生活保護法
法令番号: 法律第17号
公布年月日: 昭和21年9月9日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦災者、引揚者、戦没者遺族、傷痍軍人、失業者等の生活困窮者が増加し、その困窮度も深刻化している。政府は経済安定策や就業対策を進めているが、現に困窮している者への保護対策も急務である。現行の救護法等は限定的で保護内容にも差別があり実情に合わない。そこで従来の諸法規を廃止し、新たに生活保護法を制定することで、保護を要する者を広く網羅し、事由によらない普遍平等な保護を実現する。これは基本的人権の尊重という民主主義国家の目標に沿うものであり、完全な社会保障制度確立への第一歩となる。

参照した発言:
第90回帝国議会 衆議院 本会議 第18号

審議経過

第90回帝国議会

衆議院
(昭和21年7月18日)
(昭和21年7月24日)
(昭和21年7月25日)
(昭和21年7月27日)
(昭和21年7月30日)
(昭和21年8月17日)
貴族院
(昭和21年8月19日)
(昭和21年9月5日)
朕は、帝國議會の協贊を經た生活保護法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年九月七日
内閣總理大臣 吉田茂
内務大臣 大村清一
厚生大臣 河合良成
大藏大臣 石橋湛山
法律第十七號
生活保護法
第一章 總則
第一條 この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、國が差別的又は優先的な取扱をなすことなく平等に保護して、社會の福祉を増進することを目的とする。
第二條 左の各號の一に該當する者には、この法律による保護は、これをなさない。
一 能力があるにもかかはらず、勤勞の意思のない者、勤勞を怠る者その他生計の維持に努めない者
二 素行不良な者
第三條 扶養義務者が扶養をなし得る者には、急迫した事情がある場合を除いては、この法律による保護は、これをなさない。
第二章 保護機關
第四條 保護は、保護を受ける者の居住地の市町村長(東京都の區のある區域においては東京都長官とする。以下同じ。)、居住地がないか、又は明かでないときは、現在地の市町村長がこれを行ふ。
第五條 民生委員令による民生委員は、命令の定めるところにより、保護事務に關して市町村長を補助する。
第三章 保護施設
第六條 この法律において保護施設とは、この法律による保護を目的とする施設又はこの法律による保護を受ける者の援護のために必要な施設をいふ。
前項の援護とは、宿所の提供その他この法律による保護を全うするため必要な事項で命令をもつて定めるものをいふ。
第七條 市町村が保護施設を設置しようとするときは、その設備について、地方長官の認可を受けなければならない。
市町村以外の者(都道府縣を除く。以下同じ。)が保護施設を設置しようとするときは、地方長官の認可を受けなければならない。
第八條 前條第二項の規定により設置した保護施設は、市町村長が保護又は援護のため行ふ委託を拒むことができない。
第九條 この法律で定めるものの外、保護施設の設置、管理、廢止その他保護施設に關して必要な事項は、命令でこれを定める。
第四章 保護の種類、程度及び方法
第十條 保護は、生活に必要な限度を超えることができない。
第十一條 保護の種類は、左の通りである。
一 生活扶助
二 醫療
三 助産
四 生業扶助
五 葬祭扶助
前項各號の保護の程度及び方法は、勅令でこれを定める。
第十二條 市町村長は、必要と認めるときは、保護を受ける者を保護施設に收容し、若しくは收容を委託し、又は私人の家庭若しくは適當な施設に收容を委託することができる。
第十三條 市町村長は、保護を受ける者の親權者又は後見人がその權利を適切に行はない場合は、その異議があつても、前條の規定による處分をなすことができる。
第十四條 保護施設の長は、命令の定めるところにより、その施設に收容された者に對して、適當な作業を行はせることができる。
第十五條 第十二條の規定により收容され、又は收容を委託された未成年者について、親權者及び後見人の職務を行ふ者がないときは、市町村長又はその指定した者が、勅令の定めるところにより、後見人の職務を行ふ。
第十六條 市町村長は保護を受ける者に對して、勤勞その他生計の維持に必要なことに關して指示をなすことができる。
