共同溝の整備等に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十八年四月一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第八十一号
共同溝の整備等に関する特別措置法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
共同溝整備道路(第三条・第四条)
第三章
共同溝の建設及び管理(第五条―第十一条)
第四章
共同溝の占用(第十二条―第十九条)
第五章
共同溝に関する費用(第二十条―第二十四条)
第六章
雑則(第二十五条―第二十八条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、共同溝の建設及び管理に関する特別の措置等を定め、特定の道路について、路面の掘さくを伴う地下の占用の制限と相まつて共同溝の整備を行なうことにより、道路の構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「道路」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。
2 この法律において「道路管理者」とは、道路法第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。
3 この法律において「公益事業者」とは、次の各号に掲げる者をいう。
一 日本電信電話公社
二 電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)による電気事業者
三 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)によるガス事業者
四 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)による水道事業者又は水道用水供給事業者
五 工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)による工業用水道事業者
六 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)による公共下水道管理者又は都市下水路管理者
4 この法律において「公益物件」とは、公益事業者が当該事業の目的を達成するため設ける電線、ガス管、水管又は下水道管をいう。
5 この法律において「共同溝」とは、二以上の公益事業者の公益物件を収容するため道路管理者が道路の地下に設ける施設をいう。
第二章 共同溝整備道路
(共同溝整備道路の指定)
第三条 建設大臣は、交通が著しくふくそうしている道路又は著しくふくそうすることが予想される道路で、路面の掘さくを伴う道路の占用に関する工事がひんぱんに行なわれることにより道路の構造の保全上及び道路交通上著しい支障を生ずるおそれがあると認められるものを、共同溝を整備すべき道路(以下「共同溝整備道路」という。)として指定することができる。
2 建設大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該道路の道路管理者(道路法第十二条の二第二項の規定により建設大臣が都道府県知事又は同法第七条第三項に規定する指定市(以下「指定市」という。)の長に同法第十二条の二第一項に規定する指定区間(以下「指定区間」という。)内の一級国道の管理を行なわせている場合においては、当該都道府県知事又は指定市の長。以下次項において同じ。)の意見をきかなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
3 道路管理者は、前項の規定により意見を述べようとするときは、あらかじめ、都道府県公安委員会の意見をきかなければならない。
4 建設大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。
(共同溝整備道路における許可等の制限)
第四条 道路管理者は、前条第一項の規定による共同溝整備道路の指定があつた場合においては、当該道路の車道の部分の地下の占用に関し、道路法第三十二条第一項若しくは第三項の規定による許可をし、又は同法第三十五条の規定による協議に応じてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第二項の規定による申出をした者の責に帰すことのできない理由により共同溝が建設されない場合において、その者が同条第三項に規定する敷設計画書に係る公益物件を設置し、及び当該公益物件の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
二 公益物件を収容するための施設又はこれと同等以上の公益性を有する施設で、路面の掘返しによる道路の構造の保全上及び道路交通上の支障を生ずるおそれが少ないと認めて建設大臣が指定するものを設置し、及び当該施設の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
