自動車ターミナル法
法令番号: 法律第136号
公布年月日: 昭和34年4月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

自動車輸送、特に路線バスと路線トラック事業の急速な発展に伴い、多数の路線が集中する地点での旅客の乗り換えや貨物の積み換え施設の整備が求められている。しかし、従来は道路などの一般交通場所や単独事業者の施設で対応してきたため、利用者の利便性を損ね、自動車運送事業者の発展を阻害してきた。また、将来の高速自動車道建設を見据え、幹線交通と都市交通の総合的発展のためにも、自動車ターミナル施設の整備促進が不可欠となっている。このため、自動車ターミナルの適正な運営・管理の確保と公衆の利便性向上を目的とした法的整備を行うものである。

参照した発言:
第31回国会 参議院 運輸委員会 第6号

審議経過

第31回国会

参議院
(昭和34年2月18日)
衆議院
(昭和34年2月19日)
参議院
(昭和34年2月26日)
(昭和34年3月3日)
(昭和34年3月5日)
(昭和34年3月10日)
(昭和34年3月11日)
衆議院
(昭和34年3月19日)
参議院
(昭和34年3月20日)
衆議院
(昭和34年3月24日)
(昭和34年3月26日)
(昭和34年5月2日)
自動車ターミナル法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百三十六号
自動車ターミナル法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
自動車ターミナル事業(第三条―第二十四条)
第三章
専用自動車ターミナル(第二十五条―第二十八条)
第四章
バスターミナルに関する特別規定(第二十九条・第三十条)
第五章
雑則(第三十一条―第三十九条)
第六章
罰則(第四十条―第四十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、自動車ターミナル事業の適正な運営及び専用自動車ターミナルの適確な管理を確保するとともに、自動車ターミナルの整備を促進することにより、自動車運送の健全な発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「自動車運送事業」とは、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)の一般乗合旅客自動車運送事業及び一般路線貨物自動車運送事業をいい、「自動車運送事業者」とは、自動車運送事業を経営する者をいう。
2 この法律で「自動車ターミナル」とは、旅客の乗降又は貨物の積卸のため、自動車運送事業の事業用自動車を同時に二両以上停留させることを目的として設置した施設であつて、道路の路面その他一般交通の用に供する場所を停留場所として使用するもの以外のものをいう。
3 この法律で「一般自動車ターミナル」とは、専用自動車ターミナル以外の自動車ターミナルをいい、「専用自動車ターミナル」とは、自動車運送事業者が当該自動車運送事業の用に供することを目的として設置した自動車ターミナルをいう。
4 この法律で「バスターミナル」とは、一般乗合旅客自動車運送事業の用に供する自動車ターミナルをいい、「トラックターミナル」とは、一般路線貨物自動車運送事業の用に供する自動車ターミナルをいう。
5 この法律で「自動車ターミナル事業」とは、一般自動車ターミナルを自動車運送事業の用に供する事業をいう。
第二章 自動車ターミナル事業
(免許)
第三条 自動車ターミナル事業を経営しようとする者は、一般自動車ターミナルごとに、かつ、次に定める事業の種類ごとに運輸大臣の免許を受けなければならない。ただし、一般自動車ターミナルを無償で供用するものについては、この限りでない。
一 バスターミナル事業(バスターミナルである一般自動車ターミナルを一般乗合旅客自動車運送事業の用に供する自動車ターミナル事業)
二 トラックターミナル事業(トラックターミナルである一般自動車ターミナルを一般路線貨物自動車運送事業の用に供する自動車ターミナル事業)
(免許申請)
第四条 自動車ターミナル事業の免許を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 経営しようとする自動車ターミナル事業の種類
二 一般自動車ターミナルの名称及び位置
三 一般自動車ターミナルの規模並びに構造及び設備の概要
四 一般自動車ターミナルの設置及び業務の運営に関し運輸省令で定める事業計画
五 その他運輸省令で定める事項
2 前項の申請書には、一般自動車ターミナルの位置を表示する地図、事業収支見積書その他運輸省令で定める書類を添附しなければならない。
(免許基準)
第五条 運輸大臣は、次の基準に適合すると認めるときでなければ、自動車ターミナル事業の免許をしてはならない。
一 当該一般自動車ターミナルの位置が自動車運送事業の輸送網の中心として適切なものであること。
二 当該一般自動車ターミナルの規模が当該地区における輸送量に対して適切なものであること。
三 当該事業の遂行上適切な事業計画を有するものであること。
四 当該事業を適確に遂行するに足りる能力を有するものであること。
五 その他当該事業の開始が公益上必要であり、かつ、適切なものであること。
2 次の各号の一に該当する者は、自動車ターミナル事業の免許を受けることができない。
一 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 自動車ターミナル事業の免許の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者
三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であつて、その法定代理人が前二号の一に該当するもの
