(目的)
第一條 この法律は、国際的に供給が不足する物資等の需給を調整することにより、国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄与することを目的とする。
(需給調整)
第二條 主務大臣は、左に掲げる物資の需給を調整するため特に必要があるときは、経済安定本部総裁が定める方策に基き、その物資の割当若しくは配給に関し必要な命令をし、又はその使用、譲渡若しくは譲受若しくは引渡の制限若しくは禁止を命ずることができる。但し、その割当又は配給に関し必要な命令をすることができる物資は、別表に掲げるものに限るものとする。
一 国際的に供給が不足するため條約、協定その他の国際的取極により、割当、使用の制限又は禁止その他の需給の調整のためにする措置がなされている物資
二 国民経済の運行を確保するためその輸入が特に必要な物資であつて、国際的に供給が不足するためその輸出国において輸出の制限を行つているもの
三 国内において供給が特に不足する物資であつて、その需給の調整を行わないときは、国民経済の正常な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害するおそれがあるもの
2 主務大臣は、前項各号に掲げる物資の需給を調整するため特に必要がある場合において、同項の規定による命令又は処分をもつてしては、なお国民経済の正常な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害するおそれがあると認められるときは、経済安定本部総裁の同意を得て、その物資を所有する者に対し、譲渡の時期、価格、相手方その他必要な事項を指定して物資の譲渡を命ずることができる。
3 前項の規定により主務大臣が指定する価格は、時価を基準とする適正なものでなければならない。
4 政府は、政令で定めるところにより、第二項の規定による命令により生じた損失を補償する。
5 第二項の規定による命令をする場合における担保権の処理その他必要な事項は、政令で定める。
6 第一項の規定若しくは同項の規定に基く主務大臣の命令又は第二項の規定による処分に不服がある者は、経済安定本部総裁に対し、不服の申立をすることができる。
7 経済安定本部総裁は、前項の不服の申立があつたときは、その申立をした者に対し、相当な期間を置いて予告をした上、公開による聴聞をした後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
8 不服の申立、予告、聴聞及び決定の手続について必要な事項は、政令で定める。
(物資需給調整審議会)
第三條 経済安定本部に、物資需給調整審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第四條 審議会は、経済安定本部総裁の諮問に応じ、経済安定本部総裁が第二條第一項各号に掲げる物資の需給の調整に関し定める方策に関して審議し、その結果を経済安定本部総裁に報告する。
2 審議会は、特に必要があるときは、前項に規定する事項に関して、経済安定本部総裁に建議することができる。
第五條 審議会は、会長一人及び委員十五人以内で組織する。
3 委員は、学識経験がある者のうちから、経済安定本部総裁が任命する。
5 前各項に定めるものの外、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(報告及び検査)
第六條 主務大臣は、第二條の規定の適用に関して、左に掲げる事項につき、関係者から報告を取ることができる。この場合において、報告がなされず、又は報告が虚偽と認められるときは、主務大臣は、その職員に事務所、営業所、工場、事業場又は倉庫に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により、立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人に呈示しなければならない。
3 第一項の規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(権限の委任)
第七條 この法律又はこの法律に基く命令の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができる。
(罰則)
第八條 第二條第一項又は第二項の規定による命令に違反した者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第九條 第六條第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第十條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第八條第一項又は前條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。