有線放送業務の運用の規正に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年四月五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百三十五号
有線放送業務の運用の規正に関する法律
(目的)
第一條 この法律は、有線放送の業務の運用を規正することによつて、公共の福祉を確保することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「有線放送」とは、左の各号の一に該当するものをいう。
一 一区域内において公衆によつて直接聽取されることを目的として、放送を受信しこれを有線電気通信設備によつて再送信すること。
二 一区域内において公衆によつて直接聽取されることを目的として、音声その他の音響を有線電気通信設備によつて送信すること。
三 道路、広場、公園等公衆の通行し、又は集合する場所において公衆によつて直接聽取されることを目的として、音声その他の音響を有線電気通信設備によつて送信し、又は放送を受信しこれを有線電気通信設備によつて再送信すること。
(業務の開始の届出)
第三條 有線放送の業務を行おうとする者は、電波監理委員会規則の定めるところにより、その旨の届出書を電波監理委員会に提出しなければならない。その届出書に記載された事項を変更しようとするときも、同様とする。
(有線放送番組の編集等)
第四條 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第三條(放送番組編集の自由)及び第四十四條第三項(放送番組の編集)の規定は、有線放送番組の編集に関し準用する。
2 放送法第四條(訂正放送等)及び第五十二條(候補者放送)の規定は、第二條第二号又は第三号の有線放送の業務を行う者に準用する。
3 放送を受信しこれを再送信するについて、いかなる放送を受信し、又はいかなる放送を受信しないかを定めることは、有線放送番組の編集とみなす。
(再送信の同意)
第五條 有線放送の業務を行う者は、同意を得なければ、放送事業者の放送を受信しこれを再送信してはならない。
(報告及び監査)
第六條 電波監理委員会は、この法律の施行を確保するため特に必要があるときは、有線放送の業務を行う者に対し、業務に関し報告を求め、又は職員を派遣して有線放送の業務について監査させることができる。
2 前項の規定により監査をする職員は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による監査は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(業務の廃止の届出)
第七條 有線放送の業務を行う者は、その業務を廃止したときは、遅滯なくその旨の届出書を電波監理委員会に提出しなければならない。
(業務の停止及び運用の制限)
第八條 電波監理委員会は、有線放送の業務を行う者が、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて、有線放送の業務の停止を命じ、又はその業務の運用を制限することができる。
(異議の申立)
第九條 この法律又はこの法律に基く命令に基く電波監理委員会の処分に不服のある者は、電波監理委員会に対して異議の申立をすることができる。
2 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第七章(聽聞及び訴訟)の規定は、前項の異議の申立に関し準用する。
(適用除外)
第十條 この法律の規定は、左の各号に掲げる有線放送の業務については適用しない。
一 臨時且つ一時の目的のために行われる有線放送の業務
二 一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合においては、同一の者の占有に属する区域)において行われる有線放送(第二條第三号に該当するものを除く。)の業務
三 汽車、電車、自動車、船舶又は航空機内において行われる有線放送の業務
四 信号のみを送信するために行われる有線放送の業務
五 その他前各号の業務に準ずる有線放送の業務であつて、電波監理委員会規則で定めるもの
(規則委任事項)
第十一條 この法律に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な事項の細目は、電波監理委員会規則で定める。
(罰則)
第十二條 第八條の規定による業務の停止の命令に違反した者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第十三條 第四條第二項において準用する放送法第四條第一項の規定に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、私事に係るときは、告訴をまつて論ずる。
第十四條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三條の規定による届出書を提出せず、又は虚僞の事項を記載した届出書を提出した者
二 第六條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
三 第六條第一項の規定による監査を拒み、妨げ、又は忌避した者
四 第八條の規定による業務の運用の制限に違反した者
第十五條 第七條の規定による届出書を提出せず、又は虚僞の事項を記載した届出書を提出した者は、一万円以下の罰金に処する。
第十六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第十二條から前條までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
2 前項の場合において、当該行為者に対してした第十三條第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して三十日をこえない期間内において、政令で定める。
2 この法律施行の際現に有線放送の業務(第十條各号に掲げるものを除く。)を行つている者は、この法律施行の日から九十日以内に、その旨の届出書を電波監理委員会に提出しなければならない。
3 第三條、第十四條第一号及び第十六條第一項の規定は、前項の届出書に関し準用する。
4 電波監理委員会設置法(昭和二十五年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
第三條に次の一号を加える。
九 有線放送業務の運用の規正に関する法律(昭和二十六年法律第百三十五号)に基く有線放送の業務の運用の規正に関すること。
第二十三條に次の一号を加える。
十二 有線放送の業務の運用の規正に関すること。
内閣総理大臣 吉田茂
