(法律の目的)
第一條 この法律は、適正且つ合理的な工業標準の制定及び普及により工業標準化を促進することによつて、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増進その他生産の合理化、取引の單純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄與することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「工業標準化」とは、左に掲げる事項を全國的に統一し、又は單純化することをいい、「工業標準」とは、工業標準化のための基準をいう。
一 鉱工業品(医藥品、農藥、化学肥料、蚕糸及び食料品その他指定農林物資檢査法(昭和二十三年法律第二百十号)による指定農林物資を除く。以下同じ。)の種類、型式、形状、寸法、構造、裝備、品質、等級、成分、性能、耐久度又は安全度
二 鉱工業品の生産方法、設計方法、製図方法、使用方法若しくは原單位又は鉱工業品の生産に関する作業方法若しくは安全條件
三 鉱工業品の包裝の種類、型式、形状、寸法、構造、性能若しくは等級又は包裝方法
四 鉱工業品に関する試驗、分析、鑑定、檢査、檢定又は測定の方法
五 鉱工業の技術に関する用語、略語、記号、符号、標準数又は單位
六 建築物その他の構築物の設計、施行方法又は安全條件
(日本工業標準調査会)
第三條 通商産業省に日本工業標準調査会(以下「調査会」という。)を置く。
2 調査会は、この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、工業標準化の促進に関し、関係各大臣の諮問に應じて答申し、又は関係各大臣に対し建議することができる。
2 委員は、学識経驗のある者及び関係各廳の職員のうちから、関係各大臣の推薦により、通商産業大臣が委嘱する。
3 委員の任期は、二年とする。但し、特別の事由があるときは、任期中これを解任することを妨げない。
第六條 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 臨時委員は、当該特別の事項の調査審議が終了したときは、退任する。
2 專門委員は、会長の命を受け、專門の事項を調査する。
3 專門委員は、会長の申出により、通商産業大臣が委嘱する。
第八條 調査会の委員、臨時委員及び專門委員は、予算に定める金額の範囲内において、手当及び旅費を受けるものとする。
第九條 調査会の庶務は、工業技術廳において処理する。
第十條 前七條及び國家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に定めるものの外、調査会に関し必要な事項は、省令で定める。
(工業標準の制定)
第十一條 主務大臣は、工業標準を制定しようとするときは、あらかじめ調査会の議決を経なければならない。
第十二條 利害関係人は、省令の定めるところにより、原案を具して工業標準を制定すべきことを主務大臣に申し出ることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による申出を受けた場合において、調査会の意見を徴し、その申出に係る工業標準を制定すべきものと認めるときは、工業標準の案を調査会に附議するものとし、その制定の必要がないと認めるときは、理由を附してその旨を申出人に通知しなければならない。
第十三條 調査会は、省令で定める公正な手続にしたがい、工業標準の案を審議し、その結果を主務大臣に答申しなければならない。
2 主務大臣は、調査会が制定すべきものと答申した工業標準の案がすべての実質的な利害関係を有する者の意向を反映し、且つ、その適用に当つて同樣な條件の下にある者に対して不当に差別を附するものでなく、適当であると認めるときは、これを工業標準として制定しなければならない。
(工業標準の確認、改正及び廃止)
第十四條 前三條の規定は、工業標準の確認、改正又は廃止に準用する。
第十五條 主務大臣は、第十一條の規定により制定した工業標準がなお適正であるかどうかを、その制定の日から少くとも三年を経過するごとに、調査会の審議に附し、これを確認し、又は必要があると認めるときは改正し、若しくは廃止しなければならない。
(公示)
第十六條 主務大臣は、工業標準を制定し、確認し、改正し、又は廃止したときは、これを公示しなければならない。
(日本工業規格)
第十七條 第十一條の規定により制定された工業標準は、日本工業規格という。
2 何人も、第十一條の規定により制定された工業標準でないものを日本工業規格と称してはならない。
(公聽会)
第十八條 主務大臣は、工業標準化のため必要があると認めるときは、公聽会を開いて利害関係人の意見をきくことができる。
2 調査会又は工業標準に実質的な利害関係を有する者は、工業標準がすべての実質的な利害関係を有する者の意向を反映し、又はその適用に当つて同樣な條件の下にある者に対して不当に差別を附するものでないかどうかについて、主務大臣に公聽会の開催を請求することができる。
3 主務大臣は、前項の請求があつたときは、公聽会を開かなければならない。
4 主務大臣は、公聽会において明らかにされた事実を檢討し、工業標準の改正を必要と認めるときは、工業標準を調査会に附議し、その改正について適切な審議を行わせなければならない。
5 前四項に定めるものの外、公聽会について必要な事項は、省令で定める。
(表示)
第十九條 主務大臣が特に必要があると認めて調査会の議決を経て鉱工業品の品目を指定したときは、その製造業者は、主務大臣の許可を受けてその製造する当該鉱工業品又はその包裝若しくは容器に、当該鉱工業品が日本工業規格に該当するものであることを示す特別な表示を附することができる。
2 主務大臣は、前項の許可をしようとするときは、その製造業者の申請に係る鉱工業品の製造設備、檢査設備、檢査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産條件を審査しなければならない。
3 主務大臣は、前項の規定による審査の結果に基き、許可をするかどうかを決定し、その旨を申請人に通知するとともに、許可に係る品目及び許可を受けた製造業者の氏名又は名称を公示しなければならない。
4 第一項の表示に関し必要な事項は、省令で定める。
5 第一項の規定により指定された品目の鉱工業品(以下「指定商品」という。)については、第一項の許可を受けた製造業者でなければ、何人も、その取り扱う指定商品又はその包裝若しくは容器に、その指定商品が日本工業規格に該当するものであることを示す表示を附し、又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。
(手数料)
第二十條 前條の規定による許可を受けようとする者は、政令で定める手数料を納めなければならない。
(表示についての申出)
第二十一條 第十九條第一項の表示の附してある指定商品がその表示に係る日本工業規格に該当しないと認める者は、主務大臣にその旨を申し出ることができる。
(檢査)
第二十二條 主務大臣は、前條の規定による申出を受けたとき、その他必要があると認めるときは、その職員に第十九條第一項の許可を受けた製造業者の工場、事業場その他必要な場所に立ち入り、指定商品若しくはその原材料又はその製造設備、檢査設備、檢査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産條件を檢査させることができる。
2 前項の規定により立入檢査をする職員は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第二十三條 主務大臣は、前條第一項の規定による檢査の結果、表示の附してある指定商品がその表示に係る日本工業規格に該当せず、又は許可を受けた鉱工業品の製造設備、檢査設備、檢査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産條件が適正でないと認めるときは、その製造業者に対し、表示の変更若しくは指定商品の販賣の停止を命じ、又はその許可を取り消すことができる。
(聽聞)
第二十四條 主務大臣は、前條の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ当該製造業者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聽聞を行わなければならない。
2 主務大臣は、前項の聽聞をしようとするときは、その期日の一週間前までに、前條の規定による処分をしようとする理由並びに聽聞の期日及び場所を当該製造業者に通知し、且つ、聽聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 聽聞においては、当該製造業者又はその代理人は、自己のために釈明し、且つ、有利な、証拠を提出することができる。
(罰則)
第二十五條 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第二十六條 第二十二條第一項の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
第二十七條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して、前二條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。