第一條 本法ニ於テ信託ト稱スルハ財產權ノ移轉其ノ他ノ處分ヲ爲シ他人ヲシテ一定ノ目的ニ從ヒ財產ノ管理又ハ處分ヲ爲サシムルヲ謂フ
第三條 登記又ハ登錄スヘキ財產權ニ付テハ信託ハ其ノ登記又ハ登錄ヲ爲スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
有價證券ニ付テハ信託ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ證券ニ信託財產ナルコトヲ表示シ株券及社債券ニ付テハ尙株主名簿又ハ社債原簿ニ信託財產タル旨ヲ記載スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
第四條 受託者ハ信託行爲ノ定ムル所ニ從ヒ信託財產ノ管理又ハ處分ヲ爲スコトヲ要ス
第五條 未成年者、禁治產者、準禁治產者及破產者ハ受託者ト爲ルコトヲ得ス
妻カ信託ノ引受ヲ爲スニハ夫ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
民法第十四條第二項及第十五條乃至第二十條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六條 信託ノ引受ハ營業トシテ之ヲ爲ストキハ之ヲ商行爲トス
第七條 信託行爲ニ依リ受益者トシテ指定セラレタル者ハ當然信託ノ利益ヲ享受ス但シ信託行爲ニ別段ノ定アルトキハ其ノ定ニ從フ
第八條 不特定ノ受益者又ハ未タ存在セサル受益者アル場合ニ於テハ裁判所ハ利害關係人ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ信託管理人ヲ選任スルコトヲ得但シ信託行爲ヲ以テ信託管理人ヲ指定シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
信託管理人ハ前項ノ受益者ノ爲自己ノ名ヲ以テ信託ニ關スル裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
裁判所ハ事情ニ依リ信託財產中ヨリ相當ノ報酬ヲ信託管理人ニ與フルコトヲ得
第九條 受託者ハ共同受益者ノ一人タル場合ヲ除クノ外何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス信託ノ利益ヲ享受スルコトヲ得ス
第十條 法令ニ依リ或財產權ヲ享有スルコトヲ得サル者ハ受益者トシテ其ノ權利ヲ有スルト同一ノ利益ヲ享受スルコトヲ得ス
第十一條 信託ハ訴訟行爲ヲ爲サシムルコトヲ主タル目的トシテ之ヲ爲スコトヲ得ス
第十二條 債務者カ其ノ債權者ヲ害スルコトヲ知リテ信託ヲ爲シタル場合ニ於テハ債權者ハ受託者カ善意ナルトキト雖民法第四百二十四條第一項ニ規定スル取消權ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リテ爲シタル取消ハ受益者カ旣ニ受ケタル利益ニ影響ヲ及ホサス但シ受益者ノ債權カ辨濟期ニ到ラサルトキ又ハ受益者カ其ノ利益ヲ受ケタル當時債權者ヲ害スヘキ事實ヲ知リタルトキ若ハ重大ナル過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
第十三條 受託者ハ信託財產ノ占有ニ付委託者ノ占有ノ瑕疵ヲ承繼ス
前項ノ規定ハ金錢其ノ他ノ物又ハ有價證券ノ給付ヲ目的トスル有價證券ニ付之ヲ準用ス
第十四條 信託財產ノ管理、處分、滅失、毀損其ノ他ノ事由ニ因リ受託者ノ得タル財產ハ信託財產ニ屬ス
