独立行政法人宇宙航空研究開発機構法
法令番号: 法律第161号
公布年月日: 平成14年12月13日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

特殊法人等改革基本法に基づき設置された特殊法人等改革推進本部が策定した特殊法人等整理合理化計画の実施の一環として、42の特殊法人等について、法人を解散、または事業を見直した上で残る事業を独立行政法人に承継するとともに、7つの特殊法人等の民営化等を行うため、新たに設立する独立行政法人に係る独立行政法人個別法及び関係法律の整備を行う必要がある。

参照した発言:
第155回国会 衆議院 特殊法人等改革に関する特別委員会 第2号

審議経過

第155回国会

衆議院
(平成14年11月19日)
参議院
(平成14年11月20日)
(平成14年11月21日)
(平成14年11月26日)
(平成14年12月3日)
(平成14年12月5日)
(平成14年12月6日)
独立行政法人宇宙航空研究開発機構法をここに公布する。
御名御璽
平成十四年十二月十三日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第百六十一号
独立行政法人宇宙航空研究開発機構法
目次
第一章
総則(第一条―第八条)
第二章
役員及び職員(第九条―第十七条)
第三章
業務等(第十八条―第二十三条)
第四章
雑則(第二十四条―第二十九条)
第五章
罰則(第三十条・第三十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「宇宙科学」とは、宇宙理学及び宇宙工学の学理及びその応用をいう。
2 この法律において「基盤的研究開発」とは、研究及び開発(以下「研究開発」という。)であって次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 科学技術に関する共通的な研究開発
二 科学技術に関する研究開発であって、国の試験研究機関又は研究開発を行う独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)に重複して設置することが多額の経費を要するため適当でないと認められる施設及び設備を必要とするもの
三 科学技術に関する研究開発であって、多数部門の協力を要する総合的なもの
3 この法律において「人工衛星等」とは、人工衛星(地球を回る軌道の外に打ち上げられる飛しょう体及び天体上に置かれる人工の物体を含む。)及びその打上げ用ロケットをいう。
(名称)
第三条 この法律及び通則法の定めるところにより設立される独立行政法人の名称は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構とする。
(機構の目的)
第四条 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「機構」という。)は、大学との共同等による宇宙科学に関する学術研究、宇宙科学技術(宇宙に関する科学技術をいう。以下同じ。)に関する基礎研究及び宇宙に関する基盤的研究開発並びに人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用並びにこれらに関連する業務を、平和の目的に限り、総合的かつ計画的に行うとともに、航空科学技術に関する基礎研究及び航空に関する基盤的研究開発並びにこれらに関連する業務を総合的に行うことにより、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的とする。
(事務所)
第五条 機構は、主たる事務所を東京都に置く。
(資本金)
第六条 機構の資本金は、附則第十一条第一項及び第三項から第五項までの規定により政府及び政府以外の者から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 機構は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定により機構がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に出資することができる。
4 政府は、機構に出資するときは、土地又は建物その他の土地の定着物(次項において「土地等」という。)を出資の目的とすることができる。
5 前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
6 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(出資証券)
第七条 機構は、出資に対し、出資証券を発行する。
2 出資証券は、記名式とする。
3 前項に規定するもののほか、出資証券に関し必要な事項は、政令で定める。
(持分の払戻し等の禁止)
第八条 機構は、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 機構は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
第二章 役員及び職員
(役員)
第九条 機構に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。
2 機構に、役員として、副理事長一人及び理事七人以内を置くことができる。
(副理事長及び理事の職務及び権限等)