第十七條 保護を受ける者が死亡した場合は、勅令の定めるところにより、葬祭を行ふ者に對して、葬祭費を給することができる。
保護を受ける者が死亡した場合に、葬祭を行ふ者がないときは、保護をなした市町村長が、葬祭を行はなければならない。
第五章 保護費
第十八條 保護を受ける者が同一の市町村に一箇年以上引續いて居住する者であるときは、保護に要する費用は、その居住地の市町村の負擔とする。
保護を受ける者が東京都の區のある區域に居住する者であるときは、保護に要する費用は、東京都の負擔とする。
第十九條 保護を受ける者が左の各號の一に該當する者であるときは、その居住期間が一箇年に滿たない場合においても、保護に要する費用は、その居住地の市町村の負擔とする。
一 夫婦の一方が居住一箇年以上であるとき、同居の他の一方
二 父母その他の直系尊屬が居住一箇年以上であるとき、同居の子その他の直系卑屬
三 子その他の直系卑屬が居住一箇年以上であるとき、同居の父母その他の直系尊屬
第二十條 第十八條第一項及び前條に規定する期間の計算については、勅令の定めるところによる。
第二十一條 保護に要する費用が第十八條第一項及び第十九條の規定により市町村の負擔とならない場合は、その費用は、保護を受ける者の居住地の都道府縣の負擔とする。
保護を受ける者の居住地がないか、又は明かでないときは、保護に要する費用は、その者の現在地の都道府縣の負擔とする。
第二十二條 第十七條第一項の葬祭費及び同條第二項の規定による葬祭に要する費用の負擔に關しては、第十八條乃至前條の規定を準用する。
第二十三條 第五條の規定により民生委員が職務を行ふため必要な費用は、市町村(東京都の區のある區域に置かれる民生委員については東京都とする。)の負擔とする。
第二十四條 都道府縣が設置した保護施設及び第七條の規定により市町村又は市町村以外の者が設置した保護施設の事務費は、勅令の定めるところにより、第十八條、第十九條及び第二十一條の規定によりその施設で保護又は援護を受ける者の保護に要する費用を負擔する市町村又は都道府縣がこれを負擔する。
第二十五條 第二十一條及び第二十二條の規定により都道府縣が負擔する費用は、保護を行つた地の市町村が、一時これを繰替支辨しなければならない。
第二十六條 都道府縣は、勅令の定めるところにより、第七條第二項の規定により市町村以外の者が設置した保護施設の設備に要する費用に對して、その四分の三を補助しなければならない。
第二十七條 都道府縣は、勅令の定めるところにより、左の費用に對して、その四分の一を補助しなければならない。
一 第二十三條の規定により市町村が負擔した費用
二 第七條第一項の規定により市町村が設置した保護施設の設備に要する費用
第二十八條 都道府縣は、勅令の定めるところにより、第十八條第一項、第十九條、第二十二條及び第二十四條の規定により市町村が負擔した費用に對して、その十分の一を補助しなければならない。
第二十九條 國庫は、勅令の定めるところにより、第十八條、第十九條、第二十一條、第二十二條及び第二十四條の規定により市町村又は都道府縣が負擔した費用に對して、その十分の八を補助する。
第三十條 國庫は、勅令の定めるところにより、第二十六條の規定により都道府縣が負擔した費用に對して、その三分の二を補助する。
第三十一條 國庫は、勅令の定めるところにより、左の費用に對して、その二分の一を補助する。
一 第二十三條の規定により市町村又は東京都が負擔した費用
二 都道府縣が設置した保護施設及び第七條第一項の規定により市町村が設置した保護施設の設備に要する費用
第三十二條 保護を受ける者に資力があるにもかかはらず保護をなしたときは、保護に要する費用を負擔した市町村又は都道府縣は、その者から、その費用の全部又は一部を徴收することができる。
第三十三條 保護を受けた者が保護に要した費用を辨償する資力を有するやうになつたときは、保護の費用を負擔した市町村又は都道府縣は、保護を廢止した日から五箇年以内に、その費用の全部又は一部の償還を命ずることができる。
第三十四條 保護を受ける者に對して民法により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範圍内において、保護に要する費用を負擔した市町村又は都道府縣は、その費用の全部又は一部をその者から徴收することができる。
前項の規定による費用の徴收に關して爭があるときは、民事訴訟による。
