朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル地租法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年三月三十日
內閣總理大臣 濱口雄幸
大藏大臣 井上準之助
法律第二十八號
地租法
第一章 總則
第一條 本法施行地ニ在ル土地ニハ本法ニ依リ地租ヲ課ス
第二條 左ニ揭グル土地ニハ地租ヲ課セズ但シ有料借地ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 國、府縣、市町村其ノ他勅令ヲ以テ指定スル公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル土地
二 府縣、市町村其ノ他勅令ヲ以テ指定スル公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スルモノト決定シタル其ノ所有地但シ其ノ決定ヲ爲シタル日ヨリ一年內ニ公用又ハ公共ノ用ニ供セザルモノヲ除ク
三 府縣社地、鄕村社地、招魂社地
四 墳墓地
五 公衆用道路、鐵道用地、軌道用地、運河用地
六 用惡水路、溜池、堤塘、井溝
七 保安林
第三條 土地ニハ一筆每ニ地番ヲ附シ其ノ地目、地積及賃貸價格(無租地及免租年期地ニ付テハ賃貸價格ヲ除ク)ヲ定ム
第四條 稅務署ニ土地臺帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登錄ス
一 土地ノ所在
二 地番
三 地目
四 地積
五 賃貸價格
六 所有者ノ住所及氏名又ハ名稱
七 質權又ハ百年ヨリ長キ存續期間ノ定アル地上權ノ目的タル土地ニ付テハ其ノ質權者又ハ地上權者ノ住所及氏名又ハ名稱
本法ニ定ムルモノノ外土地臺帳ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 地番ハ市町村、大字、字又ハ之ニ準ズベキ地域ヲ以テ地番區域トシ其ノ區域每ニ起番シテ之ヲ定ム
第六條 有租地ノ地目ハ土地ノ種類ニ從ヒ左ノ如ク區別シテ之ヲ定ム
第一類地 田、畑、宅地、鹽田、鑛泉地
第二類地 池沼、山林、牧場、原野、雜種地
無租地ノ地目ハ第二條第三號乃至第七號ノ土地ニ在リテハ各其ノ區別ニ依リ、其ノ他ノ土地ニ在リテハ其ノ現況ニ依リ適當ニ區別シテ之ヲ定ム
第七條 地積ハ左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ定ム
一 宅地及鑛泉地ノ地積ハ平方メートルヲ單位トシテ之ヲ定メ一平方メートルノ百分ノ一未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツ
二 宅地及鑛泉地以外ノ土地ノ地積ハアールヲ單位トシテ之ヲ定メ一アールノ百分ノ一未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツ但シ一筆ノ地積一アールノ百分ノ一未滿ナルモノニ付テハ一アールノ一萬分ノ一未滿ノ端數ヲ切捨ツ
第八條 地租ノ課稅標準ハ土地臺帳ニ登錄シタル賃貸價格トス
賃貸價格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他土地ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第九條 賃貸價格ハ十年每ニ一般ニ之ヲ改訂ス第一囘ノ改訂ハ昭和十三年ニ於テ之ヲ行フ
前項ノ改訂ニ關スル事項ハ其ノ都度別ニ之ヲ定ム
土地ノ異動ニ因リ賃貸價格ヲ設定シ又ハ修正スル必要アルトキハ類地ノ賃貸價格ニ比準シ其ノ土地ノ品位及情況ニ應ジ之ヲ定ム
第十條 地租ノ稅率ハ百分ノ三・八トス
第十一條 地租ハ每年左ノ納期ニ於テ之ヲ徵收ス
一 宅地組
第一期 其ノ年七月一日ヨリ三十一日限 年額ノ二分ノ一
第二期 翌年一月一日ヨリ三十一日限 年額ノ二分ノ一
二 田租
第一期 翌年一月一日ヨリ三十一日限 年額ノ四分ノ一
第二期 翌年二月一日ヨリ末日限 年額ノ四分ノ一
第三期 翌年三月一日ヨリ三十一日限 年額ノ四分ノ一
第四期 翌年五月一日ヨリ三十一日限 年額ノ四分ノ一
三 其ノ他
第一期 其ノ年九月一日ヨリ三十日限 年額ノ二分ノ一
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限 年額ノ二分ノ一
特別ノ事情アル地方ニシテ前項ノ納期ニ依リ難キモノニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ納期ヲ定ムルコトヲ得
第十二條 地租ハ納期開始ノ時ニ於テ土地臺帳ニ所有者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス
但シ質權ノ目的タル土地又ハ百年ヨリ長キ存續期間ノ定アル地上權ノ目的タル土地ニ付テハ土地臺帳ニ質權者又ハ地上權者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス
第十三條 土地ノ異動アリタル場合ニ於テハ地番、地目、地積及賃貸價格ハ土地所有者ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ若ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキ又ハ申吿ヲ要セザルトキハ稅務署長ノ調査ニ依リ稅務署長之ヲ定ム
第二章 土地ノ異動
第一節 有租地及無租地ノ轉換
第十四條 本法ニ於テ無租地ト稱スルハ地租ヲ課セザル土地(免租年期地、災害免租地及自作農免租地ヲ含マズ)ヲ謂ヒ有租地ト稱スルハ其ノ他ノ土地ヲ謂フ
第十五條 無租地ガ有租地ト爲リタルトキ又ハ有租地ガ無租地ト爲リタルトキハ土地所有者ハ三十日內ニ之ヲ稅務署長ニ申吿スベシ但シ有租地ガ無租地ト爲リタル場合ニ於テ之ニ關シ豫メ政府ノ許可ヲ受ケ若ハ申吿ヲ爲シタルモノ又ハ官公署ニ於テ公示シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條 新ニ土地臺帳ニ登錄スベキ土地ヲ生ジタルトキハ當該地番區域內ニ於ケル最終ノ地番ヲ追ヒ順次其ノ地番ヲ定ム但シ特別ノ事情アルトキハ適宜ノ地番ヲ定ムルコトヲ得
第十七條 新ニ土地臺帳ニ登錄スベキ土地ヲ生ジタルトキハ直ニ其ノ地目ヲ設定ス
土地臺帳ニ登錄セラレタル無租地ガ有租地ト爲リ又ハ有租地ガ無租地ト爲リタルトキハ直ニ其ノ地目ヲ修正ス
第十八條 新ニ土地臺帳ニ登錄スベキ土地ヲ生ジタルトキハ直ニ之ヲ測量シテ其ノ地積ヲ定ム
土地臺帳ニ登錄セラレタル無租地ガ有租地ト爲リタルトキハ直ニ其ノ地積ヲ改測ス但シ其ノ地積ニ異動ナシト認ムルトキハ之ヲ省略スルコトヲ得
第十九條 國有財產法第二十一條ノ規定ニ依リ賣拂又ハ讓與ノ豫約ヲ爲シタル土地ニシテ開拓ノ事業成功ニ因リ賣拂又ハ讓與ヲ受ケ有租地ト爲リタルモノニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ有租地ト爲リタル年及其ノ翌年ヨリ二十年ノ開拓減租年期ヲ許可シ年期中ハ其ノ原地(開拓前ノ土地)相當ノ賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
前項ノ年期滿了スルモ尙地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年內ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
第二十條 國有財產法第二十一條ノ規定ニ依リ賣拂又ハ讓與ノ豫約ヲ爲シタル土地ニシテ埋立(干拓ヲ含ム)ノ事業成功ニ因リ賣拂又ハ讓與ヲ受ケ有租地ト爲リタルモノ又ハ公有水面埋立法第二十四條若ハ第五十條ノ規定ニ依リ埋立地ノ所有權ヲ取得シ有租地ト爲リタル土地ニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ有租地ト爲リタル年及其ノ翌年ヨリ六十年ノ埋立免租年期ヲ許可ス
