朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ軍事保護院官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年七月十四日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 廣瀨久忠
勅令第四百七十九號
軍事保護院官制
第一條 軍事保護院ハ厚生大臣ノ管理ニ屬シ左ニ揭グル事務ヲ掌ル
一 軍人又ハ之ニ準ズベキ者トシテ戰鬪其ノ他ノ公務ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者(傷痍軍人)ノ療養職業保護其ノ他ノ援護ニ關スル事項
二 軍人又ハ之ニ準ズベキ者トシテ戰鬪其ノ他ノ公務ニ從事シ爲ニ死歿シタル者ノ遺族(軍人遺族)ノ援護ニ關スル事項
三 軍人又ハ之ニ準ズベキ者トシテ戰鬪其ノ他ノ公務ニ從事スル者ノ家族(軍人家族)ノ援護ニ關スル事項
四 其ノ他軍人援護ニ關スル事項
第二條 軍事保護院ニ左ノ職員ヲ置ク
總裁 親任
副總裁 一人 勅任
局長 二人 勅任
祕書官 一人 奏任
書記官 專任六人 奏任
事務官 專任二十人 奏任
理事官 專任二十四人 奏任
技師 專任十五人 奏任
醫官 專任百三十五人 奏任
調劑官 專任十九人 奏任
技手
專任二百三十二人 判任
醫官補 專任六十人 判任
調劑官補 專任六十六人 判任
看護婦長 專任二十五人 判任
總裁ハ名譽官トス
祕書官ハ書記官又ハ事務官ヲシテ之ヲ兼ネシム
第三條 前條ノ職員ノ外厚生大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳高等官ノ中ヨリ內閣ニ於テ事務官ヲ命ズルコトヲ得
第四條 軍事保護院ニ總裁官房及左ノ二局ヲ置ク
援護局
業務局
總裁官房ニ於テハ人事、文書及會計ニ關スル事務竝ニ他ノ主管ニ屬セザル事務ヲ掌ル
援護局ニ於テハ軍事扶助法ノ施行、軍人遺族及軍人家族ノ援護竝ニ業務局ノ主管ニ屬セザル軍人援護ニ關スル事務ヲ掌ル
業務局ニ於テハ傷痍軍人ノ療養及職業保護竝ニ工營ニ關スル事務ヲ掌ル
第五條 厚生大臣ハ傷痍軍人ノ療養又ハ職業保護ニ關スル院務ノ一部ヲ分掌セシムル爲療養所又ハ職業補導所ヲ設クルコトヲ得其ノ名稱及位置ハ厚生大臣之ヲ定ム
療養所又ハ職業補導所ノ長ハ醫官又ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ
第六條 軍事保護院ニ顧問五人以內ヲ置キ軍人援護ニ關スル重要事項ニ參畫セシム
顧問ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ之ヲ勅命ス
第七條 軍事保護院ニ參與十五人以內ヲ置キ院務ニ參與セシム
參與ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳勅任官又ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
學識經驗アル者ノ中ヨリ命ゼラレタル參與ノ任期ハ三年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第八條 軍事保護院ニ專門委員ヲ置キ專門ノ事項ヲ調査セシム
專門委員ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
專門委員ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第九條 總裁ハ厚生大臣ノ監督ヲ承ケ院務ヲ統理シ所部ノ職員ヲ指揮監督シ判任官以下ノ進退ヲ專行ス
第十條 副總裁ハ總裁ヲ佐ケ院務ヲ掌理ス
第十一條 局長ハ上官ノ命ヲ承ケ局務ヲ掌理ス
第十二條 祕書官ハ總裁ノ命ヲ承ケ機密ニ關スル事務ヲ掌ル
第十三條 書記官、事務官及理事官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ掌ル
第十四條 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十五條 醫官及醫官補ハ上官ノ命ヲ承ケ療養ヲ掌ル
第十六條 調劑官及調劑官補ハ上官ノ命ヲ承ケ調劑ヲ掌ル
第十七條 屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第十八條 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス
第十九條 看護婦長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ看護ニ從事ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
傷兵保護院官制及昭和十二年勅令第六百二十四號ハ之ヲ廢止ス
本令施行ノ際現ニ厚生省職員ノ職ニ在リテ臨時軍事援護部ニ屬スル者別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ厚生書記官ハ軍事保護院書記官ニ、厚生事務官ハ軍事保護院事務官ニ、厚生理事官ハ軍事保護院理事官ニ、厚生技師ハ軍事保護院技師ニ、厚生屬ハ軍事保護院屬ニ、厚生技手ハ軍事保護院技手ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ傷兵保護院職員ノ職ニ在ル者別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ傷兵保護院書記官ハ軍事保護院書記官ニ、傷兵保護院事務官ハ軍事保護院事務官ニ、傷兵保護院理事官ハ軍事保護院理事官ニ、傷兵保護院技師ハ軍事保護院技師ニ、傷兵保護院醫官ハ軍事保護院醫官ニ、傷兵保護院調劑官ハ軍事保護院調劑官ニ、傷兵保護院屬ハ軍事保護院屬ニ、傷兵保護院技手ハ軍事保護院技手ニ、傷兵保護院醫官補ハ軍事保護院醫官補ニ、傷兵保護院調劑官補ハ軍事保護院調劑官補ニ、傷兵保護院看護婦長ハ軍事保護院看護婦長ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
前二項ノ規定ハ文官任用ノ資格ニ關スル規定ノ適用ヲ妨ゲズ