四 法人であつて、その役員が前三号の一に該当するもの
(工事の施行)
第六条 自動車ターミナル事業の免許を受けた者(以下「自動車ターミナル事業者」という。)は、運輸省令で定めるところにより、一般自動車ターミナルの構造及び誘導車路、停留場所、乗降場、荷扱場その他の設備について工事計画を定め、運輸大臣の指定する期限までに、工事の施行の認可を申請しなければならない。ただし、工事を必要としない場合は、この限りでない。
2 運輸大臣は、工事計画が政令で定める技術上の基準及び当該一般自動車ターミナルの規模に適合すると認めるときは、前項の認可をしなければならない。
3 天災その他やむを得ない事由により第一項の期限までに認可を申請することができないときは、運輸大臣は、申請により、同項の期限を延長することができる。
(工事計画の変更)
第七条 自動車ターミナル事業者は、工事計画を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の認可について準用する。
(工事の完成)
第八条 工事の施行の認可を受けた自動車ターミナル事業者は、運輸大臣の指定する工事の完成の期限までに、一般自動車ターミナルの工事を完成し、かつ、運輸大臣の検査を申請しなければならない。
2 運輸大臣は、前項の検査の結果、当該工事に係る構造及び設備が工事計画に合致し、かつ、工事を必要としなかつた部分の構造及び設備が第六条第二項の政令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、合格としなければならない。
3 第六条第三項の規定は、工事の完成の期限について準用する。
(工事を要しない場合)
第九条 自動車ターミナル事業者は、一般自動車ターミナルの工事を必要としないときは、運輸大臣が指定する期限までに、その構造及び設備について、運輸大臣の検査を申請しなければならない。
2 運輸大臣は、前項の検査の結果、当該一般自動車ターミナルの構造及び設備が第六条第二項の政令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、合格としなければならない。
(供用の開始)
第十条 自動車ターミナル事業者は、第八条第一頂又は前条第一項の検査に合格しなければ、一般自動車ターミナルの供用を開始してはならない。
2 自動車ターミナル事業者は、第八条第一項又は前条第一項の検査に合格したときは、遅滞なく、一般自動車ターミナルの供用を開始しなければならない。
(使用料金)
第十一条 自動車ターミナル事業者は、一般自動車ターミナルの使用料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可については、次の基準によらなければならない。
一 使用者が当該一般自動車ターミナルを使用することを著しく困難にするおそれがないものであること。
二 特定の使用者に対して不当な差別的取扱をするものでないこと。
(供用約款)
第十二条 自動車ターミナル事業者は、一般自動車ターミナルの供用約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可については、次の基準によらなければならない。
一 使用者の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 自動車ターミナル事業者の責任に関する事項が適正かつ明確に定められていること。
(利用規程)
第十三条 自動車ターミナル事業者は、旅客又は荷主(道路運送法の自動車運送取扱事業者を含む。以下同じ。)その他の公衆の一般自動事ターミナルの利用に関する事項について、利用規程を定め、公衆に見易いように掲示しなければならない。
2 自動車ターミナル事業者は、利用規程を定めようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 運輸大臣は、前項の認可については、次の基準によらなければならない。
一 旅客又は荷主その他の公衆が当該一般自動車ターミナルを利用することを困難にするおそれがないものであること。
二 混雑及び危険の防止について適切に配慮されているものであること。
(一般自動車ターミナルの管理)
第十四条 自動車ターミナル事業者は、その構造及び設備が第六条第二項の政令で定める技術上の基準に適合するように一般自動車ターミナルを維持しなければならない。
2 自動車ターミナル事業者は、混雑及び危険の防止並びに事業用自動車の円滑な運行の確保に関し運輸省令で定める基準に従つて一般自動車ターミナルを管理しなければならない。
3 運輸大臣は、一般自動車ターミナルの管理の方法が前二項の規定に違反していると認めるときは、当該自動車ターミナル事業者に対して、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(供用義務)
第十五条 自動車ターミナル事業者は、次の場合を除いては、一般自動車ターミナルの供用を拒絶してはならない。
一 当該供用の申込が供用約款によらないものであるとき。
二 一般自動車ターミナルが当該供用の申込に対応する設備を有しないとき。
三 当該供用に関し使用者から特別の負担を求められたとき。
四 天災その他やむを得ない事由があるとき。
(公衆の利便を阻害する行為の禁止)
第十六条 自動車ターミナル事業者は、自動車運送事業者又は旅客若しくは荷主その他一般自動車ターミナルを利用する公衆に対して、不当な差別的取扱をし、その他これらの利用者の利便を阻害する行為をしてはならない。
2 運輸大臣は、前項に規定する行為があると認めるときは、当該自動車ターミナル事業者に対して、その行為の停止を命ずることができる。
(名称の変更)
第十七条 自動車ターミナル事業者は、一般自動車ターミナルの名称を変更したときは、運輸省令で定めるところにより、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(位置又は規模の変更)
