国税徴収法施行規則
法令番号: 勅令第二百二十一號
公布年月日: 明治30年6月25日
法令の形式: 勅令
朕國稅徵收法施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年六月二十二日
大藏大臣 伯爵 松方正義
勅令第二百二十一號
國稅徵收法施行規則
第一條 收稅官吏國稅ヲ徵收セムトスルトキハ納稅人ニ對シ其ノ納金額納期日及納付場所ヲ記載シタル納稅吿知書ヲ發スヘシ
第二條 各市町村ニ於テ徵收スヘキ國稅ハ收稅官吏其ノ金額ヲ調査シ之ヲ市町村ニ通知スヘシ
市町村ハ前項ノ通知ニ依リ納稅人ニ對シ其ノ納金額納期日及納付場所ヲ記載シタル納稅吿知書ヲ發スヘシ
第三條 納稅人納稅吿知書ヲ受ケタルトキハ稅金ニ納稅吿知書ヲ添ヘ之ヲ指定ノ場所ニ納付スヘシ
第四條 市町村ニ於テ稅金ヲ領收シタルトキハ領收證書ヲ納稅人ニ交付スヘシ
第五條 市町村ノ領收シタル稅金ハ送付書ヲ添ヘ之ヲ金庫ニ送付スヘシ
第六條 市町村ニ於テ徵收シタル稅金ハ遲滯ナク漸次之ヲ金庫ニ送付シ遲クトモ納期後三日ヲ過クルコトナカルヘシ
第七條 市町村ニ於テ國稅徵收法第八條ニ依リ稅金送付ノ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ經由シテ大藏大臣ニ申出ヘシ
前項ノ申出アリタルトキハ地方長官事實ヲ調査シ意見ヲ具シテ大藏大臣ニ送付スヘシ
第八條 市町村ハ納期內ニ稅金ノ徵收ヲ了ラサルモノアルトキハ納期後五日以內ニ其ノ滯納者ノ住所氏名及滯納ノ金額等ヲ收稅官吏ニ報吿スヘシ
第九條 納稅人國稅其ノ他ノ公課ノ滯納ニ因リ滯納處分ヲ受ケ又ハ他ノ債務ノ爲メ强制執行若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ又ハ納稅人タル會社カ解散ヲ爲シタル場合ニ於テハ未タ納期ノ到ラサルモ左ニ揭クルモノハ國稅徵收法第四條第一項ニ依リ之ヲ徵收スヘシ但シ納期ニ到リ納稅ニ妨ナシト認ムルモノハ此ノ限ニアラス
一 納稅吿知書ヲ發シタル諸稅
二 造石數査定濟ノ酒類混成酒竝醬油ノ造石稅
三 當該年分ノ自家用酒製造稅
第十條 國稅ノ滯納ニ因リ其ノ滯納處分ヲ執行スルニ際シ國稅徵收法第四條第一項ニ依リ國稅ヲ徵收セムトスル場合ニハ收稅官吏ハ滯納處分費滯納稅金ト共ニ之ヲ徵收スヘシ
前項ノ場合ニ於テ未タ納稅吿知書ヲ發セサルモノハ其ノ納金額ヲ滯納者ニ吿知スヘシ
第十一條 納稅人他ノ公課ノ爲メ滯納處分ヲ受ケ又ハ他ノ債務ノ爲メ强制執行若ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ又ハ納稅人タル會社カ解㪚ヲ爲シタル場合ニ於テ國稅徵收法第四條第一項ニ依リ國稅ヲ徵收セムトスルトキハ收稅官吏ハ第三十八條第三十九條第四十條ニ準シテ其ノ稅金ノ交付ヲ求ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ未タ納稅吿知書ヲ發セサルモノハ其ノ納金額ヲ納稅人ニ吿知スヘシ