三 共同溝整備道路の指定の日前になされた道路法第三十二条第一項若しくは第三項又は同法第三十五条の規定による許可又は協議に基づき設置された又は設置される工作物、物件又は施設の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
四 共同溝の建設が完了する以前において、当該共同溝に敷設すべき公益物件を、緊急の必要に基づき当該共同溝が建設される道路の部分以外の部分に仮に設置し、及び当該公益物件の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
第三章 共同溝の建設及び管理
(共同溝の建設)
第五条 第三条第一項の規定による共同溝整備道路の指定があつたときは、道路管理者(道路法第十二条又は第十三条第二項の規定により一級国道又は二級国道の新設又は改築を建設大臣が行なう場合においては、建設大臣。以下この条、次条から第八条まで、第十二条、第十四条、第十五条及び第二十三条において同じ。)は、当該道路に共同溝を建設することについて、関係公益事業者の意見を求めなければならない。
2 前項の規定により意見を求められた公益事業者は、道路管理者の定める期限までに、共同溝の建設を希望する旨の申出をすることができる。
3 前項の規定による申出は、当該共同溝に敷設すべき公益物件の敷設計画書その他建設省令で定める書面を添えてしなければならない。
4 道路管理者は、第二項の規定による申出が相当であると認めるときは、共同溝の建設を行なうものとする。この場合においては、道路管理者は、共同溝の建設を行なうべき旨を公示しなければならない。
(共同溝整備計画)
第六条 道路管理者は、共同溝を建設しようとするときは、共同溝整備計画を作成しなければならない。
2 共同溝整備計画には、建設しようとする共同溝に関し、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 位置及び名称
二 構造
三 共同溝の占用予定者
四 共同溝の占用予定者ごとの当該共同溝の占用部分及び公益物件の敷設計画の概要
五 共同溝の建設に要する費用及びその負担に関する事項
六 工事着手予定時期及び工事完了予定時期
第七条 道路管理者は、共同溝整備計画を作成する場合においては、共同溝整備計画に定められるべき共同溝の占用予定者に、第五条第四項の規定による公示のあつた日の翌日から起算して三十日を経過した日以後において、前条第二項各号に掲げる事項を通知し、相当な期限を定めて意見書の提出を求めなければならない。
2 道路管理者は、前項の意見書の提出があり、かつ、その意見書に係る意見を採用すべきであると認める場合においてはその必要の範囲内において同項の規定による通知に係る事項を修正して共同溝整備計画を作成し、その他の場合においては同項の規定による通知に係る事項について共同溝整備計画を作成し、同項の規定による通知をした者に、当該共同溝整備計画に定めた前条第二項各号に掲げる事項を通知するものとする。
3 道路管理者は、前項の規定による通知をした後において第十三条の規定による申請の取下げがあつたことにより共同溝整備計画の変更を必要とする場合においては、更に前二項の手続を行なうものとする。
4 道路管理者は、共同溝の建設工事に着手した後において共同溝整備計画を変更しようとする場合においては、共同溝整備計画に定められた共同溝の占用予定者の意見をきかなければならない。
(建設の廃止)
第八条 道路管理者は、次条に規定する共同溝の占用予定者の要件を備える公益事業者が二以上ない場合又は第十三条の規定による申請の取下げがあつたことにより共同溝を建設することができなくなつた場合においては、共同溝の建設を廃止し、その旨を公示するとともに、関係公益事業者に通知するものとする。
(占用予定者)
第九条 共同溝の占用予定者は、第十二条第一項の規定による許可の申請をした者で、その者の敷設計画書に係る公益物件を共同溝に収容することが当該共同溝の規模及び構造上相当であると認められるものでなければならない。
(占用予定者の地位の承継)
第十条 相続人、合併により設立される法人その他の共同溝の占用予定者の一般承継人は、占用予定者の地位を承継する。
2 占用予定者の事業について譲渡があつたときは、当該事業を譲り受けた者は、占用予定者の地位を承継する。
(共同溝管理規程)
第十一条 道路管理者は、共同溝を管理しようとする場合においては、建設省令で定めるところにより、共同溝管理規程を定めなければならない。
2 道路管理者は、前項の規定により共同溝管理規程を定めようとするときは、あらかじめ、第十四条第一項の許可を受けた公益事業者の意見をきかなければならない。
第四章 共同溝の占用
(占用の申請)
第十二条 第五条第二項の規定による申出をした公益事業者は、同条第四項の規定による公示があつた日以後その翌日から起算して三十日以内に、公益物件の敷設計画書その他建設省令で定める書面を添えて、道路管理者に共同溝の占用の許可を申請することができる。