第十条 副理事長は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長(副理事長が置かれているときは、理事長及び副理事長)を補佐して機構の業務を掌理する。
3 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、副理事長とする。ただし、副理事長が置かれていない場合であって理事が置かれているときは理事、副理事長及び理事が置かれていないときは監事とする。
4 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
(役員の任命の際の宇宙開発委員会の同意等)
第十一条 文部科学大臣は、通則法第二十条第一項の規定により理事長を任命しようとするときは、あらかじめ、宇宙開発委員会の同意を得なければならない。
2 文部科学大臣は、通則法第二十条第二項の規定により監事を任命しようとするときは、あらかじめ、宇宙開発委員会の意見を聴かなければならない。
(役員の任期)
第十二条 理事長の任期は、任命の日から、その日を含む機構に係る通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下「中期目標の期間」という。)の末日までとする。
2 通則法第二十九条第一項後段の規定により同項に規定する中期目標(以下「中期目標」という。)が変更された場合において中期目標の期間が変更されたときは、理事長の任期は、変更後の中期目標の期間の末日までとする。
3 副理事長及び理事の任期は、当該副理事長及び理事について理事長が定める期間(その末日が理事長の任期の末日以前であるものに限る。)とする。
4 第二項の規定により理事長の任期が変更された場合において、副理事長又は理事の任期の末日が理事長の任期の末日後となるときは、当該副理事長又は理事の任期は、変更後の理事長の任期の末日までとする。
5 監事の任期は、二年とする。
(役員の欠格条項の特例)
第十三条 通則法第二十二条の規定にかかわらず、教育公務員で政令で定めるもの(次条各号のいずれかに該当する者を除く。)は、非常勤の理事又は監事となることができる。
第十四条 通則法第二十二条に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
一 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であって機構と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
二 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
第十五条 機構の理事長及び副理事長の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条及び独立行政法人宇宙航空研究開発機構法第十四条」とする。
2 機構の理事及び監事の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「前条並びに独立行政法人宇宙航空研究開発機構法第十三条及び第十四条」とする。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十六条 機構の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第十七条 機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務等
(業務の範囲等)
第十八条 機構は、第四条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 大学との共同その他の方法による宇宙科学に関する学術研究を行うこと。
二 宇宙科学技術及び航空科学技術に関する基礎研究並びに宇宙及び航空に関する基盤的研究開発を行うこと。
三 人工衛星等の開発並びにこれに必要な施設及び設備の開発を行うこと。
四 人工衛星等の打上げ、追跡及び運用並びにこれらに必要な方法、施設及び設備の開発を行うこと。
五 前各号に掲げる業務に係る成果を普及し、及びその活用を促進すること。
六 機構の施設及び設備を学術研究、科学技術に関する研究開発並びに宇宙の開発及び利用を行う者の利用に供すること。
七 宇宙科学並びに宇宙科学技術及び航空科学技術に関する研究者及び技術者を養成し、及びその資質の向上を図ること。
八 大学の要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力すること。
九 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 機構は、前項第四号に規定する人工衛星等の打上げの業務を行う場合には、主務大臣の認可を受けて定める基準に従わなければならない。
(宇宙開発に関する長期的な計画)
第十九条 主務大臣は、中期目標(航空科学技術に関する基礎研究及び航空に関する基盤的研究開発並びにこれらに関連する業務に係る部分を除く。)を定め、又は変更するに当たっては、宇宙開発委員会の議決を経て主務大臣が定める宇宙開発に関する長期的な計画に基づかなければならない。
(学術研究の特性への配慮)
第二十条 文部科学大臣は、中期目標(宇宙科学に関する学術研究及びこれに関連する業務に係る部分に限る。)を定め、又は変更するに当たっては、研究者の自主性の尊重その他の学術研究の特性への配慮をしなければならない。
