復興金融金庫法
法令番号: 法律第34号
公布年月日: 昭和21年10月8日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦時補償問題の解決に伴い、企業の新旧勘定分離による経理整理が行われる中、過渡期における金融梗塞への対応と産業復興の促進が必要となっている。特に戦争による打撃から再出発する企業、中小企業、農村工業などへの支援が急務である。そこで、他の金融機関では供給困難な資金を提供する特殊金融機関として復興金融金庫を設立する。これは3年間の時限的機関として、政府出資100億円で設立され、復興金融委員会による民主的運営を行う。なお、現在日本興業銀行が実施している特別融資業務は、本金庫設立後に引き継ぐものとする。

参照した発言:
第90回帝国議会 衆議院 本会議 第36号

審議経過

第90回帝国議会

衆議院
(昭和21年8月27日)
(昭和21年8月29日)
(昭和21年9月21日)
貴族院
(昭和21年9月23日)
(昭和21年9月30日)
朕は、帝國議會の協贊を經た復興金融金庫法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十月七日
内閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 大村清一
農林大臣 和田博雄
遞信大臣 一松定吉
商工大臣 星島二郎
運輸大臣 平塚常次郎
大藏大臣 石橋湛山
法律第三十四號
復興金融金庫法
第一章 總則
第一條 復興金融金庫は、經濟の復興を促進するため必要な資金で他の金融機關等から供給を受けることが困難なものを供給することを目的とする。
復興金融金庫は、法人とする。
第二條 復興金融金庫は、主たる事務所を東京都に置く。
復興金融金庫は、復興金融委員會の承認を受けて、必要の地に從たる事務所を設置し、又は銀行その他の者に業務の一部を取り扱はせることができる。
復興金融委員會に關する規程は、勅令でこれを定める。
第三條 復興金融金庫の資本金は、百億圓とする。
第四條 政府は、百億圓を復興金融金庫に出資しなければならない。
政府は、その出資額に對して、設立の當初において四十億圓を拂ひ込み、その殘餘は、復興金融委員會の定めるところにより、これを拂ひ込むものとする。
第五條 復興金融金庫は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名稱
三 事務所の所在地
四 資本金額及び資産に關する事項
五 役員に關する事項
六 業務及びその執行に關する事項
七 復興金融債券の發行に關する事項
八 會計に關する事項
九 公告の方法
定款の變更は、復興金融委員會の承認を受けなければ、その效力を生じない。
第六條 復興金融金庫は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定により登記を必要とする事項は、登記した後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。
第七條 復興金融金庫には、所得税、法人税及び營業税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、復興金融金庫の事業に對しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第八條 復興金融金庫について解散を必要とする事由が發生した場合において、その處置に關しては、別に法律でこれを定める。
第九條 復興金融金庫でない者は、復興金融金庫又はこれに類似する名稱を用ひることができない。
第二章 役員
第十條 復興金融金庫に、役員として、理事長副理事長各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
第十一條 理事長は、復興金融金庫を代表し、その業務を總理する。
副理事長は、定款の定めるところにより、復興金融金庫を代表し、理事長を輔佐して復興金融金庫の業務を掌理し、理事長に事故のあるときはその職務を代理し、理事長が缺員のときはその職務を行ふ。
理事は、定款の定めるところにより、復興金融金庫を代表し、理事長及び副理事長を輔佐して復興金融金庫の業務を掌理し、理事長及び副理事長共に事故のあるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長共に缺員のときはその職務を行ふ。
監事は、復興金融金庫の業務を監査する。
第十二條 理事長、副理事長、理事及び監事は、復興金融委員會の推薦に基いて、政府が、これを任命する。
理事長、副理事長、理事及び監事の任期は、復興金融委員會の定めるところによる。
第十三條 理事長、副理事長及び理事は、定款の定めるところにより、主たる事務所又は從たる事務所の業務に關し一切の裁判上又は裁判外の行爲をする權限を有する代理人を選任することができる。
第十四條 理事長、副理事長及び理事は、他の職業に從事することができない。但し、復興金融委員會の承認を受けたときは、この限りでない。
第三章 業務
