元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百五十六号
元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、元南西諸島官公署職員等の身分、恩給、退職手当、死亡賜金等に関して、特別の措置を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 南西諸島 北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)をいう。
二 元南西諸島官公署職員 昭和二十一年一月二十八日において南西諸島にあつた国又は地方公共団体の機関(元陸軍又は海軍の機関を除く。)に所属していた職員をいう。但し、市町村に所属していた職員(市町村立の学校、幼稚園又は図書館に勤務し判任官以上の待遇を受けていた者及び準教育職員であつた者を除く。)、気象官署に所属していた職員その他政令で定める職員を除く。
三 琉球諸島民政府職員 昭和二十一年一月二十九日以後において南西諸島にあつた琉球政府(これにその事務を引き継がれた機関及び将来その事務を引き継ぐ機関で政令で定めるものを含む。)に所属する職員をいう。但し、その就任について選挙によることを必要とする職員、常時勤務することを要しない職員その他政令で定める職員を除く。
四 本邦官公署職員 国又は地方公共団体の機関に所属する職員(公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第一項第一号に掲げる公共企業体又は政令で定める公団若しくは公庫の役員及び職員を含む。)をいう。
(元南西諸島官公署職員の退職)
第三条 元南西諸島官公署職員は、この法律に別段の定がある場合を除く外、昭和二十一年一月二十八日において退職したものとする。
(恩給に関する法令の適用)
第四条 恩給法の一部を改正する法律(昭和二十一年法律第三十一号)による改正前の恩給法(大正十二年法律第四十八号。以下本項において「改正前の恩給法」という。)第十九条に規定する公務員又は公務員に準ずべき者として在職していた元南西諸島官公署職員が、引き続き政令で定める琉球諸島民政府職員となつた場合においては、政令で定めるところにより、その琉球諸島民政府職員を改正前の恩給法第二十条に規定する文官又は準文官として勤続する者とみなし(改正前の恩給法第二十三条に規定する警察監獄職員であつた元南西諸島官公署職員が、引き続き政令で定めるこれに相当する琉球諸島民政府職員となつた場合にあつては、これを同条に規定する警察監獄職員として勤続する者とみなし)、その者について恩給に関する法令の規定(実在職年に附すべき加算年、勤続在職年についての加給及び納金に関する部分の規定を除く。)を適用する。
2 前項の規定により琉球諸島民政府職員に普通恩給を給する場合において、その在職年のうちに昭和二十一年一月二十八日以前の在職年で恩給法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第八十七号)による改正前の恩給法第六十二条第三項若しくは第四項に規定する教育職員としての勤続在職年十七年以上のもの又は同法第六十三条に規定する警察監獄職員としての勤続在職年十二年以上のものを含むときは、それぞれ、当該勤続在職年から勤続在職年十七年又は十二年を控除した残りの勤続在職年一年について、これらの規定により加給するものとする。
3 第一項の規定により恩給に関する法令の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員は、その在職の間、昭和二十一年一月二十八日において受けていた俸給(昭和二十三年七月一日以後においては、当該俸給の額は、国家公務員の給与水準の改訂に伴う恩給の額の改定に関し定めた法令の規定による仮定俸給の額とする。)を受けていたものとみなす。
4 第一項の規定により恩給に関する法令の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員が、引き続き本邦官公署職員となつた場合における恩給に関する法令の規定の適用について必要な事項は、政令で定める。
(国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の適用)