2 道路管理者は、前項の規定による申請をした者が第九条の要件に該当しないと認めるときは、すみやかに、その申請を却下し、その旨を理由を付した書面を添えて、その者に通知しなければならない。
(占用の申請の取下げ)
第十三条 第七条第二項の規定による通知を受けた者はその通知があつた日、同条第三項の規定の適用により更に同条第二項の規定による通知を受けた者はその通知があつた日以後二週間以内に限り、前条第一項の規定による申請を取り下げることができる。
(占用の許可)
第十四条 道路管理者は、共同溝の建設を完了したときは、直ちに、共同溝の占用予定者に当該共同溝の占用の許可をするものとする。
2 前項の許可は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 占用することができる共同溝の部分
二 共同溝に敷設することができる公益物件の種類
(日本電信電話公社の特例)
第十五条 日本電信電話公社の共同溝の占用については、日本電信電話公社が道路管理者に協議することをもつて第十二条第一項の規定による許可の申請があつたものと、その協議が成立することをもつて前条第一項の許可があつたものとみなす。
(許可に基づく地位の承継)
第十六条 相続人、合併により設立される法人その他の第十四条第一項の許可を受けた公益事業者の一般承継人は、被承継人が有していた同項の許可に基づく地位を承継する。
(許可に基づく権利義務の譲渡)
第十七条 第十四条第一項の許可に基づく権利及び義務は、道路管理者の認可を受けなければ、譲渡することができない。
(公益物件の構造等の基準)
第十八条 第十四条第一項の許可を受けた公益事業者が当該許可に基づき公益物件の敷設をしようとするときは、あらかじめ、道路管理者に届け出なければならない。
2 前項の場合における当該公益物件の構造及び敷設の方法の基準は、政令で定める。
(監督処分)
第十九条 道路管理者は、第十四条第一項の許可を受けた公益事業者が当該許可に基づき公益物件を敷設する場合において、その公益物件の構造又は敷設の方法が前条第二項に規定する政令で定める基準に適合しないときは、当該敷設に関する工事の中止又は当該公益物件の改築、移転若しくは除却を命ずることができる。
第五章 共同溝に関する費用
(建設費の負担)
第二十条 共同溝の占用予定者は、共同溝の建設に要する費用のうち、共同溝の建設によつて受ける効用から算定される推定の投資額等を勘案して、政令で定めるところにより算出した額の費用を負担しなければならない。
2 共同溝の建設に要する費用の範囲、負担金の納付の方法及び期限その他前項の負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
(管理費用の負担)
第二十一条 第十四条第一項の許可に基づき共同溝を占用する者は、当該共同溝の改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理に要する費用のうち、政令で定める費用を政令で定めるところにより負担しなければならない。
(国の負担又は補助)
第二十二条 指定区間内の一級国道に附属する共同溝の建設若しくは改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理又は指定区間外の一級国道若しくは二級国道に附属する共同溝の建設若しくは改築で建設大臣が当該道路の新設若しくは改築に伴つて行なうものに要する費用(第二十条第一項又は前条の規定により当該共同溝の占用予定者又は当該共同溝を占用する者が負担すべき費用を除く。)は、指定区間内の一級国道に係るものにあつては国及び都道府県又は指定市が、その他のものにあつては国及び当該道路の道路管理者である地方公共団体の長の統轄する地方公共団体がそれぞれその二分の一を負担する。
2 国は、前項の場合を除くほか、共同溝の建設又は改築に要する費用(第二十条第一項又は前条の規定により当該共同溝の占用予定者又は当該共同溝を占用する者が負担すべき費用を除く。)の二分の一以内を、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用を負担する地方公共団体に対して、補助することができる。
3 共同溝の建設又は改築に要する費用については、道路法第八十五条第三項の規定は、適用しない。
(収入の帰属)
第二十三条 第二十条第一項又は第二十一条の規定に基づく負担金は、当該共同溝の建設又は改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理を行なう道路管理者(当該道路管理者が建設大臣又は地方公共団体の長であるときは、国又は当該地方公共団体の長の統轄する地方公共団体)の収入とする。
(義務履行のために要する費用)
第二十四条 この法律又はこの法律によつてする処分による義務を履行するために必要な費用は、当該義務者が負担しなければならない。
第六章 雑則
