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本データベースについて
関東州裁判事務取扱令
法令番号: 勅令第二百十三號
公布年月日: 明治41年9月24日
法令の形式: 勅令
沿革
リンク
改正:
明治42年4月28日 勅令第115号
改正:
明治43年9月28日 勅令第350号
改正:
大正8年6月5日 勅令第273号
改正:
大正10年6月3日 勅令第247号
改正:
大正11年3月30日 勅令第72号
改正:
大正11年3月31日 勅令第178号
改正:
大正12年12月27日 勅令第524号
改正:
大正13年6月30日 勅令第153号
改正:
大正13年12月25日 勅令第466号
改正:
大正14年3月5日 勅令第20号
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大正15年9月6日 勅令第300号
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昭和4年9月18日 勅令第287号
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昭和5年9月8日 勅令第174号
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昭和8年5月10日 勅令第97号
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昭和8年12月28日 勅令第334号
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昭和9年12月26日 勅令第395号
改正:
昭和12年10月6日 勅令第579号
改正:
昭和12年12月1日 勅令第685号
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昭和13年4月27日 勅令第293号
改正:
昭和13年7月13日 勅令第505号
改正:
昭和14年4月26日 勅令第250号
改正:
昭和14年12月27日 勅令第870号
改正:
昭和20年10月13日 勅令第568号
実効性喪失:
国立国会図書館『官報』
国立国会図書館『法令全書』
国立公文書館『御署名原本』
日本法令索引
朕關東州裁判事務取扱令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年九月二十二日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
外務大臣 伯爵 小村壽太郞
勅令第二百十三號
關東州裁判事務取扱令
第一章 總則
第一條
民事刑事及非訟事件ニ關スル事項ハ左ノ法令ニ依ル
一
法例
一
民法
一
明治三十五年法律第五十號
一
明治三十七年法律第十七號
一
明治三十二年法律第四十號
一
明治三十三年法律第五十一號
一
供託法
一
明治三十二年法律第五十號
一
明治三十三年法律第十三號
一
明治三十三年勅令第四百九號
一
商法
一
明治二十三年法律第三十二號商法
一
明治三十三年法律第十七號
一
明治三十二年勅令第二百七十一號
一
保險業法
一
刑法
一
刑法施行法
一
爆發物取締罰則
一
通貨及證券模造取締法
一
軍機保護法
一
海底電信線保護萬國聯合條約罰則
一
明治二十二年法律第三十四號
一
明治二十三年法律第百一號
一
明治三十八年法律第五十一號
一
明治三十八年法律第六十六號
一
民事訴訟法
一
家資分散法
一
人事訴訟手續法
一
競賣法
一
刑事訴訟法
一
普通治罪法陸軍治罪法海軍治罪法交涉ノ件處分法
一
外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法
一
逃亡犯罪人引渡條例
一
外國艦船乘組員ノ逮捕留置ニ關スル援助法
一
不動產登記法
一
明治三十九年法律第五十五號
一
非訟事件手續法
第二條
支那人ノ外ニ關係者ナキ民事ニ關スル事項ハ當分ノ內從前ノ慣例ニ依ル但シ人事訴訟手續法ヲ除クノ外手續ニ關スルモノハ此ノ限ニ在ラス
第三條
土地ニ關スル權利ニ付テハ當分ノ內從前ノ慣例ニ依ル
第四條
土地ニ關スル權利ニ付テハ當分ノ內登記ヲ爲サス
第五條
刑法第一編第四章ハ當分ノ內支那人ニ之ヲ適用セス
第六條
第一條ニ揭ケタル法令中主務大臣ノ職務ハ民事訴訟法第百五十二條ノ場合ヲ除クノ外關東都督、市町村長ノ職務ハ關東都督府民政署長又ハ民政支署長之ヲ行フ
第七條
外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法中區裁判所ノ職務ハ地方法院之ヲ行フ
第八條
競賣法中區裁判所ノ職務ハ民政署長之ヲ行フ
第九條
證書ノ確定日附ニ付テハ民法施行法第四條及第五條ノ規定ニ依ル
第十條
本令ニ定ムルモノノ外必要ナル規定ハ關東都督之ヲ定ム
第二章 訴訟手續
第一節 通則
第十一條
法院ニ繫屬シタル事件ハ法院ノ事物ノ管轄ニ屬セサル場合ト雖管轄事件トシテ之ヲ裁判スヘシ
第十二條
開廷ニ關シテハ裁判所構成法第百三條乃至第百十三條ノ規定ニ依ル
第十三條
忌避及囘避ニ關スル規定ハ之ヲ適用セス但シ民事訴訟法第三十二條又ハ刑事訴訟法第四十條ノ規定ニ依リ除斥セラルヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十四條
法院ハ民政署長ニ訴訟書類ノ送達、證據調及令狀ノ執行ヲ囑託スルコトヲ得
民政署長ハ互ニ訴訟書類ノ送達、證據調、令狀及刑ノ執行竝民事裁判ノ執行ヲ囑託スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於ケル費用ハ囑託ヲ受ケタル民政署ノ支辨トス
第十五條
法院又ハ裁判長カ職權ヲ以テ辯護士ヲ訴訟承繼人、訴訟代理人又ハ辯護人ニ選定シ又ハ選任スヘキ場合ニ於テハ辯護士ニ非サル者ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第十六條
檢事及書記ノ職務ハ民政署又ハ民政支署ニ於テハ其ノ所屬官吏ヲシテ之ヲ行ハシム
第二節 民事訴訟手續
第十七條
民事訴訟手續ハ高等法院ニ於テハ民事訴訟法中控訴裁判所ニ關スル規定ニ依リ地方法院ニ於テハ同法中地方裁判所ニ關スル規定ニ依リ民政署ニ於テハ同法第三百八十一條ノ規定ヲ除クノ外區裁判所ニ關スル規定ニ依ル但シ裁判所構成法中區裁判所ノ管轄ニ屬セシメタル事件ヲ地方法院ニ於テ取扱フ場合ニハ民事訴訟法中區裁判所ニ關スル規定ニ依ル
第十八條
辯護士ノアルトキト雖當事者ハ法院又ハ民政署長ノ許可ヲ得テ訴訟能力者ヲ以テ代理人ト爲スコトヲ得
前項ノ許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得
第十九條
費用額確定ノ申請アリタル場合ニ於テ未タ判決ノ送達ナク且判決正本ノ作成ヲ遲延セシムル虞ナキトキハ費用額確定ノ決定ヲ判決及其ノ正本ニ附記スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ費用額ノ決定ニ付正本ノ作成及送達ノ手續ヲ爲サス申請人及相手方ニ確定シタル額ヲ通知シ且相手方ニ費用計算書ヲ送付スヘシ
費用額確定ノ申請ハ其ノ一部ヲ採用セサルトキハ前項ノ例ニ依ルコトヲ得ス
當事者カ判決ノ言渡前ニ費用計算書ヲ差出シタルトキハ費用額確定ノ申請ヲ爲スコトヲ要セス此ノ場合ニ於テハ職權ヲ以テ相手方ニ付與スヘキ計算書ノ謄本ヲ作成スヘシ
