朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル競賣法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年六月十五日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
司法大臣 曾禰荒助
法律第十五號
競賣法
第一章 通則
第一條 競買ノ申込ハ他ノ高價競買ノ申込アリタルトキ又ハ競落ヲ爲サスシテ競賣ヲ終了シタルトキハ當然其效力ヲ失フ
第二條 競買人ハ競落ニ因リテ競賣ノ目的タル權利ヲ取得ス
競賣ノ目的ノ上ニ存スル先取特權及ヒ抵當權ハ競落ニ因リテ消滅ス
競買人ハ留置權者、競賣人ニ對シテ優先權ヲ有スル質權者及ヒ其質權者ニ對シテ優先權ヲ有スル債權者ニ辨濟スルニ非サレハ競賣ノ目的物ヲ受取ルコトヲ得ス
第二章 動產ノ競賣
第三條 動產ノ競賣ハ留置權者、先取特權者、質權者其他民法又ハ商法ノ規定ニ依リテ其競賣ヲ爲サントスル者ノ委任ニ因リ競賣ヲ爲スヘキ地ノ區裁判所所屬ノ執達吏之ヲ爲ス
前項ノ委任ハ書面ニ依リテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第四條 競賣ノ委任ヲ受ケタル執達吏ハ其競買人ト爲ルコトヲ得ス
債權者ノ委任ニ因リテ競賣ヲ爲ス場合ニ於テハ債務者ハ現金ヲ以テ代價ヲ提供スルニ非サレハ其競買ノ申込ヲ爲スコトヲ得ス
第五條 競賣ハ競賣ニ付スヘキ物ノ現在地ニ於テ之ヲ爲ス但其地ニ於テ相當ノ代價ヲ得ル見込ナキトキハ他所ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第六條 競賣ノ日時ハ執達吏カ其委任ヲ受ケタルトキ直チニ之ヲ定ムルコトヲ要ス但直チニ之ヲ定ムルコト能ハサル事情アルトキハ此限ニ在ラス
第七條 競賣ノ場所及ヒ日時ハ豫メ之ヲ公吿スルコトヲ要ス
公吿ハ競賣ニ付スヘキ物ノ品質及ヒ價格ニ準シ競賣地ニ於ケル適當ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
公吿ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 競賣委任者ノ氏名、住所
二 競賣ニ付スヘキ物ノ種類、數量及ヒ品質
三 競賣ノ條件ヲ定メタルトキハ其條件
四 競賣ノ場所及ヒ年月日時
五 競賣ノ委任ヲ受ケタル執達吏ノ氏名、住所
委任者カ競賣ノ條件ヲ定メサリシトキハ民事訴訟法第五百七十七條第三項ノ規定ヲ準用ス
第八條 競賣ノ場所及ヒ日時ハ競賣ニ付キ利害ノ關係ヲ有スル者ニ對シテ其通知ヲ發スルコトヲ要ス但通知ヲ受クヘキ者ノ住所又ハ居所カ知レサルトキハ此限ニ在ラス
第九條 公吿ト競賣トノ間ニハ五日以上ノ期間ヲ存スルコトヲ要ス但競賣ニ付スヘキ物ニ關シ之ヨリ速ニ競賣ヲ爲スコトヲ要スル特別ノ事情アルトキハ此限ニ在ラス
第十條 高價品ノ競賣ハ鑑定人ヲシテ其評價ヲ爲サシメタル後之ヲ爲スコトヲ要ス
第十一條 金銀及ヒ金銀ノ製品ハ地金銀ノ相場以下ノ代價ヲ以テ之ヲ競賣スルコトヲ得ス
取引所ノ相場アル物ハ其相場以下ノ代價ヲ以テ之ヲ競賣スルコトヲ得ス
第十二條 前條ニ揭ケタル物ヲ競賣スル場合ニ於テ競賣ノ日ニ相當ナル競買ノ申込ナキトキハ執達吏ハ金銀及ヒ金銀ノ製品ニ付テハ地金銀ノ相場以上ノ代價、取引所ノ相場アル物ニ付テハ競買ノ日ノ相場以上ノ代價ヲ以テ任意ニ之ヲ賣却スルコトヲ得
第十三條 競賣ハ其條件ヲ吿知シ各競賣物ニ付キ競買ノ申込ヲ催吿スルニ始マリ最高價競買ノ申込人ニ對シ競落ノ吿知ヲ爲スニ因リテ終了ス
競落ノ吿知ハ最高價競買ノ申込ヲ三囘呼上ケタル後之ヲ爲ス