有線放送業務の運用の規正に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年四月五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百三十五号
有線放送業務の運用の規正に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、有線放送の業務の運用を規正することによつて、公共の福祉を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「有線放送」とは、左の各号の一に該当するものをいう。
一 一区域内において公衆によつて直接聴取されることを目的として、放送を受信しこれを有線電気通信設備によつて再送信すること。
二 一区域内において公衆によつて直接聴取されることを目的として、音声その他の音響を有線電気通信設備によつて送信すること。
三 道路、広場、公園等公衆の通行し、又は集合する場所において公衆によつて直接聴取されることを目的として、音声その他の音響を有線電気通信設備によつて送信し、又は放送を受信しこれを有線電気通信設備によつて再送信すること。
(業務の開始の届出)
第三条 有線放送の業務を行おうとする者は、電波監理委員会規則の定めるところにより、その旨の届出書を電波監理委員会に提出しなければならない。その届出書に記載された事項を変更しようとするときも、同様とする。
(有線放送番組の編集等)
第四条 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第三条(放送番組編集の自由)及び第四十四条第三項(放送番組の編集)の規定は、有線放送番組の編集に関し準用する。
2 放送法第四条(訂正放送等)及び第五十二条(候補者放送)の規定は、第二条第二号又は第三号の有線放送の業務を行う者に準用する。
3 放送を受信しこれを再送信するについて、いかなる放送を受信し、又はいかなる放送を受信しないかを定めることは、有線放送番組の編集とみなす。
(再送信の同意)
第五条 有線放送の業務を行う者は、同意を得なければ、放送事業者の放送を受信しこれを再送信してはならない。
(報告及び監査)
第六条 電波監理委員会は、この法律の施行を確保するため特に必要があるときは、有線放送の業務を行う者に対し、業務に関し報告を求め、又は職員を派遣して有線放送の業務について監査させることができる。
2 前項の規定により監査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による監査は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(業務の廃止の届出)
第七条 有線放送の業務を行う者は、その業務を廃止したときは、遅滞なくその旨の届出書を電波監理委員会に提出しなければならない。
(業務の停止及び運用の制限)
第八条 電波監理委員会は、有線放送の業務を行う者が、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて、有線放送の業務の停止を命じ、又はその業務の運用を制限することができる。
(異議の申立)
第九条 この法律又はこの法律に基く命令に基く電波監理委員会の処分に不服のある者は、電波監理委員会に対して異議の申立をすることができる。
2 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第七章(聴聞及び訴訟)の規定は、前項の異議の申立に関し準用する。
(適用除外)
第十条 この法律の規定は、左の各号に掲げる有線放送の業務については適用しない。
一 臨時且つ一時の目的のために行われる有線放送の業務
二 一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合においては、同一の者の占有に属する区域)において行われる有線放送(第二条第三号に該当するものを除く。)の業務
三 汽車、電車、自動車、船舶又は航空機内において行われる有線放送の業務
四 信号のみを送信するために行われる有線放送の業務
五 その他前各号の業務に準ずる有線放送の業務であつて、電波監理委員会規則で定めるもの
(規則委任事項)
第十一条 この法律に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な事項の細目は、電波監理委員会規則で定める。
(罰則)
第十二条 第八条の規定による業務の停止の命令に違反した者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第十三条 第四条第二項において準用する放送法第四条第一項の規定に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、私事に係るときは、告訴をまつて論ずる。
第十四条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の事項を記載した届出書を提出した者
二 第六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第六条第一項の規定による監査を拒み、妨げ、又は忌避した者
四 第八条の規定による業務の運用の制限に違反した者
第十五条 第七条の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の事項を記載した届出書を提出した者は、一万円以下の罰金に処する。
第十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第十二条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
2 前項の場合において、当該行為者に対してした第十三条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して三十日をこえない期間内において、政令で定める。
2 この法律施行の際現に有線放送の業務(第十条各号に掲げるものを除く。)を行つている者は、この法律施行の日から九十日以内に、その旨の届出書を電波監理委員会に提出しなければならない。
3 第三条、第十四条第一号及び第十六条第一項の規定は、前項の届出書に関し準用する。
4 電波監理委員会設置法(昭和二十五年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
第三条に次の一号を加える。
九 有線放送業務の運用の規正に関する法律(昭和二十六年法律第百三十五号)に基く有線放送の業務の運用の規正に関すること。
第二十三条に次の一号を加える。
十二 有線放送の業務の運用の規正に関すること。
内閣総理大臣 吉田茂