前項ノ年期滿了スルモ尙地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年內ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
第二十一條 前二條ノ規定ニ依リ開拓減租年期又ハ埋立免租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ有租地ト爲リタル日ヨリ六十日內ニ、開拓減租年期又ハ埋立免租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ稅務署長ニ申請スベシ
第二十二條 開拓減租年期中ニ於テ地類變換ヲ爲シタルトキハ開拓減租年期ハ消滅ス
開拓減租年期中ニ於テ地目變換ヲ爲シタルトキハ其ノ地目ヲ修正スルモ其ノ賃貸價格ハ之ヲ修正セズ
埋立免租年期中ニ於テ地目變換、地類變換又ハ開墾ニ該當スル土地ノ異動アルモ地目變換、地類變換又ハ開墾ナキモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ免租年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ地目ヲ修正ス
第二十三條 開拓減租年期地又ハ埋立免租年期地ニ付テハ土地所有者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ年期滿了申吿書ヲ稅務署長ニ提出スベシ
第二十四條 無租地ガ有租地ト爲リタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ設定ス
開拓減租年期地ニ付テハ有租地ト爲リタルトキ直ニ原地相當ノ賃貸價格ヲ設定シ開拓減租年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ修正ス
埋立免租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ設定ス
第二十五條 開拓減租年期又ハ埋立免租年期ノ滿了ニ因リ賃貸價格ヲ設定シ又ハ修正スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ地積ヲ改測ス
第二十六條 無租地ガ有租地ト爲リタルトキハ賃貸價格ヲ設定(第二十四條第三項ノ設定ヲ含ム)シタル年ノ翌年分ヨリ地租ヲ徵收ス
開拓減租年期ノ滿了ニ因リ賃貸價格ヲ修正シタル土地ニ付テハ其ノ修正ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ修正賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
第二十七條 有租地ガ無租地ト爲リタルトキハ其ノ申吿ヲ要スルモノニ付テハ申吿アリタル後ニ開始スル納期ヨリ、其ノ申吿ヲ要セザルモノニ付テハ稅務署長ガ其ノ事實ヲ認メタル後ニ開始スル納期ヨリ地租ヲ徵收セズ
第二節 分筆及合筆
第二十八條 本法ニ於テ分筆ト稱スルハ一筆ノ土地ヲ數筆ノ土地ト爲スヲ謂ヒ合筆ト稱スルハ數筆ノ土地ヲ一筆ノ土地ト爲スヲ謂フ
第二十九條 分筆又ハ合筆ヲ爲サントスルトキハ土地所有者ハ之ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
第三十條 一筆ノ土地ノ一部ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタルトキハ前條ノ申吿ナキ場合ニ於テモ稅務署長ハ其ノ土地ヲ分筆ス
一 別地目ト爲ルトキ
二 無租地ガ有租地ト爲リ又ハ有租地ガ無租地ト爲ルトキ
三 所有者ヲ異ニスルトキ
四 質權又ハ百年ヨリ長キ存續期間ノ定アル地上權ノ目的ト爲ルトキ
五 地番區域ヲ異ニスルトキ
第三十一條 分筆シタル土地ニ付テハ分筆前ノ地番ニ符號ヲ附シテ各筆ノ地番ヲ定ム
合筆シタル土地ニ付テハ合筆前ノ地番中ノ首位ノモノヲ以テ其ノ地番トス
特別ノ事情アルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ適宜ノ地番ヲ定ムルコトヲ得
第三十二條 分筆ヲ爲シタルトキハ測量シテ各筆ノ地積ヲ定ム
合筆ヲ爲シタルトキハ合筆前ノ各筆ノ地積ヲ合算シタルモノヲ以テ其ノ地積トス
第三十三條 分筆ヲ爲シタルトキハ各筆ノ品位及情況ニ應ジ分筆前ノ賃貸價格ヲ配分シテ其ノ賃貸價格ヲ定ム
合筆ヲ爲シタルトキハ合筆前ノ各筆ノ賃貸價格ヲ合算シタルモノヲ以テ其ノ賃貸價格トス
第三節 開墾
第三十四條 本法ニ於テ開墾ト稱スルハ第二類地ヲ第一類地ト爲スヲ謂フ
第三十五條 開墾成功シタルトキハ土地所有者ハ三十日內ニ之ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
第三十六條 開墾ニ著手シタル土地ニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ開墾著手ノ年及其ノ翌年ヨリ二十年ノ開墾減租年期ヲ許可シ年期中ハ原地(開墾前ノ土地)相當ノ賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス但シ地類變換ヲ爲シタル後五年內ニ開墾ニ著手シタル土地ニ付テハ之ヲ許可セズ
二十年內ニ成功シ能ハザル開墾地ニ付テハ前項ノ年期ハ開墾著手ノ年及其ノ翌年ヨリ四十年トス
前項ノ年期滿了スルモ尙地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年內ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
宅地又ハ鑛泉地ト爲ス開墾地ニ付テハ其ノ情況ニ依リ稅務署長ハ開墾減租年期ヲ短縮スルコトヲ得
第三十七條 前條ノ規定ニ依リ開墾減租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ開墾著手ノ日ヨリ三十日內ニ、開墾減租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ稅務署長ニ申請スベシ
第三十八條 開墾減租年期中ニ於テ開墾成功シタルトキ又ハ其ノ成功地ニ付地目變換ヲ爲シタルトキハ其ノ地目ヲ修正スルモ其ノ賃貸價格ハ之ヲ修正セズ
開墾減租年期中ニ於テ其ノ原地ニ付地目變換ヲ爲シタルトキ又ハ其ノ成功地ニ付地類變換ヲ爲シタルトキハ開墾減租年期ハ消滅ス
第三十九條 開墾減租年期地ニ付テハ土地所有者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ年期滿了申吿書ヲ稅務署長ニ提出スベシ
第四十條 開墾成功シタルトキハ(開墾減租年期中ナルト否トヲ問ハズ)直ニ其ノ地目ヲ修正ス
第四十一條 開墾成功シタルトキハ開墾減租年期地ヲ除クノ外直ニ其ノ賃貸價格ヲ修正ス
開墾減租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ修正ス但シ年期滿了スルモ尙開墾成功セザル土地ニ付テハ開墾成功シタルトキ直ニ其ノ賃貸價格ヲ修正ス
第四十二條 開墾ニ因リ賃貸價格ヲ修正スル場合ニ於テハ其ノ地積ヲ改測ス但シ其ノ地積ニ異動ナシト認ムルトキハ之ヲ省略スルコトヲ得
第四十三條 開墾ニ因リ地目又ハ賃貸價格ヲ修正シタル土地ニ付テハ其ノ修正ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ修正地目又ハ修正賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
第四節 地目變換及地類變換
第四十四條 本法ニ於テ地目變換ト稱スルハ第一類地中又ハ第二類地中ノ各地目ヲ變更スルヲ謂ヒ地類變換ト稱スルハ第一類地ヲ第二類地ト爲スヲ謂フ
第四十五條 地目變換又ハ地類變換ヲ爲シタルトキハ土地所有者ハ三十日內ニ之ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