第十六條 信託財產ニ付信託前ノ原因ニ因リテ生シタル權利又ハ信託事務ノ處理ニ付生シタル權利ニ基ク場合ヲ除クノ外信託財產ニ對シ强制執行ヲ爲シ又ハ之ヲ競賣スルコトヲ得ス
前項ノ規定ニ反シテ爲シタル强制執行又ハ競賣ニ對シテハ委託者、其ノ相續人、受益者及受託者ハ異議ヲ主張スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民事訴訟法第五百四十九條ノ規定ヲ準用ス
第十七條 信託財產ニ屬スル債權ト信託財產ニ屬セサル債務トハ相殺ヲ爲スコトヲ得ス
第十八條 信託財產カ所有權以外ノ權利ナル場合ニ於テハ受託者カ其ノ目的タル財產ヲ取得スルモ其ノ權利ハ混同ニ因リテ消滅スルコトナシ
第十九條 受託者カ信託行爲ニ因リ受益者ニ對シテ負擔スル債務ニ付テハ信託財產ノ限度ニ於テノミ其ノ履行ノ責ニ任ス
第二十條 受託者ハ信託ノ本旨ニ從ヒ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ處理スルコトヲ要ス
第二十一條 信託財產ニ屬スル金錢ノ管理方法ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 受託者ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハス信託財產ヲ固有財產ト爲シ又ハ之ニ付權利ヲ取得スルコトヲ得ス但シ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ於テ裁判所ノ許可ヲ受ケ信託財產ヲ固有財產ト爲スハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ受託者カ相續其ノ他包括名義ニ因リ信託財產ニ付權利ヲ承繼スルコトヲ妨ケス此ノ場合ニ於テハ第十八條ノ規定ヲ準用ス
第二十三條 信託行爲ノ當時豫見スルコトヲ得サリシ特別ノ事情ニ因リ信託財產ノ管理方法カ受益者ノ利益ニ適セサルニ至リタルトキハ委託者、其ノ相續人、受益者又ハ受託者ハ其ノ變更ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ハ裁判所ノ定メタル管理方法ニ付之ヲ準用ス
第二十四條 受託者數人アルトキハ信託財產ハ其ノ合有トス
前項ノ場合ニ於テ信託行爲ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外信託事務ノ處理ハ受託者共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス但シ其ノ一人ニ對シテ爲シタル意思表示ハ他ノ受託者ニ對シテモ其ノ效力ヲ生ス
第二十五條 受託者數人アルトキハ信託行爲ニ因リ受益者ニ對シテ負擔スル債務ハ之ヲ連帶トス信託事務ノ處理ニ付負擔スル債務亦同シ
第二十六條 受託者ハ信託行爲ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ限リ他人ヲシテ自己ニ代リテ信託事務ヲ處理セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ受託者ハ選任及監督ニ付テノミ其ノ責ニ任ス信託行爲ニ依リ他人ヲシテ信託事務ヲ處理セシメタルトキ亦同シ
受託者ニ代リテ信託事務ヲ處理スル者ハ受託者ト同一ノ責任ヲ負フ
第二十七條 受託者カ管理ノ失當ニ因リテ信託財產ニ損失ヲ生セシメタルトキ又ハ信託ノ本旨ニ反シテ信託財產ヲ處分シタルトキハ委託者、其ノ相續人、受益者及他ノ受託者ハ其ノ受託者ニ對シ損失ノ塡補又ハ信託財產ノ復舊ヲ請求スルコトヲ得