第十五條 復興金融金庫は、第一條に掲げる目的を達成するため、左の業務を行ふ。
一 資金の融通
二 債務の引受又は保證
三 社債(特別の法令によつて設立された法人で會社でない者の發行する債券を含む。以下これに同じ。)の應募又は引受
四 前各號の業務に附帶する業務
前項第一號の資金の融通は、復興金融金庫を振出人とする約束手形の交付又は爲替手形の引受により、これをすることができる。
復興金融金庫は、復興金融委員會の承認を受けて、第一項の業務の外、復興金融金庫の目的達成上必要な業務を行ふことができる。
第十六條 復興金融金庫は、業務開始の際、資金の融通に關する條件その他業務の方法を定め復興金融委員會の承認を受けなければならない。これを變更しようとするときも同樣とする。
第十七條 復興金融金庫は、設立の日から三年を經過した後は、あらたに資金の融通、債務の引受若しくは保證又は社債の應募若しくは引受をすることができない。
前項の期間は、復興金融委員會の承認を受けて、これを短縮し、又は延長することができる。
第四章 復興金融債券
第十八條 復興金融金庫は、復興金融債券を發行することができる。
復興金融債券の發行額と第十五條第一項の規定により引き受け、又は保證した債務の現存額の合計額は、復興金融金庫の未拂込資本金額を超えることができない。
第十九條 復興金融金庫は、復興金融債券の借換又は第十五條第一項の規定により引き受け、又は保證した債務の履行のため、一時前條第二項の制限によらないで、復興金融債券を發行することができる。
前項の規定により復興金融債券を發行したときは、發行後一箇月以内に、その發行額面金額に相當する舊復興金融債券を償還し、又は當該債務を履行しなければならない。
第二十條 復興金融債券は、割引の方法を以てこれを發行することができる。
第二十一條 復興金融金庫は、復興金融債券を發行しようとするときは、復興金融委員會の承認を受けなければならない。
第二十二條 復興金融債券の消滅時效は、元本については十五年、利息については五年で完成する。
第二十三條 この法律に規定するものを除く外、復興金融債券に關して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第五章 會計
第二十四條 復興金融金庫の事業年度は、四月から翌年三月までとする。
第二十五條 復興金融金庫は、毎事業年度の事業計畫及び經費の豫算を定め、事業年度開始までに、これを復興金融委員會に提出して承認を受けなければならない。これらに重大な變更を加へようとするときも同樣とする。
第二十六條 復興金融金庫は、毎事業年度に財産目録、貸借對照表、損益計算書及び復興金融委員會の定める統計書類を作成し、毎事業年度經過後二箇月以内に、これを復興金融委員會に提出して承認を受けなければならない。
復興金融委員會は、前項の規定による承認をしたときは、その財産目録、貸借對照表、損益計算書及び統計書類を附して、その旨を主務大臣に報告しなければならない。
復興金融金庫は、第一項の規定による復興金融委員會の承認を受けたときは、その財産目録、貸借對照表及び損益計算書を公告し、且つこれらの書類及び第一項の統計書類を各事務所に備へ置かなければならない。
第二十七條 復興金融金庫は、剩餘金を處分しようとするときは、復興金融委員會の承認を受けなければならない。
第六章 監督
第二十八條 復興金融金庫及び復興金融委員會は、主務大臣が、これを監督する。
第二十九條 主務大臣は、必要があると認めたときは、當該官吏に復興金融金庫の業務及び財産の状況を檢査させることができる。
第三十條 政府は、復興金融金庫の役員が法令若しくは定款に違反し、又は公益を害する行爲をしたときは、これを解任することができる。
第三十一條 主務大臣は、必要があると認めたときは、勅令の定めるところにより、左の各號に掲げる者からその業務及び財産の状況に關し報告を徴し、又は當該官吏にその業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を檢査させることができる。
一 復興金融金庫から資金の融通を受けた者
二 復興金融金庫により債務を引き受けられ、又は債務を保證された債務者
三 復興金融金庫により應募され、又は引き受けられた社債の發行者
第七章 罰則
第三十二條 前條の規定に違反して報告をせず、若しくは虚僞の報告をし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを六箇月以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に關して前項前段の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對しても同項の罰金刑を科する。
第三十三條 左の場合においては、復興金融金庫の理事長、副理事長、理事又は監事を五千圓以下の過料に處する。
一 この法律により復興金融委員會の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかつたとき。
二 この法律に規定されてゐない業務を行つたとき。
三 第十八條第二項の規定に違反して復興金融債券を發行し、又は債務の引受若しくは保證をしたとき。