第四十六條 二十年內ニ成功シ能ハザル地目變換地ニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ地目變換著手ノ年及其ノ翌年ヨリ四十年ノ地目變換減租年期ヲ許可シ年期中ハ原地(變換前ノ土地)相當ノ賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
前項ノ年期滿了スルモ尙地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年內ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
宅地又ハ鑛泉地ニ變換スル土地ニ付テハ其ノ情況ニ依リ稅務署長ハ地目變換減租年期ヲ短縮スルコトヲ得
第四十七條 前條ノ規定ニ依リ地目變換減租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ地目變換著手ノ日ヨリ三十日內ニ、地目變換減租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ稅務署長ニ申請スベシ
第四十八條 地目變換減租年期中ニ於テ其ノ原地又ハ變換地ニ付地目變換ヲ爲シタルトキハ其ノ地目ヲ修正スルモ其ノ賃貸價格ハ之ヲ修正セズ
地目變換減租年期中ニ於テ地類變換ヲ爲シタルトキハ地目變換減租年期ハ消滅ス
第四十九條 地目變換減租年期地ニ付テハ土地所有者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ年期滿了申吿書ヲ稅務署長ニ提出スベシ
第五十條 地目變換又ハ地類變換ヲ爲シタルトキハ(地目變換減租年期中ナルト否トヲ問ハズ)直ニ其ノ地目ヲ修正ス
第五十一條 地目變換又ハ地類變換ヲ爲シタルトキハ地目變換減租年期地ヲ除クノ外直ニ其ノ賃貸價格ヲ修正ス
地目變換減租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ修正ス但シ年期滿了スルモ尙地目變換セザル土地ニ付テハ地目變換シタルトキ直ニ其ノ賃貸價格ヲ修正ス
第五十二條 地目變換又ハ地類變換ニ因リ賃貸價格ヲ修正スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ地積ヲ改測ス
第五十三條 地目變換又ハ地類變換ニ因リ地目又ハ賃貸價格ヲ修正シタル土地ニ付テハ其ノ修正ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ修正地目又ハ修正賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
第五節 荒地免租
第五十四條 本法ニ於テ荒地ト稱スルハ災害ニ因リ地形ヲ變ジ又ハ作土ヲ損傷シタル土地ヲ謂フ
第五十五條 荒地ニ付テハ納稅義務者ノ申請ニ依リ荒地ト爲リタル年及其ノ翌年ヨリ十五年內ノ荒地免租年期ヲ許可ス
前項ノ年期滿了スルモ尙荒地ノ形狀ヲ存スルモノニ付テハ更ニ十五年內ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
海、湖又ハ河川ノ狀況ト爲リタル荒地ニ付テハ前項ノ延長年期ハ二十年內トス其ノ年期滿了スルモ尙海、湖又ハ河川ノ狀況ニ在ルモノハ本法ノ適用ニ付テハ海、湖又ハ河川ト爲リタルモノト看做ス
第五十六條 前條ノ規定ニ依リ荒地免租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ稅務署長ニ申請スベシ
荒地免租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ稅務署長ニ申請スベシ
第五十七條 荒地免租年期地ニ付テハ免租年期許可ノ申請アリタル後ニ開始スル納期ヨリ地租ヲ徵收セズ
第五十八條 荒地免租年期中ノ土地ガ再ビ荒地ト爲リ免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ前ノ年期ハ消滅ス
第五十九條 開拓減租年期、埋立免租年期、開墾減租年期又ハ地目變換減租年期中ノ土地ニ付荒地免租年期ヲ許可シタルトキハ其ノ許可ヲ爲シタル年ヨリ荒地免租年期滿了ニ至ル迄ハ開拓減租年期、埋立免租年期、開墾減租年期又ハ地目變換減租年期ハ其ノ進行ヲ止ム
前項ノ規定ハ他ノ法律ニ依リ一定ノ期間地租ノ全部又ハ一部ヲ免除シタル土地ニ付荒地免租年期ヲ許可シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六十條 荒地免租年期中ニ於テ地目變換、地類變換又ハ開墾ニ該當スル土地ノ異動アルモ地目變換、地類變換又ハ開墾ナキモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ免租年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ地目ヲ修正ス
第六十一條 荒地免租年期地ニ付テハ納稅義務者ハ年期ノ滿了スル年ノ六月三十日迄ニ年期滿了申吿書ヲ稅務署長ニ提出スベシ
第六十二條 荒地免租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ滿了スル年ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ設定ス
第六十三條 荒地免租年期ノ滿了ニ因リ賃貸價格ヲ設定スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ地積ヲ改測ス
第六十四條 荒地免租年期ノ滿了ニ因リ賃貸價格ヲ設定シタル土地ニ付テハ其ノ設定ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ地租ヲ徵收ス
第三章 災害地免租
第六十五條 北海道又ハ府縣ノ全部又ハ一部ニ亙ル災害又ハ天候不順ニ因リ收穫皆無ニ歸シタル田畑ニ付テハ納稅義務者ノ申請ニ依リ其ノ年分地租ハ之ヲ免除ス
第六十六條 地目變換若ハ開墾成功ノ申吿アリタル土地又ハ耕地整理工事完了シ賃貸價格配賦ノ申出アリタル土地ニシテ未ダ土地臺帳ヲ更正セザルモノニ付テハ其ノ成功地目ガ田畑ナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ヲ準用ス
第六十七條 前二條ノ規定ニ依リ地租ノ免除ヲ受ケントスル者ハ被害現狀ノ存スル間ニ於テ其ノ事實ヲ明ニシテ稅務署長ニ申請スベシ
第六十八條 前條ノ申請アリタルトキハ被害ノ調査中其ノ年分地租ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第六十九條 第六十五條又ハ第六十六條ノ規定ニ依リ免除シタル地租ハ法律上總テノ納稅資格中ヨリ之ヲ控除セズ
第四章 自作農地免租
第七十條 田畑地租ノ納期開始ノ時ニ於テ納稅義務者(法人ヲ除ク)ノ住所地市町村及隣接市町村內ニ於ケル田畑賃貸價格ノ合計金額ガ其ノ同居家族ノ分ト合算シ二百圓未滿ナルトキハ納稅義務者ノ申請ニ依リ其ノ田畑ノ當該納期分地租ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ免除ス但シ小作ニ付シタル田畑ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
民法施行前ヨリ引續キ存スル永小作權ニ付其ノ設定ノ當時舊來ノ慣行ニ依リテ小作料支拂ノ外當該田畑ノ地租ノ全額ヲ永小作權者ニ於テ負擔スルコトヲ約シタル田畑ニ關シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ永小作權者ヲ所有者ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
第七十一條 前條ノ規定ニ依リ地租ノ免除ヲ受ケントスル者ハ每年三月中ニ住所地市町村ヲ經由シ稅務署長ニ申請スベシ
前項ノ申請期間經過後新ニ前條ノ規定ニ該當スルニ至リタル田畑ニ付テハ次ノ納期開始前ニ於テ前項ノ申請ヲ爲スコトヲ得
第五章 地租徵收
第七十二條 稅務署長ハ土地ノ異動其ノ他地租徵收ニ關シ必要ト認ムル事項ヲ市町村ニ通知スベシ