第二十八條 信託財產ハ固有財產及他ノ信託財產ト分別シテ之ヲ管理スルコトヲ要ス但シ信託財產タル金錢ニ付テハ各別ニ其ノ計算ヲ明ニスルヲ以テ足ル
第二十九條 第二十七條ノ規定ハ受託者カ前條ノ規定ニ違反シテ信託財產ヲ管理シタル場合ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テ信託財產ニ損失ヲ生シタルトキハ受託者ハ分別シテ管理ヲ爲シタル場合ニ於テモ損失ヲ生スヘカリシコトヲ證明スルニ非サレハ不可抗力ヲ理由トシテ其責ヲ免ルルコトヲ得ス
第三十條 信託財產ニ付附合、混和又ハ加工アリタル場合ニ於テハ各信託財產及固有財產ハ各別ノ所有者ニ屬スルモノト看做シ民法第二百四十二條乃至第二百四十八條ノ規定ヲ適用ス
第三十一條 受託者カ信託ノ本旨ニ反シテ信託財產ヲ處分シタルトキハ受益者ハ相手方又ハ轉得者ニ對シ其ノ處分ヲ取消スコトヲ得但シ信託ノ登記若ハ登錄アリタルトキ又ハ登記若ハ登錄スヘカラサル信託財產ニ付テハ相手方及轉得者ニ於テ其ノ處分カ信託ノ本旨ニ反スルコトヲ知リタルトキ若ハ重大ナル過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキニ限ル
第三十二條 受益者數人アル場合ニ於テ其ノ一人カ前條ノ規定ニ依リテ爲シタル取消ハ他ノ受益者ノ爲ニ其ノ效力ヲ生ス
第三十三條 第三十一條ニ規定スル取消權ハ受益者又ハ信託管理人カ取消ノ原因アルコトヲ知リタル時ヨリ一月內ニ之ヲ行ハサルトキハ消滅ス處分ノ時ヨリ一年ヲ經過シタルトキ亦同シ
第三十四條 受託者タル法人カ其ノ任務ニ背キタルトキハ之ニ干與シタル理事又ハ之ニ準スヘキ者亦連帶シテ其ノ責ニ任ス
第三十五條 受託者ハ營業トシテ信託ノ引受ヲ爲ス場合ヲ除クノ外特約アルニ非サレハ報酬ヲ受クルコトヲ得ス
第三十六條 受託者ハ信託財產ニ關シテ負擔シタル租稅、公課其ノ他ノ費用又ハ信託事務ヲ處理スル爲自己ニ過失ナクシテ受ケタル損害ノ補償ニ付テハ信託財產ヲ賣却シ他ノ權利者ニ先チテ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
受託者ハ受益者ニ對シ前項ノ費用又ハ損害ニ付其ノ補償ヲ請求シ又ハ相當ノ擔保ヲ供セシムルコトヲ得但シ受益者カ不特定ナルトキ及未タ存在セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ受益者カ其ノ權利ヲ抛棄シタル場合ニハ之ヲ適用セス
第三十七條 前條ノ規定ハ受託者カ信託財產ヨリ報酬ヲ受クヘキ場合ニ其ノ報酬ニ付之ヲ準用ス受託者カ受益者ヨリ報酬ヲ受クヘキ場合亦同シ
第三十八條 第三十六條又ハ前條ニ規定スル受託者ノ權利ハ受託者カ第二十七條又ハ第二十九條ノ規定ニ依ル損失ノ塡補及信託財產復舊ノ義務ヲ履行シタル後ニ非サレハ之ヲ行フコトヲ得ス
第三十九條 受託者ハ帳簿ヲ備ヘ各信託ニ付其ノ事務ノ處理及計算ヲ明ニスルコトヲ要ス
受託者ハ信託引受ノ時及每年一囘一定ノ時期ニ於テ各信託ニ付財產目錄ヲ作ルコトヲ要ス
第四十條 利害關係人ハ何時ニテモ前條ノ書類ノ閱覽ヲ請求スルコトヲ得
委託者、其ノ相續人及受益者ハ信託事務ノ處理ニ關スル書類ノ閱覽ヲ請求シ且信託事務ノ處理ニ付說明ヲ求ムルコトヲ得
第四十一條 信託事務ハ營業トシテ信託ノ引受ヲ爲ス場合ヲ除クノ外裁判所ノ監督ニ屬ス
裁判所ハ利害關係人ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ信託事務ノ處理ニ付檢査ヲ爲シ且檢査役ヲ選任シ其ノ他必要ナル處分ヲ命スルコトヲ得
