朕會社經理統制令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十六日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 秋田淸
商工大臣臨時代理 大藏大臣 河田烈
遞信大臣 村田省藏
農林大臣 石黑忠篤
鐵道大臣 小川鄕太郞
勅令第六百八十號
會社經理統制令
第一章 總則
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十一條ノ規定ニ依ル會社ノ利益金ノ處分、償却其ノ他經理ニ關スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 會社ハ國家目的達成ノ爲國民經濟ニ課セラレタル責任ヲ分擔スルコトヲ以テ經營ノ本義トシ其ノ經理ニ關シ左ノ各號ニ揭グル事項ノ遵守ヲ旨トスベシ
一 資金ハ之ヲ最モ有益ニ活用シ苟モ人的及物的資源ノ濫費ニ陷ルガ如キコトハ嚴ニ之ヲ避クルコト
二 經費ノ支出及資產ノ償却ヲ適正ナラシムルコト
三 役員、社員其ノ他從業者ノ給與及其ノ支給方法ヲ適正ナラシムルコト
四 利益ノ分配ヲ適正ナラシメ自己資金ノ蓄積ニ努ムルコト
第二章 利益配當及積立金
第三條 資本金(出資總額、株金總額、出資總額及株金總額ノ合計額又ハ基金總額ヲ謂フ以下同ジ)二十萬圓以上ノ會社ハ每事業年度ニ付左ノ各號ノ率ノ中低キ率ヲ超ユル率ニ依リ利益配當(基金利息又ハ基金配當ヲ含ム以下同ジ)ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 配當金總額ガ自己資本ニ對シ年百分ノ八ニ相當スル金額ト爲ル配當率
二 直前ノ事業年度ノ配當率
左ノ各號ニ揭グル場合ニ於テハ各其ノ定ムル率ヲ前項第二號ノ率ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
一 直前ノ事業年度ノ配當率ガ年百分ノ十ニ達セザルトキハ其ノ配當率ニ年百分ノ一(六月ニ非ザル期間ヲ事業年度トスルモノニ在リテハ當該事業年度ノ月數ノ六ニ對スル割合ヲ年百分ノ一ニ乘ジテ得タル率)ヲ加ヘタル率但シ其ノ率ガ年百分ノ六ニ達セザルトキハ年百分ノ六トシ年百分ノ十ヲ超ユルトキハ年百分ノ十トス
二 直前ノ事業年度ニ付利益配當ヲ爲サザリシトキ又ハ設立後最初ノ事業年度ノ利益配當ナルトキハ年百分ノ六
三 資本金二十萬圓未滿タリシ會社資本增加ニ因リ資本金二十萬圓以上ト爲リタル後最初ノ事業年度ニ付爲ス利益配當ナルトキハ第一號ノ規定ニ拘ラズ年百分ノ六
四 配當金總額ガ自己資本ニ對シ年百分ノ五ノ割合ニ相當スル金額ト爲ル配當率ガ前三號ノ率ヨリ高キトキハ其ノ率但シ其ノ率ガ年百分ノ十ヲ超ユルトキハ年百分ノ十トス
前二項ノ自己資本ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ニ依ル
第四條 主務大臣ハ左ノ各號ニ揭グル場合ニ於テハ會社ニ對シ期間ヲ定メ將來ノ配當率ニ付適當ト認ムル率ヲ指定スルコトヲ得
一 當該會社ノ利益ノ實情ニ照シ配當金ガ過大ナリト認メラルルトキ
二 當該會社ノ資金計畫ニ照シ自己資金ノ蓄積ガ必要ナリト認メラルルトキ
會社ハ前項ノ規定ニ依リ配當率ニ付主務大臣ノ指定ヲ受ケタルトキハ前條ノ規定ニ拘ラズ當該配當率ヲ超ユル率ニ依リ利益配當ヲ爲スコトヲ得ズ
第五條 合併ニ因リテ設立シタル資本金二十萬圓以上ノ會社又ハ合併後存續スル資本金二十萬圓以上ノ會社ハ合併後最初ノ事業年度ニ付利益配當ヲ爲サントスルトキハ利益配當ノ率ガ年百分ノ六ヲ超エザル場合ヲ除キ前二條ノ規定ニ拘ラズ閣令ノ定ムル所ニ依リ會社ノ申請ニ基キ主務大臣ガ從前ノ利益配當其ノ他各會社ノ經理ノ實情ヲ參酌シテ指定シタル率ヲ超エザル利益配當ノ率ニ依ルベシ
第六條 主務大臣ハ會社收益ノ狀況其ノ他經理ノ實情ニ照シ必要アリト認ムルトキハ當該會社ニ對シ法定準備金ノ外特別ノ積立金ノ積立ヲ命ジ又ハ當該積立金ノ運用方法ニ付必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
前項ノ積立金ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ使用スルコトヲ得ズ
第三章 役員及社員給與
第七條 本章ノ規定ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル會社ニ之ヲ適用ス
一 資本金二十萬圓以上ノ會社
二 前號ニ規定スルモノヲ除クノ外役員及社員ノ合計數常時三十人以上ノ會社
第八條 本章ニ於テ役員ト稱スルハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヲ謂フ
一 機關トシテ會社ノ業務ニ從事スル者
二 顧問、相談役其ノ他名稱ノ如何ヲ問ハズ賞與ニ關シ會社ガ前號ニ該當スル者ニ準ジテ取扱フ者
第九條 本章ニ於テ社員ト稱スルハ船員及賃金統制令第二條ノ勞務者ヲ除クノ外左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヲ謂フ
一 會社ニ雇傭セラルル者
二 顧問、囑託其ノ他名稱ノ如何ヲ問ハズ繼續シテ會社ノ業務ニ從事スル者但シ役員タル者ヲ除ク
第十條 本章ニ於テ給與ト稱スルハ報酬、給料、手當、賞與、交際費、機密費其ノ他名稱ノ如何ヲ問ハズ會社ガ役員又ハ社員ノ職務ノ對償トシテ支給スル金錢、物其ノ他ノ利益ヲ謂フ
第十一條 役員ノ給與ヲ分チテ左ノ各號ニ揭グル給與トス
一 報酬(會社ガ役員ニ對シ一定ノ金額ニ依リ定期ニ支給スル給與ニシテ經費トシテ經理スルモノヲ謂フ但シ在勤手當其ノ他特定ノ事由ニ依リ特定ノ役員ニ對シ支給スルモノヲ除ク)
二 賞與(會社ガ役員ニ對シ定期ニ利益金處分ニ依リ支給スル給與ヲ謂フ)
三 退職金(會社ガ退職シタル役員ニ對シ支給スル給與ヲ謂フ)
四 臨時ノ給與(會社ガ役員ニ對シ臨時ニ支給スル給與ヲ謂フ)
五 雜給與(前各號ニ揭グル給與ヲ除クノ外會社ガ役員ニ對シ支給スル給與ヲ謂フ)
第十二條 會社ハ每事業年度ノ役員報酬ヲ支給セントスル場合ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 支給セントスル役員報酬ノ合計金額ガ直前ノ事業年度ニ於テ支給シタル役員報酬ノ合計金額(當該事業年度ノ月數ガ直前ノ事業年度ノ月數ト異ル場合ニ於テハ閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額)ヲ超ユルトキ
二 直前ノ事業年度ニ於テ役員報酬ヲ支給セザリシトキ
三 設立後最初ノ事業年度ノ役員報酬ナルトキ
四 合併後最初ノ事業年度ノ役員報酬ナルトキ
五 第七條各號ノ一ニ揭グル會社ニ該當セザリシ會社第七條各號ノ一ニ揭グル會社ト爲リタル後最初ノ事業年度ノ役員報酬ナルトキ
