高知県の永小作権は、新田・本田において特殊な歴史的背景を持つ。新田では野中兼山の開墾事業で、素地提供者と開墾者の間で加治子米の永久支払いを約束して設定され、本田では士工商と農民間の売買制限を回避する手段として発展した。明治期に一時整理が試みられたが、民心の混乱により従来通り存続が認められた。この永小作権は他府県と異なり、質権設定や売買、地目変換などを地主の許可なく行える強い権利である。今回の税制整理で、地価200円以下の土地所有者への免税と同様の恩典を、実質的な土地所有者と同等の権利を持つ永小作権者にも適用することを目的としている。
参照した発言:
第51回帝国議会 衆議院 本会議 第23号