海上衝突予防法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第二十二号
公布年月日: 昭和58年4月5日
法令の形式: 法律
海上衝突予防法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十八年四月五日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第二十二号
海上衝突予防法の一部を改正する法律
海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項中「政府間海事協議機関」を「国際海事機関」に改め、同条第四項中「船舶」の下に「(動力船であつて長さ二十メートル未満のもの及び帆船を除く。)」を加え、同条第五項中「横断する」を「横断し、又は通航路に出入する」に改め、同条中第十三項を第十四項とし、第十二項の次に次の一項を加える。
13 第二項、第三項、第五項及び第十一項の規定は、操縦性能制限船であつて、分離通航帯において船舶の航行の安全を確保するための作業又は海底電線の敷設、保守若しくは引揚げのための作業に従事しているものについては、当該作業を行うために必要な限度において適用しない。
第二十二条中「船舶が表示する」を「船舶その他の物件が表示する」に改め、同条の表の上欄中「船舶」の下に「(他の動力船に引かれている航行中の船舶であつて、その相当部分が水没しているため視認が困難であるものを除く。)」を加え、同表に次のように加える。
他の動力船に引かれている航行中の船舶その他の物件であつて、その相当部分が水没しているため視認が困難であるもの
全周灯
三海里
第二十三条第一項中「次条第一項から第四項まで」を「次条第一項、第二項、第四項若しくは第七項」に、「次の各号に」を「次に」に改め、同項第二号中「第三項」の下に「及び第四項」を加え、同条第三項中「第一項」の下に「又は前項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 航行中の長さ十二メートル未満の動力船は、第一項の規定による灯火の表示に代えて、白色の全周灯一個及びげん灯一対を表示することができる。
第二十三条に次の二項を加える。
5 航行中の長さ十二メートル未満の動力船は、マスト灯を表示しようとする場合において、そのマスト灯を船舶の中心線上に装置することができないときは、マスト灯と同一の特性を有する灯火一個を船舶の中心線上の位置以外の位置に表示することをもつて足りる。
6 航行中の長さ十二メートル未満の動力船は、両色灯を表示しようとする場合において、マスト灯又は第三項若しくは第四項の規定による白色の全周灯を船舶の中心線上に装置することができないときは、その両色灯の表示に代えて、これと同一の特性を有する灯火一個を船舶の中心線上の位置以外の位置に表示することができる。この場合において、その灯火は、前項の規定によるマスト灯と同一の特性を有する灯火又は第三項若しくは第四項の規定による白色の全周灯が装置されている位置から船舶の中心線に平行に引いた直線上又はできる限りその直線の近くに掲げるものとする。
第二十四条第一項中「次の各号に」を「次に」に改め、同項第一号を次のように改める。
一 次のイ又はロに定めるマスト灯を掲げること。ただし、長さ五十メートル未満の動力船は、イに定める後方のマスト灯を掲げることを要しない。
イ 前部に垂直線上にマスト灯二個(引いている船舶の船尾から引かれている船舶その他の物件の後端までの距離(以下この条において「えい航物件の後端までの距離」という。)が二百メートルを超える場合にあつては、マスト灯三個)及びこれらのマスト灯よりも後方の高い位置にマスト灯一個
ロ 前部にマスト灯一個及びこのマスト灯よりも後方の高い位置に垂直線上にマスト灯二個(えい航物件の後端までの距離が二百メートルを超える場合にあつては、マスト灯三個)
第二十四条第一項第五号中「えい航物件までの距離」を「えい航物件の後端までの距離」に改め、同条第二項中「次の各号に」を「次に」に改め、同項第一号を次のように改める。
一 次のイ又はロに定めるマスト灯を掲げること。ただし、長さ五十メートル未満の動力船は、イに定める後方のマスト灯を掲げることを要しない。
イ 前部に垂直線上にマスト灯二個及びこれらのマスト灯よりも後方の高い位置にマスト灯一個
ロ 前部にマスト灯一個及びこのマスト灯よりも後方の高い位置に垂直線上にマスト灯二個
第二十四条中第五項を第八項とし、第四項を第七項とし、同条第三項中「船舶(第一項、次項(第二号に係る部分に限る。)、第二十六条第一項若しくは第二項又は第二十七条第二項から第四項までの規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)その他の物件は、次の各号に」を「船舶その他の物件(第一項、第七項(第二号に係る部分に限る。)、第二十六条第一項若しくは第二項又は第二十七条第二項から第四項までの規定の適用がある船舶及び次項の規定の適用がある船舶その他の物件を除く。以下この項において同じ。)は、次に」に改め、ただし書を削り、同項第三号中「えい航物件までの距離」を「えい航物件の後端までの距離」に改め、同項を同条第四項とし、同項の次に次の二項を加える。
5 他の動力船に引かれている航行中の船舶その他の物件であつて、その相当部分が水没しているため視認が困難であるものは、次に定めるところにより、灯火又は形象物を表示しなければならない。この場合において、二以上の船舶その他の物件が連結して引かれているときは、これらの物件は、一個の物件とみなす。
一 前端又はその付近及び後端又はその付近に、それぞれ白色の全周灯一個を掲げること。ただし、石油その他の貨物を充てんして水上輸送の用に供するゴム製の容器は、前端又はその付近に白色の全周灯を掲げることを要しない。
二 引かれている船舶その他の物件の最大の幅が二十五メートル以上である場合は、両側端又はその付近にそれぞれ白色の全周灯一個を掲げること。
三 引かれている船舶その他の物件の長さが百メートルを超える場合は、前二号の規定による白色の全周灯の間に、百メートルを超えない間隔で白色の全周灯を掲げること。
