伺候式ニ参列スルトキ前条第七号ノ場合ヲ除ク
十四 特ニ上官ニ伺候スルトキ
十五 就職又ハ退職ノトキ
十六 就職者退職者又ハ来訪者ニ対シ海軍礼式令ニ依リ迎送ヲ為ストキ
十七 海軍葬儀ニ会葬スルトキ
十八 政始ニ出庁スルトキ
十九 軍法会議構成員トシテ出廷スルトキ
二十 外国ノ文武官又ハ駐外外交官領事官ニ対シ訪問又ハ回訪ヲ為ストキ
二十一 其ノ他一般ニ通常服ヲ著用スルトキ
准士官以上正装又ハ礼装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ候補生又ハ生徒ハ通常礼装ヲ為スヘシ
前二項ノ外自家親族又ハ知人ノ賀儀葬祭訪問等ニハ通常礼装ヲ為スコトヲ得
第五条 軍装ハ正装礼装又ハ通常礼装ヲ為ス場合ヲ除クノ外一般勤務ノトキ之ヲ用ウ
帝国文武官公吏等ニ対シ訪問又ハ回訪スル場合ニ於テハ軍装ヲ為スコトヲ得
准士官以上通常礼装ヲ為スヘキ場合ニ於テハ下士卒ハ軍装ヲ為スヘシ
第六条 軍装ハ分チテ第一種及第二種トス
第一種軍装ハ夏季以外ニ之ヲ用井第二種軍装ハ夏季ニ之ヲ用ウ
第七条 戦時事変演習等ノ際ハ正装礼装又ハ通常礼装ヲ為ササルヲ例トス
第八条 海軍各庁ニ公式ノ行啓又ハ皇族ノ差遣アリタル場合ニ於テハ其ノ庁及其ノ庁ニ属スル所在各部ノ勤務者並之ニ参列参会スル者ノ服装ハ総テ臨御ノトキニ準ス
第九条 同時ニ二様ノ服装ヲ著用スヘキ場合ニ於テハ其ノ重キニ従フヘシ
第二章 著装法
第十条 各種服装ノ著用品及之ニ関スル特別規定ハ左表ノ如シ
【表】
第十一条 飾緒ハ将官及参謀又ハ副官第十二条ノ者ニ限ルタル佐尉官之ヲ佩用ス但シ参謀官ニ非サル将官ハ正装ニノミ之ヲ佩用ス
飾緒ハ其ノ上端ヲ右肩ニ鉤シ長条ハ背後ヨリ胸部ニ繞ラシ短条ト共ニ胸部ノ中央ノ稍上部ニ繋ケ其ノ下端ヲ垂ルヘシ
第十二条 副官ニシテ飾緒ヲ佩用スヘキ者左ノ如シ
海軍省副官
海軍軍令部副官
鎮守府副官
艦隊副官
要港部副官
朝鮮総督府専属副官
台湾総督府副官及同海軍副官
元帥副官
軍事参議官副官
第十三条 正剣帯ハ上衣ノ外ニ締ムヘシ但シ特別規定ニ依ル場合ハ上衣ノ内ニ締ムヘシ
准士官以上ノ剣帯ハ正装礼装又ハ通常礼装ノ場合ニ在リテハ上衣ノ外ニ締メ其ノ他ノ場合ニ在リテハ上衣ノ内ニ締ムヘシ
候補生生徒軍楽手及軍楽生ノ剣帯ハ上衣ノ内ニ締ムヘシ
第十四条 長剣ヲ佩用スルトキハ正剣帯又ハ剣帯ノ鉤緒ヲ延ハシタル儘左手ニテ剣柄ヲ握リ之ヲ垂下スルヲ例トス但シ抜剣シタルトキ又ハ左手ニテ物品ヲ携帯スル必要アルトキハ其ノ上環ヲ剣帯ニ鉤ス
第十五条 短剣ヲ佩用スルトキハ其ノ環ヲ剣帯ニ鉤シ剣柄ヲ後方ニ向ケシムヘシ
第十六条 外套又ハ二重外套ハ寒気又ハ雨雪ノトキ室外ニ於テ之ヲ著用ス但シ儀式ノ際ニハ雨雪ノ場合ヲ除クノ外之ヲ著用スルコトヲ得ス
第十七条 二重外套ノ上衣ハ外套ニ代用スルコトヲ得
第十八条 雨衣ハ雨雪ノトキ室外ニ於テ之ヲ著用ス但シ准士官以上ニ在リテハ其ノ上衣ノミヲ著用スルコトヲ得