第十四條 執達吏ハ競賣調書ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載シ署名、捺印スヘシ
一 競賣委任者ノ氏名、住所
二 競賣ニ付スヘキ物ノ種類、數量及ヒ品質
三 鑑定人ヲシテ評價ヲ爲サシメタルトキハ其評價額
四 競賣ノ場所及ヒ日時
五 第九條但書ノ事由アリタルトキハ其事由
六 利害ノ關係ヲ有スル者ニ通知ヲ發シタルコト若シ之ヲ發セサリシトキハ其事由
七 吿知シタル競賣ノ條件
八 各競賣物ニ對スル競落人ノ氏名及ヒ其申込價額
九 競賣ヲ停止シタルトキ又ハ競落ヲ爲ササリシトキハ其事由
十 競賣ノ開始及ヒ完結ノ日時
十一 競賣調書ヲ作リタル場所及ヒ年月日
競賣調書ニハ委任者又ハ其代理人ヲシテ署名、捺印セシメ且競賣ノ公吿ヲ爲シ及ヒ通知ヲ發シタルコトヲ證スル書面及ヒ委任狀ヲ添附スルコトヲ要ス
執達吏ハ委任者ノ請求ニ因リ競賣調書ノ謄本ヲ交付スルコトヲ要ス
第十五條 執達吏ハ競賣ノ完結後賣得金ノ中ヨリ競賣ノ費用ヲ控除シ其殘金及ヒ競落セサリシ物ハ遲滯ナク之ヲ受取ルヘキ者ニ交付シ又ハ其者ノ爲メニ之ヲ供託スルコトヲ要ス
第十六條 執達吏ハ競賣ニ付キ正副二通ノ計算書ヲ作リ其正本ハ計算ニ關スル證明書ト共ニ之ヲ委任者ニ交付シ其副本ハ之ヲ競賣調書ニ添附スヘシ
第十七條 競賣ニ付キ利害ノ關係ヲ有スル者ハ競賣ノ完結ニ至ルマテ其手續ニ關スル執達吏ノ處分ニ付キ其所屬區裁判所ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
異議ノ裁判ハ申立人ニ之ヲ通知スヘシ此裁判ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
異議ノ裁判ハ之ヲ以テ善意ノ競落人ニ對抗スルコトヲ得ス
第十八條 前條ノ規定ニ依リテ異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ競賣ノ停止ヲ命スルコトヲ得但停止ニ因リテ著シキ損害ヲ生スル虞アルトキハ此限ニ在ラス
第十九條 第三者カ競賣ノ目的物ニ關シテ訴ヲ提起シタルコトヲ證明シタルトキハ執達吏ハ其競賣ヲ停止スルコトヲ要ス
物ノ保管ニ付キ過分ノ費用ヲ要スルトキ又ハ遲滯ノ爲メ著シク物ノ價格ヲ減少スル虞アルトキハ執達吏ハ競賣ヲ續行シテ賣得金ヲ供託スルコトヲ得
第二十條 前二條ノ規定ニ依リテ競賣ヲ停止シタル場合ニ於テハ執達吏ハ相當ノ方法ヲ以テ競賣ノ目的物ヲ保管スルコトヲ要ス此場合ニ於ケル競賣手續及ヒ保管ノ費用ハ委任者ノ負擔トス
第二十一條 競賣ノ委任ハ競落ノ吿知アルマテ之ヲ取消スコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル競賣手續ノ費用ハ委任者ノ負擔トス
第三章 不動產ノ競賣
第二十二條 不動產ノ競賣ハ留置權者、先取特權者、質權者、抵當權者其他民法ノ規定ニ依リテ競賣ヲ爲サントスル者ノ申立ニ因リ不動產所在地ノ區裁判所之ヲ爲ス
民事訴訟法第六百四十一條第一項ノ規定ハ競賣ヲ爲スヘキ裁判所ノ管轄ニ之ヲ準用ス
第二十三條 申立人ハ競落期日マテハ最高價競買申込人ノ同意アル場合ニ限リ其申立ノ取下ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 競賣ノ申立ハ書面ヲ提出シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
申立書ニハ左ノ事項ヲ記載シ申立人又ハ其代理人之ニ署名、捺印スヘシ
一 債務者及ヒ所有者ノ氏名、住所
二 競賣ニ付スヘキ不動產ノ表示
三 競賣ノ原因タル事由
四 年月日
