日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法
法令番号: 法律第140号
公布年月日: 昭和27年5月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

日米安全保障条約第三条に基づく行政協定により、日本はアメリカ軍に必要な施設・区域を提供する義務を負うこととなった。この義務履行のため、米軍が必要とする土地等の使用・収用手続きについて必要な規定を設け、条約の遵守と私有財産権の調整を図ることが本法案の目的である。本来は所有者との自由意思による契約締結を原則とするが、それが不可能な場合には、やむを得ず本法により使用・収用できることとする。その際、土地収用法を原則適用しつつ、駐留軍の特殊性を考慮した特例として、使用を主とし収用を従とすること、認定手続きの特例、原状回復に関する規定などを設けている。

参照した発言:
第13回国会 衆議院 建設委員会 第19号

審議経過

第13回国会

参議院
(昭和27年4月14日)
衆議院
(昭和27年4月15日)
(昭和27年4月16日)
参議院
(昭和27年4月18日)
衆議院
参議院
(昭和27年4月21日)
衆議院
(昭和27年4月22日)
参議院
(昭和27年4月22日)
衆議院
(昭和27年4月23日)
参議院
(昭和27年4月24日)
衆議院
(昭和27年4月25日)
参議院
(昭和27年4月25日)
衆議院
(昭和27年4月26日)
(昭和27年4月26日)
参議院
(昭和27年5月7日)
(昭和27年5月9日)
衆議院
(昭和27年5月10日)
(昭和27年7月31日)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年五月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法
(この法律の目的)
第一條 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定を実施するため、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」という。)の用に供する土地等の使用又は収用に関し規定することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「土地等」とは、土地若しくは建物若しくはこれらに定着する物件又は土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第五條に規定する権利をいい、建物にある設備又は備品で当該建物の運営上これと一体的に使用されるべきものを含むものとする。
(土地等の使用又は収用)
第三條 駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において、その土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを使用し、又は収用することができる。
(土地等の使用又は収用の認定の申請)
第四條 調達局長は、この法律により土地等を使用し、又は収用しようとするときは、土地等の所有者(土地収用法第五條に規定する権利にあつては、権利者。以下同じ。)又は関係人の意見書その他政令で定める書類を添附の上、使用認定申請書又は収用認定申請書を調達庁長官を通じ内閣総理大臣に提出し、その認定を受けなければならない。
2 前項の使用認定申請書及び収用認定申請書の様式は、総理府令で定める。
(土地等の使用又は収用の認定)
第五條 内閣総理大臣は、申請に係る土地等の使用又は収用が第三條に規定する要件に該当すると認めるときは、遅滞なく、土地等の使用又は収用の認定をしなければならない。
(関係行政機関等の意見の聴取)
第六條 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定に関する処分を行おうとする場合において、必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び学識経験を有する者の意見を求めることができる。
2 関係行政機関の長は、土地等の使用又は収用の認定に関する処分について、内閣総理大臣に意見を述べることができる。
(土地等の使用又は収用の認定に関する処分の通知、告示及び公告)
第七條 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該調達局長に文書で通知するとともに、当該調達局長の名称及び使用し、又は収用すべき土地等を官報で告示しなければならない。
2 調達局長は、前項の通知を受けたときは、遅滞なく、使用し、又は収用しようとする土地等の所在、種類及び数量を、調達局長が定める方法で公告するとともに、土地等の所有者及び関係人に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定を拒否したときは、遅滞なく、その旨を当該調達局長に文書で通知しなければならない。
(土地等の使用又は収用の認定の失効)
