輸出品取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十二日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十三号
輸出品取締法
(法律の目的)
第一條 この法律は、輸出貿易の健全な発達を期するため、輸出品の声價の向上及び品質の改善を図ることを目的とする。
(輸出品の定義)
第二條 この法律において「輸出品」とは、輸出の申請のあつた物品をいう。
(輸出品の等級、標準及び條件)
第三條 主務大臣は、品質の識別のため必要があると認めるときは、輸出品の品目を指定して、その各々につき、等級及びその標準を定める。
第四條 主務大臣は、左に掲げる輸出品については、保健、衞生、安全又は純度に関する輸出の最低の標準及び包裝條件を定める。
かん詰その他の加工食料品
医藥品
試藥
マツチ
双眼鏡、顯微鏡、測量機械その他の光学機器
電球
(標準及び條件の決定方法)
第五條 前二條の規定による標準及び條件は、命令で定める手続に從い、利害関係人の意見を参考とし、経済安定本部総裁の同意を得てこれを定め、その施行の期日の少くとも三十日前に、これを官報に公示しなければならない。
2 前項の標準及び條件は、適当な品種別にこれを定め、適正且つ公平でなければならず、同一産業において同樣の條件の下にある生産業者の間又は産業部門の間に、差別を附するものであつてはならない。
(檢査)
第六條 第三條の規定により指定された輸出品を輸出し、又は輸出品として政府に讓り渡そうとする者は、その輸出品に、同條の規定により定められた標準に適合する等級を附さなければならない。
2 主務大臣は、この法律を実施する責に任ずるものとし、この目的のため必要と認めるときは、前項の規定により輸出品に附された等級について、檢査を行うことができる。
第七條 第四條に掲げる輸出品は、同條の規定により定められた標準及び條件に達したものでなければ、これを輸出し、又は輸出品として政府に讓り渡してはならない。
2 前條第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
(印章等)
第八條 第六條第二項(前條第二項において準用する場合を含む。)の規定による檢査の結果輸出品に附した印章、記号又は証票は、正当の理由がなくて、これを消し、除き、又は隠してはならない。
2 前項の規定に違反して印章、記号又は証票を消し、除き、又は隠した輸出品は、これを輸出し、又は輸出品として政府に讓り渡してはならない。
(國の機関による買取等)
第九條 第三條の規定により指定された輸出品が、第六條第二項の規定による檢査の結果、同條第一項の規定により輸出品に附した等級が、第三條の規定により定められた標準に適合していないことが決定されたときは、その輸出品に附した等級は、これを正確に訂正しなければならない。
2 前項の輸出品が、これを輸出品として買い受けた者から、同項の規定による等級の訂正を理由としてその受領を拒絶された場合において、その拒絶後九十日以内に(その輸出品が保存に耐えないものであるときは、直ちに)、新たに輸出のために賣り渡されないときは、主務大臣は、その輸出品を物價廳の定める價格で買い取るべき旨を、適当な國の機関に指示しなければならない。但し、その輸出品が、臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)に基いて、割当を受けた資材を使用して製造又は加工されたものでないときは、この限りでない。
3 第四條に掲げる輸出品が、第七條第二項において準用する第六條第二項の規定による檢査の結果、第四條の規定により定められた標準に達しないことが決定されたときも、前項と同じとする。
4 前二項の規定による指示のあつた輸出品(保存に耐えないものを除く。)は、その指示を受けた國の機関が買い取るまで、主務大臣が、これを管理する。但し、指示の日から三十日を経過したときは、この限りでない。
5 前項の場合において、その指示を受けた國の機関が、その輸出品を買い取らなかつたときは、主務大臣は、前項の規定による管理を解き、通常の取引径路による販賣を自由に行わせなければならない。
6 前四項の規定による処分に関する手続は、経済安定本部総裁の同意を得て、命令で、これを定める。
(聽聞会)