第十九条 事業服ハ生徒又ハ下士卒艦船部隊学校等ニ在リテ就業ノ際之ヲ著用ス此ノ場合ニ於テハ軍帽ニ日覆ヲ附ス
第二十条 下士卒ノ官職区別章ハ左肘ノ上部ニ、善行章ハ官職区別章ノ上部ニ、特技章ハ右臂ノ上部ニ之ヲ附著スヘシ
第二十一条 当番外套ハ艦船部隊学校等ニ於テ下士卒当直勧務ノトキ之ヲ著用ス
第二十二条 陸上ニ於テ行軍演習等ヲ為ス場合ニ於テハ脚絆ヲ用ウヘシ
准士官以上候補生及生徒ノ脚絆ハ紺色トシ下士卒ノ脚絆ハ白色トス
第二十三条 准士官以上候補生喪ニ丁リ出勤若ハ服務ノ遠慮中又ハ休務中ハ左腕ニ喪章トシテ幅三寸ノ黒紗ヲ纏フヘシ親族ノ葬儀ニ列スルトキ亦同シ
第二十四条 戦時事変又ハ演習等ノ際ハ軍装ニ長剣ヲ佩用スヘシ但シ海軍大臣ノ特ニ定メタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二十五条 生徒及下士卒ノ麻襟麻襦袢「カフス」等ハ艦船部隊学校等ニ在リテハ儀式又ハ点検ノ場合ヲ除クノ外之ヲ著用セサルコトヲ得
第二十六条 海軍工作庁ニ勤務スル准士官以上ハ其ノ職務ノ性質ニ依リ操業中ニ限リ作業服ヲ著用スルコトヲ得艦船ニ於テ機関部ノ准士官以上当直スルトキ亦同シ
第二十七条 准士官以上軍装ノ場合ニ於テハ雨天又ハ悪路ノトキニ限リ黒色長靴ヲ用ウルコトヲ得
第二十八条 勲章及記章ハ左ノ各号ニ依リ之ヲ佩用スヘシ
一 勲章及記章ハ各種ノ服装ニ之ヲ佩用ス但シ軍装ニ在リテハ一般勤務ノトキハ之ヲ佩用セサルヲ例トス
二 頸飾又ハ大綬ヲ以テ佩フル勲章ハ正装又ハ礼装ニノミ之ヲ佩用シ其ノ他ノ服装ニハ其ノ副章ノミヲ佩用ス
三 通常礼装又ハ軍装ニハ勲等ヲ表スル最上級ノ勲章及金鵄勲章又ハ其ノ一種特ニ勲等ヲ表示スル必要アル場合ニハ勲等ヲ表スル最上級ノ勲章ノミヲ佩用スルコトヲ得准士官以上ノ通常礼装ニハ場合ニ依リ略綬ノミヲ佩用スルコトヲ得
四 功四級勲四等以下ノ勲章及記章ヲ佩用スルトキハ其ノ綬ノ上端ヲ肩頭下約一寸トシ二箇以上ヲ佩用スル場合ニ於テハ一列ニ之ヲ併佩シ佩用スヘキ勲章及記章ノ数多キトキハ之ヲ重複セシム其ノ列ノ中央ヲ左胸ノ中央ニ在ラシムヘシ
五 勅命ニ依リ制定セラレ特ニ海軍部内ニ於テ佩用スル記章ハ各種ノ服装ニ之ヲ佩用ス其ノ佩用ノ位置ハ上衣ノ右胸部乳下約二寸トシ二箇以上ヲ佩用スル場合ニ於テハ一列ニ之ヲ併佩ス
第三章 雑則
第二十九条 本令中夏季トハ内地ニ於テハ七月一日ヨリ九月三十日迄ヲ謂フ但シ艦船航海中又ハ土地ノ状況等ニ依リ所在首席指揮官東京ニ在リテハ海軍大臣其ノ期間ヲ伸縮スルコトヲ得
第三十条 一境域内ニ於ケル海軍軍人ノ服装ヲ斉一ニスルハ所在首席指揮官ノ任トス但シ東京ニ在リテハ海軍大臣、軍港要港ニ在リテハ当該鎮守府司令長官要港部司令官又ハ防備隊司令官ノ任トス
第三十一条 外国交際上其ノ他已ムコトヲ得サル事情アルトキハ海軍大臣又ハ所在首席指揮官ハ臨時服装ヲ指定スルコトヲ得本令ニ規定ナキ場合亦同シ
附 則
本令ハ大正三年三月一日ヨリ之ヲ施行ス