第五条 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和二十五年法律第百四十二号)の規定は、同法が昭和二十一年一月二十八日において南西諸島に適用されていたとした場合において同法第二条に規定する職員として在職した者となるべき元南西諸島官公署職員が、引き続き琉球諸島民政府職員となつたときは、昭和二十一年六月三十日以前に退職し、又は死亡した場合を除く外、その琉球諸島民政府職員としての在職の間、その者を同条に規定する職員として在職した者とみなし、又、昭和二十一年七月一日以後その者が退職し、又は死亡した場合において、その退職又は死亡の日において退職し、又は死亡した本邦の官署に勤務する職員について適用されていた国家公務員に対する退職手当の支給に関する法令の規定がその者に適用されていたとしたときに、当該法令の規定による退職手当を受けるべきこととなるときは、その受けるべきこととなる退職手当を当該法令の規定による給付とみなして、その者について昭和二十一年七月一日以後給付事由の生ずる退職手当から適用する。但し、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律第四条から第六条まで(第四条中傷い疾病又は死亡に因る退職に係る退職手当に関する部分を除く。)、第九条及び第十条の規定は、この限りでない。
2 前項の場合において、その者の退職又は死亡に因り支給すべき退職手当の額の計算の基礎となる俸給月額は、その者が昭和二十一年一月二十八日において受けていた俸給月額を基礎とし、政令で定めるところにより、国家公務員の給与水準の改訂に伴う給与の措置に関し定めた法令の規定を準用して改定した後の俸給月額とする。
3 元南西諸島官公署職員のうち政令で定める元沖繩県及び鹿児島県の職員については、前二項に規定する場合の例に準じ政令で定めるところにより、退職手当を支給することができる。
(在職年の通算の辞退)
第六条 第四条第一項の規定により恩給に関する法令の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員が、普通恩給についての最短恩給年限(以下本条において「最短恩給年限」という。)に達した場合において、その者がその後第四条第一項の規定による在職年の通算を辞退すべき旨を申し出たときは、恩給に関する法令の規定の適用については、左の各号に掲げる区別に従い、それぞれ、当該各号に掲げる日において退職したものとみなす。
一 昭和二十一年一月二十八日においてすでに最短恩給年限に達している場合にあつては、同日
二 昭和二十一年一月二十九日以後において最短恩給年限に達した場合にあつては、その最短恩給年限に達した日
2 前項の規定による申出は、この法律の施行の日においてすでに最短恩給年限に達している場合にあつてはこの法律の施行の日から六月以内に、その他の場合にあつては最短恩給年限に達した日から六月以内に、内閣総理大臣に対してしなければならない。但し、元沖縄県以外の都道府県の知事の裁定すべき恩給に係る場合にあつては、当該都道府県の知事に対してしなければならない。
3 第一項の規定により退職したものとみなされる者は、前条の規定の適用についても、それぞれ、第一項各号に掲げる日に退職したものとみなす。
(死亡賜金に関する法令の適用)
第七条 官吏又は待遇官吏として在職していた元南西諸島官公署職員が、引き続き政令で定める琉球諸島民政府職員として在職中、昭和二十八年七月三十一日以前において死亡したときは、その死亡の日まで引き続き官吏又は待遇官吏として在職していたものとみなして、その者について従前の死亡賜金に関する法令の規定を適用する。但し、その死亡前に、前条第一項の規定により退職したものとみなされる場合は、この限りでない。
2 第五条第二項の規定は、前項の場合における死亡賜金の額の計算の基礎となる俸給月額について準用する。
(引き続き他の職員として勤続するものとみなす場合)
第八条 元南西諸島官公署職員が昭和二十一年一月二十九日から九十日以内に琉球諸島民政府職員となつた場合においては、第四条、第五条又は前条の規定の適用については、引き続き琉球諸島民政府職員として勤続するものとみなす。
2 元南西諸島官公署職員が昭和二十一年一月二十九日から九十日以内に本邦官公署職員となつた場合においては、恩給又は退職手当に関する法令の規定の適用については、引き続き本邦官公署職員として勤続するものとみなす。
3 第四条第一項又は第五条第一項の規定により恩給に関する法令又は国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員が、その退職後(第六条の規定により退職とみなされる場合を除く。)三十日(この法律の施行前に退職した場合にあつては、九十日)以内に本邦官公署職員となつた場合においては、恩給又は退職手当に関する法令の規定の適用については、その退職の日の翌日から引き続き本邦官公署職員として勤続するものとみなす。