五 裁判所
申立書ニハ競賣ニ付スヘキ不動產ニ關スル登記簿ノ謄本及ヒ代理人ニ依リテ申立ヲ爲ストキハ其委任狀ヲ添附スルコトヲ要ス
民事訴訟法第六百四十三條第一項第二號乃至第五號、第二項及ヒ第三項ノ規定ハ第一項ノ申立ニ之ヲ準用ス
第二十五條 競賣手續ノ開始ハ決定ヲ以テ之ヲ爲ス
開始決定ニハ申立人ノ氏名、住所及ヒ前條第二項第一號乃至第四號ニ揭ケタル事項ヲ記載シ決定ヲ爲シタル判事之ニ署名、捺印スヘシ
民事訴訟法第二百三十九條ノ規定ハ開始決定ニ之ヲ準用ス
第二十六條 裁判所ハ開始決定ヲ爲スト同時ニ職權ヲ以テ競賣ノ申立アリタルコトヲ競賣ニ付スヘキ不動產ニ關スル登記簿ニ登記スヘキ旨ヲ其管轄登記所ニ囑託スヘシ
民事訴訟法第六百五十一條第二項、第六百五十二條及ヒ第六百五十三條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十七條 裁判所カ開始決定ヲ爲シタルトキハ競賣期日及ヒ競落期日ヲ定メテ之ヲ公吿スルコトヲ要ス
競賣ノ期日ハ競賣手續ノ利害關係人ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
左ニ記載シタル者ヲ利害關係人トス
一 申立人
二 債務者及ヒ所有者
三 登記簿ニ登記シタル不動產上ノ權利者
四 不動產上ノ權利者トシテ其權利ヲ證明シタル者
第二十八條 裁判所ハ鑑定人ヲシテ競賣ニ付スヘキ不動產ノ評價ヲ爲サシメ其評價額ヲ以テ最低競賣價額トスヘシ
第二十九條 競賣期日ノ公吿ニハ第二十二條ニ揭ケタル者ノ申立ニ因リテ競賣ヲ爲ス旨ノ外民事訴訟法第六百五十八條第一號乃至第三號、第五號乃至第七號、第九號及ヒ第十號ニ揭ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
民事訴訟法第六百六十一條ノ規定ハ前項ノ公吿ニ之ヲ準用ス
第三十條 競賣期日、其開始、競賣調書及ヒ競賣終局ノ吿知ニ關スル民事訴訟法第六百五十九條第六百六十二條乃至第六百六十九條ノ規定ハ本章ノ競賣ニ之ヲ準用ス
第三十一條 競賣期日ニ相當ノ競買申込ナキトキハ裁判所ハ更ニ期日ヲ定メテ競賣ヲ爲スヘシ此場合ニ於テハ民事訴訟法第六百七十條ノ規定ヲ準用ス
第三十二條 競落期日ハ民事訴訟法第六百六十條ノ規定ニ從ヒ裁判所ニ於テ之ヲ開ク
競落ノ手續、競落ヲ許ササル場合ノ新競賣期日、競賣ノ履行及ヒ競落人ノ義務不履行ノ場合ニ於ケル再競賣ニ關スル民事訴訟法第六百七十一條乃至第六百七十四條、第六百七十六條乃至第六百八十三條、第六百八十七條及ヒ第六百八十八條ノ規定ハ本章ノ競賣ニ之ヲ準用ス
第三十三條 競落人ハ競落ヲ許ス決定カ確定シタル後直チニ代價ヲ裁判所ニ支拂フコトヲ要ス此場合ニ於テハ裁判所ハ其裁判ノ謄本ヲ添ヘ競落人カ取得シタル權利ノ移轉ノ登記ヲ管轄登記所ニ囑託スヘシ
裁判所ハ前項ノ代價ノ中ヨリ競賣ノ費用ヲ控除シ其殘金ハ遲滯ナク之ヲ受取ルヘキ者ニ交付スルコトヲ要ス
第三十四條 裁判所ハ競賣期日ノ公吿ヲ爲ス前申立ニ因リ競賣ニ代ヘテ入札拂ヲ爲スヘシ此場合ニ於テハ民事訴訟法第七百三條乃至第七百五條ノ規定ニ依ル外本章ノ規定ヲ準用ス
第三十五條 競落ヲ爲サスシテ競賣手續ヲ完結シタルトキハ裁判所ハ第二十六條ノ規定ニ依リテ爲シタル登記ノ抹消ヲ囑託スヘシ
第四章 船舶ノ競賣
第三十六條 登記シタル船舶ノ競賣ハ申立ニ因リ其當時ノ碇泊港又ハ船舶ノ現在地ヲ管轄スル區裁判所之ヲ爲ス
第三十七條 競賣ノ申立書ニハ船舶所有者竝ニ船長ノ氏名、住所、船舶ノ表示及ヒ競賣ノ原因ヲ記載シ且船舶登記簿ノ謄本及ヒ官ノ認可ヲ要スル場合ニ於テハ其認可ヲ得タルコトヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第三十八條 競賣期日ノ公吿ニハ申立ニ因リテ競賣ヲ爲ス旨ノ外船舶ノ表示及ヒ其碇泊港又ハ現在ノ場所ヲ記載スルコトヲ要ス
