国税徴収法施行規則
法令番号: 勅令第百三十五號
公布年月日: 明治35年4月11日
法令の形式: 勅令
朕國稅徵收法施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十五年四月十日
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
勅令第百三十五號
國稅徵收法施行規則
第一條 收稅官吏國稅ヲ徵收セムトスルトキハ納稅人ニ對シ其ノ納金額、納期日及納付場所ヲ記載シタル納稅吿知書ヲ發スヘシ但シ金庫ニ納付セシムル場合ノ外口頭ヲ以テ吿知スルコトヲ得
第二條 市町村ニ於テ徵收スヘキ國稅ハ收稅官吏書面ヲ以テ其ノ金額ヲ市町村ニ通知スヘシ
市町村ハ前項ノ通知ニ依リ納稅人ニ對シ其ノ納金額、納期日及納付場所ヲ記載シタル納稅吿知書ヲ發スヘシ
第三條 國稅徵收法第四條ノ一ニ依リ納期ノ到ラサル稅金ヲ徵收セムトスルトキハ納期日ヲ定メ第一條ノ吿知又ハ第二條ノ通知ヲ爲スト同時ニ其ノ旨吿知又ハ通知スヘシ
納稅吿知ヲ爲シタル後國稅徵收法第四條ノ一ニ依リ納期日前之ヲ徵收セムトスルトキハ收稅官吏ハ納期日ノ變更ヲ納稅人ニ吿知スヘシ
前項ノ國稅ニシテ市町村ノ徵收スルモノナルトキハ納稅人ニ吿知スルト同時ニ其ノ旨市町村ニ通知スヘシ
第四條 市町村ニ於テ稅金ヲ徵收シタルトキハ領收證ヲ納稅人ニ交付スヘシ
第五條 市町村ニ於テ徵收シタル稅金ハ送付書ヲ添ヘ漸次之ヲ金庫ニ送付スヘシ但シ納期後三日ヲ過クルコトヲ得ス
第六條 市町村ニ於テ國稅徵收法第八條ニ依リ稅金送付ノ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ經由シテ大藏大臣ニ申請書ヲ提出スヘシ
地方長官前項ノ申請書ヲ受ケタルトキハ其ノ事實ヲ調査シ意見ヲ具シテ大藏大臣ニ送付スヘシ
第七條 市町村ハ納期內ニ稅金ノ納付ヲ了ラサル者アルトキハ直ニ其ノ氏名、住所若ハ居所及納金額滯納ノ事由ヲ所轄稅務署ニ報吿スヘシ
第八條 國稅徵收法第四條ノ一ニ依リ徵收スルコトヲ得ル國稅ハ左ニ揭クルモノニシテ納期ニ到リ稅金ノ徵收ヲ完ウスルコト能ハスト認ムルモノニ限ル
一 納稅ノ吿知ヲ爲シタル諸稅
二 造石數査定濟ノ酒類、酒精、酒精含有飮料竝醬油ノ造石稅及造石數査定濟ノ麥酒稅
三 當該年分ノ自家用醬油製造稅
第九條 納稅義務者納稅管理人ヲ定メ若ハ變更シタルトキハ其ノ氏名及住所若ハ居所ヲ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
納稅管理人其ノ氏名、住所又ハ居所ヲ變更シタルトキハ之ヲ所轄稅務署ニ申吿スヘシ
市町村ニ於テ徵收スヘキ國稅ニ係ルトキハ前二項ノ申吿ハ其ノ市町村ヲ經由スヘシ
第十條 國稅徵收法ニ依ル書類ノ送達ハ使丁又ハ郵便ニ依ルヘシ
第十一條 國稅徵收法第九條ニ依リ納稅ノ督促ヲ爲サムトスルトキハ收稅官吏ハ納稅者ニ對シ督促狀ヲ發スヘシ
督促狀ヲ發シタルトキハ手數料トシテ金十錢ヲ徵收ス
第十二條 質權又ハ抵當權ノ設定セラレタル財產ヲ差押フルトキハ收稅官吏ハ督促手數料、滯納處分費及稅金額其ノ他必要ト認ムル事項ヲ其ノ債權者ニ通知スヘシ
國稅ニ對シ先取權ヲ有スル債權者前項ノ通知ヲ受ケ其ノ權利ヲ行使セムトスルトキハ證憑書類ヲ添ヘ其ノ事實ヲ證明スヘシ