第七十三條 地租ハ各納稅義務者ニ付同一市町村內ニ於ケル同一地目ノ賃貸價格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徵收ス但シ賃貸價格ノ合計金額ガ一圓ニ滿タザルトキハ地租ヲ徵收セズ
田、畑、宅地以外ノ土地ハ之ヲ同一地目ノ土地ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
第七十四條 市町村ハ地租ノ納期每ニ其ノ納期開始前十五日迄ニ賃貸價格及地租ノ總額竝ニ其ノ各納期ニ於ケル納額ヲ稅務署長ニ報吿スベシ但シ前報吿後異動ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ報吿後納期開始迄ニ報吿事項ニ異動ヲ生ジタルトキハ直ニ其ノ異動額ヲ稅務署長ニ報吿スベシ
第七十五條 市町村ハ第七十條ノ規定ニ依リ地租ヲ免除スル田畑ノ賃貸價格ノ總額ヲ前條ノ例ニ準ジ稅務署長ニ報吿スベシ
第七十六條 大藏大臣ハ稅務署長又ハ其ノ代理官ヲシテ隨時市町村ニ於ケル國稅徵收ニ關スル事務ヲ監督セシムベシ
第六章 雜則
第七十七條 他ノ法律ニ依リ一定ノ期間地租ヲ免除シタル土地ニ付テハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外第五十七條及第六十條乃至第六十四條ノ規定ヲ準用ス
第七十八條 稅務署長土地ノ異動ニ因リ地番、地目、地積又ハ賃貸價格ヲ土地臺帳ニ登錄シタルトキ又ハ登錄ヲ變更シタルトキハ土地所有者及納稅義務者ニ通知スベシ
第七十九條 納稅義務者其ノ土地所在ノ市町村內ニ現住セザルトキハ地租ニ關スル事項ヲ處理セシムル爲其ノ市町村內ニ現住スル者ニ就キ納稅管理人ヲ定メ當該市町村長ニ申吿スベシ
第八十條 土地所有者ニ變更アリタル場合ニ於テハ舊所有者ガ爲スベカリシ申吿ハ所有者ノ變更アリタル日ヨリ三十日內ニ新所有者ヨリ之ヲ爲スベシ
第八十一條 本法ニ依リ土地所有者ヨリ爲スベキ申吿又ハ申請ハ質權ノ目的タル土地又ハ百年ヨリ長キ存續期間ノ定アル地上權ノ目的タル土地ニ付テハ土地臺帳ニ登錄セラレタル質權者又ハ地上權者ヨリ之ヲ爲スコトヲ得
第八十二條 本法ニ依リ申吿ヲ爲スベキ義務ヲ有スル者其ノ申吿ヲ爲サザルトキハ五十圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第八十三條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ地租ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ直ニ其ノ地租ヲ徵收ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ例ヲ用ヒズ
第八十四條 本法ニ依リ申吿ヲ爲スベキ義務ヲ有スル者其ノ申吿ヲ爲サズ仍テ地租ニ不足額アルトキハ直ニ之ヲ徵收ス
第八十五條 前二條ノ規定ニ依リ地租ヲ徵收スル場合ニ於テハ第七十三條ノ規定ニ拘ラズ當該土地一筆每ニ其ノ地租ヲ算出ス
第八十六條 稅務署長又ハ其ノ代理官ハ土地ノ檢査ヲ爲シ又ハ土地ノ所有者、質權者、地上權者其ノ他利害關係人ニ對シ必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ土地ノ檢査ヲ拒ミ又ハ之ヲ妨ゲタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十七條 市制第六條又ハ第八十二條第三項ノ市ニ於テハ本法中市ニ關スル規定ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第八十八條 本法ハ國有地ニ之ヲ適用セズ
第八十九條 府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ第二條ノ規定ニ依リ地租ヲ課セザル土地ニ租稅其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ但シ所有者以外ノ者同條第一號又ハ第二號ノ土地ヲ使用收益スル場合ニ於テ其ノ土地ニ付使用者ニ租稅其ノ他ノ公課ヲ課スルハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第九十條 本法ハ昭和六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ昭和六年分地租ニ限リ第十條ノ規定中百分ノ三・八トアルハ百分ノ四、第十一條ノ規定中宅地租第一期其ノ年七月一日ヨリ三十一日限トアルハ其ノ年十一月一日ヨリ三十日限、其ノ他第一期其ノ年九月一日ヨリ三十日限トアルハ翌年一月一日ヨリ三十一日限、其ノ他第二期其ノ年十一月一日ヨリ三十日限トアルハ翌年三月一日ヨリ三十一日限、第七十一條第一項ノ規定中三月中トアルハ十二月中トス
第九十一條 左ノ法律ハ之ヲ廢止ス但シ昭和五年分以前ノ地租ニ關シテハ仍舊法ニ依ル
地租條例
災害地地租免除法
宅地地價修正法
明治七年第百二十號布吿地所名稱區別
明治三十四年法律第三十號
明治三十四年法律第三十一號
明治三十七年法律第十二號
明治三十七年法律第十六號
大正十五年法律第四十七號
第九十二條 土地賃貸價格調査法ニ依リ賃貸價格ノ調査ヲ爲シタル土地ニ付テハ同法ニ依リ調査シタル賃貸價格ヲ以テ本法施行ノ際ニ於ケル賃貸價格トス但シ其ノ賃貸價格ニ依リ算出シタル本法ノ地租額ガ從前ノ地價ニ依リ算出シタル舊法ノ地租額ノ三倍八割ヲ超ユル土地ニ在リテハ舊法ノ地租額ノ三倍八割ニ相當スル金額ヲ百分ノ三・八ヲ以テ除シタル金額ヲ以テ其ノ賃貸價格トス
第九十三條 大正十五年四月一日後本法施行前ニ於テ地價ヲ設定シ又ハ修正シタル土地(免租年期又ハ低價年期ノ滿了ニ因リ原地價ニ復シタルモノヲ含ム)ニ付テハ第九條第三項ノ例ニ準ジ其ノ賃貸價格ヲ定ム
大正十五年四月一日後本法施行前ニ於テ分筆又ハ合筆ヲ爲シタル土地ニ付テハ第三十三條ノ例ニ準ジ前條ノ賃貸價格ヲ配分又ハ合算シテ其ノ賃貸價格ヲ定ム
第九十四條 舊法ニ依リ低價年期ノ許可ヲ受ケタル土地ニシテ本法施行ノ際未ダ原地價ニ復セザルモノニ付テハ第九條第三項ノ例ニ準ジ其ノ賃貸價格ヲ定ム
第九十五條 前三條ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ定メタル土地ニ付テハ昭和六年分ヨリ本法ニ依リ地租ヲ徵收ス
第九十六條 本法施行前ニ於ケル土地ノ異動中本法施行ノ際未ダ舊法ニ依リ地價ノ設定又ハ修正其ノ他ノ處分ヲ爲サザルモノニシテ本法中之ニ相當スル規定アルモノニ關シテハ本法ヲ適用ス但シ第九十一條但書ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第九十七條 舊法ニ依ル屆出又ハ申請ニシテ本法中之ニ相當スル規定アルモノハ之ヲ本法ニ依ル申吿又ハ申請ト看做ス
第九十八條 舊法ニ依リ開墾ノ屆出アリタル土地ニシテ本法施行ノ際開墾著手後未ダ二十年ヲ經過セザルモノハ第三十六條第一項ノ規定ニ依リ開墾減租年期ヲ許可セラレタルモノト看做ス但シ地類變換ヲ爲シタル後五年內ニ開墾ヲ爲シタル土地ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九十九條 舊法ニ依リ免租年期、鍬下年期又ハ地價据置年期ノ許可ヲ受ケタル土地ニシテ本法施行ノ際未ダ其ノ年期ノ滿了セザルモノハ左ノ區分ニ從ヒ本法ニ依リ免租年期又ハ減租年期ヲ許可セラレタルモノト看做ス
一 地租條例第十六條第三項ノ鍬下年期ハ第三十六條第二項ノ開墾減租年期トス
二 地租條例第十六條第四項ノ鍬下年期ハ第十九條第一項ノ開拓減租年期トス
三 地租條例第十六條第五項ノ新開免租年期ハ第二十條第一項ノ埋立免租年期トス
四 地租條例第十六條第六項ノ地價据置年期ハ第四十六條第一項ノ地目變換減租年期トス
五 明治三十四年法律第三十號ノ年期延長ハ前各號ノ例ニ準ジ第十九條第二項、第二十條第二項、第三十六條第三項又ハ第四十六條第二項ノ年期延長トス
六 地租條例第二十條ノ荒地免租年期ハ第五十五條第一項ノ荒地免租年期トス
七 地租條例第二十三條又ハ第二十四條ノ免租繼年期ハ荒地ノ種類ニ從ヒ第五十五條第二項又ハ第三項ノ年期延長トス