第十三條 會社ハ每事業年度ニ付役員賞與ヲ支給セントスル場合ニ於テ其ノ合計金額ガ左ノ各號ノ金額(百圓未滿ノ端數ハ之ヲ百圓ニ切上グ)ノ中少キ金額ヲ超ユルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 法定賞與額(閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル當該事業年度ノ純益金ニ閣令ノ定ムル割合ヲ乘ジテ得タル金額ヲ謂フ以下同ジ)
二 前期賞與額(直前ノ事業年度ニ付支給シタル役員賞與ノ合計金額ヲ謂フ但シ當該事業年度ノ月數ガ直前ノ事業年度ノ月數ト異ル場合ニ於テハ閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ヲ謂フ以下同ジ)
左ノ各號ニ揭グル場合ニ於テハ各其ノ定ムル金額ヲ前項第二號ノ金額ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
一 前期賞與額ガ法定賞與額ニ達セザルトキハ前期賞與額ノ百分ノ百二十ニ相當スル金額但シ前期賞與額ノ百分ノ百二十ニ相當スル金額ガ法定賞與額ニ對シ百分ノ七十ノ割合ニ達セザルトキハ法定賞與額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額
二 直前ノ事業年度ニ付役員賞與ヲ支給セザリシトキ又ハ設立後最初ノ事業年度ニ付支給スル役員賞與ナルトキハ法定賞與額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額
三 合併後最初ノ事業年度ニ付支給スル役員賞與ナルトキ又ハ第七條各號ノ一ニ揭グル會社ニ該當セザリシ會社第七條各號ノ一ニ揭グル會社ト爲リタル後最初ノ事業年度ニ付支給スル役員賞與ナルトキハ第一號ノ規定ニ拘ラズ法定賞與額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額
第十四條 會社ハ退職シタル役員ニ對シ退職金ヲ支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 閣令ノ定ムル限度ヲ超エザル退職金ヲ支給セントスルトキ
二 閣令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル準則ニ依リ退職金ヲ支給セントスルトキ
第十五條 會社ハ役員ニ對シ臨時ノ給與ヲ支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十六條 會社ハ第二十四條ノ規定ニ依リ主務大臣ニ報吿スベキ準則若ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケタル準則又ハ第二十五條若ハ第二十六條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ若ハ主務大臣ノ命令ニ依リ制定若ハ變更シタル準則ニ依ルノ外役員ニ對シ雜給與ヲ支給スルコトヲ得ズ
第十七條 社員ノ給與ヲ分チテ左ノ各號ニ揭グル給與トス
一 基本給料(會社ガ社員ニ對シ一定ノ金額ニ依リ定期ニ支給スル給與ノ中基本ト爲ルベキ固定給ヲ謂フ)
二 手當(基本給料ヲ除クノ外會社ガ社員ニ對シ定期ニ若ハ職務ニ關シ一定ノ事實アル場合ニ一定ノ金額、數量若ハ割合ニ依リ支給スル給與又ハ繼續シテ利用セシムル住居其ノ他ノ施設ヲ謂フ)
三 賞與(前二號ニ揭グル給與ヲ除クノ外會社ガ社員ニ對シ定期ニ支給スル給與ヲ謂フ)
四 退職金(會社ガ退職シタル社員ニ對シ支給スル給與又ハ之ニ相當スル金額ニシテ在職中ノ社員ニ對シ前拂スルモノヲ謂フ)
五 臨時ノ給與(前四號ニ揭グル給與ヲ除クノ外會社ガ社員ニ對シ臨時ニ支給スル給與ヲ謂フ)
第十八條 會社ハ閣令ノ定ムル限度ヲ超エテ社員ノ初任基本給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
第十九條 會社ハ閣令ノ定ムル限度ヲ超エテ社員ノ基本給料ヲ增加支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第二十條 會社ハ第二十四條ノ規定ニ依リ主務大臣ニ報吿スベキ準則若ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケタル準則又ハ第二十五條若ハ第二十六條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ若ハ主務大臣ノ命令ニ依リ制定若ハ變更シタル準則ニ依ルノ外社員ニ對シ左ノ各號ニ揭グル手當ヲ支給スルコトヲ得ズ
一 在勤手當、僻地手當其ノ他特殊地域ニ在勤スルニ因リ支給スル手當
二 危險手當其ノ他生命、健康等ニ關シ危險又ハ有害ナル特定ノ勤務ニ從事スルニ因リ支給スル手當
三 居殘手當、宿直手當其ノ他特定ノ追加勤務ニ對シ支給スル手當
四 閣令ヲ以テ定ムル家族手當
五 食事手當又ハ被服手當
六 步合ニ依リ支給スル手當
七 現物ヲ以テ支給スル手當
八 其ノ他閣令ヲ以テ定ムル手當
第二十一條 會社ガ每賞與期間ニ付社員ニ對シ支給スル賞與ノ總額ト前條各號ニ揭グル手當以外ノ手當ノ當該賞與期間中ニ於ケル支給總額トノ合計金額ハ閣令ノ定ムル限度ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ閣令ノ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ前項ノ限度ヲ超エテ支給スル金額ニ付テハ會社ハ之ヲ經費トシテ經理スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第一項ノ賞與期間ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 會社ハ第二十四條ノ規定ニ依リ主務大臣ニ報吿スベキ準則若ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケタル準則又ハ第二十五條若ハ第二十六條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ若ハ主務大臣ノ命令ニ依リ制定若ハ變更シタル準則ニ依ルノ外社員ニ對シ退職金ヲ支給スルコトヲ得ズ
第二十三條 會社ハ社員ノ全部若ハ大部分又ハ社員數常時三十人以上ヲ有スル事務所、工場若ハ事業場ニ付其ノ所屬社員ノ全部若ハ大部分ニ對シ時期ヲ同ジクシテ臨時ノ給與ヲ支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第二十四條 本令施行ノ際本章ノ規定ノ適用ヲ受クル會社ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ閣令ノ定ムル所ニ從ヒ本令施行ノ際ニ於ケル役員雜給與、第二十條各號ニ揭グル社員手當及社員退職金ノ準則ヲ主務大臣ニ報吿スベシ
第七條各號ノ一ニ揭グル會社ニ該當セザリシ會社ニシテ本令施行後第七條各號ノ一ニ揭グル會社ト爲リタルモノハ役員雜給與、第二十條各號ニ揭グル社員手當及社員退職金ノ準則ニ付主務大臣ノ承認ヲ受クベシ