第十二條 國稅徵收法第九條ニ依リ納稅ノ督促ヲ爲サムトスルトキハ收稅官吏ハ滯納者ニ對シ督促狀ヲ發スヘシ
督促狀ヲ發シタルトキハ手數料トシテ一通每ニ金五錢ヲ徵收ス
第十三條 收稅官吏滯納者ノ財產差押ヲ爲ストキハ滯納處分費及稅金ニ充ツル金額ヲ限度トシ徵收ニ便利ナリト認ムル財產ヲ差押フヘシ
第十四條 質權又ハ抵當權ノ設定セラレタル財產ヲ差押フルトキハ收稅官吏ハ滯納處分費及稅金額等ヲ示シ之ヲ其ノ債權者ニ通知スヘシ
第十五條 國稅徵收法第三條ニ依リ國稅ノ徵收ニ對シ先取權ヲ有スル債權者前條ノ通知ヲ受ケ其ノ權利ヲ行使セムトスルトキハ證憑書類ヲ添付シテ其ノ事實ヲ證明スヘシ
前項ノ場合ニ於テ提出スヘキ公正證書ハ官吏又ハ公吏其ノ職權ヲ以テ調製シタルモノトス
第十六條 債權ヲ差押ヘタルトキハ收稅官吏之ヲ債務者ニ通知シ滯納處分費及稅金ニ相當スル金額ヲ債務辨濟ノ時期ニ納付スルコトヲ求ムヘシ
第十七條 天然及法定ノ果實ヲ生スヘキ財產ヲ差押ヘタルトキ第三者ヨリ果實ノ引渡又ハ仕拂ヲ受クヘキ場合ニハ收稅官吏ハ其ノ旨ヲ第三者ニ通知スヘシ
第十八條 民事訴訟法ニ依レル假差押ヲ受ケタル財產ヲ差押フルトキハ之ヲ執行裁判所又ハ執達吏若ハ强制管理人ニ通知スヘシ
第十九條 差押フヘキ財產管轄區域外ニ在ルトキハ收稅官吏ハ其ノ財產所在地ノ收稅官吏ニ滯納處分ノ引繼ヲ爲スヘシ
第二十條 差押フヘキ財產數人ノ共有ニ係ルトキハ滯納者ニ屬スル持分ニ就キ滯納處分ヲ爲シ其ノ持分ノ定メナキモノハ持分相均シキモノトシテ處分スヘシ
第二十一條 國稅徵收法第二十九條ニ依リ無限責任社員ニ就キ滯納處分ヲ爲ストキハ收稅官吏ハ無限責任社員ノ一人ニ對シ又ハ同時若ハ順次ニ總員ニ對シ之ヲ執行スヘシ
第二十二條 數人共同ノ所有物件又ハ事業ニ係ル稅金ノ滯納ヲ爲シタル場合ニ於テハ各自ノ負擔ニ屬スル金額ニ就キ滯納處分ヲ爲スヘシ但シ數人連帶シテ納稅義務ヲ負擔スル場合ニハ前條ノ例ニ依ル
第二十三條 收稅官吏財產ヲ差押ヘタル場合ニ於テ滯納者又ハ第三者ヨリ滯納處分費及稅金ヲ完納シタルトキハ其ノ財產ノ差押ヲ解クヘシ
第二十四條 收稅官吏財產ヲ差押ヘタルトキハ差押調書二通ヲ調製シ立會人ト共ニ之ニ署名捺印シ其ノ一通ハ立會人ニ交付スヘシ但シ立會人ニ於テ署名捺印ヲ拒ミ又ハ署名捺印スルコト能ハサルトキハ其ノ理由ヲ附記スヘシ
前項差押調書ニハ左ノ諸件ヲ記載スヘシ
一 滯納者ノ住所氏名
二 差押財產ノ名稱、數量、性質、重要ナル事情竝所在ヲ明ニスル事項
三 差押ノ事由
四 調書ヲ作リタル場所年月日
第二十五條 不動產及船舶ヲ差押ヘタルトキハ收稅官吏之ヲ所轄登記所ニ照會シテ差押ノ登記ヲ受クヘシ
第二十六條 差押ヘタル財產ヲ公賣セムトスルトキハ三日以上差押財產所在地ノ市役所區役所町村役場若ハ戶長役場ノ揭示場ニ公吿スヘシ
前項公吿ノ外仍必要ト認ムルトキハ便宜他ノ場所若ハ新聞紙ニ公吿スヘシ