(人工衛星等の打上げに係る保険契約の締結)
第二十一条 機構は、人工衛星等の打上げにより他人に生じた損害を賠償するために必要な金額を担保することができる保険契約を締結していなければ、人工衛星等の打上げを行ってはならない。
2 前項に規定する保険契約に係る保険金額は、被害者の保護等を図る観点から適切なものとなるよう、保険者の引受けの可能な額等を参酌して、主務大臣が定めるものとする。
3 機構が行う人工衛星等の打上げが委託に応じて行うもの(次条において「受託打上げ」という。)であるときは、第一項に規定する保険契約は、同項の規定にかかわらず、人工衛星等の打上げの委託者(次条において「打上げ委託者」という。)が、機構に代わって、機構のために締結することができる。
(受託打上げに関する特約)
第二十二条 機構は、受託打上げに係る契約を打上げ委託者との間で締結するときは、主務大臣の認可を受けて、受託打上げにより受託打上げ関係者以外の者に損害が生じた場合における損害賠償の責任に関し、次に掲げる内容の特約をすることができる。
一 機構が受託打上げにより受託打上げ関係者以外の者に生じた損害を賠償する責めに任ずべき場合において、当該受託打上げに係る受託打上げ関係者も同一の損害について賠償の責めに任ずべきときは、機構が当該受託打上げ関係者の損害賠償の責任の全部を負担するものとすること。
二 前号の場合において、その損害が受託打上げ関係者の故意により生じたものであるときは、機構は、その者に対して求償権を有するものとすること。
2 前項において「受託打上げ関係者」とは、打上げ委託者並びに受託打上げに関係を有する者として機構及び打上げ委託者が同項の特約において指定する者をいう。
3 機構が第一項に規定する特約をするときは、前条第一項に規定する保険契約は、同項及び同条第三項の規定にかかわらず、打上げ委託者が、機構に代わって、機構のために締結するものとする。
(積立金の処分)
第二十三条 機構は、中期目標の期間の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち主務大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第十八条第一項に規定する業務の財源に充てることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、文部科学省及び総務省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
3 機構は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 雑則
(主務大臣の要求)
第二十四条 主務大臣は、宇宙の開発及び利用に関する条約その他の国際約束を我が国が誠実に履行するため必要があると認めるときは、機構に対し、必要な措置をとることを求めることができる。
2 機構は、主務大臣から前項の規定による求めがあったときは、その求めに応じなければならない。
(機構の解散時における残余財産の分配)
第二十五条 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額を限度として分配するものとする。
(主務大臣等)
第二十六条 機構に係るこの法律及び通則法における主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務(次号に規定するものを除く。)に関する事項については、文部科学大臣
二 第六条及び第二十三条並びに通則法第三十八条、第四十四条及び第四十八条(第四号に規定する業務の用に供する重要な財産に係る部分に限る。)に規定する管理業務に関する事項については、文部科学大臣及び総務大臣
三 第十八条第一項に規定する業務(次号に規定するものを除く。)に関する事項については、文部科学大臣
四 第十八条第一項に規定する業務のうち同項第三号及び第四号に掲げるもの(宇宙科学に関する学術研究のためのものを除く。)並びにこれらに関連する同項第五号及び第六号に掲げるもの(これらに附帯する業務を含む。)に関する事項については、文部科学大臣及び総務大臣
2 総務大臣は、専ら前項第四号に規定する業務の適正かつ確実な実施を図る観点から、同項第二号に規定する規定に基づく認可又は承認を行うものとする。
3 機構に係る通則法における主務省は、文部科学省とする。
4 機構に係る通則法における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。ただし、第一項第四号に規定する業務に係る通則法第五十条に規定する主務省令は、文部科学省令・総務省令とする。
(独立行政法人評価委員会への意見聴取等)
第二十七条 次に掲げる規定の適用については、これらの規定中「評価委員会」とあるのは、「評価委員会及び総務省の独立行政法人評価委員会」とする。
一 通則法第三十八条第三項、第四十四条第四項及び第四十八条第二項(前条第一項第四号の業務の用に供する重要な財産に係る部分に限る。)の規定
二 前条第一項第四号に規定する業務に関する通則法第二十八条第三項、第二十九条第三項、第三十条第三項及び第三十五条第二項の規定
2 文部科学省の独立行政法人評価委員会は、次の場合には、前条第一項第四号に規定する業務に関し、総務省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
一 通則法第三十二条第一項又は第三十四条第一項の規定による評価を行おうとするとき。