第二十五條 會社ハ役員雜給與、第二十條各號ニ揭グル社員手當又ハ社員退職金ノ準則ヲ制定シ又ハ變更セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第二十六條 主務大臣ハ役員又ハ社員ノ給與及其ノ支給方法ノ適正ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ會社ニ對シ役員若ハ社員ノ給與ノ金額若ハ支給方法ニ關シ必要ナル命令ヲ爲シ又ハ役員雜給與、第二十條各號ニ揭グル社員手當若ハ社員退職金ノ準則ノ制定、變更若ハ廢止ヲ命ズルコトヲ得
第二十七條 會社ハ何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ本章ノ規定ニ依ル制限ヲ免ルル目的ヲ以テ役員又ハ社員ニ對シ給與ヲ支給スルコトヲ得ズ
第二十八條 本章ノ規定ハ裁判所ガ決定ヲ以テ定メタル報酬ニハ之ヲ適用セズ
第四章 經費及資金
第二十九條 會社ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ閣令ノ定ムル所ニ從ヒ每事業年度ニ於ケル左ノ各號ニ揭グル支出(利益金處分ニ依ルモノヲ含ム)ノ豫定額ヲ主務大臣ニ報吿スベシ
一 機密費、交際費、接待費又ハ廣吿宣傳費其ノ他之ト同樣ノ性質ヲ有スル支出
二 寄附金其ノ他之ト同樣ノ性質ヲ有スル支出
三 閣令ヲ以テ定ムル福利施設費
四 前號ニ揭グル福利施設費以外ノ福利施設費其ノ他之ト同樣ノ性質ヲ有スル支出
五 硏究費其ノ他之ト同樣ノ性質ヲ有スル支出
前項ノ規定ニ依リ報吿ヲ爲シタル會社ハ其ノ報吿シタル金額ヲ超エテ當該事業年度ニ於テ前項第一號ニ揭グル支出ヲ爲スコトヲ得ズ
第一項ノ規定ニ依リ報吿ヲ爲シタル會社ハ其ノ報吿シタル金額ヲ超エテ當該事業年度ニ於テ第一項第二號又ハ第四號ニ揭グル支出ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第一項ノ規定ニ依リ報吿ヲ爲シタル會社ハ其ノ報吿シタル金額ヲ超エテ當該事業年度ニ於テ第一項第三號又ハ第五號ニ揭グル支出ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ遲滯ナク主務大臣ニ報吿スベシ
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ第一項第一號、第二號、第四號又ハ第五號ニ揭グル支出ノ金額又ハ其ノ經理ノ方法ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十條 主務大臣ハ會社ノ經費ノ支出ヲ適正ナラシムル爲必要アリト認ムルトキハ會社ニ對シ之ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十一條 會社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ固定資產ノ償却ヲ爲スベシ但シ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二條 主務大臣ハ會社ノ經理上必要アリト認ムルトキハ會社ニ對シ資產ノ償却ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十三條 會社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各號ニ揭グル事項ニ付主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 有價證券ノ取得又ハ處分
二 特許權、鑛業權又ハ漁業權ノ取得又ハ處分
三 資金ノ貸付又ハ借入
主務大臣ハ會社ニ對シ借入金ノ限度ヲ指定スルコトヲ得
前項ノ指定ヲ受ケタル會社ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ指定ヲ受ケタル限度ヲ超エテ資金ノ借入ヲ爲スコトヲ得ズ
第三十四條 主務大臣ハ會社ノ經理ヲ適正ナラシムル爲必要アリト認ムルトキハ會社ニ對シ餘裕資金ノ運用ニ關シ必要ナル制限ヲ爲スコトヲ得
第五章 經理檢査
第三十五條 主務大臣ハ會社ノ資產負債及損益ノ內容、利益金ノ處分其ノ他經理ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第三十六條 會社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ財產目錄、貸借對照表、損益計算書及原價計算ニ關スル書類ヲ作成スベシ
前項ノ財產目錄ニ記載スベキ財產ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ評價スベシ
會社ハ第一項ノ規定ニ依リ作成スベキ書類ノ調製ニ必要ナル帳簿ヲ備ヘ整然且明瞭ニ之ガ記帳ヲ爲スベシ
第三十七條 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ會社ニ對シ勘定科目及帳簿組織ヲ指定シ之ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三十八條 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ會社ヲ指定シテ決算ニ關シ當該官吏ノ監査ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ決算ニ關シ監査ヲ受クベキ命令ヲ受ケタル會社ハ當該官吏ノ監査ヲ受ケタルコトノ證明ヲ受ケタル後ニ非ザレバ利益金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ズ
第六章 雜則
第三十九條 第三條乃至第六條、第十二條乃至第十五條、第十九條、第二十一條、第二十三條乃至第二十六條、第二十九條乃至第三十二條、第三十四條、第三十七條又ハ前條ノ規定ニ依ル許可若ハ承認ニ關スル處分又ハ指定、命令若ハ制限ニシテ事案ノ重要ナルモノハ會社經理審査委員會ノ議ヲ經ベシ
會社經理審査委員會ニ關スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
第四十條 第三十三條ノ規定ニ依ル許可ニ關スル處分又ハ指定ニシテ事案ノ重要ナルモノハ臨時資金調整法第十二條ノ臨時資金審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第四十一條 本令ニ於テ主務大臣トアルハ左ノ各號ニ該當スル場合ニ於テ各其ノ定ムル所ニ依ルノ外總テ大藏大臣トス
一 特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル會社ニ在リテハ當該會社ヲ監督スル所管大臣
二 取引所法、瓦斯事業法、保險業法、自動車製造事業法、工作機械製造事業法、製鐵事業法、輕金屬製造事業法、石油業法、人造石油製造事業法、大正十五年勅令第九號又ハ產金法第三條ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ營ム會社ニ在リテハ商工大臣
三 電氣事業法、航空機製造事業法又ハ造船事業法ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ營ム會社ニ在リテハ遞信大臣但シ造船事業法施行令第二十九條ノ規定ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ營ム會社ニ在リテハ遞信大臣及商工大臣
四 地方鐵道法、軌道法又ハ自動車交通事業法ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ營ム會社ニ在リテハ鐵道大臣
五 會社ノ營ム事業ノ一部ニ付第二號、第三號又ハ第四號ニ揭グル法令ノ適用ヲ受クル會社ニ在リテハ當該所管大臣及大藏大臣
六 第三十三條ノ規定ニ依ル許可ニ關スル處分又ハ指定ニ付テハ前各號ノ規定ニ拘ラズ大藏大臣及商工大臣
大藏大臣ハ第三條乃至第六條、第十二條乃至第十五條、第十九條、第二十一條、第二十三條乃至第二十六條、第二十九條乃至第三十二條、第三十四條、第三十七條又ハ第三十八條ノ規定ノ施行ニ關スル重要事項ニ付關係各大臣ニ協議スベシ
大藏大臣以外ノ主務大臣ハ前項ニ揭グル規定ノ施行ニ關スル重要事項ニ付大藏大臣及關係各大臣ニ協議スベシ
第四十二條 大藏大臣ハ前條第一項第一號乃至第四號ニ揭グル會社以外ノ會社ニ關スル本令ノ施行ニ關スル事務ノ一部ヲ稅務監督局長又ハ稅務署長ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
大藏大臣ハ稅務監督局長若ハ稅務署長ヲシテ第三十五條ノ規定ニ依ル報吿ヲ徵セシメ又ハ稅務監督局長、稅務署長若ハ其ノ代理官ヲシテ同條ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第四十三條 本令ノ施行ニ關シ必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十四條 本令中主務大臣トアルハ朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トス但シ日本勸業銀行、北海道拓殖銀行、朝鮮銀行、臺灣銀行及朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ營業所ヲ有シ銀行法又ハ貯蓄銀行法ノ適用ヲ受クル銀行竝ニ南洋拓殖株式會社ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ總督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ廳令トス
第三十九條及第四十條ノ規定ハ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
第四十五條 朝鮮總督ハ本令ノ施行ニ關スル事務ノ一部ヲ朝鮮總督府稅務監督局長又ハ朝鮮總督府稅務署長ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
朝鮮總督ハ朝鮮總督府稅務監督局長若ハ朝鮮總督府稅務署長ヲシテ第三十五條ノ規定ニ依ル報吿ヲ徵セシメ又ハ朝鮮總督府稅務監督局長、朝鮮總督府稅務署長若ハ其ノ代理官ヲシテ同條ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
臺灣總督ハ本令ノ施行ニ關スル事務ノ一部ヲ臺灣總督府州知事又ハ臺灣總督府廳長ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
臺灣總督ハ臺灣總督府州知事若ハ臺灣總督府廳長ヲシテ第三十五條ノ規定ニ依ル報吿ヲ徵セシメ又ハ臺灣總督府州知事、臺灣總督府廳長若ハ其ノ代理官ヲシテ同條ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
臺灣總督府州知事ハ前項ノ規定ニ依リ委任セラレタル事務ヲ稅務出張所ヲシテ分掌セシムルコトヲ得
附 則
第四十六條 本令ハ昭和十五年十月二十日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十一月五日ヨリ之ヲ施行ス
第四十七條 會社利益配當及資金融通令及昭和十四年勅令第百九十四號ハ之ヲ廢止ス但シ本令施行前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ仍其ノ效力ヲ有ス
朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ會社利益配當及資金融通令ハ前項ノ規定ニ拘ラズ昭和十五年十一月四日迄、會社職員給與臨時措置令ハ同令附則第二項ノ規定ニ拘ラズ昭和十五年十一月四日迄仍其ノ效力ヲ有ス但シ同日以前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ同日後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有ス
第四十八條 會社ノ直前ノ事業年度ノ利益配當ガ會社利益配當及資金融通令第二條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケテ基準配當率ヲ超ユル率ニ依リ爲シタルモノニシテ當該利益配當ノ率ノ中主務大臣ガ其ノ許可ヲ爲スニ際シ基準配當率ニ算入セザル旨ヲ定メタル部分アルトキハ其ノ部分ヲ除キタル率ヲ以テ第三條第一項第二號ノ直前ノ事業年度ノ配當率ト看做ス
第四十九條 本令施行前合併ヲ爲シタルニ因リ會社利益配當及資金融通令第三條第一項第三號ノ規定ニ依リ基準配當率ニ付主務大臣ノ認定ヲ受ケタル會社ガ當該合併後最初ノ事業年度ノ利益配當ヲ本令施行後爲サントスルトキハ當該基準配當率ヲ以テ第三條第一項第二號ノ直前ノ事業年度ノ配當率ト看做ス
第五十條 資本金二十萬圓未滿タリシ會社ニシテ本令施行前ノ資本增加ニ因リ資本金二十萬圓以上ト爲リタルニ因リ會社利益配當及資金融通令第三條第一項第四號ノ規定ニ依リ其ノ基準配當率ニ付主務大臣ノ認定ヲ受ケタル會社ガ當該資本增加後最初ノ事業年度ノ利益配當ヲ本令施行後爲サントスルトキハ當該基準配當率ヲ以テ第三條第一項第二號ノ直前ノ事業年度ノ配當率ト看做ス
第五十一條 會社利益配當及資金融通令第四條ノ規定ニ依リ其ノ基準配當率ニ付主務大臣ノ指定ヲ受ケタル會社ガ指定後最初ノ事業年度ノ利益配當ヲ本令施行後爲サントスルトキハ其ノ指定ヲ受ケタル基準配當率ヲ以テ第三條第一項第二號ノ直前ノ事業年度ノ配當率ト看做ス
第五十二條 第三條第二項第一號ノ規定ハ第四十九條乃至前條ノ場合ニ於テ主務大臣ガ基準配當率ノ認定又ハ指定ヲ爲スニ際シ當該認定又ハ指定後ノ最初ノ利益配當ニ關シ會社利益配當及資金融通令第二條第一號ノ規定ヲ適用セザル旨ヲ定メタルトキハ當該利益配當ニ關シテハ之ヲ適用セズ