前項ノ年期ハ舊法ニ依リ許可セラレタル年期ノ殘年期間ノ經過スル年ノ翌年ニ於テ滿了ス
第百條 地積ハ第七條ノ規定ニ拘ラズ當分ノ內左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ定ム
一 宅地及鑛泉地ノ地積ハ六尺平方ヲ坪、坪ノ十分ノ一ヲ合、合ノ十分ノ一ヲ勺トシテ之ヲ定メ勺未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツ
二 宅地及鑛泉地以外ノ土地ノ地積ハ六尺平方ヲ步、三十步ヲ畝、十畝ヲ段、十段ヲ町トシテ之ヲ定メ步未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツ但シ一筆ノ地積一步未滿ナルモノニ付テハ步ノ十分ノ一ヲ合、合ノ十分ノ一ヲ勺トシテ之ヲ定メ勺未滿ノ端數ハ之ヲ切捨ツ
第百一條 舊法ノ土地臺帳ハ之ヲ本法ノ土地臺帳ト看做ス
第百二條 小笠原島及伊豆七島ノ地租ニ付テハ當分ノ內仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル地租法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年三月三十日
内閣総理大臣 浜口雄幸
大蔵大臣 井上準之助
法律第二十八号
地租法
第一章 総則
第一条 本法施行地ニ在ル土地ニハ本法ニ依リ地租ヲ課ス
第二条 左ニ掲グル土地ニハ地租ヲ課セズ但シ有料借地ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 国、府県、市町村其ノ他勅令ヲ以テ指定スル公共団体ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル土地
二 府県、市町村其ノ他勅令ヲ以テ指定スル公共団体ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スルモノト決定シタル其ノ所有地但シ其ノ決定ヲ為シタル日ヨリ一年内ニ公用又ハ公共ノ用ニ供セザルモノヲ除ク
三 府県社地、郷村社地、招魂社地
四 墳墓地
五 公衆用道路、鉄道用地、軌道用地、運河用地
六 用悪水路、溜池、堤塘、井溝
七 保安林
第三条 土地ニハ一筆毎ニ地番ヲ附シ其ノ地目、地積及賃貸価格(無租地及免租年期地ニ付テハ賃貸価格ヲ除ク)ヲ定ム
第四条 税務署ニ土地台帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登録ス
一 土地ノ所在
二 地番
三 地目
四 地積
五 賃貸価格
六 所有者ノ住所及氏名又ハ名称
七 質権又ハ百年ヨリ長キ存続期間ノ定アル地上権ノ目的タル土地ニ付テハ其ノ質権者又ハ地上権者ノ住所及氏名又ハ名称
本法ニ定ムルモノノ外土地台帳ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 地番ハ市町村、大字、字又ハ之ニ準ズベキ地域ヲ以テ地番区域トシ其ノ区域毎ニ起番シテ之ヲ定ム
第六条 有租地ノ地目ハ土地ノ種類ニ従ヒ左ノ如ク区別シテ之ヲ定ム
第一類地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地
第二類地 池沼、山林、牧場、原野、雑種地
無租地ノ地目ハ第二条第三号乃至第七号ノ土地ニ在リテハ各其ノ区別ニ依リ、其ノ他ノ土地ニ在リテハ其ノ現況ニ依リ適当ニ区別シテ之ヲ定ム
第七条 地積ハ左ノ各号ノ規定ニ依リ之ヲ定ム
一 宅地及鉱泉地ノ地積ハ平方メートルヲ単位トシテ之ヲ定メ一平方メートルノ百分ノ一未満ノ端数ハ之ヲ切捨ツ
二 宅地及鉱泉地以外ノ土地ノ地積ハアールヲ単位トシテ之ヲ定メ一アールノ百分ノ一未満ノ端数ハ之ヲ切捨ツ但シ一筆ノ地積一アールノ百分ノ一未満ナルモノニ付テハ一アールノ一万分ノ一未満ノ端数ヲ切捨ツ
第八条 地租ノ課税標準ハ土地台帳ニ登録シタル賃貸価格トス
賃貸価格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他土地ノ維持ニ必要ナル経費ヲ負担スル条件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ収得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第九条 賃貸価格ハ十年毎ニ一般ニ之ヲ改訂ス第一回ノ改訂ハ昭和十三年ニ於テ之ヲ行フ
前項ノ改訂ニ関スル事項ハ其ノ都度別ニ之ヲ定ム
土地ノ異動ニ因リ賃貸価格ヲ設定シ又ハ修正スル必要アルトキハ類地ノ賃貸価格ニ比準シ其ノ土地ノ品位及情況ニ応ジ之ヲ定ム
第十条 地租ノ税率ハ百分ノ三・八トス
第十一条 地租ハ毎年左ノ納期ニ於テ之ヲ徴収ス
一 宅地組
第一期 其ノ年七月一日ヨリ三十一日限 年額ノ二分ノ一
第二期 翌年一月一日ヨリ三十一日限 年額ノ二分ノ一
二 田租
第一期 翌年一月一日ヨリ三十一日限 年額ノ四分ノ一
第二期 翌年二月一日ヨリ末日限 年額ノ四分ノ一
第三期 翌年三月一日ヨリ三十一日限 年額ノ四分ノ一
第四期 翌年五月一日ヨリ三十一日限 年額ノ四分ノ一
三 其ノ他
第一期 其ノ年九月一日ヨリ三十日限 年額ノ二分ノ一
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限 年額ノ二分ノ一
特別ノ事情アル地方ニシテ前項ノ納期ニ依リ難キモノニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ納期ヲ定ムルコトヲ得
第十二条 地租ハ納期開始ノ時ニ於テ土地台帳ニ所有者トシテ登録セラレタル者ヨリ之ヲ徴収ス
但シ質権ノ目的タル土地又ハ百年ヨリ長キ存続期間ノ定アル地上権ノ目的タル土地ニ付テハ土地台帳ニ質権者又ハ地上権者トシテ登録セラレタル者ヨリ之ヲ徴収ス
第十三条 土地ノ異動アリタル場合ニ於テハ地番、地目、地積及賃貸価格ハ土地所有者ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ若ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキ又ハ申告ヲ要セザルトキハ税務署長ノ調査ニ依リ税務署長之ヲ定ム
第二章 土地ノ異動
第一節 有租地及無租地ノ転換
第十四条 本法ニ於テ無租地ト称スルハ地租ヲ課セザル土地(免租年期地、災害免租地及自作農免租地ヲ含マズ)ヲ謂ヒ有租地ト称スルハ其ノ他ノ土地ヲ謂フ
第十五条 無租地ガ有租地ト為リタルトキ又ハ有租地ガ無租地ト為リタルトキハ土地所有者ハ三十日内ニ之ヲ税務署長ニ申告スベシ但シ有租地ガ無租地ト為リタル場合ニ於テ之ニ関シ予メ政府ノ許可ヲ受ケ若ハ申告ヲ為シタルモノ又ハ官公署ニ於テ公示シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十六条 新ニ土地台帳ニ登録スベキ土地ヲ生ジタルトキハ当該地番区域内ニ於ケル最終ノ地番ヲ追ヒ順次其ノ地番ヲ定ム但シ特別ノ事情アルトキハ適宜ノ地番ヲ定ムルコトヲ得
第十七条 新ニ土地台帳ニ登録スベキ土地ヲ生ジタルトキハ直ニ其ノ地目ヲ設定ス
土地台帳ニ登録セラレタル無租地ガ有租地ト為リ又ハ有租地ガ無租地ト為リタルトキハ直ニ其ノ地目ヲ修正ス
第十八条 新ニ土地台帳ニ登録スベキ土地ヲ生ジタルトキハ直ニ之ヲ測量シテ其ノ地積ヲ定ム
土地台帳ニ登録セラレタル無租地ガ有租地ト為リタルトキハ直ニ其ノ地積ヲ改測ス但シ其ノ地積ニ異動ナシト認ムルトキハ之ヲ省略スルコトヲ得
第十九条 国有財産法第二十一条ノ規定ニ依リ売払又ハ譲与ノ予約ヲ為シタル土地ニシテ開拓ノ事業成功ニ因リ売払又ハ譲与ヲ受ケ有租地ト為リタルモノニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ有租地ト為リタル年及其ノ翌年ヨリ二十年ノ開拓減租年期ヲ許可シ年期中ハ其ノ原地(開拓前ノ土地)相当ノ賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス
前項ノ年期満了スルモ尚地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年内ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
第二十条 国有財産法第二十一条ノ規定ニ依リ売払又ハ譲与ノ予約ヲ為シタル土地ニシテ埋立(干拓ヲ含ム)ノ事業成功ニ因リ売払又ハ譲与ヲ受ケ有租地ト為リタルモノ又ハ公有水面埋立法第二十四条若ハ第五十条ノ規定ニ依リ埋立地ノ所有権ヲ取得シ有租地ト為リタル土地ニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ有租地ト為リタル年及其ノ翌年ヨリ六十年ノ埋立免租年期ヲ許可ス
前項ノ年期満了スルモ尚地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年内ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
第二十一条 前二条ノ規定ニ依リ開拓減租年期又ハ埋立免租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ有租地ト為リタル日ヨリ六十日内ニ、開拓減租年期又ハ埋立免租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ税務署長ニ申請スベシ
第二十二条 開拓減租年期中ニ於テ地類変換ヲ為シタルトキハ開拓減租年期ハ消滅ス
開拓減租年期中ニ於テ地目変換ヲ為シタルトキハ其ノ地目ヲ修正スルモ其ノ賃貸価格ハ之ヲ修正セズ
埋立免租年期中ニ於テ地目変換、地類変換又ハ開墾ニ該当スル土地ノ異動アルモ地目変換、地類変換又ハ開墾ナキモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ免租年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ地目ヲ修正ス
第二十三条 開拓減租年期地又ハ埋立免租年期地ニ付テハ土地所有者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ年期満了申告書ヲ税務署長ニ提出スベシ
第二十四条 無租地ガ有租地ト為リタルトキハ直ニ其ノ賃貸価格ヲ設定ス
開拓減租年期地ニ付テハ有租地ト為リタルトキ直ニ原地相当ノ賃貸価格ヲ設定シ開拓減租年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ修正ス
埋立免租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ設定ス
第二十五条 開拓減租年期又ハ埋立免租年期ノ満了ニ因リ賃貸価格ヲ設定シ又ハ修正スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ地積ヲ改測ス
第二十六条 無租地ガ有租地ト為リタルトキハ賃貸価格ヲ設定(第二十四条第三項ノ設定ヲ含ム)シタル年ノ翌年分ヨリ地租ヲ徴収ス
開拓減租年期ノ満了ニ因リ賃貸価格ヲ修正シタル土地ニ付テハ其ノ修正ヲ為シタル年ノ翌年分ヨリ修正賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス
第二十七条 有租地ガ無租地ト為リタルトキハ其ノ申告ヲ要スルモノニ付テハ申告アリタル後ニ開始スル納期ヨリ、其ノ申告ヲ要セザルモノニ付テハ税務署長ガ其ノ事実ヲ認メタル後ニ開始スル納期ヨリ地租ヲ徴収セズ
第二節 分筆及合筆
第二十八条 本法ニ於テ分筆ト称スルハ一筆ノ土地ヲ数筆ノ土地ト為スヲ謂ヒ合筆ト称スルハ数筆ノ土地ヲ一筆ノ土地ト為スヲ謂フ
第二十九条 分筆又ハ合筆ヲ為サントスルトキハ土地所有者ハ之ヲ税務署長ニ申告スベシ
第三十条 一筆ノ土地ノ一部ガ左ノ各号ノ一ニ該当スルニ至リタルトキハ前条ノ申告ナキ場合ニ於テモ税務署長ハ其ノ土地ヲ分筆ス
一 別地目ト為ルトキ
二 無租地ガ有租地ト為リ又ハ有租地ガ無租地ト為ルトキ
三 所有者ヲ異ニスルトキ
四 質権又ハ百年ヨリ長キ存続期間ノ定アル地上権ノ目的ト為ルトキ
五 地番区域ヲ異ニスルトキ
第三十一条 分筆シタル土地ニ付テハ分筆前ノ地番ニ符号ヲ附シテ各筆ノ地番ヲ定ム
合筆シタル土地ニ付テハ合筆前ノ地番中ノ首位ノモノヲ以テ其ノ地番トス
特別ノ事情アルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ適宜ノ地番ヲ定ムルコトヲ得
第三十二条 分筆ヲ為シタルトキハ測量シテ各筆ノ地積ヲ定ム
合筆ヲ為シタルトキハ合筆前ノ各筆ノ地積ヲ合算シタルモノヲ以テ其ノ地積トス
第三十三条 分筆ヲ為シタルトキハ各筆ノ品位及情況ニ応ジ分筆前ノ賃貸価格ヲ配分シテ其ノ賃貸価格ヲ定ム
合筆ヲ為シタルトキハ合筆前ノ各筆ノ賃貸価格ヲ合算シタルモノヲ以テ其ノ賃貸価格トス
第三節 開墾
第三十四条 本法ニ於テ開墾ト称スルハ第二類地ヲ第一類地ト為スヲ謂フ
第三十五条 開墾成功シタルトキハ土地所有者ハ三十日内ニ之ヲ税務署長ニ申告スベシ
第三十六条 開墾ニ著手シタル土地ニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ開墾著手ノ年及其ノ翌年ヨリ二十年ノ開墾減租年期ヲ許可シ年期中ハ原地(開墾前ノ土地)相当ノ賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス但シ地類変換ヲ為シタル後五年内ニ開墾ニ著手シタル土地ニ付テハ之ヲ許可セズ
二十年内ニ成功シ能ハザル開墾地ニ付テハ前項ノ年期ハ開墾著手ノ年及其ノ翌年ヨリ四十年トス
前項ノ年期満了スルモ尚地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年内ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
宅地又ハ鉱泉地ト為ス開墾地ニ付テハ其ノ情況ニ依リ税務署長ハ開墾減租年期ヲ短縮スルコトヲ得
第三十七条 前条ノ規定ニ依リ開墾減租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ開墾著手ノ日ヨリ三十日内ニ、開墾減租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ税務署長ニ申請スベシ
第三十八条 開墾減租年期中ニ於テ開墾成功シタルトキ又ハ其ノ成功地ニ付地目変換ヲ為シタルトキハ其ノ地目ヲ修正スルモ其ノ賃貸価格ハ之ヲ修正セズ
開墾減租年期中ニ於テ其ノ原地ニ付地目変換ヲ為シタルトキ又ハ其ノ成功地ニ付地類変換ヲ為シタルトキハ開墾減租年期ハ消滅ス
第三十九条 開墾減租年期地ニ付テハ土地所有者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ年期満了申告書ヲ税務署長ニ提出スベシ
第四十条 開墾成功シタルトキハ(開墾減租年期中ナルト否トヲ問ハズ)直ニ其ノ地目ヲ修正ス
第四十一条 開墾成功シタルトキハ開墾減租年期地ヲ除クノ外直ニ其ノ賃貸価格ヲ修正ス
開墾減租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ修正ス但シ年期満了スルモ尚開墾成功セザル土地ニ付テハ開墾成功シタルトキ直ニ其ノ賃貸価格ヲ修正ス
第四十二条 開墾ニ因リ賃貸価格ヲ修正スル場合ニ於テハ其ノ地積ヲ改測ス但シ其ノ地積ニ異動ナシト認ムルトキハ之ヲ省略スルコトヲ得
第四十三条 開墾ニ因リ地目又ハ賃貸価格ヲ修正シタル土地ニ付テハ其ノ修正ヲ為シタル年ノ翌年分ヨリ修正地目又ハ修正賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス
第四節 地目変換及地類変換
第四十四条 本法ニ於テ地目変換ト称スルハ第一類地中又ハ第二類地中ノ各地目ヲ変更スルヲ謂ヒ地類変換ト称スルハ第一類地ヲ第二類地ト為スヲ謂フ
第四十五条 地目変換又ハ地類変換ヲ為シタルトキハ土地所有者ハ三十日内ニ之ヲ税務署長ニ申告スベシ
