朕臨時資金調整法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月二十四日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
大藏大臣 賀屋興宣
農林大臣 伯爵 有馬賴寧
商工大臣 吉野信次
勅令第五百二十七號
臨時資金調整法施行令
第一條 臨時資金調整法第二條ノ規定ノ適用ヲ受クル金融機關事業ニ屬スル設備ノ新設、擴張又ハ改良ノ爲ニ使用セラルルト認ムル一口十萬圓以上ノ資金ノ貸付ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ貸付總額十萬圓以上ニ及ブベキ數口ニ亘ル資金ノ貸付ヲ爲サントスルトキ亦同ジ
第二條 臨時資金調整法第二條ノ規定ノ適用ヲ受クル金融機關又ハ證券引受業者額面總額十萬圓以上ノ有價證券(國債、地方債及臨時資金調整法施行地內ニ本店ヲ有スル會社ノ株式ヲ除ク以下同ジ)ノ應募、引受又ハ募集ノ取扱ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第三條 前二條ノ規定ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
一 行政官廳ノ認可又ハ許可ヲ受ケ借入ルル資金ノ貸付ヲ爲ストキ
二 行政官廳ノ認可又ハ許可ヲ受ケ發行スル有價證券ノ應募、引受又ハ募集ノ取扱ヲ爲ストキ
三 臨時資金調整法以外ノ法令ニ依リ行政官廳ノ認可又ハ許可ヲ受ケ有價證券ノ應募、引受又ハ募集ノ取扱ヲ爲ストキ
行政官廳前項ノ認可又ハ許可ヲ爲サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前二條ノ主務大臣ニ協議スベシ
第四條 臨時資金調整法第四條第一項ノ規定ニ依リ設立ニ付主務大臣ノ認可ヲ要スル會社ハ資本金(出資總額、株金總額、出資總額及株金總額ノ合計額又ハ基金總額ヲ謂フ以下同ジ)五十萬圓以上ノ會社トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
一 特別ノ法令ニ依リ設立セラルル會社
二 臨時資金調整法以外ノ法令ニ依リ設立ニ付行政官廳ノ認可、許可又ハ免許ヲ受クベキ會社
三 目的トスル事業ノ全部ニ付行政官廳ノ許可又ハ免許ヲ受クベキ會社
行政官廳前項第二號又ハ第三號ニ揭グル會社ニ付認可、許可又ハ免許ヲ爲サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前項ノ主務大臣ニ協議スベシ
第五條 臨時資金調整法第四條第一項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ要スル會社ノ資本增加、合併又ハ目的變更ハ左ニ揭グルモノトス但シ行政官廳ノ認可、許可若ハ免許ヲ受ケタルモノ又ハ行政官廳ノ命令ニ依リ爲スモノハ此ノ限ニ在ラズ
一 資本金五十萬圓以上ノ會社ノ資本增加、合併又ハ目的變更
二 資本增加又ハ合併ニ因リ資本金五十萬圓以上ノ會社ト爲ルベキ場合ニ於ケル資本增加又ハ合併
行政官廳前項但書ノ認可、許可、免許又ハ命令ヲ爲サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前項ノ主務大臣ニ協議スベシ
第六條 臨時資金調整法第四條第二項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベキ會社ハ相互會社以外ノ會社ニシテ資本金五十萬圓以上ノモノ及相互會社トス但シ同項ニ揭グル事項ニ付行政官廳ノ認可、許可若ハ免許ヲ受ケタルモノ又ハ行政官廳ノ命令ニ依リ當該事項ヲ爲スモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政官廳前項但書ノ認可、許可、免許又ハ命令ヲ爲サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前項ノ主務大臣ニ協議スベシ
臨時資金調整法第四條第二項第二號ノ限度ハ十萬圓トス
第七條 臨時資金調整法第二條又ハ第四條ノ許可又ハ認可ニ關スル事務ヲ日本銀行ヲシテ取扱ハシムルニ付必要ナル事項ハ大藏大臣商工大臣及農林大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第八條 臨時資金調整法第六條ノ規定ニ依ル保證ヲ爲スニ付必要ナル事項ハ大藏大臣之ヲ定ム
第九條 左ニ揭グル事業ヲ營ム會社ハ大藏大臣及商工大臣ノ認可ヲ受ケ臨時資金調整法第八條又ハ第九條ノ規定ニ依リ株金全額拂込前ト雖モ資本ヲ增加シ又ハ商法第二百條ノ規定ニ依ル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得
一 航空機製造事業
二 金屬工機械製造事業
三 兵器及兵器部分品製造事業
四 鋼船製造事業
五 製鐵事業
六 產金事業
七 石炭鑛業
八 石油鑛業、石油精製業及石油輸入業
第十條 臨時資金調整法第十六條ノ規定ニ依リ檢査ヲ爲ス場合ニ於テハ當該官吏ハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶スベシ
第十一條 第一條及第二條ニ於テ主務大臣トアルハ銀行及信託會社ニ付テハ大藏大臣、保險會社ニ付テハ商工大臣、商工組合中央金庫及證券引受業者ニ付テハ大藏大臣及商工大臣、產業組合中央金庫及北海道府縣ヲ區域トスル信用組合聯合會ニ付テハ大藏大臣及農林大臣トシ第四條第一項、第五條第一項及第六條第一項ニ於テ主務大臣トアルハ大藏大臣及商工大臣トス
大藏大臣銀行又ハ信託會社ニ對シ第一條又ハ第二條ノ許可ヲ爲サントスルトキハ商工大臣ニ、商工大臣保險會社ニ對シ第一條又ハ第二條ノ許可ヲ爲サントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
附 則
本令ハ昭和十二年九月二十七日ヨリ之ヲ施行ス