第十八条 自動車ターミナル事業者は、一般自動車ターミナルの位置又は規模を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 第五条第一項の規定は、前項の認可について準用する。
3 第六条から第八条まで及び第十条の規定は、第一項の認可があつた場合について準用する。
(構造又は設備の変更)
第十九条 自動事ターミナル事業者は、一般自動車ターミナルの構造又は設備を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。ただし、位置又は規模の変更に伴う場合及び運輸省令で定める軽微な事項に係る変更の場合については、この限りでない。
2 第六条第二項の規定は、一般自動車ターミナルの構造又は設備の変更の認可について準用する。
3 自動車ターミナル事業者は、第一項ただし書の運輸省令で定める軽微な事項に係る構造又は設備の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業改善命令)
第二十条 運輸大臣は、自動車運送事業の輸送事情その他社会的経済的事情の変動があつた場合において、自動車ターミナル事業(第三条の免許を受けて経営するものに限る。)の運営について公衆の利便の増進に著しい支障があると認めるときは、当該自動車ターミナル事業者に対して、次の事項を命ずることができる。
一 一般自動車ターミナルの規模又は構造若しくは設備を変更すること。
二 使用料金、供用約款又は利用規程を変更すること。
(使用命令等)
第二十一条 運輸大臣は、一般自動車ターミナル(第三条の免許を受けて設置したものに限る。以下この条において同じ。)の所在する地点の周辺の地域に路線を定めて事業を行う自動車運送事業者が当該一般自動車ターミナルを使用していない場合において、自動車運送事業の輸送網を整備するため必要があると認めるときは、その自動車運送事業者に対して、当該一般自動車ターミナルを使用すべきことを命ずることができる。
2 前項の規定は、当該自動車運送事業者に対する道路運送法第四条第一項又は第十八条の規定の適用を排除するものと解釈してはならない。
3 運輸大臣は、一般自動車ターミナルの所在する地点の周辺の地域に路線を定めて事業を行う自動車運送事業に関しては、道路運送法に基く免許その他の処分をするについて、当該地点が自動車運送事業の輸送網の中心である性質にかんがみ、当該一般自動車ターミナルの効用を発揮させるため特別の配意をすべきものとする。
(事業の譲渡及び譲受等)
第二十二条 第三条の免許を受けて経営する自動車ターミナル事業の譲渡及び譲受は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 自動車ターミナル事業者である法人(地方公共団体を除く。以下この項及び次条第二項において同じ。)の合併は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。ただし、自動車ターミナル事業者である法人と自動車ターミナル事業者でない法人が合併する場合において、自動車ターミナル事業者である法人が存続するときは、この限りでない。
3 第五条第一項第四号及び第二項の規定は、前二項の認可について準用する。
4 自動車ターミナル事業の譲受人、自動車ターミナル事業者である法人について合併があつた場合に合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は相続人は、この法律に基く自動車ターミナル事業者の地位を承継する。
5 前項の規定により自動車ターミナル事業者の地位を承継した相続人は、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業の廃止等)
第二十三条 自動車ターミナル事業者は、事業を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 自動車ターミナル事業者である法人の解散の決議又は総社員の同意は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 運輸大臣は、当該休止若しくは廃止又は法人の解散が公衆の利便を著しく阻害するおそれがあると認めるときは、第一項の許可又は前項の認可をしてはならない。ただし、天災その他やむをえない事由に基く場合は、この限りでない。
(免許の取消)
第二十四条 運輸大臣は、自動車ターミナル事業者が次の各号の一に該当するときは、免許を取り消すことができる。
一 この法律、この法律に基く処分又は免許、許可若しくは認可に附した条件に違反したとき。
二 第五条第二項各号の一に該当することとなつたとき。
三 第六条第一項の規定による申請に対して不認可の処分を受けたとき。
四 第八条第一項又は第九条第一項の検査の結果、不合格となつたとき。
第三章 専用自動車ターミナル
(設置等の届出)
第二十五条 自動車運送事業者は、専用自動車ターミナルを設置したときは、遅滞なく、次の事項を運輸大臣に届け出なければならない。
一 バスターミナルであるかトラックターミナルであるかの別
二 名称及び位置
三 規模並びに構造及び設備の概要
四 その他運輸省令で定める事項
2 専用自動車ターミナルを設置した自動車運送事業者は、前項第二号若しくは第三号に掲げる事項について変更があつたとき、又は専用自動車ターミナルの使用を停止し、若しくは廃止したときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(検査)
第二十六条 専用自動車ターミナルを設置した自動車運送事業者は、その構造及び設備について運輸大臣の検査を受け、これに合格しなければ、その使用を開始してはならない。専用自動車ターミナルの位置又は規模を変更した場合についても、同様とする。
2 第九条第二項の規定は、前項の検査について準用する。
(準用規定)
第二十七条 第十三条、第十四条及び第十六条の規定は、専用自動車ターミナルを設置した自動車運送事業者について準用する。
(道路運送法の適用)
第二十八条 専用自動車ターミナルに関しては、道路運送法第二十条、第二十一条並びに第三十三条第一項第三号及び第四号並びに第二項から第五項までの規定の適用があるものとする。
第四章 バスターミナルに関する特別規定
(バスターミナル設置の指示)
第二十九条 運輸大臣は、一般乗合旅客自動車運送事業の路線が多数集中する地域において、バスターミナルがないため一般公衆の利便及び一般乗合旅客自動車運送事業の健全な発達が著しく阻害されていると認めるときは、当該路線に係る一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者の全部に対して、共同して、バスターミナルの設置のため必要な措置をとるべきことを指示することができる。
2 運輸大臣は、前項の規定による指示をした場合において、必要があると認めるときは、関係事業者間の協議について、あつせんすることができる。
(バスターミナル設置計画)
第三十条 前条第一項の規定による指示を受けた一般乗合旅客自動車運送事業者は、その指示に基きバスターミナルの設置のためとるべき措置について、バスターミナル設置計画を作成し、これを運輸大臣に提出しなければならない。
2 バスターミナル設置計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 バスターミナルの名称、位置及び規模
二 一般自動車ターミナルであるか専用自動車ターミナルであるかの別
三 バスターミナルを設置する者
四 用地の取得及び資金の調達の方法
五 その他運輸省令で定める事項
第五章 雑則
(用地及び資金の確保に関する措置)
第三十一条 運輸大臣は、自動車ターミナルの設置(第三条の免許又は第二十九条第一項の規定による指示に係るものに限る。)及び第二十条第一号の規定による命令に係る自動車ターミナルの改善について、用地及び資金の確保に関する措置を講ずるように努めるものとする。
(免許等の条件)
第三十二条 免許、許可又は認可には、条件を附し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、公共の利益を確保するため必要な最少限度のものに限り、かつ、当該自動車ターミナル事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(運輸審議会への諮問)
第三十三条 運輸大臣は、第三条、第十一条第一項、第二十条、第二十四条又は第二十九条第一項の規定による処分については、運輸審議会にはかり、その決定を尊重してしなければならない。ただし、運輸審議会が軽微な事項と認めたものについては、この限りでない。
(聴聞)
第三十四条 運輸大臣は、第十四条第三項若しくは第十六条第二項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)又は第二十一条第一項の規定による命令をしようとするときは、当該命令に係る者に対して、あらかじめ期日及び場所を指定して聴聞をしなければならない。聴聞に際しては、当該命令に係る者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。
(訴願)
第三十五条 この法律の規定による処分に不服のある者は、訴願をすることができる。
(関係行政機関の意見徴取)
第三十六条 運輸大臣は、都市計画法(大正八年法律第三十六号)の都市計画区域内において第三条、第十八条第一項、第二十条第一号又は第二十九条第一項の規定による処分をしようとするときは、建設大臣の意見をきかなければならない。
2 運輸大臣は、第三条、第十八条第一項又は第二十九条第一項の規定による処分をしようとするときは、関係都道府県公安委員会の意見をきかなければならない。
3 運輸大臣は、第二十九条第一項の規定による指示をしようとするときは、関係市町村長(特別区の区域に係る場合は、都知事)の意見をきかなければならない。
(職権の委任)
第三十七条 この法律に規定する運輸大臣の職権で運輸省令で定めるものは、陸運局長が行う。
(適用除外)
第三十八条 この法律は、鉄道事業又は軌道事業を経営する者がこれらの事業の用に供する乗降施設、積卸施設、荷捌施設その他の停車場内の施設を利用して設置する自動車ターミナルについては、適用しない。
(報告及び検査)
第三十九条 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、自動車ターミナル事業者に対して、その事業に関し報告をさせることができる。
2 運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要な限度において、その職員に自動車ターミナル又は自動車ターミナル事業者の事務所に立ち入り、自動車ターミナルの構造若しくは設備の状況又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第六章 罰則
第四十条 第十条第一項(第十八条第三項において準用する場合を含む。)又は第二十六条第一項の規定に違反して一般自動車ターミナルの供用を開始し、又は専用自動車ターミナルの使用を開始した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第四十一条 第三条の規定に違反して自動車ターミナル事業を経営した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第四十二条 第十一条第一項の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた料金によらないで料金を収受した者は、五万円以下の罰金に処する。
第四十三条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第一項、第十三条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)又は第二十三条第一項の規定により許可又は認可を受けてしなければならない事項を許可又は認可を受けないでした者
二 第十四条第三項(第二十七条において準用する場合を含む。)、第二十条又は第二十一条第一項の規定による命令に違反した者
三 第十五条の規定に違反した者
四 第十六条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反した者
五 第三十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
六 第三十九条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第四十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、第四十条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第四十五条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。
一 第十三条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による掲示を怠つた者
二 第十七条、第十九条第三項、第二十二条第五項又は第二十五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過規定)
第二条 第三条の規定は、この法律の施行の際現に自動車ターミナル事業を経営している者については、この法律の施行の日から三月間は、適用しない。
2 この法律の施行の際現に自動車ターミナル事業を経営している者は、前項の期間内に当該一般自動車ターミナルに関し第四条第一項各号に掲げる事項を運輸大臣に届け出たときは、第三条の免許を受けたものとみなす。
3 第四条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
第三条 この法律の施行の際現に専用自動車ターミナルを使用している自動車運送事業者は、この法律の施行の日から三月以内に、当該専用自動車ターミナルに関し第二十五条第一項各号に掲げる事項を運輸大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、三万円以下の過料に処する。
第四条 附則第二条第二項の規定により自動車ターミナル事業の免許を受けたものとみなされた者は、この法律の施行の日から六月間は、第十一条第一項及び第十二条第一項の規定にかかわらず、使用料金又は供用約款の認可を受けなくても、当該一般自動車ターミナルを供用することができる。その者がその期間内にこれらの規定による認可を申請した場合において、認可をした旨又は認可をしない旨の通知を受ける日までも、同様とする。
2 附則第二条第二項の届出をした一般自動車ターミナルについては、第十五条の規定は、この法律の施行の日から六月間は、適用しない。
2 前項に規定する一般自動車ターミナルについては、第二十条の規定は、この法律の施行の日から三年間は、適用しない。
第五条 附則第二条第二項の規定により免許を受けたものとみなされた者及び附則第三条第一項の規定による届出をした自動車運送事業者は、この法律の施行の日から六月間は、第十三条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定にかかわらず、利用規程の認可を受けなくても、当該一般自動車ターミナルを供用し、又は当該専用自動車ターミナルを使用することができる。これらの者がその期間内に同項の規定による認可を申請した場合において、認可をした旨又は認可をしない旨の通知を受ける日までも、同様とする。
2 附則第二条第二項の規定による届出をした一般自動車ターミナル及び附則第三条第一項の届出をした専用自動車ターミナルについては、第十四条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日から六月間は、適用しない。
3 前項に規定する自動車ターミナルについては、第十四条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日から三年間は、適用しない。ただし、当該自動車ターミナルの構造又は設備を変更した場合において、その変更に係る部分については、その変更後は、この限りでない。
(運輸省設置法の一部改正)
第六条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第四十号の次に次の一号を加える。
四十の二 自動車ターミナル事業を免許し、及び自動車ターミナルに関し許可又は認可をすること。
第六条第一項第十一号の六の次に次の一号を加える。
十一の七 自動車ターミナル法(昭和三十四年法律第百三十六号)の規定により運輸審議会にはかることを要する事項
第二十八条第一項第四号の次に次の一号を加える。
四の二 自動車ターミナルに関すること。
第五十一条第一項第七号の二の次に次の一号を加える。
七の三 自動車ターミナルに関すること。
(土地収用法の一部改正)
第七条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第九号の次に次の一号を加える。
九の二 自動車ターミナル法(昭和三十四年法律第百三十六号)第三条の免許を受けて経営する自動車ターミナル事業の用に供する施設
内閣総理大臣 岸信介
運輸大臣 永野護
建設大臣 遠藤三郎