第三十五條 保護を受ける者が死亡したときは、市町村長は、命令の定めるところにより、遺留の金錢を保護に要した費用、第十七條第一項の葬祭費及び同條第二項の規定による葬祭に要した費用に充て、なほ足りないときは、遺留した物品を賣却して、これに充てることができる。
第六章 雜則
第三十六條 保護を受ける者が左の各號の一に該當するときは、市町村長は、保護をなさないことができる。
一 この法律又はこの法律に基いて發する命令により市町村長又は保護施設の長がなした處分又は指示に從はないとき。
二 正當な理由がなく保護に關する檢診又は調査を拒んだとき。
第三十七條 第七條第二項の規定により設置した保護施設が、この法律若しくはこの法律に基いて發する命令又はこれに基いてなす處分に違反したときは、地方長官は、同項の認可を取り消すことができる。
第三十八條 この法律により給與を受けた保護金品を標準として、租税その他の公課を課することができない。
第三十九條 この法律による保護金品は、既に給與を受けたものであるとないとにかかはらず、これを差し押へることができない。
第四十條 都道府縣、市町村その他の公共團體は、左の建物及び土地に對しては、有料で使用させるものを除いては、租税その他の公課を課することができない。
一 主として保護施設のために使ふ建物
二 前號の建物の敷地その他主として保護施設のために使ふ土地
第四十一條 詐僞その他不正な手段により保護を受け、又は受けさせた者は、六箇月以下の懲役又は五百圓以下の罰金に處する。
第四十二條 この法律中町村に關する規定は、町村制を施行しない地においては町村に準ずるものに、町村長に關する規定は、町村長に準ずる者にこれを適用する。
附 則
第四十三條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第四十四條 救護法、軍事扶助法、母子保護法、醫療保護法及び戰時災害保護法は、これを廢止する。
第四十五條 救護法第七條若しくは母子保護法第九條第二項の規定により設置した施設又は醫療保護法第六條の規定により經營する施設(都道府縣の施設を除く。)で、この法律施行の際現に存するものは、この法律施行の日から二箇月間を限り、第七條の規定による認可を受けなくても、同條の認可を受けた保護施設とみなす。
前項の施設の設置者が同項の期間内に第七條の認可を申請した場合において、その申請に對する認可又は不認可の處分の日までも、また同項と同樣である。
第四十六條 北海道舊土人保護法の一部を次のやうに改正する。
第四條乃至第六條 削除
第八條中「第四條乃至前條」を「前三條」に改める。
第四十七條 罹災救助基金法の一部を次のやうに改正する。
第十五條ノ二中「救護法施行」を「生活保護法施行」に改める。
朕は、帝国議会の協賛を経た生活保護法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年九月七日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 大村清一
厚生大臣 河合良成
大蔵大臣 石橋湛山
法律第十七号
生活保護法
第一章 総則
第一条 この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、国が差別的又は優先的な取扱をなすことなく平等に保護して、社会の福祉を増進することを目的とする。
第二条 左の各号の一に該当する者には、この法律による保護は、これをなさない。
一 能力があるにもかかはらず、勤労の意思のない者、勤労を怠る者その他生計の維持に努めない者
二 素行不良な者
第三条 扶養義務者が扶養をなし得る者には、急迫した事情がある場合を除いては、この法律による保護は、これをなさない。
第二章 保護機関
第四条 保護は、保護を受ける者の居住地の市町村長(東京都の区のある区域においては東京都長官とする。以下同じ。)、居住地がないか、又は明かでないときは、現在地の市町村長がこれを行ふ。
第五条 民生委員令による民生委員は、命令の定めるところにより、保護事務に関して市町村長を補助する。
第三章 保護施設
第六条 この法律において保護施設とは、この法律による保護を目的とする施設又はこの法律による保護を受ける者の援護のために必要な施設をいふ。
前項の援護とは、宿所の提供その他この法律による保護を全うするため必要な事項で命令をもつて定めるものをいふ。
