河川法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第173号
公布年月日: 昭和33年12月3日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

河川における砂利採取が近年増加し、無許可での乱掘や許可条件違反が多発している。これにより河床低下や堤防・護岸基礎のゆるみ、取水困難などの問題が生じているが、現行法の罰則は最高二千円の罰金にとどまり実効性に欠ける。そこで河川管理の実効性を高めるため、土石採取に関する規制を法律で明確化し、罰則を強化する。具体的には、土石採取の都道府県知事許可制を法定化し、採取料を公法上の収入として位置づけ、違反に対する罰金額引き上げや法人への両罰規定を整備する。

参照した発言:
第30回国会 衆議院 建設委員会 第3号

審議経過

第30回国会

衆議院
(昭和33年10月14日)
参議院
(昭和33年10月16日)
衆議院
(昭和33年10月22日)
(昭和33年10月24日)
(昭和33年10月28日)
参議院
(昭和33年11月4日)
(昭和33年11月24日)
衆議院
(昭和33年12月7日)
河川法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年十二月三日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七十三号
河川法の一部を改正する法律
河川法(明治二十九年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。
第十七条の次に次の一条を加える。
第十七条ノ二 河川ノ区域内ニ於テ土石(砂ヲ含ム以下同ジ)ヲ採取セムトスル者ハ地方行政庁ノ許可ヲ受クベシ
第四十二条第一項中「使用」の下に「、土石ノ採取」を、「使用者」の下に「、土石採取者」を、「使用料」の下に「、土石採取料」を加え、同条第二項中「使用料」の下に「、土石採取料」を加える。
第五十八条を次のように改める。
第五十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス
一 第十七条又ハ第十七条ノ二ノ規定ニ違反シタル者
二 第十八条ノ規定ニ違反シテ河川ノ流水ヲ占用シタル者
第五章中第五十八条の次に次の四条を加える。
第五十八条ノ二 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ六箇月以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
一 第十八条ノ規定ニ違反シテ河川ノ敷地ヲ占用シタル者
二 第三十九条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ地方行政庁ニ於テ堤外地、堤外地ニ非ザル沿岸若ハ沿堤土地ニ立入リ、其ノ土地ヲ材料置場等ニ供シ又ハ其ノ土地ニ現在スル建設物其ノ他ノ障害物ヲ除却スルコトヲ拒ミ又ハ妨ゲタル者
第五十八条ノ三 第四十三条第一項ノ許可ヲ受ケズシテ舟筏ヨリ通航料ヲ徴収シタル者ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
第五十八条ノ四 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第五十八条乃至前条ニ規定スル違反行為ヲナシタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シテ各本条ノ罰金刑ヲ科ス
第五十八条ノ五 第十三条、第十六条、第十九条、第四十三条第二項又ハ第四十七条ノ規定ニ基ク命令ニハ必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得
前項ノ罰則ニ規定スベキ罰ハ政令ニ在リテハ六箇月以下ノ懲役、五万円以下ノ罰金、拘留又は科料、主務省令ニ在リテハ三筒月以下ノ懲役、三万円以下ノ罰金、拘留又ハ科料、都道府県ノ規則ニ在リテハ二千円以下ノ罰金、拘留又ハ科料トス但第四十三条第二項ノ規定ニ基ク命令ニハ懲役又ハ拘留ノ罰ヲ規定スルコトヲ得ズ
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際現に第十九条の規定に基く命令の規定による許可を受けて改正後の第十七条ノ二に規定する行為をしている者については、その許可は、改正後の同条の規定による許可とみなす。この場合においては、改正後の第四十二条の規定を準用する。
3 前項に該当する者以外の者であつて、この法律の施行の際現に改正後の第十七条ノ二に規定する行為をしているもの(第十九条の規定に基く命令に違反して当該行為をしている者を除く。)については、その者が従前と同様の条件によつて当該行為をする場合に限り、この法律の施行の日から起算して三十日間は、改正後の第十七条ノ二の規定を適用しない。
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
建設大臣 遠藤三郎
内閣総理大臣 岸信介