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ軍事保護院官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年七月十四日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 広瀬久忠
勅令第四百七十九号
軍事保護院官制
第一条 軍事保護院ハ厚生大臣ノ管理ニ属シ左ニ掲グル事務ヲ掌ル
一 軍人又ハ之ニ準ズベキ者トシテ戦闘其ノ他ノ公務ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者(傷痍軍人)ノ療養職業保護其ノ他ノ援護ニ関スル事項
二 軍人又ハ之ニ準ズベキ者トシテ戦闘其ノ他ノ公務ニ従事シ為ニ死歿シタル者ノ遺族(軍人遺族)ノ援護ニ関スル事項
三 軍人又ハ之ニ準ズベキ者トシテ戦闘其ノ他ノ公務ニ従事スル者ノ家族(軍人家族)ノ援護ニ関スル事項
四 其ノ他軍人援護ニ関スル事項
第二条 軍事保護院ニ左ノ職員ヲ置ク
総裁 親任
副総裁 一人 勅任
局長 二人 勅任
秘書官 一人 奏任
書記官 専任六人 奏任
事務官 専任二十人 奏任
理事官 専任二十四人 奏任
技師 専任十五人 奏任
医官 専任百三十五人 奏任
調剤官 専任十九人 奏任
技手
専任二百三十二人 判任
医官補 専任六十人 判任
調剤官補 専任六十六人 判任
看護婦長 専任二十五人 判任
総裁ハ名誉官トス
秘書官ハ書記官又ハ事務官ヲシテ之ヲ兼ネシム
第三条 前条ノ職員ノ外厚生大臣ノ奏請ニ依リ関係各庁高等官ノ中ヨリ内閣ニ於テ事務官ヲ命ズルコトヲ得
第四条 軍事保護院ニ総裁官房及左ノ二局ヲ置ク
援護局
業務局
総裁官房ニ於テハ人事、文書及会計ニ関スル事務並ニ他ノ主管ニ属セザル事務ヲ掌ル
援護局ニ於テハ軍事扶助法ノ施行、軍人遺族及軍人家族ノ援護並ニ業務局ノ主管ニ属セザル軍人援護ニ関スル事務ヲ掌ル
業務局ニ於テハ傷痍軍人ノ療養及職業保護並ニ工営ニ関スル事務ヲ掌ル
第五条 厚生大臣ハ傷痍軍人ノ療養又ハ職業保護ニ関スル院務ノ一部ヲ分掌セシムル為療養所又ハ職業補導所ヲ設クルコトヲ得其ノ名称及位置ハ厚生大臣之ヲ定ム
療養所又ハ職業補導所ノ長ハ医官又ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ
第六条 軍事保護院ニ顧問五人以内ヲ置キ軍人援護ニ関スル重要事項ニ参画セシム
顧問ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ之ヲ勅命ス
第七条 軍事保護院ニ参与十五人以内ヲ置キ院務ニ参与セシム
参与ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ関係各庁勅任官又ハ学識経験アル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
学識経験アル者ノ中ヨリ命ゼラレタル参与ノ任期ハ三年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第八条 軍事保護院ニ専門委員ヲ置キ専門ノ事項ヲ調査セシム
専門委員ハ厚生大臣ノ奏請ニ依リ学識経験アル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
専門委員ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第九条 総裁ハ厚生大臣ノ監督ヲ承ケ院務ヲ統理シ所部ノ職員ヲ指揮監督シ判任官以下ノ進退ヲ専行ス
第十条 副総裁ハ総裁ヲ佐ケ院務ヲ掌理ス
第十一条 局長ハ上官ノ命ヲ承ケ局務ヲ掌理ス
第十二条 秘書官ハ総裁ノ命ヲ承ケ機密ニ関スル事務ヲ掌ル
第十三条 書記官、事務官及理事官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ掌ル
第十四条 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十五条 医官及医官補ハ上官ノ命ヲ承ケ療養ヲ掌ル
第十六条 調剤官及調剤官補ハ上官ノ命ヲ承ケ調剤ヲ掌ル
第十七条 属ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第十八条 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ従事ス
第十九条 看護婦長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ看護ニ従事ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
傷兵保護院官制及昭和十二年勅令第六百二十四号ハ之ヲ廃止ス
本令施行ノ際現ニ厚生省職員ノ職ニ在リテ臨時軍事援護部ニ属スル者別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ厚生書記官ハ軍事保護院書記官ニ、厚生事務官ハ軍事保護院事務官ニ、厚生理事官ハ軍事保護院理事官ニ、厚生技師ハ軍事保護院技師ニ、厚生属ハ軍事保護院属ニ、厚生技手ハ軍事保護院技手ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ傷兵保護院職員ノ職ニ在ル者別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ傷兵保護院書記官ハ軍事保護院書記官ニ、傷兵保護院事務官ハ軍事保護院事務官ニ、傷兵保護院理事官ハ軍事保護院理事官ニ、傷兵保護院技師ハ軍事保護院技師ニ、傷兵保護院医官ハ軍事保護院医官ニ、傷兵保護院調剤官ハ軍事保護院調剤官ニ、傷兵保護院属ハ軍事保護院属ニ、傷兵保護院技手ハ軍事保護院技手ニ、傷兵保護院医官補ハ軍事保護院医官補ニ、傷兵保護院調剤官補ハ軍事保護院調剤官補ニ、傷兵保護院看護婦長ハ軍事保護院看護婦長ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
前二項ノ規定ハ文官任用ノ資格ニ関スル規定ノ適用ヲ妨ゲズ