(未帰還職員)
第九条 昭和二十年九月二日から引き続き海外にあつて昭和二十一年一月二十八日までに帰国しなかつた元南西諸島官公署職員(以下「未帰還職員」という。)については、第三条の規定は、適用しない。
2 昭和二十八年七月三十一日までに帰国した未帰還職員は、その帰国の日から九十日以内に琉球諸島民政府職員又は本邦官公署職員となつた場合にあつては、その琉球諸島民政府職員又は本邦官公署職員となつた日の前日まで元南西諸島官公署職員として有していた身分を失わなかつたものとし、その他の場合にあつては、その帰国の日から三十日を経過した日において退職したものとする。
3 昭和二十八年七月三十一日までに帰国しなかつた未帰還職員は、恩給法の規定の適用を受ける者にあつては、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号)附則第三十条の規定により退職したものとみなされる日又は死亡した日において、その他の者にあつては、恩給法の規定の適用を受ける者の例に準じ政令で定める日において退職したものとする。
4 元沖縄県がその俸給その他の給与を支給していた未帰還職員に対しては、本邦官公署職員の例に準じ政令で定めるところにより、俸給その他の給与及び退職手当を支給する。
(疎開学童担当教育関係職員)
第十条 元沖縄県の疎開学童の教育を担当するため他県の教育関係職員に転じ昭和二十一年一月二十九日から同年十二月三十一日までの間において南西諸島に復帰した元沖縄県の教育関係職員が、その復帰の日から九十日以内に政令で定める琉球諸島民政府職員となつた場合において、まだ当該他県の教育関係職員の職を退いていないときは、その琉球諸島民政府職員となつた日の前日においてその職を退いたものとみなし、すでにその職を退いているときは、その退職の日の翌日から引き続き琉球諸島民政府職員として勤続するものとみなす。
2 前項の琉球諸島民政府職員については、第四条から第七条までに規定する場合の例に準じ政令で定めるところにより、恩給、退職手当及び死亡賜金を給する。
(執達吏の恩給)
第十一条 昭和二十一年一月二十八日において南西諸島の地域内にあつた旧裁判所構成法(明治二十三年法律第六号)による区裁判所に置かれていた執達吏が、引き続きこれに相当する琉球諸島民政府職員となつた場合においては、その者を執達吏又は執行吏として勤続する者とみなし、その者について執達吏又は執行吏の恩給に関する法令の規定を適用する。
2 第八条の規定は、前項の執達吏について準用する。
(時効の特例)
第十二条 南西諸島の官公署の職員であつた者について、その職員たる身分に基きこの法律の施行前に生じた恩給を受ける権利その他国又は地方公共団体に対する権利で金銭の給付を目的とするものの消滅時効は、他の法令の規定にかかわらず、昭和二十年三月一日からこの法律の施行の日の前日までは進行しないものとする。
(給与等の負担)
第十三条 元沖縄県がその俸給を負担していた職員について、昭和二十一年一月二十八日までに給与事由の生じた俸給その他の政令で定める給与及び死亡賜金でこの法律の施行の日までに支払われなかつたもの並びに昭和二十一年一月二十九日以後給与事由の生じた俸給その他の政令で定める給与、退職手当及び死亡賜金は、国庫が負担する。
2 琉球諸島民政府職員について第五条、第七条又は第十条の規定により支給すべき退職手当及び死亡賜金は、国庫が負担する。但し、第十条に規定する場合を除き、昭和二十一年一月二十八日において元沖縄県以外の都道府県がその俸給を支弁していた職員に係るものは、当該都道府県が支弁するものとし、その経費は、国庫又は当該都道府県が、政令で定めるところにより、それぞれその全部又は一部を負担するものとする。
(恩給の裁定及び負担)
第十四条 琉球諸島民政府職員について第四条、第十条又は第十一条の規定により給すべき恩給は、総理府恩給局長が裁定し、国庫が負担する。但し、昭和二十一年一月二十八日に元南西諸島官公署職員として恩給の給与事由が生じたとした場合において、元沖縄県以外の都道府県の知事がその恩給を裁定し、当該都道府県がこれを負担すべきであつた職員に係るものは、当該都道府県の知事が裁定し、当該都道府県が負担するものとし、その経費(政令で定める日以後に支給すべき恩給に係るものを除く。)は、政令で定めるところにより、国庫が交付するものとする。
(実施規定)
