第一條 本法ニ於テ宅地ト稱スルハ郡村宅地及市街宅地ヲ謂フ
第二條 本法施行ノ際ニ於ケル宅地ノ地價ハ本法ニ依リ之ヲ修正ス
第三條 宅地ノ修正地價ハ本法ニ依リ定メタル賃貸價格ノ十倍トス但シ賃貸價格ノ十倍カ市街宅地ニ在リテハ現在地價ノ十八倍郡村宅地ニ在リテハ現在地價ノ七倍二割ヲ超ユルトキハ市街宅地ニ在リテハ現在地價ノ十八倍郡村宅地ニ在リテハ現在地價ノ七倍二割ヲ以テ其ノ地價トス
前項ニ依ル修正地價總額カ現在地租總額ヲ百分ノ二箇半ヲ以テ除シタルモノヲ超ユルトキハ現在地租ヲ百分ノ二箇半ヲ以テ除シタルモノヲ以テ修正地價總額トシ前項ニ依ル修正地價ニ按分シテ每筆ノ地價ヲ定ム
本法ニ於テ賃貸價格ト稱スルハ貸主カ公課、修繕費其ノ他土地ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得スヘキ金額ヲ謂フ
第四條 宅地ノ賃貸價格ハ宅地賃貸價格調査委員會ノ調査ニ依リ政府之ヲ決定ス
政府ハ調査委員會ノ決議ヲ不當ト認ムルトキハ之ヲ再調査ニ付ス
左ノ場合ニ於テハ政府ニ於テ宅地ノ賃貸價格ヲ決定ス
二 調査委員會ノ調査ニ付シタル日ヨリ六十日以內ニ調査結了セサルトキ
三 調査委員會ノ再議ニ付スルモ其ノ決定仍不當ト認ムルトキ
四 調査委員會ノ再議ニ付シタル日ヨリ二十日以內ニ調査結了セサルトキ
第五條 稅務署長ハ所轄內各市町村ニ於ケル宅地ノ賃貸價格ヲ調査シ宅地賃貸價格調査委員會ニ提出スヘシ
第六條 各稅務署所轄內ニ宅地賃貸價格調査委員會ヲ置ク但シ稅務署所轄內ニ市制ヲ施行スル地方ヲ包含スルトキハ市制ヲ施行スル地方ト其ノ他ノ地方トニ區別シテ之ヲ置ク
調査委員ノ定數ハ十人トス但シ地方ノ狀況ニ依リ命令ヲ以テ之ヲ增減スルコトヲ得
第七條 調査委員ハ調査委員選擧人之ヲ選擧ス調査委員ニ選ハレタル者ハ正當ノ事故ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ス
第八條 調査委員選擧人ノ定數ハ其ノ選擧區域內ニ於テ宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者五十人ニ付一人トス但シ義務者千人以上ナルトキハ二十人ニ止メ義務者五十人未滿ナルトキハ一人トス
第九條 調査委員ノ選擧區域ハ調査委員會ヲ置クヘキ區域ニ依リ調査委員選擧人ノ選擧區域ハ市町村ノ區域ニ依ル
第十條 選擧執行ノ日ニ於テ現ニ地租名寄帳ニ宅地地租納稅者トシテ登錄セラレタル者ハ當該選擧區域內ニ於テ調査委員選擧人ヲ選擧シ又ハ調査委員若ハ調査委員選擧人ニ選擧セラルルコトヲ得但シ左ニ記載スル者ハ此ノ限ニ在ラス
二 身代限ノ處分ヲ受ケ債務ノ辨償ヲ終ヘサル者及家資分散若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄ノ者
四 六年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者又ハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレ復權ヲ得サル者
五 六年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者又ハ舊刑法ノ禁錮ニ處セラレタル者ニシテ其ノ刑ノ執行ヲ終ル迄ノ者又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
第十一條 調査委員選擧人及調査委員ノ選擧竝調査委員會ノ會議ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 政府ハ其ノ決定シタル賃貸價格ニ依リ修正地價ヲ定メ之ヲ市町村長ニ通知スヘシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ市役所又ハ町村役場ニ於テ二十日間其ノ市町村內ニ於テ宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者又ハ其ノ納稅管理人ノ縱覽ニ供スヘシ
第十三條 宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者又ハ其ノ納稅管理人修正地價ニ不服アルトキハ縱覽期間滿了ノ日ヨリ三十日以內ニ政府ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第十四條 前條ノ申立アリタルトキハ政府ハ修正地價ヲ決定シ之ヲ異議申立者ニ通知スヘシ
第十五條 前條ノ決定ニ對シ不服アルトキハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第十六條 本法中市トアルハ東京市、京都市、大阪市、北海道及沖繩縣ニ在リテハ區トス
戶長ノ職務ヲ行フ區域ハ本法ニ於テハ之ヲ町村ト看做ス