第十三條 民事訴訟法ニ依リ假差押ヲ受ケタル財產ヲ差押フルトキハ之ヲ執行裁判所又ハ執達吏若ハ强制管理人ニ通知スヘシ假處分ヲ受ケタル財產ヲ差押フルトキ亦之ニ準ス
第十四條 差押フヘキ財產管轄區域外ニ在ルトキハ收稅官吏ハ其ノ財產所在地ノ收稅官吏ニ滯納處分ノ引繼ヲ爲スヘシ
第十五條 差押フヘキ財產數人ノ共有ニ係ルトキハ滯納者ニ屬スル持分ニ就キ滯納處分ヲ爲シ其ノ持分ノ定メナキモノハ持分相均キモノトシテ處分スヘシ
第十六條 收稅官吏財產ヲ差押ヘタルトキハ差押調書二通ヲ作リ立會人ト共ニ之ニ署名捺印シ其ノ一通ハ立會人ニ交付スヘシ但シ立會人ニ於テ署名捺印ヲ拒ミ又ハ署名捺印スルコト能ハサルトキハ其ノ理由ヲ附記スヘシ
差押調書ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 滯納者ノ氏名及住所若ハ居所
二 差押財產ノ名稱、數量、性質、重要ナル事情竝所在ヲ明ニスル事項
三 差押ノ事由
四 調書ヲ作リタル場所年月日
前二項ノ規定ハ債權ノミノ差押ニハ之ヲ適用セス
第十七條 收稅官吏財產ヲ差押ヘタル場合ニ於テ滯納者又ハ第三者ヨリ督促手數料、滯納處分費及稅金ヲ完納シタルトキハ其ノ財產ノ差押ヲ解クヘシ
第十八條 公賣ハ入札又ハ競賣ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第十九條 國稅徵收法第二十四條ニ依リ公賣ヲ爲サムトスルトキハ左ノ事項ヲ公吿スヘシ
一 滯納者ノ氏名及住所若ハ居所
二 公賣財產ノ名稱、數量、性質、重要ナル事情竝所在ヲ明ニスル事項
三 入札又ハ競賣ノ場所、日時
四 開札ノ場所、日時
五 保證金ヲ徵スルトキハ其ノ金額
六 代金納付ノ期限
第二十條 財產公賣ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ加入保證金又ハ契約保證金ヲ徵スヘシ
落札者又ハ買受人義務ヲ履行セサルトキハ其ノ保證金ハ之ヲ政府ノ所得トス
第二十一條 公賣ハ財產所在ノ市區町村內ニ於テ之ヲ爲スヘシ但シ收稅官吏必要ト認ムルトキハ他ノ地方ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第二十二條 公賣ハ公吿ノ初日ヨリ十日ノ期間ヲ過キタル後之ヲ執行スヘシ但シ其ノ物件不相應ノ保存費ヲ要スルモノ若ハ著シク其ノ價格ヲ減損スルノ虞アルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十三條 財產ヲ公賣セムトスルトキハ收稅官吏ハ其ノ財產ノ價格ヲ見積リ之ヲ封書トシ公賣ノ場所ニ置クヘシ
第二十四條 記名式又ハ指圖式有價證券ヲ賣却シタルトキハ收稅官吏ハ期限ヲ指定シ滯納者ヲシテ權利移轉ノ手續ヲ爲サシムヘシ
前項ノ期間內ニ滯納者其ノ手續ヲ爲ササルトキハ收稅官吏ハ滯納者ニ代リテ之ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 入札ノ方法ヲ以テ公賣ニ付スル場合ニ於テ落札トナルヘキ同價ノ入札ヲ爲シタル者二名以上アルトキハ其ノ同價ノ入札人ヲシテ追加入札ヲ爲サシメ落札者ヲ定ム追加入札ノ價格仍同キトキハ抽籤ヲ以テ落札者ヲ定ム
第二十六條 財產ヲ公賣ニ付スルモ買受望人ナキカ又ハ其ノ價格見積價格ニ達セサルトキハ更ニ公賣ヲ爲スコトアルヘシ