(負担金の強制徴収)
第二十五条 道路法第七十三条の規定は、第二十条第一項又は第二十一条の規定に基づく負担金の徴収について準用する。
(不服申立て)
第二十六条 都道府県又は市町村である道路管理者がこの法律に基づいてした処分に不服がある者は、都道府県又は指定市若しくは特定の市(道路法第十七条第二項の規定により管理を行なう市をいう。以下この項において同じ。)である道路管理者がした処分については建設大臣に対して、市(指定市及び特定の市を除く。)町村である道路管理者がした処分については都道府県知事に対して審査請求をすることができる。この場合には、当該都道府県又は市町村に対して異議申立てをすることもできる。
2 この法律に基づく処分についての異議申立てに対する決定は、当該異議申立てを受理した日から三十日以内にしなければならない。
(権限の委任)
第二十七条 この法律に規定する道路管理者である建設大臣の権限は、政令で定めるところにより、地方建設局長又は北海道開発局長に委任することができる。
(道路法の適用除外)
第二十八条 この法律の規定に基づく共同溝の占用に関しては、道路法第三章第三節の規定は、適用しない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(道路法の一部改正)
2 道路法の一部を次のように改正する。
第二条第二項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和三十八年法律第八十一号)第三条第一項の規定による共同溝整備道路に第十八条第一項に規定する道路管理者の設ける共同溝
(道路整備特別会計法の一部改正)
3 道路整備特別会計法(昭和三十三年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第三条中「第五十一条又は」を「第五十一条、」に、「第二条第三項ただし書の規定に基く都道府県の負担金」を「第二条第三項ただし書又は共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和三十八年法律第八十一号)第二十二条第一項の規定に基づく都道府県等の負担金」に、「又は第六十二条の規定による国以外の者の負担金、同法」を「若しくは第六十二条又は共同溝の整備等に関する特別措置法第二十条第一項若しくは第二十一条の規定による国以外の者の負担金、道路法」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 田中角榮
厚生大臣 西村英一
共同溝の整備等に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十八年四月一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第八十一号
共同溝の整備等に関する特別措置法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
共同溝整備道路(第三条・第四条)
第三章
共同溝の建設及び管理(第五条―第十一条)
第四章
共同溝の占用(第十二条―第十九条)
第五章
共同溝に関する費用(第二十条―第二十四条)
第六章
雑則(第二十五条―第二十八条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、共同溝の建設及び管理に関する特別の措置等を定め、特定の道路について、路面の掘さくを伴う地下の占用の制限と相まつて共同溝の整備を行なうことにより、道路の構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「道路」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。
2 この法律において「道路管理者」とは、道路法第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。
3 この法律において「公益事業者」とは、次の各号に掲げる者をいう。
一 日本電信電話公社
二 電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)による電気事業者
三 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)によるガス事業者
四 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)による水道事業者又は水道用水供給事業者
五 工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)による工業用水道事業者
六 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)による公共下水道管理者又は都市下水路管理者
4 この法律において「公益物件」とは、公益事業者が当該事業の目的を達成するため設ける電線、ガス管、水管又は下水道管をいう。