前項ニ規定スル場合ヲ除クノ外第三條第二項第一號及第四號ノ規定ハ第四十八條乃至前條ノ規定ニ依リ直前ノ事業年度ノ配當率ト看做サレタル率ニ付テモ亦之ヲ適用ス
朕会社経理統制令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十六日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 秋田清
商工大臣臨時代理 大蔵大臣 河田烈
逓信大臣 村田省蔵
農林大臣 石黒忠篤
鉄道大臣 小川郷太郎
勅令第六百八十号
会社経理統制令
第一章 総則
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十一条ノ規定ニ依ル会社ノ利益金ノ処分、償却其ノ他経理ニ関スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 会社ハ国家目的達成ノ為国民経済ニ課セラレタル責任ヲ分担スルコトヲ以テ経営ノ本義トシ其ノ経理ニ関シ左ノ各号ニ掲グル事項ノ遵守ヲ旨トスベシ
一 資金ハ之ヲ最モ有益ニ活用シ苟モ人的及物的資源ノ濫費ニ陥ルガ如キコトハ厳ニ之ヲ避クルコト
二 経費ノ支出及資産ノ償却ヲ適正ナラシムルコト
三 役員、社員其ノ他従業者ノ給与及其ノ支給方法ヲ適正ナラシムルコト
四 利益ノ分配ヲ適正ナラシメ自己資金ノ蓄積ニ努ムルコト
第二章 利益配当及積立金
第三条 資本金(出資総額、株金総額、出資総額及株金総額ノ合計額又ハ基金総額ヲ謂フ以下同ジ)二十万円以上ノ会社ハ毎事業年度ニ付左ノ各号ノ率ノ中低キ率ヲ超ユル率ニ依リ利益配当(基金利息又ハ基金配当ヲ含ム以下同ジ)ヲ為サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 配当金総額ガ自己資本ニ対シ年百分ノ八ニ相当スル金額ト為ル配当率
二 直前ノ事業年度ノ配当率
左ノ各号ニ掲グル場合ニ於テハ各其ノ定ムル率ヲ前項第二号ノ率ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
一 直前ノ事業年度ノ配当率ガ年百分ノ十ニ達セザルトキハ其ノ配当率ニ年百分ノ一(六月ニ非ザル期間ヲ事業年度トスルモノニ在リテハ当該事業年度ノ月数ノ六ニ対スル割合ヲ年百分ノ一ニ乗ジテ得タル率)ヲ加ヘタル率但シ其ノ率ガ年百分ノ六ニ達セザルトキハ年百分ノ六トシ年百分ノ十ヲ超ユルトキハ年百分ノ十トス
二 直前ノ事業年度ニ付利益配当ヲ為サザリシトキ又ハ設立後最初ノ事業年度ノ利益配当ナルトキハ年百分ノ六
三 資本金二十万円未満タリシ会社資本増加ニ因リ資本金二十万円以上ト為リタル後最初ノ事業年度ニ付為ス利益配当ナルトキハ第一号ノ規定ニ拘ラズ年百分ノ六
四 配当金総額ガ自己資本ニ対シ年百分ノ五ノ割合ニ相当スル金額ト為ル配当率ガ前三号ノ率ヨリ高キトキハ其ノ率但シ其ノ率ガ年百分ノ十ヲ超ユルトキハ年百分ノ十トス
前二項ノ自己資本ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ニ依ル
第四条 主務大臣ハ左ノ各号ニ掲グル場合ニ於テハ会社ニ対シ期間ヲ定メ将来ノ配当率ニ付適当ト認ムル率ヲ指定スルコトヲ得
一 当該会社ノ利益ノ実情ニ照シ配当金ガ過大ナリト認メラルルトキ
二 当該会社ノ資金計画ニ照シ自己資金ノ蓄積ガ必要ナリト認メラルルトキ
会社ハ前項ノ規定ニ依リ配当率ニ付主務大臣ノ指定ヲ受ケタルトキハ前条ノ規定ニ拘ラズ当該配当率ヲ超ユル率ニ依リ利益配当ヲ為スコトヲ得ズ
第五条 合併ニ因リテ設立シタル資本金二十万円以上ノ会社又ハ合併後存続スル資本金二十万円以上ノ会社ハ合併後最初ノ事業年度ニ付利益配当ヲ為サントスルトキハ利益配当ノ率ガ年百分ノ六ヲ超エザル場合ヲ除キ前二条ノ規定ニ拘ラズ閣令ノ定ムル所ニ依リ会社ノ申請ニ基キ主務大臣ガ従前ノ利益配当其ノ他各会社ノ経理ノ実情ヲ参酌シテ指定シタル率ヲ超エザル利益配当ノ率ニ依ルベシ
第六条 主務大臣ハ会社収益ノ状況其ノ他経理ノ実情ニ照シ必要アリト認ムルトキハ当該会社ニ対シ法定準備金ノ外特別ノ積立金ノ積立ヲ命ジ又ハ当該積立金ノ運用方法ニ付必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
前項ノ積立金ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ使用スルコトヲ得ズ
第三章 役員及社員給与
第七条 本章ノ規定ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル会社ニ之ヲ適用ス
一 資本金二十万円以上ノ会社
二 前号ニ規定スルモノヲ除クノ外役員及社員ノ合計数常時三十人以上ノ会社
第八条 本章ニ於テ役員ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヲ謂フ
一 機関トシテ会社ノ業務ニ従事スル者
二 顧問、相談役其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ賞与ニ関シ会社ガ前号ニ該当スル者ニ準ジテ取扱フ者
第九条 本章ニ於テ社員ト称スルハ船員及賃金統制令第二条ノ労務者ヲ除クノ外左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヲ謂フ
一 会社ニ雇傭セラルル者
二 顧問、嘱託其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ継続シテ会社ノ業務ニ従事スル者但シ役員タル者ヲ除ク
第十条 本章ニ於テ給与ト称スルハ報酬、給料、手当、賞与、交際費、機密費其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ会社ガ役員又ハ社員ノ職務ノ対償トシテ支給スル金銭、物其ノ他ノ利益ヲ謂フ
第十一条 役員ノ給与ヲ分チテ左ノ各号ニ掲グル給与トス
一 報酬(会社ガ役員ニ対シ一定ノ金額ニ依リ定期ニ支給スル給与ニシテ経費トシテ経理スルモノヲ謂フ但シ在勤手当其ノ他特定ノ事由ニ依リ特定ノ役員ニ対シ支給スルモノヲ除ク)
二 賞与(会社ガ役員ニ対シ定期ニ利益金処分ニ依リ支給スル給与ヲ謂フ)
三 退職金(会社ガ退職シタル役員ニ対シ支給スル給与ヲ謂フ)
四 臨時ノ給与(会社ガ役員ニ対シ臨時ニ支給スル給与ヲ謂フ)
五 雑給与(前各号ニ掲グル給与ヲ除クノ外会社ガ役員ニ対シ支給スル給与ヲ謂フ)
第十二条 会社ハ毎事業年度ノ役員報酬ヲ支給セントスル場合ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 支給セントスル役員報酬ノ合計金額ガ直前ノ事業年度ニ於テ支給シタル役員報酬ノ合計金額(当該事業年度ノ月数ガ直前ノ事業年度ノ月数ト異ル場合ニ於テハ閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額)ヲ超ユルトキ
