(適正化事業実施機関の指定)
第三十四条 指定地域内におけるタクシー事業に係る次の業務を行なう者で指定地域ごとに運輸大臣の指定するもの(以下「適正化事業実施機関」という。)は、当該業務の実施に必要な経費に充てるため、当該指定地域内に営業所を有するタクシー事業者から負担金を徴収することができる。
一 タクシーの運転者の道路運送法に違反する運送の引受けの拒絶その他同法又はこの法律に違反する行為の防止及び是正を図るための指導
二 タクシーの運転者の業務の取扱いの適正化を図るための研修
四 タクシー乗場その他タクシー事業の利用者のための共同施設の設置及び運営
五 タクシーの運転者の休憩、睡眠又は食事のための共同施設の設置及び運営
2 前項の指定は、指定を受けようとする者の申請により行なう。
第三十五条 運輸大臣は、前条第二項の申請が次の各号の一に該当していると認めるときは、同条第一項の指定をしてはならない。
一 現に当該指定地域について適正化事業実施機関があること。
二 申請者が民法第三十四条の規定により設立された財団法人以外の者であること。
三 申請者が前条第一項各号の業務(以下「適正化業務」という。)を公正かつ適確に実施することができないおそれがある者であること。
四 申請者が適正化業務以外の業務を行なう場合には、次の業務以外の業務を行なうものであること。
ロ 一般乗用旅客自動車運送事業の利用者の利便の増進に資する業務
ハ 一般乗用旅客自動車運送事業の用に供する自動車の運転者の福利厚生のための共同施設の設置及び運営その他一般乗用旅客自動車運送事業の業務の改善に資する業務
五 申請者が第四十条第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者であること。
六 申請者の役員で適正化業務に従事するもののうちに、禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは道路運送法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者があること。
(事業計画等)
第三十六条 適正化事業実施機関は、毎事業年度開始前に、適正化業務に係る事業計画、収支予算及び資金計画を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 適正化事業実施機関は、前項の認可を受ける場合には、適正化業務以外の業務に係る事業計画、収支予算及び資金計画を添附しなければならない。
3 適正化事業実施機関は、毎事業年度経過後三月以内に、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、運輸大臣に提出しなければならない。
(負担金の徴収)
第三十七条 適正化事業実施機関は、毎事業年度、第三十四条第一項の負担金の額及び徴収方法について、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 適正化事業実施機関は、前項の認可を受けたときは、当該適正化事業実施機関の指定に係る指定地域内に営業所を有するタクシー事業者に対し、その認可を受けた事項を記載した書面を添附して、負担金の額、納付期限及び納付方法を通知しなければならない。
3 タクシー事業者は、前項の通知に従い、適正化事業実施機関に対し、負担金を納付する義務を負う。
4 第二項の通知を受けたタクシー事業者(以下この条において「納付義務者」という。)は、納付期限までにその負担金を納付しないときは、負担金の額に納付期限の翌日から当該負担金を納付する日までの日数一日につき運輸省令で定める率を乗じて計算した金額に相当する金額の延滞金を納付する義務を負う。
5 適正化事業実施機関は、運輸省令で定める事由があると認めるときは、前項の規定による延滞金の納付を免除することができる。
6 適正化事業実施機関は、納付義務者が納付期限までにその負担金を納付しないときは、督促状により、期限を指定して、督促しなければならない。この場合において、その期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。
7 適正化事業実施機関は、前項の規定による督促を受けた納付義務者がその指定の期限までにその督促に係る負担金及び第四項の規定による延滞金を納付しないときは、運輸大臣にその旨を申し立てることができる。
8 運輸大臣は、前項の申立てがあつたときは、納付義務者に対し、適正化事業実施機関に負担金及び第四項の規定による延滞金を納付すべきことを命ずることができる。
(区分経理)
第三十八条 適正化事業実施機関は、運輸省令で定めるところにより、適正化業務に関する経理と適正化業務以外の業務に関する経理とを区分して整理しなければならない。
(適正化事業諮問委員会)
第三十九条 適正化事業実施機関には、適正化事業諮問委員会を置かなければならない。
2 適正化事業諮問委員会は、適正化事業実施機関の代表者の諮問に応じ負担金の額及び徴収方法その他適正化業務の実施に関する重要事項を調査審議し、及びこれらに関し必要と認める意見を適正化事業実施機関の代表者に述べることができる。
3 適正化事業諮問委員会の委員は、タクシー事業者が組織する団体が推薦する者、タクシーの運転者が組織する団体が推薦する者、学識経験のある者及びタクシー事業の利用者のうちから、運輸大臣の認可を受けて適正化事業実施機関の代表者が任命する。
(指定の取消し)
第四十条 運輸大臣は、適正化事業実施機関が次の各号の一に該当するときは、第三十四条第一項の指定を取り消すことができる。
一 第三十五条第三号又は第四号に該当することとなつたとき。
二 この法律、この法律に基づく命令又は第三十六条第一項の認可を受けた事項に違反して適正化業務を行なつたとき。
三 第三十七条第一項の認可を受けず、又は同項の認可を受けた事項に違反して、負担金を徴収したとき。
四 第四十二条において準用する第二十六条第二項又は第二十八条の規定による処分に違反したとき。
2 運輸大臣は、前項の規定により第三十四条第一項の指定を取り消したときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指示を取り消した場合における経過措置)
第四十一条 前条第一項の規定により第三十四条第一項の指定を取り消した場合において、運輸大臣がその取消し後に同一の指定地域について新たに適正化事業実施機関を指定したときは、取消しに係る適正化事業実施機関の適正化業務に係る財産は、新たに指定を受けた適正化事業実施機関に帰属する。
2 前項に定めるもののほか、前条第一項の規定により第三十四条第一項の指定を取り消した場合における適正化業務に係る財産の管理その他所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、合理的に必要と判断される範囲内において、政令で定めることができる。
(準用規定)
第四十二条 第二十一条、第二十六条及び第二十八条の規定は、適正化事業実施機関が適正化業務を実施する場合について準用する。