第三十九條 前章ノ規定及ヒ民事訴訟法第七百十九條、第七百二十條第二項、第七百二十三條、第七百二十五條ノ規定ハ船舶ノ競賣ニ之ヲ準用ス
第五章 增價競賣
第四十條 民法第三百八十四條ノ規定ニ依リテ抵當不動產ノ增價競賣ヲ請求スル債權者ハ第三取得者ニ競賣ノ請求ヲ送達シタル日ヨリ三日內ニ抵當不動產所在地ノ區裁判所ニ競賣ノ申立ヲ爲シ且擔保ノ認許ヲ求ムルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ラサル競賣ノ請求ハ無效トス
第四十一條 競賣ノ申立書ニハ左ノ事項ヲ記載シ請求債權者之ニ署名、捺印スヘシ
一 債務者ノ氏名、住所
二 抵當不動產ノ表示
三 第三取得者及ヒ讓渡人ノ氏名、住所
四 擔保ノ表示
五 第三取得者カ提供シタル金額
六 請求者カ定メタル增價金額
七 年月日
八 裁判所
申立書ニハ民法第三百八十三條ノ送達ヲ受ケタル日ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
民事訴訟法第六百四十三條第一項第三號乃至第五號、第二項及ヒ第三項ノ規定ハ本條ノ申立ニ之ヲ準用ス
第四十二條 裁判所ハ擔保ノ許否ニ付キ期日ヲ定メ決定ヲ以テ其裁判ヲ爲スヘシ
期日ニハ請求債權者及ヒ第三取得者ヲ呼出タスヘシ
擔保ノ裁判ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第四十三條 競賣ノ請求ハ擔保ヲ認許セサル裁判ニ因リテ當然其效力ヲ失フ
民法第三百八十四條ニ定メタル期間內ニ第三取得者ニ對シテ競賣ノ請求書ヲ送達シタル他ノ債權者ハ前項ノ裁判アリタル日ヨリ三日內ニ第四十條ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第四十四條 裁判所カ擔保ヲ認許シタルトキハ競賣手續ノ開始ノ決定ヲ爲スヘシ
決定ニハ認許シタル擔保ヲ表示シ且第四十一條第一項第一號乃至第三號、第六號及ヒ第七號ニ揭ケタル事項ヲ記載スヘシ
第二十五條第二項、第三項及ヒ第二十六條第一項ノ規定ハ本條ノ決定ニ之ヲ準用ス
第四十五條 第二十七條第一項及ヒ第二項ノ規定ハ增價競賣ニ之ヲ準用ス
左ニ記載シタル者ヲ利害關係人トス
一 競賣請求者
二 債務者
三 第三取得者及ヒ讓渡人
四 登記簿ニ登記シタル不動產上ノ權利者
五 不動產上ノ權利者トシテ其權利ヲ證明シタル者
第四十六條 競賣ノ公吿ニハ增價競賣ノ申立ニ因リテ競賣ヲ爲ス旨及ヒ請求者ノ定メタル增價金額ノ外民事訴訟法第六百五十八條第一號乃至第三號、第五號、第七號、第九號及ヒ第十號ニ揭ケタル事項ヲ記載スヘシ
第三十三條及ヒ民事訴訟法第六百五十九條乃至第六百六十九條、第六百七十一條乃至第六百七十四條、第六百七十六條乃至第六百八十三條、第六百八十七條ノ規定ハ本章ノ競賣及ヒ競落ノ手續ニ之ヲ準用ス
第四十七條 競賣期日ニ請求債權者カ定メタル增價金額ニ達スル競買ノ申込ナキトキハ請求債權者ヲ以テ競落人トス
民事訴訟法第六百七十八條ノ規定ニ依リ最高價競買人カ其競買ヲ取消シタルトキハ裁判所ハ更ニ競賣期日及ヒ競落期日ヲ定メテ之ヲ公吿スルコトヲ要ス
第四十八條 增價競賣ノ擔保ハ競落代價ノ完濟ニ因リテ其效力ヲ失フ
第四十九條 裁判所ハ競賣請求者ノ申立ニ因リ競賣ニ代ヘテ入札拂ヲ爲スヘシ此場合ニ於テハ民事訴訟法第七百三條乃至第七百五條ノ規定ニ依ル外本章ノ規定ヲ準用ス
附 則
