(設置)
第二十二条 内閣府に、食品安全委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第二十三条 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 第二十一条第二項の規定により、内閣総理大臣に意見を述べること。
二 次条の規定により、又は自ら食品健康影響評価を行うこと。
三 前号の規定により行った食品健康影響評価の結果に基づき、食品の安全性の確保のため講ずべき施策について内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。
四 第二号の規定により行った食品健康影響評価の結果に基づき講じられる施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。
五 食品の安全性の確保のため講ずべき施策に関する重要事項を調査審議し、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に意見を述べること。
六 第二号から前号までに掲げる事務を行うために必要な科学的調査及び研究を行うこと。
七 第二号から前号までに掲げる事務に係る関係者相互間の情報及び意見の交換を企画し、及び実施すること。
八 関係行政機関が行う食品の安全性の確保に関する関係者相互間の情報及び意見の交換に関する事務の調整を行うこと。
2 委員会は、前項第二号の規定に基づき食品健康影響評価を行ったときは、遅滞なく、関係各大臣に対して、その食品健康影響評価の結果を通知しなければならない。
3 委員会は、前項の規定による通知を知ったとき、又は第一項第三号若しくは第四号の規定による勧告をしたときは、遅滞なく、その通知に係る事項又はその勧告の内容を公表しなければならない。
4 関係各大臣は、第一項第三号又は第四号の規定による勧告に基づき講じた施策について委員会に報告しなければならない。
(委員会の意見の聴取)
第二十四条 関係各大臣は、次に掲げる場合には、委員会の意見を聴かなければならない。ただし、委員会が第十一条第一項第一号に該当すると認める場合又は関係各大臣が同項第三号に該当すると認める場合は、この限りでない。
一 食品衛生法第四条第二号ただし書(同法第二十九条第二項において準用する場合を含む。)に規定する人の健康を害う虞がない場合を定めようとするとき、同法第四条の二の規定による販売の禁止をしようとするとき、同法第五条第一項の厚生労働省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき、同法第六条に規定する人の健康を損なうおそれのない場合を定めようとするとき、同法第七条第一項(同法第二十九条第二項において準用する場合を含む。)若しくは同法第十条第一項(同法第二十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により基準若しくは規格を定めようとするとき、又は同法第十九条の十八第一項の規定により基準を定めようとするとき。
二 農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第一条の三の規定により公定規格を設定し、変更し、若しくは廃止しようとするときは、同法第二条第一項の規定により特定農薬を指定し、若しくは変更しようとするとき、又は同法第三条第二項(同法第十五条の二第六項において準用する場合を含む。)の基準(同法第三条第一項第六号又は第七号に掲げる場合に該当するかどうかの基準を除く。)を定め、若しくは変更しようとするとき。
三 肥料取締法(昭和二十五年法律第百二十七号)第三条の規定により公定規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするとき。
四 家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)第二条第一項の政令の制定若しくは改廃の立案をしようとするとき、同法第四条第一項の届出伝染病を定める農林水産省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき、又は同法第六十二条の政令の制定若しくは改廃の立案をしようとするとき。
五 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)第二条第三項の規定により飼料添加物を指定しようとするとき、同法第二条の二第一項の規定により基準若しくは規格を設定し、改正し、若しくは廃止しようとするとき、又は同法第二条の六の規定による販売の禁止をしようとするとき。
六 と畜場法(昭和二十八年法律第百十四号)第九条第一項第三号の厚生労働省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき、又は同法第十条第五項の政令の制定若しくは改廃の立案をしようとするとき。
七 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条第二項(同条第一項第一号から第三号までの規定に係る部分に限る。)の厚生労働省令を制定し、又は改廃しようとするとき。
八 薬事法第十四条第一項(同法第二十三条において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは同法第八十三条の規定により読み替えて適用される同項の規定による動物のために使用されることが目的とされている医薬品、医薬部外品若しくは医療用具(以下「動物用医薬品等」という。)についての承認をしようとするとき、同法第十四条の四第一項(同法第十九条の四及び第二十三条において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは同法第八十三条の規定により読み替えて適用される同項の規定による動物用医薬品等についての再審査を行おうとするとき、同法第十四条の五第一項(同法第十九条の四及び第二十三条において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは同法第八十三条の規定により読み替えて適用される同項の規定による動物用医薬品等についての再評価を行おうとするとき、同法第十九条の二第一項若しくは第八十三条の規定により読み替えて適用される同項の規定による動物用医薬品等についての承認をしようとするとき、又は同法第八十三条の二第一項の農林水産省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき。
