(責任の制限の及ぶ範囲)
第六条 船舶所有者等又はその被用者等がする旅客の損害に関する債権についての責任の制限以外の責任の制限は、船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権及び物の損害に関する債権に及ぶ。
2 救助船舶に係る救助者若しくは当該救助船舶の船舶所有者等又はこれらの被用者等がする責任の制限は、救助船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権及び物の損害に関する債権に及ぶ。
3 前項の救助者以外の救助者又はその被用者等がする責任の制限は、救助者ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権及び物の損害に関する債権に及ぶ。
4 前三項の責任の制限が物の損害に関する債権のみについてするものであるときは、その責任の制限は、前三項の規定にかかわらず、人の損害に関する債権に及ばない。
5 船舶所有者等又はその被用者等がする旅客の損害に関する債権についての責任の制限は、船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての旅客の損害に関する債権に及ぶ。
(責任の限度額等)
第七条 前条第一項又は第二項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次のとおりとする。
一 責任を制限しようとする債権が物の損害に関する債権のみである場合においては、船舶のトン数に応じて、次に定めるところにより算出した金額。ただし、百トンに満たない木船については、一単位の五万六千倍の金額とする。
イ 五百トン以下の船舶にあつては、一単位の十六万七千倍の金額
ロ 五百トンを超える船舶にあつては、イの金額に、五百トンを超え三万トンまでの部分については一トンにつき一単位の百六十七倍を、三万トンを超え七万トンまでの部分については一トンにつき一単位の百二十五倍を、七万トンを超える部分については一トンにつき一単位の八十三倍を乗じて得た金額を加えた金額
二 その他の場合においては、船舶のトン数に応じて、次に定めるところにより算出した金額
イ 五百トン以下の船舶にあつては、一単位の五十万倍の金額
ロ 五百トンを超える船舶にあつては、イの金額に、五百トンを超え三千トンまでの部分については一トンにつき一単位の六百六十七倍を、三千トンを超え三万トンまでの部分については一トンにつき一単位の五百倍を、三万トンを超え七万トンまでの部分については一トンにつき一単位の三百七十五倍を、七万トンを超える部分については一トンにつき一単位の二百五十倍を乗じて得た金額を加えた金額
2 前項第二号に規定する場合においては、制限債権の弁済に充てられる金額のうち、その金額に同項第一号に掲げる金額(百トンに満たない木船については、同号イの金額)の同項第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た金額に相当する部分は物の損害に関する債権の弁済に、その余の部分は人の損害に関する債権の弁済に、それぞれ充てられるものとする。ただし、後者の部分が人の損害に関する債権を弁済するに足りないときは、前者の部分は、その弁済されない残額と物の損害に関する債権の額との割合に応じてこれらの債権の弁済に充てられるものとする。
3 前条第三項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次のとおりとする。
一 責任を制限しようとする債権が物の損害に関する債権のみである場合においては、一単位の三十三万四千倍の金額
二 その他の場合においては、一単位の百十六万七千倍の金額
4 第二項の規定は、前項第二号に規定する場合について準用する。
5 前条第五項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額とする。
一 一単位の四万六千六百六十六倍に船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第九条第一項の船舶検査証書に記載された旅客の数を乗じて得た金額
6 制限債権者は、その制限債権の額の割合に応じて弁済を受ける。
(船舶のトン数の算定)
第八条 前条第一項及び第二項の船舶のトン数は、船舶のトン数の測度に関する法律(昭和五十五年法律第四十号)第四条第二項の規定の例により算定した数値にトンを付して表したものとする。