第二十條
送達ハ之ヲ受クヘキ人ニ假住所ニ於テ出會ハサルトキハ假住所ノ主人又ハ成長シタル同居ノ親族若ハ雇人ニ之ヲ爲スコトヲ得
第二十一條
書記ノ職務ヲ行フ者其ノ所屬廳內ニ於テ送達ヲ受クヘキ者ニ書類ヲ交付シ受取證ヲ差出サシメタルトキハ送達アリタルト同一ノ效力ヲ生ス
第二十二條
期日ノ變更又ハ期間ノ伸長ハ當事者合意ノ場合ニ於テモ顯著ナル理由アルニ非サレハ之ヲ許サス
第二十三條
訴訟關係人カ期日ニ出頭スヘキ旨ヲ記載シタル書面ヲ差出シタルトキハ期日呼出アリタルト同一ノ效力ヲ生ス
第二十四條
合意上ノ訴訟手續ノ休止ハ申立ニ因リ顯著ナル理由アルトキニ限リ之ヲ許ス其ノ申立ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ申立ニ付テハ民事訴訟法第百七十一條第二項及第四項ノ規定ニ依ル
合意上ノ休止ノ場合ニ於テ三月內ニ口頭辯論ノ期日指定ノ申立ヲ爲ササルトキハ本訴及反訴ヲ取下ケタルモノト看做ス再度以上ノ休止ニシテ前後ヲ通算シテ三月ヲ超ユルトキ亦同シ
第二十五條
天災其ノ他避クヘカラサル事變ニ因ル場合ヲ除クノ外口頭辯論期日ニ當事者雙方出頭セサルトキハ本訴及反訴ヲ取下ケタルモノト看做ス
第二十六條
民事訴訟法第百九十四條第一項ノ期間ハ之ヲ十四日トス
第二十七條
口頭辯論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要セス
第二十八條
民政署長ハ口頭辯論ノ前後ヲ問ハス事件ノ關係ヲ明瞭ナラシムル爲訴狀又ハ準備書面ニ基キ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第二十九條
訴ハ何時ニテモ之ヲ取下クルコトヲ得但シ反訴アリタルトキハ被吿ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第三十條
訴ノ取下アリタルトキハ反訴ハ其ノ效力ヲ失フ但シ被吿カ反訴ヲ繼續セシムル意思ヲ表示シテ取下ニ同意シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十一條
反訴ハ其ノ目的カ本訴ノ目的又ハ防禦ノ方法ト法律上牽連スルニ非サレハ之ヲ提起スルコトヲ得ス
第三十二條
當事者カ重大ナル過失ニ因リ又ハ訴訟ノ完結ヲ遲延セシムル意思ヲ以テ時機ニ後レテ提出シタル攻擊又ハ防禦ノ方法カ訴訟ノ完結ヲ遲延セシムヘキモノナルトキハ法院ハ申立ニ因リ又ハ職權ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得
前項ノ規定ハ證據方法及證據抗辯ノ提出ニ付之ヲ準用ス
第三十三條
民政署長ハ口頭辯論ニ於テ爲シタル當事者ノ申立及陳述ニ付必要ト認メタルモノニ限リ調書ニ記載シテ之ヲ明確ニスヘシ
第三十四條
民事訴訟法第二百二十一條ノ場合ニ於テ和解調ヒタルトキハ其ノ和解ニ付テハ民事爭訟調停ニ關スル規定ヲ準用ス
第三十五條
民事訴訟法第二百五十五條ノ故障申立ノ期間ハ七日トス
闕席判決ヲ爲ストキハ其ノ判決ニ對シ故障ヲ爲シ得ヘキコト及其ノ期間ヲ主文ニ附記スヘシ
第三十六條
判決ニ於テ作爲ノ履行ヲ命スル場合ニ於テハ原吿ノ申立ニ因リ一定ノ期間內ニ履行ヲ爲ササルトキハ賠償金ヲ支拂フヘキ旨ヲ言渡スコトヲ得
第三十七條
判決ハ職權ヲ以テ之ヲ送達ス
判決ノ送達ハ其ノ正本ヲ交付シテ之ヲ爲ス
第三十八條
再度ノ闕席判決ニ對シテハ故障ヲ申立ツルコトヲ得ス
第三十九條
關東州裁判令第三條第二號ニ揭ケタル民事裁判ノ手續ニ關シテハ民事訴訟法第二百六十六條乃至第二百七十二條ノ規定ニ依ル
前項ノ場合ニ於テ民政署長必要ト認ムルトキハ所屬官吏ヲシテ準備手續ヲ爲サシムルコトヲ得
第四十條
民政署長ハ所屬官吏ヲシテ證據調ヲ爲サシムルコトヲ得
第四十一條
前二條ニ依リ準備手續又ハ證據調ヲ命セラレタル者ハ受命判事ト同一ノ權ヲ有ス但シ罰金及費用賠償ノ言渡ヲ爲シ又ハ宣誓ヲ爲サシムルコトヲ得ス
前二條ノ場合ニ於テハ書記ノ立會ヲ要セス
第四十二條
證據調ノ申請及其ノ決定ハ口頭辯論前ト雖之ヲ爲スコトヲ得
第四十三條
證據決定中一部ノ證據調ニ依リ結果ヲ得タルトキハ他ノ證據調ヲ省略スル決定ヲ爲スコトヲ得
第四十四條
受命判官又ハ受託判官ハ檢證ノ場合ニ於テ職權ヲ以テ又ハ申立ニ因リ法院ノ決定ヲ俟タス檢證事項ニ關シ證人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
第四十五條
證人ノ呼出狀ニハ訊問事項ヲ表示スルコトヲ要セス
第四十六條
證人及鑑定人ハ之ヲ忌避スルコトヲ得ス
第四十七條
證人鑑定人又ハ通事僞證ノ罪ヲ犯シタルモノト思料シタルトキハ法院又ハ民政署長ハ勾引狀ヲ發シ豫審判官ニ送致シ又ハ直ニ裁判ヲ爲スコトヲ得
第四十八條
民政署長囑託ニ因リ證據調ヲ爲ス場合ニ於テハ受託判事ト同一ノ權ヲ有ス
第四十九條
證據保全ノ申立ハ訴ノ提起前ニ於テハ訊問ヲ受クヘキ者ノ居所又ハ檢證スヘキ物ノ所在地ヲ管轄スル民政署長ニ之ヲ爲スコトヲ得
第五十條
支拂命令ハ職權ヲ以テ之ヲ債務者ニ送達スヘシ
第五十一條
督促手續ニ關スル規定ハ當事者ノ雙方又ハ一方カ支那人ナル場合ニハ當分ノ內之ヲ適用セス
第五十二條
控訴期間ハ十四日トス
第五十三條
判決言渡ノ際當事者雙方在廷シタル場合ニ限リ控訴期間ハ其ノ言渡ノ日ヨリ之ヲ起算ス
前項ノ場合ニ於テ控訴期間ハ判決言渡ノ際之ヲ當事者ニ吿知スヘシ
本條ノ場合ニ於テハ判決ハ申立ニ因リ之ヲ送達ス
第五十四條
判決言渡ノ際當事者雙方在廷シタル場合ニ於テ其ノ言渡後當事者雙方カ控訴ノ抛棄ヲ爲シタルトキハ控訴期間內ト雖其ノ判決確定ス此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ調書ニ記載スヘシ
第五十五條
民事訴訟法第四百二十二條ノ場合ニ於テ當事者合意ノ申立アルトキハ高等法院ハ直ニ本案ノ辯論及裁判ヲ爲スコトヲ得
第五十六條
控訴ノ提起ハ訴狀ヲ原判決ヲ爲シタル法院又ハ民政署長ニ差出シテ之ヲ爲ス
控訴ノ提起アリタルトキハ書記ノ職務ヲ行フ者ハ七日內ニ訴訟記錄ト共ニ控訴狀ヲ高等法院ニ送付スヘシ
第五十七條
執行裁判所ノ職務ハ民政署長之ヲ行フ
第五十八條
民事訴訟法第五百十四條第二項ノ訴ハ地方法院之ヲ管轄ス
第五十九條
民事訴訟法第五百四十九條、第五百六十一條第三項及第六百三十五條ノ訴ハ民政署長ノ管轄ニ屬セサルモノナルトキハ地方法院之ヲ管轄ス
第六十條
第十九條ノ規定ニ從ヒ判決ニ附記シタル訴訟費用確定決定ニ依ル强制執行ハ執行力アル判決正本ニ基キ之ヲ爲ス
第六十一條
假差押ノ申請ニ關スル裁判ハ本案ノ管轄法院若ハ民政署長又ハ假差押ノ目的物ノ所在地ヲ管轄スル民政署長ノ管轄トス
第六十二條
假差押ノ申請及其ノ取消ノ申立ニ付テノ裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ爲ス此ノ裁判ハ口頭辯論ヲ經スシテ之ヲ爲スコトヲ得
假差押決定ニ對シテハ抗吿ノミヲ爲スコトヲ得其ノ取消決定ニ對シテハ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ規定ハ假處分ニ之ヲ準用ス
第六十三條
民事訴訟法第七百六十一條ノ場合ニ於テ區裁判所ノ管轄ニ屬スルモノハ民政署長之ヲ管轄ス
第六十四條
公示催吿手續ハ民政署長之ヲ管轄ス
第六十五條
人事訴訟手續法中區裁判所又ハ地方裁判所ノ管轄ニ屬スル事項ハ地方法院之ヲ管轄ス但シ同法第五十五條第一項及第六十六條第一項ノ訴ハ高等法院之ヲ管轄ス