九 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四十五年法律第百三十九号)第二条第三項の政令(農用地の土壌に含まれることに起因して人の健康を損なうおそれがある農畜産物が生産されるおそれがある物質を定めるものに限る。)又は同法第三条第一項の政令(農用地の利用に起因して人の健康を損なうおそれがある農畜産物が生産されると認められ、又はそのおそれが著しいと認められる地域の要件を定めるものに限る。)の制定又は改廃の立案をしようとするとき。
十 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七十号)第十一条、第十五条第五項又は第十九条の厚生労働省令を制定し、又は改廃しようとするとき。
十一 ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第六条第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするとき。
十二 牛海綿状脳症対策特別措置法(平成十四年法律第七十号)第七条第一項又は第二項の厚生労働省令を制定し、又は改廃しようとするとき。
十三 前各号に掲げるもののほか、政令で定めるとき。
2 関係各大臣は、前項ただし書の場合(関係各大臣が第十一条第一項第三号に該当すると認めた場合に限る。)においては、当該食品の安全性の確保に関する施策の策定の後相当の期間内に、その旨を委員会に報告し、委員会の意見を聴かなければならない。
3 第一項に定めるもののほか、関係各大臣は、食品の安全性の確保に関する施策を策定するため必要があると認めるときは、委員会の意見を聴くことができる。
(資料の提出等の要求)
第二十五条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
(調査の委託)
第二十六条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、独立行政法人、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人、事業者その他の民間の団体、都道府県の試験研究機関又は学識経験を有する者に対し、必要な調査を委託することができる。
(緊急時の要請等)
第二十七条 委員会は、食品の安全性の確保に関し重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、国の関係行政機関の試験研究機関に対し、食品健康影響評価に必要な調査、分析又は検査を実施すべきことを要請することができる。
2 国の関係行政機関の試験研究機関は、前項の規定による委員会の要請があったときは、速やかにその要請された調査、分析又は検査を実施しなければならない。
3 委員会は、食品の安全性の確保に関し重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、関係各大臣に対し、独立行政法人国立健康・栄養研究所法(平成十一年法律第百八十号)第十二条第一項の規定による求め又は独立行政法人農林水産消費技術センター法(平成十一年法律第百八十三号)第十二条第一項、独立行政法人農業技術研究機構法(平成十一年法律第百九十二号)第十二条第一項、独立行政法人農業環境技術研究所法(平成十一年法律第百九十四号)第十二条第一項、独立行政法人食品総合研究所法(平成十一年法律第百九十六号)第十二条第一項若しくは独立行政法人水産総合研究センター法(平成十一年法律第百九十九号)第十二条第一項の規定による要請をするよう求めることができる。
(委員の任命)
第二十九条 委員は、食品の安全性の確保に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
2 委員の任期が満了し、又は欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
(委員の任期)
第三十条 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
(委員の罷免)
第三十一条 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。
(委員の服務)
第三十二条 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
2 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
3 常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。
(委員長)
第三十四条 委員会に委員長を置き、委員の互選によって常勤の委員のうちからこれを定める。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する常勤の委員が、その職務を代理する。
(会議)
2 委員会は、委員長及び三人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 委員長に事故がある場合の第二項の規定の適用については、前条第三項に規定する委員は、委員長とみなす。
(専門委員)
第三十六条 委員会に、専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
(事務局)
第三十七条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。
(政令への委任)
第三十八条 この章に規定するもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。