第四十二條 受託者カ死亡シタルトキ又ハ破產、禁治產若ハ準禁治產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ其ノ任務ハ之ニ因リテ終了ス受託者タル法人カ解散シタルトキ亦同シ
前項ノ場合ニ於テハ受託者ノ相續人、其ノ法定代理人、破產管財人、後見人、保佐人又ハ淸算人ハ新受託者カ信託事務ヲ處理スルコトヲ得ルニ至ル迄信託財產ヲ保管シ且信託事務ノ引繼ニ必要ナル行爲ヲ爲スコトヲ要ス法人合併ノ場合ニ於テ合併ニ因リテ設立シタル法人又ハ合併後存續スル法人亦同シ
第四十三條 受託者ハ信託行爲ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外受益者及委託者ノ承諾アルニ非サレハ其ノ任務ヲ辭スルコトヲ得ス
第四十四條 信託行爲ニ依リ特定ノ資格ニ基キ受託者ト爲リタル者其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ其ノ任務ハ之ニ因リテ終了ス
第四十五條 第四十三條又ハ前條ノ規定ニ依リ任務終了シタル者ハ新受託者カ信託事務ヲ處理スルコトヲ得ルニ至ル迄仍受託者ノ權利義務ヲ有ス
第四十六條 已ムコトヲ得サル事由アルトキハ受託者ハ裁判所ノ許可ヲ受ケ其ノ任務ヲ辭スルコトヲ得
第四十七條 受託者カ其ノ任務ニ背キタルトキ其ノ他重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ委託者、其ノ相續人又ハ受益者ノ請求ニ因リ受託者ヲ解任スルコトヲ得
第四十八條 第四十六條又ハ前條ノ規定ニ依リ受託者其ノ任務ヲ辭シ又ハ解任セラレタルトキハ裁判所ハ信託財產ノ管理人ヲ選任シ其ノ他必要ナル處分ヲ命スルコトヲ得
第四十九條 受託者ノ任務終了ノ場合ニ於テハ利害關係人ハ新受託者ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ハ遺言ニ依リ受託者トシテ指定セラレタル者カ信託ノ引受ヲ爲サス又ハ之ヲ爲スコト能ハサル場合ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ハ信託行爲ニ別段ノ定アルトキハ之ヲ適用セス
第五十條 受託者ノ更迭アリタルトキハ信託財產ハ前受託者ノ任務終了ノ時ニ於テ新受託者ニ讓渡サレタルモノト看做ス
受託者數人アル場合ニ於テ其ノ一人ノ任務終了シタルトキハ信託財產ハ當然他ノ受託者ニ歸ス
第五十一條 第二十七條又ハ第二十九條ニ規定スル權利ハ新受託者亦之ヲ行フコトヲ得
第五十二條 受託者ノ更迭アリタルトキハ新受託者ハ前受託者カ信託行爲ニ因リ受益者ニ對シテ負擔シタル債務ヲ承繼ス
信託事務ノ處理ニ付生シタル債權ハ信託財產ノ限度ニ於テ新受託者ニ對シテモ亦之ヲ行フコトヲ得
第五十三條 信託財產ニ對スル强制執行又ハ競賣手續ハ新受託者ニ對シテ之ヲ續行スルコトヲ得
第五十四條 前受託者ハ第三十六條第一項ニ規定スル費用若ハ損害ノ補償ヲ受クル權利又ハ第三十七條ニ規定スル報酬ヲ受クル權利ニ基キ新受託者ニ對シ信託財產ニ付强制執行ヲ爲シ又ハ之ヲ競賣スルコトヲ得
前受託者ハ前項ノ權利ヲ行フ爲信託財產ヲ留置スルコトヲ得
第五十五條 受託者更迭ノ場合ニ於テハ信託事務ノ計算ヲ爲シ受益者又ハ信託管理人ノ立會ヲ以テ事務ノ引繼ヲ爲スコトヲ要ス