第六十六條
人事訴訟ニ關シテハ口頭辯論ノ前後ヲ問ハス民政署長ハ事件ノ關係ヲ明瞭ナラシムル爲必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第三節 刑事訴訟手續
第六十七條
刑事訴訟手續ハ高等法院ニ於テハ刑事訴訟法中控訴裁判所ニ關スル規定ニ依リ地方法院ニ於テハ同法中地方裁判所ニ關スル規定ニ依リ民政署ニ於テハ同法中區裁判所ニ關スル規定ニ依ル但シ裁判所構成法中區裁判所ノ管轄ニ屬セシメタル事件ヲ地方法院ニ於テ取扱フ場合ニハ刑事訴訟法中區裁判所ニ關スル規定ニ依ル
第六十八條
關東州裁判令第三條第五號ニ依リ民政署長ノ管轄ニ屬スヘキ刑事事件ニシテ地方法院ノ管轄ニ屬スヘキ事件ト關聯スルモノハ地方法院之ヲ管轄ス
第六十九條
關東州裁判令第三條第五號ニ揭ケタル罪ニ關シテハ裁判所構成法第十六條ノ一第二項及第十六條ノ二ノ規定ニ依ル
第七十條
官吏、公吏ノ作ルヘキ書類ニシテ刑事訴訟法第二十條、第二十一條其ノ他同法規定ノ形式ニ瑕疵アルモノニ付テハ當該吏員ヲシテ之ヲ補正セシメ有效ナラシムルコトヲ得
第七十一條
民政署長及憲兵隊長ハ其ノ管轄區域內ニ於テ司法警察官トシテ犯罪搜索ニ付地方法院檢察官ト同一ノ權ヲ有ス
左ニ揭クル者ハ地方法院檢察官ノ輔佐トシテ其ノ指揮ヲ受ケ司法警察官トシテ犯罪ヲ搜索スヘシ
一
警視、警部
二
憲兵將校、準士官、下士
三
民政支署長
第七十二條
檢事ノ職務ヲ行フ者ハ現行犯ニ非スト雖搜索ノ結果被吿事件急速ノ處分ヲ要スルモノト思料シタルトキハ公訴ノ提起前ニ限リ勾引狀ヲ發シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ發セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ禁錮以上ノ刑ニ該ルモノト思料シタルトキハ檢事ノ職務ヲ行フ者ハ勾留狀ヲ發シ檢證、搜索、差押ヲ爲シ證人ヲ訊問シ若ハ鑑定ヲ命シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得但シ宣誓ヲ爲サシメ又ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ爲スコトヲ得ス
前項ノ規定ニ依リ被吿人ヲ勾留シタル後二十日以內ニ起訴セサルトキハ之ヲ釋放スヘシ
第七十三條
檢察官ハ被吿事件ノ輕重難易ニ從ヒ豫審ヲ求メ又ハ直ニ訴ヲ爲スヘシ
第七十四條
民政署ニ於テハ豫審ヲ須井ス
第七十五條
刑事訴訟法第七十八條第一項及第百四條第二項中市町村長立會ニ關スル規定ハ之ヲ適用セス但シ此ノ場合ニ於テハ立會人二名アルヲ要ス
第七十六條
豫審判官ハ被吿人、證人ノ訊問、鑑定、檢證、搜索、差押ノ處分ヲ民政署長ニ囑託スルコトヲ得
前項ニ依リ囑託ヲ受ケタル民政署長ハ受託判事ト同一ノ權ヲ有ス
第七十七條
檢事ノ職務ヲ行フ者又ハ司法警察官ハ刑事訴訟法第百四十四條、第百四十六條及第百四十七條ノ場合ニ於テ犯所ニ臨檢スルノ必要ナシト認メタルトキハ臨檢ヲ爲サスシテ豫審判官ニ屬スル處分ヲ爲スコトヲ得
第七十八條
法院ハ法院所在地外ニ於テ證據蒐集ヲ爲スヘキ場合ニ於テ司法警察ニ檢證、搜索又ハ差押ノ處分ヲ爲サシメ證人ノ訊問又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ司法警察官ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ爲シ又ハ宣誓ヲ爲サシムルコトヲ得ス
第七十九條
豫審判官ハ被吿事件其ノ法院ノ事物ノ管轄ニ屬セサル場合ト雖法院ノ公判ニ付スルノ言渡ヲ爲スヘシ但シ被吿人勾留ヲ受ケタル場合ニ於テ罰金又ハ拘留若ハ科料ノ刑ニ該ルヘキ罪ナリト思料シタルトキハ釋放ノ言渡ヲ爲スヘシ
第八十條
民政署長ハ被吿人ノ呼出、勾引及勾留竝檢證、搜索及差押ニ關シテハ豫審判事ト同一ノ權ヲ有ス
第八十一條
民政署長ハ檢證、搜索又ハ差押ノ處分ヲ司法警察官ニ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ處分ヲ命セラレタル者臨檢搜索ノ場所ニ於テ必要アリト認ムルトキハ證人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ司法警察官ハ前條ノ規定ニ依リ民政署長ニ屬スル職權ヲ行フ但シ書記ノ立會ヲ要セス又宣誓ヲ爲サシメ又ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ爲スコトヲ得ス
第八十二條
民政署長勾留狀ヲ發シタル場合ニ於テハ被吿人ハ之ヲ民政署ニ拘置スルコトヲ得
第八十三條
刑事訴訟法第二百十五條ノ規定ハ民政署長ノ裁判ニ之ヲ適用セス
第八十四條
法院又ハ民政署長ハ公判開廷前ト雖檢證、搜索、差押ヲ爲シ證人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ檢事ノ職務ヲ行フ者其ノ他訴訟關係人ノ立會ヲ要セス
法院ハ公判開廷ノ前後ヲ問ハス前項ノ處分ヲ民政署長ニ囑託スルコトヲ得
第八十五條
受命判官又ハ受託民政署長ハ臨檢ヲ爲シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ法院ノ決定ヲ俟タス搜索、差押ヲ爲シ被吿人、證人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
第八十六條
被吿人、證人又ハ鑑定人ヨリ期日ニ出頭スヘキ受書ヲ差出サシメ又ハ口頭ヲ以テ次囘ノ出頭ヲ命シタルトキハ召喚狀又ハ呼出狀ヲ送達シタルト同一ノ效力ヲ生ス但シ口頭ヲ以テ出頭ヲ命シタル場合ニ於テハ其ノ旨ヲ調書又ハ公判始末書ニ記載スヘシ
第八十七條
刑事訴訟法第二百三十七條及第二百六十四條第三項ノ規定ハ之ヲ適用セス但シ法院ハ被吿人又ハ被吿事件ノ模樣ニ因リ職權ヲ以テ辯護人ヲ附スルコトヲ得
第八十八條
刑事訴訟法第二百四十一條ノ規定ハ之ヲ適用セス
第八十九條
民政署ニ於テハ證據ト爲ス書類ハ當事者異議ナキ場合ニ限リ其ノ要旨ヲ吿ケテ朗讀ニ代フルコトヲ得
第九十條
法院ハ豫審ヲ經サル事件ニシテ之ヲ必要トスルトキハ豫審判官ニ送付スルノ決定ヲ爲スコトヲ得
第九十一條
辯論終結ノ後ハ被吿人出廷セスト雖對席判決トシテ言渡スヘシ
第九十二條
罰金以下ノ刑ニ該ルヘキ被吿人呼出狀ヲ受取リ期日受取書ヲ差出シ又ハ口頭ニテ期日出頭ヲ命セラレタルモ本人又ハ代人出頭セサル爲闕席判決ヲ受ケタルトキハ故障ヲ申立ルコトヲ得ス
第九十三條
前二條ノ場合ニ於テハ判決書ニ控訴期間ヲ記載シ職權ヲ以テ其ノ正本ヲ送達スヘシ
控訴期間ハ判決正本ノ送達アリタル日ヨリ之ヲ起算ス
控訴期間ノ記載ナキトキハ更ニ其ノ通知アル迄控訴期間ノ經過ヲ停止ス
第九十四條
法院ニ於テ一年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二百圓以下ノ罰金ヲ言渡シタル判決又ハ民政署長ノ言渡シタル判決ニ付テハ證據ニ關スル理由ノ明示ヲ省略スルコトヲ得
第九十五條
拘留、科料又ハ一月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二十圓以下ノ罰金ノ刑ニ處スヘキ事件ニ於テ民政署長ハ被吿人ヲ呼出スノ必要ナシト認メタルトキハ直ニ其ノ判決ノ正本ヲ被吿人ニ送達スルコトヲ得
第九十六條
前條ノ場合ニ於テ被吿人ハ判決ノ送達後三日ノ期間內ニ口頭又ハ書面ヲ以テ故障ヲ申立ツルコトヲ得