第二十七條 財產公賣ノ公吿ニハ左ノ諸件ヲ記載スヘシ
一 滯納者ノ住所氏名
二 公賣財產ノ名稱、數量、性質、重要ナル事情竝所在ヲ明ニスル事項
三 入札又ハ競賣ノ場所、日時
四 開札ノ場所、日時
五 保證金ヲ徵スルトキハ其ノ金額
六 代金納付ノ期限
第二十八條 國稅徵收法第二十五條ニ依リ隨意契約ヲ以テ差押財產ヲ賣却セムトスルトキハ見積價格ヲ示シテ豫メ其ノ旨ヲ滯納者ニ通知スヘシ
第二十九條 公賣ハ入札又ハ競賣ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第三十條 差押財產ヲ公賣スル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ加入保證金又ハ契約保證金ヲ徵スヘシ
落札者又ハ買受人義務ヲ履行セサルトキハ其ノ保證金ハ之ヲ滯納處分費ニ充テ仍殘餘アレハ政府ノ所得トス
第三十一條 公賣ハ差押財產所在ノ市區町村內ニ於テ之ヲ爲スヘシ但シ收稅官吏必要ト認ムルトキハ他ノ地方ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ハ第二十八條ノ賣却ニ關シテモ之ヲ適用ス
第三十二條 公賣ハ公吿ノ翌日ヨリ少クトモ十日ノ期間ヲ過キ之ヲ執行スヘシ但シ其ノ物件不相應ノ保存費ヲ要スルモノ若ハ著シク其ノ價格ヲ減損スルノ恐レアルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十三條 差押財產ヲ公賣セムトスルトキハ收稅官吏ニ於テ其ノ財產ノ價格ヲ見積リ之ヲ封書トシ公賣ノ場所ニ置クヘシ
第三十四條 入札ノ方法ヲ以テ公賣ニ付スル場合ニ於テ落札トナルヘキ同價ノ入札ヲ爲シタル者二名以上アルトキハ其ノ同價ノ入札人ヲシテ追加入札ヲ爲サシメ落札者ヲ定ム追加入札ノ價額仍同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五條 差押財產ヲ公賣ニ付スルモ買受望人ナキトキ又ハ見積價格以上ノ入札人ナキトキハ更ニ公吿シテ公賣ヲ爲スコトアルヘシ
第三十六條 公賣財產ノ買受人代金納付ノ期限マテニ其ノ代金ヲ完納セサルトキハ其ノ賣買ハ無效トシ收稅官吏公吿シテ更ニ之ヲ公賣ニ付スヘシ
第三十七條 前二條ニ依リ再度ノ公賣ヲ爲ス場合ニ於テハ第三十二條ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得
第三十八條 國稅ノ滯納者他ノ公課ノ爲メ滯納處分ヲ受ケ其ノ財產ヲ差押ヘラレタル場合ニ於テ滯納處分ヲ執行スルトキ他ニ差押フヘキ財產ナキカ又ハ差押フヘキ財產アルモ滯納處分費及稅金ニ充ツルニ足ラスト認ムルトキハ收稅官吏ハ他ノ公課ニ係ル滯納處分ヲ執行スル官廳又ハ公共團體ニ滯納處分費及稅金ノ全部又ハ一部ノ交付ヲ求ムヘシ