朕臨時資金調整法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年九月二十四日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
大蔵大臣 賀屋興宣
農林大臣 伯爵 有馬頼寧
商工大臣 吉野信次
勅令第五百二十七号
臨時資金調整法施行令
第一条 臨時資金調整法第二条ノ規定ノ適用ヲ受クル金融機関事業ニ属スル設備ノ新設、拡張又ハ改良ノ為ニ使用セラルルト認ムル一口十万円以上ノ資金ノ貸付ヲ為サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ貸付総額十万円以上ニ及ブベキ数口ニ亘ル資金ノ貸付ヲ為サントスルトキ亦同ジ
第二条 臨時資金調整法第二条ノ規定ノ適用ヲ受クル金融機関又ハ証券引受業者額面総額十万円以上ノ有価証券(国債、地方債及臨時資金調整法施行地内ニ本店ヲ有スル会社ノ株式ヲ除ク以下同ジ)ノ応募、引受又ハ募集ノ取扱ヲ為サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第三条 前二条ノ規定ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
一 行政官庁ノ認可又ハ許可ヲ受ケ借入ルル資金ノ貸付ヲ為ストキ
二 行政官庁ノ認可又ハ許可ヲ受ケ発行スル有価証券ノ応募、引受又ハ募集ノ取扱ヲ為ストキ
三 臨時資金調整法以外ノ法令ニ依リ行政官庁ノ認可又ハ許可ヲ受ケ有価証券ノ応募、引受又ハ募集ノ取扱ヲ為ストキ
行政官庁前項ノ認可又ハ許可ヲ為サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前二条ノ主務大臣ニ協議スベシ
第四条 臨時資金調整法第四条第一項ノ規定ニ依リ設立ニ付主務大臣ノ認可ヲ要スル会社ハ資本金(出資総額、株金総額、出資総額及株金総額ノ合計額又ハ基金総額ヲ謂フ以下同ジ)五十万円以上ノ会社トス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
一 特別ノ法令ニ依リ設立セラルル会社
二 臨時資金調整法以外ノ法令ニ依リ設立ニ付行政官庁ノ認可、許可又ハ免許ヲ受クベキ会社
三 目的トスル事業ノ全部ニ付行政官庁ノ許可又ハ免許ヲ受クベキ会社
行政官庁前項第二号又ハ第三号ニ掲グル会社ニ付認可、許可又ハ免許ヲ為サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前項ノ主務大臣ニ協議スベシ
第五条 臨時資金調整法第四条第一項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ要スル会社ノ資本増加、合併又ハ目的変更ハ左ニ掲グルモノトス但シ行政官庁ノ認可、許可若ハ免許ヲ受ケタルモノ又ハ行政官庁ノ命令ニ依リ為スモノハ此ノ限ニ在ラズ
一 資本金五十万円以上ノ会社ノ資本増加、合併又ハ目的変更
二 資本増加又ハ合併ニ因リ資本金五十万円以上ノ会社ト為ルベキ場合ニ於ケル資本増加又ハ合併
行政官庁前項但書ノ認可、許可、免許又ハ命令ヲ為サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前項ノ主務大臣ニ協議スベシ
第六条 臨時資金調整法第四条第二項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベキ会社ハ相互会社以外ノ会社ニシテ資本金五十万円以上ノモノ及相互会社トス但シ同項ニ掲グル事項ニ付行政官庁ノ認可、許可若ハ免許ヲ受ケタルモノ又ハ行政官庁ノ命令ニ依リ当該事項ヲ為スモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政官庁前項但書ノ認可、許可、免許又ハ命令ヲ為サントスルトキハ其ノ事項ノ主務大臣ハ前項ノ主務大臣ニ協議スベシ
臨時資金調整法第四条第二項第二号ノ限度ハ十万円トス
第七条 臨時資金調整法第二条又ハ第四条ノ許可又ハ認可ニ関スル事務ヲ日本銀行ヲシテ取扱ハシムルニ付必要ナル事項ハ大蔵大臣商工大臣及農林大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第八条 臨時資金調整法第六条ノ規定ニ依ル保証ヲ為スニ付必要ナル事項ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第九条 左ニ掲グル事業ヲ営ム会社ハ大蔵大臣及商工大臣ノ認可ヲ受ケ臨時資金調整法第八条又ハ第九条ノ規定ニ依リ株金全額払込前ト雖モ資本ヲ増加シ又ハ商法第二百条ノ規定ニ依ル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得
一 航空機製造事業
二 金属工機械製造事業
三 兵器及兵器部分品製造事業
四 鋼船製造事業
五 製鉄事業
六 産金事業
七 石炭鉱業
八 石油鉱業、石油精製業及石油輸入業
第十条 臨時資金調整法第十六条ノ規定ニ依リ検査ヲ為ス場合ニ於テハ当該官吏ハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯スベシ
第十一条 第一条及第二条ニ於テ主務大臣トアルハ銀行及信託会社ニ付テハ大蔵大臣、保険会社ニ付テハ商工大臣、商工組合中央金庫及証券引受業者ニ付テハ大蔵大臣及商工大臣、産業組合中央金庫及北海道府県ヲ区域トスル信用組合連合会ニ付テハ大蔵大臣及農林大臣トシ第四条第一項、第五条第一項及第六条第一項ニ於テ主務大臣トアルハ大蔵大臣及商工大臣トス
大蔵大臣銀行又ハ信託会社ニ対シ第一条又ハ第二条ノ許可ヲ為サントスルトキハ商工大臣ニ、商工大臣保険会社ニ対シ第一条又ハ第二条ノ許可ヲ為サントスルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
附 則
本令ハ昭和十二年九月二十七日ヨリ之ヲ施行ス