第五十條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十一條 明治二十三年法律第九十二號增價競賣法ハ本法發布ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル競売法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年六月十五日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
司法大臣 曽祢荒助
法律第十五号
競売法
第一章 通則
第一条 競買ノ申込ハ他ノ高価競買ノ申込アリタルトキ又ハ競落ヲ為サスシテ競売ヲ終了シタルトキハ当然其効力ヲ失フ
第二条 競買人ハ競落ニ因リテ競売ノ目的タル権利ヲ取得ス
競売ノ目的ノ上ニ存スル先取特権及ヒ抵当権ハ競落ニ因リテ消滅ス
競買人ハ留置権者、競売人ニ対シテ優先権ヲ有スル質権者及ヒ其質権者ニ対シテ優先権ヲ有スル債権者ニ弁済スルニ非サレハ競売ノ目的物ヲ受取ルコトヲ得ス
第二章 動産ノ競売
第三条 動産ノ競売ハ留置権者、先取特権者、質権者其他民法又ハ商法ノ規定ニ依リテ其競売ヲ為サントスル者ノ委任ニ因リ競売ヲ為スヘキ地ノ区裁判所所属ノ執達吏之ヲ為ス
前項ノ委任ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
第四条 競売ノ委任ヲ受ケタル執達吏ハ其競買人ト為ルコトヲ得ス
債権者ノ委任ニ因リテ競売ヲ為ス場合ニ於テハ債務者ハ現金ヲ以テ代価ヲ提供スルニ非サレハ其競買ノ申込ヲ為スコトヲ得ス
第五条 競売ハ競売ニ付スヘキ物ノ現在地ニ於テ之ヲ為ス但其地ニ於テ相当ノ代価ヲ得ル見込ナキトキハ他所ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
第六条 競売ノ日時ハ執達吏カ其委任ヲ受ケタルトキ直チニ之ヲ定ムルコトヲ要ス但直チニ之ヲ定ムルコト能ハサル事情アルトキハ此限ニ在ラス
第七条 競売ノ場所及ヒ日時ハ予メ之ヲ公告スルコトヲ要ス
公告ハ競売ニ付スヘキ物ノ品質及ヒ価格ニ準シ競売地ニ於ケル適当ノ方法ヲ以テ之ヲ為スヘシ
公告ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 競売委任者ノ氏名、住所
二 競売ニ付スヘキ物ノ種類、数量及ヒ品質
三 競売ノ条件ヲ定メタルトキハ其条件
四 競売ノ場所及ヒ年月日時
五 競売ノ委任ヲ受ケタル執達吏ノ氏名、住所
委任者カ競売ノ条件ヲ定メサリシトキハ民事訴訟法第五百七十七条第三項ノ規定ヲ準用ス
第八条 競売ノ場所及ヒ日時ハ競売ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス但通知ヲ受クヘキ者ノ住所又ハ居所カ知レサルトキハ此限ニ在ラス
第九条 公告ト競売トノ間ニハ五日以上ノ期間ヲ存スルコトヲ要ス但競売ニ付スヘキ物ニ関シ之ヨリ速ニ競売ヲ為スコトヲ要スル特別ノ事情アルトキハ此限ニ在ラス
第十条 高価品ノ競売ハ鑑定人ヲシテ其評価ヲ為サシメタル後之ヲ為スコトヲ要ス
第十一条 金銀及ヒ金銀ノ製品ハ地金銀ノ相場以下ノ代価ヲ以テ之ヲ競売スルコトヲ得ス
取引所ノ相場アル物ハ其相場以下ノ代価ヲ以テ之ヲ競売スルコトヲ得ス
第十二条 前条ニ掲ケタル物ヲ競売スル場合ニ於テ競売ノ日ニ相当ナル競買ノ申込ナキトキハ執達吏ハ金銀及ヒ金銀ノ製品ニ付テハ地金銀ノ相場以上ノ代価、取引所ノ相場アル物ニ付テハ競買ノ日ノ相場以上ノ代価ヲ以テ任意ニ之ヲ売却スルコトヲ得
第十三条 競売ハ其条件ヲ告知シ各競売物ニ付キ競買ノ申込ヲ催告スルニ始マリ最高価競買ノ申込人ニ対シ競落ノ告知ヲ為スニ因リテ終了ス