第七条 市町村が保護施設を設置しようとするときは、その設備について、地方長官の認可を受けなければならない。
市町村以外の者(都道府県を除く。以下同じ。)が保護施設を設置しようとするときは、地方長官の認可を受けなければならない。
第八条 前条第二項の規定により設置した保護施設は、市町村長が保護又は援護のため行ふ委託を拒むことができない。
第九条 この法律で定めるものの外、保護施設の設置、管理、廃止その他保護施設に関して必要な事項は、命令でこれを定める。
第四章 保護の種類、程度及び方法
第十条 保護は、生活に必要な限度を超えることができない。
第十一条 保護の種類は、左の通りである。
一 生活扶助
二 医療
三 助産
四 生業扶助
五 葬祭扶助
前項各号の保護の程度及び方法は、勅令でこれを定める。
第十二条 市町村長は、必要と認めるときは、保護を受ける者を保護施設に収容し、若しくは収容を委託し、又は私人の家庭若しくは適当な施設に収容を委託することができる。
第十三条 市町村長は、保護を受ける者の親権者又は後見人がその権利を適切に行はない場合は、その異議があつても、前条の規定による処分をなすことができる。
第十四条 保護施設の長は、命令の定めるところにより、その施設に収容された者に対して、適当な作業を行はせることができる。
第十五条 第十二条の規定により収容され、又は収容を委託された未成年者について、親権者及び後見人の職務を行ふ者がないときは、市町村長又はその指定した者が、勅令の定めるところにより、後見人の職務を行ふ。
第十六条 市町村長は保護を受ける者に対して、勤労その他生計の維持に必要なことに関して指示をなすことができる。
第十七条 保護を受ける者が死亡した場合は、勅令の定めるところにより、葬祭を行ふ者に対して、葬祭費を給することができる。
保護を受ける者が死亡した場合に、葬祭を行ふ者がないときは、保護をなした市町村長が、葬祭を行はなければならない。
第五章 保護費
第十八条 保護を受ける者が同一の市町村に一箇年以上引続いて居住する者であるときは、保護に要する費用は、その居住地の市町村の負担とする。
保護を受ける者が東京都の区のある区域に居住する者であるときは、保護に要する費用は、東京都の負担とする。
第十九条 保護を受ける者が左の各号の一に該当する者であるときは、その居住期間が一箇年に満たない場合においても、保護に要する費用は、その居住地の市町村の負担とする。
一 夫婦の一方が居住一箇年以上であるとき、同居の他の一方
二 父母その他の直系尊属が居住一箇年以上であるとき、同居の子その他の直系卑属
三 子その他の直系卑属が居住一箇年以上であるとき、同居の父母その他の直系尊属
第二十条 第十八条第一項及び前条に規定する期間の計算については、勅令の定めるところによる。
第二十一条 保護に要する費用が第十八条第一項及び第十九条の規定により市町村の負担とならない場合は、その費用は、保護を受ける者の居住地の都道府県の負担とする。
保護を受ける者の居住地がないか、又は明かでないときは、保護に要する費用は、その者の現在地の都道府県の負担とする。
第二十二条 第十七条第一項の葬祭費及び同条第二項の規定による葬祭に要する費用の負担に関しては、第十八条乃至前条の規定を準用する。
第二十三条 第五条の規定により民生委員が職務を行ふため必要な費用は、市町村(東京都の区のある区域に置かれる民生委員については東京都とする。)の負担とする。
第二十四条 都道府県が設置した保護施設及び第七条の規定により市町村又は市町村以外の者が設置した保護施設の事務費は、勅令の定めるところにより、第十八条、第十九条及び第二十一条の規定によりその施設で保護又は援護を受ける者の保護に要する費用を負担する市町村又は都道府県がこれを負担する。
第二十五条 第二十一条及び第二十二条の規定により都道府県が負担する費用は、保護を行つた地の市町村が、一時これを繰替支弁しなければならない。
第二十六条 都道府県は、勅令の定めるところにより、第七条第二項の規定により市町村以外の者が設置した保護施設の設備に要する費用に対して、その四分の三を補助しなければならない。
第二十七条 都道府県は、勅令の定めるところにより、左の費用に対して、その四分の一を補助しなければならない。
一 第二十三条の規定により市町村が負担した費用
二 第七条第一項の規定により市町村が設置した保護施設の設備に要する費用