二 通則法第三十二条第三項後段(通則法第三十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による勧告をしようとするとき。
(財務大臣との協議)
第二十八条 主務大臣は、次の場合には、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
一 第六条第二項又は第二十二条第一項の規定による認可をしようとするとき。
二 第十九条の長期的な計画を定めようとするとき。
三 第二十一条第二項の規定により保険金額を定めようとするとき。
四 第二十三条第一項の規定による承認をしようとするとき。
(国家公務員共済組合法の適用に関する特例)
第二十九条 機構の役員及び職員は、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の規定の適用については、同法第二条第一項第一号に規定する職員には該当しないものとする。この場合において必要な事項は、政令で定める。
第五章 罰則
第三十条 第十六条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により文部科学大臣又は主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 第十八条第一項に規定する業務以外の業務を行ったとき。
三 第二十一条第一項の規定に違反して保険契約を締結しないで人工衛星等の打上げを行ったとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第十六条から第十八条まで、第二十条から第二十四条まで及び第二十八条の規定 平成十五年十月一日
二 附則第二十五条の規定 平成十五年十月一日又は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十四年法律第___号)の施行の日のいずれか遅い日
三 附則第二十六条の規定 日本郵政公社法(平成十四年法律第九十七号)の施行の日
(職員の引継ぎ等)
第二条 機構の成立の際現に次に掲げる機関の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、機構の成立の日において、機構の職員となるものとする。
一 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)第九条の二第一項に規定する大学共同利用機関のうち政令で定める機関(以下「大学共同利用機関」という。)
二 独立行政法人航空宇宙技術研究所(以下「研究所」という。)
三 宇宙開発事業団(以下「事業団」という。)
第三条 前条の規定により機構の職員となった大学共同利用機関及び研究所の職員に対する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、機構の職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。
第四条 附則第二条の規定により大学共同利用機関及び研究所の職員が機構の職員となる場合には、その者に対しては、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。
2 機構は、前項の規定の適用を受けた機構の職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間を機構の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。
3 機構の成立の日の前日に大学共同利用機関又は研究所の職員として在職する者が、附則第二条の規定により引き続いて機構の職員となり、かつ、引き続き機構の職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の機構の職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者が機構を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。
4 機構は、機構の成立の日の前日に大学共同利用機関又は研究所の職員として在職し、附則第二条の規定により引き続いて機構の職員となった者のうち機構の成立の日から雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による失業給付の受給資格を取得するまでの間に機構を退職したものであって、その退職した日まで大学共同利用機関又は研究所の職員として在職したものとしたならば国家公務員退職手当法第十条の規定による退職手当の支給を受けることができるものに対しては、同条の規定の例により算定した退職手当の額に相当する額を退職手当として支給するものとする。
第五条 附則第二条の規定により機構の職員となった大学共同利用機関の職員であって、機構の成立の日の前日において文部科学大臣又はその委任を受けた者から児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による認定を受けているものが、機構の成立の日において児童手当又は同法附則第六条第一項、第七条第一項若しくは第八条第一項の給付(以下この条において「特例給付等」という。)の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当又は特例給付等の支給に関しては、機構の成立の日において同法第七条第一項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があったものとみなされた児童手当又は特例給付等の支給は、同法第八条第二項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、機構の成立の日の前日の属する月の翌月から始める。
