第一條 收稅官吏國稅ヲ徵收セムトスルトキハ納稅人ニ對シ其ノ納金額納期日及納付場所ヲ記載シタル納稅吿知書ヲ發スヘシ
第二條 各市町村ニ於テ徵收スヘキ國稅ハ收稅官吏其ノ金額ヲ調査シ之ヲ市町村ニ通知スヘシ
市町村ハ前項ノ通知ニ依リ納稅人ニ對シ其ノ納金額納期日及納付場所ヲ記載シタル納稅吿知書ヲ發スヘシ
第三條 納稅人納稅吿知書ヲ受ケタルトキハ稅金ニ納稅吿知書ヲ添ヘ之ヲ指定ノ場所ニ納付スヘシ
第四條 市町村ニ於テ稅金ヲ領收シタルトキハ領收證書ヲ納稅人ニ交付スヘシ
第五條 市町村ノ領收シタル稅金ハ送付書ヲ添ヘ之ヲ金庫ニ送付スヘシ
第六條 市町村ニ於テ徵收シタル稅金ハ遲滯ナク漸次之ヲ金庫ニ送付シ遲クトモ納期後三日ヲ過クルコトナカルヘシ
第七條 市町村ニ於テ國稅徵收法第八條ニ依リ稅金送付ノ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ經由シテ大藏大臣ニ申出ヘシ
前項ノ申出アリタルトキハ地方長官事實ヲ調査シ意見ヲ具シテ大藏大臣ニ送付スヘシ
第八條 市町村ハ納期內ニ稅金ノ徵收ヲ了ラサルモノアルトキハ納期後五日以內ニ其ノ滯納者ノ住所氏名及滯納ノ金額等ヲ收稅官吏ニ報吿スヘシ
第九條 納稅人國稅其ノ他ノ公課ノ滯納ニ因リ滯納處分ヲ受ケ又ハ他ノ債務ノ爲メ强制執行若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ又ハ納稅人タル會社カ解散ヲ爲シタル場合ニ於テハ未タ納期ノ到ラサルモ左ニ揭クルモノハ國稅徵收法第四條第一項ニ依リ之ヲ徵收スヘシ但シ納期ニ到リ納稅ニ妨ナシト認ムルモノハ此ノ限ニアラス
第十條 國稅ノ滯納ニ因リ其ノ滯納處分ヲ執行スルニ際シ國稅徵收法第四條第一項ニ依リ國稅ヲ徵收セムトスル場合ニハ收稅官吏ハ滯納處分費滯納稅金ト共ニ之ヲ徵收スヘシ
前項ノ場合ニ於テ未タ納稅吿知書ヲ發セサルモノハ其ノ納金額ヲ滯納者ニ吿知スヘシ
第十一條 納稅人他ノ公課ノ爲メ滯納處分ヲ受ケ又ハ他ノ債務ノ爲メ强制執行若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ又ハ納稅人タル會社カ解㪚ヲ爲シタル場合ニ於テ國稅徵收法第四條第一項ニ依リ國稅ヲ徵收セムトスルトキハ收稅官吏ハ第三十八條第三十九條第四十條ニ準シテ其ノ稅金ノ交付ヲ求ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ未タ納稅吿知書ヲ發セサルモノハ其ノ納金額ヲ納稅人ニ吿知スヘシ
第十二條 國稅徵收法第九條ニ依リ納稅ノ督促ヲ爲サムトスルトキハ收稅官吏ハ滯納者ニ對シ督促狀ヲ發スヘシ
督促狀ヲ發シタルトキハ手數料トシテ一通每ニ金五錢ヲ徵收ス
第十三條 收稅官吏滯納者ノ財產差押ヲ爲ストキハ滯納處分費及稅金ニ充ツル金額ヲ限度トシ徵收ニ便利ナリト認ムル財產ヲ差押フヘシ
第十四條 質權又ハ抵當權ノ設定セラレタル財產ヲ差押フルトキハ收稅官吏ハ滯納處分費及稅金額等ヲ示シ之ヲ其ノ債權者ニ通知スヘシ