四 後端又はその付近にひし形の形象物一個を掲げること。
五 えい航物件の後端までの距離が二百メートルを超える場合は、できる限り前方の最も見えやすい場所にひし形の形象物一個を掲げること。
6 前二項に規定する他の動力船に引かれている航行中の船舶その他の物件は、やむを得ない事由により前二項の規定による灯火又は形象物を表示することができない場合は、照明その他その存在を示すために必要な措置を講ずることをもつて足りる。
第二十四条第二項の次に次の一項を加える。
3 遭難その他の事由により救助を必要としている船舶を引いている航行中の動力船であつて、通常はえい航作業に従事していないものは、やむを得ない事由により前二項の規定による灯火を表示することができない場合は、これらの灯火の表示に代えて、前条の規定による灯火を表示し、かつ、当該動力船が船舶を引いていることを示すため、えい航索の照明その他の第三十六条第一項の規定による他の船舶の注意を喚起するための信号を行うことをもつて足りる。
第二十五条第一項中「前条第三項若しくは第四項」を「前条第四項若しくは第七項」に改め、同条第三項中「十二メートル」を「二十メートル」に改める。
第二十七条第一項中「第二十四条第三項又は第四項」を「第二十四条第四項又は第七項」に、「次の各号に」を「次に」に、「七メートル」を「十二メートル」に改め、「その灯火」の下に「又は形象物」を加え、同条第二項中「次の各号に」を「次に」に改め、同項第四号中「第三十条の規定によるびよう泊中の船舶の」を「最も見えやすい場所に第三十条第一項各号の規定による」に改め、同条第五項及び第六項を次のように改める。
5 前項に規定する操縦性能制限船であつて、潜水夫による作業に従事しているものは、その船体の大きさのために同項第二号から第五号までの規定による灯火又は形象物を表示することができない場合は、次に定めるところにより、灯火又は信号板を表示することをもつて足りる。
一 最も見えやすい場所に白色の全周灯一個を掲げ、かつ、その垂直線上の上方及び下方にそれぞれ紅色の全周灯一個を掲げること。
二 国際海事機関が採択した国際信号書に定めるA旗を表す信号板を、げん線上一メートル以上の高さの位置に周囲から見えるように掲げること。
6 航行中又はびよう泊中の操縦性能制限船であつて、掃海作業に従事しているものは、次に定めるところにより、灯火又は形象物を表示しなければならない。
一 当該船舶から千メートル以内の水域が危険であることを示す緑色の全周灯三個又は球形の形象物三個を掲げること。この場合において、これらの全周灯三個又は球形の形象物三個のうち、一個は前部マストの最上部付近に掲げ、かつ、他の二個はその前部マストのヤードの両端に掲げること。
二 航行中においては、第二十三条第一項各号の規定による灯火を掲げること。
三 びよう泊中においては、最も見えやすい場所に第三十条第一項各号の規定による灯火又は形象物を掲げること。
第二十七条第七項中「七メートル」を「十二メートル」に改め、「操縦性能制限船」の下に「(潜水夫による作業に従事しているものを除く。)」を、「灯火」の下に「又は形象物」を加える。
第二十九条中「次の各号に」を「次に」に改め、同条第三号中「次条の規定によるびよう泊中の船舶の」を「最も見えやすい場所に次条第一項各号の規定による」に改める。
第三十条第一項中「若しくは第四項」を「、第四項若しくは第六項」に、「、第四項及び第五項」を「及び第四項」に、「次の各号に」を「次に」に改め、同項第一号に次のただし書を加える。
ただし、長さ五十メートル未満の船舶は、これらの灯火に代えて、白色の全周灯一個を掲げることができる。
第三十条第三項中「次の各号に」を「次に」に改め、同項第一号に次のただし書を加える。
ただし、長さ五十メートル未満の船舶は、これらの灯火に代えて、白色の全周灯一個を掲げることができる。
第三十条第四項を削り、同条第五項中「又は乗り揚げている船舶」を削り、「びよう泊をし、又はその乗り揚げている」を「びよう泊をしている」に改め、「、第三項又は前項」を削り、同項を同条第四項とし、同条に次の一項を加える。
5 長さ十二メートル未満の乗り揚げている船舶は、第三項第二号又は第三号の規定による灯火又は形象物を表示することを要しない。
第三十五条第一項中「第十一項」を「第十二項」に改め、同条第六項中「以上の船舶」の下に「(第八項の規定の適用があるものを除く。)」を加え、同条第七項中「船舶」の下に「(次項の規定の適用があるものを除く。)」を加え、同条中第十二項を第十三項とし、第八項から第十一項までを一項ずつ繰り下げ、第七項の次に次の一項を加える。
8 びよう泊中の漁ろうに従事している船舶及び操縦性能制限船は、二分を超えない間隔で、長音一回に引き続く短音二回を鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。
第三十六条に次の一項を加える。
2 前項の規定による発光信号又は探照灯による照射は、船舶の航行を援助するための施設の灯火と誤認されるものであつてはならず、また、ストロボ等による点滅し、又は回転する強力な灯火を使用して行つてはならない。
第四十一条第三項中「信号灯」の下に「、形象物」を加える。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和五十八年六月一日から施行する。
(港則法の一部改正)
2 港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)の一部を次のように改正する。
「第六章 船灯及び信号」を「第六章 灯火等」に改める。
第二十七条第二項中「七メートル」を「十二メートル」に改める。
(海上交通安全法の一部改正)
3 海上交通安全法(昭和四十七年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。
第二十八条の見出しを「(帆船の灯火等)」に改め、同条第二項中「七メートル」を「十二メートル」に改める。
運輸大臣 長谷川峻
内閣総理大臣 中曽根康弘