(指定水域及び指定地域)
第四条 内閣総理大臣は、都道府県知事の申出に基づき、水道水源水域のうち、その水質の汚濁の状況、その水を水道原水として利用する水道水の水質の状況、水道事業者が講ずる特定水道利水障害を防止するための措置その他の事情からみてその水を水道原水として利用する水道水において特定水道利水障害が生ずるおそれがあると認められるものであって、水道事業者がその水質の汚濁の状況に応じた措置を講ずることにより特定水道利水障害を防止することが困難であり、かつ、特定水道利水障害を防止するため水質の保全に関する施策を総合的かつ計画的に講ずる必要があると認められるものを指定水域として指定し、及び指定水域の水質の汚濁に関係があると認められる地域を指定地域として指定することができる。
2 水道事業者は、水道水源水域の水質の汚濁によりその供給する水道水において特定水道利水障害が生ずるおそれがあると認められる場合において、その水質の汚濁の状況に応じた措置を講ずることにより特定水道利水障害を防止することが困難であるときは、総理府令で定めるところにより、その水道水源水域に係る水道原水の取水地点をその区域に含む都道府県の知事に対し、前項の申出をするよう要請することができる。
3 水道事業者が特定水道利水障害に関し水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成六年法律第八号)第四条第一項の規定による要請をしたときは、その水道事業者は、前項の規定による要請をしたものとみなす。この場合において、同条第一項の規定による要請を受けた都府県が前項の都府県と異なるときは、その要請を受けた都府県の知事は、その旨を同項の都府県の知事に対し通知しなければならない。
4 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、その指定に係る水域又は地域を管轄する都道府県知事(同項の申出をした都道府県知事を除く。)の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の申出をし、又は前項の意見を述べようとするときは、関係市町村長の意見を聴くとともに、その申出又は意見に係る水道水源水域の水を水道原水として利用する水道事業者(第二項の規定による要請をした水道事業者を除く。)がその水道水源水域の水質の汚濁の状況に応じた措置を講ずることにより特定水道利水障害を防止することが困難であるかどうかについて、総理府令で定めるところにより、その水道事業者の意見を聴かなければならない。
6 内閣総理大臣が第一項の規定による指定をするには、閣議の決定を経なければならない。
7 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をするときは、その旨を官報で公示しなければならない。
8 第一項の規定による指定の変更又は解除は、都道府県知事の申出に基づき行うものとする。この場合において、都道府県知事は、事情の変化により同項の規定による指定の変更又は解除の必要が生じたと認めるときは、その旨の申出をしなければならない。
9 第二項から第七項までの規定は第一項の規定による指定の変更について、第四項から第七項までの規定は第一項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第二項中「前項の申出」とあり、第四項中「同項の申出」とあるのは「第八項の申出」と、第五項中「水道事業者(第二項の規定による要請をした水道事業者を除く。)」とあるのは第一項の規定による指定の解除については「水道事業者」と読み替えるものとする。
(水質保全計画)
第五条 都道府県知事は、指定水域の水質の保全のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本方針に基づき、指定地域において特定水道利水障害を防止するため指定水域の水質の保全に関し実施すべき施策に関する計画(以下「水質保全計画」という。)を定めなければならない。
2 水質保全計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
二 水道事業者が指定水域の水質の汚濁の状況に応じて講じ、及び講じようとする措置
四 下水道、し尿処理施設及び浄化槽の整備、しゅんせつその他の指定水域の水質の保全に資する事業に関する事項
五 指定水域の水質の汚濁の防止のための規制その他の措置に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、指定水域の水質の保全のために必要な措置に関する事項
3 前項第二号に規定する措置は、前条第二項の規定による要請をし、又は同条第五項の意見を述べた水道事業者が講ずべき措置であって、その要請をし、又は意見を述べた際その要請又は意見に係る水道水源水域の水質の汚濁の状況に応じて講じ、及び講じようとしているものとする。
4 都道府県知事は、水質保全計画を定めるに当たっては、水道事業者の第二項第二号に規定する措置を踏まえて指定水域の特性及び汚濁原因に応じた均衡ある対策が適切に講じられるよう配慮しなければならない。
5 指定地域において水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律第五条第一項の規定により都道府県計画が定められ、又は同法第七条第一項の規定により河川管理者事業計画が定められるときは、水質保全計画は、その都道府県計画又は河川管理者事業計画と一体のものとして作成することができる。
6 指定地域が二以上の都府県の区域にわたる場合にあっては、関係都府県知事は、その協議によって水質保全計画を定めるものとする。
7 都道府県知事は、水質保全計画を定めようとするときは、都道府県環境審議会、その水質保全計画に定められる第二項第四号に規定する事業を実施する者(国を除く。)及び関係市町村長から意見を聴き、指定水域の水を水道原水として利用する水道事業者から第二項第二号に掲げる事項について聴取し、かつ、指定地域内の水道水源水域を管理する河川管理者(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第七条(同法第百条において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者をいう。)に協議しなければならない。
8 都道府県知事は、水質保全計画を定めようとするときは、内閣総理大臣に協議しなければならない。この場合において、内閣総理大臣は、協議を受けた水質保全計画の案を公害対策会議に報告するとともに、その水質保全計画の案について公害対策会議の議を経て決定した方針に基づきその協議に応じなければならない。
9 都道府県知事は、前項の規定による協議と併せて、指定水域の水質の保全に関する普及啓発並びに指定水域及び水道水の水質の測定に関する事項であってその協議に係る水質保全計画の達成に必要なものについて、総理府令で定めるところにより、内閣総理大臣に報告しなければならない。
10 都道府県知事は、水質保全計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
11 水質汚濁防止法第二十一条第二項の規定は、第七項の規定により都道府県環境審議会の意見を聴く場合について準用する。この場合において、同条第二項中「前項の事務を行う」とあるのは、「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法第五条第七項の規定により意見を述べる」と読み替えるものとする。
12 第四項から前項までの規定は、水質保全計画の変更について準用する。この場合において、第九項中「前項」とあるのは「第十二項において準用する前項」と、前項中「規定は、第七項」とあるのは「規定は、次項において準用する第七項」と、「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法第五条第七項」とあるのは「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法第五条第十二項において準用する同条第七項」と読み替えるものとする。
(水質保全計画の達成の推進)
第六条 国及び地方公共団体は、水質保全計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。