第一條 この法律は、歯科衞生士の資格を定め、もつて歯科疾患の予防及び口くう衞生の向上を図ることを目的とする。
第二條 この法律において「歯科衞生士」とは、都道府縣知事の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。)の直接の指導の下に、歯牙及び口くうの疾患の予防処置として左に掲げる行爲を行うことを業とする者をいう。
一 歯牙露出面及び正常な歯ぐきの遊離縁下の附着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること。
第三條 歯科衞生士になろうとする者は、歯科衞生士試驗(以下試驗という。)に合格し、都道府縣知事の歯科衞生士免許(以下免許という。)を受けなければならない。
第四條 つんぼ、おし又は盲の者には、免許を與えない。
第五條 左の各号の一に該当する者には、免許を與えないことがある。
二 前号に該当する者を除く外、歯科衞生士の業務に関し犯罪又は不正の行爲があつた者
四 精神病者、麻藥若しくは大麻の中毒者又は伝染性の疾病にかかつている者
第六條 都道府縣に歯科衞生士籍を備え、免許に関する事項を登録する。
第七條 免許は、歯科衞生士籍に登録することによつて、これをなす。
2 都道府縣知事は、免許を與えたときは、歯科衞生士籍に登録し、歯科衞生士免許証(以下免許証という。)を交付する。
3 歯科衞生士は、毎年十二月三十一日現在において、その氏名、住所(業務に從事する者については、更にその場所、)その他省令で定める事項を、翌年一月十五日までにその住所地の都道府縣知事に届け出なければならない。
第八條 歯科衞生士が、第四條の規定に該当するときは、都道府縣知事は、その免許を取り消す。
2 歯科衞生士が、第五條各号の一に該当し、又は歯科衞生士としての品位を損するような行爲のあつたときは、都道府縣知事は、その免許を取り消し、又は期間を定めて業務の停止を命ずることができる。
3 前項の規定による取消処分を受けた者であつても、疾病がなおり、又は改しゆんの情が顯著であるときは、再免許を與えることができる。この場合においては、第七條第一項又は第二項の規定を準用する。
4 第一項又は第二項に規定する処分がなされるに当つては、当該処分を受ける者に、都道府縣知事の指定した吏員その他の者に対して弁明する機会が與えられなければならない。この場合においては、都道府縣知事は、当該処分を受ける者に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき事由を通知しなければならない。
5 前項の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、且つ、自己に有利な証拠を提出することができる。
6 弁明の聽取をした者は、聽取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、且つ、処分の決定について、都道府縣知事に意見を述べなければならない。
第九條 この法律に規定するものの外、免許の申請、歯科衞生士籍の登録、訂正及び抹消、免許証の交付、書換交付、再交付及び返納並びに住所の届出に関する事項は、省令でこれを定める。
第十條 試驗は、歯科衞生士として必要な知識及び技能について、これを行う。
第十一條 試驗は、厚生大臣が、毎年少くとも一回これを行う。
2 厚生大臣は、試驗に関する事務の全部又は一部を、都道府縣知事に委任することができる。
3 厚生大臣は、歯科医師國家試驗委員に、前項の規定によつて都道府縣知事に委任した事項を除く外、試驗問題の作製、採点その他試驗の施行に関して必要な事務を掌らせるものとする。
第十二條 試驗は、左の各号の一に該当する者でなければ、これを受けることができない。
二 厚生大臣の指定した歯科衞生士養成所を卒業した者
三 外國の歯科衞生士学校を卒業し、又は外國において歯科衞生士免許を得た者で、厚生大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの
第十三條 歯科衞生士でなければ、第二條に規定する業をしてはならない。但し、歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)の規定に基いてなす場合は、この限りでない。
第十四條 この法律に規定するものの外、学校又は養成所の指定に関して必要な事項並びに試驗科目、受驗手続及び合格証書に関して必要な事は、省令でこれを定める。
第十五條 第十三條の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第十六條 業務停止中の歯科衞生士であつてその業務をなした者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第十七條 第七條第三項の規定に違反した者は、これを五千円以下の罰金に処する。