第八條 前條第一項の規定による告示があつた後、土地等を使用し、又は収用する必要がなくなつたときは、調達局長は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。この場合において、その事由の発生が同條第二項の規定による通知の後であるときは、土地等の所有者及び関係人にも、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、土地等の使用又は収用の認定が将来に向つてその効力を失う旨を官報で告示しなければならない。
(建物の使用に代る収用の請求)
第九條 建物を使用する場合において、建物の使用が三年以上(使用期間の更新の結果三年以上となる場合を含む。)にわたるとき、又は建物の使用に因つて建物の形状を変更し従来用いた目的に供することを著しく困難にするときは、建物の所有者は、その建物の収用を請求することができる。
2 土地収用法第八十一條第二項及び第三項の規定は、前項の規定による建物の収用について準用する。この場合において、土地収用法第八十一條第二項中「土地」とあるのは「建物」と、同條第三項第二号中「起業者」とあるのは「調達局長」と、「事業」とあるのは「建物の使用」と読み替えるものとする。
(土地等の使用に対する損失補償の金額の支払)
第十條 土地等を使用する場合において、その使用の期間が一年をこえるときは、調達局長は、当該使用に対する損失補償の金額を一年分ごとに分割して支払うことができる。但し、その支払は、当該分割して支払われる損失補償の金額に対応する使用の期間の開始する日までにしなければならない。
(土地等の返還及び原状回復の制限)
第十一條 調達局長は、この法律により駐留軍の用に供した土地等を返還するに際し、土地等の所有者から原状回復の請求があつた場合において、土地等を原状に回復することが著しく困難であるとき、又は土地等を原状に回復しないでもこれを有効且つ合理的に使用することができると認めるときは、その土地等を原状に回復しないで返還することができる。
2 前項の場合においては、土地等の所有者及び関係人の受ける損失は、補償しなければならない。
3 土地等を原状に回復しないで返還する場合において、建物の使用中に有益費が費されたことに因り、その建物の所有者に利得が生じているときは、利得の存する限度において、これを国に納付させることができる。
4 前項の規定により納付すべき金額については、政令で定めるところにより、七年以内の範囲内において延納を認めることができる。
(不服の申立)
第十二條 前條第一項の規定により原状に回復しないで返還すること、同條第二項の規定による損失の補償又は同條第三項の規定による利得の納付について不服のある者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し不服の申立をすることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の不服の申立に対し裁決をしようとするときは、あらかじめ、中央調達不動産審議会の意見を聞かなければならない。
(引渡調書)
第十三條 調達局長は、土地等を返還するときは、その土地等の所有者及び関係人を立ち会わせた上、総理府令で定める引渡調書を作成しなければならない。
2 前項の引渡調書には、左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 返還する土地等の所在、地番及び地目並びに土地等の所有者及び関係人の氏名及び住所
二 返還する土地等の種類、数量及び形状
三 その他返還の際の現状を確認するに必要な事項
3 土地収用法第三十六條第二項から第五項まで及び第三十八條の規定は、前項の引渡調書の作成及び効力について準用する。この場合において、これらの規定中「土地調書及び物件調書」とあるのは「引渡調書」と、「起業者」とあるのは「調達局長」と、「土地所有者」とあるのは「土地等の所有者」と読み替えるものとする。
(土地収用法の適用)
第十四條 第三條の規定による土地等の使用又は収用に関しては、この法律に特別の定のある場合を除く外、「土地等の使用又は収用」を「土地収用法第三條各号の一に掲げる事業」と、「調達局長」を「起業者」と、「土地等の使用又は収用の認定」を「事業の認定」と、「土地等の使用又は収用の認定の告示」を「事業の認定の告示」と、「第七條第二項の規定による公告及び通知」を「土地収用法第三十三條の規定による土地細目の公告及び通知」とみなして、土地収用法の規定(第一條から第三條まで、第五條から第七條まで、第八條第一項、第九條、第三章、第三十一條から第三十三條まで、第五章第一節、第百二十二條、第百二十三條第六項、第百二十五條第一号及び第三号から第五号まで、第百二十九條第一項、第百三十條第一項、第百三十九條並びに第百四十三條第五号の規定を除く。)を適用する。但し、土地等の使用の期間が一年をこえる場合においては、土地収用法第九十五條第一項及び第百條中「裁決に係る補償金の払渡」とあるのは、「裁決に係る補償金のうち、使用に対する損失補償に係るもの中最初の一年間の使用に対応する部分の払渡」とする。