第二十八条 都道府県は、勅令の定めるところにより、第十八条第一項、第十九条、第二十二条及び第二十四条の規定により市町村が負担した費用に対して、その十分の一を補助しなければならない。
第二十九条 国庫は、勅令の定めるところにより、第十八条、第十九条、第二十一条、第二十二条及び第二十四条の規定により市町村又は都道府県が負担した費用に対して、その十分の八を補助する。
第三十条 国庫は、勅令の定めるところにより、第二十六条の規定により都道府県が負担した費用に対して、その三分の二を補助する。
第三十一条 国庫は、勅令の定めるところにより、左の費用に対して、その二分の一を補助する。
一 第二十三条の規定により市町村又は東京都が負担した費用
二 都道府県が設置した保護施設及び第七条第一項の規定により市町村が設置した保護施設の設備に要する費用
第三十二条 保護を受ける者に資力があるにもかかはらず保護をなしたときは、保護に要する費用を負担した市町村又は都道府県は、その者から、その費用の全部又は一部を徴収することができる。
第三十三条 保護を受けた者が保護に要した費用を弁償する資力を有するやうになつたときは、保護の費用を負担した市町村又は都道府県は、保護を廃止した日から五箇年以内に、その費用の全部又は一部の償還を命ずることができる。
第三十四条 保護を受ける者に対して民法により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護に要する費用を負担した市町村又は都道府県は、その費用の全部又は一部をその者から徴収することができる。
前項の規定による費用の徴収に関して争があるときは、民事訴訟による。
第三十五条 保護を受ける者が死亡したときは、市町村長は、命令の定めるところにより、遺留の金銭を保護に要した費用、第十七条第一項の葬祭費及び同条第二項の規定による葬祭に要した費用に充て、なほ足りないときは、遺留した物品を売却して、これに充てることができる。
第六章 雑則
第三十六条 保護を受ける者が左の各号の一に該当するときは、市町村長は、保護をなさないことができる。
一 この法律又はこの法律に基いて発する命令により市町村長又は保護施設の長がなした処分又は指示に従はないとき。
二 正当な理由がなく保護に関する検診又は調査を拒んだとき。
第三十七条 第七条第二項の規定により設置した保護施設が、この法律若しくはこの法律に基いて発する命令又はこれに基いてなす処分に違反したときは、地方長官は、同項の認可を取り消すことができる。
第三十八条 この法律により給与を受けた保護金品を標準として、租税その他の公課を課することができない。
第三十九条 この法律による保護金品は、既に給与を受けたものであるとないとにかかはらず、これを差し押へることができない。
第四十条 都道府県、市町村その他の公共団体は、左の建物及び土地に対しては、有料で使用させるものを除いては、租税その他の公課を課することができない。
一 主として保護施設のために使ふ建物
二 前号の建物の敷地その他主として保護施設のために使ふ土地
第四十一条 詐偽その他不正な手段により保護を受け、又は受けさせた者は、六箇月以下の懲役又は五百円以下の罰金に処する。
第四十二条 この法律中町村に関する規定は、町村制を施行しない地においては町村に準ずるものに、町村長に関する規定は、町村長に準ずる者にこれを適用する。
附 則
第四十三条 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第四十四条 救護法、軍事扶助法、母子保護法、医療保護法及び戦時災害保護法は、これを廃止する。
第四十五条 救護法第七条若しくは母子保護法第九条第二項の規定により設置した施設又は医療保護法第六条の規定により経営する施設(都道府県の施設を除く。)で、この法律施行の際現に存するものは、この法律施行の日から二箇月間を限り、第七条の規定による認可を受けなくても、同条の認可を受けた保護施設とみなす。
前項の施設の設置者が同項の期間内に第七条の認可を申請した場合において、その申請に対する認可又は不認可の処分の日までも、また同項と同様である。
第四十六条 北海道旧土人保護法の一部を次のやうに改正する。
第四条乃至第六条 削除
第八条中「第四条乃至前条」を「前三条」に改める。
第四十七条 罹災救助基金法の一部を次のやうに改正する。
第十五条ノ二中「救護法施行」を「生活保護法施行」に改める。