第三十九條 國稅ノ滯納者他ノ債務ノ爲メ强制執行ヲ受ケ其ノ財產ヲ差押ヘラレタル場合ニ於テ滯納處分ヲ執行スルトキ他ニ差押フヘキ財產ナキカ又ハ差押フヘキ財產アルモ滯納處分費及稅金ニ充ツルニ足ラスト認ムルトキハ收稅官吏ハ執行裁判所又ハ執達吏若ハ强制管理人ニ滯納處分費及稅金ノ全部又ハ一部ノ交付ヲ求ムヘシ
第四十條 滯納者破產ノ宣吿ヲ受ケ又ハ滯納者タル會社カ解㪚ヲ爲シタル場合ニ於テ滯納處分ヲ執行スルトキハ收稅官吏ハ破產主任官又ハ淸算人ニ滯納處分費及稅金ノ交付ヲ求ムヘシ
第四十一條 滯納處分ヲ結了シタルトキハ收稅官吏ハ其ノ處分ニ關スル計算書ヲ作リ之ヲ滯納者ニ交付スヘシ
賣却シタル財產ニ對シ質權又ハ抵當權ヲ有スル者ハ其ノ計算ニ關スル記錄ノ閱覽ヲ收稅官吏ニ求ムルコトヲ得
第四十二條 國稅徵收法第二十八條第二項ニ依リ債權者ニ交付スヘキ金額ハ計算書ヲ滯納者ニ交付シタル日ヨリ五日ヲ經テ之ヲ交付スヘシ
第四十三條 滯納處分ニ關スル書類ノ送達ハ使丁又ハ書留郵便ヲ以テスヘシ
第四十四條 國稅徵收法第三十條第二項ノ公吿ハ名宛人ノ住所又ハ事務所所在地ノ市役所區役所町村役場若ハ戶長役場ノ揭示場ニ三日以上揭示シ仍必要アリト認ムルトキハ新聞紙ニ公吿スヘシ
附 則
第四十五條 市制町村制ヲ施行セサル地方稅務署所在地ヲ除クノ戶長ハ稅務署收稅官吏ノ通知ヲ受ケ其ノ町村內ノ國稅酒類造石稅ヲ除クヲ徵收シ之ヲ金庫ニ拂込ムヘシ
第四十六條 北海道水產稅ハ水產物營業人組合ニ於テ徵收シ之ヲ金庫ニ送付スヘシ
第四十七條 前二條ニ依リ徵收スヘキ國稅ヲ其ノ納期內ニ完納セサル者アルトキハ戶長若ハ水產物營業人組合ハ本則中ニ規定セル市町村ノ例ニ準シ之ヲ稅務署收稅官吏ニ報吿スヘシ
朕国税徴収法施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年六月二十二日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
勅令第二百二十一号
国税徴収法施行規則
第一条 収税官吏国税ヲ徴収セムトスルトキハ納税人ニ対シ其ノ納金額納期日及納付場所ヲ記載シタル納税告知書ヲ発スヘシ
第二条 各市町村ニ於テ徴収スヘキ国税ハ収税官吏其ノ金額ヲ調査シ之ヲ市町村ニ通知スヘシ
市町村ハ前項ノ通知ニ依リ納税人ニ対シ其ノ納金額納期日及納付場所ヲ記載シタル納税告知書ヲ発スヘシ
第三条 納税人納税告知書ヲ受ケタルトキハ税金ニ納税告知書ヲ添ヘ之ヲ指定ノ場所ニ納付スヘシ
第四条 市町村ニ於テ税金ヲ領収シタルトキハ領収証書ヲ納税人ニ交付スヘシ
第五条 市町村ノ領収シタル税金ハ送付書ヲ添ヘ之ヲ金庫ニ送付スヘシ
第六条 市町村ニ於テ徴収シタル税金ハ遅滞ナク漸次之ヲ金庫ニ送付シ遅クトモ納期後三日ヲ過クルコトナカルヘシ
第七条 市町村ニ於テ国税徴収法第八条ニ依リ税金送付ノ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ経由シテ大蔵大臣ニ申出ヘシ