受益者又ハ信託管理人カ前項ノ計算ヲ承認シタルトキハ前受託者ノ其ノ受益者ニ對スル引繼ニ關スル責任ハ之ニ因リテ解除セラレタルモノト看做ス但シ不正ノ行爲アリタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第五十六條 信託行爲ヲ以テ定メタル事由發生シタルトキ又ハ信託ノ目的ヲ達シ若ハ達スルコト能ハサルニ至リタルトキハ信託ハ之ニ因リテ終了ス
第五十七條 委託者カ信託利益ノ全部ヲ享受スル場合ニ於テハ委託者又ハ其ノ相續人ハ何時ニテモ信託ヲ解除スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ民法第六百五十一條第二項ノ規定ヲ準用ス
第五十八條 前條ノ場合ヲ除クノ外受益者カ信託利益ノ全部ヲ享受スル場合ニ於テ信託財產ヲ以テスルニ非サレハ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルトキ其ノ他已ムコトヲ得サル事由アルトキハ裁判所ハ受益者又ハ利害關係人ノ請求ニ因リ信託ノ解除ヲ命スルコトヲ得
第五十九條 第五十七條及前條ノ規定ニ拘ラス信託ノ解除ニ關シ信託行爲ニ別段ノ定アルトキハ其ノ定ニ從フ
第六十條 信託ノ解除ハ將來ニ向テノミ其ノ效力ヲ生ス
第六十一條 第五十七條又ハ第五十八條ノ規定ニ依リ信託カ解除セラレタルトキハ信託財產ハ受益者ニ歸屬ス
第六十二條 信託終了ノ場合ニ於テ信託行爲ニ定メタル信託財產ノ歸屬權利者ナキトキハ其ノ信託財產ハ委託者又ハ其ノ相續人ニ歸屬ス
第六十三條 信託終了ノ場合ニ於テ信託財產カ其ノ歸屬權利者ニ移轉スル迄ハ仍信託ハ存續スルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ歸屬權利者ヲ受益者ト看做ス
第六十四條 第五十三條及第五十四條ノ規定ハ信託ノ終了ニ因リ信託財產カ受益者其ノ他ノ者ニ歸屬シタル場合ニ之ヲ準用ス
第六十五條 信託終了ノ場合ニ於テハ受託者ハ信託事務ノ最終ノ計算ヲ爲シ受益者ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ第五十五條第二項ノ規定ヲ準用ス
第六十六條 祭祀、宗敎、慈善、學術、技藝其ノ他公益ヲ目的トスル信託ハ之ヲ公益信託トシ其ノ監督ニ付テハ後六條ノ規定ヲ適用ス
第六十八條 公益信託ノ引受ニ付テハ受託者ハ主務官廳ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
第六十九條 主務官廳ハ何時ニテモ公益信託事務ノ處理ニ付檢査ヲ爲シ且財產ノ供託其ノ他必要ナル處分ヲ命スルコトヲ得
受託者ハ每年一囘一定ノ時期ニ於テ信託事務及財產ノ狀況ヲ公告スルコトヲ要ス
第七十條 公益信託ニ付信託行爲ノ當時豫見スルコトヲ得サリシ特別ノ事情ヲ生シタルトキハ主務官廳ハ信託ノ本旨ニ反セサル限リ信託ノ條項ノ變更ヲ爲スコトヲ得
第七十一條 公益信託ノ受託者ハ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ限リ主務官廳ノ許可ヲ受ケ其ノ任務ヲ辭スルコトヲ得
第七十二條 公益信託ニ付テハ第八條第一項第三項、第二十二條第一項但書及第四十七條乃至第四十九條ニ規定スル裁判所ノ權限ハ主務官廳ニ屬ス但シ第四十七條及第四十九條ニ規定スル權限ニ付テハ職權ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得
第七十三條 公益信託終了ノ場合ニ於テ信託財產ノ歸屬權利者ナキトキハ主務官廳ハ其ノ信託ノ本旨ニ從ヒ類似ノ目的ノ爲ニ信託ヲ繼續セシムルコトヲ得