5 この法律において「共同溝」とは、二以上の公益事業者の公益物件を収容するため道路管理者が道路の地下に設ける施設をいう。
第二章 共同溝整備道路
(共同溝整備道路の指定)
第三条 建設大臣は、交通が著しくふくそうしている道路又は著しくふくそうすることが予想される道路で、路面の掘さくを伴う道路の占用に関する工事がひんぱんに行なわれることにより道路の構造の保全上及び道路交通上著しい支障を生ずるおそれがあると認められるものを、共同溝を整備すべき道路(以下「共同溝整備道路」という。)として指定することができる。
2 建設大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該道路の道路管理者(道路法第十二条の二第二項の規定により建設大臣が都道府県知事又は同法第七条第三項に規定する指定市(以下「指定市」という。)の長に同法第十二条の二第一項に規定する指定区間(以下「指定区間」という。)内の一級国道の管理を行なわせている場合においては、当該都道府県知事又は指定市の長。以下次項において同じ。)の意見をきかなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
3 道路管理者は、前項の規定により意見を述べようとするときは、あらかじめ、都道府県公安委員会の意見をきかなければならない。
4 建設大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。
(共同溝整備道路における許可等の制限)
第四条 道路管理者は、前条第一項の規定による共同溝整備道路の指定があつた場合においては、当該道路の車道の部分の地下の占用に関し、道路法第三十二条第一項若しくは第三項の規定による許可をし、又は同法第三十五条の規定による協議に応じてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第二項の規定による申出をした者の責に帰すことのできない理由により共同溝が建設されない場合において、その者が同条第三項に規定する敷設計画書に係る公益物件を設置し、及び当該公益物件の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
二 公益物件を収容するための施設又はこれと同等以上の公益性を有する施設で、路面の掘返しによる道路の構造の保全上及び道路交通上の支障を生ずるおそれが少ないと認めて建設大臣が指定するものを設置し、及び当該施設の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
三 共同溝整備道路の指定の日前になされた道路法第三十二条第一項若しくは第三項又は同法第三十五条の規定による許可又は協議に基づき設置された又は設置される工作物、物件又は施設の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
四 共同溝の建設が完了する以前において、当該共同溝に敷設すべき公益物件を、緊急の必要に基づき当該共同溝が建設される道路の部分以外の部分に仮に設置し、及び当該公益物件の維持、修繕又は災害復旧を行なう場合
第三章 共同溝の建設及び管理
(共同溝の建設)
第五条 第三条第一項の規定による共同溝整備道路の指定があつたときは、道路管理者(道路法第十二条又は第十三条第二項の規定により一級国道又は二級国道の新設又は改築を建設大臣が行なう場合においては、建設大臣。以下この条、次条から第八条まで、第十二条、第十四条、第十五条及び第二十三条において同じ。)は、当該道路に共同溝を建設することについて、関係公益事業者の意見を求めなければならない。
2 前項の規定により意見を求められた公益事業者は、道路管理者の定める期限までに、共同溝の建設を希望する旨の申出をすることができる。
3 前項の規定による申出は、当該共同溝に敷設すべき公益物件の敷設計画書その他建設省令で定める書面を添えてしなければならない。
4 道路管理者は、第二項の規定による申出が相当であると認めるときは、共同溝の建設を行なうものとする。この場合においては、道路管理者は、共同溝の建設を行なうべき旨を公示しなければならない。
(共同溝整備計画)
第六条 道路管理者は、共同溝を建設しようとするときは、共同溝整備計画を作成しなければならない。
2 共同溝整備計画には、建設しようとする共同溝に関し、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 位置及び名称
二 構造
三 共同溝の占用予定者
四 共同溝の占用予定者ごとの当該共同溝の占用部分及び公益物件の敷設計画の概要
五 共同溝の建設に要する費用及びその負担に関する事項
六 工事着手予定時期及び工事完了予定時期
第七条 道路管理者は、共同溝整備計画を作成する場合においては、共同溝整備計画に定められるべき共同溝の占用予定者に、第五条第四項の規定による公示のあつた日の翌日から起算して三十日を経過した日以後において、前条第二項各号に掲げる事項を通知し、相当な期限を定めて意見書の提出を求めなければならない。