第四十六条 二十年内ニ成功シ能ハザル地目変換地ニ付テハ土地所有者ノ申請ニ依リ地目変換著手ノ年及其ノ翌年ヨリ四十年ノ地目変換減租年期ヲ許可シ年期中ハ原地(変換前ノ土地)相当ノ賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス
前項ノ年期満了スルモ尚地味成熟セザル土地ニ付テハ更ニ十年内ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
宅地又ハ鉱泉地ニ変換スル土地ニ付テハ其ノ情況ニ依リ税務署長ハ地目変換減租年期ヲ短縮スルコトヲ得
第四十七条 前条ノ規定ニ依リ地目変換減租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ地目変換著手ノ日ヨリ三十日内ニ、地目変換減租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ税務署長ニ申請スベシ
第四十八条 地目変換減租年期中ニ於テ其ノ原地又ハ変換地ニ付地目変換ヲ為シタルトキハ其ノ地目ヲ修正スルモ其ノ賃貸価格ハ之ヲ修正セズ
地目変換減租年期中ニ於テ地類変換ヲ為シタルトキハ地目変換減租年期ハ消滅ス
第四十九条 地目変換減租年期地ニ付テハ土地所有者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ年期満了申告書ヲ税務署長ニ提出スベシ
第五十条 地目変換又ハ地類変換ヲ為シタルトキハ(地目変換減租年期中ナルト否トヲ問ハズ)直ニ其ノ地目ヲ修正ス
第五十一条 地目変換又ハ地類変換ヲ為シタルトキハ地目変換減租年期地ヲ除クノ外直ニ其ノ賃貸価格ヲ修正ス
地目変換減租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ修正ス但シ年期満了スルモ尚地目変換セザル土地ニ付テハ地目変換シタルトキ直ニ其ノ賃貸価格ヲ修正ス
第五十二条 地目変換又ハ地類変換ニ因リ賃貸価格ヲ修正スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ地積ヲ改測ス
第五十三条 地目変換又ハ地類変換ニ因リ地目又ハ賃貸価格ヲ修正シタル土地ニ付テハ其ノ修正ヲ為シタル年ノ翌年分ヨリ修正地目又ハ修正賃貸価格ニ依リ地租ヲ徴収ス
第五節 荒地免租
第五十四条 本法ニ於テ荒地ト称スルハ災害ニ因リ地形ヲ変ジ又ハ作土ヲ損傷シタル土地ヲ謂フ
第五十五条 荒地ニ付テハ納税義務者ノ申請ニ依リ荒地ト為リタル年及其ノ翌年ヨリ十五年内ノ荒地免租年期ヲ許可ス
前項ノ年期満了スルモ尚荒地ノ形状ヲ存スルモノニ付テハ更ニ十五年内ノ年期延長ヲ許可スルコトヲ得
海、湖又ハ河川ノ状況ト為リタル荒地ニ付テハ前項ノ延長年期ハ二十年内トス其ノ年期満了スルモ尚海、湖又ハ河川ノ状況ニ在ルモノハ本法ノ適用ニ付テハ海、湖又ハ河川ト為リタルモノト看做ス
第五十六条 前条ノ規定ニ依リ荒地免租年期ノ許可ヲ受ケントスル者ハ税務署長ニ申請スベシ
荒地免租年期延長ノ許可ヲ受ケントスル者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ税務署長ニ申請スベシ
第五十七条 荒地免租年期地ニ付テハ免租年期許可ノ申請アリタル後ニ開始スル納期ヨリ地租ヲ徴収セズ
第五十八条 荒地免租年期中ノ土地ガ再ビ荒地ト為リ免租年期ノ許可ヲ受ケタルトキハ前ノ年期ハ消滅ス
第五十九条 開拓減租年期、埋立免租年期、開墾減租年期又ハ地目変換減租年期中ノ土地ニ付荒地免租年期ヲ許可シタルトキハ其ノ許可ヲ為シタル年ヨリ荒地免租年期満了ニ至ル迄ハ開拓減租年期、埋立免租年期、開墾減租年期又ハ地目変換減租年期ハ其ノ進行ヲ止ム
前項ノ規定ハ他ノ法律ニ依リ一定ノ期間地租ノ全部又ハ一部ヲ免除シタル土地ニ付荒地免租年期ヲ許可シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六十条 荒地免租年期中ニ於テ地目変換、地類変換又ハ開墾ニ該当スル土地ノ異動アルモ地目変換、地類変換又ハ開墾ナキモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ免租年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ地目ヲ修正ス
第六十一条 荒地免租年期地ニ付テハ納税義務者ハ年期ノ満了スル年ノ六月三十日迄ニ年期満了申告書ヲ税務署長ニ提出スベシ
第六十二条 荒地免租年期地ニ付テハ其ノ年期ノ満了スル年ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ設定ス
第六十三条 荒地免租年期ノ満了ニ因リ賃貸価格ヲ設定スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ地積ヲ改測ス
第六十四条 荒地免租年期ノ満了ニ因リ賃貸価格ヲ設定シタル土地ニ付テハ其ノ設定ヲ為シタル年ノ翌年分ヨリ地租ヲ徴収ス
第三章 災害地免租
第六十五条 北海道又ハ府県ノ全部又ハ一部ニ亘ル災害又ハ天候不順ニ因リ収穫皆無ニ帰シタル田畑ニ付テハ納税義務者ノ申請ニ依リ其ノ年分地租ハ之ヲ免除ス
第六十六条 地目変換若ハ開墾成功ノ申告アリタル土地又ハ耕地整理工事完了シ賃貸価格配賦ノ申出アリタル土地ニシテ未ダ土地台帳ヲ更正セザルモノニ付テハ其ノ成功地目ガ田畑ナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前条ノ規定ヲ準用ス
第六十七条 前二条ノ規定ニ依リ地租ノ免除ヲ受ケントスル者ハ被害現状ノ存スル間ニ於テ其ノ事実ヲ明ニシテ税務署長ニ申請スベシ
第六十八条 前条ノ申請アリタルトキハ被害ノ調査中其ノ年分地租ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第六十九条 第六十五条又ハ第六十六条ノ規定ニ依リ免除シタル地租ハ法律上総テノ納税資格中ヨリ之ヲ控除セズ
第四章 自作農地免租
第七十条 田畑地租ノ納期開始ノ時ニ於テ納税義務者(法人ヲ除ク)ノ住所地市町村及隣接市町村内ニ於ケル田畑賃貸価格ノ合計金額ガ其ノ同居家族ノ分ト合算シ二百円未満ナルトキハ納税義務者ノ申請ニ依リ其ノ田畑ノ当該納期分地租ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ免除ス但シ小作ニ付シタル田畑ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
民法施行前ヨリ引続キ存スル永小作権ニ付其ノ設定ノ当時旧来ノ慣行ニ依リテ小作料支払ノ外当該田畑ノ地租ノ全額ヲ永小作権者ニ於テ負担スルコトヲ約シタル田畑ニ関シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ永小作権者ヲ所有者ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
第七十一条 前条ノ規定ニ依リ地租ノ免除ヲ受ケントスル者ハ毎年三月中ニ住所地市町村ヲ経由シ税務署長ニ申請スベシ
前項ノ申請期間経過後新ニ前条ノ規定ニ該当スルニ至リタル田畑ニ付テハ次ノ納期開始前ニ於テ前項ノ申請ヲ為スコトヲ得
第五章 地租徴収
第七十二条 税務署長ハ土地ノ異動其ノ他地租徴収ニ関シ必要ト認ムル事項ヲ市町村ニ通知スベシ
第七十三条 地租ハ各納税義務者ニ付同一市町村内ニ於ケル同一地目ノ賃貸価格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徴収ス但シ賃貸価格ノ合計金額ガ一円ニ満タザルトキハ地租ヲ徴収セズ
田、畑、宅地以外ノ土地ハ之ヲ同一地目ノ土地ト看做シテ前項ノ規定ヲ適用ス
第七十四条 市町村ハ地租ノ納期毎ニ其ノ納期開始前十五日迄ニ賃貸価格及地租ノ総額並ニ其ノ各納期ニ於ケル納額ヲ税務署長ニ報告スベシ但シ前報告後異動ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ報告後納期開始迄ニ報告事項ニ異動ヲ生ジタルトキハ直ニ其ノ異動額ヲ税務署長ニ報告スベシ