2 前項但書に規定するものを除く外、同項の適用に関し必要な技術的事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の際、連合国最高司令官の要求に基く使用を現に継続している土地等で、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約の効力発生の日から九十日を経過した後、なお引き続いて駐留軍のために使用する必要があるものについて、土地等の所有者及び関係人との間に使用についての協議が成立しないときは、調達局長は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約の効力発生の日から九十日以内に、使用しようとする土地等の所在、種類、数量及び使用期間を土地等の所有者及び関係人に通知して、六月をこえない期間においてこれを一時使用することができる。
3 調達局長は、前項の場合において、土地等の所有者及び関係人の請求があるときは、自己の見積つた損失補償額を払い渡さなければならない。
4 第二項の規定によつて土地等を一時使用した場合においては、土地等を使用することに因つて生ずる損失を土地収用法第六章第一節(第七十一條、第七十八條、第七十九條及び第八十一條を除く。)の規定に準じて補償しなければならない。この場合において、損失の補償は、使用の時期の価格によつて算定しなければならない。
5 第三項の規定によつて支払つた損失補償額は、前項の規定による損失補償の金額の内払とする。
6 第四項の規定による損失補償について、調達局長と損失を受けた者との間に協議が成立しないときは、損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に対し、裁決を申請することができる。
7 調達局長は、第二項の規定によつて土地等を一時使用する場合において、その使用期間が満了したときは、遅滞なく、その土地等をその所有者に返還しなければならない。
8 前項の場合においては、土地等の所有者は、調達局長に対し、土地等を原状に回復することを請求することができる。但し、当該土地等が第四項の規定により土地収用法第七十三條後段の規定に準じて補償されたものであるときは、この限りでない。
9 第十一條及び第十二條の規定は、第七項の規定により土地等をその所有者に返還する場合について準用する。
10 調達庁設置法(昭和二十四年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第十二條の三第二項を同條第三項とし、以下一項ずつ繰り下げ、同條第一項の次に次の一項を加える。
2 中央不動産審議会は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和二十七年法律第百四十号)第十二條第二項(同法附則第九項において準用する場合を含む。)の規定により、内閣総理大臣の諮問に応じ、意見を述べることができる。
内閣総理大臣 吉田茂
法務総裁 木村篤太郎
外務大臣 岡崎勝男
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 天野貞祐
厚生大臣 吉武恵市
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 高橋龍太郎
運輸大臣 村上義一
郵政大臣 佐藤栄作
電気通信大臣 佐藤栄作
労働大臣 吉武恵市
建設大臣 野田卯一
経済安定本部総裁 吉田茂
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年五月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定を実施するため、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」という。)の用に供する土地等の使用又は収用に関し規定することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「土地等」とは、土地若しくは建物若しくはこれらに定着する物件又は土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第五条に規定する権利をいい、建物にある設備又は備品で当該建物の運営上これと一体的に使用されるべきものを含むものとする。
(土地等の使用又は収用)
第三条 駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において、その土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを使用し、又は収用することができる。
(土地等の使用又は収用の認定の申請)
第四条 調達局長は、この法律により土地等を使用し、又は収用しようとするときは、土地等の所有者(土地収用法第五条に規定する権利にあつては、権利者。以下同じ。)又は関係人の意見書その他政令で定める書類を添附の上、使用認定申請書又は収用認定申請書を調達庁長官を通じ内閣総理大臣に提出し、その認定を受けなければならない。