競落ノ告知ハ最高価競買ノ申込ヲ三回呼上ケタル後之ヲ為ス
第十四条 執達吏ハ競売調書ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載シ署名、捺印スヘシ
一 競売委任者ノ氏名、住所
二 競売ニ付スヘキ物ノ種類、数量及ヒ品質
三 鑑定人ヲシテ評価ヲ為サシメタルトキハ其評価額
四 競売ノ場所及ヒ日時
五 第九条但書ノ事由アリタルトキハ其事由
六 利害ノ関係ヲ有スル者ニ通知ヲ発シタルコト若シ之ヲ発セサリシトキハ其事由
七 告知シタル競売ノ条件
八 各競売物ニ対スル競落人ノ氏名及ヒ其申込価額
九 競売ヲ停止シタルトキ又ハ競落ヲ為ササリシトキハ其事由
十 競売ノ開始及ヒ完結ノ日時
十一 競売調書ヲ作リタル場所及ヒ年月日
競売調書ニハ委任者又ハ其代理人ヲシテ署名、捺印セシメ且競売ノ公告ヲ為シ及ヒ通知ヲ発シタルコトヲ証スル書面及ヒ委任状ヲ添附スルコトヲ要ス
執達吏ハ委任者ノ請求ニ因リ競売調書ノ謄本ヲ交付スルコトヲ要ス
第十五条 執達吏ハ競売ノ完結後売得金ノ中ヨリ競売ノ費用ヲ控除シ其残金及ヒ競落セサリシ物ハ遅滞ナク之ヲ受取ルヘキ者ニ交付シ又ハ其者ノ為メニ之ヲ供託スルコトヲ要ス
第十六条 執達吏ハ競売ニ付キ正副二通ノ計算書ヲ作リ其正本ハ計算ニ関スル証明書ト共ニ之ヲ委任者ニ交付シ其副本ハ之ヲ競売調書ニ添附スヘシ
第十七条 競売ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル者ハ競売ノ完結ニ至ルマテ其手続ニ関スル執達吏ノ処分ニ付キ其所属区裁判所ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
異議ノ裁判ハ申立人ニ之ヲ通知スヘシ此裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
異議ノ裁判ハ之ヲ以テ善意ノ競落人ニ対抗スルコトヲ得ス
第十八条 前条ノ規定ニ依リテ異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ競売ノ停止ヲ命スルコトヲ得但停止ニ因リテ著シキ損害ヲ生スル虞アルトキハ此限ニ在ラス
第十九条 第三者カ競売ノ目的物ニ関シテ訴ヲ提起シタルコトヲ証明シタルトキハ執達吏ハ其競売ヲ停止スルコトヲ要ス
物ノ保管ニ付キ過分ノ費用ヲ要スルトキ又ハ遅滞ノ為メ著シク物ノ価格ヲ減少スル虞アルトキハ執達吏ハ競売ヲ続行シテ売得金ヲ供託スルコトヲ得
第二十条 前二条ノ規定ニ依リテ競売ヲ停止シタル場合ニ於テハ執達吏ハ相当ノ方法ヲ以テ競売ノ目的物ヲ保管スルコトヲ要ス此場合ニ於ケル競売手続及ヒ保管ノ費用ハ委任者ノ負担トス
第二十一条 競売ノ委任ハ競落ノ告知アルマテ之ヲ取消スコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル競売手続ノ費用ハ委任者ノ負担トス
第三章 不動産ノ競売
第二十二条 不動産ノ競売ハ留置権者、先取特権者、質権者、抵当権者其他民法ノ規定ニ依リテ競売ヲ為サントスル者ノ申立ニ因リ不動産所在地ノ区裁判所之ヲ為ス
民事訴訟法第六百四十一条第一項ノ規定ハ競売ヲ為スヘキ裁判所ノ管轄ニ之ヲ準用ス
第二十三条 申立人ハ競落期日マテハ最高価競買申込人ノ同意アル場合ニ限リ其申立ノ取下ヲ為スコトヲ得
第二十四条 競売ノ申立ハ書面ヲ提出シテ之ヲ為スコトヲ要ス
申立書ニハ左ノ事項ヲ記載シ申立人又ハ其代理人之ニ署名、捺印スヘシ
一 債務者及ヒ所有者ノ氏名、住所
二 競売ニ付スヘキ不動産ノ表示
三 競売ノ原因タル事由
四 年月日
五 裁判所