第六条 機構の成立の日の前日において国家公務員共済組合法第三条第一項の規定により文部科学省に属する同法第二条第一項第一号に規定する職員及びその所管する独立行政法人の同号に規定する職員をもって組織された国家公務員共済組合(以下この条において「文部科学省共済組合」という。)の組合員である同号に規定する職員(同日において大学共同利用機関又は研究所に属する者に限る。)が機構の成立の日において機構の役員及び職員(同号に規定する職員に相当する者に限る。以下この条において「役職員」という。)となり、かつ、引き続き同日以後において機構の役職員である場合において、その者が同日から起算して二十日を経過する日(正当な理由があると文部科学省共済組合が認めた場合には、その認めた日)までに文部科学省共済組合に申出をしたときは、当該役職員は、第二十九条の規定にかかわらず、同法の規定の適用については、機構の成立の日以後引き続く当該役職員である期間文部科学省共済組合を組織する同号に規定する職員に該当するものとする。
2 前項に規定する役職員が同項に規定する申出をその期限内に行うことなく死亡した場合には、その申出は、当該期限内に当該役職員の遺族(国家公務員共済組合法第二条第一項第三号に規定する遺族に相当する者に限る。次項において同じ。)がすることができる。
3 機構の成立の日の前日において文部科学省共済組合の組合員である国家公務員共済組合法第二条第一項第一号に規定する職員(同日において大学共同利用機関又は研究所に属する者に限る。)が機構の成立の日において機構の役職員となる場合において、当該役職員又はその遺族が第一項の規定による申出を行わなかったときは、当該役職員は、機構の成立の日の前日に退職(同条第一項第四号に規定する退職をいう。)をしたものとみなす。
(機構の職員となる者の職員団体についての経過措置)
第七条 機構の成立の際現に存する国家公務員法第百八条の二第一項に規定する職員団体であって、その構成員の過半数が附則第二条の規定により機構に引き継がれる者であるものは、機構の成立の際労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。
2 前項の規定により法人である労働組合となったものは、機構の成立の日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。
3 第一項の規定により労働組合となったものについては、機構の成立の日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
(不当労働行為の申立て等についての経過措置)
第八条 機構の成立前に国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号。以下この条において「国労法」という。)第十八条の規定に基づき研究所がした解雇に係る中央労働委員会に対する申立て及び中央労働委員会による命令の期間については、なお従前の例による。
2 機構の成立の際現に中央労働委員会に係属している研究所とその職員に係る国労法の適用を受ける労働組合とを当事者とするあっせん、調停又は仲裁に係る事件に関する国労法第三章(第十二条から第十六条までの規定を除く。)及び第六章に規定する事項については、なお従前の例による。
(国の有する権利義務の承継等)
第九条 機構の成立の際、第十八条第一項に規定する業務に関し、現に国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、機構の成立の時において機構が承継する。
2 機構の成立の際、国立学校特別会計法(昭和三十九年法律第五十五号)第十七条の規定に基づき文部科学大臣から大学共同利用機関の長に交付され、その経理を委任された金額に残余があるときは、その残余に相当する額は、機構の成立の日において機構に奨学を目的として寄附されたものとする。この場合において、当該寄附金の経理に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
(研究所及び事業団の解散等)
第十条 研究所及び事業団は、機構の成立の時において解散するものとし、次項の規定により国が承継する資産を除き、その一切の権利及び義務は、その時において機構が承継する。
2 機構の成立の際現に研究所及び事業団が有する権利のうち、機構がその業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産は、機構の成立の時において国が承継する。
3 前項の規定により国が承継する資産の範囲その他当該資産の国への承継に関し必要な事項は、政令で定める。
4 研究所及び事業団の平成十五年四月一日に始まる事業年度は、それぞれ研究所及び事業団の解散の日の前日に終わるものとする。