第十五条 この法律に特別の定があるものの外、この法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十八年八月一日から施行し、第三条から第十一条までの規定は、昭和二十一年一月二十八日から適用する。
(恩給支払事務の委託)
2 郵政大臣は、当分の間、南西諸島に居住する者に対し給する恩給で国庫の負担に係るものの支払に関する事務を処理する場合において、特に必要があるときは、他の法令の規定にかかわらず、その事務の一部を政令で定める者に委託して取り扱わせることができる。
3 郵政大臣は、前項の場合において、同項の政令で定める者に対し、その支払に必要な資金を交付することができる。
4 附則第二項の規定による支払事務の委託事項及び前項の規定による資金交付の手続は、郵政大臣が大蔵大臣と協議して定める。
(所得税法の適用についての特例)
5 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の施行地に住所及び一年以上居所を有しない個人で南西諸島に住所又は居所を有するものが、この法律の施行後、この法律の適用により支払を受け、又は国若しくは地方公共団体の職員としてなされた勤務(この法律の施行前に当該職員が退職した場合に限る。)に因り支払を受ける所得税法第九条第一項第五号に規定する給与所得又は同項第六号に規定する退職所得については、これを同法第一条第二項第五号に規定する所得とみなし、当該給与所得又は退職所得のうちこの法律の施行前にその支給期が到来したものについては、その支給期がこの法律の施行の日に到来するものとみなして、所得税法の規定を適用する。この場合において、同法第十七条及び第四十一条第一項中「百分の二十の税率」とあるのは、「百分の十の税率」と読み替えるものとする。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 犬養健
外務大臣 岡崎勝男
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄
厚生大臣 山県勝見
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 岡野清豪
運輸大臣 石井光次郎
郵政大臣 塚田十一郎
労働大臣 小坂善太郎
建設大臣 戸塚九一郎
元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百五十六号
元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、元南西諸島官公署職員等の身分、恩給、退職手当、死亡賜金等に関して、特別の措置を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 南西諸島 北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)をいう。
二 元南西諸島官公署職員 昭和二十一年一月二十八日において南西諸島にあつた国又は地方公共団体の機関(元陸軍又は海軍の機関を除く。)に所属していた職員をいう。但し、市町村に所属していた職員(市町村立の学校、幼稚園又は図書館に勤務し判任官以上の待遇を受けていた者及び準教育職員であつた者を除く。)、気象官署に所属していた職員その他政令で定める職員を除く。
三 琉球諸島民政府職員 昭和二十一年一月二十九日以後において南西諸島にあつた琉球政府(これにその事務を引き継がれた機関及び将来その事務を引き継ぐ機関で政令で定めるものを含む。)に所属する職員をいう。但し、その就任について選挙によることを必要とする職員、常時勤務することを要しない職員その他政令で定める職員を除く。
四 本邦官公署職員 国又は地方公共団体の機関に所属する職員(公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第一項第一号に掲げる公共企業体又は政令で定める公団若しくは公庫の役員及び職員を含む。)をいう。
(元南西諸島官公署職員の退職)
第三条 元南西諸島官公署職員は、この法律に別段の定がある場合を除く外、昭和二十一年一月二十八日において退職したものとする。
(恩給に関する法令の適用)
