(河川立体区域)
第五十八条の二 河川管理者は、河川管理施設が、地下に設けられたもの、建物その他の工作物内に設けられたもの又は洪水時の流水を貯留する空間を確保するためのもので柱若しくは壁及びこれらによつて支えられる人工地盤から成る構造を有するものである場合において、当該河川管理施設の存する地域の状況を勘案し、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため必要があると認めるときは、第六条第一項の規定にかかわらず、当該河川管理施設に係る河川区域を地下又は空間について一定の範囲を定めた立体的な区域として指定することができる。
2 河川管理者は、前項の河川区域(以下この章及び第百六条第三号において「河川立体区域」という。)を指定するときは、建設省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
(河川保全立体区域)
第五十八条の三 河川管理者は、河川立体区域を指定する河川管理施設を保全するため必要があると認めるときは、当該河川立体区域に接する一定の範囲の地下又は空間を河川保全立体区域として指定することができる。
2 建設大臣は、河川保全立体区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
3 河川保全立体区域の指定は、当該河川管理施設を保全するため必要な最小限度の範囲に限つてするものとする。
4 河川管理者は、河川保全立体区域を指定するときは、建設省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
5 河川保全区域が指定されている前条第一項の河川管理施設について、河川保全立体区域の指定があつたときは、当該河川保全区域の指定は、その効力を失う。
(河川保全立体区域における行為の制限)
第五十八条の四 河川保全立体区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める行為については、この限りでない。
一 土地の掘削、盛土又は切土その他土地の形状を変更する行為
三 載荷重が一平方メートルにつき政令で定める重量以上の土石その他の物件の集積
2 第三十三条の規定は、相続人、合併により設立される法人その他の前項の許可を受けた者の一般承継人、同項の許可を受けた者からその許可に係る土地若しくは工作物又は当該許可に係る工作物の新築等をすべき土地(以下この項において「許可に係る土地等」という。)を譲り受けた者及び同項の許可を受けた者から賃貸借その他により当該許可に係る土地等を使用する権利を取得した者について準用する。
(河川予定立体区域)
第五十八条の五 河川管理者は、河川工事を施行するため必要があると認めるときは、河川工事の施行により新たに河川立体区域として指定すべき地下又は空間を河川予定立体区域として指定することができる。
2 河川予定立体区域の指定は、当該河川工事を施行することが当該工事の実施の計画からみて確実となつた日以後でなければ、してはならない。
3 河川管理者は、河川予定立体区域を指定するときは、建設省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
4 河川予定地が指定されている第五十八条の二第一項の河川管理施設について、河川予定立体区域の指定があつたときは、当該河川予定地の指定は、その効力を失う。
(河川予定立体区域における行為の制限)
第五十八条の六 河川予定立体区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める行為については、この限りでない。
一 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状を変更する行為
2 河川管理者は、前項の規定による制限により損失を受けた者がある場合においては、その者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
3 第二十二条第四項及び第五項の規定は前項の規定による損失の補償について、第三十三条の規定は相続人、合併により設立される法人その他の第一項の許可を受けた者の一般承継人、同項の許可を受けた者からその許可に係る土地若しくは工作物又は当該許可に係る工作物の新築等をすべき土地(以下この項において「許可に係る土地等」という。)を譲り受けた者及び同項の許可を受けた者から賃貸借その他により当該許可に係る土地等を使用する権利を取得した者について、準用する。
(河川管理者が権原を取得した河川予定立体区域)
第五十八条の七 河川管理者が河川予定立体区域内の地下又は空間について権原を取得した後においても、当該区域が河川立体区域となる前においても、この法律の適用については、その地下又は空間は、河川立体区域内の地下又は空間とみなす。ただし、罰則の適用については、特にその旨の定めがある場合に限る。