第二十七條 公賣財產ノ買受人代金納付ノ期限マテニ其ノ代金ヲ完納セサルトキハ收稅官吏ハ其ノ賣買ヲ解除シ更ニ之ヲ公賣ニ付スヘシ
第二十八條 前二條ニ依リ再公賣ヲ爲ス場合ニ於テハ第二十二條ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得
第二十九條 國稅徵收法第四條ノ一第二號乃至第六號ニ該當スル場合ニ於テハ收稅官吏ハ當該官廳、公共團體、執行裁判所、執達吏、强制管理人、破產主任官又ハ淸算人ニ督促手數料、滯納處分費及滯納稅金ノ交付ヲ求ムヘシ但シ他ニ差押フヘキ財產アルトキハ之ヲ差押フルコトヲ妨ケス
第三十條 滯納處分ヲ結了シタルトキハ收稅官吏ハ其ノ處分ニ關スル計算書ヲ作リ之ヲ滯納者ニ交付スヘシ
賣却シタル財產ニ對シ質權又ハ抵當權ヲ有スル者ハ其ノ計算ニ關スル記錄ノ閱覽ヲ收稅官吏ニ求ムルコトヲ得
第三十一條 納稅吿知督促及滯納處分ニ關スル公吿ハ稅務署ニ之ヲ爲スヘシ但シ必要ト認ムルトキハ稅務署ノ外適當ノ場所ニ又ハ他ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
附 則
第三十二條 市制町村制ヲ施行セサル地方稅務署所在地ヲ除クノ戶長ハ稅務署收稅官吏ノ通知ヲ受ケ其ノ町村內ノ國稅酒類、酒精、酒精含有飮料竝醬油ノ造石稅及麥酒稅ヲ除クヲ徵收シ之ヲ金庫ニ拂込ムヘシ
第三十三條 前條ニ依リ徵收スヘキ國稅ヲ其ノ納期內ニ完納セサル者アルトキハ戶長ハ本則中ニ規定セル市町村ノ例ニ準シ所轄稅務署ニ報吿スヘシ
第三十四條 本令中市町村ニ關スル規定ハ國稅徵收法第三十三條ニ依リ指定セラレタル公共團體ニ之ヲ準用ス
第三十五條 本令ハ明治三十五年法律第三十六號國稅徵收法中改正法律施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十年勅令第二百二十一號ハ之ヲ廢止ス
朕国税徴収法施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十五年四月十日
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
勅令第百三十五号
国税徴収法施行規則
第一条 収税官吏国税ヲ徴収セムトスルトキハ納税人ニ対シ其ノ納金額、納期日及納付場所ヲ記載シタル納税告知書ヲ発スヘシ但シ金庫ニ納付セシムル場合ノ外口頭ヲ以テ告知スルコトヲ得
第二条 市町村ニ於テ徴収スヘキ国税ハ収税官吏書面ヲ以テ其ノ金額ヲ市町村ニ通知スヘシ
市町村ハ前項ノ通知ニ依リ納税人ニ対シ其ノ納金額、納期日及納付場所ヲ記載シタル納税告知書ヲ発スヘシ
第三条 国税徴収法第四条ノ一ニ依リ納期ノ到ラサル税金ヲ徴収セムトスルトキハ納期日ヲ定メ第一条ノ告知又ハ第二条ノ通知ヲ為スト同時ニ其ノ旨告知又ハ通知スヘシ
納税告知ヲ為シタル後国税徴収法第四条ノ一ニ依リ納期日前之ヲ徴収セムトスルトキハ収税官吏ハ納期日ノ変更ヲ納税人ニ告知スヘシ
前項ノ国税ニシテ市町村ノ徴収スルモノナルトキハ納税人ニ告知スルト同時ニ其ノ旨市町村ニ通知スヘシ
第四条 市町村ニ於テ税金ヲ徴収シタルトキハ領収証ヲ納税人ニ交付スヘシ
第五条 市町村ニ於テ徴収シタル税金ハ送付書ヲ添ヘ漸次之ヲ金庫ニ送付スヘシ但シ納期後三日ヲ過クルコトヲ得ス
第六条 市町村ニ於テ国税徴収法第八条ニ依リ税金送付ノ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ経由シテ大蔵大臣ニ申請書ヲ提出スヘシ