2 前項の使用認定申請書及び収用認定申請書の様式は、総理府令で定める。
(土地等の使用又は収用の認定)
第五条 内閣総理大臣は、申請に係る土地等の使用又は収用が第三条に規定する要件に該当すると認めるときは、遅滞なく、土地等の使用又は収用の認定をしなければならない。
(関係行政機関等の意見の聴取)
第六条 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定に関する処分を行おうとする場合において、必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び学識経験を有する者の意見を求めることができる。
2 関係行政機関の長は、土地等の使用又は収用の認定に関する処分について、内閣総理大臣に意見を述べることができる。
(土地等の使用又は収用の認定に関する処分の通知、告示及び公告)
第七条 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該調達局長に文書で通知するとともに、当該調達局長の名称及び使用し、又は収用すべき土地等を官報で告示しなければならない。
2 調達局長は、前項の通知を受けたときは、遅滞なく、使用し、又は収用しようとする土地等の所在、種類及び数量を、調達局長が定める方法で公告するとともに、土地等の所有者及び関係人に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、土地等の使用又は収用の認定を拒否したときは、遅滞なく、その旨を当該調達局長に文書で通知しなければならない。
(土地等の使用又は収用の認定の失効)
第八条 前条第一項の規定による告示があつた後、土地等を使用し、又は収用する必要がなくなつたときは、調達局長は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。この場合において、その事由の発生が同条第二項の規定による通知の後であるときは、土地等の所有者及び関係人にも、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、土地等の使用又は収用の認定が将来に向つてその効力を失う旨を官報で告示しなければならない。
(建物の使用に代る収用の請求)
第九条 建物を使用する場合において、建物の使用が三年以上(使用期間の更新の結果三年以上となる場合を含む。)にわたるとき、又は建物の使用に因つて建物の形状を変更し従来用いた目的に供することを著しく困難にするときは、建物の所有者は、その建物の収用を請求することができる。
2 土地収用法第八十一条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による建物の収用について準用する。この場合において、土地収用法第八十一条第二項中「土地」とあるのは「建物」と、同条第三項第二号中「起業者」とあるのは「調達局長」と、「事業」とあるのは「建物の使用」と読み替えるものとする。
(土地等の使用に対する損失補償の金額の支払)
第十条 土地等を使用する場合において、その使用の期間が一年をこえるときは、調達局長は、当該使用に対する損失補償の金額を一年分ごとに分割して支払うことができる。但し、その支払は、当該分割して支払われる損失補償の金額に対応する使用の期間の開始する日までにしなければならない。
(土地等の返還及び原状回復の制限)
第十一条 調達局長は、この法律により駐留軍の用に供した土地等を返還するに際し、土地等の所有者から原状回復の請求があつた場合において、土地等を原状に回復することが著しく困難であるとき、又は土地等を原状に回復しないでもこれを有効且つ合理的に使用することができると認めるときは、その土地等を原状に回復しないで返還することができる。
2 前項の場合においては、土地等の所有者及び関係人の受ける損失は、補償しなければならない。
3 土地等を原状に回復しないで返還する場合において、建物の使用中に有益費が費されたことに因り、その建物の所有者に利得が生じているときは、利得の存する限度において、これを国に納付させることができる。
4 前項の規定により納付すべき金額については、政令で定めるところにより、七年以内の範囲内において延納を認めることができる。
(不服の申立)
第十二条 前条第一項の規定により原状に回復しないで返還すること、同条第二項の規定による損失の補償又は同条第三項の規定による利得の納付について不服のある者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し不服の申立をすることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の不服の申立に対し裁決をしようとするときは、あらかじめ、中央調達不動産審議会の意見を聞かなければならない。
(引渡調書)
第十三条 調達局長は、土地等を返還するときは、その土地等の所有者及び関係人を立ち会わせた上、総理府令で定める引渡調書を作成しなければならない。
2 前項の引渡調書には、左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 返還する土地等の所在、地番及び地目並びに土地等の所有者及び関係人の氏名及び住所