二 直前ノ事業年度ニ於テ役員報酬ヲ支給セザリシトキ
三 設立後最初ノ事業年度ノ役員報酬ナルトキ
四 合併後最初ノ事業年度ノ役員報酬ナルトキ
五 第七条各号ノ一ニ掲グル会社ニ該当セザリシ会社第七条各号ノ一ニ掲グル会社ト為リタル後最初ノ事業年度ノ役員報酬ナルトキ
第十三条 会社ハ毎事業年度ニ付役員賞与ヲ支給セントスル場合ニ於テ其ノ合計金額ガ左ノ各号ノ金額(百円未満ノ端数ハ之ヲ百円ニ切上グ)ノ中少キ金額ヲ超ユルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 法定賞与額(閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル当該事業年度ノ純益金ニ閣令ノ定ムル割合ヲ乗ジテ得タル金額ヲ謂フ以下同ジ)
二 前期賞与額(直前ノ事業年度ニ付支給シタル役員賞与ノ合計金額ヲ謂フ但シ当該事業年度ノ月数ガ直前ノ事業年度ノ月数ト異ル場合ニ於テハ閣令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ヲ謂フ以下同ジ)
左ノ各号ニ掲グル場合ニ於テハ各其ノ定ムル金額ヲ前項第二号ノ金額ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
一 前期賞与額ガ法定賞与額ニ達セザルトキハ前期賞与額ノ百分ノ百二十ニ相当スル金額但シ前期賞与額ノ百分ノ百二十ニ相当スル金額ガ法定賞与額ニ対シ百分ノ七十ノ割合ニ達セザルトキハ法定賞与額ノ百分ノ七十ニ相当スル金額
二 直前ノ事業年度ニ付役員賞与ヲ支給セザリシトキ又ハ設立後最初ノ事業年度ニ付支給スル役員賞与ナルトキハ法定賞与額ノ百分ノ七十ニ相当スル金額
三 合併後最初ノ事業年度ニ付支給スル役員賞与ナルトキ又ハ第七条各号ノ一ニ掲グル会社ニ該当セザリシ会社第七条各号ノ一ニ掲グル会社ト為リタル後最初ノ事業年度ニ付支給スル役員賞与ナルトキハ第一号ノ規定ニ拘ラズ法定賞与額ノ百分ノ七十ニ相当スル金額
第十四条 会社ハ退職シタル役員ニ対シ退職金ヲ支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 閣令ノ定ムル限度ヲ超エザル退職金ヲ支給セントスルトキ
二 閣令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル準則ニ依リ退職金ヲ支給セントスルトキ
第十五条 会社ハ役員ニ対シ臨時ノ給与ヲ支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十六条 会社ハ第二十四条ノ規定ニ依リ主務大臣ニ報告スベキ準則若ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケタル準則又ハ第二十五条若ハ第二十六条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ若ハ主務大臣ノ命令ニ依リ制定若ハ変更シタル準則ニ依ルノ外役員ニ対シ雑給与ヲ支給スルコトヲ得ズ
第十七条 社員ノ給与ヲ分チテ左ノ各号ニ掲グル給与トス
一 基本給料(会社ガ社員ニ対シ一定ノ金額ニ依リ定期ニ支給スル給与ノ中基本ト為ルベキ固定給ヲ謂フ)
二 手当(基本給料ヲ除クノ外会社ガ社員ニ対シ定期ニ若ハ職務ニ関シ一定ノ事実アル場合ニ一定ノ金額、数量若ハ割合ニ依リ支給スル給与又ハ継続シテ利用セシムル住居其ノ他ノ施設ヲ謂フ)
三 賞与(前二号ニ掲グル給与ヲ除クノ外会社ガ社員ニ対シ定期ニ支給スル給与ヲ謂フ)
四 退職金(会社ガ退職シタル社員ニ対シ支給スル給与又ハ之ニ相当スル金額ニシテ在職中ノ社員ニ対シ前払スルモノヲ謂フ)
五 臨時ノ給与(前四号ニ掲グル給与ヲ除クノ外会社ガ社員ニ対シ臨時ニ支給スル給与ヲ謂フ)
第十八条 会社ハ閣令ノ定ムル限度ヲ超エテ社員ノ初任基本給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
第十九条 会社ハ閣令ノ定ムル限度ヲ超エテ社員ノ基本給料ヲ増加支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第二十条 会社ハ第二十四条ノ規定ニ依リ主務大臣ニ報告スベキ準則若ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケタル準則又ハ第二十五条若ハ第二十六条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ若ハ主務大臣ノ命令ニ依リ制定若ハ変更シタル準則ニ依ルノ外社員ニ対シ左ノ各号ニ掲グル手当ヲ支給スルコトヲ得ズ
一 在勤手当、僻地手当其ノ他特殊地域ニ在勤スルニ因リ支給スル手当
二 危険手当其ノ他生命、健康等ニ関シ危険又ハ有害ナル特定ノ勤務ニ従事スルニ因リ支給スル手当
三 居残手当、宿直手当其ノ他特定ノ追加勤務ニ対シ支給スル手当
四 閣令ヲ以テ定ムル家族手当
五 食事手当又ハ被服手当
六 歩合ニ依リ支給スル手当
七 現物ヲ以テ支給スル手当
八 其ノ他閣令ヲ以テ定ムル手当
第二十一条 会社ガ毎賞与期間ニ付社員ニ対シ支給スル賞与ノ総額ト前条各号ニ掲グル手当以外ノ手当ノ当該賞与期間中ニ於ケル支給総額トノ合計金額ハ閣令ノ定ムル限度ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ閣令ノ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ前項ノ限度ヲ超エテ支給スル金額ニ付テハ会社ハ之ヲ経費トシテ経理スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第一項ノ賞与期間ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 会社ハ第二十四条ノ規定ニ依リ主務大臣ニ報告スベキ準則若ハ主務大臣ノ承認ヲ受ケタル準則又ハ第二十五条若ハ第二十六条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ若ハ主務大臣ノ命令ニ依リ制定若ハ変更シタル準則ニ依ルノ外社員ニ対シ退職金ヲ支給スルコトヲ得ズ
第二十三条 会社ハ社員ノ全部若ハ大部分又ハ社員数常時三十人以上ヲ有スル事務所、工場若ハ事業場ニ付其ノ所属社員ノ全部若ハ大部分ニ対シ時期ヲ同ジクシテ臨時ノ給与ヲ支給セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第二十四条 本令施行ノ際本章ノ規定ノ適用ヲ受クル会社ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ閣令ノ定ムル所ニ従ヒ本令施行ノ際ニ於ケル役員雑給与、第二十条各号ニ掲グル社員手当及社員退職金ノ準則ヲ主務大臣ニ報告スベシ