前項ノ申出アリタルトキハ地方長官事実ヲ調査シ意見ヲ具シテ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第八条 市町村ハ納期内ニ税金ノ徴収ヲ了ラサルモノアルトキハ納期後五日以内ニ其ノ滞納者ノ住所氏名及滞納ノ金額等ヲ収税官吏ニ報告スヘシ
第九条 納税人国税其ノ他ノ公課ノ滞納ニ因リ滞納処分ヲ受ケ又ハ他ノ債務ノ為メ強制執行若ハ破産ノ宣告ヲ受ケ又ハ納税人タル会社カ解散ヲ為シタル場合ニ於テハ未タ納期ノ到ラサルモ左ニ掲クルモノハ国税徴収法第四条第一項ニ依リ之ヲ徴収スヘシ但シ納期ニ到リ納税ニ妨ナシト認ムルモノハ此ノ限ニアラス
一 納税告知書ヲ発シタル諸税
二 造石数査定済ノ酒類混成酒並醬油ノ造石税
三 当該年分ノ自家用酒製造税
第十条 国税ノ滞納ニ因リ其ノ滞納処分ヲ執行スルニ際シ国税徴収法第四条第一項ニ依リ国税ヲ徴収セムトスル場合ニハ収税官吏ハ滞納処分費滞納税金ト共ニ之ヲ徴収スヘシ
前項ノ場合ニ於テ未タ納税告知書ヲ発セサルモノハ其ノ納金額ヲ滞納者ニ告知スヘシ
第十一条 納税人他ノ公課ノ為メ滞納処分ヲ受ケ又ハ他ノ債務ノ為メ強制執行若ハ破産ノ宣告ヲ受ケ又ハ納税人タル会社カ解散ヲ為シタル場合ニ於テ国税徴収法第四条第一項ニ依リ国税ヲ徴収セムトスルトキハ収税官吏ハ第三十八条第三十九条第四十条ニ準シテ其ノ税金ノ交付ヲ求ムヘシ
前項ノ場合ニ於テ未タ納税告知書ヲ発セサルモノハ其ノ納金額ヲ納税人ニ告知スヘシ
第十二条 国税徴収法第九条ニ依リ納税ノ督促ヲ為サムトスルトキハ収税官吏ハ滞納者ニ対シ督促状ヲ発スヘシ
督促状ヲ発シタルトキハ手数料トシテ一通毎ニ金五銭ヲ徴収ス
第十三条 収税官吏滞納者ノ財産差押ヲ為ストキハ滞納処分費及税金ニ充ツル金額ヲ限度トシ徴収ニ便利ナリト認ムル財産ヲ差押フヘシ
第十四条 質権又ハ抵当権ノ設定セラレタル財産ヲ差押フルトキハ収税官吏ハ滞納処分費及税金額等ヲ示シ之ヲ其ノ債権者ニ通知スヘシ
第十五条 国税徴収法第三条ニ依リ国税ノ徴収ニ対シ先取権ヲ有スル債権者前条ノ通知ヲ受ケ其ノ権利ヲ行使セムトスルトキハ証憑書類ヲ添付シテ其ノ事実ヲ証明スヘシ
前項ノ場合ニ於テ提出スヘキ公正証書ハ官吏又ハ公吏其ノ職権ヲ以テ調製シタルモノトス
第十六条 債権ヲ差押ヘタルトキハ収税官吏之ヲ債務者ニ通知シ滞納処分費及税金ニ相当スル金額ヲ債務弁済ノ時期ニ納付スルコトヲ求ムヘシ
第十七条 天然及法定ノ果実ヲ生スヘキ財産ヲ差押ヘタルトキ第三者ヨリ果実ノ引渡又ハ仕払ヲ受クヘキ場合ニハ収税官吏ハ其ノ旨ヲ第三者ニ通知スヘシ
第十八条 民事訴訟法ニ依レル仮差押ヲ受ケタル財産ヲ差押フルトキハ之ヲ執行裁判所又ハ執達吏若ハ強制管理人ニ通知スヘシ
第十九条 差押フヘキ財産管轄区域外ニ在ルトキハ収税官吏ハ其ノ財産所在地ノ収税官吏ニ滞納処分ノ引継ヲ為スヘシ
第二十条 差押フヘキ財産数人ノ共有ニ係ルトキハ滞納者ニ属スル持分ニ就キ滞納処分ヲ為シ其ノ持分ノ定メナキモノハ持分相均シキモノトシテ処分スヘシ