申立書ニハ競売ニ付スヘキ不動産ニ関スル登記簿ノ謄本及ヒ代理人ニ依リテ申立ヲ為ストキハ其委任状ヲ添附スルコトヲ要ス
民事訴訟法第六百四十三条第一項第二号乃至第五号、第二項及ヒ第三項ノ規定ハ第一項ノ申立ニ之ヲ準用ス
第二十五条 競売手続ノ開始ハ決定ヲ以テ之ヲ為ス
開始決定ニハ申立人ノ氏名、住所及ヒ前条第二項第一号乃至第四号ニ掲ケタル事項ヲ記載シ決定ヲ為シタル判事之ニ署名、捺印スヘシ
民事訴訟法第二百三十九条ノ規定ハ開始決定ニ之ヲ準用ス
第二十六条 裁判所ハ開始決定ヲ為スト同時ニ職権ヲ以テ競売ノ申立アリタルコトヲ競売ニ付スヘキ不動産ニ関スル登記簿ニ登記スヘキ旨ヲ其管轄登記所ニ嘱託スヘシ
民事訴訟法第六百五十一条第二項、第六百五十二条及ヒ第六百五十三条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十七条 裁判所カ開始決定ヲ為シタルトキハ競売期日及ヒ競落期日ヲ定メテ之ヲ公告スルコトヲ要ス
競売ノ期日ハ競売手続ノ利害関係人ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
左ニ記載シタル者ヲ利害関係人トス
一 申立人
二 債務者及ヒ所有者
三 登記簿ニ登記シタル不動産上ノ権利者
四 不動産上ノ権利者トシテ其権利ヲ証明シタル者
第二十八条 裁判所ハ鑑定人ヲシテ競売ニ付スヘキ不動産ノ評価ヲ為サシメ其評価額ヲ以テ最低競売価額トスヘシ
第二十九条 競売期日ノ公告ニハ第二十二条ニ掲ケタル者ノ申立ニ因リテ競売ヲ為ス旨ノ外民事訴訟法第六百五十八条第一号乃至第三号、第五号乃至第七号、第九号及ヒ第十号ニ掲ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
民事訴訟法第六百六十一条ノ規定ハ前項ノ公告ニ之ヲ準用ス
第三十条 競売期日、其開始、競売調書及ヒ競売終局ノ告知ニ関スル民事訴訟法第六百五十九条第六百六十二条乃至第六百六十九条ノ規定ハ本章ノ競売ニ之ヲ準用ス
第三十一条 競売期日ニ相当ノ競買申込ナキトキハ裁判所ハ更ニ期日ヲ定メテ競売ヲ為スヘシ此場合ニ於テハ民事訴訟法第六百七十条ノ規定ヲ準用ス
第三十二条 競落期日ハ民事訴訟法第六百六十条ノ規定ニ従ヒ裁判所ニ於テ之ヲ開ク
競落ノ手続、競落ヲ許ササル場合ノ新競売期日、競売ノ履行及ヒ競落人ノ義務不履行ノ場合ニ於ケル再競売ニ関スル民事訴訟法第六百七十一条乃至第六百七十四条、第六百七十六条乃至第六百八十三条、第六百八十七条及ヒ第六百八十八条ノ規定ハ本章ノ競売ニ之ヲ準用ス
第三十三条 競落人ハ競落ヲ許ス決定カ確定シタル後直チニ代価ヲ裁判所ニ支払フコトヲ要ス此場合ニ於テハ裁判所ハ其裁判ノ謄本ヲ添ヘ競落人カ取得シタル権利ノ移転ノ登記ヲ管轄登記所ニ嘱託スヘシ
裁判所ハ前項ノ代価ノ中ヨリ競売ノ費用ヲ控除シ其残金ハ遅滞ナク之ヲ受取ルヘキ者ニ交付スルコトヲ要ス
第三十四条 裁判所ハ競売期日ノ公告ヲ為ス前申立ニ因リ競売ニ代ヘテ入札払ヲ為スヘシ此場合ニ於テハ民事訴訟法第七百三条乃至第七百五条ノ規定ニ依ル外本章ノ規定ヲ準用ス
第三十五条 競落ヲ為サスシテ競売手続ヲ完結シタルトキハ裁判所ハ第二十六条ノ規定ニ依リテ為シタル登記ノ抹消ヲ嘱託スヘシ
第四章 船舶ノ競売
第三十六条 登記シタル船舶ノ競売ハ申立ニ因リ其当時ノ碇泊港又ハ船舶ノ現在地ヲ管轄スル区裁判所之ヲ為ス
第三十七条 競売ノ申立書ニハ船舶所有者並ニ船長ノ氏名、住所、船舶ノ表示及ヒ競売ノ原因ヲ記載シ且船舶登記簿ノ謄本及ヒ官ノ認可ヲ要スル場合ニ於テハ其認可ヲ得タルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第三十八条 競売期日ノ公告ニハ申立ニ因リテ競売ヲ為ス旨ノ外船舶ノ表示及ヒ其碇泊港又ハ現在ノ場所ヲ記載スルコトヲ要ス