四 第十九條第二項の規定に違反して復興金融債券を償還せず、又は債務の履行をしなかつたとき。
五 第二十九條の規定による當該官吏の檢査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第三十四條 左の場合においては、復興金融金庫の理事長、副理事長、理事又は監事を二千五百圓以下の過料に處する。
一 この法律又はこの法律に基いて發する勅令に違反して登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
二 第二十六條第一項の規定による書類に記載すべき事項を記載せず、又は不正の記載をしたとき。
三 第二十六條第三項の規定による公告をすることを怠り、若しくは不正の公告をし、又は同項の規定による書類を備へ置かなかつたとき。
第三十五條 第九條の規定に違反して復興金融金庫又はこれに類似する名稱を用ひた者は、これを一萬圓以下の過料に處する。
附 則
第三十六條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第三十七條 政府は、設立委員を命じ、復興金融金庫の設立に關する事務を處理させる。
第三十八條 設立委員は、定款を作成して復興金融委員會の承認を受けなければならない。
前項の承認があつたときは、設立委員は、遲滯なく出資の第一囘の拂込を政府に稟請しなければならない。
第三十九條 出資の第一囘の拂込があつたときは、設立委員は、遲滯なくその事務を復興金融金庫理事長に引き續がなければならない。
理事長が前項の引續を受けたときは、理事長、副理事長、理事及び監事の全員は、設立の登記をしなければならない。
復興金融金庫は、設立の登記をすることに因つて成立するものとする。
第四十條 復興金融金庫の初事業年度は、第二十四條の規定にかかはらず、成立の日から昭和二十二年三月までとする。
第四十一條 復興金融金庫は、日本興業銀行から第十五條の規定による資金の融通に相當する資金の融通を受けてゐる者に對して、この法律施行の際におけるその融通に因る債務の現存額と同額の資金の融通をしなければならない。
第四十二條 復興金融金庫でない者でこの法律施行の際現に復興金融金庫又はこれに類似する名稱を用ひてゐるものについては、この法律施行後六箇月を限り、第九條の規定を適用しない。
第四十三條 金融緊急措置令の一部を次のやうに改正する。
第八條中「國民更生金庫、」の下に「復興金融金庫、」を加へる。
第四十四條 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第十九條第七號中「戰時金融金庫、」の下に「復興金融金庫、」を、「戰時金融金庫法、」の下に「復興金融金庫法、」を、同條第十八號中「庶民金庫、」の下に「復興金融金庫、」を加へる。
第四十五條 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第五條第六號の二の三の次に左の一號を加へる。
六ノ二ノ四 復興金融金庫ノ業務ニ關スル證書帳簿及復興金融債券
朕は、帝国議会の協賛を経た復興金融金庫法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十月七日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 大村清一
農林大臣 和田博雄
逓信大臣 一松定吉
商工大臣 星島二郎
運輸大臣 平塚常次郎
大蔵大臣 石橋湛山
法律第三十四号
復興金融金庫法
第一章 総則
第一条 復興金融金庫は、経済の復興を促進するため必要な資金で他の金融機関等から供給を受けることが困難なものを供給することを目的とする。
復興金融金庫は、法人とする。
第二条 復興金融金庫は、主たる事務所を東京都に置く。
復興金融金庫は、復興金融委員会の承認を受けて、必要の地に従たる事務所を設置し、又は銀行その他の者に業務の一部を取り扱はせることができる。
復興金融委員会に関する規程は、勅令でこれを定める。
第三条 復興金融金庫の資本金は、百億円とする。
第四条 政府は、百億円を復興金融金庫に出資しなければならない。
政府は、その出資額に対して、設立の当初において四十億円を払ひ込み、その残余は、復興金融委員会の定めるところにより、これを払ひ込むものとする。
第五条 復興金融金庫は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金額及び資産に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 復興金融債券の発行に関する事項
八 会計に関する事項
九 公告の方法
定款の変更は、復興金融委員会の承認を受けなければ、その効力を生じない。
