(目的)
第一条 この法律は、育児休業等に関する制度を設けて子を養育する国会職員の継続的な勤務を促進し、もってその福祉を増進するとともに、公務の円滑な運営に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「国会職員」とは、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)第一条に規定する国会職員(各議院事務局の事務総長、議長又は副議長の秘書事務をつかさどる参事及び常任委員会専門員、各議院法制局の法制局長並びに国立国会図書館の館長及び専門調査員を除く。)をいう。
(育児休業の承認)
第三条 国会職員(常時勤務することを要しない国会職員、臨時的に任用された国会職員、配偶者がこの法律により育児休業をしている国会職員その他の両議院の議長が協議して定める国会職員を除く。)は、本属長の承認を受けて、当該国会職員の一歳に満たない子を養育するため、当該子が一歳に達する日まで、育児休業をすることができる。ただし、当該子について、既に育児休業をしたことがあるときは、両議院の議長が協議して定める特別の事情がある場合を除き、この限りでない。
2 育児休業の承認を受けようとする国会職員は、育児休業をしようとする期間の初日及び末日を明らかにして、本属長に対し、その承認を請求するものとする。
3 本属長は、前項の規定による請求があったときは、当該請求に係る期間について当該請求をした国会職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、これを承認しなければならない。
(育児休業の期間の延長)
第四条 育児休業をしている国会職員は、本属長に対し、当該育児休業の期間の延長を請求することができる。
2 育児休業の期間の延長は、両議院の議長が協議して定める特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。
3 前条第二項及び第三項の規定は、育児休業の期間の延長について準用する。
(育児休業の効果)
第五条 育児休業をしている国会職員は、国会職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
2 育児休業をしている期間については、給与を支給しない。
(育児休業の承認の失効等)
第六条 育児休業の承認は、当該育児休業をしている国会職員が産前の休業を始め、若しくは出産した場合、当該国会職員が休職の処分を受けた場合又は当該育児休業に係る子が死亡し、若しくは当該国会職員の子でなくなった場合には、その効力を失う。
2 本属長は、育児休業をしている国会職員が当該育児休業に係る子を養育しなくなったことその他両議院の議長が協議して定める事由に該当すると認めるときは、当該育児休業の承認を取り消すものとする。
(育児休業に伴う臨時的任用)
第七条 本属長は、第三条第二項又は第四条第一項の規定による請求があった場合において、当該請求に係る期間について国会職員の配置換えその他の方法によって当該請求をした国会職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、当該期間を任用の期間の限度として、臨時的任用を行うものとする。
(職務復帰後における給与等の取扱い)
第八条 育児休業をした国会職員が職務に復帰した場合には、当該育児休業をした期間の二分の一に相当する期間を引き続き勤務したものとみなして、両議院の議長が協議して定めるところにより、給料月額を調整し、又は昇給期間を短縮することができる。
第九条 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条第四項の規定の適用については、育児休業をした期間は、同項に規定する現実に職務を執ることを要しない期間に該当するものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第十条 国会職員は、育児休業を理由として、不利益な取扱いを受けない。
(部分休業)
第十一条 本属長は、国会職員(常時勤務することを要しない国会職員、配偶者がこの法律により育児休業をしている国会職員その他の両議院の議長が協議して定める国会職員を除く。)が請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、両議院の議長が協議して定めるところにより、当該国会職員がその一歳に満たない子を養育するため一日の勤務時間の一部について勤務しないこと(以下この条において「部分休業」という。)を承認することができる。
2 国会職員が部分休業の承認を受けて勤務しない場合には、その勤務しない一時間につき、勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を支給する。
3 前項の勤務一時間当たりの給与額は、両議院の議長が協議して定める。
4 第六条及び前条の規定は、部分休業について準用する。
(両院議長協議決定への委任)
第十二条 この法律の実施に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。