第十條 第三條若しくは第四條の規定により定められた標準若しくは條件、第六條第二項(第七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による檢査の決定又は前條第二項若しくは第三項の規定による買取の指示について、不服のある関係業者その他の利害関係人は、主務大臣に、聽聞会の開催を請求することができる。
2 主務大臣は、前項の請求があつたときは、聽聞会を開いて、不服の事由を審査し、第三條若しくは第四條の規定により定められた標準若しくは條件が第五條の規定に違反し、又は第六條第二項(第七條第二項において準用する場合を含む。)の規定による檢査の決定若しくは前條第二項若しくは第三項の規定による買取の指示が不当であると認めるときは、適当な処置をとらなければならない。
第十一條 この法律で聽聞会とは、この法律の適正且つ公平な施行を期するため、前條の規定による不服の申立を審査する目的をもつて行う手続をいう。
2 主務大臣は、聽聞会の請求があつたときは、必要と認める者の出頭を命じ、又はその保管する帳簿、書類その他の証拠物件の提出を命ずることができる。
3 聽聞会は、これを公開するものとし、正当な結論を得るために、公平且つ迅速に、これを行わなければならない。
4 聽聞会の開催を請求した者は、証言、書証その他の証拠を提出し、又は自己の利益に反して提出された証拠を審査し、若しくは証人を審問するため、充分な機会を與えられる。
5 聽聞会の開催を請求した者は、主務大臣に対し、自己のために必要な証人の出頭を命ずることを求めることができる。
6 聽聞会の当事者は、その選任する弁護士を代理人とすることができるものとし、且つ、聽聞会に対する準備のため必要な時日を與えられる。
7 主務大臣は、聽聞会における証言その他の事項を完全に記録しなければならない。
(罰則)
第十二條 第六條第一項、第七條第一項又は第八條第二項の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第十三條 第三條の規定により指定された輸出品及び第四條に掲げる輸出品には、命令の定めるところにより、内容の表示をしなければならない。
2 前項の規定に違反して、故意に内容の表示をせず、又は虚僞の内容表示をした者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第十四條 第八條第一項の規定に違反して、印章、記号又は証票を消し、除き、又は隠した者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第十五條 第四條に掲げる輸出品を生産し、又は加工する者が、臨時物資需給調整法に基いて割当を受けた資材を使用して、故意又は重大な過失により、同條の規定により定められた標準に達しない輸出品を生産し、又は加工した場合は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
第十六條 第十一條第二項の規定による主務大臣の命令に從わない者は、これを五千円以下の罰金に処する。
第十七條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、前五條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰するの外、法人又は人に対しても各本條の罰金刑を科する。
附 則
第十八條 この法律は、公布の日から起算して、九十日を経過した日から、これを施行する。
第十九條 輸出絹織物取締法(昭和二年法律第二十七号)、輸出水産物取締法(昭和九年法律第三十六号)、重要輸出品取締法(昭和十一年法律第二十六号)及び輸出毛織物取締法(昭和十五年法律第九十五号)は、この法律の施行の日から起算して、三十日を経過した日に、これを廃止する。
第二十條 前條に規定する各法律廃止の日以前に、輸出絹織物取締法第一條、輸出水産物取締法第一條第一項、重要輸出品取締法第二條又は輸出毛織物取締法第一條の規定による檢査に合格した輸出絹織物、輸出水産物、重要輸出品又は輸出毛織物については、命令で定める期間内は、第六條又は第七條の規定は、これを適用しない。
第二十一條 第十九條に規定する各法律廃止の日以前にした行爲に関する罰則の適用については、なお從前の例による。
第二十二條 本州、北海道、四國、九州及びこれらの附属の島(命令で定める地域を除く。)からこれらの地域以外の地域への輸出品の移動は、この法律の適用については、これを輸出とする。
大藏大臣 北村徳太郎
厚生大臣 竹田儀一
農林大臣 永江一夫
商工大臣 水谷長三郎
内閣総理大臣 芦田均