第七条各号ノ一ニ掲グル会社ニ該当セザリシ会社ニシテ本令施行後第七条各号ノ一ニ掲グル会社ト為リタルモノハ役員雑給与、第二十条各号ニ掲グル社員手当及社員退職金ノ準則ニ付主務大臣ノ承認ヲ受クベシ
第二十五条 会社ハ役員雑給与、第二十条各号ニ掲グル社員手当又ハ社員退職金ノ準則ヲ制定シ又ハ変更セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第二十六条 主務大臣ハ役員又ハ社員ノ給与及其ノ支給方法ノ適正ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ会社ニ対シ役員若ハ社員ノ給与ノ金額若ハ支給方法ニ関シ必要ナル命令ヲ為シ又ハ役員雑給与、第二十条各号ニ掲グル社員手当若ハ社員退職金ノ準則ノ制定、変更若ハ廃止ヲ命ズルコトヲ得
第二十七条 会社ハ何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ本章ノ規定ニ依ル制限ヲ免ルル目的ヲ以テ役員又ハ社員ニ対シ給与ヲ支給スルコトヲ得ズ
第二十八条 本章ノ規定ハ裁判所ガ決定ヲ以テ定メタル報酬ニハ之ヲ適用セズ
第四章 経費及資金
第二十九条 会社ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ閣令ノ定ムル所ニ従ヒ毎事業年度ニ於ケル左ノ各号ニ掲グル支出(利益金処分ニ依ルモノヲ含ム)ノ予定額ヲ主務大臣ニ報告スベシ
一 機密費、交際費、接待費又ハ広告宣伝費其ノ他之ト同様ノ性質ヲ有スル支出
二 寄附金其ノ他之ト同様ノ性質ヲ有スル支出
三 閣令ヲ以テ定ムル福利施設費
四 前号ニ掲グル福利施設費以外ノ福利施設費其ノ他之ト同様ノ性質ヲ有スル支出
五 研究費其ノ他之ト同様ノ性質ヲ有スル支出
前項ノ規定ニ依リ報告ヲ為シタル会社ハ其ノ報告シタル金額ヲ超エテ当該事業年度ニ於テ前項第一号ニ掲グル支出ヲ為スコトヲ得ズ
第一項ノ規定ニ依リ報告ヲ為シタル会社ハ其ノ報告シタル金額ヲ超エテ当該事業年度ニ於テ第一項第二号又ハ第四号ニ掲グル支出ヲ為サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第一項ノ規定ニ依リ報告ヲ為シタル会社ハ其ノ報告シタル金額ヲ超エテ当該事業年度ニ於テ第一項第三号又ハ第五号ニ掲グル支出ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ遅滞ナク主務大臣ニ報告スベシ
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ第一項第一号、第二号、第四号又ハ第五号ニ掲グル支出ノ金額又ハ其ノ経理ノ方法ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第三十条 主務大臣ハ会社ノ経費ノ支出ヲ適正ナラシムル為必要アリト認ムルトキハ会社ニ対シ之ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第三十一条 会社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ固定資産ノ償却ヲ為スベシ但シ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二条 主務大臣ハ会社ノ経理上必要アリト認ムルトキハ会社ニ対シ資産ノ償却ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第三十三条 会社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各号ニ掲グル事項ニ付主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 有価証券ノ取得又ハ処分
二 特許権、鉱業権又ハ漁業権ノ取得又ハ処分
三 資金ノ貸付又ハ借入
主務大臣ハ会社ニ対シ借入金ノ限度ヲ指定スルコトヲ得
前項ノ指定ヲ受ケタル会社ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ指定ヲ受ケタル限度ヲ超エテ資金ノ借入ヲ為スコトヲ得ズ
第三十四条 主務大臣ハ会社ノ経理ヲ適正ナラシムル為必要アリト認ムルトキハ会社ニ対シ余裕資金ノ運用ニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得
第五章 経理検査
第三十五条 主務大臣ハ会社ノ資産負債及損益ノ内容、利益金ノ処分其ノ他経理ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第三十六条 会社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ財産目録、貸借対照表、損益計算書及原価計算ニ関スル書類ヲ作成スベシ
前項ノ財産目録ニ記載スベキ財産ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ評価スベシ
会社ハ第一項ノ規定ニ依リ作成スベキ書類ノ調製ニ必要ナル帳簿ヲ備ヘ整然且明瞭ニ之ガ記帳ヲ為スベシ
第三十七条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ会社ニ対シ勘定科目及帳簿組織ヲ指定シ之ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三十八条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ会社ヲ指定シテ決算ニ関シ当該官吏ノ監査ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ決算ニ関シ監査ヲ受クベキ命令ヲ受ケタル会社ハ当該官吏ノ監査ヲ受ケタルコトノ証明ヲ受ケタル後ニ非ザレバ利益金ノ処分ヲ為スコトヲ得ズ
第六章 雑則
第三十九条 第三条乃至第六条、第十二条乃至第十五条、第十九条、第二十一条、第二十三条乃至第二十六条、第二十九条乃至第三十二条、第三十四条、第三十七条又ハ前条ノ規定ニ依ル許可若ハ承認ニ関スル処分又ハ指定、命令若ハ制限ニシテ事案ノ重要ナルモノハ会社経理審査委員会ノ議ヲ経ベシ
会社経理審査委員会ニ関スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
第四十条 第三十三条ノ規定ニ依ル許可ニ関スル処分又ハ指定ニシテ事案ノ重要ナルモノハ臨時資金調整法第十二条ノ臨時資金審査委員会ノ議ヲ経ベシ
第四十一条 本令ニ於テ主務大臣トアルハ左ノ各号ニ該当スル場合ニ於テ各其ノ定ムル所ニ依ルノ外総テ大蔵大臣トス
一 特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル会社ニ在リテハ当該会社ヲ監督スル所管大臣