地方長官前項ノ申請書ヲ受ケタルトキハ其ノ事実ヲ調査シ意見ヲ具シテ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第七条 市町村ハ納期内ニ税金ノ納付ヲ了ラサル者アルトキハ直ニ其ノ氏名、住所若ハ居所及納金額滞納ノ事由ヲ所轄税務署ニ報告スヘシ
第八条 国税徴収法第四条ノ一ニ依リ徴収スルコトヲ得ル国税ハ左ニ掲クルモノニシテ納期ニ到リ税金ノ徴収ヲ完ウスルコト能ハスト認ムルモノニ限ル
一 納税ノ告知ヲ為シタル諸税
二 造石数査定済ノ酒類、酒精、酒精含有飲料並醬油ノ造石税及造石数査定済ノ麦酒税
三 当該年分ノ自家用醬油製造税
第九条 納税義務者納税管理人ヲ定メ若ハ変更シタルトキハ其ノ氏名及住所若ハ居所ヲ所轄税務署ニ申告スヘシ
納税管理人其ノ氏名、住所又ハ居所ヲ変更シタルトキハ之ヲ所轄税務署ニ申告スヘシ
市町村ニ於テ徴収スヘキ国税ニ係ルトキハ前二項ノ申告ハ其ノ市町村ヲ経由スヘシ
第十条 国税徴収法ニ依ル書類ノ送達ハ使丁又ハ郵便ニ依ルヘシ
第十一条 国税徴収法第九条ニ依リ納税ノ督促ヲ為サムトスルトキハ収税官吏ハ納税者ニ対シ督促状ヲ発スヘシ
督促状ヲ発シタルトキハ手数料トシテ金十銭ヲ徴収ス
第十二条 質権又ハ抵当権ノ設定セラレタル財産ヲ差押フルトキハ収税官吏ハ督促手数料、滞納処分費及税金額其ノ他必要ト認ムル事項ヲ其ノ債権者ニ通知スヘシ
国税ニ対シ先取権ヲ有スル債権者前項ノ通知ヲ受ケ其ノ権利ヲ行使セムトスルトキハ証憑書類ヲ添ヘ其ノ事実ヲ証明スヘシ
第十三条 民事訴訟法ニ依リ仮差押ヲ受ケタル財産ヲ差押フルトキハ之ヲ執行裁判所又ハ執達吏若ハ強制管理人ニ通知スヘシ仮処分ヲ受ケタル財産ヲ差押フルトキ亦之ニ準ス
第十四条 差押フヘキ財産管轄区域外ニ在ルトキハ収税官吏ハ其ノ財産所在地ノ収税官吏ニ滞納処分ノ引継ヲ為スヘシ
第十五条 差押フヘキ財産数人ノ共有ニ係ルトキハ滞納者ニ属スル持分ニ就キ滞納処分ヲ為シ其ノ持分ノ定メナキモノハ持分相均キモノトシテ処分スヘシ
第十六条 収税官吏財産ヲ差押ヘタルトキハ差押調書二通ヲ作リ立会人ト共ニ之ニ署名捺印シ其ノ一通ハ立会人ニ交付スヘシ但シ立会人ニ於テ署名捺印ヲ拒ミ又ハ署名捺印スルコト能ハサルトキハ其ノ理由ヲ附記スヘシ
差押調書ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 滞納者ノ氏名及住所若ハ居所
二 差押財産ノ名称、数量、性質、重要ナル事情並所在ヲ明ニスル事項
三 差押ノ事由
四 調書ヲ作リタル場所年月日
前二項ノ規定ハ債権ノミノ差押ニハ之ヲ適用セス
第十七条 収税官吏財産ヲ差押ヘタル場合ニ於テ滞納者又ハ第三者ヨリ督促手数料、滞納処分費及税金ヲ完納シタルトキハ其ノ財産ノ差押ヲ解クヘシ
第十八条 公売ハ入札又ハ競売ノ方法ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第十九条 国税徴収法第二十四条ニ依リ公売ヲ為サムトスルトキハ左ノ事項ヲ公告スヘシ
一 滞納者ノ氏名及住所若ハ居所
二 公売財産ノ名称、数量、性質、重要ナル事情並所在ヲ明ニスル事項
三 入札又ハ競売ノ場所、日時
四 開札ノ場所、日時
五 保証金ヲ徴スルトキハ其ノ金額
