(会社の目的及び事業)
第一条 北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という。)は、旅客鉄道事業及びこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。
2 日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という。)は、貨物鉄道事業及びこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とする。
3 旅客会社及び貨物会社(以下「会社」という。)は、それぞれ第一項又は前項の事業を営むほか、運輸大臣の認可を受けて、自動車運送事業その他の事業を営むことができる。この場合において、運輸大臣は、会社が当該事業を営むことにより第一項又は前項の事業の適切かつ健全な運営に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、認可をしなければならない。
(商号の使用制限)
第二条 会社でない者は、その商号中に、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社又は日本貨物鉄道株式会社という文字を使用してはならない。
(社債発行限度の特例)
第三条 東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限を超えて社債を募集することができる。ただし、社債の総額は、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により当該会社に現存する純資産額のいずれか少ない額の十倍を超えてはならない。
(一般担保)
第四条 会社の社債権者は、当該会社の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
(新株、社債及び借入金)
第五条 会社は、新株を発行し、社債を募集し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の規定は、会社が、債券を失つた者に交付するために政令で定めるところにより債券を発行し、当該債券の発行により新たに債務を負担することとなる場合には、適用しない。
(代表取締役等の選定等の決議)
第六条 会社の代表取締役の選定及び解職並びに監査役の選任及び解任の決議は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(事業計画)
第七条 会社は、毎営業年度の開始前に、運輸省令で定めるところにより、その営業年度の事業計画を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(重要な財産の譲渡等)
第八条 会社は、運輸省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(定款の変更等)
第九条 会社の定款の変更、利益の処分又は損失の処理、合併及び解散の決議は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(中小企業者への配慮)
第十条 会社は、その営む事業が地域における経済活動に与える影響にかんがみ、その地域において当該会社が営む事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、又はその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮しなければならない。
(財務諸表)
第十一条 会社は、毎営業年度終了後三月以内に、その営業年度の貸借対照表、損益計算書及び営業報告書を運輸大臣に提出しなければならない。
(北海道旅客会社等の経営安定基金)
第十二条 北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社(以下「北海道旅客会社等」という。)は、それぞれ、附則第七条第一項の規定により取得した債権の額に相当する金額を経営安定基金(以下「基金」という。)として管理し、その運用により生ずる収益をその事業の運営に必要な費用に充てるものとする。
2 北海道旅客会社等は、基金に係る経理については、運輸省令で定めるところにより、その他の経理と区分して整理しなければならない。
3 基金は、取り崩してはならない。ただし、当該会社の純資産額が資本、準備金及び基金の総額に満たなくなつた場合においてあらかじめ運輸大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
4 前項ただし書の規定により基金を取り崩した後において当該会社の純資産額が資本、準備金及び基金の総額を超えることとなつたときは、その超える部分の額に相当する金額を、基金の金額が第一項の金額に達するまで、基金に組み入れなければならない。
5 北海道旅客会社等は、確実かつ有利な方法により基金を運用しなければならない。
6 前各項に定めるもののほか、基金の管理に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(監督)
第十三条 会社は、運輸大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2 運輸大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第十四条 運輸大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(大蔵大臣との協議)
第十五条 運輸大臣は、第五条第一項(新株の発行に係るものを除く。)、第七条、第八条若しくは第九条(定款の変更の決議に係るものを除く。)の認可又は第十二条第三項ただし書の承認をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
(罰則)
第十六条 会社の取締役、監査役又は職員が、その職務に関して、わいろを収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。
2 前項の場合において、犯人が収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第十七条 前条第一項のわいろを供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第十八条 第十六条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う。
第十九条 第十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、監査役又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
第二十条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
一 第一条第三項の規定に違反して、事業を営んだとき。
二 第三条ただし書の規定に違反して、社債を募集したとき。
三 第五条第一項の規定に違反して、新株を発行し、社債を募集し、又は資金を借り入れたとき。
四 第七条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかつたとき。
五 第八条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。
六 第十一条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書を提出せず、又は不実の記載をしたこれらの書類を提出したとき。
七 第十二条第三項の規定に違反して、基金を取り崩したとき。
八 第十三条第二項の規定による命令に違反したとき。
第二十一条 第二条の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。