故障ノ申立アリタルトキハ民政署長ハ直ニ又ハ期日ヲ定メテ公判ヲ開始スヘシ
公判開始ノ期日ニ被吿人又ハ其ノ代人出頭セサルトキハ故障ハ其ノ效力ヲ失フ
第九十七條
拘留、科料又ハ一月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二十圓以下ノ罰金ノ刑ニ處スヘキ犯罪ニ付テハ公判始末書ヲ省略スルコトヲ得
第九十八條
民政署長ノ判決ニ對スル控訴ノ期間ハ三日トス
前項ノ期間ハ判決言渡アリタル日又ハ判決正本ノ送達アリタル日ヨリ之ヲ起算ス
第九十九條
控訴提起權ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得
第百條
控訴ハ其ノ裁判アル迄何時ニテモ之ヲ取下クルコトヲ得
第百一條
控訴提起權ノ抛棄ハ原判決ヲ爲シタル法院又ハ民政署長ニ之ヲ爲スヘシ
控訴ノ取下ハ控訴法院ニ之ヲ爲スヘシ
第百二條
控訴提起權ノ抛棄及控訴ノ取下ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スヘシ但シ公判廷ニ於テハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ申立ヲ調書ニ記載スヘシ
第百三條
控訴提起權ヲ抛棄シ又ハ控訴ヲ取下ケタルトキハ控訴ノ提起期間內ト雖裁判確定ス
第百四條
辯護人ハ被吿人ノ同意ヲ得スシテ控訴ヲ爲スコトヲ得ス
第百五條
刑事訴訟法第二百六十九條ノ場合ヲ除クノ外訴訟手續法律ニ違ヒタルコトアリト雖判決ニ影響ヲ及ホササルトキハ之ヲ以テ控訴ノ理由ト爲スコトヲ得ス
第百六條
控訴提起權喪失後ニ爲シタル控訴申立ハ決定ヲ以テ之ヲ棄却スヘシ此ノ決定ニ對シテハ抗吿ヲ爲スコトヲ得
第百七條
再審ノ訴及非常上吿ニ關シテハ高等法院ヲ以テ上吿裁判所トス
高等法院ハ再審ノ訴ニシテ其ノ原由アルコトヲ認メタルトキハ原判決ヲ破毀シ直ニ其ノ事件ノ公訴及私訴ニ付判決ヲ爲スコトヲ得
第百八條
差押物件ノ還付ヲ受クヘキ者ノ所在不明ノ爲又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ物件ヲ還付スルコト能ハサル場合ニ於テハ檢事ノ職務ヲ行フ者ハ其ノ旨ヲ公示スヘシ公示シタル日ヨリ六月內ニ還付ノ請求ナキトキハ其ノ物件ハ國庫ニ歸屬ス
前項ノ期間內ト雖價値ナキ物件ハ之ヲ廢棄シ保管ニ不便ナル物件ハ之ヲ公賣シテ其ノ代金ヲ保管スルコトヲ得
第百九條
檢事ノ職務ヲ行フ者ハ私訴ノ審判ニ立會ハサルコトヲ得
第三章 民事爭訟調停
第百十條
民事爭訟調停ノ申請ハ被申請人ノ居住地ヲ管轄スル民政署ニ書面ヲ以テ之ヲ爲スヘシ但シ不動產ノ爭訟ニ付テハ其ノ所在地ヲ管轄スル民政署ニ申請スヘシ
第百十一條
民政署長ハ前條ノ申請アリタルトキハ期日ヲ定メ當事者雙方ヲ呼出スヘシ
前項ノ場合ニ於テ被申請人他ノ民政署管內ニ移住シタルトキハ事件ヲ其ノ管轄民政署ニ移送スルコトヲ得
第百十二條
調停ニハ代理人ヲ用ウルコトヲ得ス但シ民政署長ノ許可ヲ受ケ親族又ハ雇人ヲ以テ代理セシムルハ此ノ限ニ在ラス
第百十三條
調停成立シタルトキハ調書ヲ以テ左ノ事項ヲ明確ニスヘシ
一
當事者及代理人ノ氏名、身分、職業、住所
二
申請人請求ノ要旨
三
被申請人答辯ノ要旨
四
調停ノ成立事項及履行ノ期日
第百十四條
調停調書ノ原本ニハ年月日ヲ記載シ當事者ヲシテ署名捺印セシメ民政署長署名捺印シ且署印ヲ押捺スヘシ
第百十五條
當事者ハ調停調書ノ謄本ノ下付ヲ請求スルコトヲ得
第百十六條
調停ノ成立シタル爭訟ト同一事件ニ付テハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス
第百十七條
調停ノ申請人指定ノ期日ニ正當ノ理由ナクシテ出頭セサルトキハ之ヲ取下ケタルモノト看做ス
被申請人期日ニ出頭セサルトキハ更ニ期日ヲ定メテ之ヲ呼出スヘシ再度ノ呼出期日ニ仍出頭セサル場合ト雖調停ノ成立スル見込アルトキハ民政署長ハ更ニ之ヲ呼出スコトヲ得
第百十八條
調停ノ申請ハ時效ヲ中斷ス
調停ノ成立セサルトキハ一月內ニ訴ヲ提起スルニ非サレハ時效中斷ノ效力ヲ生セス
第百十九條
調停調書ハ所有權以外ノ權利ノ登記ニ關シテハ不動產登記法第百二十八條、第百三十條及第百三十二條ニ定メタル登記ヲ命スル裁判ト看做ス
第百二十條
調停ノ執行ニ關シテハ民事訴訟法第五百五十九條第四號ニ揭ケタル債務名義ニ因ル强制執行ニ關スル規定ヲ準用ス
第百二十一條
調停ノ執行ヲ爲ス場合ニ於テハ調停調書ノ送達ヲ爲スコトヲ要セス
債務者ノ一般ノ承繼人ニ對シ執行ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ執行前調停調書ノ謄本ヲ送達スルコトヲ要ス
第百二十二條
民政署長ハ調停ノ成立事項ニ關スル犯罪行爲ニ付公訴ノ提起アリタルトキハ其ノ事件ノ完結迄執行處分ヲ停止スヘシ
第百二十三條
書類ノ送達ニ付テハ本令中訴訟書類ノ送達ニ關スル規定ヲ準用ス
第百二十四條
調停ニ關スル費用ハ當事者各自ノ負擔トス但シ書類ノ送達及執行ノ費用ハ債務者ノ負擔トス
前項但書ノ費用ハ債權ノ執行ト同時ニ之ヲ取立ツヘシ
第百二十五條
調停ノ執行ニ關シテハ民政署長互ニ共助ヲ爲スヘシ
第四章 非訟事件
第百二十六條
非訟事件ハ民政署長之ヲ取扱フ但シ不動產登記、法人及夫婦財產契約登記竝商業登記ハ所屬官吏ヲシテ之ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第百二十七條
非訟事件手續法第百二十六條及第二百六條ノ規定ニ依リ地方裁判所ノ管轄ニ屬スルモノハ地方法院之ヲ管轄ス
第百二十八條
破產事件ハ地方法院之ヲ管轄ス
第五章 公證
第百二十九條
民事ニ關スル公正證書ノ作成ハ當事者ノ申請ニ因リ當分ノ內民政署長之ヲ取扱フ
第百三十條
本章ニ依リ作成シタル公正證書ハ完全ノ證據ニシテ且民事訴訟法第五百五十九條第五號但書ノ作成要件ヲ具備シタルモノハ同號債務名義ト同一ノ規定ニ從ヒ强制執行ヲ爲スコトヲ得但シ僞造ノ公訴提起アリタルトキハ其ノ執行ヲ停止スヘシ民事訴訟ニ關シ僞造ノ申立アリタルトキハ其ノ執行ヲ停止スルコトヲ得
民事訴訟ニ關シ僞造ノ申立アリタル場合ニ於テハ民事訴訟法第五百條ノ規定ニ依ル
第百三十一條
公正證書ノ作成ニ關シテハ公證人法第四章ニ依ル但シ同章中地方裁判所長ノ職務ハ高等法院長之ヲ行ヒ市區町村長ノ職務ハ民政署長又ハ民政支署長之ヲ行フ
第百三十二條
公證官吏ノ職務執行ニ關シ不服アル者ハ高等法院ニ抗吿スルコトヲ得
前項ノ抗吿アリタルトキハ公證官吏ハ其ノ事件ノ處分ヲ停止スヘシ
抗吿ニ關シテハ民事訴訟法ニ依ル
第百三十三條
第百三十條ニ依リ强制執行ヲ爲ス場合ニ於テハ公正證書ノ謄本ヲ送達スルコトヲ要セス
債務者ノ一般ノ承繼人ニ對シ强制執行ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ執行前公正證書ノ謄本ヲ送達スルコトヲ要ス
第百三十四條
公證官吏其ノ職務執行ニ付申請人其ノ他ノ者ニ損害ヲ加ヘタルトキハ其ノ損害カ公證官吏ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル場合ニ限リ之ヲ賠償スル責ニ任ス
第百三十五條
公正證書作成費用及作成ノ爲出張シタル公證官吏ノ旅費日當ハ申請人ノ負擔トス其ノ數額ハ關東都督之ヲ定ム
第百三十六條
公正證書ノ原本其ノ附屬書類及法令ニ依リ公證官吏ノ調製シタル帳簿ハ事變ヲ避クル爲ニスル場合及法院、豫審判官、民政署長又ハ民政支署長ノ命令又ハ囑託アルニ非サレハ他ニ持出スコトヲ得ス
