新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十年五月二十日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十三号
新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律
(趣旨)
第一条 この法律は、新産業都市建設促進法(昭和三十七年法律第百十七号)第十条の規定に基づいて内閣総理大臣が承認した新産業都市建設基本計画又は工業整備特別地域整備促進法(昭和三十九年法律第百四十六号)第三条の規定に基づいて内閣総理大臣が承認した工業整備特別地域整備基本計画を達成するために必要な国の財政上の特別措置について規定するものとする。
(地方債の利子補給)
第二条 国は、新産業都市建設基本計画又は工業整備特別地域整備基本計画に基づいて関係都道府県が国から負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、又は国が関係都道府県に負担金を課して行なう事業のうち、次に掲げる施設の整備に係る事業(災害復旧に係るものを除く。)で政令で定めるものについて、政令で定めるところにより当該事業の種類ごとに算定した当該都道府県の通常の負担額をこえる負担額の支出の財源に充てるものとして、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において、当該都道府県が発行を許可された地方債で利率が年三分五厘をこえるものにつき、年四分五厘の率を乗じて得た額を限度として、昭和四十年度から昭和五十五年度までの各年度において、当該地方債の当該年度分の利子支払額のうち、利率を年三分五厘として計算して得た額をこえる部分に相当する金額を当該都道府県に補給するものとする。
一 住宅
二 道路、港湾等の輸送施設
三 その他政令で定める主要な施設
(国の負担割合の特例)
第三条 新産業都市建設基本計画又は工業整備特別地域整備基本計画に基づいて昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において関係市町村が国から負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、又は国が関係市町村に負担金を課して行なう事業のうち、次に掲げる施設の整備に係る事業(災害復旧に係るもの、当該事業に係る経費の全額を国が負担するもの及び当該事業に係る経費を当該市町村が負担しないものを除く。)で政令で定めるもの(以下「特定事業」という。)に係る経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、次条に定めるところにより算定するものとする。
一 住宅
二 道路、港湾等の輸送施設
三 下水道
四 教育施設及び厚生施設
五 その他政令で定める主要な施設
第四条 特定事業に係る経費に対する国の負担割合は、関係市町村ごとに当該特定事業に係る経費に対する通常の国の負担割合に次の式により算定した数(小数点以下二位未満は、切り上げるものとする。以下「引上率」という。)を乗じて算定するものとする。
1+
0.25×
当該年度におけるすべての特定事業に係る当該市町村の負担額のうち、当該市町村の標準負担額をこえ、その2倍にいたるまでの額
×
0.75+0.25×
0.72-
当該市町村の財政力指数(財政力指数が0.72をこえるときは0.72)
当該市町村の標準負担額
0.72-
すべての関係市町村のうち財政力指数が最低の関係市町村の財政力指数
2 前項の式において「当該市町村の標準負担額」とは、当該市町村の当該年度の地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十条の規定により算定した普通交付税の額、同法第十四条の規定により算定した基準財政収入額から同条の規定により算定した特別とん譲与税の収入見込額を控除した額の七十五分の百に相当する額及び当該特別とん譲与税の収入見込額の合算額の百分の十に相当する額をいい、「財政力指数」とは、同法第十四条の規定により算定した基準財政収入額を同法第十一条の規定により算定した基準財政需要額で除して得た数値で当該年度前三年度内の各年度に係るものを合算したものの三分の一の数値をいう。
3 第一項の規定を適用した場合において、関係市町村の負担割合が百分の二十未満となるときは、同項の規定にかかわらず、当該特定事業に係る経費に対する関係市町村の負担割合が百分の二十となるように国の負担割合を定める。
4 自治大臣は、第一項に規定する引上率を算定し、特定事業に係る事務を所掌する各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長という。)並びに関係都道府県知事及び関係市町村長に通知するものとする。
第五条 関係市町村であつて地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)第三条第四項に規定する財政再建団体であるものに係る特定事業のうち、当該特定事業に係る経費について同法第十七条の規定により算定した国の負担割合(以下この項において「地方財政再建促進特別措置法による国の負担割合」という。)が当該特定事業に係る経費について前条の規定により算定した国の負担割合(以下この項において「この法律による国の負担割合」という。)をこえるものについては、同条の規定にかかわらず、地方財政再建促進特別措置法第十七条の規定を適用し、地方財政再建促進特別措置法による国の負担割合がこの法律による国の負担割合をこえないものについては、地方財政再建促進特別措置法第十七条の規定にかかわらず、前条の規定を適用する。
2 国は、前条の規定にかかわらず、北海道の区域における関係市町村に係る特定事業のうち、第一号に掲げる国の負担割合が第二号に掲げる国の負担割合をこえるものについては、第一号に掲げる国の負担割合により算定した額に相当する額を、第一号に掲げる国の負担割合が第二号に掲げる国の負担割合をこえないものについては、第二号に掲げる国の負担割合により算定した額に相当する額を負担し又は補助するものとする。
一 北海道の区域以外の区域における当該特定事業に相当する事業に係る経費に対する通常の国の負担割合に前条第一項の規定により当該市町村について算定した引上率を乗じて得た国の負担割合
二 北海道の区域における当該特定事業に係る経費に対する国の負担割合
3 前条第三項の規定は、前項第一号に掲げる国の負担割合を算定する場合について準用する。
4 前条第四項の規定は、国が第二項の規定により同項第一号に掲げる国の負担割合により算定した額に相当する額を負担し又は補助することとなる場合について準用する。この場合において、「各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。)」とあるのは、「各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。)及び北海道開発庁長官と」と読み替えるものとする。
(港務局についてのこの法律の適用)
第六条 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局は、この法律の適用については地方公共団体とみなす。
(政令への委任)
第七条 第二条の規定による利子の補給及び第三条又は第五条第二項の現定により通常の国の負担割合をこえて国が負担し又は補助することとなる額の交付、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の規定による一部事務組合及び同法第二百九十八条第一項の規定による地方開発事業団並びに港務局の行なう事業についてこの法律を適用するために必要な事項その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(適用)
2 第三条、第四条及び第五条第二項並びに附則第四項の規定による改正後の後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和三十六年法律第百十二号)第二条の規定は、昭和四十年度分の予算に係る国の負担金又は補助金から適用し、昭和三十九年度分の予算に係る国の負担金又は補助金で翌年度に繰り越したものについては、なお従前の例による。
(自治省設置法の一部改正)
3 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十三号の三の次に次の一号を加える。
十三の四 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十年法律第七十三号)の施行に関する事務を行なうこと。
第十二条中第十五号を第十六号とし、第十四号の次に次の一号を加える。
十五 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の施行に関すること。
(後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部改正)
4 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を次のように改正する。
第二条第二項第十号を次のように改める。
十 空港
第二条第二項に次の一号を加える。
十一 農地及び農業用施設
内閣総理大臣 佐藤栄作
大蔵大臣 田中角栄
農林大臣 赤城宗徳
運輸大臣 松浦周太郎
自治大臣 吉武恵市