第十五條 國稅徵收法第三條ニ依リ國稅ノ徵收ニ對シ先取權ヲ有スル債權者前條ノ通知ヲ受ケ其ノ權利ヲ行使セムトスルトキハ證憑書類ヲ添付シテ其ノ事實ヲ證明スヘシ
前項ノ場合ニ於テ提出スヘキ公正證書ハ官吏又ハ公吏其ノ職權ヲ以テ調製シタルモノトス
第十六條 債權ヲ差押ヘタルトキハ收稅官吏之ヲ債務者ニ通知シ滯納處分費及稅金ニ相當スル金額ヲ債務辨濟ノ時期ニ納付スルコトヲ求ムヘシ
第十七條 天然及法定ノ果實ヲ生スヘキ財產ヲ差押ヘタルトキ第三者ヨリ果實ノ引渡又ハ仕拂ヲ受クヘキ場合ニハ收稅官吏ハ其ノ旨ヲ第三者ニ通知スヘシ
第十八條 民事訴訟法ニ依レル假差押ヲ受ケタル財產ヲ差押フルトキハ之ヲ執行裁判所又ハ執達吏若ハ强制管理人ニ通知スヘシ
第十九條 差押フヘキ財產管轄區域外ニ在ルトキハ收稅官吏ハ其ノ財產所在地ノ收稅官吏ニ滯納處分ノ引繼ヲ爲スヘシ
第二十條 差押フヘキ財產數人ノ共有ニ係ルトキハ滯納者ニ屬スル持分ニ就キ滯納處分ヲ爲シ其ノ持分ノ定メナキモノハ持分相均シキモノトシテ處分スヘシ
第二十一條 國稅徵收法第二十九條ニ依リ無限責任社員ニ就キ滯納處分ヲ爲ストキハ收稅官吏ハ無限責任社員ノ一人ニ對シ又ハ同時若ハ順次ニ總員ニ對シ之ヲ執行スヘシ
第二十二條 數人共同ノ所有物件又ハ事業ニ係ル稅金ノ滯納ヲ爲シタル場合ニ於テハ各自ノ負擔ニ屬スル金額ニ就キ滯納處分ヲ爲スヘシ但シ數人連帶シテ納稅義務ヲ負擔スル場合ニハ前條ノ例ニ依ル
第二十三條 收稅官吏財產ヲ差押ヘタル場合ニ於テ滯納者又ハ第三者ヨリ滯納處分費及稅金ヲ完納シタルトキハ其ノ財產ノ差押ヲ解クヘシ
第二十四條 收稅官吏財產ヲ差押ヘタルトキハ差押調書二通ヲ調製シ立會人ト共ニ之ニ署名捺印シ其ノ一通ハ立會人ニ交付スヘシ但シ立會人ニ於テ署名捺印ヲ拒ミ又ハ署名捺印スルコト能ハサルトキハ其ノ理由ヲ附記スヘシ
前項差押調書ニハ左ノ諸件ヲ記載スヘシ
二 差押財產ノ名稱、數量、性質、重要ナル事情竝所在ヲ明ニスル事項
第二十五條 不動產及船舶ヲ差押ヘタルトキハ收稅官吏之ヲ所轄登記所ニ照會シテ差押ノ登記ヲ受クヘシ
第二十六條 差押ヘタル財產ヲ公賣セムトスルトキハ三日以上差押財產所在地ノ市役所區役所町村役場若ハ戶長役場ノ揭示場ニ公吿スヘシ
前項公吿ノ外仍必要ト認ムルトキハ便宜他ノ場所若ハ新聞紙ニ公吿スヘシ
第二十七條 財產公賣ノ公吿ニハ左ノ諸件ヲ記載スヘシ
二 公賣財產ノ名稱、數量、性質、重要ナル事情竝所在ヲ明ニスル事項
第二十八條 國稅徵收法第二十五條ニ依リ隨意契約ヲ以テ差押財產ヲ賣却セムトスルトキハ見積價格ヲ示シテ豫メ其ノ旨ヲ滯納者ニ通知スヘシ
第二十九條 公賣ハ入札又ハ競賣ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第三十條 差押財產ヲ公賣スル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ加入保證金又ハ契約保證金ヲ徵スヘシ
落札者又ハ買受人義務ヲ履行セサルトキハ其ノ保證金ハ之ヲ滯納處分費ニ充テ仍殘餘アレハ政府ノ所得トス