第百三十七條
公證官吏事故アルトキハ所屬官吏ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第百三十八條
法令中公證人ノ職務ニ屬スルモノハ公證官吏ヲシテ之ヲ行ハシム
第百三十九條
私書證書ニ確定日附ヲ附スルコトノ請求ハ公證官吏ニ之ヲ爲スヘシ
第六章 執達
第百四十條
訴訟ニ關スル書類ノ送達、吿知、催吿、裁判ノ執行、動產不動產ノ任意競賣其ノ他法令ニ依リ執達吏ノ職務ニ屬セシメタルモノハ民政署所屬官吏ヲシテ之ヲ取扱ハシム
民政支署長カ民政署長ノ職務ヲ掌ル場合ニ於テハ前項ノ職務ハ其ノ所屬官吏ヲシテ之ヲ取扱ハシム
民政署長及民政支署長ハ巡査其ノ他適當ト思料スル者ヲシテ臨時執達吏ノ職務ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前各項ニ依リ執達吏ノ職務ヲ行フ者ハ證票ヲ携帶スヘシ
附 則
第百四十一條
本令ハ明治四十一年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
關東洲刑罰令、關東洲民事審理規則及關東洲刑事審理規則ハ之ヲ廢止ス
第百四十二條
本令施行前地方法院ニ於テ爲シタル登記、公證及確定日附ハ本令ニ依リタルモノト同一ノ效力ヲ有ス
朕関東州裁判事務取扱令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年九月二十二日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
外務大臣 伯爵 小村寿太郎
勅令第二百十三号
関東州裁判事務取扱令
第一章 総則
第一条
民事刑事及非訟事件ニ関スル事項ハ左ノ法令ニ依ル
一
法例
一
民法
一
明治三十五年法律第五十号
一
明治三十七年法律第十七号
一
明治三十二年法律第四十号
一
明治三十三年法律第五十一号
一
供託法
一
明治三十二年法律第五十号
一
明治三十三年法律第十三号
一
明治三十三年勅令第四百九号
一
商法
一
明治二十三年法律第三十二号商法
一
明治三十三年法律第十七号
一
明治三十二年勅令第二百七十一号
一
保険業法
一
刑法
一
刑法施行法
一
爆発物取締罰則
一
通貨及証券模造取締法
一
軍機保護法
一
海底電信線保護万国連合条約罰則
一
明治二十二年法律第三十四号
一
明治二十三年法律第百一号
一
明治三十八年法律第五十一号
一
明治三十八年法律第六十六号
一
民事訴訟法
一
家資分散法
一
人事訴訟手続法
一
競売法
一
刑事訴訟法
一
普通治罪法陸軍治罪法海軍治罪法交渉ノ件処分法
一
外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法
一
逃亡犯罪人引渡条例
一
外国艦船乗組員ノ逮捕留置ニ関スル援助法
一
不動産登記法
一
明治三十九年法律第五十五号
一
非訟事件手続法
第二条
支那人ノ外ニ関係者ナキ民事ニ関スル事項ハ当分ノ内従前ノ慣例ニ依ル但シ人事訴訟手続法ヲ除クノ外手続ニ関スルモノハ此ノ限ニ在ラス
第三条
土地ニ関スル権利ニ付テハ当分ノ内従前ノ慣例ニ依ル
第四条
土地ニ関スル権利ニ付テハ当分ノ内登記ヲ為サス
第五条
刑法第一編第四章ハ当分ノ内支那人ニ之ヲ適用セス
第六条
第一条ニ掲ケタル法令中主務大臣ノ職務ハ民事訴訟法第百五十二条ノ場合ヲ除クノ外関東都督、市町村長ノ職務ハ関東都督府民政署長又ハ民政支署長之ヲ行フ
第七条
外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法中区裁判所ノ職務ハ地方法院之ヲ行フ
第八条
競売法中区裁判所ノ職務ハ民政署長之ヲ行フ
第九条
証書ノ確定日附ニ付テハ民法施行法第四条及第五条ノ規定ニ依ル
第十条
本令ニ定ムルモノノ外必要ナル規定ハ関東都督之ヲ定ム
第二章 訴訟手続
第一節 通則
第十一条
法院ニ繋属シタル事件ハ法院ノ事物ノ管轄ニ属セサル場合ト雖管轄事件トシテ之ヲ裁判スヘシ
第十二条
開廷ニ関シテハ裁判所構成法第百三条乃至第百十三条ノ規定ニ依ル
第十三条
忌避及回避ニ関スル規定ハ之ヲ適用セス但シ民事訴訟法第三十二条又ハ刑事訴訟法第四十条ノ規定ニ依リ除斥セラルヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十四条
法院ハ民政署長ニ訴訟書類ノ送達、証拠調及令状ノ執行ヲ嘱託スルコトヲ得
民政署長ハ互ニ訴訟書類ノ送達、証拠調、令状及刑ノ執行並民事裁判ノ執行ヲ嘱託スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於ケル費用ハ嘱託ヲ受ケタル民政署ノ支弁トス
第十五条
法院又ハ裁判長カ職権ヲ以テ弁護士ヲ訴訟承継人、訴訟代理人又ハ弁護人ニ選定シ又ハ選任スヘキ場合ニ於テハ弁護士ニ非サル者ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第十六条
検事及書記ノ職務ハ民政署又ハ民政支署ニ於テハ其ノ所属官吏ヲシテ之ヲ行ハシム
第二節 民事訴訟手続
第十七条
民事訴訟手続ハ高等法院ニ於テハ民事訴訟法中控訴裁判所ニ関スル規定ニ依リ地方法院ニ於テハ同法中地方裁判所ニ関スル規定ニ依リ民政署ニ於テハ同法第三百八十一条ノ規定ヲ除クノ外区裁判所ニ関スル規定ニ依ル但シ裁判所構成法中区裁判所ノ管轄ニ属セシメタル事件ヲ地方法院ニ於テ取扱フ場合ニハ民事訴訟法中区裁判所ニ関スル規定ニ依ル
第十八条
弁護士ノアルトキト雖当事者ハ法院又ハ民政署長ノ許可ヲ得テ訴訟能力者ヲ以テ代理人ト為スコトヲ得
前項ノ許可ハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得
第十九条
費用額確定ノ申請アリタル場合ニ於テ未タ判決ノ送達ナク且判決正本ノ作成ヲ遅延セシムル虞ナキトキハ費用額確定ノ決定ヲ判決及其ノ正本ニ附記スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ費用額ノ決定ニ付正本ノ作成及送達ノ手続ヲ為サス申請人及相手方ニ確定シタル額ヲ通知シ且相手方ニ費用計算書ヲ送付スヘシ
費用額確定ノ申請ハ其ノ一部ヲ採用セサルトキハ前項ノ例ニ依ルコトヲ得ス
当事者カ判決ノ言渡前ニ費用計算書ヲ差出シタルトキハ費用額確定ノ申請ヲ為スコトヲ要セス此ノ場合ニ於テハ職権ヲ以テ相手方ニ付与スヘキ計算書ノ謄本ヲ作成スヘシ
第二十条
送達ハ之ヲ受クヘキ人ニ仮住所ニ於テ出会ハサルトキハ仮住所ノ主人又ハ成長シタル同居ノ親族若ハ雇人ニ之ヲ為スコトヲ得
第二十一条
書記ノ職務ヲ行フ者其ノ所属庁内ニ於テ送達ヲ受クヘキ者ニ書類ヲ交付シ受取証ヲ差出サシメタルトキハ送達アリタルト同一ノ効力ヲ生ス
第二十二条
期日ノ変更又ハ期間ノ伸長ハ当事者合意ノ場合ニ於テモ顕著ナル理由アルニ非サレハ之ヲ許サス
第二十三条
訴訟関係人カ期日ニ出頭スヘキ旨ヲ記載シタル書面ヲ差出シタルトキハ期日呼出アリタルト同一ノ効力ヲ生ス
第二十四条
合意上ノ訴訟手続ノ休止ハ申立ニ因リ顕著ナル理由アルトキニ限リ之ヲ許ス其ノ申立ハ書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ申立ニ付テハ民事訴訟法第百七十一条第二項及第四項ノ規定ニ依ル
合意上ノ休止ノ場合ニ於テ三月内ニ口頭弁論ノ期日指定ノ申立ヲ為ササルトキハ本訴及反訴ヲ取下ケタルモノト看做ス再度以上ノ休止ニシテ前後ヲ通算シテ三月ヲ超ユルトキ亦同シ