二 取引所法、瓦斯事業法、保険業法、自動車製造事業法、工作機械製造事業法、製鉄事業法、軽金属製造事業法、石油業法、人造石油製造事業法、大正十五年勅令第九号又ハ産金法第三条ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ営ム会社ニ在リテハ商工大臣
三 電気事業法、航空機製造事業法又ハ造船事業法ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ営ム会社ニ在リテハ逓信大臣但シ造船事業法施行令第二十九条ノ規定ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ営ム会社ニ在リテハ逓信大臣及商工大臣
四 地方鉄道法、軌道法又ハ自動車交通事業法ノ適用ヲ受クル事業ノミヲ営ム会社ニ在リテハ鉄道大臣
五 会社ノ営ム事業ノ一部ニ付第二号、第三号又ハ第四号ニ掲グル法令ノ適用ヲ受クル会社ニ在リテハ当該所管大臣及大蔵大臣
六 第三十三条ノ規定ニ依ル許可ニ関スル処分又ハ指定ニ付テハ前各号ノ規定ニ拘ラズ大蔵大臣及商工大臣
大蔵大臣ハ第三条乃至第六条、第十二条乃至第十五条、第十九条、第二十一条、第二十三条乃至第二十六条、第二十九条乃至第三十二条、第三十四条、第三十七条又ハ第三十八条ノ規定ノ施行ニ関スル重要事項ニ付関係各大臣ニ協議スベシ
大蔵大臣以外ノ主務大臣ハ前項ニ掲グル規定ノ施行ニ関スル重要事項ニ付大蔵大臣及関係各大臣ニ協議スベシ
第四十二条 大蔵大臣ハ前条第一項第一号乃至第四号ニ掲グル会社以外ノ会社ニ関スル本令ノ施行ニ関スル事務ノ一部ヲ税務監督局長又ハ税務署長ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
大蔵大臣ハ税務監督局長若ハ税務署長ヲシテ第三十五条ノ規定ニ依ル報告ヲ徴セシメ又ハ税務監督局長、税務署長若ハ其ノ代理官ヲシテ同条ノ規定ニ依ル臨検検査ヲ為サシムルコトヲ得
第四十三条 本令ノ施行ニ関シ必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十四条 本令中主務大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス但シ日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、朝鮮銀行、台湾銀行及朝鮮、台湾又ハ樺太ニ営業所ヲ有シ銀行法又ハ貯蓄銀行法ノ適用ヲ受クル銀行並ニ南洋拓殖株式会社ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ総督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ庁令トス
第三十九条及第四十条ノ規定ハ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
第四十五条 朝鮮総督ハ本令ノ施行ニ関スル事務ノ一部ヲ朝鮮総督府税務監督局長又ハ朝鮮総督府税務署長ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
朝鮮総督ハ朝鮮総督府税務監督局長若ハ朝鮮総督府税務署長ヲシテ第三十五条ノ規定ニ依ル報告ヲ徴セシメ又ハ朝鮮総督府税務監督局長、朝鮮総督府税務署長若ハ其ノ代理官ヲシテ同条ノ規定ニ依ル臨検検査ヲ為サシムルコトヲ得
台湾総督ハ本令ノ施行ニ関スル事務ノ一部ヲ台湾総督府州知事又ハ台湾総督府庁長ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
台湾総督ハ台湾総督府州知事若ハ台湾総督府庁長ヲシテ第三十五条ノ規定ニ依ル報告ヲ徴セシメ又ハ台湾総督府州知事、台湾総督府庁長若ハ其ノ代理官ヲシテ同条ノ規定ニ依ル臨検検査ヲ為サシムルコトヲ得
台湾総督府州知事ハ前項ノ規定ニ依リ委任セラレタル事務ヲ税務出張所ヲシテ分掌セシムルコトヲ得
附 則
第四十六条 本令ハ昭和十五年十月二十日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十一月五日ヨリ之ヲ施行ス
第四十七条 会社利益配当及資金融通令及昭和十四年勅令第百九十四号ハ之ヲ廃止ス但シ本令施行前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ仍其ノ効力ヲ有ス
朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ会社利益配当及資金融通令ハ前項ノ規定ニ拘ラズ昭和十五年十一月四日迄、会社職員給与臨時措置令ハ同令附則第二項ノ規定ニ拘ラズ昭和十五年十一月四日迄仍其ノ効力ヲ有ス但シ同日以前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ同日後ト雖モ仍其ノ効力ヲ有ス
第四十八条 会社ノ直前ノ事業年度ノ利益配当ガ会社利益配当及資金融通令第二条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケテ基準配当率ヲ超ユル率ニ依リ為シタルモノニシテ当該利益配当ノ率ノ中主務大臣ガ其ノ許可ヲ為スニ際シ基準配当率ニ算入セザル旨ヲ定メタル部分アルトキハ其ノ部分ヲ除キタル率ヲ以テ第三条第一項第二号ノ直前ノ事業年度ノ配当率ト看做ス
第四十九条 本令施行前合併ヲ為シタルニ因リ会社利益配当及資金融通令第三条第一項第三号ノ規定ニ依リ基準配当率ニ付主務大臣ノ認定ヲ受ケタル会社ガ当該合併後最初ノ事業年度ノ利益配当ヲ本令施行後為サントスルトキハ当該基準配当率ヲ以テ第三条第一項第二号ノ直前ノ事業年度ノ配当率ト看做ス
第五十条 資本金二十万円未満タリシ会社ニシテ本令施行前ノ資本増加ニ因リ資本金二十万円以上ト為リタルニ因リ会社利益配当及資金融通令第三条第一項第四号ノ規定ニ依リ其ノ基準配当率ニ付主務大臣ノ認定ヲ受ケタル会社ガ当該資本増加後最初ノ事業年度ノ利益配当ヲ本令施行後為サントスルトキハ当該基準配当率ヲ以テ第三条第一項第二号ノ直前ノ事業年度ノ配当率ト看做ス
第五十一条 会社利益配当及資金融通令第四条ノ規定ニ依リ其ノ基準配当率ニ付主務大臣ノ指定ヲ受ケタル会社ガ指定後最初ノ事業年度ノ利益配当ヲ本令施行後為サントスルトキハ其ノ指定ヲ受ケタル基準配当率ヲ以テ第三条第一項第二号ノ直前ノ事業年度ノ配当率ト看做ス
第五十二条 第三条第二項第一号ノ規定ハ第四十九条乃至前条ノ場合ニ於テ主務大臣ガ基準配当率ノ認定又ハ指定ヲ為スニ際シ当該認定又ハ指定後ノ最初ノ利益配当ニ関シ会社利益配当及資金融通令第二条第一号ノ規定ヲ適用セザル旨ヲ定メタルトキハ当該利益配当ニ関シテハ之ヲ適用セズ
前項ニ規定スル場合ヲ除クノ外第三条第二項第一号及第四号ノ規定ハ第四十八条乃至前条ノ規定ニ依リ直前ノ事業年度ノ配当率ト看做サレタル率ニ付テモ亦之ヲ適用ス