(目的)
第一条 この法律は、失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)に規定する受給資格者若しくは船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の規定による失業保険金の受給資格者が沖縄地域において失業し、又は沖縄地域に施行されている法令の規定による失業保険金の受給資格者が本邦において失業している場合に、これらの者が当該受給資格に基づく保険給付に相当する給付を受けることができるようにするための措置を講じ、もつてこれらの者の生活の安定を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 本邦 出入国管理令(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第一号に規定する本邦をいう。
二 沖縄地域 硫黄鳥島及び伊平屋島並びに北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)の地域をいう。
三 失業保険法相当給付 失業保険法に規定する受給資格者が当該受給資格に基づいて同法の規定により受けることができる保険給付に相当する給付をいう。
四 船員保険法相当給付 船員保険法の規定による失業保険金の受給資格者が当該受給資格に基づいて同法の規定により受けることができる保険給付に相当する給付をいう。
五 沖縄失業保険法 沖縄地域に施行されている失業保険法(千九百五十八年立法第五号)をいう。
六 沖縄法受給資格者 沖縄失業保険法に規定する受給資格者をいう。
七 沖縄法相当給付 沖縄法受給資格者が当該受給資格に基づいて沖縄失業保険法の規定により受けることができる保険給付に相当する給付をいう。
(失業保険法相当給付の費用の負担等)
第三条 政府は、琉球政府が、沖縄地域に居住する失業保険法に規定する受給資格者(沖縄法受給資格者である者を除く。)に失業保険法相当給付を行なうときは、琉球政府に対して、失業保険法相当給付に要する費用及び失業保険法相当給付に係る事務の執行に要する費用を交付する。
2 失業保険法相当給付の受給につき琉球政府の当局において失業の認定又は疾病若しくは負傷のため職業につくことができないことの認定を受けた者が本邦に居住するに至つたときは、その者に対する失業保険法第十九条(同法第二十六条第十項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの認定に係る日数は、その者が公共職業安定所に離職後最初に求職の申込みをした日以後における失業の日数とみなす。
3 失業保険法相当給付の支給を受けた者が本邦に居住するに至つたときは、その者に対する失業保険法の規定の適用については、その者が支給を受けた失業保険法相当給付は、これに相当する同法の規定による保険給付とみなす。
4 失業保険法相当給付に要する費用に係る琉球政府への交付金は、失業保険法第二十八条第一項の規定の適用については、同法第三十八条の五の日雇労働被保険者以外の被保険者に係る失業保険事業についての保険給付に要する費用とみなす。
5 毎会計年度において交付した前項の交付金は、失業保険法第二十八条第二項及び第三十条第二項の規定の適用については、当該会計年度において支給した同法第三十八条の五の日雇労働被保険者以外の被保険者に係る失業保険事業についての保険給付費とみなす。
6 失業保険法相当給付に係る事務の執行に要する費用に係る琉球政府への交付金は、失業保険法第二十八条第四項の規定の適用については、失業保険事業の事務の執行に要する経費とみなす。
7 次の各号に掲げる失業保険法の規定は、それぞれ当該各号に規定する事項について準用する。
一 第四十七条の三及び第四十八条の二 失業保険法相当給付に係る公課の禁止及び戸籍事項の無料証明
二 第四十九条第二項並びに第五十三条、第五十三条の二及び第五十五条 失業保険金に相当する失業保険法相当給付の支給を受けるために必要な証明書の交付及びこれを拒んだ者がある場合における処罰
8 前項の場合において、失業保険法第四十八条の二中「行政庁」とあるのは、「琉球政府の当局」と読み替えるものとする。
(船員保険法相当給付の費用の負担等)
第四条 政府は、琉球政府が、沖縄地域に居住する船員保険法の規定による失業保険金の受給資格者(沖縄法受給資格者である者を除く。)に船員保険法相当給付を行なうときは、琉球政府に対して、船員保険法相当給付に要する費用及び船員保険法相当給付に係る事務の執行に要する費用を交付する。