第七十五条 市町村ハ第七十条ノ規定ニ依リ地租ヲ免除スル田畑ノ賃貸価格ノ総額ヲ前条ノ例ニ準ジ税務署長ニ報告スベシ
第七十六条 大蔵大臣ハ税務署長又ハ其ノ代理官ヲシテ随時市町村ニ於ケル国税徴収ニ関スル事務ヲ監督セシムベシ
第六章 雑則
第七十七条 他ノ法律ニ依リ一定ノ期間地租ヲ免除シタル土地ニ付テハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外第五十七条及第六十条乃至第六十四条ノ規定ヲ準用ス
第七十八条 税務署長土地ノ異動ニ因リ地番、地目、地積又ハ賃貸価格ヲ土地台帳ニ登録シタルトキ又ハ登録ヲ変更シタルトキハ土地所有者及納税義務者ニ通知スベシ
第七十九条 納税義務者其ノ土地所在ノ市町村内ニ現住セザルトキハ地租ニ関スル事項ヲ処理セシムル為其ノ市町村内ニ現住スル者ニ就キ納税管理人ヲ定メ当該市町村長ニ申告スベシ
第八十条 土地所有者ニ変更アリタル場合ニ於テハ旧所有者ガ為スベカリシ申告ハ所有者ノ変更アリタル日ヨリ三十日内ニ新所有者ヨリ之ヲ為スベシ
第八十一条 本法ニ依リ土地所有者ヨリ為スベキ申告又ハ申請ハ質権ノ目的タル土地又ハ百年ヨリ長キ存続期間ノ定アル地上権ノ目的タル土地ニ付テハ土地台帳ニ登録セラレタル質権者又ハ地上権者ヨリ之ヲ為スコトヲ得
第八十二条 本法ニ依リ申告ヲ為スベキ義務ヲ有スル者其ノ申告ヲ為サザルトキハ五十円以下ノ過料ニ処ス
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第八十三条 詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ地租ヲ逋脱シタル者ハ其ノ逋脱シタル税金ノ五倍ニ相当スル罰金又ハ科料ニ処シ直ニ其ノ地租ヲ徴収ス但シ自首シタル者又ハ税務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ例ヲ用ヒズ
第八十四条 本法ニ依リ申告ヲ為スベキ義務ヲ有スル者其ノ申告ヲ為サズ仍テ地租ニ不足額アルトキハ直ニ之ヲ徴収ス
第八十五条 前二条ノ規定ニ依リ地租ヲ徴収スル場合ニ於テハ第七十三条ノ規定ニ拘ラズ当該土地一筆毎ニ其ノ地租ヲ算出ス
第八十六条 税務署長又ハ其ノ代理官ハ土地ノ検査ヲ為シ又ハ土地ノ所有者、質権者、地上権者其ノ他利害関係人ニ対シ必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ土地ノ検査ヲ拒ミ又ハ之ヲ妨ゲタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第八十七条 市制第六条又ハ第八十二条第三項ノ市ニ於テハ本法中市ニ関スル規定ハ区ニ、市長ニ関スル規定ハ区長ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ関スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第八十八条 本法ハ国有地ニ之ヲ適用セズ
第八十九条 府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ第二条ノ規定ニ依リ地租ヲ課セザル土地ニ租税其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ但シ所有者以外ノ者同条第一号又ハ第二号ノ土地ヲ使用収益スル場合ニ於テ其ノ土地ニ付使用者ニ租税其ノ他ノ公課ヲ課スルハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第九十条 本法ハ昭和六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ昭和六年分地租ニ限リ第十条ノ規定中百分ノ三・八トアルハ百分ノ四、第十一条ノ規定中宅地租第一期其ノ年七月一日ヨリ三十一日限トアルハ其ノ年十一月一日ヨリ三十日限、其ノ他第一期其ノ年九月一日ヨリ三十日限トアルハ翌年一月一日ヨリ三十一日限、其ノ他第二期其ノ年十一月一日ヨリ三十日限トアルハ翌年三月一日ヨリ三十一日限、第七十一条第一項ノ規定中三月中トアルハ十二月中トス
第九十一条 左ノ法律ハ之ヲ廃止ス但シ昭和五年分以前ノ地租ニ関シテハ仍旧法ニ依ル
地租条例
災害地地租免除法
宅地地価修正法
明治七年第百二十号布告地所名称区別
明治三十四年法律第三十号
明治三十四年法律第三十一号
明治三十七年法律第十二号
明治三十七年法律第十六号
大正十五年法律第四十七号
第九十二条 土地賃貸価格調査法ニ依リ賃貸価格ノ調査ヲ為シタル土地ニ付テハ同法ニ依リ調査シタル賃貸価格ヲ以テ本法施行ノ際ニ於ケル賃貸価格トス但シ其ノ賃貸価格ニ依リ算出シタル本法ノ地租額ガ従前ノ地価ニ依リ算出シタル旧法ノ地租額ノ三倍八割ヲ超ユル土地ニ在リテハ旧法ノ地租額ノ三倍八割ニ相当スル金額ヲ百分ノ三・八ヲ以テ除シタル金額ヲ以テ其ノ賃貸価格トス
第九十三条 大正十五年四月一日後本法施行前ニ於テ地価ヲ設定シ又ハ修正シタル土地(免租年期又ハ低価年期ノ満了ニ因リ原地価ニ復シタルモノヲ含ム)ニ付テハ第九条第三項ノ例ニ準ジ其ノ賃貸価格ヲ定ム
大正十五年四月一日後本法施行前ニ於テ分筆又ハ合筆ヲ為シタル土地ニ付テハ第三十三条ノ例ニ準ジ前条ノ賃貸価格ヲ配分又ハ合算シテ其ノ賃貸価格ヲ定ム
第九十四条 旧法ニ依リ低価年期ノ許可ヲ受ケタル土地ニシテ本法施行ノ際未ダ原地価ニ復セザルモノニ付テハ第九条第三項ノ例ニ準ジ其ノ賃貸価格ヲ定ム
第九十五条 前三条ノ規定ニ依リ賃貸価格ヲ定メタル土地ニ付テハ昭和六年分ヨリ本法ニ依リ地租ヲ徴収ス
第九十六条 本法施行前ニ於ケル土地ノ異動中本法施行ノ際未ダ旧法ニ依リ地価ノ設定又ハ修正其ノ他ノ処分ヲ為サザルモノニシテ本法中之ニ相当スル規定アルモノニ関シテハ本法ヲ適用ス但シ第九十一条但書ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第九十七条 旧法ニ依ル届出又ハ申請ニシテ本法中之ニ相当スル規定アルモノハ之ヲ本法ニ依ル申告又ハ申請ト看做ス
第九十八条 旧法ニ依リ開墾ノ届出アリタル土地ニシテ本法施行ノ際開墾著手後未ダ二十年ヲ経過セザルモノハ第三十六条第一項ノ規定ニ依リ開墾減租年期ヲ許可セラレタルモノト看做ス但シ地類変換ヲ為シタル後五年内ニ開墾ヲ為シタル土地ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九十九条 旧法ニ依リ免租年期、鍬下年期又ハ地価据置年期ノ許可ヲ受ケタル土地ニシテ本法施行ノ際未ダ其ノ年期ノ満了セザルモノハ左ノ区分ニ従ヒ本法ニ依リ免租年期又ハ減租年期ヲ許可セラレタルモノト看做ス
一 地租条例第十六条第三項ノ鍬下年期ハ第三十六条第二項ノ開墾減租年期トス
二 地租条例第十六条第四項ノ鍬下年期ハ第十九条第一項ノ開拓減租年期トス
三 地租条例第十六条第五項ノ新開免租年期ハ第二十条第一項ノ埋立免租年期トス
四 地租条例第十六条第六項ノ地価据置年期ハ第四十六条第一項ノ地目変換減租年期トス
五 明治三十四年法律第三十号ノ年期延長ハ前各号ノ例ニ準ジ第十九条第二項、第二十条第二項、第三十六条第三項又ハ第四十六条第二項ノ年期延長トス
六 地租条例第二十条ノ荒地免租年期ハ第五十五条第一項ノ荒地免租年期トス
七 地租条例第二十三条又ハ第二十四条ノ免租継年期ハ荒地ノ種類ニ従ヒ第五十五条第二項又ハ第三項ノ年期延長トス
前項ノ年期ハ旧法ニ依リ許可セラレタル年期ノ残年期間ノ経過スル年ノ翌年ニ於テ満了ス
第百条 地積ハ第七条ノ規定ニ拘ラズ当分ノ内左ノ各号ノ規定ニ依リ之ヲ定ム
一 宅地及鉱泉地ノ地積ハ六尺平方ヲ坪、坪ノ十分ノ一ヲ合、合ノ十分ノ一ヲ勺トシテ之ヲ定メ勺未満ノ端数ハ之ヲ切捨ツ
二 宅地及鉱泉地以外ノ土地ノ地積ハ六尺平方ヲ歩、三十歩ヲ畝、十畝ヲ段、十段ヲ町トシテ之ヲ定メ歩未満ノ端数ハ之ヲ切捨ツ但シ一筆ノ地積一歩未満ナルモノニ付テハ歩ノ十分ノ一ヲ合、合ノ十分ノ一ヲ勺トシテ之ヲ定メ勺未満ノ端数ハ之ヲ切捨ツ
第百一条 旧法ノ土地台帳ハ之ヲ本法ノ土地台帳ト看做ス
第百二条 小笠原島及伊豆七島ノ地租ニ付テハ当分ノ内仍従前ノ例ニ依ル