第四条 恩給法の一部を改正する法律(昭和二十一年法律第三十一号)による改正前の恩給法(大正十二年法律第四十八号。以下本項において「改正前の恩給法」という。)第十九条に規定する公務員又は公務員に準ずべき者として在職していた元南西諸島官公署職員が、引き続き政令で定める琉球諸島民政府職員となつた場合においては、政令で定めるところにより、その琉球諸島民政府職員を改正前の恩給法第二十条に規定する文官又は準文官として勤続する者とみなし(改正前の恩給法第二十三条に規定する警察監獄職員であつた元南西諸島官公署職員が、引き続き政令で定めるこれに相当する琉球諸島民政府職員となつた場合にあつては、これを同条に規定する警察監獄職員として勤続する者とみなし)、その者について恩給に関する法令の規定(実在職年に附すべき加算年、勤続在職年についての加給及び納金に関する部分の規定を除く。)を適用する。
2 前項の規定により琉球諸島民政府職員に普通恩給を給する場合において、その在職年のうちに昭和二十一年一月二十八日以前の在職年で恩給法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第八十七号)による改正前の恩給法第六十二条第三項若しくは第四項に規定する教育職員としての勤続在職年十七年以上のもの又は同法第六十三条に規定する警察監獄職員としての勤続在職年十二年以上のものを含むときは、それぞれ、当該勤続在職年から勤続在職年十七年又は十二年を控除した残りの勤続在職年一年について、これらの規定により加給するものとする。
3 第一項の規定により恩給に関する法令の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員は、その在職の間、昭和二十一年一月二十八日において受けていた俸給(昭和二十三年七月一日以後においては、当該俸給の額は、国家公務員の給与水準の改訂に伴う恩給の額の改定に関し定めた法令の規定による仮定俸給の額とする。)を受けていたものとみなす。
4 第一項の規定により恩給に関する法令の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員が、引き続き本邦官公署職員となつた場合における恩給に関する法令の規定の適用について必要な事項は、政令で定める。
(国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の適用)
第五条 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和二十五年法律第百四十二号)の規定は、同法が昭和二十一年一月二十八日において南西諸島に適用されていたとした場合において同法第二条に規定する職員として在職した者となるべき元南西諸島官公署職員が、引き続き琉球諸島民政府職員となつたときは、昭和二十一年六月三十日以前に退職し、又は死亡した場合を除く外、その琉球諸島民政府職員としての在職の間、その者を同条に規定する職員として在職した者とみなし、又、昭和二十一年七月一日以後その者が退職し、又は死亡した場合において、その退職又は死亡の日において退職し、又は死亡した本邦の官署に勤務する職員について適用されていた国家公務員に対する退職手当の支給に関する法令の規定がその者に適用されていたとしたときに、当該法令の規定による退職手当を受けるべきこととなるときは、その受けるべきこととなる退職手当を当該法令の規定による給付とみなして、その者について昭和二十一年七月一日以後給付事由の生ずる退職手当から適用する。但し、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律第四条から第六条まで(第四条中傷い疾病又は死亡に因る退職に係る退職手当に関する部分を除く。)、第九条及び第十条の規定は、この限りでない。
2 前項の場合において、その者の退職又は死亡に因り支給すべき退職手当の額の計算の基礎となる俸給月額は、その者が昭和二十一年一月二十八日において受けていた俸給月額を基礎とし、政令で定めるところにより、国家公務員の給与水準の改訂に伴う給与の措置に関し定めた法令の規定を準用して改定した後の俸給月額とする。
3 元南西諸島官公署職員のうち政令で定める元沖縄県及び鹿児島県の職員については、前二項に規定する場合の例に準じ政令で定めるところにより、退職手当を支給することができる。
(在職年の通算の辞退)
第六条 第四条第一項の規定により恩給に関する法令の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員が、普通恩給についての最短恩給年限(以下本条において「最短恩給年限」という。)に達した場合において、その者がその後第四条第一項の規定による在職年の通算を辞退すべき旨を申し出たときは、恩給に関する法令の規定の適用については、左の各号に掲げる区別に従い、それぞれ、当該各号に掲げる日において退職したものとみなす。