2 船員保険法相当給付の受給につき琉球政府の当局において失業の認定又は疾病若しくは負傷のため職業につくことができないことの認定を受けた者が本邦に居住するに至つたときは、その者に対する船員保険法第三十三条ノ十一(同法第三十三条ノ十六第七項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、これらの認定に係る日数は、その者が海運局又は公共職業安定所に求職の申込みをした日以後における失業の日数とみなす。
3 船員保険法相当給付の支給を受けた者が本邦に居住するに至つたときは、その者に対する船員保険法の規定の適用については、その者が支給を受けた船員保険法相当給付は、これに相当する同法の規定による保険給付とみなす。
4 船員保険法相当給付に要する費用に係る琉球政府への交付金は、船員保険法第五十八条第一項の規定の適用については、同法の規定による保険給付に要する費用とみなす。
5 毎会計年度において交付した前項の交付金は、船員保険法第五十八条第二項の規定の適用については、当該会計年度において同法の規定により支給した失業保険金に要した費用とみなす。
6 船員保険法相当給付に係る事務の執行に要する費用に係る琉球政府への交付金は、船員保険法第五十八条第四項の規定の適用については、船員保険事業の事務の執行に要する費用とみなす。
7 次の各号に掲げる船員保険法の規定は、それぞれ当該各号に規定する事項について準用する。
一 第八条及び第二十六条 船員保険法相当給付に係る戸籍事項の無料証明及び公課の禁止
二 第九条第二項並びに第六十八条及び第七十条 船員保険法相当給付の支給を受けるために必要な証明書の交付及びこれを拒んだ者がある場合における処罰
8 前項の場合において、船員保険法第八条第一項中「行政庁」とあるのは、「琉球政府ノ当局」と読み替えるものとする。
(沖縄法相当給付の支給)
第五条 政府は、本邦に居住する沖縄法受給資格者(失業保険法に規定する受給資格者又は船員保険法の規定による失業保険金の受給資格者である者を除く。以下同じ。)に対し、沖縄法相当給付を支給する。
2 沖縄法相当給付の支給は、次項及び第四項の規定に基づく政令において定めるもののほか、沖縄失業保険法の定めるところに準じて行なうものとする。
3 次の各号に掲げる失業保険法の規定は、それぞれ当該各号に規定する事項について準用する。
一 第十六条及び第二十六条第二項 沖縄法相当給付の支給に係る失業の認定及び疾病又は負傷のために職業につくことができないことの認定
二 第二十三条の二 詐欺その他不正の行為によつて沖縄法相当給付を受けた者又はその者を雇用し、若しくは雇用していた事業主に対する返還命令及び当該返還命令に係る金額の納付を怠つた場合における督促その他の措置
三 第二十四条、第二十六条第七項及び第九項並びに第二十七条第二項 沖縄法相当給付の支給の手続
四 第二十六条第八項 沖縄失業保険法の規定による傷病給付金に相当する沖縄法相当給付と他の法令による給付との支給の調整
五 第三十八条の七 沖縄失業保険法の規定による失業保険金に相当する沖縄法相当給付と失業保険法の規定による日雇労働被保険者に係る失業保険金との支給の調整
六 第四十条から第四十二条まで 沖縄法相当給付に関する処分又は第二号において準用する失業保険法第二十三条の二第一項の規定による処分についての不服申立て及び訴訟
七 第四十七条から第四十七条の三まで及び第四十八条の二 沖縄法相当給付に係る時効、受給権の譲渡及び差押えの禁止、公課の禁止並びに戸籍事項の無料証明
八 第五十条及び第五十四条 沖縄法相当給付の支給に関する必要な報告若しくは文書の提出又は出頭の命令及び当該命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた者がある場合における処罰
十 第五十一条及び第五十三条から第五十五条まで 沖縄法相当給付の支給に関する沖縄法受給資格者に係る質問及び検査並びに当該質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は当該検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者がある場合における処罰
4 沖縄失業保険法の改正により沖縄法受給資格者が同法の規定により受けることができる保険給付の種類、内容、支給の手続その他の事項が改められた場合において、当該保険給付に相当する沖縄法相当給付の適切な支給を行なうために必要があるときは、政令で所要の定めをすることができる。
5 沖縄法相当給付に要する費用及び沖縄法相当給付に係る事務の執行に要する費用は、琉球政府からの受入金をもつて充てる。