第二十一条 国税徴収法第二十九条ニ依リ無限責任社員ニ就キ滞納処分ヲ為ストキハ収税官吏ハ無限責任社員ノ一人ニ対シ又ハ同時若ハ順次ニ総員ニ対シ之ヲ執行スヘシ
第二十二条 数人共同ノ所有物件又ハ事業ニ係ル税金ノ滞納ヲ為シタル場合ニ於テハ各自ノ負担ニ属スル金額ニ就キ滞納処分ヲ為スヘシ但シ数人連帯シテ納税義務ヲ負担スル場合ニハ前条ノ例ニ依ル
第二十三条 収税官吏財産ヲ差押ヘタル場合ニ於テ滞納者又ハ第三者ヨリ滞納処分費及税金ヲ完納シタルトキハ其ノ財産ノ差押ヲ解クヘシ
第二十四条 収税官吏財産ヲ差押ヘタルトキハ差押調書二通ヲ調製シ立会人ト共ニ之ニ署名捺印シ其ノ一通ハ立会人ニ交付スヘシ但シ立会人ニ於テ署名捺印ヲ拒ミ又ハ署名捺印スルコト能ハサルトキハ其ノ理由ヲ附記スヘシ
前項差押調書ニハ左ノ諸件ヲ記載スヘシ
一 滞納者ノ住所氏名
二 差押財産ノ名称、数量、性質、重要ナル事情並所在ヲ明ニスル事項
三 差押ノ事由
四 調書ヲ作リタル場所年月日
第二十五条 不動産及船舶ヲ差押ヘタルトキハ収税官吏之ヲ所轄登記所ニ照会シテ差押ノ登記ヲ受クヘシ
第二十六条 差押ヘタル財産ヲ公売セムトスルトキハ三日以上差押財産所在地ノ市役所区役所町村役場若ハ戸長役場ノ掲示場ニ公告スヘシ
前項公告ノ外仍必要ト認ムルトキハ便宜他ノ場所若ハ新聞紙ニ公告スヘシ
第二十七条 財産公売ノ公告ニハ左ノ諸件ヲ記載スヘシ
一 滞納者ノ住所氏名
二 公売財産ノ名称、数量、性質、重要ナル事情並所在ヲ明ニスル事項
三 入札又ハ競売ノ場所、日時
四 開札ノ場所、日時
五 保証金ヲ徴スルトキハ其ノ金額
六 代金納付ノ期限
第二十八条 国税徴収法第二十五条ニ依リ随意契約ヲ以テ差押財産ヲ売却セムトスルトキハ見積価格ヲ示シテ予メ其ノ旨ヲ滞納者ニ通知スヘシ
第二十九条 公売ハ入札又ハ競売ノ方法ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第三十条 差押財産ヲ公売スル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ加入保証金又ハ契約保証金ヲ徴スヘシ
落札者又ハ買受人義務ヲ履行セサルトキハ其ノ保証金ハ之ヲ滞納処分費ニ充テ仍残余アレハ政府ノ所得トス
第三十一条 公売ハ差押財産所在ノ市区町村内ニ於テ之ヲ為スヘシ但シ収税官吏必要ト認ムルトキハ他ノ地方ニ於テ之ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ハ第二十八条ノ売却ニ関シテモ之ヲ適用ス
第三十二条 公売ハ公告ノ翌日ヨリ少クトモ十日ノ期間ヲ過キ之ヲ執行スヘシ但シ其ノ物件不相応ノ保存費ヲ要スルモノ若ハ著シク其ノ価格ヲ減損スルノ恐レアルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十三条 差押財産ヲ公売セムトスルトキハ収税官吏ニ於テ其ノ財産ノ価格ヲ見積リ之ヲ封書トシ公売ノ場所ニ置クヘシ
