國立病院特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月三日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十号
國立病院特別会計法
(設置)
第一條 國立病院の円滑なる運営とその経理の適正を図るため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
2 この法律において「國立病院」とは、厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)第十五條に規定する國立病院をいう。
(管理)
第二條 この会計は、厚生大臣が、法令の定めるところに從い、管理する。
(基金)
第三條 この会計においては、昭和二十四年七月一日において、一般会計からこの会計に引き継いだ資産の金額をもつて基金とする。
(歳入及び歳出)
第四條 この会計においては、診療及び病院收入、檢査料、手数料及び使用料收入、義し等の賣拂代金、一般会計及び積立金からの受入金、積立金から生ずる收入並びに附属雜收入をもつてその歳入とし、業務費、診療及び病院費、施設費、義し等の製作費、看護婦養成費、一時借入金の利子その他の諸費をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書の作製及び送付)
第五條 厚生大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、大藏大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、國会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
(余裕金の預入)
第八條 この会計において、現金に余裕があるときは、大藏省預金部に預け入れることができる。
(一時借入金及び繰替金)
第九條 この会計において、支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は國庫余裕金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による一時借入金又は繰替金は当該年度内に償還しなければならない。
3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金の限度額については、予算をもつて、國会の議決を経なければならない。
(一時借入金の利子相当額の繰入)
第十條 本会計の負担に属する一時借入金の利子に相当する金額は、毎会計年度、國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(一時借入金の借入及び償還事務)
第十一條 第九條に規定する一時借入金の借入及び償還に関する事務は、大藏大臣が行う。
(歳入歳出決定計算書の作製及び送付)
第十二條 厚生大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、大藏大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十三條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、國会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書、当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録並びに当該年度末における積立金明細表及び債務に関する計算書を添附しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第十四條 この会計において、損益計算上利益を生じたときは、この会計の積立金として、積み立てなければならない。
2 この会計において、損益計算上損失を生じたときは、この会計の積立金を減額して整理する。
(積立金の財源充当)
第十五條 この会計の歳出の財源に充てるため必要がある場合には、この会計に属する持越現金の金額を限度として、積立金を減額し、その金額を歳入に計上することができる。
(支出未済額の繰越)
第十六條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 前項の規定による繰越については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四十三條の規定は、適用しない。
3 厚生大臣は、第一項の規定により繰越をしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
4 第一項の規定により繰越をしたときは、その経費については、財政法第三十一條第一項の規定により予算の配賦があつたものとみなす。
(一般会計からの繰入)
第十七條 政府は、看護婦養成の経費に充てるため必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から、この会計に繰り入れることができる。
2 政府は、この会計の歳出の財源に充てるため必要があるときは、前項に規定する場合の外、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰入金をすることができる。
3 前項の規定により一般会計からこの会計に繰入金をした場合において、決算上剩余金が生じたときは、政令の定めるところにより、当該剩余金に相当する金額の一部を利益に組み入れず、翌年度の歳入に繰り入れることができる。
(実施規定)
第十八條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年七月一日から施行する。
2 この法律施行の際、一般会計所属の資産で國立病院経営の用に供せられているものは、政令の定めるところにより、この会計に引き継がれるものとする。
大藏大臣 池田勇人
厚生大臣 林讓治
内閣総理大臣 吉田茂
国立病院特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月三日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十号
国立病院特別会計法
(設置)
第一条 国立病院の円滑なる運営とその経理の適正を図るため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
2 この法律において「国立病院」とは、厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)第十五条に規定する国立病院をいう。
(管理)
第二条 この会計は、厚生大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。
(基金)
第三条 この会計においては、昭和二十四年七月一日において、一般会計からこの会計に引き継いだ資産の金額をもつて基金とする。
(歳入及び歳出)
第四条 この会計においては、診療及び病院収入、検査料、手数料及び使用料収入、義し等の売払代金、一般会計及び積立金からの受入金、積立金から生ずる収入並びに附属雑収入をもつてその歳入とし、業務費、診療及び病院費、施設費、義し等の製作費、看護婦養成費、一時借入金の利子その他の諸費をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書及び国庫債務負担行為要求書の作製及び送付)
第五条 厚生大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書及び国庫債務負担行為要求書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書及び国庫債務負担行為要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 国庫債務負担行為で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
(余裕金の預入)
第八条 この会計において、現金に余裕があるときは、大蔵省預金部に預け入れることができる。
(一時借入金及び繰替金)
第九条 この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は国庫余裕金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による一時借入金又は繰替金は当該年度内に償還しなければならない。
3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。
(一時借入金の利子相当額の繰入)
第十条 本会計の負担に属する一時借入金の利子に相当する金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(一時借入金の借入及び償還事務)
第十一条 第九条に規定する一時借入金の借入及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行う。
(歳入歳出決定計算書の作製及び送付)
第十二条 厚生大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十三条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書、当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録並びに当該年度末における積立金明細表及び債務に関する計算書を添附しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第十四条 この会計において、損益計算上利益を生じたときは、この会計の積立金として、積み立てなければならない。
2 この会計において、損益計算上損失を生じたときは、この会計の積立金を減額して整理する。
(積立金の財源充当)
第十五条 この会計の歳出の財源に充てるため必要がある場合には、この会計に属する持越現金の金額を限度として、積立金を減額し、その金額を歳入に計上することができる。
(支出未済額の繰越)
第十六条 この会計において、支払義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 前項の規定による繰越については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四十三条の規定は、適用しない。
3 厚生大臣は、第一項の規定により繰越をしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
4 第一項の規定により繰越をしたときは、その経費については、財政法第三十一条第一項の規定により予算の配賦があつたものとみなす。
(一般会計からの繰入)
第十七条 政府は、看護婦養成の経費に充てるため必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から、この会計に繰り入れることができる。
2 政府は、この会計の歳出の財源に充てるため必要があるときは、前項に規定する場合の外、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰入金をすることができる。
3 前項の規定により一般会計からこの会計に繰入金をした場合において、決算上剰余金が生じたときは、政令の定めるところにより、当該剰余金に相当する金額の一部を利益に組み入れず、翌年度の歳入に繰り入れることができる。
(実施規定)
第十八条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年七月一日から施行する。
2 この法律施行の際、一般会計所属の資産で国立病院経営の用に供せられているものは、政令の定めるところにより、この会計に引き継がれるものとする。
大蔵大臣 池田勇人
厚生大臣 林譲治
内閣総理大臣 吉田茂