5 平成十五年四月一日に始まる事業年度に係る研究所及び事業団の決算並びに研究所の通則法第三十八条に規定する財務諸表及び事業報告書並びに事業団の附則第十六条の規定による廃止前の宇宙開発事業団法(昭和四十四年法律第五十号。以下「旧事業団法」という。)第二十八条に規定する財務諸表、附属明細書及び事業報告書の作成等については、機構が従前の例により行うものとする。この場合において、事業団の当該決算の完結の期限は、解散の日から起算して二月を経過する日とする。
6 研究所の平成十五年四月一日に始まる事業年度における業務の実績については、機構が評価を受けるものとする。この場合において、通則法第三十二条第三項の規定による勧告は、機構に対してなされるものとする。
7 研究所の平成十五年四月一日に始まる事業年度における利益及び損失の処理については、機構が従前の例により行うものとする。
8 研究所の積立金の処分は、研究所の解散の日の前日において中期目標の期間が終了したものとして、機構が従前の例により行うものとする。この場合において、附則第十六条の規定による廃止前の独立行政法人航空宇宙技術研究所法(平成十一年法律第百七十五号。以下「旧研究所法」という。)第十五条第一項中「当該次の中期目標の期間における前条」とあるのは、「機構の最初の中期目標の期間における独立行政法人宇宙航空研究開発機構法第十八条第一項」とする。
9 事業団の解散については、旧事業団法第三十八条第一項の規定による残余財産の分配は、行わない。
10 第一項の規定により研究所及び事業団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(機構への出資)
第十一条 附則第九条第一項の規定により機構が国の有する権利及び義務を承継したときは、その承継の際、承継される権利に係る土地、建物その他の財産で政令で定めるものの価額の合計額に相当する金額は、政府から機構に出資されたものとする。
2 前項の出資による権利は、一般会計に帰属するものとする。
3 前条第一項の規定により機構が研究所の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、機構が承継する資産の価額(前条第八項の規定により読み替えられた旧研究所法第十五条第一項の規定による承認を受けた金額があるときは、当該金額に相当する金額を除く。)から負債の金額を差し引いた額は、政府から機構に出資されたものとする。
4 前条第一項の規定により機構が事業団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、国及び機構が承継する事業団に属する資産の価額の合計額から機構が承継する負債の金額を差し引いた額(当該差し引いた額が事業団の資本金の額を超えるときは、当該資本金の額に相当する金額)に、事業団に対する政府以外の者の出資額の割合を乗じて得た額は、当該政府以外の者から機構に出資されたものとする。
5 前条第一項の規定により機構が事業団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、機構が承継する事業団に属する資産の価額から負債の金額を差し引いた額から、前項の規定により政府以外の者から機構に出資があったものとされた額を差し引いた額は、政府から機構に出資されたものとする。
6 第一項に規定する財産の価額及び前三項に規定する資産の価額は、機構の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
7 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
8 事業団が発行した出資証券の上に存在する質権は、第七条第一項の規定により出資者が受けるべき機構の出資証券の上に存在する。
(持分の払戻し)
第十二条 前条第四項の規定により政府以外の者が機構に出資したものとされた金額については、当該政府以外の者は、機構に対し、その成立の日から起算して一月を経過する日までの間に限り、当該持分の払戻しを請求することができる。
2 機構は、前項の規定による請求があったときは、第八条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、機構は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
(役員となるべき者の指名の際の宇宙開発委員会の同意等)
第十三条 第十一条の規定は、通則法第十四条第一項の規定による機構の理事長となるべき者及び監事となるべき者の指名について準用する。
(理事長の任期の特例)
第十四条 通則法第十四条第二項の規定により機構の成立の時に理事長に任命されたものとされる理事長の任期については、第十二条第一項中「任命の日」とあるのは、「機構の成立の日」とする。
(主務大臣等の特例)
第十五条 政令で定める人工衛星の運用が終了する日(以下この条において「終了日」という。)までの間(通則法第三十八条に規定する管理業務に関する事項にあっては終了日を含む事業年度の当該管理業務が終了する日までの間、事業年度又は中期目標に係る業務の実績に関する評価に関する事項にあってはそれぞれ終了日を含む事業年度又は中期目標の期間における当該評価が終了する日までの間)は、第二十三条第二項中「文部科学省及び総務省」とあるのは「文部科学省、総務省及び政令で定める府省」と、第二十六条第一項第二号及び第四号中「文部科学大臣及び総務大臣」とあるのは「文部科学大臣、総務大臣及び政令で定める大臣」と、同条第二項中「総務大臣」とあるのは「総務大臣及び政令で定める大臣」と、同条第四項ただし書中「文部科学省令・総務省令」とあるのは「文部科学大臣、総務大臣及び政令で定める大臣の発する命令」と、第二十七条第一項中「及び総務省の独立行政法人評価委員会」とあるのは「並びに総務省及び政令で定める府省の独立行政法人評価委員会」と、同条第二項中「総務省の独立行政法人評価委員会」とあるのは「総務省及び政令で定める府省の独立行政法人評価委員会」とする。