第三十四条 入札ノ方法ヲ以テ公売ニ付スル場合ニ於テ落札トナルヘキ同価ノ入札ヲ為シタル者二名以上アルトキハ其ノ同価ノ入札人ヲシテ追加入札ヲ為サシメ落札者ヲ定ム追加入札ノ価額仍同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五条 差押財産ヲ公売ニ付スルモ買受望人ナキトキ又ハ見積価格以上ノ入札人ナキトキハ更ニ公告シテ公売ヲ為スコトアルヘシ
第三十六条 公売財産ノ買受人代金納付ノ期限マテニ其ノ代金ヲ完納セサルトキハ其ノ売買ハ無効トシ収税官吏公告シテ更ニ之ヲ公売ニ付スヘシ
第三十七条 前二条ニ依リ再度ノ公売ヲ為ス場合ニ於テハ第三十二条ノ期間ヲ短縮スルコトヲ得
第三十八条 国税ノ滞納者他ノ公課ノ為メ滞納処分ヲ受ケ其ノ財産ヲ差押ヘラレタル場合ニ於テ滞納処分ヲ執行スルトキ他ニ差押フヘキ財産ナキカ又ハ差押フヘキ財産アルモ滞納処分費及税金ニ充ツルニ足ラスト認ムルトキハ収税官吏ハ他ノ公課ニ係ル滞納処分ヲ執行スル官庁又ハ公共団体ニ滞納処分費及税金ノ全部又ハ一部ノ交付ヲ求ムヘシ
第三十九条 国税ノ滞納者他ノ債務ノ為メ強制執行ヲ受ケ其ノ財産ヲ差押ヘラレタル場合ニ於テ滞納処分ヲ執行スルトキ他ニ差押フヘキ財産ナキカ又ハ差押フヘキ財産アルモ滞納処分費及税金ニ充ツルニ足ラスト認ムルトキハ収税官吏ハ執行裁判所又ハ執達吏若ハ強制管理人ニ滞納処分費及税金ノ全部又ハ一部ノ交付ヲ求ムヘシ
第四十条 滞納者破産ノ宣告ヲ受ケ又ハ滞納者タル会社カ解散ヲ為シタル場合ニ於テ滞納処分ヲ執行スルトキハ収税官吏ハ破産主任官又ハ清算人ニ滞納処分費及税金ノ交付ヲ求ムヘシ
第四十一条 滞納処分ヲ結了シタルトキハ収税官吏ハ其ノ処分ニ関スル計算書ヲ作リ之ヲ滞納者ニ交付スヘシ
売却シタル財産ニ対シ質権又ハ抵当権ヲ有スル者ハ其ノ計算ニ関スル記録ノ閲覧ヲ収税官吏ニ求ムルコトヲ得
第四十二条 国税徴収法第二十八条第二項ニ依リ債権者ニ交付スヘキ金額ハ計算書ヲ滞納者ニ交付シタル日ヨリ五日ヲ経テ之ヲ交付スヘシ
第四十三条 滞納処分ニ関スル書類ノ送達ハ使丁又ハ書留郵便ヲ以テスヘシ
第四十四条 国税徴収法第三十条第二項ノ公告ハ名宛人ノ住所又ハ事務所所在地ノ市役所区役所町村役場若ハ戸長役場ノ掲示場ニ三日以上掲示シ仍必要アリト認ムルトキハ新聞紙ニ公告スヘシ
附 則
第四十五条 市制町村制ヲ施行セサル地方税務署所在地ヲ除クノ戸長ハ税務署収税官吏ノ通知ヲ受ケ其ノ町村内ノ国税酒類造石税ヲ除クヲ徴収シ之ヲ金庫ニ払込ムヘシ
第四十六条 北海道水産税ハ水産物営業人組合ニ於テ徴収シ之ヲ金庫ニ送付スヘシ
第四十七条 前二条ニ依リ徴収スヘキ国税ヲ其ノ納期内ニ完納セサル者アルトキハ戸長若ハ水産物営業人組合ハ本則中ニ規定セル市町村ノ例ニ準シ之ヲ税務署収税官吏ニ報告スヘシ