2 道路管理者は、前項の意見書の提出があり、かつ、その意見書に係る意見を採用すべきであると認める場合においてはその必要の範囲内において同項の規定による通知に係る事項を修正して共同溝整備計画を作成し、その他の場合においては同項の規定による通知に係る事項について共同溝整備計画を作成し、同項の規定による通知をした者に、当該共同溝整備計画に定めた前条第二項各号に掲げる事項を通知するものとする。
3 道路管理者は、前項の規定による通知をした後において第十三条の規定による申請の取下げがあつたことにより共同溝整備計画の変更を必要とする場合においては、更に前二項の手続を行なうものとする。
4 道路管理者は、共同溝の建設工事に着手した後において共同溝整備計画を変更しようとする場合においては、共同溝整備計画に定められた共同溝の占用予定者の意見をきかなければならない。
(建設の廃止)
第八条 道路管理者は、次条に規定する共同溝の占用予定者の要件を備える公益事業者が二以上ない場合又は第十三条の規定による申請の取下げがあつたことにより共同溝を建設することができなくなつた場合においては、共同溝の建設を廃止し、その旨を公示するとともに、関係公益事業者に通知するものとする。
(占用予定者)
第九条 共同溝の占用予定者は、第十二条第一項の規定による許可の申請をした者で、その者の敷設計画書に係る公益物件を共同溝に収容することが当該共同溝の規模及び構造上相当であると認められるものでなければならない。
(占用予定者の地位の承継)
第十条 相続人、合併により設立される法人その他の共同溝の占用予定者の一般承継人は、占用予定者の地位を承継する。
2 占用予定者の事業について譲渡があつたときは、当該事業を譲り受けた者は、占用予定者の地位を承継する。
(共同溝管理規程)
第十一条 道路管理者は、共同溝を管理しようとする場合においては、建設省令で定めるところにより、共同溝管理規程を定めなければならない。
2 道路管理者は、前項の規定により共同溝管理規程を定めようとするときは、あらかじめ、第十四条第一項の許可を受けた公益事業者の意見をきかなければならない。
第四章 共同溝の占用
(占用の申請)
第十二条 第五条第二項の規定による申出をした公益事業者は、同条第四項の規定による公示があつた日以後その翌日から起算して三十日以内に、公益物件の敷設計画書その他建設省令で定める書面を添えて、道路管理者に共同溝の占用の許可を申請することができる。
2 道路管理者は、前項の規定による申請をした者が第九条の要件に該当しないと認めるときは、すみやかに、その申請を却下し、その旨を理由を付した書面を添えて、その者に通知しなければならない。
(占用の申請の取下げ)
第十三条 第七条第二項の規定による通知を受けた者はその通知があつた日、同条第三項の規定の適用により更に同条第二項の規定による通知を受けた者はその通知があつた日以後二週間以内に限り、前条第一項の規定による申請を取り下げることができる。
(占用の許可)
第十四条 道路管理者は、共同溝の建設を完了したときは、直ちに、共同溝の占用予定者に当該共同溝の占用の許可をするものとする。
2 前項の許可は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 占用することができる共同溝の部分
二 共同溝に敷設することができる公益物件の種類
(日本電信電話公社の特例)
第十五条 日本電信電話公社の共同溝の占用については、日本電信電話公社が道路管理者に協議することをもつて第十二条第一項の規定による許可の申請があつたものと、その協議が成立することをもつて前条第一項の許可があつたものとみなす。
(許可に基づく地位の承継)
第十六条 相続人、合併により設立される法人その他の第十四条第一項の許可を受けた公益事業者の一般承継人は、被承継人が有していた同項の許可に基づく地位を承継する。
(許可に基づく権利義務の譲渡)
第十七条 第十四条第一項の許可に基づく権利及び義務は、道路管理者の認可を受けなければ、譲渡することができない。
(公益物件の構造等の基準)
第十八条 第十四条第一項の許可を受けた公益事業者が当該許可に基づき公益物件の敷設をしようとするときは、あらかじめ、道路管理者に届け出なければならない。
2 前項の場合における当該公益物件の構造及び敷設の方法の基準は、政令で定める。
(監督処分)
第十九条 道路管理者は、第十四条第一項の許可を受けた公益事業者が当該許可に基づき公益物件を敷設する場合において、その公益物件の構造又は敷設の方法が前条第二項に規定する政令で定める基準に適合しないときは、当該敷設に関する工事の中止又は当該公益物件の改築、移転若しくは除却を命ずることができる。
第五章 共同溝に関する費用
(建設費の負担)
第二十条 共同溝の占用予定者は、共同溝の建設に要する費用のうち、共同溝の建設によつて受ける効用から算定される推定の投資額等を勘案して、政令で定めるところにより算出した額の費用を負担しなければならない。