輸出品取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十二日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百五十三号
輸出品取締法
(法律の目的)
第一条 この法律は、輸出貿易の健全な発達を期するため、輸出品の声価の向上及び品質の改善を図ることを目的とする。
(輸出品の定義)
第二条 この法律において「輸出品」とは、輸出の申請のあつた物品をいう。
(輸出品の等級、標準及び条件)
第三条 主務大臣は、品質の識別のため必要があると認めるときは、輸出品の品目を指定して、その各々につき、等級及びその標準を定める。
第四条 主務大臣は、左に掲げる輸出品については、保健、衛生、安全又は純度に関する輸出の最低の標準及び包装条件を定める。
かん詰その他の加工食料品
医薬品
試薬
マツチ
双眼鏡、顕微鏡、測量機械その他の光学機器
電球
(標準及び条件の決定方法)
第五条 前二条の規定による標準及び条件は、命令で定める手続に従い、利害関係人の意見を参考とし、経済安定本部総裁の同意を得てこれを定め、その施行の期日の少くとも三十日前に、これを官報に公示しなければならない。
2 前項の標準及び条件は、適当な品種別にこれを定め、適正且つ公平でなければならず、同一産業において同様の条件の下にある生産業者の間又は産業部門の間に、差別を附するものであつてはならない。
(検査)
第六条 第三条の規定により指定された輸出品を輸出し、又は輸出品として政府に譲り渡そうとする者は、その輸出品に、同条の規定により定められた標準に適合する等級を附さなければならない。
2 主務大臣は、この法律を実施する責に任ずるものとし、この目的のため必要と認めるときは、前項の規定により輸出品に附された等級について、検査を行うことができる。
第七条 第四条に掲げる輸出品は、同条の規定により定められた標準及び条件に達したものでなければ、これを輸出し、又は輸出品として政府に譲り渡してはならない。
2 前条第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
(印章等)
第八条 第六条第二項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査の結果輸出品に附した印章、記号又は証票は、正当の理由がなくて、これを消し、除き、又は隠してはならない。
2 前項の規定に違反して印章、記号又は証票を消し、除き、又は隠した輸出品は、これを輸出し、又は輸出品として政府に譲り渡してはならない。
(国の機関による買取等)
第九条 第三条の規定により指定された輸出品が、第六条第二項の規定による検査の結果、同条第一項の規定により輸出品に附した等級が、第三条の規定により定められた標準に適合していないことが決定されたときは、その輸出品に附した等級は、これを正確に訂正しなければならない。
2 前項の輸出品が、これを輸出品として買い受けた者から、同項の規定による等級の訂正を理由としてその受領を拒絶された場合において、その拒絶後九十日以内に(その輸出品が保存に耐えないものであるときは、直ちに)、新たに輸出のために売り渡されないときは、主務大臣は、その輸出品を物価庁の定める価格で買い取るべき旨を、適当な国の機関に指示しなければならない。但し、その輸出品が、臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)に基いて、割当を受けた資材を使用して製造又は加工されたものでないときは、この限りでない。
3 第四条に掲げる輸出品が、第七条第二項において準用する第六条第二項の規定による検査の結果、第四条の規定により定められた標準に達しないことが決定されたときも、前項と同じとする。
4 前二項の規定による指示のあつた輸出品(保存に耐えないものを除く。)は、その指示を受けた国の機関が買い取るまで、主務大臣が、これを管理する。但し、指示の日から三十日を経過したときは、この限りでない。
5 前項の場合において、その指示を受けた国の機関が、その輸出品を買い取らなかつたときは、主務大臣は、前項の規定による管理を解き、通常の取引径路による販売を自由に行わせなければならない。
6 前四項の規定による処分に関する手続は、経済安定本部総裁の同意を得て、命令で、これを定める。
(聴聞会)