第三十一條 公賣ハ差押財產所在ノ市區町村內ニ於テ之ヲ爲スヘシ但シ收稅官吏必要ト認ムルトキハ他ノ地方ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
第三十二條 公賣ハ公吿ノ翌日ヨリ少クトモ十日ノ期間ヲ過キ之ヲ執行スヘシ但シ其ノ物件不相應ノ保存費ヲ要スルモノ若ハ著シク其ノ價格ヲ減損スルノ恐レアルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十三條 差押財產ヲ公賣セムトスルトキハ收稅官吏ニ於テ其ノ財產ノ價格ヲ見積リ之ヲ封書トシ公賣ノ場所ニ置クヘシ
第三十四條 入札ノ方法ヲ以テ公賣ニ付スル場合ニ於テ落札トナルヘキ同價ノ入札ヲ爲シタル者二名以上アルトキハ其ノ同價ノ入札人ヲシテ追加入札ヲ爲サシメ落札者ヲ定ム追加入札ノ價額仍同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五條 差押財產ヲ公賣ニ付スルモ買受望人ナキトキ又ハ見積價格以上ノ入札人ナキトキハ更ニ公吿シテ公賣ヲ爲スコトアルヘシ
第三十六條 公賣財產ノ買受人代金納付ノ期限マテニ其ノ代金ヲ完納セサルトキハ其ノ賣買ハ無效トシ收稅官吏公吿シテ更ニ之ヲ公賣ニ付スヘシ
第三十七條 前二條ニ依リ再度ノ公賣ヲ爲ス場合ニ於テハ第三十二條ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得
第三十八條 國稅ノ滯納者他ノ公課ノ爲メ滯納處分ヲ受ケ其ノ財產ヲ差押ヘラレタル場合ニ於テ滯納處分ヲ執行スルトキ他ニ差押フヘキ財產ナキカ又ハ差押フヘキ財產アルモ滯納處分費及稅金ニ充ツルニ足ラスト認ムルトキハ收稅官吏ハ他ノ公課ニ係ル滯納處分ヲ執行スル官廳又ハ公共團體ニ滯納處分費及稅金ノ全部又ハ一部ノ交付ヲ求ムヘシ
第三十九條 國稅ノ滯納者他ノ債務ノ爲メ强制執行ヲ受ケ其ノ財產ヲ差押ヘラレタル場合ニ於テ滯納處分ヲ執行スルトキ他ニ差押フヘキ財產ナキカ又ハ差押フヘキ財產アルモ滯納處分費及稅金ニ充ツルニ足ラスト認ムルトキハ收稅官吏ハ執行裁判所又ハ執達吏若ハ强制管理人ニ滯納處分費及稅金ノ全部又ハ一部ノ交付ヲ求ムヘシ
第四十條 滯納者破產ノ宣吿ヲ受ケ又ハ滯納者タル會社カ解㪚ヲ爲シタル場合ニ於テ滯納處分ヲ執行スルトキハ收稅官吏ハ破產主任官又ハ淸算人ニ滯納處分費及稅金ノ交付ヲ求ムヘシ
第四十一條 滯納處分ヲ結了シタルトキハ收稅官吏ハ其ノ處分ニ關スル計算書ヲ作リ之ヲ滯納者ニ交付スヘシ
賣却シタル財產ニ對シ質權又ハ抵當權ヲ有スル者ハ其ノ計算ニ關スル記錄ノ閱覽ヲ收稅官吏ニ求ムルコトヲ得
第四十二條 國稅徵收法第二十八條第二項ニ依リ債權者ニ交付スヘキ金額ハ計算書ヲ滯納者ニ交付シタル日ヨリ五日ヲ經テ之ヲ交付スヘシ
第四十三條 滯納處分ニ關スル書類ノ送達ハ使丁又ハ書留郵便ヲ以テスヘシ
第四十四條 國稅徵收法第三十條第二項ノ公吿ハ名宛人ノ住所又ハ事務所所在地ノ市役所區役所町村役場若ハ戶長役場ノ揭示場ニ三日以上揭示シ仍必要アリト認ムルトキハ新聞紙ニ公吿スヘシ