輸出毛織物取締法
法令番号: 法律第九十五號
公布年月日: 昭和15年4月4日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル輸出毛織物取締法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年四月二日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
商工大臣 藤原銀次郞
法律第九十五號
輸出毛織物取締法
第一條 輸出毛織物ハ命令ノ定ムル所ニ依リ輸出毛織物檢査所ノ檢査ニ合格シタルモノニ非ザレバ販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ輸出スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二條 販賣ノ目的ヲ以テ輸出毛織物ノ輸出ヲ爲サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ輸出毛織物ガ前條ノ規定ニ從ヒテ輸出セラルルモノナルコトニ付行政官廳ノ檢閱ヲ受クベシ
第三條 主務大臣輸出毛織物ノ輸出ニ關シ取締上必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ保稅地域內ニ於テ又ハ店舗、倉庫、工場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ物品、帳簿其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該官吏前二條ノ規定ニ違反シテ輸出毛織物ノ輸出ヲ爲シ又ハ輸出ヲ爲サントシタル者アリト認ムルトキハ被疑者若ハ參考人ヲ尋問シ又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スベキ物件ヲ搜索シ若ハ之ガ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、尋問、搜索及差押ニ關シテハ間接國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第四條 輸出毛織物ノ檢査ニ關シ之ニ附シタル輸出毛織物檢査所ノ印章又ハ記號ハ正當ノ理由ナクシテ之ヲ抹消シ、除却シ又ハ隱蔽スルコトヲ得ズ
前項ノ印章又ハ記號ヲ抹消シ、除却シ又ハ隱蔽シタル輸出毛織物ハ之ヲ輸出スルコトヲ得ズ
第五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第一條、第二條又ハ前條第二項ノ規定ニ違反シテ輸出毛織物ノ輸出ヲ爲シ又ハ輸出ヲ爲サントシタル者
二 前條第一項ノ規定ニ違反シタル者
前項第一號ノ場合ニ於テハ犯人ノ所有シ又ハ所持スル輸出毛織物ヲ沒收スルコトヲ得若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵スルコトヲ得
第六條 正當ノ理由ナクシテ第三條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ臨檢、檢査、搜索若ハ差押ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第七條 輸出毛織物ニ關スル業ヲ爲ス者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第五條第一項第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第八條 第五條第一項第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 輸出ノ目的ヲ以テ爲ス輸出毛織物ノ移出ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ輸出毛織物ノ輸出ニ付關稅法第三十一條ノ免許ヲ受ケタル者ハ第一條及第二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ輸出毛織物ヲ輸出スルコトヲ得
前項ノ輸出毛織物ヲ除クノ外本法施行前ニ製織シタル輸出毛織物ハ本法施行ノ日ヨリ一月以內ニ輸出毛織物檢査所ノ認定ヲ受ケ本法施行ノ日ヨリ六月間第一條及第二條ノ規定ニ拘ラズ之ヲ輸出スルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル輸出毛織物取締法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年四月二日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
商工大臣 藤原銀次郎
法律第九十五号
輸出毛織物取締法
第一条 輸出毛織物ハ命令ノ定ムル所ニ依リ輸出毛織物検査所ノ検査ニ合格シタルモノニ非ザレバ販売ノ目的ヲ以テ之ヲ輸出スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二条 販売ノ目的ヲ以テ輸出毛織物ノ輸出ヲ為サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ輸出毛織物ガ前条ノ規定ニ従ヒテ輸出セラルルモノナルコトニ付行政官庁ノ検閲ヲ受クベシ
第三条 主務大臣輸出毛織物ノ輸出ニ関シ取締上必要アリト認ムルトキハ当該官吏ヲシテ保税地域内ニ於テ又ハ店舗、倉庫、工場其ノ他ノ場所ニ臨検シ物品、帳簿其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ当該官吏前二条ノ規定ニ違反シテ輸出毛織物ノ輸出ヲ為シ又ハ輸出ヲ為サントシタル者アリト認ムルトキハ被疑者若ハ参考人ヲ尋問シ又ハ犯罪ノ事実ヲ証明スベキ物件ヲ捜索シ若ハ之ガ差押ヲ為スコトヲ得
臨検、尋問、捜索及差押ニ関シテハ間接国税犯則者処分法ヲ準用ス
第四条 輸出毛織物ノ検査ニ関シ之ニ附シタル輸出毛織物検査所ノ印章又ハ記号ハ正当ノ理由ナクシテ之ヲ抹消シ、除却シ又ハ隠蔽スルコトヲ得ズ
前項ノ印章又ハ記号ヲ抹消シ、除却シ又ハ隠蔽シタル輸出毛織物ハ之ヲ輸出スルコトヲ得ズ
第五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第一条、第二条又ハ前条第二項ノ規定ニ違反シテ輸出毛織物ノ輸出ヲ為シ又ハ輸出ヲ為サントシタル者
二 前条第一項ノ規定ニ違反シタル者
前項第一号ノ場合ニ於テハ犯人ノ所有シ又ハ所持スル輸出毛織物ヲ没収スルコトヲ得若シ其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴スルコトヲ得
第六条 正当ノ理由ナクシテ第三条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ臨検、検査、捜索若ハ差押ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第七条 輸出毛織物ニ関スル業ヲ為ス者ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ第五条第一項第一号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第八条 第五条第一項第一号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九条 輸出ノ目的ヲ以テ為ス輸出毛織物ノ移出ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ輸出毛織物ノ輸出ニ付関税法第三十一条ノ免許ヲ受ケタル者ハ第一条及第二条ノ規定ニ拘ラズ其ノ輸出毛織物ヲ輸出スルコトヲ得
前項ノ輸出毛織物ヲ除クノ外本法施行前ニ製織シタル輸出毛織物ハ本法施行ノ日ヨリ一月以内ニ輸出毛織物検査所ノ認定ヲ受ケ本法施行ノ日ヨリ六月間第一条及第二条ノ規定ニ拘ラズ之ヲ輸出スルコトヲ得