一 昭和二十一年一月二十八日においてすでに最短恩給年限に達している場合にあつては、同日
二 昭和二十一年一月二十九日以後において最短恩給年限に達した場合にあつては、その最短恩給年限に達した日
2 前項の規定による申出は、この法律の施行の日においてすでに最短恩給年限に達している場合にあつてはこの法律の施行の日から六月以内に、その他の場合にあつては最短恩給年限に達した日から六月以内に、内閣総理大臣に対してしなければならない。但し、元沖縄県以外の都道府県の知事の裁定すべき恩給に係る場合にあつては、当該都道府県の知事に対してしなければならない。
3 第一項の規定により退職したものとみなされる者は、前条の規定の適用についても、それぞれ、第一項各号に掲げる日に退職したものとみなす。
(死亡賜金に関する法令の適用)
第七条 官吏又は待遇官吏として在職していた元南西諸島官公署職員が、引き続き政令で定める琉球諸島民政府職員として在職中、昭和二十八年七月三十一日以前において死亡したときは、その死亡の日まで引き続き官吏又は待遇官吏として在職していたものとみなして、その者について従前の死亡賜金に関する法令の規定を適用する。但し、その死亡前に、前条第一項の規定により退職したものとみなされる場合は、この限りでない。
2 第五条第二項の規定は、前項の場合における死亡賜金の額の計算の基礎となる俸給月額について準用する。
(引き続き他の職員として勤続するものとみなす場合)
第八条 元南西諸島官公署職員が昭和二十一年一月二十九日から九十日以内に琉球諸島民政府職員となつた場合においては、第四条、第五条又は前条の規定の適用については、引き続き琉球諸島民政府職員として勤続するものとみなす。
2 元南西諸島官公署職員が昭和二十一年一月二十九日から九十日以内に本邦官公署職員となつた場合においては、恩給又は退職手当に関する法令の規定の適用については、引き続き本邦官公署職員として勤続するものとみなす。
3 第四条第一項又は第五条第一項の規定により恩給に関する法令又は国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の規定の適用を受ける琉球諸島民政府職員が、その退職後(第六条の規定により退職とみなされる場合を除く。)三十日(この法律の施行前に退職した場合にあつては、九十日)以内に本邦官公署職員となつた場合においては、恩給又は退職手当に関する法令の規定の適用については、その退職の日の翌日から引き続き本邦官公署職員として勤続するものとみなす。
(未帰還職員)
第九条 昭和二十年九月二日から引き続き海外にあつて昭和二十一年一月二十八日までに帰国しなかつた元南西諸島官公署職員(以下「未帰還職員」という。)については、第三条の規定は、適用しない。
2 昭和二十八年七月三十一日までに帰国した未帰還職員は、その帰国の日から九十日以内に琉球諸島民政府職員又は本邦官公署職員となつた場合にあつては、その琉球諸島民政府職員又は本邦官公署職員となつた日の前日まで元南西諸島官公署職員として有していた身分を失わなかつたものとし、その他の場合にあつては、その帰国の日から三十日を経過した日において退職したものとする。
3 昭和二十八年七月三十一日までに帰国しなかつた未帰還職員は、恩給法の規定の適用を受ける者にあつては、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号)附則第三十条の規定により退職したものとみなされる日又は死亡した日において、その他の者にあつては、恩給法の規定の適用を受ける者の例に準じ政令で定める日において退職したものとする。
4 元沖縄県がその俸給その他の給与を支給していた未帰還職員に対しては、本邦官公署職員の例に準じ政令で定めるところにより、俸給その他の給与及び退職手当を支給する。
(疎開学童担当教育関係職員)
第十条 元沖縄県の疎開学童の教育を担当するため他県の教育関係職員に転じ昭和二十一年一月二十九日から同年十二月三十一日までの間において南西諸島に復帰した元沖縄県の教育関係職員が、その復帰の日から九十日以内に政令で定める琉球諸島民政府職員となつた場合において、まだ当該他県の教育関係職員の職を退いていないときは、その琉球諸島民政府職員となつた日の前日においてその職を退いたものとみなし、すでにその職を退いているときは、その退職の日の翌日から引き続き琉球諸島民政府職員として勤続するものとみなす。
2 前項の琉球諸島民政府職員については、第四条から第七条までに規定する場合の例に準じ政令で定めるところにより、恩給、退職手当及び死亡賜金を給する。
(執達吏の恩給)
