朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル供託法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年二月七日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
大藏大臣 伯爵 松方正義
司法大臣 淸浦奎吾
法律第十五號
供託法
第一條 法令ノ規定ニ依リテ供託スル金錢及ヒ有價證券ハ金庫ニ於テ之ヲ保管ス
第二條 金庫ニ供託ヲ爲サント欲スル者ハ大藏大臣カ定メタル書式ニ依リテ供託書ヲ作リ供託物ニ添ヘテ之ヲ差出タスコトヲ要ス
第三條 金庫ハ金錢ノ供託ヲ受ケタル翌月ヨリ拂渡請求ノ前月マテ大藏大臣カ定メタル利息ヲ拂フコトヲ要ス
第四條 金庫ハ供託物ヲ受取ルヘキ者ノ請求ニ因リ供託ノ目的タル有價證券ノ償還金、利息又ハ配當金ヲ受取リ供託物ニ代ヘ又ハ其從トシテ之ヲ保管ス但保證金ニ代ヘテ有價證券ヲ供託シタル場合ニ於テハ供託者ハ其利息又ハ配當金ノ拂渡ヲ請求スルコトヲ得
第五條 司法大臣ハ法令ノ規定ニ依リテ供託スル金錢又ハ有價證券ニ非サル物品ヲ保管スヘキ倉庫營業者ヲ指定スルコトヲ得
倉庫營業者ハ其營業ノ部類ニ屬スル物ニシテ其保管シ得ヘキ數量ニ限リ之ヲ保管スル義務ヲ負フ
第六條 倉庫營業者ニ供託ヲ爲サント欲スル者ハ司法大臣カ定メタル書式ニ依リテ供託書ヲ作リ供託物ニ添ヘテ之ヲ交付スルコトヲ要ス
第七條 倉庫營業者ハ供託物ヲ受取ルヘキ者ニ對シ一般ニ同種ノ物ニ付テ請求スル保管料ヲ請求スルコトヲ得
第八條 供託物ハ供託者カ指定シタル者又ハ法令若クハ裁判ニ依リテ定マリタル者ニ之ヲ還付ス
供託者ハ民法第四百九十六條ノ規定ニ依レルコト、供託カ錯誤ニ出テシコト又ハ其原因カ消滅シタルコトヲ證明スルニ非サレハ供託物ヲ取戾スコトヲ得ス
第九條 供託者カ供託物ヲ受取ル權利ヲ有セサル者ヲ指定シタルトキハ其供託ハ無效トス
第十條 供託物ヲ受取ルヘキ者カ反對給付ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ供託所ニ其給付ヲ爲シ又ハ供託者ノ書面若クハ裁判ニ依リ其給付アリタルコトヲ證明スルニ非サレハ供託物ヲ受取ルコトヲ得ス
附 則
第十一條 本法ハ明治三十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十二條 本法施行前ニ供託シタル金錢ニハ其施行ノ月ヨリ拂渡請求ノ前月マテ第三條ノ利息ヲ附スルコトヲ要ス
第十三條 第四條、第八條及ヒ第十條ノ規定ハ本法施行前ニ供託シタル物ニモ亦之ヲ適用ス
第十四條 明治二十三年勅令第百四十五號供託規則ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル供託法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年二月七日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
大蔵大臣 伯爵 松方正義
司法大臣 清浦奎吾
法律第十五号
供託法
第一条 法令ノ規定ニ依リテ供託スル金銭及ヒ有価証券ハ金庫ニ於テ之ヲ保管ス
第二条 金庫ニ供託ヲ為サント欲スル者ハ大蔵大臣カ定メタル書式ニ依リテ供託書ヲ作リ供託物ニ添ヘテ之ヲ差出タスコトヲ要ス
第三条 金庫ハ金銭ノ供託ヲ受ケタル翌月ヨリ払渡請求ノ前月マテ大蔵大臣カ定メタル利息ヲ払フコトヲ要ス
第四条 金庫ハ供託物ヲ受取ルヘキ者ノ請求ニ因リ供託ノ目的タル有価証券ノ償還金、利息又ハ配当金ヲ受取リ供託物ニ代ヘ又ハ其従トシテ之ヲ保管ス但保証金ニ代ヘテ有価証券ヲ供託シタル場合ニ於テハ供託者ハ其利息又ハ配当金ノ払渡ヲ請求スルコトヲ得
第五条 司法大臣ハ法令ノ規定ニ依リテ供託スル金銭又ハ有価証券ニ非サル物品ヲ保管スヘキ倉庫営業者ヲ指定スルコトヲ得
倉庫営業者ハ其営業ノ部類ニ属スル物ニシテ其保管シ得ヘキ数量ニ限リ之ヲ保管スル義務ヲ負フ
第六条 倉庫営業者ニ供託ヲ為サント欲スル者ハ司法大臣カ定メタル書式ニ依リテ供託書ヲ作リ供託物ニ添ヘテ之ヲ交付スルコトヲ要ス
第七条 倉庫営業者ハ供託物ヲ受取ルヘキ者ニ対シ一般ニ同種ノ物ニ付テ請求スル保管料ヲ請求スルコトヲ得
第八条 供託物ハ供託者カ指定シタル者又ハ法令若クハ裁判ニ依リテ定マリタル者ニ之ヲ還付ス
供託者ハ民法第四百九十六条ノ規定ニ依レルコト、供託カ錯誤ニ出テシコト又ハ其原因カ消滅シタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ取戻スコトヲ得ス
第九条 供託者カ供託物ヲ受取ル権利ヲ有セサル者ヲ指定シタルトキハ其供託ハ無効トス
第十条 供託物ヲ受取ルヘキ者カ反対給付ヲ為スヘキ場合ニ於テハ供託所ニ其給付ヲ為シ又ハ供託者ノ書面若クハ裁判ニ依リ其給付アリタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ受取ルコトヲ得ス
附 則
第十一条 本法ハ明治三十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十二条 本法施行前ニ供託シタル金銭ニハ其施行ノ月ヨリ払渡請求ノ前月マテ第三条ノ利息ヲ附スルコトヲ要ス
第十三条 第四条、第八条及ヒ第十条ノ規定ハ本法施行前ニ供託シタル物ニモ亦之ヲ適用ス
第十四条 明治二十三年勅令第百四十五号供託規則ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス