第一條 自作農創設のため政府の行ふ土地、權利又は立木、工作物その他の物件(以下農地等といふ。)の買收、使用、賣渡、賃貸、交換等に關する歳入歳出は、これを一般會計と區分して特別會計を設置する。
第二條 この會計においては、農地等の賣渡代金及びその利子、農地等の賃貸料、一般會計からの繰入金、借入金竝びに附屬雜收入を以てその歳入とし、農地等の買收代金、第三條又は第四條第一項の規定による他の會計への繰入金、報償金、農地等の使用料、補償金、事務取扱費、自作農創設特別措置法に基いて政府の發行する證券(以下農地證券といふ。)及び借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子、農地證券の發行及び償還に關する諸費その他の諸費を以てその歳出とする。
第三條 毎年度における農地等の賣渡代金及び利子の合計額に相當する金額に、當該年度までに他の會計の所屬からこの會計の所屬に移した農地等で賣り渡したものの受入價額の、當該年度までに賣り渡した農地等の受入價額に對する割合を乘じて得た額に相當する金額は、毎年度この會計から當該他會計にこれを繰り入れるものとする。
第四條 農地等でその賣渡價額がその受入價額を超えるものの毎年度における賣渡代金及び利子の合計額に相當する金額に、當該超過額の合計額の當該賣渡價額の合計額に對する割合を乘じて得た額に相當する金額は、毎年度この會計から一般會計にこれを繰り入れるものとする。
農地等の賣渡代金は、農地等の買收代金、農地證券及び借入金の償還金竝びに前條又は前項の規定による繰入金の財源にのみこれを充てるものとする。
農地證券及び借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子竝びに農地證券の發行及び償還に關する諸費の支出に必要な金額は、これを毎年度國債整理基金特別會計に繰り入れるものとする。
第六條 この會計において支拂上現金に餘裕があるときは、これを大藏省預金部に預け入れることができる。
第七條 この會計において支拂上現金に不足があるときは、この會計の負擔で、大藏省預金部若しくは日本銀行から一時借入金をし、又は國庫餘裕金を繰替使用することができる。
前項の規定による一時借入金又は繰替金は、當該年度の歳入を以てこれを償還しなければならない。
前項の場合において、當該年度の歳入減少のため一時借入金又は繰替金を償還することができないときは、政府は、その償還できない金額を限り、この會計の負擔で大藏省預金部又は日本銀行から借入金をすることができる。
前項の規定による借入金は、一年以内にこれを償還しなければならない。
第八條 この會計において決算上剩餘を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
前項の規定による繰入金は、農地等の買收代金竝びに農地證券及び借入金の償還金の財源にのみこれを充てるものとする。
この會計において、農地等の賣渡代金及び第一項の規定による繰入金を以て農地等の買收代金、農地證券及び借入金の償還金竝びに第三條又は第四條第一項の規定による繰入金を支辨するのに不足する金額と、農地等の賣渡代金、第一項の規定による繰入金及び借入金以外の收入金を以て農地等の買收代金、農地證券及び借入金の償還金竝びに第三條又は第四條第一項の規定による繰入金以外の經費を支辨するのに不足する金額との合計額に相當する金額は、豫算の定める所により、一般會計からこの會計にこれを繰り入れるものとする。
第九條 政府は、毎年この會計の歳入歳出豫算を調製して、歳入歳出の總豫算とともに、これを帝國議會に提出しなければならない。
前項の歳入歳出豫算には、當該年度及び前年度における農地等の賣渡及び買收計畫表竝びに前前年度末現在における農地證券の發行額及び償還額表を添附するものとする。
第十條 この會計の收入支出に關する規程は、勅令でこれを定める。