第十二條 會計檢査院ハ官金ノ收支官有物及國債ニ關ル計算ヲ檢査確定シテ會計ヲ監督ス
第十四條 會計檢査院ハ憲法第七十二條ニ依リ決算ヲ檢査確定スルト同時ニ左ノ諸項ニ付報吿書ヲ作ルヘシ
一 總決算及各省決算報吿書ノ金額ト各出納官吏ノ提出シタル計算書ノ金額ト符合スルヤ否ヤ
二 歲入ノ賦課徵收歲出ノ使用官有物ノ得有沽賣讓與及利用ハ各〻其ノ豫算ノ規程又ハ法律勅令ニ違フコトナキヤ否ヤ
三 豫算超過又ハ豫算外ノ支出ニシテ議會ノ承諾ヲ受ケサルモノナキヤ否ヤ
第十五條 會計檢査院ハ各年度ノ會計檢査ノ成績ヲ上奏シ其ノ成績ニ就テ法律又ハ行政上ノ改正ヲ必要トスヘキ事項アリト認ムルトキハ併セテ意見ヲ上奏スルコトヲ得
第十六條 會計檢査院ハ各官廳中一部ニ屬スル計算ノ檢査及責任解除ヲ其ノ廳ニ委託スルコトヲ得但シ其ノ檢査ノ成績ハ該廳ヲシテ之ヲ會計檢査院ニ報吿セシムヘシ
前項ノ委託ニ拘ラス會計檢査院ハ時宜ニ依リ其ノ所管ノ官廳ヲシテ計算書ヲ送付セシメ之カ檢査ヲ行フコトアルヘシ
第十三條第三項團體及公立私立諸營造ノ決算ニ就テモ亦本條ヲ適用スルコトヲ得
第十七條 金庫ノ出納及簿記上ニ關ル各省ノ命令ニ付會計檢査院ハ其ノ發布ノ前通知ヲ受ケ意見アルトキハ之ヲ陳述スルコトヲ得
會計檢査院ハ收入及支出ニ關ル規則ヲ定メ及既定ノ規則ヲ改正スル各省ノ命令ニ付其ノ發布ノ前通知ヲ受ク
第十八條 會計檢査院ハ計算書及計算證明ノ樣式竝ニ其ノ提出及推問ニ對スル答辯ノ期限ヲ定ム
第十九條 會計檢査院ハ各官廳ヲシテ檢査上必要ナル簿書及報吿ヲ提出セシメ及主任官吏ノ辯明書ヲ求ムルコトヲ得
會計檢査院長ハ檢査上必要ト認ムルトキハ主任官吏ヲ派遣シ實地檢査ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ豫メ本屬長官ニ通知シ該長官ハ主任官吏ヲシテ檢査ニ立會ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十條 會計檢査院ハ出納官吏ノ計算書及證憑書類ヲ檢査シ正當ナリト判決シタルトキハ該官ニ對シ認可狀ヲ付シ其ノ責任ヲ解除ス若必要ナル場合ニ於テハ之ヲ推問シ辯明又ハ正誤ヲ爲サシメ仍正當ナラスト判決シタルトキハ本屬長官ニ移牒シテ處分ヲ爲サシム
第二十一條 會計檢査院ノ判決ニ據リ辨償ノ責ヲ負フ者ハ天皇ノ恩赦ニ由ルノ外本屬長官之ヲ減免スルコトヲ得ス
第二十二條 出納官吏計算書及證憑書ノ提出ヲ怠リ又ハ樣式ヲ守ラサルトキハ會計檢査院ハ本屬長官ニ移牒シテ懲戒處分ヲ要求スルコトヲ得
第二十三條 政府ノ機密費ニ關ル計算ハ會計檢査院ニ於テ檢査ヲ行フ限ニ在ラス
第二十四條 會計檢査院ハ認可狀ヲ付スルノ後ト雖其ノ付シタル日ヨリ五箇年以內ニ於テハ出納官吏ヨリ之ヲ請求スルカ又ハ計算書ノ誤謬脫漏二重記載アルコトヲ發見シタルトキハ再審ヲ爲スコトヲ得但シ詐僞ノ證憑ヲ發見シタルトキハ五箇年後ト雖再審ヲ爲スコトヲ得
出納官吏ハ會計檢査院再審ノ判決ニ對シテ再ヒ審判ヲ請求スルコトヲ得ス