第二十五条
天災其ノ他避クヘカラサル事変ニ因ル場合ヲ除クノ外口頭弁論期日ニ当事者双方出頭セサルトキハ本訴及反訴ヲ取下ケタルモノト看做ス
第二十六条
民事訴訟法第百九十四条第一項ノ期間ハ之ヲ十四日トス
第二十七条
口頭弁論ハ書面ヲ以テ之ヲ準備スルコトヲ要セス
第二十八条
民政署長ハ口頭弁論ノ前後ヲ問ハス事件ノ関係ヲ明瞭ナラシムル為訴状又ハ準備書面ニ基キ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第二十九条
訴ハ何時ニテモ之ヲ取下クルコトヲ得但シ反訴アリタルトキハ被告ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第三十条
訴ノ取下アリタルトキハ反訴ハ其ノ効力ヲ失フ但シ被告カ反訴ヲ継続セシムル意思ヲ表示シテ取下ニ同意シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十一条
反訴ハ其ノ目的カ本訴ノ目的又ハ防禦ノ方法ト法律上牽連スルニ非サレハ之ヲ提起スルコトヲ得ス
第三十二条
当事者カ重大ナル過失ニ因リ又ハ訴訟ノ完結ヲ遅延セシムル意思ヲ以テ時機ニ後レテ提出シタル攻撃又ハ防禦ノ方法カ訴訟ノ完結ヲ遅延セシムヘキモノナルトキハ法院ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得
前項ノ規定ハ証拠方法及証拠抗弁ノ提出ニ付之ヲ準用ス
第三十三条
民政署長ハ口頭弁論ニ於テ為シタル当事者ノ申立及陳述ニ付必要ト認メタルモノニ限リ調書ニ記載シテ之ヲ明確ニスヘシ
第三十四条
民事訴訟法第二百二十一条ノ場合ニ於テ和解調ヒタルトキハ其ノ和解ニ付テハ民事争訟調停ニ関スル規定ヲ準用ス
第三十五条
民事訴訟法第二百五十五条ノ故障申立ノ期間ハ七日トス
闕席判決ヲ為ストキハ其ノ判決ニ対シ故障ヲ為シ得ヘキコト及其ノ期間ヲ主文ニ附記スヘシ
第三十六条
判決ニ於テ作為ノ履行ヲ命スル場合ニ於テハ原告ノ申立ニ因リ一定ノ期間内ニ履行ヲ為ササルトキハ賠償金ヲ支払フヘキ旨ヲ言渡スコトヲ得
第三十七条
判決ハ職権ヲ以テ之ヲ送達ス
判決ノ送達ハ其ノ正本ヲ交付シテ之ヲ為ス
第三十八条
再度ノ闕席判決ニ対シテハ故障ヲ申立ツルコトヲ得ス
第三十九条
関東州裁判令第三条第二号ニ掲ケタル民事裁判ノ手続ニ関シテハ民事訴訟法第二百六十六条乃至第二百七十二条ノ規定ニ依ル
前項ノ場合ニ於テ民政署長必要ト認ムルトキハ所属官吏ヲシテ準備手続ヲ為サシムルコトヲ得
第四十条
民政署長ハ所属官吏ヲシテ証拠調ヲ為サシムルコトヲ得
第四十一条
前二条ニ依リ準備手続又ハ証拠調ヲ命セラレタル者ハ受命判事ト同一ノ権ヲ有ス但シ罰金及費用賠償ノ言渡ヲ為シ又ハ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得ス
前二条ノ場合ニ於テハ書記ノ立会ヲ要セス
第四十二条
証拠調ノ申請及其ノ決定ハ口頭弁論前ト雖之ヲ為スコトヲ得
第四十三条
証拠決定中一部ノ証拠調ニ依リ結果ヲ得タルトキハ他ノ証拠調ヲ省略スル決定ヲ為スコトヲ得
第四十四条
受命判官又ハ受託判官ハ検証ノ場合ニ於テ職権ヲ以テ又ハ申立ニ因リ法院ノ決定ヲ俟タス検証事項ニ関シ証人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
第四十五条
証人ノ呼出状ニハ訊問事項ヲ表示スルコトヲ要セス
第四十六条
証人及鑑定人ハ之ヲ忌避スルコトヲ得ス
第四十七条
証人鑑定人又ハ通事偽証ノ罪ヲ犯シタルモノト思料シタルトキハ法院又ハ民政署長ハ勾引状ヲ発シ予審判官ニ送致シ又ハ直ニ裁判ヲ為スコトヲ得
第四十八条
民政署長嘱託ニ因リ証拠調ヲ為ス場合ニ於テハ受託判事ト同一ノ権ヲ有ス
第四十九条
証拠保全ノ申立ハ訴ノ提起前ニ於テハ訊問ヲ受クヘキ者ノ居所又ハ検証スヘキ物ノ所在地ヲ管轄スル民政署長ニ之ヲ為スコトヲ得
第五十条
支払命令ハ職権ヲ以テ之ヲ債務者ニ送達スヘシ
第五十一条
督促手続ニ関スル規定ハ当事者ノ双方又ハ一方カ支那人ナル場合ニハ当分ノ内之ヲ適用セス
第五十二条
控訴期間ハ十四日トス
第五十三条
判決言渡ノ際当事者双方在廷シタル場合ニ限リ控訴期間ハ其ノ言渡ノ日ヨリ之ヲ起算ス
前項ノ場合ニ於テ控訴期間ハ判決言渡ノ際之ヲ当事者ニ告知スヘシ
本条ノ場合ニ於テハ判決ハ申立ニ因リ之ヲ送達ス
第五十四条
判決言渡ノ際当事者双方在廷シタル場合ニ於テ其ノ言渡後当事者双方カ控訴ノ抛棄ヲ為シタルトキハ控訴期間内ト雖其ノ判決確定ス此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ調書ニ記載スヘシ
第五十五条
民事訴訟法第四百二十二条ノ場合ニ於テ当事者合意ノ申立アルトキハ高等法院ハ直ニ本案ノ弁論及裁判ヲ為スコトヲ得
第五十六条
控訴ノ提起ハ訴状ヲ原判決ヲ為シタル法院又ハ民政署長ニ差出シテ之ヲ為ス
控訴ノ提起アリタルトキハ書記ノ職務ヲ行フ者ハ七日内ニ訴訟記録ト共ニ控訴状ヲ高等法院ニ送付スヘシ
第五十七条
執行裁判所ノ職務ハ民政署長之ヲ行フ
第五十八条
民事訴訟法第五百十四条第二項ノ訴ハ地方法院之ヲ管轄ス
第五十九条
民事訴訟法第五百四十九条、第五百六十一条第三項及第六百三十五条ノ訴ハ民政署長ノ管轄ニ属セサルモノナルトキハ地方法院之ヲ管轄ス
第六十条
第十九条ノ規定ニ従ヒ判決ニ附記シタル訴訟費用確定決定ニ依ル強制執行ハ執行力アル判決正本ニ基キ之ヲ為ス
第六十一条
仮差押ノ申請ニ関スル裁判ハ本案ノ管轄法院若ハ民政署長又ハ仮差押ノ目的物ノ所在地ヲ管轄スル民政署長ノ管轄トス
第六十二条
仮差押ノ申請及其ノ取消ノ申立ニ付テノ裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ為ス此ノ裁判ハ口頭弁論ヲ経スシテ之ヲ為スコトヲ得
仮差押決定ニ対シテハ抗告ノミヲ為スコトヲ得其ノ取消決定ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
前二項ノ規定ハ仮処分ニ之ヲ準用ス
第六十三条
民事訴訟法第七百六十一条ノ場合ニ於テ区裁判所ノ管轄ニ属スルモノハ民政署長之ヲ管轄ス
第六十四条
公示催告手続ハ民政署長之ヲ管轄ス
第六十五条
人事訴訟手続法中区裁判所又ハ地方裁判所ノ管轄ニ属スル事項ハ地方法院之ヲ管轄ス但シ同法第五十五条第一項及第六十六条第一項ノ訴ハ高等法院之ヲ管轄ス
第六十六条
人事訴訟ニ関シテハ口頭弁論ノ前後ヲ問ハス民政署長ハ事件ノ関係ヲ明瞭ナラシムル為必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第三節 刑事訴訟手続
第六十七条
刑事訴訟手続ハ高等法院ニ於テハ刑事訴訟法中控訴裁判所ニ関スル規定ニ依リ地方法院ニ於テハ同法中地方裁判所ニ関スル規定ニ依リ民政署ニ於テハ同法中区裁判所ニ関スル規定ニ依ル但シ裁判所構成法中区裁判所ノ管轄ニ属セシメタル事件ヲ地方法院ニ於テ取扱フ場合ニハ刑事訴訟法中区裁判所ニ関スル規定ニ依ル
第六十八条
関東州裁判令第三条第五号ニ依リ民政署長ノ管轄ニ属スヘキ刑事事件ニシテ地方法院ノ管轄ニ属スヘキ事件ト関連スルモノハ地方法院之ヲ管轄ス
第六十九条
関東州裁判令第三条第五号ニ掲ケタル罪ニ関シテハ裁判所構成法第十六条ノ一第二項及第十六条ノ二ノ規定ニ依ル
第七十条
官吏、公吏ノ作ルヘキ書類ニシテ刑事訴訟法第二十条、第二十一条其ノ他同法規定ノ形式ニ瑕疵アルモノニ付テハ当該吏員ヲシテ之ヲ補正セシメ有効ナラシムルコトヲ得