六 代金納付ノ期限
第二十条 財産公売ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ加入保証金又ハ契約保証金ヲ徴スヘシ
落札者又ハ買受人義務ヲ履行セサルトキハ其ノ保証金ハ之ヲ政府ノ所得トス
第二十一条 公売ハ財産所在ノ市区町村内ニ於テ之ヲ為スヘシ但シ収税官吏必要ト認ムルトキハ他ノ地方ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
第二十二条 公売ハ公告ノ初日ヨリ十日ノ期間ヲ過キタル後之ヲ執行スヘシ但シ其ノ物件不相応ノ保存費ヲ要スルモノ若ハ著シク其ノ価格ヲ減損スルノ虞アルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十三条 財産ヲ公売セムトスルトキハ収税官吏ハ其ノ財産ノ価格ヲ見積リ之ヲ封書トシ公売ノ場所ニ置クヘシ
第二十四条 記名式又ハ指図式有価証券ヲ売却シタルトキハ収税官吏ハ期限ヲ指定シ滞納者ヲシテ権利移転ノ手続ヲ為サシムヘシ
前項ノ期間内ニ滞納者其ノ手続ヲ為ササルトキハ収税官吏ハ滞納者ニ代リテ之ヲ為スコトヲ得
第二十五条 入札ノ方法ヲ以テ公売ニ付スル場合ニ於テ落札トナルヘキ同価ノ入札ヲ為シタル者二名以上アルトキハ其ノ同価ノ入札人ヲシテ追加入札ヲ為サシメ落札者ヲ定ム追加入札ノ価格仍同キトキハ抽籤ヲ以テ落札者ヲ定ム
第二十六条 財産ヲ公売ニ付スルモ買受望人ナキカ又ハ其ノ価格見積価格ニ達セサルトキハ更ニ公売ヲ為スコトアルヘシ
第二十七条 公売財産ノ買受人代金納付ノ期限マテニ其ノ代金ヲ完納セサルトキハ収税官吏ハ其ノ売買ヲ解除シ更ニ之ヲ公売ニ付スヘシ
第二十八条 前二条ニ依リ再公売ヲ為ス場合ニ於テハ第二十二条ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得
第二十九条 国税徴収法第四条ノ一第二号乃至第六号ニ該当スル場合ニ於テハ収税官吏ハ当該官庁、公共団体、執行裁判所、執達吏、強制管理人、破産主任官又ハ清算人ニ督促手数料、滞納処分費及滞納税金ノ交付ヲ求ムヘシ但シ他ニ差押フヘキ財産アルトキハ之ヲ差押フルコトヲ妨ケス
第三十条 滞納処分ヲ結了シタルトキハ収税官吏ハ其ノ処分ニ関スル計算書ヲ作リ之ヲ滞納者ニ交付スヘシ
売却シタル財産ニ対シ質権又ハ抵当権ヲ有スル者ハ其ノ計算ニ関スル記録ノ閲覧ヲ収税官吏ニ求ムルコトヲ得
第三十一条 納税告知督促及滞納処分ニ関スル公告ハ税務署ニ之ヲ為スヘシ但シ必要ト認ムルトキハ税務署ノ外適当ノ場所ニ又ハ他ノ方法ヲ以テ之ヲ為スヘシ
附 則
第三十二条 市制町村制ヲ施行セサル地方税務署所在地ヲ除クノ戸長ハ税務署収税官吏ノ通知ヲ受ケ其ノ町村内ノ国税酒類、酒精、酒精含有飲料並醬油ノ造石税及麦酒税ヲ除クヲ徴収シ之ヲ金庫ニ払込ムヘシ
第三十三条 前条ニ依リ徴収スヘキ国税ヲ其ノ納期内ニ完納セサル者アルトキハ戸長ハ本則中ニ規定セル市町村ノ例ニ準シ所轄税務署ニ報告スヘシ
第三十四条 本令中市町村ニ関スル規定ハ国税徴収法第三十三条ニ依リ指定セラレタル公共団体ニ之ヲ準用ス
第三十五条 本令ハ明治三十五年法律第三十六号国税徴収法中改正法律施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十年勅令第二百二十一号ハ之ヲ廃止ス