(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分)
第六十八条の二 入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産を占有する債務者又は不動産の占有者でその占有の権原を差押債権者、仮差押債権者若しくは第五十九条第一項の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、不動産の売却を困難にする行為をし、又はその行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。以下この条において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、その行為をし、又はその行為をするおそれがある者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官又は申立人に保管させるべきことを命ずることができる。
2 差押債権者は、前項の申立てをするには、最低売却価額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の入札又は競り売りの方法による売却の実施において申出額に達する買受けの申出がないときは自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出をし、かつ、申出額に相当する保証の提供をしなければならない。
3 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより又は職権で、第一項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
4 第五十五条第三項、第七項及び第八項の規定は第一項の規定による決定について、同条第五項の規定は第一項の申立てについての裁判、前項の規定による裁判又は同項の申立てを却下する裁判について、同条第六項の規定は前項の規定による決定について、同条第九項の規定は第一項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用について、第六十三条第四項の規定は第二項の保証の提供について準用する。
(売却の見込みのない場合の措置)
第六十八条の三 執行裁判所は、入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならない。
2 差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から三月以内に、買受けの申出をしようとする者があることを理由として、売却を実施させるべき旨を申し出たときは、執行裁判所は、売却を実施させなければならない。
3 差押債権者が前項の期間内に同項の規定による売却実施の申出をしないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消すことができる。同項の規定により売却を実施させた場合において買受けの申出がなかつたときも、同様とする。