第十一条 昭和二十一年一月二十八日において南西諸島の地域内にあつた旧裁判所構成法(明治二十三年法律第六号)による区裁判所に置かれていた執達吏が、引き続きこれに相当する琉球諸島民政府職員となつた場合においては、その者を執達吏又は執行吏として勤続する者とみなし、その者について執達吏又は執行吏の恩給に関する法令の規定を適用する。
2 第八条の規定は、前項の執達吏について準用する。
(時効の特例)
第十二条 南西諸島の官公署の職員であつた者について、その職員たる身分に基きこの法律の施行前に生じた恩給を受ける権利その他国又は地方公共団体に対する権利で金銭の給付を目的とするものの消滅時効は、他の法令の規定にかかわらず、昭和二十年三月一日からこの法律の施行の日の前日までは進行しないものとする。
(給与等の負担)
第十三条 元沖縄県がその俸給を負担していた職員について、昭和二十一年一月二十八日までに給与事由の生じた俸給その他の政令で定める給与及び死亡賜金でこの法律の施行の日までに支払われなかつたもの並びに昭和二十一年一月二十九日以後給与事由の生じた俸給その他の政令で定める給与、退職手当及び死亡賜金は、国庫が負担する。
2 琉球諸島民政府職員について第五条、第七条又は第十条の規定により支給すべき退職手当及び死亡賜金は、国庫が負担する。但し、第十条に規定する場合を除き、昭和二十一年一月二十八日において元沖縄県以外の都道府県がその俸給を支弁していた職員に係るものは、当該都道府県が支弁するものとし、その経費は、国庫又は当該都道府県が、政令で定めるところにより、それぞれその全部又は一部を負担するものとする。
(恩給の裁定及び負担)
第十四条 琉球諸島民政府職員について第四条、第十条又は第十一条の規定により給すべき恩給は、総理府恩給局長が裁定し、国庫が負担する。但し、昭和二十一年一月二十八日に元南西諸島官公署職員として恩給の給与事由が生じたとした場合において、元沖縄県以外の都道府県の知事がその恩給を裁定し、当該都道府県がこれを負担すべきであつた職員に係るものは、当該都道府県の知事が裁定し、当該都道府県が負担するものとし、その経費(政令で定める日以後に支給すべき恩給に係るものを除く。)は、政令で定めるところにより、国庫が交付するものとする。
(実施規定)
第十五条 この法律に特別の定があるものの外、この法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十八年八月一日から施行し、第三条から第十一条までの規定は、昭和二十一年一月二十八日から適用する。
(恩給支払事務の委託)
2 郵政大臣は、当分の間、南西諸島に居住する者に対し給する恩給で国庫の負担に係るものの支払に関する事務を処理する場合において、特に必要があるときは、他の法令の規定にかかわらず、その事務の一部を政令で定める者に委託して取り扱わせることができる。
3 郵政大臣は、前項の場合において、同項の政令で定める者に対し、その支払に必要な資金を交付することができる。
4 附則第二項の規定による支払事務の委託事項及び前項の規定による資金交付の手続は、郵政大臣が大蔵大臣と協議して定める。
(所得税法の適用についての特例)
5 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の施行地に住所及び一年以上居所を有しない個人で南西諸島に住所又は居所を有するものが、この法律の施行後、この法律の適用により支払を受け、又は国若しくは地方公共団体の職員としてなされた勤務(この法律の施行前に当該職員が退職した場合に限る。)に因り支払を受ける所得税法第九条第一項第五号に規定する給与所得又は同項第六号に規定する退職所得については、これを同法第一条第二項第五号に規定する所得とみなし、当該給与所得又は退職所得のうちこの法律の施行前にその支給期が到来したものについては、その支給期がこの法律の施行の日に到来するものとみなして、所得税法の規定を適用する。この場合において、同法第十七条及び第四十一条第一項中「百分の二十の税率」とあるのは、「百分の十の税率」と読み替えるものとする。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 犬養健
外務大臣 岡崎勝男
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄
厚生大臣 山県勝見
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 岡野清豪
運輸大臣 石井光次郎
郵政大臣 塚田十一郎
労働大臣 小坂善太郎
建設大臣 戸塚九一郎