(航路及びその周辺の海域における工事等)
第三十条 次の各号のいずれかに該当する者は、当該各号に掲げる行為について海上保安庁長官の許可を受けなければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で運輸省令で定めるものについては、この限りでない。
一 航路又はその周辺の政令で定める海域において工事又は作業をしようとする者
二 前号に掲げる海域(港湾区域と重複している海域を除く。)において工作物の設置(現に存する工作物の規模、形状又は位置の変更を含む。以下同じ。)をしようとする者
2 海上保安庁長官は、前項の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしなければならない。
一 当該申請に係る行為が船舶交通の妨害となるおそれがないと認められること。
二 当該申請に係る行為が許可に附された条件に従つて行なわれることにより船舶交通の妨害となるおそれがなくなると認められること。
三 当該申請に係る行為が災害の復旧その他公益上必要やむを得ず、かつ、一時的に行なわれるものであると認められること。
3 海上保安庁長官は、第一項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、当該許可の期間を定め(同項第二号に掲げる行為については、仮設又は臨時の工作物に係る場合に限る。)、及び当該許可に係る行為が前項第一号に該当する場合を除き当該許可に船舶交通の妨害を予防するため必要な条件を附することができる。
4 海上保安庁長官は、船舶交通の妨害を予防し、又は排除するため特別の必要が生じたときは、前項の規定により附した条件を変更し、又は新たに条件を附することができる。
5 海上保安庁長官は、第一項の規定による許可を受けた者が前二項の規定による条件に違反したとき、又は船舶交通の妨害を予防し、若しくは排除するため特別の必要が生じたときは、その許可を取り消し、又はその許可の効力を停止することができる。
6 海上保安庁長官は、前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び証拠の提出の機会を与えなければならない。ただし、船舶交通の妨害を予防し、又は排除するため緊急やむを得ないときは、この限りでない。
7 第一項の規定による許可を受けた者は、当該許可の期間が満了したとき、又は第五項の規定により当該許可が取り消されたときは、すみやかに当該工作物の除去その他原状に回復する措置をとらなければならない。
8 国の機関又は地方公共団体(港湾法の規定による港務局を含む。以下同じ。)が第一項各号に掲げる行為(同項ただし書の行為を除く。)をしようとする場合においては、当該国の機関又は地方公共団体と海上保安庁長官との協議が成立することをもつて同項の規定による許可があつたものとみなす。
9 港則法に基づく港の境界附近においてする第一項第一号に掲げる行為については、同法第三十一条第一項(同法第三十七条の三において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けたときは第一項の規定による許可を受けることを要せず、同項の規定による許可を受けたときは同法第三十一条第一項(同法第三十七条の三において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けることを要しない。
(航路及びその周辺の海域以外の海域における工事等)
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、あらかじめ、当該各号に掲げる行為をする旨を海上保安庁長官に届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で運輸省令で定めるものについては、この限りでない。
一 前条第一項第一号に掲げる海域以外の海域において工事又は作業をしようとする者
二 前号に掲げる海域(港湾区域と重複している海域を除く。)において工作物の設置をしようとする者
2 海上保安庁長官は、前項の届出に係る行為が次の各号のいずれかに該当するときは、当該届出のあつた日から起算して三十日以内に限り、当該届出をした者に対し、船舶交通の危険を防止するため必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 当該届出に係る行為が船舶交通に危険を及ぼすおそれがあると認められること。
二 当該届出に係る行為が係留施設を設置する行為である場合においては、当該係留施設に係る船舶交通が他の船舶交通に危険を及ぼすおそれがあると認められること。
3 海上保安庁長官は、第一項の届出があつた場合において、実地に特別な調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に同項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、同項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の届出をした者に対し、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。
4 前条第六項の規定は、第二項の規定による処分をしようとする場合について準用する。
5 国の機関又は地方公共団体は、第一項各号に掲げる行為(同項ただし書の行為を除く。)をしようとするときは、同項の規定による届出の例により、海上保安庁長官にその旨を通知しなければならない。
6 海上保安庁長官は、前項の規定による通知があつた場合において、当該通知に係る行為が第二項各号のいずれかに該当するときは、当該国の機関又は地方公共団体に対し、船舶交通の危険を防止するため必要な措置をとることを要請することができる。この場合において、当該国の機関又は地方公共団体は、そのとるべき措置について海上保安庁長官と協議しなければならない。
7 港則法に基づく港の境界附近においてする第一項第一号に掲げる行為については、同法第三十一条第一項(同法第三十七条の三において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けたときは、第一項の規定による届出をすることを要しない。
(違反行為者に対する措置命令)
第三十二条 海上保安庁長官は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、当該違反行為に係る工事又は作業の中止、当該違反行為に係る工作物の除去、移転又は改修その他当該違反行為に係る工事若しくは作業又は工作物の設置に関し船舶交通の防害を予防し、又は排除するため必要な措置(第四号に掲げる者に対しては、船舶交通の危険を防止するため必要な措置)をとるべきことを命ずることができる。
一 第三十条第一項の規定に違反して同項各号に掲げる行為をした者
二 第三十条第三項の規定により海上保安庁長官が附し、又は同条第四項の規定により海上保安庁長官が変更し、若しくは附した条件に違反した者
三 第三十条第七項の規定に違反して当該工作物の除去その他原状に回復する措置をとらなかつた者
四 前条第一項の規定に違反して同項各号に掲げる行為をした者
(海難が発生した場合の措置)
第三十三条 海難により船舶交通の危険が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、当該海難に係る船舶の船長は、できる限りすみやかに、運輸省令で定めるところにより、標識の設置その他の船舶交通の危険を防止するため必要な応急の措置をとり、かつ、当該海難の概要及びとつた措置について海上保安庁長官に通報しなければならない。ただし、港則法第二十五条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
2 海上保安庁長官は、船長が前項の規定による措置をとらなかつたとき又は同項の規定により船長がとつた措置のみによつては船舶交通の危険を防止することが困難であると認めるときは、船舶交通の危険の原因となつている船舶(船舶以外の物件が船舶交通の危険の原因となつている場合は、当該物件を積載し、引き、又は押していた船舶)の所有者(当該船舶が共有されているときは船舶管理人、当該船舶が貸し渡されているときは船舶借入人)に対し、当該船舶の除去その他船舶交通の危険を防止するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。