第三十九条 前章ノ規定及ヒ民事訴訟法第七百十九条、第七百二十条第二項、第七百二十三条、第七百二十五条ノ規定ハ船舶ノ競売ニ之ヲ準用ス
第五章 増価競売
第四十条 民法第三百八十四条ノ規定ニ依リテ抵当不動産ノ増価競売ヲ請求スル債権者ハ第三取得者ニ競売ノ請求ヲ送達シタル日ヨリ三日内ニ抵当不動産所在地ノ区裁判所ニ競売ノ申立ヲ為シ且担保ノ認許ヲ求ムルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ラサル競売ノ請求ハ無効トス
第四十一条 競売ノ申立書ニハ左ノ事項ヲ記載シ請求債権者之ニ署名、捺印スヘシ
一 債務者ノ氏名、住所
二 抵当不動産ノ表示
三 第三取得者及ヒ譲渡人ノ氏名、住所
四 担保ノ表示
五 第三取得者カ提供シタル金額
六 請求者カ定メタル増価金額
七 年月日
八 裁判所
申立書ニハ民法第三百八十三条ノ送達ヲ受ケタル日ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
民事訴訟法第六百四十三条第一項第三号乃至第五号、第二項及ヒ第三項ノ規定ハ本条ノ申立ニ之ヲ準用ス
第四十二条 裁判所ハ担保ノ許否ニ付キ期日ヲ定メ決定ヲ以テ其裁判ヲ為スヘシ
期日ニハ請求債権者及ヒ第三取得者ヲ呼出タスヘシ
担保ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第四十三条 競売ノ請求ハ担保ヲ認許セサル裁判ニ因リテ当然其効力ヲ失フ
民法第三百八十四条ニ定メタル期間内ニ第三取得者ニ対シテ競売ノ請求書ヲ送達シタル他ノ債権者ハ前項ノ裁判アリタル日ヨリ三日内ニ第四十条ノ申立ヲ為スコトヲ得
第四十四条 裁判所カ担保ヲ認許シタルトキハ競売手続ノ開始ノ決定ヲ為スヘシ
決定ニハ認許シタル担保ヲ表示シ且第四十一条第一項第一号乃至第三号、第六号及ヒ第七号ニ掲ケタル事項ヲ記載スヘシ
第二十五条第二項、第三項及ヒ第二十六条第一項ノ規定ハ本条ノ決定ニ之ヲ準用ス
第四十五条 第二十七条第一項及ヒ第二項ノ規定ハ増価競売ニ之ヲ準用ス
左ニ記載シタル者ヲ利害関係人トス
一 競売請求者
二 債務者
三 第三取得者及ヒ譲渡人
四 登記簿ニ登記シタル不動産上ノ権利者
五 不動産上ノ権利者トシテ其権利ヲ証明シタル者
第四十六条 競売ノ公告ニハ増価競売ノ申立ニ因リテ競売ヲ為ス旨及ヒ請求者ノ定メタル増価金額ノ外民事訴訟法第六百五十八条第一号乃至第三号、第五号、第七号、第九号及ヒ第十号ニ掲ケタル事項ヲ記載スヘシ
第三十三条及ヒ民事訴訟法第六百五十九条乃至第六百六十九条、第六百七十一条乃至第六百七十四条、第六百七十六条乃至第六百八十三条、第六百八十七条ノ規定ハ本章ノ競売及ヒ競落ノ手続ニ之ヲ準用ス
第四十七条 競売期日ニ請求債権者カ定メタル増価金額ニ達スル競買ノ申込ナキトキハ請求債権者ヲ以テ競落人トス
民事訴訟法第六百七十八条ノ規定ニ依リ最高価競買人カ其競買ヲ取消シタルトキハ裁判所ハ更ニ競売期日及ヒ競落期日ヲ定メテ之ヲ公告スルコトヲ要ス
第四十八条 増価競売ノ担保ハ競落代価ノ完済ニ因リテ其効力ヲ失フ
第四十九条 裁判所ハ競売請求者ノ申立ニ因リ競売ニ代ヘテ入札払ヲ為スヘシ此場合ニ於テハ民事訴訟法第七百三条乃至第七百五条ノ規定ニ依ル外本章ノ規定ヲ準用ス
附 則
第五十条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十一条 明治二十三年法律第九十二号増価競売法ハ本法発布ノ日ヨリ之ヲ廃止ス