(独立行政法人航空宇宙技術研究所法及び宇宙開発事業団法の廃止)
第十六条 次の法律は、廃止する。
一 独立行政法人航空宇宙技術研究所法
二 宇宙開発事業団法
(独立行政法人航空宇宙技術研究所法及び宇宙開発事業団法の廃止に伴う経過措置)
第十七条 前条の規定の施行前に旧研究所法又は旧事業団法(第十二条及び第二十条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律又は通則法中の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第十八条 附則第十六条の規定の施行前にした行為並びに附則第十条第五項、第七項及び第八項の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第十九条 附則第二条から第十五条まで、第十七条及び前条に定めるもののほか、機構の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(国立学校設置法の一部改正)
第二十条 国立学校設置法の一部を次のように改正する。
第三条の三第三項中「大学共同利用機関で」を「大学共同利用機関及び独立行政法人宇宙航空研究開発機構のうち」に改める。
(放送法の一部改正)
第二十一条 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)の一部を次のように改正する。
第九条の二の見出しを「(独立行政法人宇宙航空研究開発機構等への出資)」に改め、同条及び第五十三条の十第一項第二号中「宇宙開発事業団」を「独立行政法人宇宙航空研究開発機構」に改める。
(土地収用法の一部改正)
第二十二条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三十四号の三を次のように改める。
三十四の三 独立行政法人宇宙航空研究開発機構が独立行政法人宇宙航空研究開発機構法(平成十四年 法律第百六十一号)第十八条第一項第一号から第四号までに掲げる業務の用に供する施設
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第二十三条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「、宇宙開発事業団」を削る。
(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の一部改正)
第二十四条 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の一部を次のように改正する。
別表第一宇宙開発事業団の項を削る。
(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の一部改正)
第二十五条 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の一部を次のように改正する。
別表宇宙開発事業団の項を削る。
(独立行政法人宇宙航空研究開発機構法の一部改正)
第二十六条 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法の一部を次のように改正する。
附則第八条第一項中「国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律」を「特定独立行政法人等の労働関係に関する法律」に、「国労法」を「特労法」に改め、同条第二項中「国労法」を「特労法」に改める。
(文部科学省設置法の一部改正)
第二十七条 文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第八条を次のように改める。
(所掌事務)
第八条 宇宙開発委員会(以下この款において「委員会」という。)は、次に掲げる事務をつかさどるとともに、宇宙開発事業団法(昭和四十四年法律第五十号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法(平成十四年法律第百六十一号)附則第十三条において準用する同法第十一条の規定による独立行政法人宇宙航空研究開発機構の役員となるべき者の指名に対する同意及び意見の申出を行うこと。
二 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法第十九条に規定する宇宙開発に関する長期的な計画の議決を行うこと。
第二十八条 文部科学省設置法の一部を次のように改正する。
第四条第二十五号中「研究」の下に「並びに独立行政法人宇宙航空研究開発機構における学術研究及び教育」を加える。
第八条中「とともに、宇宙開発事業団法(昭和四十四年法律第五十号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する」を削り、同条第一号中「附則第十三条において準用する同法」を削り、「となるべき者の指名」を「の任命」に改める。
総務大臣 片山虎之助
財務大臣 塩川正十郎
文部科学大臣臨時代理 国務大臣 林寛子
内閣総理大臣 小泉純一郎