第六条 復興金融金庫は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定により登記を必要とする事項は、登記した後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第七条 復興金融金庫には、所得税、法人税及び営業税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、復興金融金庫の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第八条 復興金融金庫について解散を必要とする事由が発生した場合において、その処置に関しては、別に法律でこれを定める。
第九条 復興金融金庫でない者は、復興金融金庫又はこれに類似する名称を用ひることができない。
第二章 役員
第十条 復興金融金庫に、役員として、理事長副理事長各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
第十一条 理事長は、復興金融金庫を代表し、その業務を総理する。
副理事長は、定款の定めるところにより、復興金融金庫を代表し、理事長を輔佐して復興金融金庫の業務を掌理し、理事長に事故のあるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行ふ。
理事は、定款の定めるところにより、復興金融金庫を代表し、理事長及び副理事長を輔佐して復興金融金庫の業務を掌理し、理事長及び副理事長共に事故のあるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長共に欠員のときはその職務を行ふ。
監事は、復興金融金庫の業務を監査する。
第十二条 理事長、副理事長、理事及び監事は、復興金融委員会の推薦に基いて、政府が、これを任命する。
理事長、副理事長、理事及び監事の任期は、復興金融委員会の定めるところによる。
第十三条 理事長、副理事長及び理事は、定款の定めるところにより、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四条 理事長、副理事長及び理事は、他の職業に従事することができない。但し、復興金融委員会の承認を受けたときは、この限りでない。
第三章 業務
第十五条 復興金融金庫は、第一条に掲げる目的を達成するため、左の業務を行ふ。
一 資金の融通
二 債務の引受又は保証
三 社債(特別の法令によつて設立された法人で会社でない者の発行する債券を含む。以下これに同じ。)の応募又は引受
四 前各号の業務に附帯する業務
前項第一号の資金の融通は、復興金融金庫を振出人とする約束手形の交付又は為替手形の引受により、これをすることができる。
復興金融金庫は、復興金融委員会の承認を受けて、第一項の業務の外、復興金融金庫の目的達成上必要な業務を行ふことができる。
第十六条 復興金融金庫は、業務開始の際、資金の融通に関する条件その他業務の方法を定め復興金融委員会の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
第十七条 復興金融金庫は、設立の日から三年を経過した後は、あらたに資金の融通、債務の引受若しくは保証又は社債の応募若しくは引受をすることができない。
前項の期間は、復興金融委員会の承認を受けて、これを短縮し、又は延長することができる。
第四章 復興金融債券
第十八条 復興金融金庫は、復興金融債券を発行することができる。
復興金融債券の発行額と第十五条第一項の規定により引き受け、又は保証した債務の現存額の合計額は、復興金融金庫の未払込資本金額を超えることができない。
第十九条 復興金融金庫は、復興金融債券の借換又は第十五条第一項の規定により引き受け、又は保証した債務の履行のため、一時前条第二項の制限によらないで、復興金融債券を発行することができる。
前項の規定により復興金融債券を発行したときは、発行後一箇月以内に、その発行額面金額に相当する旧復興金融債券を償還し、又は当該債務を履行しなければならない。
第二十条 復興金融債券は、割引の方法を以てこれを発行することができる。
第二十一条 復興金融金庫は、復興金融債券を発行しようとするときは、復興金融委員会の承認を受けなければならない。
第二十二条 復興金融債券の消滅時効は、元本については十五年、利息については五年で完成する。
第二十三条 この法律に規定するものを除く外、復興金融債券に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第五章 会計
第二十四条 復興金融金庫の事業年度は、四月から翌年三月までとする。
第二十五条 復興金融金庫は、毎事業年度の事業計画及び経費の予算を定め、事業年度開始までに、これを復興金融委員会に提出して承認を受けなければならない。これらに重大な変更を加へようとするときも同様とする。
第二十六条 復興金融金庫は、毎事業年度に財産目録、貸借対照表、損益計算書及び復興金融委員会の定める統計書類を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを復興金融委員会に提出して承認を受けなければならない。
復興金融委員会は、前項の規定による承認をしたときは、その財産目録、貸借対照表、損益計算書及び統計書類を附して、その旨を主務大臣に報告しなければならない。