2 共同溝の建設に要する費用の範囲、負担金の納付の方法及び期限その他前項の負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
(管理費用の負担)
第二十一条 第十四条第一項の許可に基づき共同溝を占用する者は、当該共同溝の改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理に要する費用のうち、政令で定める費用を政令で定めるところにより負担しなければならない。
(国の負担又は補助)
第二十二条 指定区間内の一級国道に附属する共同溝の建設若しくは改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理又は指定区間外の一級国道若しくは二級国道に附属する共同溝の建設若しくは改築で建設大臣が当該道路の新設若しくは改築に伴つて行なうものに要する費用(第二十条第一項又は前条の規定により当該共同溝の占用予定者又は当該共同溝を占用する者が負担すべき費用を除く。)は、指定区間内の一級国道に係るものにあつては国及び都道府県又は指定市が、その他のものにあつては国及び当該道路の道路管理者である地方公共団体の長の統轄する地方公共団体がそれぞれその二分の一を負担する。
2 国は、前項の場合を除くほか、共同溝の建設又は改築に要する費用(第二十条第一項又は前条の規定により当該共同溝の占用予定者又は当該共同溝を占用する者が負担すべき費用を除く。)の二分の一以内を、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用を負担する地方公共団体に対して、補助することができる。
3 共同溝の建設又は改築に要する費用については、道路法第八十五条第三項の規定は、適用しない。
(収入の帰属)
第二十三条 第二十条第一項又は第二十一条の規定に基づく負担金は、当該共同溝の建設又は改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理を行なう道路管理者(当該道路管理者が建設大臣又は地方公共団体の長であるときは、国又は当該地方公共団体の長の統轄する地方公共団体)の収入とする。
(義務履行のために要する費用)
第二十四条 この法律又はこの法律によつてする処分による義務を履行するために必要な費用は、当該義務者が負担しなければならない。
第六章 雑則
(負担金の強制徴収)
第二十五条 道路法第七十三条の規定は、第二十条第一項又は第二十一条の規定に基づく負担金の徴収について準用する。
(不服申立て)
第二十六条 都道府県又は市町村である道路管理者がこの法律に基づいてした処分に不服がある者は、都道府県又は指定市若しくは特定の市(道路法第十七条第二項の規定により管理を行なう市をいう。以下この項において同じ。)である道路管理者がした処分については建設大臣に対して、市(指定市及び特定の市を除く。)町村である道路管理者がした処分については都道府県知事に対して審査請求をすることができる。この場合には、当該都道府県又は市町村に対して異議申立てをすることもできる。
2 この法律に基づく処分についての異議申立てに対する決定は、当該異議申立てを受理した日から三十日以内にしなければならない。
(権限の委任)
第二十七条 この法律に規定する道路管理者である建設大臣の権限は、政令で定めるところにより、地方建設局長又は北海道開発局長に委任することができる。
(道路法の適用除外)
第二十八条 この法律の規定に基づく共同溝の占用に関しては、道路法第三章第三節の規定は、適用しない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(道路法の一部改正)
2 道路法の一部を次のように改正する。
第二条第二項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和三十八年法律第八十一号)第三条第一項の規定による共同溝整備道路に第十八条第一項に規定する道路管理者の設ける共同溝
(道路整備特別会計法の一部改正)
3 道路整備特別会計法(昭和三十三年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第三条中「第五十一条又は」を「第五十一条、」に、「第二条第三項ただし書の規定に基く都道府県の負担金」を「第二条第三項ただし書又は共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和三十八年法律第八十一号)第二十二条第一項の規定に基づく都道府県等の負担金」に、「又は第六十二条の規定による国以外の者の負担金、同法」を「若しくは第六十二条又は共同溝の整備等に関する特別措置法第二十条第一項若しくは第二十一条の規定による国以外の者の負担金、道路法」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 田中角栄
厚生大臣 西村英一