第七十一条
民政署長及憲兵隊長ハ其ノ管轄区域内ニ於テ司法警察官トシテ犯罪捜索ニ付地方法院検察官ト同一ノ権ヲ有ス
左ニ掲クル者ハ地方法院検察官ノ輔佐トシテ其ノ指揮ヲ受ケ司法警察官トシテ犯罪ヲ捜索スヘシ
一
警視、警部
二
憲兵将校、準士官、下士
三
民政支署長
第七十二条
検事ノ職務ヲ行フ者ハ現行犯ニ非スト雖捜索ノ結果被告事件急速ノ処分ヲ要スルモノト思料シタルトキハ公訴ノ提起前ニ限リ勾引状ヲ発シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ発セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ禁錮以上ノ刑ニ該ルモノト思料シタルトキハ検事ノ職務ヲ行フ者ハ勾留状ヲ発シ検証、捜索、差押ヲ為シ証人ヲ訊問シ若ハ鑑定ヲ命シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ為サシムルコトヲ得但シ宣誓ヲ為サシメ又ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ為スコトヲ得ス
前項ノ規定ニ依リ被告人ヲ勾留シタル後二十日以内ニ起訴セサルトキハ之ヲ釈放スヘシ
第七十三条
検察官ハ被告事件ノ軽重難易ニ従ヒ予審ヲ求メ又ハ直ニ訴ヲ為スヘシ
第七十四条
民政署ニ於テハ予審ヲ須井ス
第七十五条
刑事訴訟法第七十八条第一項及第百四条第二項中市町村長立会ニ関スル規定ハ之ヲ適用セス但シ此ノ場合ニ於テハ立会人二名アルヲ要ス
第七十六条
予審判官ハ被告人、証人ノ訊問、鑑定、検証、捜索、差押ノ処分ヲ民政署長ニ嘱託スルコトヲ得
前項ニ依リ嘱託ヲ受ケタル民政署長ハ受託判事ト同一ノ権ヲ有ス
第七十七条
検事ノ職務ヲ行フ者又ハ司法警察官ハ刑事訴訟法第百四十四条、第百四十六条及第百四十七条ノ場合ニ於テ犯所ニ臨検スルノ必要ナシト認メタルトキハ臨検ヲ為サスシテ予審判官ニ属スル処分ヲ為スコトヲ得
第七十八条
法院ハ法院所在地外ニ於テ証拠蒐集ヲ為スヘキ場合ニ於テ司法警察ニ検証、捜索又ハ差押ノ処分ヲ為サシメ証人ノ訊問又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ司法警察官ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ為シ又ハ宣誓ヲ為サシムルコトヲ得ス
第七十九条
予審判官ハ被告事件其ノ法院ノ事物ノ管轄ニ属セサル場合ト雖法院ノ公判ニ付スルノ言渡ヲ為スヘシ但シ被告人勾留ヲ受ケタル場合ニ於テ罰金又ハ拘留若ハ科料ノ刑ニ該ルヘキ罪ナリト思料シタルトキハ釈放ノ言渡ヲ為スヘシ
第八十条
民政署長ハ被告人ノ呼出、勾引及勾留並検証、捜索及差押ニ関シテハ予審判事ト同一ノ権ヲ有ス
第八十一条
民政署長ハ検証、捜索又ハ差押ノ処分ヲ司法警察官ニ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ処分ヲ命セラレタル者臨検捜索ノ場所ニ於テ必要アリト認ムルトキハ証人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ司法警察官ハ前条ノ規定ニ依リ民政署長ニ属スル職権ヲ行フ但シ書記ノ立会ヲ要セス又宣誓ヲ為サシメ又ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ為スコトヲ得ス
第八十二条
民政署長勾留状ヲ発シタル場合ニ於テハ被告人ハ之ヲ民政署ニ拘置スルコトヲ得
第八十三条
刑事訴訟法第二百十五条ノ規定ハ民政署長ノ裁判ニ之ヲ適用セス
第八十四条
法院又ハ民政署長ハ公判開廷前ト雖検証、捜索、差押ヲ為シ証人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ検事ノ職務ヲ行フ者其ノ他訴訟関係人ノ立会ヲ要セス
法院ハ公判開廷ノ前後ヲ問ハス前項ノ処分ヲ民政署長ニ嘱託スルコトヲ得
第八十五条
受命判官又ハ受託民政署長ハ臨検ヲ為シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ法院ノ決定ヲ俟タス捜索、差押ヲ為シ被告人、証人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
第八十六条
被告人、証人又ハ鑑定人ヨリ期日ニ出頭スヘキ受書ヲ差出サシメ又ハ口頭ヲ以テ次回ノ出頭ヲ命シタルトキハ召喚状又ハ呼出状ヲ送達シタルト同一ノ効力ヲ生ス但シ口頭ヲ以テ出頭ヲ命シタル場合ニ於テハ其ノ旨ヲ調書又ハ公判始末書ニ記載スヘシ
第八十七条
刑事訴訟法第二百三十七条及第二百六十四条第三項ノ規定ハ之ヲ適用セス但シ法院ハ被告人又ハ被告事件ノ模様ニ因リ職権ヲ以テ弁護人ヲ附スルコトヲ得
第八十八条
刑事訴訟法第二百四十一条ノ規定ハ之ヲ適用セス
第八十九条
民政署ニ於テハ証拠ト為ス書類ハ当事者異議ナキ場合ニ限リ其ノ要旨ヲ告ケテ朗読ニ代フルコトヲ得
第九十条
法院ハ予審ヲ経サル事件ニシテ之ヲ必要トスルトキハ予審判官ニ送付スルノ決定ヲ為スコトヲ得
第九十一条
弁論終結ノ後ハ被告人出廷セスト雖対席判決トシテ言渡スヘシ
第九十二条
罰金以下ノ刑ニ該ルヘキ被告人呼出状ヲ受取リ期日受取書ヲ差出シ又ハ口頭ニテ期日出頭ヲ命セラレタルモ本人又ハ代人出頭セサル為闕席判決ヲ受ケタルトキハ故障ヲ申立ルコトヲ得ス
第九十三条
前二条ノ場合ニ於テハ判決書ニ控訴期間ヲ記載シ職権ヲ以テ其ノ正本ヲ送達スヘシ
控訴期間ハ判決正本ノ送達アリタル日ヨリ之ヲ起算ス
控訴期間ノ記載ナキトキハ更ニ其ノ通知アル迄控訴期間ノ経過ヲ停止ス
第九十四条
法院ニ於テ一年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二百円以下ノ罰金ヲ言渡シタル判決又ハ民政署長ノ言渡シタル判決ニ付テハ証拠ニ関スル理由ノ明示ヲ省略スルコトヲ得
第九十五条
拘留、科料又ハ一月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二十円以下ノ罰金ノ刑ニ処スヘキ事件ニ於テ民政署長ハ被告人ヲ呼出スノ必要ナシト認メタルトキハ直ニ其ノ判決ノ正本ヲ被告人ニ送達スルコトヲ得
第九十六条
前条ノ場合ニ於テ被告人ハ判決ノ送達後三日ノ期間内ニ口頭又ハ書面ヲ以テ故障ヲ申立ツルコトヲ得
故障ノ申立アリタルトキハ民政署長ハ直ニ又ハ期日ヲ定メテ公判ヲ開始スヘシ
公判開始ノ期日ニ被告人又ハ其ノ代人出頭セサルトキハ故障ハ其ノ効力ヲ失フ
第九十七条
拘留、科料又ハ一月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二十円以下ノ罰金ノ刑ニ処スヘキ犯罪ニ付テハ公判始末書ヲ省略スルコトヲ得
第九十八条
民政署長ノ判決ニ対スル控訴ノ期間ハ三日トス
前項ノ期間ハ判決言渡アリタル日又ハ判決正本ノ送達アリタル日ヨリ之ヲ起算ス
第九十九条
控訴提起権ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得
第百条
控訴ハ其ノ裁判アル迄何時ニテモ之ヲ取下クルコトヲ得
第百一条
控訴提起権ノ抛棄ハ原判決ヲ為シタル法院又ハ民政署長ニ之ヲ為スヘシ
控訴ノ取下ハ控訴法院ニ之ヲ為スヘシ
第百二条
控訴提起権ノ抛棄及控訴ノ取下ハ書面ヲ以テ之ヲ為スヘシ但シ公判廷ニ於テハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ申立ヲ調書ニ記載スヘシ
第百三条
控訴提起権ヲ抛棄シ又ハ控訴ヲ取下ケタルトキハ控訴ノ提起期間内ト雖裁判確定ス
第百四条
弁護人ハ被告人ノ同意ヲ得スシテ控訴ヲ為スコトヲ得ス
第百五条
刑事訴訟法第二百六十九条ノ場合ヲ除クノ外訴訟手続法律ニ違ヒタルコトアリト雖判決ニ影響ヲ及ホササルトキハ之ヲ以テ控訴ノ理由ト為スコトヲ得ス
第百六条
控訴提起権喪失後ニ為シタル控訴申立ハ決定ヲ以テ之ヲ棄却スヘシ此ノ決定ニ対シテハ抗告ヲ為スコトヲ得
第百七条
再審ノ訴及非常上告ニ関シテハ高等法院ヲ以テ上告裁判所トス
高等法院ハ再審ノ訴ニシテ其ノ原由アルコトヲ認メタルトキハ原判決ヲ破毀シ直ニ其ノ事件ノ公訴及私訴ニ付判決ヲ為スコトヲ得
第百八条
差押物件ノ還付ヲ受クヘキ者ノ所在不明ノ為又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ物件ヲ還付スルコト能ハサル場合ニ於テハ検事ノ職務ヲ行フ者ハ其ノ旨ヲ公示スヘシ公示シタル日ヨリ六月内ニ還付ノ請求ナキトキハ其ノ物件ハ国庫ニ帰属ス
前項ノ期間内ト雖価値ナキ物件ハ之ヲ廃棄シ保管ニ不便ナル物件ハ之ヲ公売シテ其ノ代金ヲ保管スルコトヲ得
第百九条
検事ノ職務ヲ行フ者ハ私訴ノ審判ニ立会ハサルコトヲ得
第三章 民事争訟調停
第百十条
民事争訟調停ノ申請ハ被申請人ノ居住地ヲ管轄スル民政署ニ書面ヲ以テ之ヲ為スヘシ但シ不動産ノ争訟ニ付テハ其ノ所在地ヲ管轄スル民政署ニ申請スヘシ
第百十一条
民政署長ハ前条ノ申請アリタルトキハ期日ヲ定メ当事者双方ヲ呼出スヘシ
前項ノ場合ニ於テ被申請人他ノ民政署管内ニ移住シタルトキハ事件ヲ其ノ管轄民政署ニ移送スルコトヲ得
第百十二条
調停ニハ代理人ヲ用ウルコトヲ得ス但シ民政署長ノ許可ヲ受ケ親族又ハ雇人ヲ以テ代理セシムルハ此ノ限ニ在ラス
第百十三条
調停成立シタルトキハ調書ヲ以テ左ノ事項ヲ明確ニスヘシ
一
当事者及代理人ノ氏名、身分、職業、住所
二
申請人請求ノ要旨
三
被申請人答弁ノ要旨
四
調停ノ成立事項及履行ノ期日
第百十四条
調停調書ノ原本ニハ年月日ヲ記載シ当事者ヲシテ署名捺印セシメ民政署長署名捺印シ且署印ヲ押捺スヘシ
第百十五条
当事者ハ調停調書ノ謄本ノ下付ヲ請求スルコトヲ得
第百十六条
調停ノ成立シタル争訟ト同一事件ニ付テハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス
第百十七条
調停ノ申請人指定ノ期日ニ正当ノ理由ナクシテ出頭セサルトキハ之ヲ取下ケタルモノト看做ス
被申請人期日ニ出頭セサルトキハ更ニ期日ヲ定メテ之ヲ呼出スヘシ再度ノ呼出期日ニ仍出頭セサル場合ト雖調停ノ成立スル見込アルトキハ民政署長ハ更ニ之ヲ呼出スコトヲ得
第百十八条
調停ノ申請ハ時効ヲ中断ス
調停ノ成立セサルトキハ一月内ニ訴ヲ提起スルニ非サレハ時効中断ノ効力ヲ生セス
第百十九条
調停調書ハ所有権以外ノ権利ノ登記ニ関シテハ不動産登記法第百二十八条、第百三十条及第百三十二条ニ定メタル登記ヲ命スル裁判ト看做ス
第百二十条
調停ノ執行ニ関シテハ民事訴訟法第五百五十九条第四号ニ掲ケタル債務名義ニ因ル強制執行ニ関スル規定ヲ準用ス
第百二十一条
調停ノ執行ヲ為ス場合ニ於テハ調停調書ノ送達ヲ為スコトヲ要セス
債務者ノ一般ノ承継人ニ対シ執行ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ執行前調停調書ノ謄本ヲ送達スルコトヲ要ス
第百二十二条
民政署長ハ調停ノ成立事項ニ関スル犯罪行為ニ付公訴ノ提起アリタルトキハ其ノ事件ノ完結迄執行処分ヲ停止スヘシ
第百二十三条
書類ノ送達ニ付テハ本令中訴訟書類ノ送達ニ関スル規定ヲ準用ス
第百二十四条
調停ニ関スル費用ハ当事者各自ノ負担トス但シ書類ノ送達及執行ノ費用ハ債務者ノ負担トス
前項但書ノ費用ハ債権ノ執行ト同時ニ之ヲ取立ツヘシ
第百二十五条
調停ノ執行ニ関シテハ民政署長互ニ共助ヲ為スヘシ
第四章 非訟事件
第百二十六条
非訟事件ハ民政署長之ヲ取扱フ但シ不動産登記、法人及夫婦財産契約登記並商業登記ハ所属官吏ヲシテ之ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第百二十七条
非訟事件手続法第百二十六条及第二百六条ノ規定ニ依リ地方裁判所ノ管轄ニ属スルモノハ地方法院之ヲ管轄ス
第百二十八条
破産事件ハ地方法院之ヲ管轄ス
第五章 公証
第百二十九条
民事ニ関スル公正証書ノ作成ハ当事者ノ申請ニ因リ当分ノ内民政署長之ヲ取扱フ
第百三十条
本章ニ依リ作成シタル公正証書ハ完全ノ証拠ニシテ且民事訴訟法第五百五十九条第五号但書ノ作成要件ヲ具備シタルモノハ同号債務名義ト同一ノ規定ニ従ヒ強制執行ヲ為スコトヲ得但シ偽造ノ公訴提起アリタルトキハ其ノ執行ヲ停止スヘシ民事訴訟ニ関シ偽造ノ申立アリタルトキハ其ノ執行ヲ停止スルコトヲ得
民事訴訟ニ関シ偽造ノ申立アリタル場合ニ於テハ民事訴訟法第五百条ノ規定ニ依ル
第百三十一条
公正証書ノ作成ニ関シテハ公証人法第四章ニ依ル但シ同章中地方裁判所長ノ職務ハ高等法院長之ヲ行ヒ市区町村長ノ職務ハ民政署長又ハ民政支署長之ヲ行フ
第百三十二条
公証官吏ノ職務執行ニ関シ不服アル者ハ高等法院ニ抗告スルコトヲ得
前項ノ抗告アリタルトキハ公証官吏ハ其ノ事件ノ処分ヲ停止スヘシ
抗告ニ関シテハ民事訴訟法ニ依ル
第百三十三条
第百三十条ニ依リ強制執行ヲ為ス場合ニ於テハ公正証書ノ謄本ヲ送達スルコトヲ要セス
債務者ノ一般ノ承継人ニ対シ強制執行ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ執行前公正証書ノ謄本ヲ送達スルコトヲ要ス
第百三十四条
公証官吏其ノ職務執行ニ付申請人其ノ他ノ者ニ損害ヲ加ヘタルトキハ其ノ損害カ公証官吏ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル場合ニ限リ之ヲ賠償スル責ニ任ス
第百三十五条
公正証書作成費用及作成ノ為出張シタル公証官吏ノ旅費日当ハ申請人ノ負担トス其ノ数額ハ関東都督之ヲ定ム
第百三十六条
公正証書ノ原本其ノ附属書類及法令ニ依リ公証官吏ノ調製シタル帳簿ハ事変ヲ避クル為ニスル場合及法院、予審判官、民政署長又ハ民政支署長ノ命令又ハ嘱託アルニ非サレハ他ニ持出スコトヲ得ス
第百三十七条
公証官吏事故アルトキハ所属官吏ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第百三十八条
法令中公証人ノ職務ニ属スルモノハ公証官吏ヲシテ之ヲ行ハシム
第百三十九条
私書証書ニ確定日附ヲ附スルコトノ請求ハ公証官吏ニ之ヲ為スヘシ
第六章 執達
第百四十条
訴訟ニ関スル書類ノ送達、告知、催告、裁判ノ執行、動産不動産ノ任意競売其ノ他法令ニ依リ執達吏ノ職務ニ属セシメタルモノハ民政署所属官吏ヲシテ之ヲ取扱ハシム
民政支署長カ民政署長ノ職務ヲ掌ル場合ニ於テハ前項ノ職務ハ其ノ所属官吏ヲシテ之ヲ取扱ハシム
民政署長及民政支署長ハ巡査其ノ他適当ト思料スル者ヲシテ臨時執達吏ノ職務ヲ取扱ハシムルコトヲ得
前各項ニ依リ執達吏ノ職務ヲ行フ者ハ証票ヲ携帯スヘシ
附 則
第百四十一条
本令ハ明治四十一年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
関東洲刑罰令、関東洲民事審理規則及関東洲刑事審理規則ハ之ヲ廃止ス
第百四十二条
本令施行前地方法院ニ於テ為シタル登記、公証及確定日附ハ本令ニ依リタルモノト同一ノ効力ヲ有ス
本文
詳細・沿革