復興金融金庫は、第一項の規定による復興金融委員会の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれらの書類及び第一項の統計書類を各事務所に備へ置かなければならない。
第二十七条 復興金融金庫は、剰余金を処分しようとするときは、復興金融委員会の承認を受けなければならない。
第六章 監督
第二十八条 復興金融金庫及び復興金融委員会は、主務大臣が、これを監督する。
第二十九条 主務大臣は、必要があると認めたときは、当該官吏に復興金融金庫の業務及び財産の状況を検査させることができる。
第三十条 政府は、復興金融金庫の役員が法令若しくは定款に違反し、又は公益を害する行為をしたときは、これを解任することができる。
第三十一条 主務大臣は、必要があると認めたときは、勅令の定めるところにより、左の各号に掲げる者からその業務及び財産の状況に関し報告を徴し、又は当該官吏にその業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
一 復興金融金庫から資金の融通を受けた者
二 復興金融金庫により債務を引き受けられ、又は債務を保証された債務者
三 復興金融金庫により応募され、又は引き受けられた社債の発行者
第七章 罰則
第三十二条 前条の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前項前段の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても同項の罰金刑を科する。
第三十三条 左の場合においては、復興金融金庫の理事長、副理事長、理事又は監事を五千円以下の過料に処する。
一 この法律により復興金融委員会の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかつたとき。
二 この法律に規定されてゐない業務を行つたとき。
三 第十八条第二項の規定に違反して復興金融債券を発行し、又は債務の引受若しくは保証をしたとき。
四 第十九条第二項の規定に違反して復興金融債券を償還せず、又は債務の履行をしなかつたとき。
五 第二十九条の規定による当該官吏の検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第三十四条 左の場合においては、復興金融金庫の理事長、副理事長、理事又は監事を二千五百円以下の過料に処する。
一 この法律又はこの法律に基いて発する勅令に違反して登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
二 第二十六条第一項の規定による書類に記載すべき事項を記載せず、又は不正の記載をしたとき。
三 第二十六条第三項の規定による公告をすることを怠り、若しくは不正の公告をし、又は同項の規定による書類を備へ置かなかつたとき。
第三十五条 第九条の規定に違反して復興金融金庫又はこれに類似する名称を用ひた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十六条 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第三十七条 政府は、設立委員を命じ、復興金融金庫の設立に関する事務を処理させる。
第三十八条 設立委員は、定款を作成して復興金融委員会の承認を受けなければならない。
前項の承認があつたときは、設立委員は、遅滞なく出資の第一回の払込を政府に稟請しなければならない。
第三十九条 出資の第一回の払込があつたときは、設立委員は、遅滞なくその事務を復興金融金庫理事長に引き続がなければならない。
理事長が前項の引続を受けたときは、理事長、副理事長、理事及び監事の全員は、設立の登記をしなければならない。
復興金融金庫は、設立の登記をすることに因つて成立するものとする。
第四十条 復興金融金庫の初事業年度は、第二十四条の規定にかかはらず、成立の日から昭和二十二年三月までとする。
第四十一条 復興金融金庫は、日本興業銀行から第十五条の規定による資金の融通に相当する資金の融通を受けてゐる者に対して、この法律施行の際におけるその融通に因る債務の現存額と同額の資金の融通をしなければならない。
第四十二条 復興金融金庫でない者でこの法律施行の際現に復興金融金庫又はこれに類似する名称を用ひてゐるものについては、この法律施行後六箇月を限り、第九条の規定を適用しない。
第四十三条 金融緊急措置令の一部を次のやうに改正する。
第八条中「国民更生金庫、」の下に「復興金融金庫、」を加へる。
第四十四条 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第十九条第七号中「戦時金融金庫、」の下に「復興金融金庫、」を、「戦時金融金庫法、」の下に「復興金融金庫法、」を、同条第十八号中「庶民金庫、」の下に「復興金融金庫、」を加へる。
第四十五条 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第五条第六号の二の三の次に左の一号を加へる。
六ノ二ノ四 復興金融金庫ノ業務ニ関スル証書帳簿及復興金融債券