海軍高等武官候補生規則
法令番号: 勅令第二百五十一號
公布年月日: 明治26年12月18日
法令の形式: 勅令
朕海軍高等武官候補生規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十二月十六日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第二百五十一號
海軍高等武官候補生規則
第一條 海軍高等武官候補生ハ海軍少尉候補生、海軍少機關士候補生、海軍少技士候補生、海軍少軍醫候補生、海軍少藥劑官候補生、海軍少主計候補生トス
第二條 海軍少尉候補生ハ海軍兵學校ノ全學科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
海軍少機關士候補生ハ海軍機關學校ノ全學科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
第三條 海軍少軍醫候補生ハ醫術開業免狀ヲ有スル者ニ就キ身體檢査學術試驗ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ其ノ成績順序ニ從ヒ採用ス
第四條 海軍少藥劑官候補生ハ藥劑師免狀ヲ有スル者ニ就キ身體檢査學術試驗ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ其ノ成績順序ニ從ヒ採用ス
第五條 海軍少主計候補生ハ官立公立尋常中學校若クハ海軍大臣ニ於テ之ト同等以上ト認ムル學校ノ卒業證書ヲ有シ且法律及經濟學ヲ敎授スル學校ニ於テ三年以上ノ課程ヲ終ヘタル者ニ就キ身體檢査學術試驗ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ其ノ成績順序ニ從ヒ採用ス
第六條 海軍少軍醫候補生、海軍少藥劑官候補生又ハ海軍少主計候補生タランコトヲ欲スル者ハ海軍大臣ノ吿示ニ從ヒ出願スヘシ
第七條 海軍ノ官費生徒ト爲リ外國ニ留學シ適當ノ卒業證書ヲ得タル者ハ其ノ成績ニ應シ相當ノ候補生ニ採用スルコトヲ得
私費ヲ以テ外國ニ留學シ相當ノ學術ヲ修メ卒業ノ後海軍出身志願ノ者ハ試驗ヲ行ヒ其ノ成績ニ應シ特ニ其ノ學科相當ノ候補生ニ採用スルコトアルヘシ
第八條 海軍少軍醫候補生、海軍少藥劑官候補生、海軍少主計候補生及前條第二項ノ者ニシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ該ルトキハ候補生ニ採用スルコトヲ得ス
一 年齡二十年未滿及滿二十五年以上ノ者
二 有妻ノ者
三 禁錮以上ノ刑ヲ受ケタル者又ハ賭博犯ノ處分ヲ受ケタル者
四 復權ヲ得サル家資分散者、破產者及身代限ノ處分ヲ受ケ辨償ノ義務ヲ終ヘサル者若クハ其ノ相續人
第九條 候補生ハ現役海軍軍人トシ其ノ身分ハ奏任官ノ待遇トス
第十條 候補生ハ情願ヲ以テ辭スルコトヲ得ス
第十一條 候補生ハ各其ノ本官ノ實務ヲ練習スルモノトス
第十二條 候補生ヲ直轄スル各長官ハ一箇年以上實務ヲ練習シタル各候補生ノ材能、品行、勤惰、傷痍、疾病等ノ事實ヲ詳記シ之ニ意見ヲ附シ所管長官ニ差出シ所管長官ハ之ニ意見ヲ附シ每年一囘海軍大臣ニ報吿スヘシ
第十三條 海軍大臣ハ候補生ノ品行不正或ハ傷痍疾病等ノ故ヲ以テ高等武官ニ適セスト認ムルトキハ之ヲ免ス
第十四條 候補生海軍高等武官任用條例第二條ノ學術試驗ニ合格セサルトキハ六箇月ノ後再試驗ヲ行ヒ仍不合格ノ者ハ之ヲ免ス
第十五條 身體檢査學術及實務試驗ニ關スル規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十六條 各候補生ノ身體檢査委員竝ニ學術試驗委員ハ海軍大臣之ヲ命ス
附 則
第十七條 本令施行ノ際海軍軍醫學校ニ在ル生徒ハ全學科卒業ノトキ海軍少軍醫候補生ニ採用ス
第十八條 海軍少技士候補生ハ當分ノ內帝國大學工科大學卒業ノ者及其ノ他相當ノ學術ヲ修メタル者ニ就キ身體檢査學術試驗ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ採用スルコトヲ得