第十条 第三条若しくは第四条の規定により定められた標準若しくは条件、第六条第二項(第七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査の決定又は前条第二項若しくは第三項の規定による買取の指示について、不服のある関係業者その他の利害関係人は、主務大臣に、聴聞会の開催を請求することができる。
2 主務大臣は、前項の請求があつたときは、聴聞会を開いて、不服の事由を審査し、第三条若しくは第四条の規定により定められた標準若しくは条件が第五条の規定に違反し、又は第六条第二項(第七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査の決定若しくは前条第二項若しくは第三項の規定による買取の指示が不当であると認めるときは、適当な処置をとらなければならない。
第十一条 この法律で聴聞会とは、この法律の適正且つ公平な施行を期するため、前条の規定による不服の申立を審査する目的をもつて行う手続をいう。
2 主務大臣は、聴聞会の請求があつたときは、必要と認める者の出頭を命じ、又はその保管する帳簿、書類その他の証拠物件の提出を命ずることができる。
3 聴聞会は、これを公開するものとし、正当な結論を得るために、公平且つ迅速に、これを行わなければならない。
4 聴聞会の開催を請求した者は、証言、書証その他の証拠を提出し、又は自己の利益に反して提出された証拠を審査し、若しくは証人を審問するため、充分な機会を与えられる。
5 聴聞会の開催を請求した者は、主務大臣に対し、自己のために必要な証人の出頭を命ずることを求めることができる。
6 聴聞会の当事者は、その選任する弁護士を代理人とすることができるものとし、且つ、聴聞会に対する準備のため必要な時日を与えられる。
7 主務大臣は、聴聞会における証言その他の事項を完全に記録しなければならない。
(罰則)
第十二条 第六条第一項、第七条第一項又は第八条第二項の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第十三条 第三条の規定により指定された輸出品及び第四条に掲げる輸出品には、命令の定めるところにより、内容の表示をしなければならない。
2 前項の規定に違反して、故意に内容の表示をせず、又は虚偽の内容表示をした者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第十四条 第八条第一項の規定に違反して、印章、記号又は証票を消し、除き、又は隠した者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第十五条 第四条に掲げる輸出品を生産し、又は加工する者が、臨時物資需給調整法に基いて割当を受けた資材を使用して、故意又は重大な過失により、同条の規定により定められた標準に達しない輸出品を生産し、又は加工した場合は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
第十六条 第十一条第二項の規定による主務大臣の命令に従わない者は、これを五千円以下の罰金に処する。
第十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、前五条の違反行為をしたときは、行為者を罰するの外、法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
第十八条 この法律は、公布の日から起算して、九十日を経過した日から、これを施行する。
第十九条 輸出絹織物取締法(昭和二年法律第二十七号)、輸出水産物取締法(昭和九年法律第三十六号)、重要輸出品取締法(昭和十一年法律第二十六号)及び輸出毛織物取締法(昭和十五年法律第九十五号)は、この法律の施行の日から起算して、三十日を経過した日に、これを廃止する。
第二十条 前条に規定する各法律廃止の日以前に、輸出絹織物取締法第一条、輸出水産物取締法第一条第一項、重要輸出品取締法第二条又は輸出毛織物取締法第一条の規定による検査に合格した輸出絹織物、輸出水産物、重要輸出品又は輸出毛織物については、命令で定める期間内は、第六条又は第七条の規定は、これを適用しない。
第二十一条 第十九条に規定する各法律廃止の日以前にした行為に関する罰則の適用については、なお従前の例による。
第二十二条 本州、北海道、四国、九州及びこれらの附属の島(命令で定める地域を除く。)からこれらの地域以外の地域への輸出品の移動は、この法律の適用については、これを輸出とする。
大蔵大臣 北村徳太郎
厚生大臣 竹田儀一
農林大臣 永江一夫
商工大臣 水谷長三郎
内閣総理大臣 芦田均