二 返還する土地等の種類、数量及び形状
三 その他返還の際の現状を確認するに必要な事項
3 土地収用法第三十六条第二項から第五項まで及び第三十八条の規定は、前項の引渡調書の作成及び効力について準用する。この場合において、これらの規定中「土地調書及び物件調書」とあるのは「引渡調書」と、「起業者」とあるのは「調達局長」と、「土地所有者」とあるのは「土地等の所有者」と読み替えるものとする。
(土地収用法の適用)
第十四条 第三条の規定による土地等の使用又は収用に関しては、この法律に特別の定のある場合を除く外、「土地等の使用又は収用」を「土地収用法第三条各号の一に掲げる事業」と、「調達局長」を「起業者」と、「土地等の使用又は収用の認定」を「事業の認定」と、「土地等の使用又は収用の認定の告示」を「事業の認定の告示」と、「第七条第二項の規定による公告及び通知」を「土地収用法第三十三条の規定による土地細目の公告及び通知」とみなして、土地収用法の規定(第一条から第三条まで、第五条から第七条まで、第八条第一項、第九条、第三章、第三十一条から第三十三条まで、第五章第一節、第百二十二条、第百二十三条第六項、第百二十五条第一号及び第三号から第五号まで、第百二十九条第一項、第百三十条第一項、第百三十九条並びに第百四十三条第五号の規定を除く。)を適用する。但し、土地等の使用の期間が一年をこえる場合においては、土地収用法第九十五条第一項及び第百条中「裁決に係る補償金の払渡」とあるのは、「裁決に係る補償金のうち、使用に対する損失補償に係るもの中最初の一年間の使用に対応する部分の払渡」とする。
2 前項但書に規定するものを除く外、同項の適用に関し必要な技術的事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の際、連合国最高司令官の要求に基く使用を現に継続している土地等で、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日から九十日を経過した後、なお引き続いて駐留軍のために使用する必要があるものについて、土地等の所有者及び関係人との間に使用についての協議が成立しないときは、調達局長は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日から九十日以内に、使用しようとする土地等の所在、種類、数量及び使用期間を土地等の所有者及び関係人に通知して、六月をこえない期間においてこれを一時使用することができる。
3 調達局長は、前項の場合において、土地等の所有者及び関係人の請求があるときは、自己の見積つた損失補償額を払い渡さなければならない。
4 第二項の規定によつて土地等を一時使用した場合においては、土地等を使用することに因つて生ずる損失を土地収用法第六章第一節(第七十一条、第七十八条、第七十九条及び第八十一条を除く。)の規定に準じて補償しなければならない。この場合において、損失の補償は、使用の時期の価格によつて算定しなければならない。
5 第三項の規定によつて支払つた損失補償額は、前項の規定による損失補償の金額の内払とする。
6 第四項の規定による損失補償について、調達局長と損失を受けた者との間に協議が成立しないときは、損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に対し、裁決を申請することができる。
7 調達局長は、第二項の規定によつて土地等を一時使用する場合において、その使用期間が満了したときは、遅滞なく、その土地等をその所有者に返還しなければならない。
8 前項の場合においては、土地等の所有者は、調達局長に対し、土地等を原状に回復することを請求することができる。但し、当該土地等が第四項の規定により土地収用法第七十三条後段の規定に準じて補償されたものであるときは、この限りでない。
9 第十一条及び第十二条の規定は、第七項の規定により土地等をその所有者に返還する場合について準用する。
10 調達庁設置法(昭和二十四年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。
第十二条の三第二項を同条第三項とし、以下一項ずつ繰り下げ、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 中央不動産審議会は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和二十七年法律第百四十号)第十二条第二項(同法附則第九項において準用する場合を含む。)の規定により、内閣総理大臣の諮問に応じ、意見を述べることができる。
内閣総理大臣 吉田茂
法務総裁 木村篤太郎
外務大臣 岡崎勝男
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 天野貞祐
厚生大臣 吉武恵市
農林大臣 広川弘禅
通商産業大臣 高橋龍太郎
運輸大臣 村上義一
郵政大臣 佐藤栄作
電気通信大臣 佐藤栄作
労働大臣 吉武恵市
建設大臣 野田卯一
経済安定本部総裁 吉田茂