第八條ノ規程ハ前項ニ揭クル者ニモ適用ス
第十九條 明治二十二年勅令第十八號ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
朕海軍高等武官候補生規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十二月十六日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
海軍大臣 伯爵 西郷従道
勅令第二百五十一号
海軍高等武官候補生規則
第一条 海軍高等武官候補生ハ海軍少尉候補生、海軍少機関士候補生、海軍少技士候補生、海軍少軍医候補生、海軍少薬剤官候補生、海軍少主計候補生トス
第二条 海軍少尉候補生ハ海軍兵学校ノ全学科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
海軍少機関士候補生ハ海軍機関学校ノ全学科ヲ卒業シタル者ヨリ採用ス
第三条 海軍少軍医候補生ハ医術開業免状ヲ有スル者ニ就キ身体検査学術試験ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ其ノ成績順序ニ従ヒ採用ス
第四条 海軍少薬剤官候補生ハ薬剤師免状ヲ有スル者ニ就キ身体検査学術試験ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ其ノ成績順序ニ従ヒ採用ス
第五条 海軍少主計候補生ハ官立公立尋常中学校若クハ海軍大臣ニ於テ之ト同等以上ト認ムル学校ノ卒業証書ヲ有シ且法律及経済学ヲ教授スル学校ニ於テ三年以上ノ課程ヲ終ヘタル者ニ就キ身体検査学術試験ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ其ノ成績順序ニ従ヒ採用ス
第六条 海軍少軍医候補生、海軍少薬剤官候補生又ハ海軍少主計候補生タランコトヲ欲スル者ハ海軍大臣ノ告示ニ従ヒ出願スヘシ
第七条 海軍ノ官費生徒ト為リ外国ニ留学シ適当ノ卒業証書ヲ得タル者ハ其ノ成績ニ応シ相当ノ候補生ニ採用スルコトヲ得
私費ヲ以テ外国ニ留学シ相当ノ学術ヲ修メ卒業ノ後海軍出身志願ノ者ハ試験ヲ行ヒ其ノ成績ニ応シ特ニ其ノ学科相当ノ候補生ニ採用スルコトアルヘシ
第八条 海軍少軍医候補生、海軍少薬剤官候補生、海軍少主計候補生及前条第二項ノ者ニシテ左ニ掲クル事項ノ一ニ該ルトキハ候補生ニ採用スルコトヲ得ス
一 年齢二十年未満及満二十五年以上ノ者
二 有妻ノ者
三 禁錮以上ノ刑ヲ受ケタル者又ハ賭博犯ノ処分ヲ受ケタル者
四 復権ヲ得サル家資分散者、破産者及身代限ノ処分ヲ受ケ弁償ノ義務ヲ終ヘサル者若クハ其ノ相続人
第九条 候補生ハ現役海軍軍人トシ其ノ身分ハ奏任官ノ待遇トス
第十条 候補生ハ情願ヲ以テ辞スルコトヲ得ス
第十一条 候補生ハ各其ノ本官ノ実務ヲ練習スルモノトス
第十二条 候補生ヲ直轄スル各長官ハ一箇年以上実務ヲ練習シタル各候補生ノ材能、品行、勤惰、傷痍、疾病等ノ事実ヲ詳記シ之ニ意見ヲ附シ所管長官ニ差出シ所管長官ハ之ニ意見ヲ附シ毎年一回海軍大臣ニ報告スヘシ
第十三条 海軍大臣ハ候補生ノ品行不正或ハ傷痍疾病等ノ故ヲ以テ高等武官ニ適セスト認ムルトキハ之ヲ免ス
第十四条 候補生海軍高等武官任用条例第二条ノ学術試験ニ合格セサルトキハ六箇月ノ後再試験ヲ行ヒ仍不合格ノ者ハ之ヲ免ス
第十五条 身体検査学術及実務試験ニ関スル規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十六条 各候補生ノ身体検査委員並ニ学術試験委員ハ海軍大臣之ヲ命ス
附 則
第十七条 本令施行ノ際海軍軍医学校ニ在ル生徒ハ全学科卒業ノトキ海軍少軍医候補生ニ採用ス
第十八条 海軍少技士候補生ハ当分ノ内帝国大学工科大学卒業ノ者及其ノ他相当ノ学術ヲ修メタル者ニ就キ身体検査学術試験ヲ行ヒ合格シタル者ヨリ採用スルコトヲ得
第八条ノ規程ハ前項ニ掲クル者ニモ適用ス
第十九条 明治二十二年勅令第十八号ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス